(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-216151(P2016-216151A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】エレベータの監視装置、エレベータの監視システム及びエレベータ制御プログラムの消去方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20161125BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-99944(P2015-99944)
(22)【出願日】2015年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 政和
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303BA01
3F303FA03
3F304BA26
3F304ED01
(57)【要約】
【課題】保守契約中に、エレベータの監視装置の制御プログラムの誤消去を防止する。
【解決手段】エレベータの保守契約の契約期間中に遠隔監視サーバと最後に通信接続が成立してからの経過時間が第一時間閾値以上の場合に第一終了条件を充足すると判定し(S401)、エレベータ装置に対して最後に作業員が保守作業を行ってからの経過時間が第二時間閾値以上の場合に第二終了条件を充足すると判定し(S402)、第一終了条件及び第二終了条件が共に充足の場合に保守作業に用いられる制御プログラムを消去する(S404)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの遠隔監視サーバに通信回線を介して接続されたエレベータ監視装置であって、
前記遠隔監視サーバと最後に通信接続が成立してからの経過時間が、前記エレベータの保守契約期間が終了したと判定するために設定された第一時間閾値以上の場合に、第一終了条件を充足したと判定する第一終了判定部と、
前記エレベータに対して最後に作業員が保守作業を行ってからの経過時間が、前記保守契約期間が終了したと判定するために設定された第二時間閾値以上の場合に、第二終了条件を充足したと判定する第二終了判定部と、
前記第一終了条件及び前記第二終了条件が共に充足した場合に、前記保守作業をするために用いられる制御プログラムが記憶された制御プログラム記憶部から、前記制御プログラムを消去する制御プログラム消去部と、
を備えることを特徴とするエレベータの監視装置。
【請求項2】
前記作業員が前記保守作業を行う際に用いる保守用端末装置を接続するためのインターフェースを更に備え、
前記第二終了判定部は、前記インターフェースに前記保守用端末装置が最後に接続されてからの経過時間が前記第二時間閾値以上の場合に、前記第二終了条件を充足したと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの監視装置。
【請求項3】
前記遠隔監視サーバに対し、通信接続状況を確認するための通信確認要求情報を送信する送信部と、
前記遠隔監視サーバが前記通信確認要求情報に応答して返信した応答情報を受信する受信部と、
を更に備え、
前記第一終了判定部は、前記受信部が最後に前記応答情報を受信してからの経過時間が前記第一時間閾値以上の場合に、前記第一終了条件を充足したと判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータの監視装置。
【請求項4】
エレベータの遠隔監視サーバと、当該遠隔監視サーバに通信回線を介して接続されたエレベータ監視装置と、を含むエレベータ装置の監視システムであって、
前記エレベータの保守契約期間を含む契約情報を記憶する契約情報記憶部と、
前記契約情報を参照し、前記保守契約期間中に前記エレベータ監視装置及び前記遠隔監視サーバの間で通信接続を成立させる通信部と、
前記通信部が最後に通信接続を成立させてからの経過時間が、前記保守契約期間が終了したと判定するために設定された第一時間閾値以上の場合に、第一終了条件を充足したと判定する第一終了判定部と、
前記エレベータに対して最後に作業員が保守作業を行ってからの経過時間が、前記保守契約期間が終了したと判定するために設定された第二時間閾値以上の場合に、第二終了条件を充足したと判定する第二終了判定部と、
前記第一終了条件及び前記第二終了条件が共に充足した場合に、前記保守作業をするために用いられる制御プログラムが記憶された制御プログラム記憶部から、前記制御プログラムを消去する制御プログラム消去部と、
を備えることを特徴とするエレベータの監視システム。
【請求項5】
