【課題】窓枠に対して回動して開閉する窓を施錠するための窓の施錠機構において、閉じている窓を気密性の高い状態でかつ自動で確実に施錠することが可能な窓の施錠機構を提供する。
【解決手段】この施錠機構は、窓枠側に設けられるカム溝14a〜14cと、窓側に設けられカム溝14a〜14cに係合するカムフォロア15とを備えている。カム溝14a〜14cは、窓が施錠状態となっているときにY方向へのカムフォロア15の移動を規制する移動規制部14g、14j、14nを備えている。カム溝14b、14cは、Z1方向へ相対移動するカムフォロア15を移動規制部14j、14nに向かって案内するガイド部14k、14pを備え、ガイド部14k、14pには、Z2方向側に向かうにしたがってカム溝14b、14cの幅がY2方向側へ段階的に広がるように形成される段差面14m、14q、14rが形成されている。
複数の前記カム溝のうちの少なくとも1つの前記カム溝には、前記窓の下端側から上端側に向かって次第に前記窓が前記窓枠に引き寄せられるように、または、前記窓の上端側から下端側に向かって次第に前記窓が前記窓枠に引き寄せられるように、前記段差面または前記傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項3記載の窓の施錠機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、建設業界では、すべり出し窓で使用される窓のように窓枠に対して回動して開閉する窓を気密性の高い状態でかつ自動で施錠したいとのニーズがある。そこで、本発明の課題は、窓枠に対して回動して開閉する窓を施錠するための窓の施錠機構において、閉じている窓を気密性の高い状態でかつ自動で確実に施錠することが可能な窓の施錠機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の窓の施錠機構は、窓枠に対して回動して開閉する窓を自動で施錠するための窓の施錠機構であって、窓枠側および窓側のいずれか一方側に設けられる複数のカム溝と、窓枠側および窓側のいずれか他方側に設けられ複数のカム溝のそれぞれに係合する複数のカムフォロアと、複数のカム溝が形成されるカム部材または複数のカムフォロアが形成されるフォロア部材を移動させる駆動機構とを備え、駆動機構は、窓枠を構成する縦枠または横枠に沿って、かつ、窓が施錠状態となる施錠位置と窓が解錠状態となる解錠位置との間で、カム部材またはフォロア部材を直線的に移動させ、カム部材またはフォロア部材が解錠位置から施錠位置に向かって移動するときのカム溝に対するカムフォロアの相対移動方向を第1方向とし、第1方向の反対方向を第2方向とし、閉じている状態の窓の厚さ方向であってかつ閉じている窓が開く側の方向を第3方向とし、第3方向の反対方向を第4方向とすると、複数のカム溝は、第3方向および第4方向へのカムフォロアの移動を規制する移動規制部を備え、カム部材またはフォロア部材が施錠位置にあるときには、複数のカム溝のそれぞれの移動規制部にカムフォロアが配置され、複数のカム溝のうちの少なくとも1つのカム溝は、第1方向へ相対移動するカムフォロアを移動規制部に向かって案内するガイド部を備え、ガイド部には、第2方向側に向かうにしたがってカム溝の幅が第3方向側へ段階的に広がるように形成される段差面、または、第2方向側に向かうにしたがってカム溝の幅が第3方向側へ連続的に広がるように形成される傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の窓の施錠機構は、窓枠側および窓側のいずれか一方側に設けられる複数のカム溝と、窓枠側および窓側のいずれか他方側に設けられ複数のカム溝のそれぞれに係合する複数のカムフォロアとを備えている。また、本発明では、複数のカム溝は、第3方向および第4方向へのカムフォロアの移動を規制する移動規制部を備えており、窓が施錠状態となる施錠位置にカム部材またはフォロア部材があるときに、複数のカム溝のそれぞれの移動規制部にカムフォロアが配置されている。そのため、本発明では、窓が施錠状態になっているときに、カムフォロアがカム溝に対してがたつくのを防止することが可能になり、カム溝とカムフォロアとを用いて窓枠と窓とを密着させることが可能になる。したがって、本発明では、閉じている窓を気密性の高い状態で施錠することが可能になる。
【0007】
一方で、施錠位置にカム部材またはフォロア部材があるときに、複数のカム溝のそれぞれの移動規制部にカムフォロアが配置されるため、窓枠に対する窓の取付精度が低い場合や、窓が完全に閉まっていない状態で解錠位置から施錠位置へカム部材またはフォロア部材を移動させた場合に、駆動機構によってカム部材またはフォロア部材を施錠位置へ移動させる際のカム溝の側面とカムフォロアとの接触圧が高くなって、駆動機構の負荷が大きくなるおそれがある。また、駆動機構の負荷が大きくなると、駆動機構によってカム部材またはフォロア部材を施錠位置まで移動させられず、閉じている窓を自動で施錠できないといった事態が生じうる。
【0008】
