【解決手段】トップシール装置100は、第一方向に連続する包装フィルムYA1を、第一方向と直行する第二方向にシール及び切断して包装体とする際に、第二方向に延在し、包装フィルムYA1に向かって進退するカッター刃192と、カッター刃192の両側に配置され、各々が一対のシール体で前記包装フィルムを挟圧して前記第二方向にシールする上流側シーラ120及び下流側シーラ130と、上流側シーラ120及び下流側シーラ130が包装フィルムYA1に接触した後、かつ、包装フィルムYA1を切断したカッター刃192が後退する前に、上流側シーラ120と下流側シーラ130を第一方向に離反させる変位機構140、180と、を備えるようにした。
前記変位機構は、前記上流側シーラ又は前記下流側シーラによる前記包装フィルムの挟圧力を利用して、前記上流側シーラと前記下流側シーラを離反させることを特徴とする、
請求項1乃至8のいずれかに記載のトップシール装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のトップシール装置では、例えば
図12(A)及び(B)に示すように、シーラでフィルムを挟み込みながら、厚みのあるカッター刃を押し下げて、フィルムを押し分けながら裁断する。トップシール部TO1の切断面TOL近傍は未シール状態であり、更に、下降するカッター刃に擦れながら下側に屈曲するので、切断面TOL近傍の二枚のフィルムが互いにずれる。更に
図11(C)に示すように、カッター刃が上方に退避する際には、切断面TOL近傍の二枚のフィルムの一方が上方に開いてしまう(めくれあがってしまう)。結果、包装体におけるトップシール部TO1の美観が悪化するという問題があった。特にこの現象は、フィルムがアルミ素材の包装材料の時に顕著であった。
【0007】
また例えば
図12(A)に示すように、トップシール部TO1に弛みが生じる場合、一対のシーラで挟み込む部分に皺が生じやすいという問題があった。
【0008】
更に
図13(A)に示すように、カッター刃が片刃の場合は、切断後の包装フィルムにおけるカッター刃の肉厚に相当する部分が、片刃のテーパ面(研削面)側に残存する。従って、
図13(B)に示すように、トップシール部TO1のテーパ面側の切断面TOL近傍が、下降するカッター刃と擦れながら下側に屈曲し、その後、
図13(C)に示すようにカッター刃が上方に退避すると、テーパ面側の切断面TOL近傍の二枚のフィルムの一方が上方に開いてしまう(めくれあがってしまう)。
【0009】
更に、筒状フィルムの内周面には、互いの接着性を高めるためのシーラント層が形成される場合があるが、裁断時において、カッター刃とフィルムのシーラント層が互いに擦れるため、シーラントがカッター刃に付着し、定期的に清掃しなければならないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、包装体のトップシール部の美観を高め、また、カッター刃のメンテナンス頻度を低減可能なトップシール装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、第一方向に連続する包装フィルムを、前記第一方向と直行する第二方向にシール及び切断して包装体とするトップシール装置であって、前記第二方向に延在し、前記包装フィルムに向かって進退して該包装フィルムを切断するカッター刃と、前記カッター刃の前記第一方向の両側に配置され、各々が前記包装フィルムを挟圧して前記第二方向に帯状にシールする上流側シーラ及び下流側シーラと、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラが前記包装フィルムに接触した後、かつ、前記包装フィルムを切断した前記カッター刃が後退する前に、前記上流側シーラと、前記下流側シーラを前記第一方向に離反させる変位機構と、を備えることを特徴とするトップシール装置である。
【0012】
(2)本発明はまた、前記変位機構は、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラが前記包装フィルムに接触した後、かつ、前記カッター刃が前記包装フィルムを切断する前に、前記上流側シーラと、前記下流側シーラを前記第一方向に離反させることを特徴とする、上記(1)に記載のトップシール装置である。
【0013】
(3)本発明はまた、前記変位機構は、前記カッター刃が前記包装フィルムを切断した後、かつ、前記包装フィルムを切断した前記カッター刃が後退する前に、前記上流側シーラと、前記下流側シーラを前記第一方向に離反させることを特徴とする、上記(1)に記載のトップシール装置である。
【0014】
(4)本発明はまた、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラは、それぞれ、前記包装フィルムを挟圧するための一対のシール体を有しており、前記変位機構は、前記シール体を前記第一方向に揺動させる揺動軸を有することを特徴とする、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のトップシール装置である。
【0015】
(5)本発明はまた、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラは、それぞれ、前記包装フィルムを挟圧するための一対のシール体を有しており、前記一対のシール体は、前記包装フィルムと当接する一対の帯状シール面を有しており、前記変位機構は、前記一対の帯状シール面が前記第一方向を基準として前記カッター刃側に向くように傾斜する傾斜位置と、前記一対の帯状シール面が前記第一方向と平行となる平行位置との間を遷移するように、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラの少なくとも一方の前記一対のシール体を角度変位させることを特徴とする、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のトップシール装置である。
【0016】
(6)本発明はまた、前記変位機構は、前記シール体が前記包装フィルムに接触する時は前記傾斜位置、前記カッター刃が前記包装フィルムを切断する時は前記平行位置、となるように前記前記一対のシール体を角度変位させることを特徴とする、上記(5)に記載のトップシール装置である。
