特開2016-216243(P2016-216243A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-216243(P2016-216243A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】移動手摺り劣化診断装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/02 20060101AFI20161125BHJP
   B66B 31/00 20060101ALI20161125BHJP
   B66B 29/00 20060101ALI20161125BHJP
   G01N 23/04 20060101ALI20161125BHJP
   G01N 23/18 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   B66B31/02 Z
   B66B31/00 D
   B66B29/00 G
   G01N23/04
   G01N23/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-105804(P2015-105804)
(22)【出願日】2015年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小平 法美
(72)【発明者】
【氏名】大西 友治
【テーマコード(参考)】
2G001
3F321
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001KA03
2G001LA02
3F321DA07
3F321EA17
3F321EB01
3F321EB02
3F321EB07
3F321EB08
3F321EB10
3F321EC01
3F321EC06
3F321EC08
3F321EC11
3F321HA04
(57)【要約】
【課題】エンコーダを備えることなく移動手摺りの移動距離を求めることができる移動手摺り劣化診断装置の提供。
【解決手段】本発明は、エレベータ1に備えられる移動手摺り3を稼働させた状態で、この移動手摺り3に埋設したスチールコードの損傷を診断する移動手摺り劣化診断装置12において、移動手摺り3の上面を転動する後輪13aと、この後輪13aの周面に貼り付けられ、周面部分との境界部を形成する端部13c1を有する磁気テープ13cと、この磁気テープ13cの端部13c1から出る特徴的な磁束を検出する励磁コイルM1および受信コイルM2と、これらの励磁コイルM1および受信コイルM2を介して検出される磁束のピークの数と、後輪13aの周面の長さとに基づいて、稼働されている移動手摺り3の移動距離を算出する演算部とを備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアに備えられる移動手摺りを稼働させた状態で、前記移動手摺りに埋設したスチールコードの損傷を診断する移動手摺り劣化診断装置において、
前記移動手摺りの上面を転動する回転体と、
前記回転体の周面に貼り付けられ、前記周面部分との境界部を形成する端部を有する磁気テープと、
前記磁気テープの前記端部から出る特徴的な磁束を検出するコイルと、
前記コイルを介して検出される磁束のピークの数と、前記回転体の前記周面の長さとに基づいて、稼働されている前記移動手摺りの移動距離を算出する演算部とを備えたことを特徴とする移動手摺り劣化診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動手摺り劣化診断装置において、
前記演算部が備えられる本体と、
前記本体の下部に配置され、前記コイルが備えられるコイル基板と、
前記本体の前側位置に配置され、前記移動手摺り上を転動する前輪を含む前輪回転部、および前記本体の後側位置に配置され、前記移動手すり上を転動する後輪を含む後輪回転部と、
前記移動手摺りの側部に接触して転動可能なローラを含むガイドとを備え、
前記回転体は、前記後輪回転部の前記後輪から成ることを特徴とする移動手摺り劣化診断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の移動手摺り劣化診断装置において、
前記本体の上面に、前記本体の保持が可能な持ち手を備え、
前記後輪回転部は、前記本体に取り付けられ、前記後輪を上下方向の移動可能に保持する支え板を含むことを特徴とする移動手摺り劣化診断装置。
【請求項4】
請求項1に記載の移動手摺り劣化診断装置において、
前記演算部で算出された前記移動手摺の移動距離が所定距離に至ったことを報知する警報部を備えたことを特徴とする移動手摺り劣化診断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の移動手摺り劣化診断装置において、
前記警報部は、ブサーから成ることを特徴とする移動手摺り劣化診断装置。
【請求項6】
請求項1に記載の移動手摺り劣化診断装置において、
当該移動手摺り劣化診断装置が、前記移動手摺りの上面から上方に離れて正常に計測できないことを報知する警報部を備えたことを特徴とする移動手摺り劣化診断装置。
【請求項7】
請求項6に記載の移動手摺り劣化診断装置において、
