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  • 特開2016216296-ゼオライトの製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-216296(P2016-216296A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】ゼオライトの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20161125BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20161125BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20161125BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20161125BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20161125BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20161125BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20161125BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20161125BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   C01B39/48
   B01D53/94 222
   B01J29/76 A
   B01J35/10 301F
   B01J37/03 B
   B01J37/04 102
   B01J37/10
   B01J37/30
   B01J37/02 101C
   B01J37/02 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-102006(P2015-102006)
(22)【出願日】2015年5月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】碓氷 豊浩
(72)【発明者】
【氏名】島田 悟史
【テーマコード(参考)】
4D048
4D148
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
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4D048AB02
4D048AC04
4D048BA11X
4D048BA35X
4D048BB01
4D048DA20
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC04
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4D148BB01
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4G073FB04
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4G073UA05
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4G169BB05C
4G169BB10C
4G169BC01C
4G169BC08C
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169CA03
4G169CA08
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4G169FC07
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4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZB08
4G169ZB09
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4G169ZC04
4G169ZD01
4G169ZD03
4G169ZF05A
4G169ZF05B
(57)【要約】
【課題】Cuのイオン交換効率が高く、製造時間および製造コストの低減を可能とする、Cuが担持されたCHA構造のゼオライトの製造方法を提供する。
【解決手段】Si源、Al源、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、並びに構造規定剤を含む原料組成物を用いてゼオライトを合成する合成工程、得られたゼオライトに対し、アンモニア溶液を用いてイオン交換し、NHを担持したゼオライトを得るアンモニウムイオン交換工程、得られたNHを担持したゼオライトを加熱し、Hを担持したゼオライトを得る熱処理工程、および得られたHを担持したゼオライトに対し、Cu溶液を用いてイオン交換し、Cuを担持したゼオライトを得るCuイオン交換工程を含むゼオライトの製造方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cuイオン交換されたCHA構造を有するゼオライトを製造する方法であって、
