【解決手段】車体1の左右一側部に固定されるメインフレーム21Lと、車体1の左右他側部に固定され、その後端がメインフレーム21Lの後端よりも前方に位置するメインフレーム21Rと、を具備した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0023】
まず、
図1から
図3までを用いて本発明の第一実施形態に係るフロントローダ20を備えたトラクタの車体1の全体構成について説明する。
【0024】
トラクタは、主として機体フレーム2、エンジン3、トランスミッションケース4、前輪5、後輪6、ボンネット7、SCR8、マフラ9、キャビン10、ステアリングホイール11及びフロントローダ20を具備する。
【0025】
機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けて車体1の前部に配置される。機体フレーム2の後部にはエンジン3が固定される。当該エンジン3の後部には、トランスミッションケース4が固定される。機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪5に支持される。トランスミッションケース4の後部は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪6に支持される。エンジン3はボンネット7に覆われる。
【0026】
ボンネット7の右側方には、エンジン3の排気ガスを浄化するためのSCR(Selective Catalytic Reduction)8が配置される。SCR8の上部には、エンジン3の排気ガスを排出するマフラ9が配置される。当該SCR8及びマフラ9は、トランスミッションケース4に固定される。
【0027】
エンジン3の動力は、トランスミッションケース4に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪5に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪6に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪5及び後輪6が回転駆動され、トラクタは走行することができる。
【0028】
エンジン3の後方にはキャビン10が設けられる。キャビン10の内部には、運転者が搭乗する居住空間が形成される。当該居住空間には、前輪5の切れ角を調節するためのステアリングホイール11、種々の操作具(不図示)、及び運転者が着座するための座席(不図示)等が配置される。
【0029】
車体1の前部には、フロントローダ20が装着される。フロントローダ20は、主として左右一対のメインフレーム21、左右一対のブラケット22、左右一対のブーム23、バケット24及び間接フレーム25を具備する。
【0030】
メインフレーム21は、車体1(機体フレーム2及びトランスミッションケース4)の左右にそれぞれ固定される。この際、右側のメインフレーム21(後述するメインフレーム21R)は、略矩形板状に形成された間接フレーム25を介してトランスミッションケース4に固定される。ブーム23は、ブラケット22を介して左右のメインフレーム21の上部にそれぞれ回動可能に支持される。ブーム23は、メインフレーム21の上部から前下方に向けて延びるように配置される。バケット24は、ブーム23の前端部に回動可能に連結される。ブーム23はブームシリンダ23aを伸縮させることで、ブラケット22に対して回動させることができる。バケット24はバケットシリンダ24aを伸縮させることで、ブーム23に対して回動させることができる。このように、ブーム23及びバケット24を適宜回動させながら土砂の運搬作業等を行うことができる。
【0031】
次に、
図2から
図8までを用いて、メインフレーム21の詳細な構成について説明する。
以下では、左右一対のメインフレーム21のうち、右側に配置されるものをメインフレーム21R、左側に配置されるものをメインフレーム21Lと称する。まずは、
図2から
図7までを用いて、メインフレーム21Rの構成について説明する。
【0032】
メインフレーム21Rは、ブラケット22を介してブーム23を支持するものである。メインフレーム21Rは、主として固定フレーム110、連結フレーム120及び支持フレーム130を具備する。
【0033】
固定フレーム110は、車体1に固定される部分である。固定フレーム110は、主として前側板状部111、傾斜部112、後側板状部113、前側貫通孔群114及び後側貫通孔群115を具備する。
【0034】
前側板状部111は、固定フレーム110の前部を形成する部分である。前側板状部111は、左右方向に対して垂直な板状に形成される。
【0035】
