(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-216873(P2016-216873A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20161125BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
A41D13/11 A
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-117845(P2015-117845)
(22)【出願日】2015年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】515103065
【氏名又は名称】岳上 佳典
(72)【発明者】
【氏名】岳上 佳典
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185CC33
(57)【要約】
【課題】鼻と口を覆うマスクについて、マスク上部と鼻と頬骨の間に形成される隙間を減らし、隙間からの呼吸の洩れを減らしてメガネの曇りを軽減させることを目的とする。
【解決手段】薄膜片30は、適度の柔軟性をもち、マスク本体10の内側上辺部に設けてあり、薄膜片の下辺中間部を膨らんだ状態にして、マスク上部と鼻と頬骨の間に形成される隙間を減らす。膨らませる方法は、薄膜片の下部を左右から寄せる方法及び、薄膜片下部に塑性変形する材料を取付けてその材料の変形を利用する方法、の一方又は両方を用いる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体内側上辺部に、通気性がマスク本体より悪く、かつ適度に柔軟性がある薄膜片を有し、薄膜片上辺部の途中を基点にしてマスク中央部と端を下げて下辺を左右から寄せ、薄膜片の下辺を膨らませて使用することを特徴とするマスク。
【請求項2】
マスク本体内側上辺部に薄膜片を有するマスクにおいて、薄膜片の下辺にプラスチックなどの塑性変形する材料を取り付けし、この塑性変形により薄膜片の下辺を膨らませて使用することを特徴とするマスク。
【請求項3】
マスク本体内側上辺部に薄膜片を有し、薄膜片上辺部の途中を基点にしてマスク中央部と端の両方又は一方を下げて薄膜片の下辺を中央に寄せて膨らませて使用することを特徴とするマスクにおいて、薄膜片を膨らませる大きさを調整するために薄膜片を動かす度合いの目印を付けたマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻と口を覆うマスクにおいて、上部の隙間を減らし、呼吸の漏れを減らし息によりメガネが曇ることを軽減させるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なマスクでは、鼻と口を覆うマスクにおいて、マスク上部と鼻と頬骨の間に形成される隙間から吐気が上昇し、吐気の水蒸気によりメガネが曇るという問題があった。
【0003】
このようなメガネの曇りを軽減ないし解消すべく、従来より幾つかの提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1にあるように、マスク上部に塑性変形する樹脂や金属板をもうけ、これを鼻の形に合わせて折り曲げて前記の隙間を塞ぐように図っているものがある。
【0005】
また、例えば特許文献2にあるように、マスク上部に粘着性の物質を備え、鼻および頬と粘着することにより、前記隙間の密閉を図っているものがある。
【0006】
さらに、例えば特許文献3、4にあるように、マスク上部にスポンジ状物質を備え、前記の隙間を塞ぐように図っているものがある。
【0007】
さらにまた、例えば特許文献5、6にあるように、マスク上端部に薄膜状で空気を通さないか又は空気を通しにくい素材で構成された薄膜片の上縁のみを固着し、吐気によってマスク内の空気圧を利用して薄膜片を頬に押しつけることにより前記の隙間を塞ぐように図っているものがある
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特開2006−305279号広報
【特許文献2】 特開2006−263172号広報
【特許文献3】 特開2008−148984号広報
【特許文献4】 特開2003−236000号広報
【特許文献5】 特開2007−54270号広報
【特許文献6】 特開2007−61585号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述特許文献1に記載された塑性変形する樹脂や金属板をもうけたものでは、マスク上端部を頬に密着させることが難しく、前記の隙間を十分に塞ぐことができず、メガネの曇り止め機能は不十分である。
【0011】
また、前述特許文献2に記載された粘着性を付与したものでは、装着感の好みがあり、脱着回数も限定されると考えられ、必ずしも良い方法であるとはいえない。
【0012】