Si源、Al源、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも一方並びに構造規定剤を含む原料組成物を用いてゼオライトを合成する合成工程、
前記合成工程で得られたゼオライトに対し、アンモニア溶液を用いて、NH型ゼオライトを得るアンモニウムイオン交換工程、
前記アンモニウムイオン交換工程で得られたNH型ゼオライトを加熱し、H型ゼオライトを得る熱処理工程、および
前記熱処理工程で得られたH型ゼオライトに対し、Cu溶液を用いてCuイオン交換されたゼオライトを得るCuイオン交換工程を含む
ゼオライトの製造方法。
【請求項2】
前記合成工程で得られたゼオライトにおけるSiO/Al組成比(SAR)が15未満である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記Al源が乾燥水酸化アルミニウムゲルである請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記熱処理工程においてNH型ゼオライトの加熱温度が350〜650℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記Cuイオン交換工程において使用するCu溶液のpHが8〜12である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記Cuイオン交換工程において使用するCu溶液が硫酸銅水溶液である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
Cuイオン交換されたゼオライトにおけるCu/Al(モル比)が0.2〜0.5である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の排ガスを浄化するシステムの1つとして、アンモニアを用いて、NOxを窒素と水に還元するSCR(Selective Catalytic Reduction)システムが知られており、Cuイオン交換されたCHA構造のゼオライトは、SCR触媒作用を有するゼオライトとして注目されている。
【0003】
このSCRシステムは、排ガスが通過する多数の長手方向に延びる貫通孔が並設されたハニカムユニットをSCR触媒担体として用いており、例えば、特許文献1は、SCR触媒担体として使用した際の耐熱性、耐久性を上げることを目的として、その組成比SiO/Alが15未満であり、かつ、粒子径が1.0〜8.0μmの、Cuイオン交換されたCHA構造のゼオライトを開示している。
【0004】
一方、Cuイオン交換されたCHA構造のゼオライトの製造方法として、例えば特許文献2は、Na型ゼオライトを用い、または該ゼオライトのNaをNHで置換しNH型ゼオライトを用い、Cu濃度が約0.001〜約0.25モルのCu溶液でイオン交換する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−211066号公報
【特許文献2】特開2013−514167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術には、次のような問題がある。
すなわち、特許文献2に記載のゼオライトの製造方法では、イオン交換効率が低く、所望のレベルまでCuイオン交換されたCHA構造のゼオライトを製造するには、何回ものイオン交換作業が必要であり、長時間かつ高コストとなるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、Cuのイオン交換効率が高く、製造時間および製造コストの低減を可能とする、Cuイオン交換されたCHA構造のゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明のゼオライトの製造方法は、Cuイオン交換されたCHA構造を有するゼオライトを製造する方法であって、
Si源、Al源、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも一方並びに構造規定剤を含む原料組成物を用いてゼオライトを合成する合成工程、
上記合成工程で得られたゼオライトに対し、アンモニア溶液を用いて、NH型ゼオライトを得るアンモニウムイオン交換工程、
上記アンモニウムイオン交換工程で得られたNH型ゼオライトを加熱し、H型ゼオライトを得る熱処理工程、および
上記熱処理工程で得られたH型ゼオライトに対し、Cu溶液を用いてCuイオン交換されたゼオライトを得るCuイオン交換工程を含む、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明者らはCuのイオン交換効率を高め得るゼオライトの製造方法について鋭意検討を行った結果、合成されたゼオライトをまずNH型ゼオライトにし、このNH型ゼオライトを加熱処理によりH型ゼオライトにし、得られたH型ゼオライトに対してCuのイオン交換を行うことにより、イオン交換効率を高められ、それによりイオン交換作業の回数を低減でき、イオン交換工程を短時間で終了できることを見出した。すなわち、本発明の製造方法では、Cuのイオン交換効率が高く、製造時間および製造コストを抑制することが可能となる。