前記警報部は、ブザーから成ることを特徴とする移動手摺り劣化診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや移動歩道などの乗客コンベアに備えられる移動手摺りの損傷を診断する移動手摺り劣化診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術が特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された従来技術は、エンコーダによって乗客コンベアの移動手摺りの移動距離を計測し、移動手摺り内部の状態を撮影したX線投影画像をパノラマ合成する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−220239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に開示された従来技術は、移動手摺りの移動距離を計測するエンコーダを備えていることから、装置が大型化する不具合があった。
【0005】
なお、エンコーダは、移動手摺りの挙動に追従して回転するローラに連結され、ローラの回転数から移動手摺りの移動距離を出力するため、ローラが移動手摺りにしっかりと接触して追従しないと、移動手摺りの移動距離を正確に計測できない。すなわち、移動手摺りの移動距離の計測時に、移動手摺り上の正しい計測位置に装置が設置されていないと、移動手摺りと、装置のローラとの間に隙間が生じ、ローラの回転が不十分となって、移動手摺りの移動距離を正しく計測できないことが起こり得る。特許文献1に開示された従来技術では、このような移動手摺りに対する接触異常を把握できない不具合もあった。
【0006】
本発明は、前述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、エンコーダを備えることなく移動手摺りの移動距離を求めることができる移動手摺り劣化診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る移動手摺り劣化診断装置は、乗客コンベアに備えられる移動手摺りを稼働させた状態で、前記移動手摺りに埋設したスチールコードの損傷を診断する移動手摺り劣化診断装置において、前記移動手摺りの上面を転動する回転体と、前記回転体の周面に貼り付けられ、前記周面部分との境界部を形成する端部を有する磁気テープと、前記磁気テープの前記端部から出る特徴的な磁束を検出するコイルと、前記コイルを介して検出される磁束のピークの数と、前記回転体の前記周面の長さとに基づいて、稼働されている前記移動手摺りの移動距離を算出する演算部とを備えたことを特徴ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る移動手摺り劣化診断装置によれば、エンコーダを備えることなく移動手摺りの移動距離を求めることができ、これにより従来に比べて装置の小型化を実現させることができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置の診断対象である移動手摺りが備えられる乗客コンベアの一例として挙げたエスカレータの要部構成を示す斜視図である。
図2図1に示すエスカレータの概略構成を示す側面図である。
図3】本実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置を図1に示すエスカレータに設置した状態を示す側面図である。
図4】本実施形態の構成を示す平面図である。
図5】本実施形態の構成を示す側面図である。
図6】本実施形態に備えられるコイル基板を示す平面図である。
図7】本実施形態に備えられる後輪回転部に含まれる後輪、及びこの後輪に貼り付けられた磁気テープを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る移動手摺り劣化診断装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置の診断対象である移動手摺りが備えられる乗客コンベアの一例として挙げたエスカレータの要部構成を示す斜視図である。
【0012】
診断対象の移動手摺りが備えられる乗客コンベアとしては、エスカレータ、移動歩道などがあるが、本実施形態ではエスカレータを例に挙げて説明する。
【0013】
図1に示すように、エスカレータ1は、乗客が乗るステップ2と、このステップ2の進行方向と同方向に移動する移動手摺り3とを備えている。移動手摺り3はステップ2の進行方向に対して、ステップ2の左右両側に設けられている。
【0014】
移動手摺り3は、無端状に構成され、ステップ2の移動方向と平行に設けられた欄干4に沿って周回するようになっている。
【0015】
すなわち、移動手摺り3は、欄干4の上方側ではステップ2の進行方向と同方向に移動し、欄干4の端部に至ると円弧状を形成しながら下方に移動して、上下逆の状態でスカートガード等を備えたデッキ5の内部に引き入れられる。
【0016】
そして、デッキ5内を通って欄干4の反対端部に至り、それまでとは上下逆の状態でデッキ5から外部に出て円弧状を形成しながら上方に移動し、欄干4の上方側に戻る循環走行をしている。デッキ5の内部には、移動手摺り3を駆動する図示しない駆動装置等が配置されている。
【0017】
図2は、図1に示すエスカレータの概略構成を示す側面図である。
【0018】
エスカレータ1は、上階の床下と下階の床下に埋め込まれるとともに、その間に掛け渡されたフレーム6を備えている。
【0019】
また、上階の床下に設けられた図示しない駆動装置により回転駆動されるスプロケット7と、下階の床下に設けられた従動スプロケット8とに図示しないチェーンを巻き掛け、そのチェーンに図1に示した複数のステップ2を無端状に設けてある。