しかしながら、本発明では、複数のカム溝のうちの少なくとも1つのカム溝は、第1方向へ相対移動するカムフォロアを移動規制部に向かって案内するガイド部を備え、ガイド部には、第2方向側に向かうにしたがってカム溝の幅が第3方向側へ段階的に広がるように形成される段差面、または、第2方向側に向かうにしたがってカム溝の幅が第3方向側へ連続的に広がるように形成される傾斜面が形成されている。そのため、本発明では、窓枠に対する窓の取付精度が低い場合や、窓が完全に閉まっていない状態で解錠位置から施錠位置へカム部材またはフォロア部材を移動させた場合であっても、駆動機構によってカム部材またはフォロア部材を施錠位置へ移動させる際のカム溝の側面とカムフォロアとの接触圧を低減して、駆動機構の負荷を軽減することが可能になる。したがって、本発明では、駆動機構によってカム部材またはフォロア部材を施錠位置まで移動させられず、窓を自動で施錠できないといった事態を回避することが可能になる。すなわち、本発明では、閉じている窓を自動で確実に施錠することが可能になる。
【0009】
本発明において、駆動機構は、カム部材またはフォロア部材に一端側が連結される連結レバーを備え、窓が閉じているときに、カム部材またはフォロア部材に連結される連結レバーの一端側部分、カム溝およびカムフォロアは、外部に露出しないように窓と窓枠との間に配置されていることが好ましい。このように構成すると、犯罪者が、施錠状態にある窓を解錠状態にするためにカム部材やフォロア部材を動かそうとしても、窓枠や窓を破壊しなければ、カム部材またはフォロア部材と、連結レバーの一端側部分とに触れることはできない。したがって、窓が施錠状態であるときに、犯罪者は、カム部材やフォロア部材を容易に動かすことはできない。すなわち、犯罪者は、施錠状態の窓を容易に解錠状態にすることはできない。したがって、防犯効果を高めることが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、複数のカム溝は、縦枠に上下動可能に取り付けられる平板状のカム部材に形成されるとともに、上下方向で間隔をあけた状態で配置され、複数のカムフォロアは、窓の縦框に固定されるとともに、上下方向で間隔をあけた状態で配置され、駆動機構は、カム部材に連結されている。
【0011】
本発明において、複数のカム溝のうちの少なくとも1つのカム溝には、窓の下端側から上端側に向かって次第に窓が窓枠に引き寄せられるように、または、窓の上端側から下端側に向かって次第に窓が窓枠に引き寄せられるように、段差面または傾斜面が形成されていることが好ましい。このように構成すると、窓枠に対する窓の取付精度が低い場合や、窓が完全に閉まっていない状態で解錠位置から施錠位置へカム部材を移動させた場合であっても、駆動機構によってカム部材を施錠位置へ移動させる際のカム溝の側面とカムフォロアとの接触圧を効果的に低減して、駆動機構の負荷を効果的に軽減することが可能になる。
【0012】
本発明において、カム部材には、カム溝として、カム部材の下端側に配置される第1カム溝と、カム部材の上端側に配置される第2カム溝とが形成され、カム溝は、カム部材の第3方向の端面から第4方向側に向かって形成される水平溝部と、水平溝部の第4方向の端部から上側または下側に向かって形成される垂直溝部とによって構成され、第1カム溝の垂直溝部は、移動規制部によって構成され、第2カム溝の垂直溝部は、移動規制部とガイド部とによって構成されていることが好ましい。このように構成すると、第1カム溝がガイド部を備えている場合と比較して、第1カム溝の形状を簡素化することが可能になる。
【0013】
本発明において、カム部材には、カム溝として、上下方向において第1カム溝と第2カム溝との間に配置される第3カム溝が形成され、第3カム溝の垂直溝部は、移動規制部とガイド部とによって構成され、第2カム溝のガイド部には、段差面として、第1段差面と、第1段差面よりも第3方向側に配置される第2段差面とが形成され、第3カム溝のガイド部には、段差面として、窓の厚さ方向において第1段差面と同じ位置に配置される第3段差面が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1カム溝、第2カム溝および第3カム溝のそれぞれの移動規制部と、3個の移動規制部のそれぞれに係合するカムフォロアとを用いて、窓が施錠状態になっているときの窓枠と窓との密着性を高めることが可能になる。また、このように構成すると、駆動機構によってカム部材を施錠位置へ移動させる際に、第1カム溝の移動規制部にカムフォロアが配置され始めるタイミングと、第2カム溝の移動規制部にカムフォロアが配置され始めるタイミングと、第3カム溝の移動規制部にカムフォロアが配置され始めるタイミングとをずらすことが可能になる。したがって、窓枠に対する窓の取付精度が低い場合や、窓が完全に閉まっていない状態で解錠位置から施錠位置へカム部材を移動させた場合であっても、駆動機構によってカム部材を施錠位置へ移動させる際のカム溝の側面とカムフォロアとの接触圧を効果的に低減して、駆動機構の負荷を効果的に軽減することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、窓枠に対して回動して開閉する窓を施錠するための窓の施錠機構において、閉じている窓を気密性の高い状態でかつ自動で確実に施錠することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(すべり出し窓の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる窓の施錠機構1がすべり出し窓4に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すすべり出し窓4を別の方向から示す斜視図である。