傾斜部112は、固定フレーム110の前後中途部を形成する部分である。傾斜部112は、前側板状部111の後端から右後方に向かって延びる板状に形成される。傾斜部112は、前後方向に対して所定の角度A1だけ傾斜するように形成される(
図7参照)。
【0036】
後側板状部113は、固定フレーム110の後部を形成する部分である。後側板状部113は、傾斜部112の後端から後方に向かって延びるように形成される。すなわち、後側板状部113は、左右方向に対して垂直(前側板状部111と平行)に形成される。後側板状部113の前後中途部(前端部近傍)は、側面視において上方に向かって突出するように形成される。
【0037】
前側板状部111、傾斜部112及び後側板状部113は、一枚の板材を適宜折り曲げることで、一体的に形成される。傾斜部112が前後方向に対して傾斜しているため、後側板状部113は、前側板状部111に対して幅W1だけ外側(右方)に変位した位置に配置される(
図7参照)。
【0038】
前側貫通孔群114は、複数の前側貫通孔114aを具備する。
前側貫通孔114aは、固定フレーム110を左右方向に貫通するように形成される円形の孔である。前側貫通孔114aは、固定フレーム110の前部(前側板状部111)に、互いに適宜間隔をあけて5つ形成される。前側貫通孔114aには、固定フレーム110を機体フレーム2に固定するためのボルトが挿通される。
【0039】
後側貫通孔群115は、複数の後側貫通孔115a及び小径貫通孔115bを具備する。
後側貫通孔115aは、固定フレーム110を左右方向に貫通するように形成される円形の孔である。後側貫通孔115aの内径は、前側貫通孔114aの内径と同一となるように形成される。後側貫通孔115aは、固定フレーム110の後部(後側板状部113の後部)に、互いに適宜間隔をあけて5つ形成される。後側貫通孔115aには、固定フレーム110を間接フレーム25に固定するためのボルトが挿通される。
【0040】
小径貫通孔115bは、固定フレーム110を左右方向に貫通するように形成される円形の孔である。小径貫通孔115bの内径は、後側貫通孔115aの内径よりも若干小さくなるように形成される。小径貫通孔115bは、後側板状部113の後部に形成される。小径貫通孔115bは、少なくとも1つの後側貫通孔115aよりも上方に形成される。小径貫通孔115bは、少なくとも1つの後側貫通孔115aよりも前方に形成される。小径貫通孔115bには、固定フレーム110を間接フレーム25に固定するためのスタッドボルトが挿通される。
【0041】
このように、スタッドボルトを挿通するための小径貫通孔115bは、後側貫通孔群115の後端及び下端を避けて配置される。これによって、通常のボルトに比べて強度の低いスタッドボルトに過剰な負荷が加わるのを防止することができる。
【0042】
連結フレーム120は、固定フレーム110と後述する支持フレーム130とを連結するものである。連結フレーム120は、軸線方向を左右方向に向けた略円筒状に形成される。連結フレーム120の左端は固定フレーム110に挿通され、当該固定フレーム110に適宜固定される。より具体的には、連結フレーム120の左端は、後側板状部113の前上部に挿通され、当該後側板状部113に溶接によって固定される。
【0043】
支持フレーム130は、ブラケット22を介してブーム23を支持する部分である。支持フレーム130は、左右方向に対して垂直な板状に形成される。支持フレーム130は、長手方向を上下方向に向けて配置される。支持フレーム130の下部には連結フレーム120の右端が挿通され、当該支持フレーム130と連結フレーム120とが溶接によって固定される。支持フレーム130には、支持溝131及びボス部132が形成される。
【0044】
支持溝131は、支持フレーム130の上下中途部に形成される。支持溝131は、上方に向かって開放された形状(側面視U字状)に形成される。
【0045】
ボス部132は、支持フレーム130の上部(支持溝131の後上方)に形成される。ボス部132は、軸線方向を左右方向に向けた略円筒状に形成される。
【0046】
次に、
図6を用いて、上述の如く構成されたメインフレーム21Rの後側貫通孔群115の位置について、より詳細に説明する。
【0047】
後側貫通孔群115は、前側貫通孔群114よりも低い位置に形成されている。
具体的には、後側貫通孔115aのうち最も高い位置に形成された後側貫通孔115a(
図6における後側貫通孔115aH)と、前側貫通孔114aのうち最も高い位置に形成された前側貫通孔114a(
図6における前側貫通孔114aH)とを比較した場合、後側貫通孔115aHの方が、前側貫通孔114aHよりも低い位置に形成されている。
【0048】
また、後側貫通孔115aのうち最も低い位置に形成された後側貫通孔115a(
図6における後側貫通孔115aL)と、前側貫通孔114aのうち最も低い位置に形成された前側貫通孔114a(