さらに、前述特許文献3、4に記載されたマスク上部にスポンジ状物質を備えたものでは、使わない時の厚み及び容積が大きく保管上で良いとはいえない。
【0013】
そして、前述特許文献5、6に記載された吐気によってマスク内の空気圧を利用して薄膜片を頬に押しつけるようにしたものでは、呼吸によって薄膜片が動き、薄膜片が必ずしも前記の隙間を塞ぐとはいえず、メガネの曇り止め機能が十分とはいえない。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、装着者の鼻の両側部分と頬部分およびマスク上辺で形成される隙間を減らし、この隙間からの呼吸の漏れを減らしメガネが曇ることを軽減させたマスクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1のマスクでは、鼻と口を覆うマスク本体内側上辺部に、通気性がマスク本体より悪く、かつ適度に柔軟性がある布状またはシート状の薄膜片を有し、薄膜片の上辺の途中を基点にして中央部と端部を下げることにより、薄膜片の下辺を膨らませ、鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を減らすことを特徴とする。
【0016】
請求項2のマスクでは、鼻と口を覆うマスク本体内側上辺部に、通気性がマスク本体より悪く、かつ適度に柔軟性がある布状またはシート状の薄膜片の下辺にプラスチック、アルミ等の塑性変形する材料を取り付け、鼻の形に折り曲げて薄膜片を膨らませることにより、鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を減らす薄膜片の膨らみを安定して保持することを特徴とする。
【0017】
請求項3では、鼻と口を覆うマスク本体内側上辺部に薄膜片を有し、薄膜片の一部を動かして下辺を膨らませ、鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を減らすことを特徴とするマスクにおいて、薄膜片を動かす位置の目印を付けることにより膨らませる度合いに合わせた動かす位置が判りやすく、再現性が良くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、マスク使用時に薄膜片の下辺を膨らませることで、マスクを口鼻部に当てたときに膨らみは鼻と頬とマスク上辺の間に形成される呼吸漏れの隙間を減らし、メガネの曇りを軽減することができる。
【0019】
また、薄膜片の下辺を膨らませる大きさをマスクをする人の顔の形状に合わせて調節するために薄膜片の一部を動かすとき、動かす位置の目印を付けることにより、薄膜片を膨らませる大きさの目安となり、再現性も期待できる。
【0020】
本発明での薄膜片の下辺に取付けた塑性変形する材料は、耳掛紐による張力を受けないので、安定的に薄膜片の膨らみを保ち、呼吸の漏れを少なく維持することができる。
【0021】
本発明では、薄膜片と鼻の側面が薄膜面下部で接するので、マスク上辺にスポンジ等の弾性体を使用する方法に比べて、メガネの鼻当てとマスクの干渉を軽減することができる。
【0022】
本発明のマスクは、使用時には立体的な形状となるが、保管時は平面的であり、スポンジ等の弾性体を使用する方法に比べて保管の容積が少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】請求項1の実施の形態を示すプリーツ型マスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図2】同上マスクで薄膜片を膨らせて使用する時の裏面図である
【
図4】請求項2の実施の形態を示すプリーツ型マスクで、薄膜片の両端を下げて下辺を寄せて膨らせるマスクの裏面図である
【
図5】同上マスクで薄膜片を膨らせて使用する時の裏面図である
【
図6】請求項2の実施の形態を示すプリーツ型マスクで、伸縮性のある薄膜片を用いた膨らせる前の裏面図である
【
図8】請求項2の実施の形態を示す立体型マスクで、薄膜片の両端を下げて下辺を寄せて膨らせるマスクの裏面図である
【
図9】同上マスクで薄膜片を膨らせて使用する時の裏面図である
【
図10】請求項2の実施の形態を示す立体型マスクで、伸縮性のある薄膜片を用いた膨らせる前の裏面図である
【
図11】請求項2の実施の形態を示す立体型マスクで、薄膜片を折り返して用いるマスクの膨らせる前の裏面図である
【発明を実施するための形態】
【0024】
マスク本体と薄膜片はマスク本体の上辺で接合または粘着されるが、薄膜片の下辺付近にも接合または粘着剤の配置をしマスク本体と薄膜片のずれ防止、膨らみの安定確保を図ると良い。
【0025】
粘着部に粘着材を付けておくのは、薄膜片又はマスク本体のどちらでも良い。
【0026】
薄膜片の下辺に可塑材料を付けて薄膜片の下辺を膨らませる場合、薄膜片に伸縮性のある材料を用いて、薄膜片の上辺をマスク本体と接合しても良い。
【符号の説明】
【0028】
10 マスク本体
11 耳掛紐
21 粘着部
22 接合部
23 粘着部
25 粘着部
26 粘着部
30 薄膜片
40 塑性変形する材料