【0017】
(7)本発明はまた、前記変位機構は、前記上流側シーラと前記下流側シーラを接近させるように付勢する付勢手段を有することを特徴とする、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のトップシール装置である。
【0018】
(8)本発明はまた、前記変位機構は、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラの少なくとも一方を、前記第一方向にスライドさせるスライダを有することを特徴とする、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載のトップシール装置である。
【0019】
(9)本発明はまた、前記変位機構は、前記上流側シーラ又は前記下流側シーラによる前記包装フィルムの挟圧力を利用して、前記上流側シーラと前記下流側シーラを離反させることを特徴とする、上記(1)乃至(8)のいずれかに記載のトップシール装置である。
【0020】
(10)本発明はまた、前記変位機構は、前記上流側シーラの変位と前記下流側シーラの変位を連動させる第一方向連動手段を有することを特徴とする、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載のトップシール装置である。
【0021】
(11)本発明はまた、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラは、それぞれ、前記包装フィルムを挟圧するための一対のシール体を有しており、前記変位機構は、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラの少なくとも一方における前記一対のシール体の変位を連動させるシール方向連動手段を有することを特徴とする、上記(1)乃至(10)のいずれかに記載のトップシール装置である。
【0022】
(12)本発明はまた、前記変位機構における、前記第一方向の離反距離が、前記カッター刃の厚み以上に設定されることを特徴とする、上記(1)乃至(11)のいずれかに記載のトップシール装置である。
【0023】
(13)本発明はまた、前記カッター刃は片刃であり、前記変位機構は、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラにおける前記片刃のテーパ面側に位置する方を、前記第一方向に離反させることを特徴とする、上記(1)乃至(12)のいずれかに記載のトップシール装置である。
【0024】
(14)本発明は、包装フィルムを供給する供給装置と、前記供給装置から供給された前記包装フィルムを、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置と、前記製袋装置の下流において、筒状に形成された前記包装フィルムにセンターシールを施すセンターシール装置と、センターシールされた前記包装フィルムに対し、所定の間隔で幅方向にシール及びカットを施す請求項1乃至13のいずれかに記載のトップシール装置と、を備えることを特徴とする包装機である。
【0025】
(15)本発明は、第一方向に連続する包装フィルムを、前記第一方向と直行する第二方向にシール及び切断して包装体とする包装体製造方法であって、カッター刃に対して前記第一方向の両側に配置される上流側シーラ及び下流側シーラが前記包装フィルムに接触した後、かつ、前記カッター刃により前記包装フィルムを切断する前に、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラの前記第一方向の距離を離反させることで前記包装フィルムに張力を付与し、前記上流側シーラ及び前記下流側シーラによって第二方向にシールされ、かつ、前記第一方向に前記張力が付与された状態の前記包装フィルムを、前記カッター刃によって切断することを特徴とする包装体製造方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、包装体のトップシール部の美観を高めることができ、また、カッター刃のメンテナンス頻度を低減することも可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態に係る包装機1の構成について説明する。
図1は、包装機1の概略図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0029】
図1に示される包装機1は、食品や日用品などの物品XA1を包装フィルムYA1で順次包装するラインで使用される。この包装機1は、物品供給装置2と、フィルム供給装置3と、包装機本体4と、制御ユニット(図示省略)と、などを備えている。
【0030】
これら包装機1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0031】
物品供給装置2は、物品XA1を等間隔で搬送すると共に、当該物品XA1を下流の包装機本体4に順次搬送する。この物品供給装置2は、フィンガーコンベアから構成される。具体的に、物品供給装置2は、スリットを有する搬送面(符号省略)と、この搬送面上の物品XA1を側方からガイドするサイドガイド(図示省略)と、駆動用のスプロケット5と、従動用のスプロケット(図示省略)と、これらスプロケットに架け渡されて走行する環状のチェーン6と、このチェーン6に等間隔のピッチで取り付けられた複数のフィンガー7と、動力源となるサーボモーター(図示省略)などを備えている。
【0032】
駆動用のスプロケット5は、サーボモーターの駆動によって回転する。従動用のスプロケットは、チェーン6の走行によって、駆動用のスプロケットに連動して回転する。チェーン6は、駆動用のスプロケット5の回転によって循環するように走行する。複数のフィンガー7は、スリットを介して搬送面の下方から上方に突出する。これら複数のフィンガー7は、チェーン6の走行によって、搬送面上を走行する。これにより、複数のフィンガー7は、搬送面上の物品XA1を押送して包装機本体4に送り出す。