図6における前側貫通孔114aL)とを比較した場合、後側貫通孔115aLの方が、前側貫通孔114aLよりも低い位置に形成されている。
【0049】
このように、後側貫通孔群115が形成される範囲(上下方向範囲)は、前側貫通孔群114が形成される範囲よりも低い位置に位置している。
【0050】
また、後側貫通孔群115は、連結フレーム120の中心(上下方向中央)よりも低い位置に形成されている。具体的には、後側貫通孔115aHの中心C1(
図6参照)と、連結フレーム120の中心C2とを比較した場合、後側貫通孔115aHの中心C1の方が、連結フレーム120の中心C2よりも低い位置に形成されている。
【0051】
次に、
図7及び
図8を用いて、左右一対のメインフレーム21のうち、左側に配置されるメインフレーム21Lの構成について説明する。
【0052】
メインフレーム21Lは、ブラケット22を介してブーム23を支持するものである。メインフレーム21Lは、主として固定フレーム210、連結フレーム120及び支持フレーム130を具備する。
なお、メインフレーム21Lの連結フレーム120及び支持フレーム130は、メインフレーム21Rの連結フレーム120及び支持フレーム130と左右対称であるため、説明を省略する。
【0053】
固定フレーム210は、車体1に固定される部分である。固定フレーム210は、主として前側板状部211、傾斜部212、後側板状部213、前側貫通孔群214及び後側貫通孔群215を具備する。
【0054】
前側板状部211は、固定フレーム210の前部を形成する部分である。前側板状部211は、左右方向に対して垂直な板状に形成される。前側板状部211の前後方向長さは、メインフレーム21Rの前側板状部111の前後方向長さよりも若干長くなるように形成される。
【0055】
傾斜部212は、固定フレーム210の前後中途部を形成する部分である。傾斜部212は、前側板状部211の後端から左後方に向かって延びる板状に形成される。傾斜部212は、前後方向に対して所定の角度A1だけ傾斜するように形成される(
図7参照)。すなわち、傾斜部212の傾斜角度(角度A1)は、メインフレーム21Rの傾斜部112の傾斜角度と同一となる。傾斜部212の前後方向長さL2は、メインフレーム21Rの傾斜部112の前後方向長さL1よりも短くなるように形成される(
図7参照)。
【0056】
後側板状部213は、固定フレーム210の後部を形成する部分である。後側板状部213は、傾斜部212の後端から後方に向かって延びるように形成される。すなわち、後側板状部213は、左右方向に対して垂直(前側板状部211と平行)に形成される。後側板状部213の前後中途部(前端部近傍)は、側面視において上方に向かって突出するように形成される。後側板状部213の前後方向長さは、メインフレーム21Rの後側板状部213の前後方向長さよりも長くなるように形成される。
【0057】
前側板状部211、傾斜部212及び後側板状部213は、一枚の板材を適宜折り曲げることで、一体的に形成される。傾斜部212が前後方向に対して傾斜しているため、後側板状部213は、前側板状部211に対して幅W2だけ外側(左方)に変位した位置に配置される(
図7参照)。なお、傾斜部212の前後方向長さL2はメインフレーム21Rの傾斜部112の前後方向長さL1よりも短いため、幅W2は幅W1よりも小さくなる。
【0058】
前側貫通孔群214は、複数の前側貫通孔214aを具備する。
前側貫通孔214aは、固定フレーム210を左右方向に貫通するように形成される円形の孔である。前側貫通孔214aは、固定フレーム210の前部(前側板状部211)に、互いに適宜間隔をあけて5つ形成される。前側貫通孔214aは、メインフレーム21Rの前側貫通孔114aと左右対称となる位置に形成される。前側貫通孔214aには、固定フレーム210を機体フレーム2に固定するためのボルトが挿通される。
【0059】
後側貫通孔群215は、複数の後側貫通孔215aを具備する。
後側貫通孔215aは、固定フレーム210を左右方向に貫通するように形成される円形の孔である。後側貫通孔215aの内径は、前側貫通孔214aの内径よりも若干小さくなるように形成される。後側貫通孔215aは、固定フレーム210の後部(後側板状部213の後部)に、互いに適宜間隔をあけて5つ形成される。後側貫通孔215aには、固定フレーム210をトランスミッションケース4に固定するためのボルトが挿通される。
【0060】
このように構成された固定フレーム210の前後方向長さは、メインフレーム21Rの固定フレーム110の前後方向長さよりも長くなるように形成されている。すなわち、
図7に示すように、固定フレーム110の前端と固定フレーム210の前端の前後方向位置を揃えた場合には、固定フレーム110の後端が、固定フレーム210の後端よりも前方に位置することになる。