【0020】
図2に示すように、移動手摺り3はターミナルギヤ9によって駆動される。ターミナルギヤ9は、図示しない駆動装置によって回転するスプロケット7とチェーン10によって連結されて回転する。
【0021】
これにより、スプロケット7による駆動力を受けて、移動手摺り3とステップ2は、同じ速度で同方向に駆動される。移動手摺り3はテンション装置T、及び支持ガイド11によって張力が付与されている。
【0022】
図2に示すように、移動手摺り3には上階及び下階に水平部Aを有し、これらの水平部A間は傾斜状に形成されている。
【0023】
このような構成を有するエスカレータ1に対して、本実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置は例えば、デッキ5及びフレーム6内を移動して来た移動手摺り3の、往路側の水平部Aで、移動手摺り3の劣化診断のための計測を行う。
【0024】
図3は、本実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置を図1に示すエスカレータに設置した状態を示す側面図である。
【0025】
図3に示すように、本実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置12は、本体12Aと、この本体12Aの後側位置に配置された後輪回転部13と、本体12Aの前側位置に配置された前輪回転部14とを備えている。また、移動手摺り3を挟むように配置され、移動手摺り3の両側面に接触するガイド15a,15bを備えている。これらの後輪回転部13、前輪回転部14、およびガイド15a,15bを介して、本実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置12は、移動手摺り12の稼働に追従する。
【0026】
図4は本実施形態の構成を示す平面図、図5は本実施形態の構成を示す側面図、図6は本実施形態に備えられるコイル基板を示す平面図、図7は本実施形態に備えられる後輪回転部に含まれる後輪、及びこの後輪に貼り付けられた磁気テープを示す斜視図である。
【0027】
図4に示すように、前述した後輪回転部13は、移動手摺り3の上面を転動する回転体、すなわち後輪13aと、この後輪13aを支持する軸13bと、後輪13aの周面に貼着した磁気テープ13cと、軸13bに連結され、上下方向の移動可能に本体12Aに取り付けられる支え板13dとを備えている。
【0028】
前述した前輪回転部14は、一対の前輪14aと、これらの前輪14aをそれぞれ支える一対の軸14bとを含み、本体12Aの前面側の中心から左右に振り分けて本体12Aに取り付けてある。また、それぞれ一対のガイド15a,15bのうちの一方のガイド15a,15bのみに、押え板16と、板ばね17との組み合せを設け、これらの押え板16と板ばね17を介してガイド15a,15bを、移動手摺り3の側面に押圧している。
【0029】
図5に示すように、本体12Aの下部には、コイル基板24を取り付けてある。図4に示すように、本体12Aの上面には、スタートスイッチ18、ストップスイッチ19、リセットスイッチ20を配置してあり、スタートスイッチ18を押すと状態LED21が点灯し、ストップスイッチ19を押すと状態LED21が消灯する。
【0030】
また、スタートスイッチ18を押して移動手摺り3の移動距離の計測が始まると、記録量に応じてメモリLED22が順次点灯して行き、記録量を表示する。
【0031】
図4に示すように、本実施形態は、本体12Aの上面中央に作業者が移動手摺り3の劣化診断作業を行う際に保持される持ち手23を配置してある。
【0032】
図5に示すように、支え板13dには、2つの長穴13eを形成してある。これらの長穴13eに挿入したねじ13fを介して、後輪13aを保持する支え板13dが上下方向の移動可能になっている。
【0033】
また同図5に示すように、ガイド15aは、ローラ15cと、このローラ15cの中心に挿通される軸15dとを含み、軸15dを本体12Aに締結してある。ガイド15bも、同様の構成となっている。
【0034】
また、同図5に示すように、コイル基板24は、樹脂ねじ25で本体12Aに締結してある。したがって、本体12Aと、前輪14aと、ガイド15a,15bと、コイル基板24とは、位置が固定されて変動しないが、後輪13aは、移動手摺り3の位置に応じて変動する。
【0035】
例えば、移動手摺り3が図5の位置3aに示すように、本体12Aと近い位置にあるときには、後輪13aも本体12Aに近い位置にあるが、移動手摺り3が同図5の位置3bに示すように、本体12Aから遠い位置にあるときには、後輪13aが移動手摺り3に追従して本体12Aから離れる。
【0036】
ここでコイル基板24は、本体12Aに固定してあるため、移動手摺り3が位置3aにあるときには、後輪13aとコイル基板24は近い位置関係となり、移動手摺り3が位置3bにあるときには、後輪13aとコイル基板24は遠い位置関係となる。後輪13aの周面には、磁気テープ13cが貼り付けてあるため、後輪13aの位置に追従して磁気テープ13cも上下する。
【0037】
本実施形態は、移動手摺り3に埋設されたスチールコードの損傷を検出する探傷装置として、例えば磁気センサを備え、コイル基板24上に、コイルS1〜S9を配置してある。これらのコイルS1〜S9によりスチールコードの状態が出力される。
【0038】
