特開2016-216934(P2016-216934A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-216934(P2016-216934A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/04 20060101AFI20161125BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20161125BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20161125BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   E04B1/04 J
   G21F9/36 541M
   E04B1/24 B
   G21F9/36 541A
   E04H1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-100040(P2015-100040)
(22)【出願日】2015年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】松森 博孝
(72)【発明者】
【氏名】門脇 秀宜
(57)【要約】
【課題】プレキャスト版間の目地部の幅を縮小することができる構造物を提供する。
【解決手段】鉄骨造の柱21および梁22を有する構造部2と、構造部2を囲繞するように目地部32を介して配列された複数のプレキャスト版31,31…からなる外壁部3と、を備え、構造部2には、上下に配置された梁22の間に中間梁23が設けられていて、プレキャスト版31,31…は、上端部31a近傍および下端部31b近傍の一方が梁22に固定され、他方が中間梁23に固定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨造の柱および梁を有する構造部と、
該構造部を囲繞するように目地部を介して配列された複数のプレキャスト版からなる外壁部と、を備え、
前記構造部には、上下に配置された前記梁の間に中間梁が設けられていて、
前記プレキャスト版は、上端部近傍および下端部近傍の一方が前記梁に固定され、他方が前記中間梁に固定されていることを特徴とする構造物。
【請求項2】
前記中間梁は、階高の1/2の高さに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項3】
前記プレキャスト版は、端部に外側に突出する突出部が形成されていて、前記目地部を介して隣り合う前記プレキャスト版は、それぞれの突出部が厚さ方向に重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性固体廃棄物を貯蔵するための構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射性固体廃棄物を貯蔵する貯蔵施設が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
このような貯蔵施設を原子力発電所内に建設する場合、作業員の被ばく量の低減を図るため、原子力発電所内における建設工期を短縮する必要がある。このため、貯蔵施設は工場生産を多く採用できる構造で建設されること望ましい。例えば、貯蔵施設の構造部を鉄骨造の柱、梁およびブレースを有する鉄骨ブレース構造とし、この構造部を囲繞する外壁部を複数のプレキャスト版とすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−219325号公報
【特許文献2】特開2014−228365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外壁部を複数のプレキャスト版とする場合、地震などによる構造物の変位に追従できるように隣り合うプレキャスト版の間に目地部を設ける必要がある。構造物が大規模で階高が高い場合には、プレキャスト版が地震などによる構造物の変位に追従できるようにするために目地部の幅も大きくなる。
しかしながら、目地部は、プレキャスト版と比べて放射線の遮蔽性能が低いため、目地部の幅が大きい場合は、プレキャスト版を厚くするなどの対応を行う必要がある。