【0033】
フィルム供給装置3は、包装フィルムYA1を下流の包装機本体4に連続して供給する。フィルム供給装置3は、原反軸8と、サーボモーター(図示省略)と、ガイドローラー9a、9bなどを備えている。原反軸8は、原反ロールYB1を回転自在に保持する。この原反軸8は、サーボモーターに動力が与えられて回転し、保持している原反ロールYB1を回転させる。これにより、原反ロールYB1から包装フィルムYA1が繰り出される(引き伸ばされる)。ガイドローラー9a、9bは、原反ロールYB1の搬送方向を適宜変換して、包装機本体4側に案内する。
【0034】
なお、原反ロールYB1から包装フィルムYA1を繰り出す方法として、上述のような原反駆動式の方法を採用する代わりに、フィードローラーを別途設け、当該フィードローラーを動かして包装フィルムYA1を引き出すフィードローラー駆動式の方法を採用してもよい。
【0035】
包装機本体4は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、フィルム供給装置3から供給される包装フィルムYA1で包装する。具体的に、包装機本体4は、製袋器14と、ピンチローラー15と、センターシール装置16と、第一の搬送装置17と、上部抑え装置18と、トップシール装置(エンドシール装置)100と、第二の搬送装置20と、などを備えている。
【0036】
製袋器14は、フィルム供給装置3から供給される包装フィルムYA1を、幅方向の両端縁が互いに重なるように筒状に製袋する。また、製袋器14は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、筒状に製袋される包装フィルムYA1に供給する。これにより、物品XA1は、筒状に製袋された包装フィルムYA1に包まれる。すなわち、製袋器14は、包装フィルムYA1を幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置として機能する。
【0037】
ピンチローラー15は、互いに重なる包装フィルムYA1の両端縁(以下、センターシール部CE1(
図2参照)という。)を挟み込んで、当該センターシール部CE1に搬送力を付与する。
【0038】
センターシール装置16は、一対のバーシーラー16aと、プレスローラー16bと、を備えている。このセンターシール装置16は、一対のバーシーラー16aでセンターシール部を挟んで加熱する。そして、センターシール装置16は、加熱されたセンターシール部をプレスローラー16bで圧着してセンターシールする。すなわち、センターシール装置16は、製袋器14の下流において、筒状に形成された包装フィルムYA1にセンターシールを施す。なお、一対のローラー、又は複数のローラーでセンターシール部を挟んで加熱する回転式のセンターシール装置でも良い。
【0039】
第一の搬送装置17は、センターシールされた筒状の包装フィルムYA1を、当該包装フィルムYA1に包まれた物品XA1と共に、搬送面(符号省略)に載せてトップシール装置100に向けて搬送する。この第一の搬送装置17は、トップシール装置100のボックスモーションに合わせて、搬送面を搬送方向に伸縮させる。なお、ボックスモーション以外にも、回転式、又は直線往復動式のトップシール装置であってもよい。
【0040】
上部抑え装置18は、第一の搬送装置17の上方に配置されており、第一の搬送装置17に搬送される物品XA1を包装フィルムYA1ごと上方から抑える。これにより、物品XA1は、水平状態を保持しながら搬送される。
【0041】
トップシール装置100は、物品XA1の長さに応じたピッチ毎に、包装フィルムYA1の幅方向にトップシール(エンドシール、横シール)とカットを行う。これにより、包装体ZA1(
図2参照)が製造される。すなわち、トップシール装置100は、センターシールされた包装フィルムYA1に対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施す。
【0042】
トップシール装置100は、
図3(A)及び
図4(A)に示すように、上側に配置される第一シールユニット110と下側に配置される第二シールユニット150と、これらを相対移動させる移動装置198と、第一シールユニット110に設置されるカッターユニット190を備える。第一シールユニット110と第二シールユニット150は、包装フィルムYA1の両側に対向するように配置されて、変位機構198によって互いに接近・離反する。
【0043】
この接近・離反動作は、例えばボックスモーションの移動軌跡によって移動させることができる。具体的には、第一シールユニット110と第二シールユニット150が接近して包装フィルムYA1を挟持し、包装フィルムYA1の搬送方向に追従するように上流から下流に向かって所定距離移動する間にシールを施し、その間に、カッターユニット190によって包装フィルムYA1を切断する。その後、第一シールユニット110と第二シールユニット150が包装フィルムYA1から離反し、更に下流から上流に向かって所定距離移動して元の位置に復帰する。これらの動作を繰り返すことで、包装フィルムYA1を繰り返しシール及びカットする。
【0044】
第一シールユニット110は、第一基台112と、この第一基台112に対して包装フィルムYA1側に配置される第一固定台114と、第一固定台114に保持される第一上流側シール体122及び第一下流側シール体132と、第一固定台114に設けられる第一変位機構140を有する。第一固定台114は、摺動可能なスライド軸114Aを介して第一基台112に配置されており、第一基台112に対して包装フィルムYA1の面垂直方向、即ち、第二シールユニット150に対する接近・離反方向に往復移動自在となっている。なお、第一固定台114は、例えば、圧縮ばね、又はエアシリンダを用いたエアばね等の付勢部材114Bによって、第一基台112に対して包装フィルムYA1側に常に付勢される。
【0045】
第二シールユニット150は、第二基台152と、この第二基台152に対して包装フィルムYA1側に配置される第二固定台154と、第二固定台154に保持される第二上流側シール体162及び第二下流側シール体172と、第一固定台114に設けられる第二変位機構180を有する。