また、コイル基板24には、図7に示す磁気テープ13cの端部13c1から出る特徴的な磁束を検出する励磁コイルM1および受信コイルM2を設置してある。これらの励磁コイルM1および受信コイルM2は、後輪13aに近い位置となるように配置してある。
【0039】
図7に示すように、後輪13aに貼り付けた磁気テープ13cは、例えば後輪13aの軸13b方向に延設するように、後輪13aの全周面のうちの1箇所にだけ設けてある。したがって、この磁気テープ13cは、後輪13aの周面との境界部を形成する前述の端部13c1を有しており、後輪13aが移動手摺り3上を1回転動する毎に、1回だけ励磁コイルM1及び受信コイルM2に接近する。
【0040】
また本実施形態は、本体12Aに、励磁コイルM1および受信コイルM2を介して検出される磁束のピークの数と、後輪13aの周面の長さとに基づいて、稼働されている移動手摺り3の移動距離を算出する演算部を備えている。
【0041】
このように構成した本実施形態は、本体12Aの持ち手23を保持して後輪13aおよび前輪14aが、稼働している移動手摺り3の上面に位置するように、また、ガイド15a,15bのそれぞれのローラ13c等が移動手摺り3の両側部に接触するように載置し、持ち手23を保持した状態でスタートスイッチ18を操作して劣化診断作業を開始する。
【0042】
これにより移動手摺り3に埋設されたスチールコードの損傷の有無が、本体12Aに備えられた探傷装置によって検出される。この間、移動手摺り3の移動に追従して後輪13aが回転し、1回転するうちに出現する磁気テープ13cの出力を励磁コイルM1と受信コイルM2でセンシングする。出力があったときに後輪13aが1回転したことになる。
【0043】
本体12Aに備えられる演算部は、励磁コイルM1および受信コイルM2を介して検出される磁束のピークの数、すなわち後輪13aの回転数と、予め把握されている後輪13aの周面の長さとに基づいて、移動手摺り3の移動距離を算出する。この移動手摺り3の移動距離の算出により、探傷装置で検出されるスチールコードが損傷している移動手摺り3の部位を把握することができる。
【0044】
劣化診断作業が終了したときには、ストップスイッチ19が押される。また必要に応じて、次の劣化診断のためにリセットスイッチ20が押される。
【0045】
なお前述した劣化診断作業の間、励磁コイルM1および受信コイルM2を介しての出力が小さくなったときには、磁気ープ13cとコイル基板24との距離が離れている状況、すなわち、後輪13aと移動手摺り3との間の接触異常を生じている状況であり、本実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置12が、移動手摺り3に正しく設置されていない状況にあると見做すことができる。
【0046】
以上のように構成した本実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置12によれば、エンコーダを備えることなく移動手摺り3の移動距離を求めることができる。これにより本実施形態は、移動手摺り劣化診断装置12の小型化を実現させることができる。
【0047】
また、移動手摺り3に対して移動手摺り劣化診断装置12が正しく設置されないことを把握できる。これにより本実施形態に係る移動手摺り劣化診断装置12は、移動手摺り3の移動距離の計測精度に優れた移動手摺り3の劣化診断を実現させることができる。
【0048】
なお、本実施形態は、移動手摺り3に埋設されたスチールコードの損傷を検出する探傷装置として磁気センサを備えているが、この磁気センサに代えてX線装置を備えるようにしてもよく、また、磁気センサと併せてX線装置を備える構成にしてもよい。
【0049】
また本実施形態の構成に加えて、例えば本体12Aに、この本体12Aに備えられた演算部で算出された移動手摺り3の移動距離が所定距離に至ったことを報知する警報部、例えばブザーを備えた構成にしてもよい。
【0050】
また本実施形態の構成に加えて、例えば本体12Aに、当該移動手摺り劣化診断装置12が移動手摺り3の上面から上方に離れて、正常に計測できないことを報知する警報部、例えばブザーを備えた構成にしてもよい。
【0051】
また、乗客コンベアの一例として本実施形態ではエスカレータ1を挙げたが、本発明は、このようにエスカレータ1の移動手摺り3に埋設されたスチールコードの劣化診断に限られず、移動歩道を含む公知の他の乗客コンベア全般の移動手摺り3に埋設されたスチールコードの劣化診断に適用することができる。
【0052】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前述した実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 エスカレータ(乗客コンベア)
3 移動手摺り
12 移動手摺り劣化診断装置(本実施形態)
12A 本体
13 後輪回転部
13a 後輪(回転体)
13b 軸
13c 磁気テープ
13c1 端部
13d 支え板
13e 長穴
13f ねじ
14 前輪回転部
14a 前輪
14b 軸
15a ガイド
15b ガイド
15c ローラ
15d 軸
16 押え板
17 板ばね
18 スタートスイッチ
19 ストップスイッチ
20 リセットスイッチ
21 状態LED
22 メモリLED
23 持ち手
24 コイル基板
25 樹脂ねじ
M1 励磁コイル
M2 受信コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7