【0010】
本発明のゼオライトの製造方法においては、上記合成工程で得られるゼオライトにおけるSiO/Al組成比(SAR)が15未満であることが好ましい。その組成比SiO/Alが15未満であることにより、NOxの浄化率をさらに高めることができる。その理由は、SiO/Alが15未満であることにより、アルミナ量が増え、それに比例して触媒として機能するCuイオン交換量を多くできるからある。
【0011】
本発明のゼオライトの製造方法は、上記Al源が乾燥水酸化アルミニウムゲルであることが好ましい。乾燥水酸化アルミニウムゲルはアルカリ溶液に対する溶解度が高いため、合成されたゼオライトの粒子径及びSiO/Alモル比のばらつきを小さくすることが可能となる。
【0012】
本発明のゼオライトの製造方法においては、上記熱処理工程においてNH型ゼオライトの加熱温度が350〜650℃であることが好ましい。350℃以上の加熱温度により、NH型ゼオライトからNHが脱離しやすくなり、効率よくH型ゼオライトに変換することができる。また650℃以下の加熱温度により、ゼオライトからの脱Alが抑えられ、Cuのイオン交換量を損なうことなく、イオン交換効率を高めることができる。
【0013】
本発明のゼオライトの製造方法においては、Cuイオン交換工程において使用するCu溶液のpHが8〜12であることが好ましい。Cu溶液が8以上のpHであることにより、イオン交換でH型ゼオライトから脱離したHイオンによりCu溶液のHイオン濃度が高くなることを抑え、Cuイオン交換の進行を妨げない。また、Cu溶液が12以下のpHであることによりゼオライトの結晶構造の破壊が防止される。
【0014】
本発明のゼオライトの製造方法においては、使用するCu溶液が硫酸銅水溶液であることが好ましい。一般的に使用される酢酸銅水溶液に比べ硫酸銅水溶液は低コストであり、本発明のゼオライトの製造方法のコストを一層低下させることができる。
【0015】
本発明のゼオライトの製造方法においては、Cuイオン交換されたゼオライトにおけるCu/Al(モル比)が0.2〜0.5であることが好ましい。該モル比が0.2以上であることにより、少量のゼオライトで高いNOx浄化性能を得ることができる。また該モル比が0.5以下であることにより、高温でのアンモニア酸化によるNOx浄化性能の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、Cuのイオン交換効率が高く、製造時間および製造コストの低減を可能とする、Cuイオン交換されたCHA構造のゼオライトの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1で合成したゼオライトのXRDパターンを示すチャートである。
【0018】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0019】
<Cuイオン交換されたゼオライトの製造方法>
本発明のゼオライトの製造方法は、以下の各工程を含むことを特徴とする。
Si源、Al源、アルカリ源としてのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも一方並びに構造規定剤を含む原料組成物を用いてゼオライトを合成する合成工程、
上記合成工程で得られたゼオライトに対し、アンモニア溶液を用いて、NH型ゼオライトを得るアンモニウムイオン交換工程、
上記アンモニウムイオン交換工程で得られたNH型ゼオライトを加熱し、H型ゼオライトを得る熱処理工程、および
上記熱処理工程で得られたH型ゼオライトに対し、Cu溶液を用いてCuイオン交換されたゼオライトを得るCuイオン交換工程。
【0020】
なお本発明により製造されるゼオライトは、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association:IZA)において、CHAという構造コードで命名され、分類されており、天然に産出するチャバサイト(chabazite)と同等の結晶構造を有するゼオライトである。
【0021】
まず、本発明のゼオライトの製造方法における、上記合成工程について説明する。
合成工程においては、まず、Si源、Al源、アルカリ源、水及び構造規定剤からなる原料組成物を準備する。
【0022】
Si源とは、ゼオライトのシリコン成分の原料となる化合物、塩及び組成物をいう。
Si源としては、例えば、コロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、テトラエチルオルトシリケート、アルミノシリケートゲル等を用いることができ、これらを二種以上併用してもよい。これらの中では、コロイダルシリカが望ましい。
【0023】