【0046】
なお、カッターユニット190よりも上流側に位置する第一上流側シール体122及び第二上流側シール体162を、上流側シーラ120と定義し、カッターユニット190よりも下流側に位置する第一下流側シール体132及び第二下流側シール体172を、下流側シーラ130と定義する。
【0047】
図3(B)及び
図4(B)に示すように、第一シールユニット110と第二シールユニット150が互いに接近すると、上流側シーラ120(第一上流側シール体122及び第二上流側シール体162)により、カッターユニット190の上流側の包装フィルムYA1が挟持され、下流側シーラ130(第一下流側シール体132及び第二下流側シール体172)により、カッターユニット190の下流側の包装フィルムYA1が挟持される。
【0048】
第一シールユニット110と第二シールユニット150が更に接近すると、第一シールユニット110の第一上流側シール体122及び第一下流側シール体132が、付勢部材114Bの付勢力に抗して第一基台112側に押し込まれ、上流側シーラ120と下流側シーラ130の各々に適切な挟持力が生じる。結果、上流側シーラ120により、包装フィルムYA1のカッターユニット190の上流側が帯状にシールされ、下流側シーラ130により、包装フィルムYA1のカッターユニット190の下流側が帯状にシールされる。
【0049】
次に、カッターユニット190、第一シールユニット110と第二シールユニット150の詳細構造について説明する。
【0050】
図5(A)に示すように、カッターユニット190は、両刃式のカッター刃192と、ブラケットによって第一基台112に固定されるエアシリンダ194と、第一基台112に設けられてカッター刃192を上下方向に案内するガイド196を有する。カッター刃192は、第一上流側シール体122及び第一下流側シール体132の隙間に配置され、ガイド196によって上下方向に移動自在に案内される。カッター刃192の下端縁には鋸刃状の刃先192A(
図4参照)が形成される。エアシリンダ194は、カッター刃192を上下方向に移動させる動力源となる。従って、エアシリンダ194によってカッター刃192が下降すると、刃先192Aが、第一上流側シール体122及び第一下流側シール体132よりも下側に突出し、第二上流側シール体162及び第二下流側シール体172の隙間に進入して、包装フィルムYA1を押し切る。
【0051】
第一変位機構140は、第一上流側シール体122に設けられる第一上流側揺動軸141A、第一下流側シール体132に設けられる第一下流側揺動軸141B、第一固定台114と第一上流側シール体122の間に設置される第一上流側復帰ばね142A、第一固定台114と第一下流側シール体132の間に設置される第一下流側復帰ばね142Bを有する。
【0052】
第一上流側揺動軸141A及び第一下流側揺動軸141Bは、包装フィルムYA1の幅方向に延びる軸であり、第一上流側シール体122及び第一下流側シール体132を、包装フィルムYA1の搬送方向に揺動させる。
【0053】
第一上流側シール体122は、第一上流側シール体122に形成される包装フィルムYA1の幅方向に延びる帯状シール面122Aが、包装フィルムYA1を基準としてカッター刃192側に向くように傾斜する状態(これを「傾斜位置」と定義する)と、この帯状シール面122Aが包装フィルムYA1と平行となる状態(これを「平行位置」と定義する)との間を遷移する。
【0054】
第一上流側復帰ばね142Aは、第一上流側シール体122に外力が付与されない状態、即ち第一上流側シール体122が包装フィルムYA1と接触していない状態で、第一上流側シール体122が常に「傾斜位置」となるように付勢する。これは、第一上流側シール体122が第一下流側シール体132に接近させる方向に付勢することを意味する。
【0055】
第一下流側シール体132は、第一下流側シール体132に形成される包装フィルムYA1の幅方向に延びる帯状シール面132Aが、包装フィルムYA1を基準としてカッター刃192側に向くように傾斜する状態と、この帯状シール面122Aが包装フィルムYA1と平行となる状態との間を遷移する。
【0056】
第一下流側復帰ばね142Bは、第一下流側シール体132に外力が付与されない状態、即ち第一下流側シール体132が包装フィルムYA1と接触していない状態で、第一下流側シール体132が常に「傾斜位置」となるように付勢する。これは、第一下流側シール体132が第一上流側シール体122に接近させる方向に付勢することを意味する。
【0057】
第二変位機構180は、第二上流側シール体162に設けられる第二上流側揺動軸181A、第二下流側シール体172に設けられる第二下流側揺動軸181B、第二固定台154と第二上流側シール体162の間に設置される第二上流側復帰ばね182A、第二固定台154と第二下流側シール体172の間に設置される第二下流側復帰ばね182Bを有する。
【0058】
第二上流側揺動軸181A及び第二下流側揺動軸181Bは、包装フィルムYA1の幅方向に延びる軸であり、第二上流側シール体162及び第二下流側シール体172を、包装フィルムYA1の搬送方向に揺動させる。
【0059】
第二上流側シール体162は、第二上流側シール体162に形成される包装フィルムYA1の幅方向に延びる帯状シール面162Aが、包装フィルムYA1を基準としてカッター刃192側に向くように傾斜する状態と、この帯状シール面162Aが包装フィルムYA1と平行となる状態との間を遷移する。
【0060】
第二上流側復帰ばね182Aは、第二上流側シール体162に外力が付与されない状態、即ち包装フィルムYA1と接触していない状態で、第二上流側シール体162が常に「傾斜位置」となるように付勢する。これは、第二上流側シール体162が第二下流側シール体172に接近させる方向に付勢することを意味する。
【0061】
第二下流側シール体172は、第二下流側シール体172に形成される包装フィルムYA1の幅方向に延びる帯状シール面172Aが、包装フィルムYA1を基準としてカッター刃192側に向くように傾斜する状態と、この帯状シール面172Aが包装フィルムYA1と平行となる状態との間を遷移する。