【0061】
次に、
図9及び
図10を用いて、上述の如く構成されたメインフレーム21を介してフロントローダ20を車体1に組み付ける方法について説明する。
【0062】
まず、
図9に示すように、トランスミッションケース4の前部右側面に、間接フレーム25の後部が固定される。これによって、間接フレーム25は左右方向に対して垂直に配置される。間接フレーム25の前部は、トランスミッションケース4よりも前方(エンジン3の側方)まで延びるように配置される。
【0063】
次に、間接フレーム25の右方から、SCR8及びマフラ9がトランスミッションケース4に固定される。この際、SCR8の下部から左方に延びるように形成されたブラケット8aが、トランスミッションケース4の底面に固定される。
【0064】
次に、
図10に示すように、メインフレーム21が車体1の左右にそれぞれ固定される。具体的には、左側のメインフレーム21Lの前側板状部211は、機体フレーム2の左側面に当接され、ボルトによって固定される。また後側板状部213は、トランスミッションケース4の左側面に当接され、ボルトによって固定される。
【0065】
また、右側のメインフレーム21Rの前側板状部111は、機体フレーム2の右側面に当接され、ボルトによって固定される。また後側板状部113は、間接フレーム25の右側面の前部に当接され、ボルトによって固定される。後側板状部113を間接フレーム25に当接させる際には、当該間接フレーム25に設けられたスタッドボルトを小径貫通孔115b(
図6参照)に挿通することで、メインフレーム21Rの位置決めを容易に行うことができる。当該スタッドボルトには、メインフレーム21Rの外側(右側)からナットが締結される。
【0066】
このように、車体1の右側にはSCR8及びマフラ9が設けられているが、右側のメインフレーム21Rの後端は、左側のメインフレーム21Lの後端よりも前方に位置しているため、組み付けの際に当該SCR8等との干渉を避け易い。また、メインフレーム21Rの後側貫通孔群115は、前側貫通孔群114や連結フレーム120の中心C2よりも低い位置に配置されているため、当該後側貫通孔群115のボルト等の締結作業の際に、SCR8等との干渉を避け易い。
【0067】
また、右側のメインフレーム21Rの後側板状部113は、前側板状部111に対して幅W1(幅W2よりも大きい幅)だけ外側に変位している。これによって、メインフレーム21Rとトランスミッションケース4との間に、間接フレーム25を配置するためのスペースを確保することができる。
【0068】
このようにして、車体1に取り付けられたメインフレーム21に、ブラケット22を介してブーム23が支持される。具体的には、
図2及び
図4に示すように、ブラケット22の下部に設けられた支持軸22aが、支持フレーム130の支持溝131に挿通される。この状態で、ブラケット22の上下中途部に設けられたボス部22bが、支持フレーム130のボス部132と同一軸線上に位置するように調節され、当該ボス部22b及びボス部132にピン(不図示)が挿通される。これによって、ブラケット22が支持フレーム130に連結される。
【0069】
なお、本実施形態に係る固定フレーム210は、本発明に係る第一固定フレームの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る固定フレーム110は、本発明に係る第二固定フレームの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前側板状部211は、本発明に係る第一前側板状部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後側板状部213は、本発明に係る第一後側板状部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前側板状部111は、本発明に係る第二前側板状部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後側板状部113は、本発明に係る第二後側板状部の実施の一形態である。
【0070】
本実施形態において、第二後側板状部の前後中途部は、上方に向かって突出するように形成される。
これによって、車体に設けられる部材との干渉を適宜回避することができる。また、連結フレームをより高い位置に設けることができる。
【0071】
また、前側貫通孔は、第二固定フレームの前部(第二前側板状部)に、互いに間隔をあけて複数形成される。具体的には、前側貫通孔は、5つ形成される。
これによって、第二固定フレームを車体に対して適切に固定することができる。
【0072】