Al源としては、例えば、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミノシリケートゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル等が挙げられる。これらの中では、乾燥水酸化アルミニウムゲルが好ましい。
【0024】
本発明のゼオライトの製造方法においては、目的とするCHA型ゼオライトを製造するためには、ほぼ製造されるゼオライトのモル比(SiO/Al)と同じモル比のSi源、Al源を用いることが望ましい。原料組成物中のSi源とAl源のモル比(SiO/Al)は、5〜30であることが望ましく、10〜15であることがより望ましい。
【0025】
アルカリ源は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも一方を含む化合物であり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等を用いることができ、これらを二種以上併用してもよい。これらの中では、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが望ましい。ゼオライトの単相を得るためには特に水酸化カリウムと水酸化ナトリウムを併用することが好ましい。
【0026】
本発明のゼオライトの製造方法においては、水の量は、特に限定されるものではないが、Si源のSi及びAl源のAlの合計モル数に対する水のモル数の比(HOモル数/Si及びAlの合計モル数)が12〜30であることが望ましく、Si源のSi及びAl源のAlの合計モル数に対する水のモル数の比(HOモル数/Si及びAlの合計モル数)が15〜25であることがより望ましい。
【0027】
構造規定剤(以下、SDAとも記載する)とは、ゼオライトの細孔径や結晶構造を規定する有機分子を示す。構造規定剤の種類等によって、得られるゼオライトの構造等を制御することができる。
本発明のゼオライトの製造方法においては、構造規定剤としては、N,N,N−トリアルキルアダマンタンアンモニウムをカチオンとする水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、メチルカーボネート塩、硫酸塩及び硝酸塩;及びN,N,N−トリメチルベンジルアンモニウムイオン、N−アルキル−3−キヌクリジノールイオン、またはN,N,N−トリアルキルエキソアミノノルボルナンをカチオンとする水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、メチルカーボネート塩、硫酸塩及び硝酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。これらの中では、N,N,N−トリメチルアダマンタンアンモニウム水酸化物(以下、TMAAOHとも記載する)、N,N,N−トリメチルアダマンタンアンモニウムハロゲン化物、N,N,N−トリメチルアダマンタンアンモニウム炭酸塩、N,N,N−トリメチルアダマンタンアンモニウムメチルカーボネート塩及びN,N,N−トリメチルアダマンタンアンモニウム硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが望ましく、TMAAOHを用いることがより望ましい。
【0028】
本発明のゼオライトの製造方法の合成工程においては、原料組成物に、さらにゼオライトの種結晶を加えてもよい。種結晶を用いることにより、ゼオライトの結晶化速度が速くなり、ゼオライト製造における時間が短縮でき、収率が向上する。
【0029】
ゼオライトの種結晶としては、CHA構造を有するゼオライトを用いることが望ましい。
【0030】
ゼオライトの種結晶の添加量は、少ない方が望ましいが、反応速度や不純物の抑制効果等を考慮すると、原料組成物に含まれるシリカ成分に対して、0.1〜20質量%であることが望ましく、0.5〜15質量%であることがより望ましい。0.1質量%未満であると、ゼオライトの結晶化速度を向上する寄与が小さく、20質量%を超えると、合成して得られるゼオライトに不純物が入りやすくなる。
【0031】
合成工程においては、準備した原料組成物を反応させることにより、ゼオライトを合成する。具体的には、原料組成物を水熱合成することによりゼオライトを合成することが望ましい。
【0032】
水熱合成に用いられる反応容器は、既知の水熱合成に用いられるものであれば特に限定されず、オートクレーブなどの耐熱耐圧容器であればよい。反応容器に原料組成物を投入して密閉して加熱することにより、ゼオライトを結晶化させることができる。
【0033】
ゼオライトを合成する際、原料混合物は静置した状態でもよいが、攪拌混合した状態であることが望ましい。
【0034】
ゼオライトを合成する際の加熱温度は、100〜200℃であることが望ましく、120〜180℃であることがより望ましい。加熱温度が100℃未満であると、結晶化速度が遅くなり、収率が低下しやすくなる。一方、加熱温度が200℃を超えると、不純物が発生しやすくなる。
【0035】
合成工程における加熱時間は、10〜200時間であることが望ましい。加熱時間が10時間未満であると、未反応の原料が残存し、収率が低下しやすくなる。一方、加熱時間が200時間を超えても、収率や結晶性の向上がほとんど見られない。