【0018】
本形態の窓の施錠機構1(以下、「施錠機構1」とする)は、窓枠2に対して回動して開閉する窓3を自動で施錠するための機構である。この施錠機構1は、窓枠2に対してスライドしながら回動して開閉する窓3を有するすべり出し窓4に取り付けられて使用される。本形態のすべり出し窓4は、窓3が窓枠2に対して水平方向へスライドしながら上下方向を回動の軸方向として回動する縦すべり出し窓である。すべり出し窓4は、すべり出し窓4の気密性を確保するため、閉じている窓3と窓枠2との接触部分に配置されるシール部材(図示省略)を備えている。
【0019】
窓3の下端側には、たとえば、図示を省略する取手が取り付けられており、窓3は手動で開閉される。あるいは、すべり出し窓4の下端側には、窓3の自動開閉機構(図示省略)が設けられており、窓3は自動で開閉する。なお、上下方向における窓3の中心位置や窓3の上端側に取手が取り付けられても良いし、上下方向におけるすべり出し窓4の中心位置やすべり出し窓4の上端側に自動開閉機構が設けられても良い。
【0020】
以下の説明では、閉じている状態の窓3の厚さ方向(すなわち、すべり出し窓4の厚さ方向、
図1等のY方向)を前後方向とし、上下方向(
図1等のZ方向)と前後方向とに直交する方向(
図1等のX方向)を左右方向とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「手前(前)」側、Y2方向側を「奥(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。本形態では、閉じている状態の窓3の左端側に窓枠2に対する窓3の回動中心がある。また、本形態では、閉じている窓3が奥側に向かって押されると窓3が開き、開いている窓3が手前側に向かって引かれると窓3が閉じる。
【0021】
窓枠2は、長方形の枠状に形成されており、2個の縦枠5と2個の横枠6とから構成されている。窓枠2の内側には、窓枠2の内周側へ突出する内枠11が形成されている。内枠11は、長方形の枠状に形成されている。また、内枠11は、前後方向における窓枠2の略中心位置に配置されている。窓3は、窓ガラス7と窓ガラス7を囲む框8とから構成されている。框8は、長方形の枠状に形成されており、2個の縦框9と2個の横框10とから構成されている。窓3は、内枠11よりも奥側に配置されている。
【0022】
(施錠機構の構成)
図3は、
図1のE−E方向からすべり出し窓4の一部を示す図である。
図4は、
図3のF部の、カバー部材27を取り外した状態の拡大図である。
図5は、
図2のG部の拡大図である。
図6は、
図3に示すカム溝14a〜14cの構成を説明するための図である。
図7は、
図1に示すすべり出し窓4において、窓3の下端側は窓枠2に接触しているが窓3の上端側は窓枠2に接触していない状態で窓3を閉めたときのカムフォロア15の動きを説明するための図である。
【0023】
施錠機構1は、窓枠2側に設けられるカム部材14と、窓3側に設けられる複数のカムフォロア15と、カム部材14に連結されるとともにカム部材14を移動させる駆動機構16(
図4参照)とを備えている。カム部材14は、上下方向に細長い略長方形の平板状に形成されている。このカム部材14は、カム部材14の厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。また、カム部材14は、右側に配置される縦枠5の左側面の奥端側部分に取り付けられている。具体的には、カム部材14は、右側に配置される縦枠5の左側面の、内枠11よりも奥側の部分に取り付けられている。カム部材14は、右側に配置される縦枠5の左側面に上下動可能に取り付けられており、駆動機構16は、縦枠5に沿って上下方向へカム部材14を直線的に移動させる。
【0024】
カムフォロア15は、
図5に示すように、円柱状の軸部15aと、軸部15aの両端で径方向の外側へ広がるように形成される鍔部15b、15cとを有する鍔付きの円柱状に形成されている。このカムフォロア15は、窓3が閉じた状態において右側に配置される縦框9の右側面に固定されている。また、カムフォロア15は、窓3が閉じた状態において右側に配置される縦框9の右側面から右側へ突出するように配置されている。すなわち、カムフォロア15は、窓3の幅方向の外側へ突出するように一方の縦框9に固定されている。
図2に示すように、本形態の施錠機構1は、3個のカムフォロア15を備えており、3個のカムフォロア15は、上下方向に一定の間隔をあけた状態で配置されている。鍔部15bは、軸部15aの先端に繋がり、鍔部15cは、軸部15aの基端に繋がっている。
【0025】