前記契約情報を参照し、前記保守契約期間であれば前記通信部による通信接続を成立させるための処理を実行する接続成立判定部を更に備え、
前記通信部は、前記エレベータ監視装置から通信確認要求情報を前記遠隔監視サーバに対して送信する監視装置側送信部及び前記通信確認要求情報を受信するサーバ側受信部と、前記通信確認要求情報に対する応答情報を前記エレベータ監視装置に対して返信するサーバ側送信部、及び前記応答情報を受信する監視装置側受信部とを含み、
前記接続成立判定部は、前記通信確認要求情報を受信した日時が前記保守契約期間内に含まれると判定した場合に、前記サーバ側送信部に対して前記応答情報の送信指示を出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載のエレベータの監視システム。
【請求項6】
エレベータの遠隔監視サーバに通信回線を介して接続されたエレベータ監視装置が、前記エレベータの保守作業に用いられる制御プログラムを消去するためのエレベータ制御プログラムの消去方法であって、
前記遠隔監視サーバと最後に通信接続が成立してからの経過時間が、前記エレベータの保守契約期間が終了したと判定するために設定された第一時間閾値以上の場合に、第一終了条件を充足したと判定するステップと、
前記エレベータに対して最後に作業員が保守作業を行ってからの経過時間が、前記保守契約期間が終了したと判定するために設定された第二時間閾値以上の場合に、第二終了条件を充足したと判定するステップと、
前記第一終了条件及び前記第二終了条件が共に充足した場合に、前記制御プログラムが記憶された制御プログラム記憶部から、前記制御プログラムを消去するステップと、
を含むことを特徴とするエレベータ制御プログラムの消去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの監視装置、エレベータの監視システム及びエレベータ制御プログラムの消去方法に係り、特に不要になったエレベータ制御プログラムを消去するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には「エレベータ制御システムに暫定搭載した作業用付属プログラムを、搭載目的完了後に自動消去させる(要約抜粋)」構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−290831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベータの保守契約期間中に保守契約を履行するための制御プログラムをエレベータの監視装置に搭載することがある。保守契約期間が終了するとその制御プログラムは不要となるので消去されるべきであるが、作業漏れ等に起因して制御プログラムが搭載され続けることがある。そこで、特許文献1に開示された技術を適用して搭載目的が完了、すなわち保守契約が終了した後に制御プログラムを自動消去しようとした場合、保守契約終了の判定を誤ると契約期間中であるにも関わらず誤って必要な制御プログラムを消去してしまう恐れがある。つまり、特許文献1の技術には保守契約期間が終了したかを判定するために適用する場合について更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、エレベータの保守点検に用いる制御プログラムの保守契約中における誤消去を抑止し、保守契約期間が確実に終了してから消去するエレベータの監視装置、エレベータの監視システム、及びエレベータ制御プログラムの消去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、エレベータの遠隔監視サーバに通信回線を介して接続されたエレベータ監視装置であって、前記遠隔監視サーバと最後に通信接続が成立してからの経過時間が、前記エレベータの保守契約期間が終了したと判定するために設定された第一時間閾値以上の場合に、第一終了条件を充足したと判定する第一終了判定部と、前記エレベータに対して最後に作業員が保守作業を行ってからの経過時間が、前記保守契約期間が終了したと判定するために設定された第二時間閾値以上の場合に、第二終了条件を充足したと判定する第二終了判定部と、前記第一終了条件及び前記第二終了条件が共に充足した場合に、前記保守作業をするために用いられる制御プログラムが記憶された制御プログラム記憶部から、前記制御プログラムを消去する制御プログラム消去部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また本発明はエレベータの遠隔監視サーバと、当該遠隔監視サーバに通信回線を介して接続されたエレベータ監視装置と、を含むエレベータ装置の監視システムであって、前記エレベータの保守契約期間を含む契約情報を記憶する契約情