また、後側貫通孔は、第二固定フレームの後部(第二後側板状部)に、互いに間隔をあけて複数形成される。具体的には、後側貫通孔は、5つ形成される。
これによって、第二固定フレームを車体に対して適切に固定することができる。
【0073】
また、複数の後側貫通孔のうち最も高い位置に形成された後側貫通孔は、複数の前側貫通孔のうち最も高い位置に形成された前側貫通孔よりも低い位置に形成される。
これによって、連結フレーム等との干渉が避け易くなり、ボルトの締結作業を行い易くすることができる。
【0074】
また、複数の後側貫通孔のうち最も低い位置に形成された後側貫通孔は、複数の前側貫通孔のうち最も低い位置に形成された前側貫通孔よりも低い位置に形成される。
これによって、連結フレーム等との干渉が避け易くなり、ボルトの締結作業を行い易くすることができる。
【0075】
また、後側貫通孔群が形成される上下方向範囲は、前側貫通孔群が形成される上下方向範囲よりも低い位置に位置している。
これによって、連結フレーム等との干渉が避け易くなり、ボルトの締結作業を行い易くすることができる。
【0076】
また、複数の後側貫通孔のうち最も高い位置に形成された後側貫通孔の中心は、連結フレームの中心よりも低い位置に形成される。
これによって、連結フレーム等との干渉が避け易くなり、ボルトの締結作業を行い易くすることができる。
【0077】
また、第一前側板状部の前後方向長さは、第二前側板状部の前後方向長さよりも長くなるように形成される。
これによって、車体が左右非対称に形成されている場合であっても、第一固定フレーム及び第二固定フレームを車体に対して適切に固定することができる。
【0078】
また、第一後側板状部の前後方向長さは、第二後側板状部の前後方向長さよりも長くなるように形成される。
これによって、車体が左右非対称に形成されている場合であっても、第一固定フレーム及び第二固定フレームを車体に対して適切に固定することができる。
【0079】
また、第一固定フレームは、第一前側板状部と第一後側板状部とを連結するように形成され、前後方向に対して第一所定角度(角度A1)だけ傾斜するように形成される第一傾斜部(傾斜部212)を具備し、第二固定フレームは、第二前側板状部と第二後側板状部とを連結するように形成され、前後方向に対して前記第一所定角度だけ傾斜するように形成される第二傾斜部(傾斜部112)を具備する。
これによって、第一傾斜部及び第二傾斜部の傾斜角度を揃えることができ、第一固定フレーム及び第二固定フレームを容易に製造することができる。
【0080】
また、第二傾斜部は、その前後方向長さが前記第一傾斜部の前後方向長さよりも長くなるように形成される。
これによって、第二前側板状部に対する第二後側板状部の外側への変位量を、第一前側板状部に対する第一後側板状部の外側への変位量よりも大きくすることができる。従って、第二後側板状部と車体との間に、他の部材を配置するスペースを確保することができる。
【0081】
また、第一固定フレームの前後方向長さは、第二固定フレームの前後方向長さよりも長くなるように形成される。
これによって、車体が左右非対称に形成されている場合であっても、第一固定フレーム及び第二固定フレームを車体に対して適切に固定することができる。
【0082】
以下では、第二実施形態に係るメインフレーム321R及びメインフレーム321Lについて説明する。まずは、
図11及び
図12を用いて、右側に配置されるメインフレーム321Rの構成について説明する。
【0083】
メインフレーム321Rは、主として固定フレーム310、連結フレーム120及び支持フレーム130を具備する。
なお、メインフレーム321Rの連結フレーム120及び支持フレーム130は、第一実施形態に係るメインフレーム21Rの連結フレーム120及び支持フレーム130と同一であるため、説明を省略する。
【0084】
固定フレーム310は、車体1に固定される部分である。固定フレーム310は、主として前側板状部311、傾斜部312、後側板状部313、前側貫通孔群314及び後側貫通孔群315を具備する。
なお、前側板状部311、傾斜部312、後側板状部313、前側貫通孔群314及び後側貫通孔群315の構成は、それぞれ第一実施形態に係る前側板状部111、傾斜部112、後側板状部113、前側貫通孔群114及び後側貫通孔群115の構成と類似している。よって以下では、主に第一実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0085】
傾斜部312は、前側板状部311の後端から右後方に向かって延びる板状に形成される。傾斜部312は、前後方向に対して所定の角度A2だけ傾斜するように形成される(
図12参照)。
【0086】
後側板状部313は、傾斜部312の後端から後方に向かって延びるように形成される。後側板状部313の後端部近傍は、前端部近傍に比べて低い位置に位置するように形成される。