【0062】
第二下流側復帰ばね182Bは、第二下流側シール体172に外力が付与されない状態、即ち第二下流側シール体172が包装フィルムYA1と接触していない状態で、第二下流側シール体172が常に「傾斜位置」となるように付勢する。これは、第二下流側シール体172が第二上流側シール体162に接近させる方向に付勢することを意味する。
【0063】
第一上流側復帰ばね142A、第一下流側復帰ばね142B、第二上流側復帰ばね182A、第二下流側復帰ばね182Bによる付勢力は、シール圧を提供する付勢部材114Bの付勢力よりも十分に小さく設定される。従って、付勢部材114Bによる付勢力によって、各復帰ばね142A、142B、182A、182Bが優先的に圧縮される。各復帰ばね142A、142B、182A、182Bが圧縮されると、各シール体122、132、162、172の揺動によって、これらの背面と、第一固定台114及び第二固定台154の座面(支持面)が当接し、各シール体122、132、162、172が平行状態に位置決めされる。結果、付勢部材114Bの付勢力が、第一固定台114及び第二固定台154を介して各シール体122、132、162、172に伝達される。また、付勢部材114Bの付勢力が開放されると、第一上流側復帰ばね142A、第一下流側復帰ばね142B、第二上流側復帰ばね182A、第二下流側復帰ばね182Bによる付勢力により、各シール体122、132、162、172が傾斜状態に復帰する。なお、傾斜状態の各帯状シール面122A、132A、162A、172Aを側面からみると、ハ字形状、及び逆ハ字形状となっている。
【0064】
また、第一上流側シール体122、第一下流側シール体132、第二上流側シール体162、第二下流側シール体172の各帯状シール面122A、132A、162A、172Aは、幅方向に延びる鋸刃状の凹凸を有する。上流側シーラ120における上下方向に対向する帯状シール面122A、162Aは、互いの凹凸が噛合う。同様に、下流側シーラ130における上下方向に対向するシール面132A、172Aは、互いの凹凸が噛合う。これにより、包装フィルムYA1のトップシール部TO1に、凹凸によるシール目が形成される。
【0065】
上流側シーラ120の第一上流側揺動軸141A及び第二上流側揺動軸181Aの中心は、帯状シール面122A、162Aの搬送方向中央よりも、カッター刃192側に接近する位置に配設される。このようにすると、帯状シール面122A、162Aが互いに接触して傾斜状態から平行状態に遷移する際に、大きなモーメントを得ることができるので、上流側シール体122、162の滑らかな揺動を実現できる。
【0066】
同様に、下流側シーラ130の第一下流側揺動軸141B及び第二下流側揺動軸181Bの中心は、帯状シール面132A、172Aの搬送方向中央よりも、カッター刃192側に接近する位置に配設される。このようにすると、帯状シール面132A、172Aが互いに接触して傾斜状態から平行状態に遷移する際に、大きなモーメントを得ることができるので、下流側シール体132、172の滑らかな揺動を実現できる。
【0067】
従って、
図5(A)の状態において、第一シールユニット110が下降すると、
図5(B)に示すように、上流側シーラ120において、傾斜状態となる一対の帯状シール面122A、162Aの上流側端縁が、包装フィルムYA1に接触する。同様に、下流側シーラ130において、傾斜状態となる一対のシール面132A、172Aの下流側端縁が、包装フィルムYA1に接触する。
【0068】
図5(B)の状態において、更に第一シールユニット110が下降すると、第二上流側復帰ばね182A、第二下流側復帰ばね182B、第一上流側復帰ばね142A、第一下流側復帰ばね142Bが圧縮されて、第一上流側シール体122、第一下流側シール体132、第二上流側シール体162、第二下流側シール体172が徐々に揺動する。結果、上流側シーラ120では、一対の帯状シール面122A、162Aが次第に平行状態に遷移していくことで、上流側端縁から下流側に向かって包装フィルムYA1を挟持していく。同様に、下流側シーラ130では、一対のシール面132A、172Aが次第に平行状態に遷移していくことで、下流側端縁から上流側に向かって包装フィルムYA1を挟持していく。
【0069】
最終的には、
図6(A)に示すように、上流側シーラ120の一対の帯状シール面122A、162Aが平行状態となり、下流側シーラ130の一対の帯状シール面132A、172Aも平行状態となる。この際、上流側シーラ120の一対のシール面122A、162Aは、第一上流側シール体122と第二上流側シール体162の揺動によって、カッターユニット190から上流側に微小移動する。また、下流側シーラ130の一対のシール面132A、172Aは、第一下流側シール体132と第二下流側シール体172の揺動によって、カッターユニット190から下流側に微小移動する。
【0070】
結果、上流側シーラ120と下流側シーラ130が離反することになり、包装フィルムYA1のトップシール部TO1の中央近傍に搬送方向の張力が付与される。なお、上流側シーラ120と下流側シーラ130の離反距離(相対的な離反距離)は、カッター刃192の厚みT以上に設定される。また、上流側シーラ120及び下流側シーラ130のそれぞれの絶対的な離反距離は、カッター刃192の厚みの半分以上(T/2以上)、かつ、帯状シール面122A、162Aの凹凸のピッチPの半分以下(P/2以下)に設定される。例えば、カッター刃192の厚みTが1.0mmの場合は、上流側シーラ120と下流側シーラ130は、それぞれ、0.5mm以上の絶対距離を離反させればよい。また、凹凸のピッチPが3.0mmの場合は、上流側シーラ120と下流側シーラ130は、それぞれ、1.5mm以下の絶対距離を離反させればよい。搬送方向の移動距離が半ピッチ(P/2)を超えると、万が一、上下一方のシール部の揺動に不具合が生じた場合、凹凸の山同士又は谷同士が干渉して、凹凸を損傷させる場合があり得るので望ましくない。
【0071】