報記憶部と、前記契約情報を参照し、前記保守契約期間中に前記エレベータ監視装置及び前記遠隔監視サーバの間で通信接続を成立させる通信部と、前記通信部が最後に通信接続を成立させてからの経過時間が、前記保守契約期間が終了したと判定するために設定された第一時間閾値以上の場合に、第一終了条件を充足したと判定する第一終了判定部と、前記エレベータに対して最後に作業員が保守作業を行ってからの経過時間が、前記保守契約期間が終了したと判定するために設定された第二時間閾値以上の場合に、第二終了条件を充足したと判定する第二終了判定部と、前記第一終了条件及び前記第二終了条件が共に充足した場合に、前記保守作業をするために用いられる制御プログラムが記憶された制御プログラム記憶部から、前記制御プログラムを消去する制御プログラム消去部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明はエレベータの遠隔監視サーバに通信回線を介して接続されたエレベータ監視装置が、前記エレベータの保守作業に用いられる制御プログラムを消去するためのエレベータ制御プログラムの消去方法であって、前記遠隔監視サーバと最後に通信接続が成立してからの経過時間が、前記エレベータの保守契約期間が終了したと判定するために設定された第一時間閾値以上の場合に、第一終了条件を充足したと判定するステップと、前記エレベータに対して最後に作業員が保守作業を行ってからの経過時間が、前記保守契約期間が終了したと判定するために設定された第二時間閾値以上の場合に、第二終了条件を充足したと判定するステップと、前記第一終了条件及び前記第二終了条件が共に充足した場合に、前記制御プログラムが記憶された制御プログラム記憶部から、前記制御プログラムを消去するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エレベータの保守点検に用いる制御プログラムの保守契約中における誤消去を抑止し、保守契約期間が確実に終了してから消去するエレベータの監視装置、エレベータの監視システム、及びエレベータ制御プログラムの消去方法を提供することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るエレベータ監視システムの全体構成図
【
図2】本実施形態に係るエレベータ監視装置のハードウェア構成図
【
図3】本実施形態に係るエレベータ監視システムの内部構成を示す機能ブロック図
【
図4】エレベータの制御プログラムの消去処理の流れを示すフローチャート
【
図5】第一終了条件の充足判定処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るエレベータ監視システム1の全体構成図である。
図1に示すエレベータ監視システム1は、建物に設置されたエレベータ装置10、エレベータ装置10を遠隔で監視する遠隔監視サーバ20、及びエレベータ装置10の保守点検管理を行う管理会社端末装置50がネットワーク30を介して接続されて構成される。またエレベータ装置10は、乗客を搭乗させる乗りかご及び乗りかごを昇降動させる駆動装置を含むエレベータ機構部11と、駆動装置の駆動制御を行うエレベータ制御装置12と、エレベータ制御装置12の動作状態を監視するエレベータ監視装置13と、を含む。
【0013】
エレベータ監視装置13には、エレベータ装置10の保守点検を行う作業員が携行する保守用端末装置40が保守点検時に接続される。保守用端末装置40は、エレベータ監視装置13からエレベータ装置10の故障内容や運転状況を確認するための情報を受信する。
【0014】
管理会社端末装置50は、エレベータ装置10の保守管理会社がネットワーク30を介して遠隔監視サーバ20にアクセスし、保守契約期間を含む保守契約情報の送信を行ったり、遠隔監視サーバ20から報知されるエレベータ装置10の保守管理状況を確認したりするために用いられる端末装置である。
【0015】
図2は、本実施形態に係るエレベータ監視装置のハードウェア構成図である。
図2に示すように、エレベータ監視装置13は、CPU(Central Processing Unit1)131、RAM(Random Access Memory)132、ROM(Read Only Memory)133、HDD(Hard Disk Drive)134、外部装置に接続するためのインターフェース(I/F)135、及びバス136を含み、CPU131、RAM132、ROM133、HDD134及びI/F135がバス136を介して互いに接続され構成される。I/F135は、エレベータ制御装置12、保守用端末装置40、及びネットワーク30に接続する。遠隔監視サーバ20及び保守用端末装置40はエレベータ監視装置13と同様のハードウェア構成を有してもよい。なお、保守用端末装置40がI/F135に接続する態様は、有線、無線を問わない。