【0036】
合成工程における圧力は特に限定されず、密閉容器中に入れた原料組成物を上記温度範囲に加熱したときに生じる圧力で充分であるが、必要に応じて、窒素ガスなどの不活性ガスを加えて昇圧してもよい。
【0037】
本発明のゼオライトの製造方法の合成工程により得られたゼオライトは、充分に放冷し、固液分離し、充分量の水で洗浄することが望ましい。
【0038】
合成工程により得られたゼオライトは、細孔内にSDAを含有しているため、必要に応じてこれを除去してもよい。例えば、酸性溶液又はSDA分解成分を含む薬液を用いた液相処理、レジンなどを用いた交換処理、熱分解処理などにより、SDAを除去することができる。
【0039】
次に、本発明のゼオライトの製造方法における、アンモニウムイオン交換工程について説明する。
アンモニウムイオン交換工程は、合成工程により得られたゼオライトに対し、アンモニア溶液を用いてイオン交換を行い、NH型ゼオライトを得る工程である。
アンモニア溶液としては、例えばアンモニア水、硫酸アンモニウム水溶液、硝酸アンモニウム水溶液等が挙げられ、中でも硫酸アンモニウム水溶液が好ましい。アンモニア溶液中のアンモニア濃度は、例えば、1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%である。
【0040】
アンモニア溶液を用いたイオン交換方法としては、上記アンモニア溶液にゼオライトを浸漬することで行うことができる。アンモニア溶液の温度は例えば4〜50℃、圧力は例えば大気圧、浸漬時間は例えば0.1時間〜2時間である。このようにして、NH型ゼオライトが得られる。
【0041】
次に、本発明のゼオライトの製造方法における、熱処理工程について説明する。
熱処理工程は、アンモニウムイオン交換工程で得られたNH型ゼオライトを加熱し、H型ゼオライトを得る工程である。
加熱温度は、350〜650℃であることが好ましい。350℃以上の加熱温度により、NH型ゼオライトからNHが脱離しやすくなり、効率よくH型ゼオライトに変換することができる。また650℃以下の加熱温度により、ゼオライトからの脱Alが抑えられ、Cuのイオン交換量を損なうことなく、イオン交換効率を高めることができる。さらに好ましい加熱温度は、400〜600℃である。
【0042】
加熱時間は、例えば0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間である。加熱圧力は、例えば大気圧である。
【0043】
なお、使用する加熱手段としては、市販されている加熱炉、例えばデンケン・ハイデンタル社製商品名KDF−S100が挙げられる。
【0044】
次に、本発明のゼオライトの製造方法における、Cuイオン交換工程について説明する。
Cuイオン交換工程は、熱処理工程で得られたH型ゼオライトに対し、Cu溶液を用いたイオン交換を行い、Cuイオン交換されたゼオライトを得る工程である。
Cu溶液としては、酢酸銅水溶液、硝酸銅水溶液、硫酸銅水溶液および塩化銅水溶液から選ばれる1種の水溶液が挙げられる。中でも、硫酸銅水溶液が好ましい。硫酸銅水溶液は一般的に使用される酢酸銅水溶液に比べ低コストであり、本発明のゼオライトの製造方法のコストを一層低下させることができる。
【0045】
Cu溶液中のCu濃度は、例えば、0.2〜5.0質量%、好ましくは0.5〜2.5質量%である。
【0046】
また、本発明のゼオライトの製造方法のCuイオン交換工程において使用するCu溶液のpHは、8〜12であることが好ましく、9〜11であることがさらに好ましい。Cu溶液が8以上のpHであることにより、イオン交換でH型ゼオライトから脱離したHイオンによりCu溶液のHイオン濃度が高くなることを抑え、Cuイオン交換の進行を妨げない。また、Cu溶液が12以下のpHであることによりゼオライトの結晶構造の破壊が防止される。pHの調整は、例えばアンモニア水やNaOH等を用いて行うことができる。
【0047】
Cuイオン交換工程におけるイオン交換方法としては、上記Cu溶液にH型ゼオライトを浸漬することで行うことができる。Cu溶液の温度は例えば室温〜60℃、圧力は例えば大気圧、浸漬時間は例えば0.1時間〜24時間、好ましくは0.5時間〜12時間である。このようにして、Cuイオン交換されたゼオライトが得られる。
【0048】
本発明のゼオライトの製造方法において、Cuイオン交換工程終了後のゼオライトは、必要に応じて熱エージング処理によりその性能を安定化させることができる。
熱エージング処理の加熱温度は、900℃以下が好ましい。900℃を超えるとゼオライトの結晶構造を損なう恐れがある。好ましい加熱温度は600〜800℃である。加熱時間は、例えば1時間〜10時間であり、加熱圧力は、例えば大気圧である。
【0049】
<ゼオライト>
ゼオライトの結晶構造の解析は、X線回折(XRD)装置を用いて行うことができる。CHA型ゼオライトは、粉末X線解析法によるX線回折スペクトルで、2θ=20.7°付近、25.1°付近、26.1°付近にそれぞれ、CHA型ゼオライト結晶の(211)面、(104)面及び(220)面に相当するピークが現れる。
【0050】