上流側シーラ120と下流側シーラ130の離反限界は、第一及び第二固定台114、154のストッパ機能によって決定される。本実施形態では、第一上流側シール体122、第一下流側シール体132、第二上流側シール体162、第二下流側シール体172が、それぞれ、第一及び第二固定台114、154と係合又は当接するようになっており、それ以上の移動が規制される。離反限界に達すると、各復帰ばね142A、142B、182A、182Bよりも強い付勢部材114Bのシール荷重を有効にすることが可能となる。この状態で、更に第一シールユニット110を下降させることで、付勢部材114Bによる挟圧力(シール荷重)を十分に働かせながらトップシール部TO1をシールする。
【0072】
その後、
図6(B)に示すように、カッターユニット190のカッター刃192を下降させて、トップシール部TO1を切断する。この際、
図7(A)に示すように、トップシール部TO1の中央近傍は、カッター刃192の厚みT以上の距離で引っ張られているため、
図7(B)に示すように、カッター刃192による切断と同時に、トップシール部TO1の切断面TOLが、カッター刃192から離反する。従って、
図7(C)に示すように、切断面TOL近傍をカッター刃192が上下移動しても、切断面TOLとカッター刃192の摩擦を低減させることができるので、切断面TOLの一部が上方に開いてしまったり、切断面TOLのシーラントがカッター刃192に付着したりする不具合を抑制できる。
【0073】
以上、本第一実施形態の包装機1によれば、4つのシール体122、132、162、172が包装フィルムYA1に接触した後、かつ、カッター刃192が包装フィルムYA1を切断する前に、上流側シーラ120のシール体122、162と、下流側シーラ130のシール体132、172を離反させる。従って、搬送方向に張られた状態の包装フィルムYA1をカッター刃192で切断するため、切れが良好である。
【0074】
また、切断後の包装フィルムYA1の切断面TOLは、カッター刃192から引き離される。結果、カッター刃192と切断面TOLの接触量を抑制できるので、切断面TOLのめくれを防止でき、優れた美観にできる。同時に、切断面TOLのシーラントがカッター刃192に付着することが抑制できるので、清掃頻度を低減することができる。また、トップシール部TO1に張力が付与されるので、シール部分の皺の発生も抑制できる。
【0075】
更に本トップシール装置100では、変位機構140、180が、シール体122、132、162、172を搬送方向に揺動させる揺動軸141A、141B、181A、181Bを有する。従って、シール体122、132、162、172の揺動によって、上流側シーラ120のシール体122、162と、下流側シーラ130のシール体132、172を簡易な構成で離反させることができる。
【0076】
特に変位機構140、180は、上下方向に対をなす帯状シール面(122A、162A)(132A、172A)が、包装フィルムYA1を基準としてカッター刃192側に向く傾斜位置と、包装フィルムYA1と平行となる平行位置との間を遷移する。上下方向に対をなす帯状シール面(122A、162A)(132A、172A)は、カッター刃192を基準とした搬送方向両外側の端縁から、カッター刃192に接近する方向へ、少しずつ包装フィルムYA1に当接する。同時に、帯状シール面(122A、162A)(132A、172A)は、カッター刃192から離れる方向に移動する。結果、帯状シール面(122A、162A)(132A、172A)の凹凸で包装フィルムYA1を少しずつ挟持してシールしながら、包装フィルムYA1のトップシール部TO1に張力を付与していくことが可能となる。
【0077】
また、本トップシール装置100の変位機構140、180は、付勢手段(第一上流側復帰ばね142A、第一下流側復帰ばね142B、第二上流側復帰ばね182A、第二下流側復帰ばね182B)によって、上流側シーラ120のシール体122、162と、下流側シーラ130のシール体132、172を接近させる方向に付勢する。従って、シール体122、162、132、172に外力が作用していない時は、自動的に上流側シーラ120のシール体122、162と、下流側シーラ130のシール体132、172を接近させることができる。また、上流側シーラ120と下流側シーラ130にシール用の挟圧力が作用すると、その挟圧力を利用して、上流側シーラ120と下流側シーラ130を離反させることが可能となっている。
【0078】
また、包装フィルムYA1のシール及び切断が完了後、挟圧力が開放されると、帯状シール面(122A、162A)(132A、172A)が揺動して、カッター刃192に接近する場所から離れる方向に向かって、少しずつ包装フィルムYA1から離れていく。従って、トップシール部TO1の接着剤等によって、包装フィルムYA1と帯状シール面(122A、162A)(132A、172A)が密着した場合でも、帯状シール面(122A、162A)(132A、172A)を滑らかに引き離すことができる。
【0079】
次に、
図8を参照して、第二実施形態の包装機のトップシール装置100について説明する。なお、トップシール装置100の一部を除いた他の装置、部品、部材については、第一実施形態の包装機と同一又は類似していることから、必要に応じて符号を一致させることで図示及び説明の一部を省略し、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0080】
図8(A)に示すように、第二実施形態のトップシール装置100は、第一及び第二変位機構140、180が、第一及び第二搬送方向連動手段240、280を備える。
【0081】
第一搬送方向連動手段240は、第一上流側シール体122と第一下流側シール体132の変位を連動させる。即ち、第一上流側シール体122と第一下流側シール体132の一方のみが単独で変位すること規制し、両者が同じ(又は対称)動作をおこなうようにする。
【0082】
具体的に第一搬送方向連動手段240は、第一上流側シール体122と共に揺動する第一上流側連接アーム242Aと、第一下流側シール体132と共に揺動する第一下流側連接アーム242Bと、第一上流側連接アーム242A及び第一下流側連接アーム242Bの一方(ここでは第一下流側連接アーム242B)の端部近傍に配置されるスライド部243と、第一上流側連接アーム242A及び第一下流側連接アーム242Bの他方(ここでは第一上流側連接アーム242A)の端部近傍に形成されてスライド部243を長手方向に案内するガイド部244を有する。