【0087】
傾斜部312が前後方向に対して傾斜しているため、後側板状部313は、前側板状部311に対して幅W3だけ外側(右方)に変位した位置に配置される(
図12参照)。
【0088】
前側貫通孔群314は、複数の前側貫通孔314aを具備する。
前側貫通孔314aは、固定フレーム310の前端部近傍から前後中途部まで(前側板状部311及び後側板状部313)に亘って、互いに適宜間隔をあけて6つ形成される。具体的には、前側板状部311に4つの前側貫通孔314aが、後側板状部313の前端部近傍(連結フレーム120よりも前方)に2つの前側貫通孔314aが、それぞれ形成される。
なお、後側板状部313の左側面のうち、前側貫通孔314aに対応する部分には、側面視略矩形状に形成された板材313aが溶接等により固定される。前側貫通孔314aは、当該板材313aを貫通するように形成される。
【0089】
後側貫通孔群315は、第一実施形態と同様に、複数の後側貫通孔315a及び小径貫通孔315bを具備する。
【0090】
上述の如く構成されたメインフレーム321Rの後側貫通孔群315は、前側貫通孔群314よりも低い位置に形成されている。すなわち、後側貫通孔群315が形成される範囲(上下方向範囲)は、前側貫通孔群314が形成される範囲よりも低い位置に位置している。また、後側貫通孔群315は、連結フレーム120の中心(上下方向中央)よりも低い位置に形成されている。
【0091】
次に、
図12及び
図13を用いて、左側に配置されるメインフレーム321Lの構成について説明する。
【0092】
メインフレーム321Lは、主として固定フレーム410、連結フレーム120及び支持フレーム130を具備する。
なお、メインフレーム321Lの連結フレーム120及び支持フレーム130は、メインフレーム321Rの連結フレーム120及び支持フレーム130と左右対称であるため、説明を省略する。
【0093】
固定フレーム410は、車体1に固定される部分である。固定フレーム410は、主として前側板状部411、傾斜部412、後側板状部413、前側貫通孔群414及び後側貫通孔群415を具備する。
なお、前側板状部411、傾斜部412、後側板状部413、前側貫通孔群414及び後側貫通孔群415の構成は、それぞれ第一実施形態に係る前側板状部211、傾斜部212、後側板状部213、前側貫通孔群214及び後側貫通孔群215の構成と類似している。よって以下では、主に第一実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0094】
前側板状部411の前後方向長さは、メインフレーム321Rの前側板状部311の前後方向長さと略同一となるように形成される。
【0095】
傾斜部412は、前側板状部411の後端から左後方に向かって延びる板状に形成される。傾斜部412は、前後方向に対して所定の角度A3だけ傾斜するように形成される(
図12参照)。傾斜部412の傾斜角度(角度A3)は、メインフレーム321Rの傾斜部312の傾斜角度(角度A2)よりも小さくなるように形成される。傾斜部412の前後方向長さは、メインフレーム321Rの傾斜部312の前後方向長さと略同一となるように形成される(
図12参照)。
【0096】
後側板状部413は、傾斜部412の後端から後方に向かって延びるように形成される。後側板状部413の後端部近傍は、前端部近傍に比べて低い位置に位置するように形成される。
【0097】
傾斜部412が前後方向に対して傾斜しているため、後側板状部413は、前側板状部411に対して幅W4だけ外側(左方)に変位した位置に配置される(
図12参照)。なお、傾斜部412の傾斜角度(角度A3)はメインフレーム321Rの傾斜部312の傾斜角度(角度A2)よりも小さいため、幅W4は幅W3よりも小さくなる。
【0098】
前側貫通孔群414は、複数の前側貫通孔414aを具備する。
前側貫通孔414aは、固定フレーム410の前端部近傍から前後中途部まで(前側板状部411及び後側板状部413)に亘って、互いに適宜間隔をあけて6つ形成される。前側貫通孔414aは、メインフレーム321Rの前側貫通孔314aと左右対称となる位置に形成される。
【0099】
後側貫通孔群415は、複数の後側貫通孔415aを具備する。
後側貫通孔415aは、固定フレーム410の後部(後側板状部413の後部)に、互いに適宜間隔をあけて6つ形成される。
【0100】
このように構成された固定フレーム410の前後方向長さは、メインフレーム321Rの固定フレーム310の前後方向長さよりも長くなるように形成されている。
【0101】
次に、
図14を用いて、上述の如く構成されたメインフレーム321R及びメインフレーム321Lを車体1に組み付ける方法について説明する。
【0102】