カム部材14には、複数のカム溝14a〜14cが形成されている。すなわち、窓枠2側には、複数のカム溝14a〜14cが設けられている。本形態では、3個のカム溝14a〜14cがカム部材14に形成されている。すなわち、カムフォロア15と同数のカム溝14a〜14cがカム部材14に形成されている。3個のカム溝14a〜14cは、上下方向に一定の間隔をあけた状態で配置されている。また、カム溝14a〜14cは、カム部材14の下端側から上端側に向かってこの順番に配置されている。上下方向における3個のカム溝14a〜14cのピッチ(具体的には、カム溝14a〜14cを構成する後述の水平溝部14d〜14fのピッチ)は、上下方向における3個のカムフォロア15のピッチと等しくなっている。
【0026】
窓3が閉じている状態では、3個のカム溝14a〜14cのそれぞれに、3個のカムフォロア15のそれぞれが係合している。具体的には、窓3が閉じている状態では、3個のカムフォロア15の軸部15aのそれぞれが3個のカム溝14a〜14cのそれぞれに係合している。本形態のカム溝14aは、カム部材14の下端側に配置される第1カム溝であり、カム溝14cは、カム部材14の上端側に配置される第2カム溝であり、カム溝14bは、上下方向において、第1カム溝であるカム溝14aと第2カム溝であるカム溝14cとの間に配置される第3カム溝である。
【0027】
カム溝14a〜14cは、カム部材14の奥端面から手前側に向かって形成される水平溝部14d〜14fと、水平溝部14d〜14fの手前端から上側に向かって立ち上がるように形成される垂直溝部14g〜14iとによって構成されており、左右方向から見たときの形状が略L形状となるように形成されている。上下方向における水平溝部14d〜14fの幅は、カムフォロア15の軸部15aの直径よりも大きくかつ鍔部15bの直径よりも小さくなっている。
【0028】
カム溝14aの垂直溝部14gは、前後方向におけるカムフォロア15の移動を規制する移動規制部となっている。すなわち、垂直溝部14gは、移動規制部によって構成されている。したがって、以下では、垂直溝部14gを「移動規制部14g」と表記する。前後方向における移動規制部14gの幅は、軸部15aの直径と略等しくなっており、軸部15aが移動規制部14gに係合すると、カムフォロア15の前後方向の移動が規制される。
【0029】
カム溝14bの垂直溝部14hは、前後方向におけるカムフォロア15の移動を規制する移動規制部14jと、カムフォロア15を移動規制部14jに向かって案内するガイド部14kとによって構成されている。移動規制部14jは、垂直溝部14hの上端側部分を構成している。ガイド部14kは、水平溝部14eの手前端に繋がるとともに移動規制部14jの下端に繋がっており、駆動機構16の動力で下方向へ移動するカム部材14に対して上方向へ相対移動するカムフォロア15を移動規制部14jに向かって案内する機能を果たしている。
【0030】
前後方向における移動規制部14jの幅は、軸部15aの直径と略等しくなっており、軸部15aが移動規制部14jに係合すると、カムフォロア15の前後方向の移動が規制される。また、前後方向におけるガイド部14kの幅は、軸部15aの直径よりも大きくかつ鍔部15bの直径よりも小さくなっている。すなわち、前後方向におけるガイド部14kの幅は、前後方向における移動規制部14jの幅よりも広くなっている。具体的には、移動規制部14jの手前側の側面とガイド部14kの手前側の側面とは同一の平面上に配置され、ガイド部14kの奥側の側面が移動規制部14jの奥側の側面よりも奥側に配置されている。
【0031】
すなわち、ガイド部14kには、下方向に向かうにしたがってカム溝14bの幅(具体的には、垂直溝部14hの幅)が段階的に広がるように形成される段差面14mが形成されている。本形態では、ガイド部14kの奥側の側面が段差面14mとなっており、ガイド部14kには、1個の段差面14mが形成されている。本形態の段差面14mは、第3段差面である。なお、移動規制部14jの奥側の側面の下端と段差面14mの上端とは、左右方向から見たときに上下方向に対して傾斜する傾斜面を介して繋がっている。
【0032】
カム溝14cの垂直溝部14iは、前後方向におけるカムフォロア15の移動を規制する移動規制部14nと、カムフォロア15を移動規制部14nに向かって案内するガイド部14pとによって構成されている。移動規制部14nは、垂直溝部14iの上端側部分を構成している。ガイド部14pは、水平溝部14fの手前端に繋がるとともに移動規制部14nの下端に繋がっており、駆動機構16の動力で下方向へ移動するカム部材14に対して上方向へ相対移動するカムフォロア15を移動規制部14nに向かって案内する機能を果たしている。
【0033】
前後方向における移動規制部14nの幅は、軸部15aの直径と略等しくなっており、軸部15aが移動規制部14nに係合すると、カムフォロア15の前後方向の移動が規制される。また、前後方向におけるガイド部14pの幅は、軸部15aの直径よりも大きくかつ鍔部15bの直径よりも小さくなっている。すなわち、前後方向におけるガイド部14pの幅は、前後方向における移動規制部14nの幅よりも広くなっている。具体的には、移動規制部14nの手前側の側面とガイド部14pの手前側の側面とは同一の平面上に配置され、ガイド部14pの奥側の側面が移動規制部14nの奥側の側面よりも奥側に配置されている。
【0034】