図8(B)に示すように、第一上流側連接アーム242Aが揺動すると、ガイド部244に沿ってスライド部243が案内されて、第一下流側連接アーム242Bも揺動する。第一下流側連接アーム242Bが揺動する場合も、ガイド部244に沿ってスライド部243が案内されて、第一上流側連接アーム242Aが揺動する。結果、第一上流側シール体122と第一下流側シール体132を常に連動させることができる。
【0083】
第二搬送方向連動手段280は、第二上流側シール体162と第二下流側シール体172の変位を連動させる。即ち、第二上流側シール体162と第二下流側シール体172の一方のみが単独で変位すること規制し、両者が同じ(又は対称)動作をおこなうようにする。
【0084】
具体的に第二搬送方向連動手段280は、第二上流側シール体162と共に揺動する第二上流側連接アーム282Aと、第二下流側シール体172と共に揺動する第二下流側連接アーム282Bと、第二上流側連接アーム282A及び第二下流側連接アーム282Bの一方(ここでは第二下流側連接アーム282B)の端部近傍に配置されるスライド部283と、第二上流側連接アーム282A及び第二下流側連接アーム282Bの他方(ここでは第二上流側連接アーム282A)の端部近傍に形成されてスライド部283を長手方向に案内するガイド部284を有する。第二上流側連接アーム282Aが揺動すると、ガイド部284に沿ってスライド部283が案内されて、第二下流側連接アーム282Bも揺動する。結果、第二上流側シール体162と第二下流側シール体172を連動させることができる。
【0085】
なお、ここではリンク機構によって連動させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、他のカム機構や歯車機構等を利用して連動させることもできる。
【0086】
次に、
図9を参照して、第三実施形態の包装機のトップシール装置100について説明する。なお、トップシール装置100の一部を除いた他の装置、部品、部材については、第一実施形態の包装機と同一又は類似していることから、必要に応じて符号を一致させることで図示及び説明の一部を省略し、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0087】
図9(A)に示すように、第三実施形態のトップシール装置100は、第一変位機構140が、揺動軸に代えて(又は兼用して)、第一固定台114に設置される第一上流側スライダ250A及び第一下流側スライダ250Bを有し、第二変位機構180が、揺動軸に代えて(又は兼用して)、第二固定台154に設置される第二上流側スライダ290A及び第二下流側スライダ290Bを有する。
【0088】
第一上流側スライダ250Aは第一上流側シール体122を搬送方向と平行にスライドさせる。第一下流側スライダ250Bは第一下流側シール体132を搬送方向と平行にスライドさせる。第二上流側スライダ290Aは第二上流側シール体162を搬送方向と平行にスライドさせる。第二下流側スライダ290Bは第二下流側シール体172を搬送方向と平行にスライドさせる。なお、第一上流側復帰ばね142Aは、第一下流側復帰ばね142B、第二上流側復帰ばね182A、第二下流側復帰ばね182Bは、その付勢力によって、各シール体122、132、162、172がカッター刃192に接近する方向にスライドさせる。
【0089】
更に第一変位機構140は、第一固定台114に設置される第一駆動源255を有し、第二変位機構180は、第二固定台154に設置される第二駆動源295を有する。
【0090】
第一駆動源255は、特に図示しないモータと、モータによって回転されるカム255Aと、このカム255Aと接する一対のカムフォロア255Bを有する。カムフォロア255Bの一方は第一上流側シール体122に設置され、他方は第一下流側シール体132に設置される。第二駆動源295は、特に図示しないモータと、モータによって回転されるカム295Aと、このカム295Aと接する一対のカムフォロア295Bを有する。カムフォロア295Bの一方は第二上流側シール体162に設置され、他方は第二下流側シール体172に設置される。
【0091】
従って、
図9(B)に示すように、カム255A、295Aが回転すると、一対のカムフォロア255B、295Bの間隔が押し広げられて、各復帰ばね142A、142B、182A、182Bの付勢力に抗して、上流側シーラ120と下流側シーラ130がスライドして互いの間隔を広げることができる。
【0092】
特にこの第三実施形態では、上流側シーラ120と下流側シーラ130の移動タイミングを任意に設定できる。例えば、包装フィルムYA1を切断する前に、上流側シーラ120と下流側シーラ130を離反させると、トップシール部TO1(
図7参照)の切断面TOL近傍において、上流側と下流側の未シール部の長さを均等にすることが可能となるので望ましい。
【0093】
なお、ここではモータでカムを駆動する場合を例示しているが、本発明はこれに限定されず、エアシリンダや油圧シリンダ、電気又は磁気ソレノイド等、様々な動力源を利用できる。勿論、シール体が接近・離反する動作を動力源とすることができ、これにカムやギヤ機構を組み合わせて所望の動作を得ても良い。
【0094】
次に、
図10を参照して、第四実施形態の包装機のトップシール装置100について説明する。なお、トップシール装置100の一部を除いた他の装置、部品、部材については、第三実施形態の包装機と同一又は類似していることから、必要に応じて符号を一致させることで図示及び説明の一部を省略し、第三実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0095】
図10(A)に示すように、第四実施形態のトップシール装置100は、第一変位機構140が、揺動軸に代えて(又は兼用して)、第一固定台114に設置される第一上流側スライダ250A及び第一下流側スライダ250Bを有し、第二変位機構180が、揺動軸に代えて(又は兼用して)、第二固定台154に設置される第二上流側スライダ290A及び第二下流側スライダ290Bを有する。