まず、第一実施形態と同様に、トランスミッションケース4の前部右側面に、間接フレーム25の後部が固定される。これによって、間接フレーム25は左右方向に対して垂直に配置される。間接フレーム25の前部は、トランスミッションケース4よりも前方(エンジン3の側方)まで延びるように配置される。
【0103】
次に、第一実施形態と同様に、間接フレーム25の右方から、SCR8及びマフラ9がブラケット8aを介してトランスミッションケース4に固定される。
【0104】
次に、メインフレーム321R及びメインフレーム321Lが車体1の左右にそれぞれ固定される。具体的には、左側のメインフレーム321Lの前側板状部411は、機体フレーム2の左側面に当接され、ボルトによって固定される。この際、後側板状部413(後側板状部413に形成された前側貫通孔414a(
図13参照))と機体フレーム2とは離間することになる。このため、後側板状部413と機体フレーム2との間(当該前側貫通孔414aに対応する部分)には、隙間を埋めるための直方体状のスペーサ326が配置される。
【0105】
また、右側のメインフレーム321Rの前側板状部311は、機体フレーム2の右側面に当接され、ボルトによって固定される。また後側板状部313は、間接フレーム25の右側面の前部に当接され、ボルトによって固定される。この際、後側板状部313(後側板状部313に形成された前側貫通孔314a(
図11参照))と機体フレーム2とは離間することになる。このため、後側板状部313と機体フレーム2との間(当該前側貫通孔314aに対応する部分)には、隙間を埋めるための直方体状のスペーサ326が配置される。
【0106】
なお、本実施形態に係るスペーサ326は、本発明に係る間接部材の実施の一形態である。
【0107】
本実施形態において、第二後側板状部の後端部近傍は、前端部近傍に比べて低い位置に位置するように形成される。
これによって、車体に設けられる部材との干渉を適宜回避することができる。
【0108】
また、前側貫通孔は、第二前側板状部及び第二後側板状部にそれぞれ形成される。具体的には、前側貫通孔は、第二前側板状部に4つ、第二後側板状部の前端部近傍(連結フレームよりも前方)に2つ、形成される。
これによって、第二固定フレームを車体に対して適切に固定することができる。
【0109】
また、第一固定フレームは、第一前側板状部と第一後側板状部とを連結するように形成され、前後方向に対して第二所定角度(角度A3)だけ傾斜するように形成される第一傾斜部(傾斜部412)を具備し、第二固定フレームは、第二前側板状部と第二後側板状部とを連結するように形成され、前後方向に対して第三所定角度(角度A2)だけ傾斜するように形成され、その前後方向長さが前記第一傾斜部の前後方向長さと略同一となるように形成される第二傾斜部(傾斜部312)を具備する。
これによって、第一傾斜部及び第二傾斜部の前後方向長さを揃えることができ、第一固定フレーム及び第二固定フレームを容易に製造することができる。
【0110】
また、前記第二所定角度(角度A3)は、前記第三所定角度(角度A2)よりも小さくなるように形成される。
これによって、第二前側板状部に対する第二後側板状部の外側への変位量を、第一前側板状部に対する第一後側板状部の外側への変位量よりも大きくすることができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0112】
例えば、上記実施形態においては、フロントローダ20を備える作業車両としてトラクタを例示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、フロントローダ20を備えるトラクタの構成は、本実施形態に係るものに限らない。また、フロントローダ20を備える作業車両は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であっても良い。
【0113】
また、フロントローダの構成は上記実施形態に限るものではなく、各部の形状や大きさ等は適宜変更することが可能である。
【0114】
また、上記実施形態においては、車体1の右側に配置されるメインフレーム(例えば、メインフレーム21R(
図7等参照))の後端が、左側に配置されるメインフレーム(例えば、メインフレーム21L)の後端よりも前方に位置するように形成されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、車体1の左側に配置されるメインフレームの後端が、右側に配置されるメインフレームの後端よりも前方に位置するように形成されても良い。
【0115】
また、ボルト(スタッドボルト)を挿通するための貫通孔(例えば、前側貫通孔114a(
図6参照)等)の数や位置は適宜変更することが可能である。例えば、強度が確保できるのであれば、当該貫通孔の数を削減することも可能である。