すなわち、ガイド部14pには、下方向に向かうにしたがってカム溝14cの幅(具体的には、垂直溝部14iの幅)が段階的に広がるように形成される段差面14q、14rが形成されている。本形態では、ガイド部14kの奥側の側面に段差面14qと段差面14rとが形成されている。段差面14rは、段差面14qよりも下側かつ奥側に配置されている。本形態の段差面14qは、第1段差面であり、段差面14rは、第2段差面である。なお、移動規制部14nの奥側の側面の下端と段差面14qの上端とは、左右方向から見たときに上下方向に対して傾斜する傾斜面を介して繋がっており、段差面14qの下端と段差面14rの上端とは、左右方向から見たときに上下方向に対して傾斜する傾斜面を介して繋がっている。
【0035】
前後方向において、移動規制部14gと移動規制部14jと移動規制部14nとは同じ位置に配置されている。また、前後方向において、段差面14mと段差面14qとは同じ位置に配置されている。上下方向における垂直溝部14gの長さと垂直溝部14hの長さと垂直溝部14iの長さとは等しくなっている。また、上下方向における段差面14mの幅と段差面14qの幅と段差面14rとの幅は略等しくなっている。すなわち、上下方向における移動規制部14gの長さ、移動規制部14jの長さおよび移動規制部14nの長さはこの順番で次第に短くなっている。なお、段差面14mは、段差面14qより手前側に配置されても良いし、前後方向において段差面14qと段差面14rとの間に配置されても良い。
【0036】
駆動機構16は、
図4に示すように、カム部材14に一端側が連結される連結レバー20と、連結レバー20の他端側に連結される昇降レバー21と、ケース体22の内部に配置されるモータ(図示省略)と、ケース体22の内部に配置される歯車列(図示省略)とを備えている。ケース体22は、右側に配置される縦枠5の左側面の手前端側部分に取付板23を介して固定されている。具体的には、ケース体22は、右側に配置される縦枠5の左側面の、内枠11よりも手前端の部分に取付板23を介して固定されている。
【0037】
昇降レバー21は、棒状に形成されており、昇降レバー21の長手方向と上下方向とが一致するように配置されている。昇降レバー21には、図示を省略するラックギアが形成されている。昇降レバー21の下端側部分は、ケース体22の内部に配置されており、昇降レバー21に形成されるラックギアは、ケース体22の内部に配置される歯車列の最終段歯車に係合している。すなわち、昇降レバー21は、歯車列を介してモータに連結されており、モータの動力で上下動する。なお、昇降レバー21は、所定のリンク機構を介してソレノイドに連結されても良い。
【0038】
連結レバー20は、固定軸24に回動可能に支持されている。固定軸24は、固定軸24の軸方向と左右方向とが一致するように取付板23に固定されており、内枠11よりも手前側に配置されている。連結レバー20の一端側(奥端側)には、右方向へ突出する固定ピン25が固定され、連結レバー20の他端側(手前端側)には、左方向へ突出する固定ピン26が固定されている。連結レバー20は、前後方向で内枠11を貫通する貫通孔(図示省略)に挿通されている。
【0039】
固定ピン25は、前後方向を長手方向としてカム部材14に形成される長孔14sに係合しており、連結レバー20の一端側は、長孔14sに対する固定ピン25の相対回動と前後方向への相対移動とが可能になるように、カム部材14に連結されている。固定ピン26は、前後方向を長手方向として昇降レバー21の上端側に形成される長孔21aに係合しており、連結レバー20の他端側は、長孔21aに対する固定ピン26の相対回動と前後方向への相対移動とが可能になるように、昇降レバー21に連結されている。なお、連結レバー20の一端側は、上下方向において、カム溝14aとカム溝14bとの間であって、かつ、カム溝14aよりもカム溝14bに近い位置でカム部材14に連結されている。
【0040】
駆動機構16は、窓3が施錠状態となる施錠位置14A(
図7(C)参照)と、窓3が解錠状態となる解錠位置14B(
図6参照)との間でカム部材14を直線的に移動させる。本形態では、カム部材14の上限位置が解錠位置14Bであり、カム部材14の下限位置が施錠位置14Aである。カム部材14が解錠位置14Bにあるときには、上下方向において、3個のカムフォロア15のそれぞれの軸部15aの位置と、3個の水平溝部14d〜14fのそれぞれの位置とがほぼ一致しており、窓3の開閉が可能になる。
【0041】
また、カム部材14が解錠位置14Bにあるときに窓3が閉まると、3個のカムフォロア15(具体的には、軸部15a)のそれぞれは、水平溝部14d〜14fのそれぞれの手前端部分(すなわち、垂直溝部14g〜14iの下端側部分)に配置される。窓3を施錠する場合、駆動機構16は、この状態で、カム部材14を下降させて、解錠位置14Bから施錠位置14Aに移動させる。カム部材14が施錠位置14Aにあるときには、3個のカムフォロア15のそれぞれの軸部15aが3個の移動規制部14g、14j、14nのそれぞれに配置されており、カム部材14が施錠位置14Aまで移動すると、窓3の開閉を行うことができない施錠状態になる。
【0042】
なお、本形態では、上方向(Z1方向)は、解錠位置14Bから施錠位置14Aに向かってカム部材14が移動するときのカム溝14a〜14cに対するカムフォロア15の相対移動方向である第1方向となっており、下方向(Z2方向)は、第1方向の反対方向である第2方向となっている。また、奥方向(Y2方向)は、閉じている状態の窓3の厚さ方向であってかつ閉じている窓3が開く側の方向である第3方向となっており、手前方向(Y1方向)は第3方向の反対方向である第4方向となっている。