【0096】
四つの第一上流側スライダ250A、第一下流側スライダ250B、第二上流側スライダ290A及び第二下流側スライダ290Bは、カッター刃192側に近づく程、包装フィルムYA1側に接近し、カッター刃192から離れる程、包装フィルムYA1から離れるように傾斜設置される。
【0097】
従って、
図10(B)に示すように、上流側シーラ120における、第一上流側シール体122と第二上流側シール体162が包装フィルムYA1を挟圧すると、その反力の一部が、第一上流側スライダ250A及び第二上流側スライダ290Aによって搬送方向の力に変換されて上流側にスライドする。同様に、下流側シーラ130における、第一下流側シール体132と第二下流側シール体172が包装フィルムYA1を挟圧すると、その反力の一部が、第一下流側スライダ250B及び第二下流側スライダ290Bによって搬送方向の力に変換されて下流側にスライドする。上流側及び下流側シーラ120、130の移動限界は、上流側及び下流側シーラ120、130が第一及び第二固定台114、154(又は特に図示しないストッパ)と係合することで設定される。移動限界に達すると、付勢部材114Bのシール荷重を有効にすることが可能となる。
【0098】
図10(A)に戻って、第一及び第二変位機構140、180は、上流側及び下流側シール方向連動手段245、285を備える。
【0099】
上流側シール方向連動手段245は、第一上流側シール体122と第二上流側シール体162の変位を連動させる。即ち、第一上流側シール体122と第二上流側シール体162の一方のみが単独で変位すること規制し、両者が同じ(又は対称)動作をおこなうようにする。下流側シール方向連動手段285は、第一下流側シール体132と第二下流側シール体172の変位を連動させる。即ち、第一下流側シール体132と第二下流側シール体172の一方のみが単独で変位すること規制し、両者が同じ(又は対称)動作をおこなうようにする。
【0100】
上流側シール方向連動手段245は、第一上流側シール体122と共にスライドする第一上流側係合部246Aと、第二上流側シール体162と共にスライドする第二上流側係合部246Bを有する。第一上流側係合部246Aは凹状テーパ面を有し、第二上流側係合部246Bは凸状テーパ面を有する。従って、
図10(B)に示すように、第一上流側シール体122と第二上流側シール体162が接近すると、第一上流側係合部246Aと第二上流側係合部246Bのテーパ面が互いに搬送方向に係合する。結果、第一上流側シール体122と第二上流側シール体162が連動する。このように凹状テーパ面と凸状テーパ面を係合させることにより、両者を自動的にセンタリングさせることが好ましい。
【0101】
下流側シール方向連動手段285は、第一下流側シール体132と共にスライドする第一下流側係合部286Aと、第二下流側シール体172と共にスライドする第二下流側係合部286Bを有する。第一下流側係合部286Aは凹状テーパ面を有し、第二下流側係合部286Bは凸状テーパ面を有する。従って、第一下流側シール体132と第二下流側シール体172が接近すると、第一下流側係合部286Aと第二下流側係合部286Bのテーパ面が互いに搬送方向に係合する。結果、第一下流側シール体132と第二下流側シール体172が連動する。このように凹状テーパ面と凸状テーパ面を係合させることにより、両者を自動的にセンタリングさせることが好ましい。
【0102】
なお、上記実施形態では、包装フィルムYA1を切断する前に、上流側シーラ120と下流側シーラ130を離反させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。包装フィルムの切断時におけるカッター刃192の切れは劣るが、例えば
図11(A)、(B)に示すように、カッター刃192を進行(下降)させて包装フィルムYA1を切断した後、
図11(C)に示すように、下死点からカッター刃192が退避を開始する前に、上流側シーラ120と下流側シーラ130を離反させても良い。これにより、
図11(C)に示すように、切断後の包装フィルムYA1の切断面TOLは、退避しようとするカッター刃192から事前に引き離されるので、切断面TOLのめくれを防止でき、優れた美観にできる。
【0103】
更に上記実施形態では、カッター刃192が両刃となる場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、
図11に示すように片刃とすることもできる。この場合、片刃のテーパ面(研削面)に対向するシーラ(ここでは上流側シーラ120)のみを移動させても良い。トップシール部TO1の刃厚相当部分が、切断後のテーパ面側に残存する為、これを保持しているシーラをカッター刃192から離反させれば十分だからである。また、この場合、下死点からカッター刃192が退避を開始する前にシーラを移動するとよい。切断面TOL近傍の未シール部の長さを等しくできるからである。
【0104】
また上記実施形態では、カッター刃192をエアシリンダ194で上下動させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、トップシール装置におけるシール体の接近、離反動作を利用してカッター刃192を動作させることも可能である。
【0105】
また上記実施形態では、包装機1がピロー包装する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、三方シール包装、四方シール包装等、他の包装形態に適用することも可能である。
【0106】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。
【0107】
例えば、上記実施形態では、フィルムを横(水平方向)に搬送し、トップシール装置によって鉛直上下方向から接近・離反してシール及びカットする場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、フィルムを鉛直上下方向に搬送し、トップシール装置によって水平方向に接近・離反してシール及びカットすることもできる。