このため、プレキャスト版間の目地部の幅を縮小することができる構造物が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、プレキャスト版間の目地部の幅を縮小することができる構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る構造物は、鉄骨造の柱および梁を有する構造部と、該構造部を囲繞するように目地部を介して配列された複数のプレキャスト版からなる外壁部と、を備え、前記構造部には、上下に配置された前記梁の間に中間梁が設けられていて、前記プレキャスト版は、上端部近傍および下端部近傍の一方が前記梁に固定され、他方が前記中間梁に固定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、構造部に中間梁が設けられて、プレキャスト版の上端部近傍および下端部近傍の一方が梁に固定され、他方が中間梁に固定されている。これにより、本発明では、構造部に中間梁が設けられておらずプレキャスト版の上端部近傍および下端部近傍が上下に配置された梁にそれぞれ固定されている構造物と比べて、プレキャスト版の上下方向の寸法を小さくすることができ、プレキャスト版の上下方向の支持間距離を小さくすることができる。そして、本発明では、構造部に中間梁が設けられておらずプレキャスト版の上端部近傍および下端部近傍が上下に配置された梁にそれぞれ固定されている構造物と比べて、プレキャスト版の上下方向の支持間における地震などによる構造部の変位量が小さくなるため、プレキャスト版間の目地部の幅を縮小することができる。
また、本発明では、構造部に中間梁が設けられておらずプレキャスト版の上端部近傍および下端部近傍が上下に配置された梁にそれぞれ固定されている構造物と比べて、プレキャスト版の上下方向の寸法を小さくできるため、プレキャスト版を構造部に固定するための固定部材を縮小できるとともに、プレキャスト版の運搬や管理を容易に行うことができて、建設工期を短縮することができる。
また、中間梁が設けられることにより、構造部を強固な構造とすることができる。
【0008】
また、本発明に係る構造物では、前記中間梁は、階高の1/2の高さに設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、プレキャスト版の上下方向の寸法が均等となり、それぞれのプレキャスト版の形状のパターンを少なくすることができるため、プレキャスト版の製造や管理を容易に行うことができて、建設工期を短縮することができる。
【0009】
また、本発明に係る構造物では、前記プレキャスト版は、端部に外側に突出する突出部が形成されていて、前記目地部を介して隣り合う前記プレキャスト版は、それぞれの突出部が厚さ方向に重なる位置に配置されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、外壁部の目地部が形成されている部分の放射線の遮蔽性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プレキャスト版間の目地部の幅を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による構造物の一例を示す平面図である。
図2図1のA部分の1階部分の斜視図である。
図3】本実施形態による構造物の外壁部を説明する図である。
図4】(a)はプレキャスト版の正面図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)は水平方向に配列されたプレキャスト版を説明する図である。
図5】中間梁が設けられていない構造物の外壁部を説明する図である。
図6】本実施形態の変形例によるプレキャスト版を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による構造物について、図1乃至図5に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による構造物1は、放射性固体廃棄物を貯蔵するための貯蔵施設で、原子力発電所内に建設されている。
構造物1は、鉄骨造の構造部2と、構造部2を囲繞する外壁部3と、を有している。本実施形態では、構造物1は、複数階を有する建物で、平面視において略長方形状に形成されている。
なお、本実施形態では、構造部2が地震に対する耐震機能を有し、外壁部3が放射線を遮蔽する機能を有している。
【0013】
図2に示すように、構造部2は、柱21と、梁22と、上下の梁22の間に設けられた中間梁23と、ブレース24と、を有している。
柱21は、例えばH形鋼などの形鋼で構成され、水平面内において直交するX方向(図1の左右方向)およびY方向(図1の上下方向)に略等間隔をあけて配列されている。柱21は、図示しない基礎部に立設されている。
【0014】
梁22は、例えばH形鋼などなどの形鋼で構成され、X方向およびY方向に隣り合う柱21,21間にそれぞれ設けられていて、両端部が柱21,21に接合されている。梁22は、上下方向に間隔をあけて配列されていて、上下の梁22,22間寸法は、対応する階の階高Hと略同じ寸法となっている。なお、最上階の梁22の上部には図示しない屋根部が設けられている。