XRD測定は、X線回折装置(リガク社製 UltimaIV)を用いて行う。なお、測定条件は、次の通りとする。
線源:CuKα(λ=0.154nm)、測定法:FT法、回折角:2θ=5〜48°、ステップ幅:0.02°、積算時間:1秒、発散スリット、散乱スリット:2/3°、発散縦制限スリット:10mm、加速電圧:40kV、加速電流:40mA。
XRD測定前後でサンプル重量が0.1%以上の変化がないようにする。得られたXRDデータは、粉末X線回折パターン総合解析ソフトJADE6.0を用いてピークサーチを行い、さらに各ピークの半値幅と積分強度を算出する。なお、ピークサーチの条件は次の通りとする。
フィルタータイプ:放物線フィルター、Kα2ピークの消去:あり、ピーク位置定義:ピークトップ、閾値σ:3、ピーク強度%カットオフ:0.1、BG決定の範囲:1、BG平均化のポイント数:7。
得られたデータから、ゼオライトの(211)面(2θ=20.7°付近)、(104)面(2θ=25.1°付近)、(220)面(2θ=26.1°付近)の積分強度の和Xを求めることができる。
なお、ゼオライトの(211)面、(104)面、(220)面のピークの積分強度を用いるのは、サンプルの吸水の影響が小さいためである。
【0051】
本発明により合成されたゼオライトは、積分強度の和Xが55000以上であることが好ましい。積分強度が高いほど結晶性が良好であることを示し、積分強度の和Xが55000以上あることで、高いNOx浄化性能を得ることができる。
【0052】
本発明により製造されたゼオライトは、Cu/Al(モル比)が0.2〜0.5であることが好ましい。
該モル比が0.2以上であることにより、少量のゼオライトで高いNOx浄化性能を得ることができる。また該モル比が0.5以下であることにより、高温でのアンモニア酸化によりNOx浄化性能が低下することを防止できる。Cu/Alモル比は蛍光X線分析装置を用いて測定することができる。
より好ましいCu/Al(モル比)は、0.25〜0.5である。
【0053】
また本発明により製造されたゼオライトは、SiO/Al組成比(SAR)が15未満であることが好ましい。上記SiO/Al組成比とは、ゼオライト中のAlに対するSiOのモル比(SAR)を意味している。その組成比SiO/Alが15未満であることにより、ゼオライトの酸点を充分な数とすることができ、その酸点を利用して金属イオンとイオン交換することができ、Cuを多く担持することができるので、NOxの浄化性能に優れている。
より好ましいSiO/Al組成比は、10〜14.9である。
なおゼオライトのモル比(SiO/Al)は、蛍光X線分析(XRF)を用いて測定することができる。
【0054】
本発明により製造されたゼオライトの平均粒子径は、0.5μm以下であることが望ましく、0.1〜0.4μmであることがより望ましい。このような小さな平均粒子径を有するゼオライトを用いてハニカム触媒を製造した場合、吸水変位量が小さくなる。また、製造時および触媒としての使用時にクラックが生じにくく、耐熱性、耐久性に優れている。一方、平均粒子径が0.5μmを超えると、ハニカム触媒とした時の吸水変位量が大きくなり、ハニカム触媒にクラックが生じるおそれがある。
【0055】
ゼオライトの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製、S−4800)を用いて、SEM写真を撮影し、10個の粒子の全対角線の長さを測定し、その平均値から求める。なお、測定条件は、加速電圧:1kV、エミッション:10μA、WD:2.2mm以下とする。一般にCHA型ゼオライトの粒子は立方体であり、SEM写真で二次元に撮像した時には正方形となる。そのため粒子の対角線は2本である。
【実施例】
【0056】
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
実施例1
(合成工程)
Si源としてコロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックス)、Al源として乾燥水酸化アルミニウムゲル(富田製薬社製)、アルカリ源として水酸化ナトリウム(トクヤマ社製)と水酸化カリウム(東亜合成社製)、構造規定剤(SDA)としてN,N,N−トリメチルアダマンタンアンモニウム水酸化物(TMAAOH)25%水溶液(Sachem社製)、種結晶としてSSZ−13、脱イオン水を混合し、原料組成物を準備した。原料組成物のモル比は、SiO:15mol、Al:1mol、NaOH:2.6mol、KOH:0.9mol、TMAAOH:1.1mol、HO:300molの割合とした。また原料組成物中のSiO、Alに対して5.0質量%の種結晶を加えた。原料組成物を500Lオートクレーブに装填し、加熱温度160℃、加熱時間48時間で水熱合成を行い、ゼオライトを合成した。続いて、ゼオイライト細孔内に残存するTMAAOHを除去するために、空気中、550℃、4時間、の条件で加熱処理を行った。
【0058】
(アンモニウムイオン交換工程)
硫酸アンモニウム1molを1Lの水に溶かした後、得られた溶液4g(温度:室温)に対して上記合成工程で得られたゼオライトゼオライトを1gの割合で添加し、大気圧で1時間撹拌を行い、NH型ゼオライトを得た。