【0043】
ケース体22の上側に突出する昇降レバー21の上端側部分およびケース体22等の、駆動機構16の構成部品であって、内枠11よりも手前側に配置される駆動機構16の構成部品は、カバー部材27に覆われている。また、窓3が閉じているときには、カム部材14と、カムフォロア15と、内枠11よりも奥側に配置される連結レバー20の一端側部分とは、外部に露出しないように窓枠2と窓3との間(具体的には、右側に配置される縦枠5と右側に配置される縦框9との間)に配置されている。すなわち、窓3が閉じているときには、連結レバー20の一端側部分、カム部材14およびカムフォロア15は、右側に配置される縦枠5と右側に配置される縦框9との間に配置されており、すべり出し窓4の外部に露出していない。
【0044】
上述のように、カム部材14が解錠位置14Bにあるときには、窓3の開閉が可能になっている。また、窓3を閉めて施錠を行う場合には、窓3を閉めた状態で解錠位置14Bから施錠位置14Aへカム部材14を移動させる。窓3を閉めた状態で解錠位置14Bから施錠位置14Aへカム部材14を移動させると(すなわち、カム部材14を下降させると)、3個のカムフォロア15のそれぞれの軸部15aが3個の移動規制部14g、14j、14nのそれぞれに配置されて、窓3が施錠状態になる。
【0045】
ここで、上述のように、取手が窓3の下端側に取り付けられているため、あるいは、窓3の自動開閉機構がすべり出し窓4の下端側に設けられているため、窓3を手動でまたは自動で閉めたときに、窓3の下端側は窓枠2に接触するが、窓3の上端側は窓枠2に接触せずに窓3の上端側と窓枠2との間にわずかな隙間が形成される場合が生じうる。すなわち、
図6に示すように、窓3を閉めたときに、左右方向から見ると、窓3の下端側に固定されたカムフォロア15の中心と窓3の上端側に固定されたカムフォロア15の中心とを結ぶ仮想線CLが上下方向に対して傾いている場合が生じうる。具体的には、窓3を閉めたときに、左右方向から見ると、仮想線CLが上側に向かうにしたがって奥側へ向かうように上下方向に対して傾いている場合が生じうる。
【0046】
この場合に施錠動作を行うと、カム溝14aに係合するカムフォロア15は、カム部材14の下降に伴って、
図7(A)〜(C)に示すように、移動規制部14gの奥側の側面に接触しながらカム溝14aに対して相対的に上昇する。カム溝14bに係合するカムフォロア15は、カム部材14の下降に伴って、
図7(A)〜(C)に示すように、まず、段差面14mに接触しながらカム溝14bに対して相対的に上昇し、その後、移動規制部14jの奥側の側面に接触しながらカム溝14bに対して相対的に上昇する。カム溝14cに係合するカムフォロア15は、カム部材14の下降に伴って、
図7(A)〜(C)に示すように、まず、段差面14rに接触しながらカム溝14cに対して相対的に上昇し、その後、段差面14qに接触しながらカム溝14cに対して相対的に上昇し、その後、移動規制部14nの奥側の側面に接触しながらカム溝14cに対して相対的に上昇する。
【0047】
すなわち、この場合の施錠動作では、窓3の下端側から上端側に向かって次第に窓3が窓枠2に引き寄せられていき、
図7(A)〜(C)に示すように、左右方向から見ると、仮想線CLの上下方向に対する傾きが次第に小さくなって、最終的に、仮想線CLは、上下方向と平行になる。このように、本形態では、窓3の下端側から上端側に向かって次第に窓3が窓枠2に引き寄せられるように、カム溝14b、14cに段差面14m、14q、14rが形成されている。すなわち、窓3の下端側に固定されるカムフォロア15、上下方向における窓3の中間位置に固定されるカムフォロア15、および、窓3の上端側に固定されるカムフォロア15がこの順番で、移動規制部14g、14j、14nに順次、配置されていくように、カム溝14b、14cに段差面14m、14q、14rが形成されている。
【0048】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、上下方向に一定の間隔で配置される3個のカム溝14a〜14cは、前後方向へのカムフォロア15の移動を規制する移動規制部14g、14j、14nを備えており、窓3が施錠状態になる施錠位置14Aにカム部材14があるときに、3個のカムフォロア15のそれぞれの軸部15aが3個の移動規制部14g、14j、14nのそれぞれに配置されている。そのため、本形態では、窓3が施錠状態になっているときに、上下方向に一定の間隔で配置される3個のカムフォロア15のそれぞれがカム溝14a〜14cのそれぞれに対してがたつくのを防止することが可能になり、3個のカム溝14a〜14cと3個のカムフォロア15とを用いて窓枠2と窓3とを密着させることが可能になる。したがって、本形態では、閉じている窓3を気密性の高い状態で施錠することが可能になる。
【0049】