【0015】
中間梁23は、例えばH形鋼などの形鋼で構成され、X方向およびY方向に隣り合う柱21,21間にそれぞれ設けられていて、両端部が柱21,21に接合されている。中間梁23は、上下に隣り合う梁22,22の間の略中央部で階高Hの略1/2の高さ(H/2)となる位置に配置されている。このため、梁22と中間梁23とは、上下方向に交互に配列されている。
ブレース24は、例えばL形鋼などの形鋼や、鋼線などで構成され、柱21および梁22、または柱21および中間梁23にそれぞれ接合されている。なお、ブレース24が設けられる位置や数は適宜設定されてよい。
【0016】
図3に示すように、外壁部3は、構造部2を囲繞するように水平方向および上下方向配列された複数のプレキャスト版31,31…と、水平方向および上下方向に隣り合うプレキャスト版31,31間にそれぞれ設けられた目地部32と、を有している。プレキャスト版31は、所定の放射線量を遮蔽可能な厚さに形成されている。
プレキャスト版31は、板面が略長方形状に形成されていて、板面の幅寸法(水平方向の寸法)が柱21,21間の寸法の略1/4の寸法で、高さ寸法(上下方向の寸法)が階高Hの略1/2の寸法(H/2)となるように形成されている。
【0017】
プレキャスト版31は、隣り合う柱21,21の間で上下方向に隣り合う梁22と中間梁23との間の領域に、それぞれ水平方向に4枚ずつ配置されている。プレキャスト版31は、上端部31a近傍および下端部31b近傍のいずれか一方が梁22に固定され、他方が中間梁23に固定されている。プレキャスト版31は、梁22および中間梁23にファスナー材などの固定部材(不図示)で固定されている。
なお、プレキャスト版31のうちの一部は、柱21に固定されていてもよい。
【0018】
図4(a)、(b)に示すように、プレキャスト版31は、幅方向の両端部それぞれに上下方向全体にわたって幅方向の外側に突出する突出部31c,31cが形成されている。突出部31c,31cは、プレキャスト版31の外縁部のうちの厚さ方向の一方側または他方側に形成されている。
厚さ方向の一方側に突出部31c,31cが形成されたプレキャスト版31には、突出部31c,31cの厚さ方向の他方側にそれぞれ空部31d,31dが形成されている。また。厚さ方向の他方側に突出部31c,31cが形成されたプレキャスト版31には、突出部31c,31cの厚さ方向の一方側にそれぞれ空部31d,31dが形成されている。
このため、プレキャスト版31の幅方向の両端部は、断面形状がクランク状となっている。
【0019】
ここで、プレキャスト版31のうち、突出部31c,31cが厚さ方向の一方側に形成されているものを第1プレキャスト版31Aとし、他方側に形成されているものを第2プレキャスト版31Bとする。
水平方向に複数のプレキャスト版31,31…が配列される際には、図4(c)に示すように第1プレキャスト版31Aと第2プレキャスト版31Bとが水平方向に交互に配列されている。そして、水平方向に隣り合う第1プレキャスト版31Aと第2プレキャスト版31Bとは、隣り合う側のそれぞれの空部31d,31に隣り合う相手側の突出部31c,31cが配置されている。このため、第1プレキャスト版31Aの突出部31cと第2プレキャスト版31Bの突出部31cとが厚さ方向に重なっている。
なお、第1プレキャスト版31Aの突出部31cと第2プレキャスト版31Bの突出部31cとは当接せず、目地部32が介在している。
【0020】
次に、上述した構造物1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による構造物1は、構造部2に中間梁23が設けられて、プレキャスト版31の上端部31a近傍および下端部31b近傍の一方が梁22に固定され、他方が中間梁23に固定されている。これにより、本実施形態では、図5に示すような構造部2に中間梁23が設けられておらずプレキャスト版131の上端部131a近傍および下端部131b近傍が上下に配置された梁22にそれぞれ固定されている構造物11と比べて、プレキャスト版31の上下方向の寸法を小さくすることができ、プレキャスト版31の上下方向の支持間距離を小さくすることができる。
そして、本実施形態では、構造部2に中間梁23が設けられておらずプレキャスト版131の上端部131a近傍および下端部131b近傍が上下に配置された梁22にそれぞれ固定されている構造物11と比べて、プレキャスト版31の上下方向の支持間における地震などによる構造部2の変位量が小さくなるため、プレキャスト版31,31間の目地部32の幅を縮小することができる。
【0021】