【0059】
(熱処理工程)
上記アンモニウムイオン交換工程で得られたNH型ゼオライトを、空気中で、470℃、4時間の条件で加熱処理を行い、H型ゼオライトを得た。
【0060】
(Cuイオン交換工程)
上記熱処理工程で得られたH型ゼオライトに対し1質量%の濃度の硫酸銅(II)水溶液を用い、アンモニア水を用いてpHを9に調整して溶液温度50℃に保ち、H型ゼオライトを大気圧下で、浸漬時間1時間の条件でイオン交換し、Cuイオン交換されたゼオライトを得た。
【0061】
(熱エージング処理)
Cuイオン交換工程で得られたCuを担持したゼオライトに対し、大気圧下で、800℃、2時間の条件で熱エージング処理を行い、ゼオライトの性能を安定化させた。
【0062】
(Cuイオン交換量の測定)
実施例1で合成、イオン交換したゼオライトのCuイオン交換量を、蛍光X線分析装置(XRF、リガク社製 ZSX Primus2)を用いて測定した。測定条件は、X線管:Rh、定格最大出力:4kW、検出元素範囲:F〜U、定量法:SQX法、分析領域:10mmφとした。
結果を表1に示す。
【0063】
実施例2〜3
Cuイオン交換工程におけるCu溶液のpHを、表1に示す水溶液を用いてpH11に調整したこと以外は、実施例1と同様に実施した。
Cuイオン交換量を測定した結果を表1に示す。
【0064】
実施例4〜7
Cuイオン交換工程におけるCu溶液を酢酸銅水溶液(II)とし、溶液のpHおよびpH調整に用いた水溶液を表1に示したものにした以外は、実施例1と同様に実施した。
Cuイオン交換量を測定した結果を表1に示す。
【0065】
実施例8〜11
Cuイオン交換工程におけるCu溶液を酢酸銅水溶液(II)とし、表1に示すCu濃度とし、pH調整を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に実施した。
Cuイオン交換量を測定した結果を表1に示す。
【0066】
比較例1〜4
熱処理工程を行わなかったこと以外は、実施例8〜11と同様に実施した。
Cuイオン交換量を測定した結果を表1に示す。
【0067】
(ゼオライトの結晶構造の解析)
X線回折装置(リガク社製、Ultima IV)を用い、実施例1で合成されたゼオライトについて、XRD測定を行い、X線回折スペクトルの(211)面、(104)面及び(220)面の積分強度の和(X)を算出した。
測定条件は、線源:CuKα(λ=0.154nm)、測定法:FT法、回折角:2θ=5〜48°、ステップ幅:0.02°、積算時間:1秒、発散スリット、散乱スリット:2/3°、発散縦制限スリット:10mm、加速電圧:40kV、加速電流:40mAとした。
得られたXRDデータの解析は、粉末X線回折パターン総合解析ソフトJADE6.0を用いて行った。なお、解析条件は、フィルタータイプ:放物線フィルター、Kα2ピークの消去:あり、ピーク位置定義:ピークトップ、閾値σ:3、ピーク強度%カットオフ:0.1、BG決定の範囲:1、BG平均化のポイント数:7とした。
その結果、Xは60584であった。
【0068】
図1に、実施例1で合成したゼオライトのXRDパターンを示す。
図1より、実施例1で合成したゼオライトは、CHA構造を有するゼオライトであることが確認された。
【0069】
(Cu担持量の測定)
蛍光X線分析装置(XRF、リガク社製 ZSX Primus2)を用いて、各実施例および比較例で得られたゼオライトに担持されたCu量を測定した。測定条件は、X線管:Rh、定格最大出力:4kW、検出元素範囲:F〜U、定量法:SQX法、分析領域:10mmφとした。Cu担持量の測定値から、Cu/Alモル比を算出した。
結果を表1に示す。
【0070】
(ゼオライトのモル比(SAR SiO/Al)の測定)
蛍光X線分析装置(XRF、リガク社製 ZSX Primus2)を用いて、実施例1で得られたゼオライト(初期)のモル比(SAR SiO/Al)を測定した。測定条件は、X線管:Rh、定格最大出力:4kW、検出元素範囲:F〜U、定量法:SQX法、分析領域:10mmφとした。その結果は、SARは12.9であった。
【0071】
(ゼオライトの粒子径の測定)
走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製、S−4800)を用いて、実施例1で得られたゼオライト(初期)のSEM写真を撮影し、それらの粒子径を測定した。測定条件は、加速電圧:1kV、エミッション:10μA、WD:2.2mm以下とした。測定倍率は、20000倍とした。10個の粒子の2つの対角線から粒子径を測定し、その平均値を求めた。その結果、平均粒子径は0.33μmであった。
【0072】
【表1】
【0073】
実施例1〜11で得られたゼオライトは、NH型ゼオライトを得た後、該ゼオライトを加熱し、H型ゼオライトを得、これに対しCu溶液を用いてイオン交換を行う各工程を経て製造されたものであり、Cuのイオン交換効率が高い結果となった。該結果から、ゼオライトの製造時間および製造コストを低減できることが推測される。
比較例1〜4は、NH型ゼオライトに対し直接、Cu溶液を用いるイオン交換を行っているので、Cuのイオン交換効率が低い結果となった。
図1