本形態では、上下方向における垂直溝部14gの長さと垂直溝部14hの長さと垂直溝部14iの長さとが等しくなっている。また、本形態では、垂直溝部14hはカムフォロア15を移動規制部14jに向かって案内するガイド部14kを備え、垂直溝部14iはカムフォロア15を移動規制部14nに向かって案内するガイド部14pを備えており、上下方向における移動規制部14gの長さ、移動規制部14jの長さおよび移動規制部14nの長さはこの順番で短くなっている。そのため、本形態では、駆動機構16によってカム部材14を施錠位置14Aへ移動させる際に、移動規制部14gにカムフォロア15が配置され始めるタイミングと、移動規制部14jにカムフォロア15が配置され始めるタイミングと、移動規制部14nにカムフォロア15が配置され始めるタイミングとがずれている。また、本形態では、ガイド部14kに、下方向に向かうにしたがって垂直溝部14hの幅が段階的に広がるように形成される段差面14mが形成され、ガイド部14pに、下方向に向かうにしたがって垂直溝部14iの幅が段階的に広がるように形成される段差面14q、14rが形成されている。また、段差面14m、14q、14rは、窓3の下端側から上端側に向かって次第に窓3が窓枠2に引き寄せられるように形成されている。
【0050】
そのため、本形態では、上述のように、窓3を閉めたときに、窓3の下端側は窓枠2に接触するが、窓3の上端側は窓枠2に接触せずに窓3の上端側と窓枠2との間にわずかな隙間が形成される状態で、解錠位置14Bから施錠位置14Aへカム部材14を移動させた場合であっても、カム部材14を施錠位置14Aへ移動させる際のカム溝14a〜14cの側面とカムフォロア15の軸部15aとの接触圧を低減して、駆動機構16の負荷を軽減することが可能になる。したがって、本形態では、駆動機構16によってカム部材14を施錠位置14Aまで移動させられず、閉じている窓3を自動で施錠できないといった事態を回避することが可能になる。すなわち、本形態では、閉じている窓3を自動で確実に施錠することが可能になる。
【0051】
本形態では、窓3が閉じているときに、連結レバー20の一端側部分、カム部材14およびカムフォロア15は、右側に配置される縦枠5と右側に配置される縦框9との間に配置されており、すべり出し窓4の外部に露出していない。そのため、本形態では、犯罪者が、施錠状態にある窓3を解錠状態にするためにカム部材14を動かそうとしても、窓枠2や窓3を破壊しなければ、連結レバー20の一端側部分およびカム部材14に触れることはできない。また、本形態では、駆動機構16の構成部品であって、内枠11よりも手前側に配置される駆動機構16の構成部品は、カバー部材27に覆われている。したがって、本形態では、窓3が施錠状態にあるときに、犯罪者は、カム部材14を容易に動かすことはできない。すなわち、本形態では、犯罪者は、施錠状態の窓3を容易に解錠状態にすることはできない。その結果、本形態では、防犯効果を高めることが可能になる。
【0052】
本形態では、窓3を施錠するときに、重力の方向である下方向へカム部材14を移動させている。そのため、本形態では、窓3を施錠する際に駆動機構16のモータにかかる負荷を軽減することが可能になる。
【0053】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0054】
上述した形態では、垂直溝部14g〜14iは、水平溝部14d〜14fの手前端から上側に向かって形成されているが、垂直溝部14g〜14iは、水平溝部14d〜14fの手前端から下側に向かって形成されても良い。この場合には、たとえば、カム部材14の上限位置が施錠位置14Aとなり、カム部材14の下限位置が解錠位置14Bとなる。
【0055】
上述した形態では、ガイド部14kに1個の段差面14mが形成され、ガイド部14pに2個の段差面14q、14rが形成されているが、ガイド部14kに2個以上の段差面が形成され、ガイド部14pに3個以上の段差面が形成されても良い。また、上述した形態では、ガイド部14kに段差面14mが形成されているが、
図8(A)に示すように、段差面14mに代えて、下方向に向かうにしたがって垂直溝部14hの幅が連続的に広がるように形成される傾斜面14tがガイド部14kに形成されても良い。また、上述した形態では、ガイド部14pに段差面14q、14rが形成されているが、
図8(A)に示すように、段差面14q、14rに代えて、下方向に向かうにしたがって垂直溝部14iの幅が連続的に広がるように形成される傾斜面14uがガイド部14pに形成されても良い。なお、傾斜面14uは、傾斜角度が異なる複数の傾斜面が上下方向で繋がるように組み合わせて形成された傾斜面であっても良い。
【0056】
上述した形態では、カム溝14aの垂直溝部14gは、移動規制部によって構成されており、ガイド部を備えていないが、
図8(B)に示すように、カム溝14aの垂直溝部14xは、前後方向におけるカムフォロア15の移動を規制する移動規制部14yと、カムフォロア15を移動規制部14yに向かって案内するガイド部14zとによって構成されていても良い。この場合には、
図8(B)に示すように、ガイド部14zに、下方向に向かうにしたがって垂直溝部14xの幅が連続的に広がるように形成される傾斜面14vが形成されても良いし、下方向に向かうにしたがって垂直溝部14xの幅が段階的に広がるように形成される段差面が形成されても良い。なお、上述した形態のように垂直溝部14gが移動規制部によって構成されている場合には、移動規制部14yとガイド部14zとによって垂直溝部14xが構成されている場合と比較して、カム溝14aの形状を簡素化することが可能になる。