【0016】
図3は、本実施形態に係るエレベータ監視システムの内部構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、エレベータ監視装置13は、保守契約期間が終了したと判定するための第一終了条件及び第二終了条件のそれぞれの充足判定を行う第一終了判定部101及び第二終了判定部102と、エレベータ装置10の停止判定を行う停止判定部103と、保守契約終了後に不要となる制御プログラムの消去を実行する制御プログラム消去部104と、遠隔監視サーバ20と通信を行うための監視装置側送信部111及び監視装置側受信部112と、後述する通信確認要求情報の送信タイミングを計測するための計時部113と、遠隔監視サーバ20と通信が成功したときの時刻を記憶するサーバ通信履歴記憶部121と、I/F135に保守用端末装置40が接続された時刻を記憶する保守端末接続履歴記憶部122と、制御プログラムを消去可能な状態で記憶する制御プログラム記憶部123と、を含む。
【0017】
遠隔監視サーバ20は、エレベータ監視装置13と通信を行うためのサーバ側送信部211及びサーバ側受信部212と、エレベータ監視装置13からの通信確認要求情報に対しての応答の可否を判定する応答可否判定部213(接続成立判定部に相当する)と、エレベータ監視装置13の保守契約期間を含む保守契約情報を記憶する契約情報記憶部214とを含む。上記各構成要素は、エレベータ監視装置13及び遠隔監視サーバ20を構成するハードウェア、または各ハードウェア上で実行されるソフトウェアとハードウェアとが協働することで構成される。
【0018】
次に
図4乃至
図5を参照して、本実施形態に係るエレベータ監視システムにおいて、保守契約終了に伴い不要となったエレベータ装置の制御プログラムを消去する処理について説明する。
図4は、エレベータの制御プログラムの消去処理の流れを示すフローチャートである。
図5は、第一終了条件の充足判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0019】
図4に示すように、第一終了判定部101は、サーバ通信履歴記憶部121を参照し、エレベータ監視装置13と遠隔監視サーバ20との間で通信が成功してからの経過時間を基に、制御プログラムを消去するために定められた第一終了条件の充足の有無を判定する(S401)。第一終了条件の充足判定処理の詳細は
図5を参照して後述する。
【0020】
第一終了条件を充足している場合(S401/Yes)、第二終了判定部102は、保守端末接続履歴記憶部122を参照し、エレベータ監視装置13に保守用端末装置40が最後に接続されてからの経過時間を基に、制御プログラムを消去するために定められた第二終了条件の充足の有無を判定する(S402)。
【0021】
第二終了条件の充足判定処理の前提として、エレベータ監視装置13のI/F135に保守用端末装置40が接続されると、保守端末接続履歴記憶部122において、保守用端末装置40が接続された日時を含む接続履歴が更新されているものとする。よって、第二終了判定部102は、保守端末接続履歴記憶部122を参照して現在時刻と比較することで、最後に保守用端末装置40が接続されてからの経過時間を算出することができるものとする。
【0022】
この状態で本ステップにおいて、第二終了判定部102は、保守端末接続履歴記憶部122の接続履歴を参照し、最後に保守用端末装置40が接続されてからの経過時間と、保守契約が終了したと判定するために設定された第二時間閾値と比較する。第二時間閾値は第一終了条件判定処理で用いる第一時間閾値と同じでもよいし、違ってもよい。
【0023】
上記経過時間が第二時間閾値以上の場合(S402/Yes)、第二終了判定部102は、第二終了条件が成立したことを示す情報を停止判定部103に出力し、ステップS403へ進む。
【0024】
停止判定部103はエレベータ装置10が停止しているか否かを判定する(S403)。停止判定部103は、エレベータが停止しているかを判定するための情報、例えば乗りかごの戸の開閉情報及び乗りかごの昇降制御情報をエレベータ制御装置12から受信し、乗りかごの戸の開閉が行われておらず、かつ乗りかごの昇降が行われていない場合にエレベータが停止していると判定する。
【0025】
停止判定部103は停止していない場合(S403/No)、停止するまで次のステップへの遷移を待機する。
【0026】
停止判定部103が、エレベータは停止状態にあると判定すると(S403/Yes)、制御プログラム消去部104に対し、制御プログラム記憶部123に記憶されている保守作業用の制御プログラムを消去させる(S404)。