本実施形態では、プレキャスト版31の上下方向の支持間距離が、構造部2に中間梁23が設けられておらずプレキャスト版131の上端部近傍および下端部近傍が上下に配置された梁22にそれぞれ固定されている構造物11のプレキャスト版131の上下方向の支持間距離の略1/2となることにより、支持間における地震などによる構造部2の変位量も略1/2となる。このため、本実施形態では目地部32の幅W1を、構造部2に中間梁23が設けられておらずプレキャスト版131の上端部近傍および下端部近傍が上下に配置された梁22にそれぞれ固定されている構造物11の目地部132の幅W2の略1/2とすることができる。
【0022】
また、本実施形態では、構造部2に中間梁23が設けられておらずプレキャスト版131の上端部131a近傍および下端部131b近傍が上下に配置された梁22にそれぞれ固定されている構造物11と比べて、プレキャスト版31の上下方向の寸法を小さくできるため、プレキャスト版31,31…を構造部2に固定するための固定部材を縮小できるとともに、プレキャスト版31,31…の運搬や管理を容易に行うことができて、建設工期を短縮することができる。
また、構造部2に中間梁23が設けられることにより、構造物1を強固な構造とすることができる。
【0023】
また、中間梁23が階高Hの1/2の高さ(H/2)に設けられていることにより、それぞれのプレキャスト版31の高さ寸法が均等となり、プレキャスト版31の形状のパターンを少なくすることができるため、プレキャスト版31の製造や管理を容易に行うことができて、建設工期を短縮することができる。
【0024】
また、本実施形態では、第1プレキャスト版31Aと第2プレキャスト版31Bとが交互に配列され、第1プレキャスト版31Aの突出部31cと第2プレキャスト版31Bの突出部31cとが厚さ方向に重なっている。これにより、目地部32の厚さ方向の少なくとも一方側にプレキャスト版31の突出部31cが配置されるため、外壁部3の目地部32が形成されている部分の放射線の遮蔽性能を高めることができる。
【0025】
以上、本発明による構造物の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、構造物1は、平面視形状が略長方形状に形成されているが、略長方形状以外に形成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、中間梁23は階高Hの1/2の高さ(H/2)に設けられているが、中間梁23は階高Hの1/2の高さ(H/2)から上側または下側にずれた位置に設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、プレキャスト版31は、隣り合う柱21,21の間で上下方向に隣り合う梁22と中間梁23との間の領域に、それぞれ水平方向に4枚ずつ配置されているが、隣り合う柱21,21の間に配列されるプレキャスト版31の数は適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では、構造部2にはブレース24が設けられているが、設けられていなくてもよい。
【0026】
また、本実施形態では、プレキャスト版31には幅方向の両端部それぞれに突出部31cが形成されているが、突出部31cが形成されていなくてもよい。また、プレキャスト版31の上端部および下端部に上側および下側に突出する突出部が形成されていてもよい。また、突出部は、プレキャスト版31の端部の任意の箇所のみに適宜形成されていてもよい。
【0027】
また、上記の実施形態では、突出部31c,31cが厚さ方向の一方側に形成された第1プレキャスト版31Aと、他方側に形成された第2プレキャスト版31Bとが交互に配置されている。これに対し、図6に示すように、配列されるプレキャスト版31C,31C…には、それぞれ幅方向の一方側の端部に厚さ方向の一方側から突出する突出部31eが形成され、幅方向の他方側の端部に厚さ方向の他方側から突出する突出部31fが形成されていて、目地部32を介して隣り合うプレキャスト版31C,31Cの突出部31e,31fが厚さ方向に重なっていてもよい。
なお、このようなプレキャスト版31C,31C…が配列された外壁部3Cでは、それぞれの目地部32Cの断面形状が同じ形状となるが、上記の実施形態による外壁部3では、目地部32の断面形状がプレキャスト版31の幅方向の両側で異なる形状となる。このため、上記の実施形態では、プレキャスト版31の幅方向の両側の少なくとも1つの側の形状の目地部32と重なる突出部31cが、ある方向に放射された放射線を確実に遮蔽することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 構造物
2 構造部
3,3C 外壁部
21 柱
22 梁
23 中間梁
31,31C プレキャスト版
31a 上端部
31b 下端部
31c,31e,31f 突出部
32 目地部
H 階高
図1
図2
図3
図4
図5
図6