【0027】
第一終了条件が非充足(S401/No)、又は第二終了条件が非充足(S402/No)の場合は、制御プログラム消去部104による制御プログラムの消去を実行することなく、処理を終了する。
【0028】
次に、
図5を参照して、第一終了条件の充足判定処理について説明する。
【0029】
エレベータ監視装置13の監視装置側送信部111は、計時部113から現在の時刻を取得し、現在時刻が予め定めた遠隔監視サーバ20との接続確認を行う時刻であるか否かを判定する(S501)。現在の時刻が接続確認を行う時刻ではない場合(S501/No)、本ステップを繰り返す。
【0030】
現在の時刻が接続確認を行う時刻である場合(S501/Yes)、監視装置側送信部111は、遠隔監視サーバ20に通信接続状況を確認するための通信確認要求情報を送信する(S502)。
【0031】
遠隔監視サーバ20のサーバ側受信部212は、通信確認要求情報を受信し、応答可否判定部213に出力する。応答可否判定部213は契約情報記憶部214に記憶されているエレベータ装置10の保守契約情報を参照して、通信確認要求情報を受信した日が保守契約期間内に含まれるかを判定する(S503)。肯定であれば(S503/Yes)、応答可否判定部213は通信確認要求情報に対する応答情報の送信指示をサーバ側送信部211に対して出力し、サーバ側送信部211は応答情報をエレベータ監視装置13に対して返信する(S504)。否定であれば(S503/No)、サーバ側送信部211は応答情報をせずにステップS506へ進む。
【0032】
監視装置側受信部112は応答情報を受信すると、サーバ通信履歴記憶部121に応答情報を受信した日時を含む通信成功履歴を書き込む(S505)。
【0033】
第一終了判定部101は、サーバ通信履歴記憶部121に記憶された通信成功履歴を参照し、最後に遠隔監視サーバ20との通信が成功してからの経過時間と、保守契約が終了したかを判定するために設けられた第一時間閾値とを比較する。経過時間が第一時間閾値以上であれば(S506/Yes)、第一終了条件を充足していると判定し、判定結果を示す情報を停止判定部103に出力し(S507)、ステップS402へ進む。経過時間が第一時間閾値未満であれば(S506/No)、処理を終了する。
【0034】
本実施形態によれば、保守作業に用いる制御プログラムを消去する際に、遠隔監視サーバとの通信が一定期間以上途絶え、かつ保守用端末装置が一定期間以上接続されていないという二つの条件を満たしている場合に保守契約期間が終了したと判定するので、通信エラー、又は作業員が保守点検作業をする間隔が通常よりも長いという一つの理由だけで誤って制御プログラムを消去することを回避することができる。これにより、保守契約期間中における制御プログラムの誤消去を回避しつつ、保守契約期間終了後は不要になった制御プログラムを消去することができる。
【0035】
上記は本発明の実施形態を例示したに過ぎず、本発明を限定する趣旨ではない。本発明の趣旨を逸脱しない様々な変形態様は本発明に含まれる。例えば、本実施形態では作業員がエレベータ装置の保守点検作業の有無を保守用端末装置の接続履歴を基に判定したが、接続履歴に代えて、例えば作業員が保守点検をする際に入力する作業員IDの入力履歴、作業点検時に特有なエレベータ制御装置の動作履歴など、エレベータ装置に対して実際に保守点検がされたことを確認できる情報を本発明に適用してもよい。
【0036】
また上記では、エレベータ監視装置から遠隔監視サーバ20に通信確認要求情報を送信しそれに対してサーバが応答する構成としたが、サーバとエレベータ監視装置との間で通信接続が成立したことがわかる情報であれば、上記構成に限定されない。例えば、サーバが保守契約期間中にエレベータ監視装置に対して通信確認要求を送信し、それを受信した履歴を基に第一終了条件の充足判定処理を行ってもよい。この場合、保守契約期間が終了するとサーバからの通信確認要求が途絶えるので、最後に通信確認要求を受信してからの経過時間と第一時間閾値とを比較すればよい。
【0037】
また、
図4において、第一終了条件の充足判定と第二終了条件の充足判定とは、その順序を逆にしてもよい。
【0038】
また、本実施形態ではエレベータ監視装置が制御プログラム記憶部を備えていたが、エレベータ制御装置が制御プログラム記憶部を備え、エレベータ監視装置が制御プログラム記憶部から制御プログラムを消去する指示をエレベータ制御装置に出力して消去する態様であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1:エレベータ監視システム、10:エレベータ装置、20:遠隔監視サーバ、
30:ネットワーク、40:保守用端末装置、50:管理会社端末装置