【0057】
また、上述した形態では、上下方向における移動規制部14gの長さ、移動規制部14jの長さおよび移動規制部14nの長さはこの順番で短くなっているが、
図8(B)に示すように、上下方向における移動規制部14jの長さと移動規制部14yの長さとが、上述した形態における移動規制部14nの長さと同じになっていても良い。この場合には、たとえば、左右方向から見たときに、ガイド部14zに形成される傾斜面14vの上下方向に対する傾き、ガイド部14kに形成される傾斜面14wの上下方向に対する傾き、および、ガイド部14pに形成される傾斜面14uの上下方向に対する傾きは、この順番で大きくなっている。
【0058】
上述した形態では、取手が窓3の下端側に取り付けられているか、あるいは、窓3の自動開閉機構がすべり出し窓4の下端側に設けられており、窓3の下端側から上端側に向かって次第に窓3が窓枠2に引き寄せられるように、カム溝14b、14cに段差面14m、14q、14rが形成されている。この他にもたとえば、取手が窓3の上端側に取り付けられているか、あるいは、窓3の自動開閉機構がすべり出し窓4の上端側に設けられており、窓3を手動でまたは自動で閉めたときに、窓3の上端側は窓枠2に接触するが、窓3の下端側は窓枠2に接触せずに窓3の下端側と窓枠2との間にわずかな隙間が形成される場合には、窓3の上端側から下端側に向かって次第に窓3が窓枠2に引き寄せられるように、カム溝14a、14bに段差面または傾斜面が形成されても良い。この場合には、たとえば、カム溝14cに段差面や傾斜面が形成されない。
【0059】
また、上下方向における窓3の全体が一緒に窓枠2に引き寄せられるように、カム溝14a〜14cに段差面または傾斜面が形成されても良い。この場合には、たとえば、
図8(B)において、ガイド部14zに形成される傾斜面14vの上下方向に対する傾きと、ガイド部14kに形成される傾斜面14wの上下方向に対する傾きと、ガイド部14pに形成される傾斜面14uの上下方向に対する傾きとが等しくなるように傾斜面14u〜14wが形成されれば良い。
【0060】
上述した形態では、カム部材14は縦枠5に取り付けられ、カムフォロア15は縦框9に固定されているが、カム部材14が横枠6に取り付けられ、カムフォロア15が横框10に固定されても良い。この場合には、駆動機構16は、横枠6に沿って左右方向へカム部材14を直線的に移動させる。また、この場合には、たとえば、窓3の左端側から右端側に向かって次第に窓3が窓枠2に引き寄せられるように、カム溝14b、14cに段差面14m、14q、14rが形成されている。なお、窓3の左端側から右端側に向かって次第に窓3が窓枠2に引き寄せられるように、カム溝14a〜14cに段差面が形成されても良いし、カム溝14a〜14c、あるいは、カム溝14b、14cに傾斜面が形成されても良い。なお、左右方向における窓3の全体が一緒に窓枠2に引き寄せられるように、カム溝14a〜14cに段差面または傾斜面が形成されても良い。
【0061】
上述した形態では、カム部材14に3個のカム溝14a〜14cが形成されているが、カム部材14に形成されるカム溝の数は2個であっても良い。たとえば、上述した形態において、カム部材14にカム溝14bが形成されずに、カム溝14aおよびカム溝14cのみが形成されても良い。また、カム部材14に形成されるカム溝の数は4個以上であっても良い。この場合には、カム部材14に形成されるカム溝の数に応じた数のカムフォロア15が窓3に固定される。
【0062】
上述した形態では、カム溝14a〜14cが窓枠2側に設けられ、カムフォロア15が窓3側に設けられているが、カム溝14a〜14cが窓3側に設けられ、カムフォロア15が窓枠2側に設けられても良い。この場合には、たとえば、3個のカムフォロア15が形成されるフォロア部材が縦枠5に上下動可能に取り付けられ、連結レバー20の一端側がこのフォロア部材に連結される。すなわち、駆動機構16は、縦枠5に沿って上下方向へこのフォロア部材を直線的に移動させる。この場合には、たとえば、フォロア部材の上限位置が施錠位置となり、フォロア部材の下限位置が解錠位置となる。また、この場合には、カム溝14a〜14cが形成されるカム部材14が縦框9に固定される。あるいは、カム溝14aが形成されるカム部材と、カム溝14bが形成されるカム部材と、カム溝14cが形成されるカム部材とが縦框9に固定される。
【0063】
上述した形態では、窓3が閉じている状態において、連結レバー20の一端側部分、カム部材14およびカムフォロア15は、すべり出し窓4の外部に露出していないが、窓3が閉じている状態において、連結レバー20の一端側部分、カム部材14およびカムフォロア15は、すべり出し窓4の外部に露出していても良い。
【0064】
上述した形態では、すべり出し窓4は縦すべり出し窓であるが、施錠機構1が取り付けられるすべり出し窓は、窓3が窓枠2に対して上下方向へスライドしながら左右方向を回動の軸方向として回動する横すべり出し窓であっても良い。この場合には、たとえば、カム部材14は、上側に配置される横枠6の下側面に、左右方向への移動が可能となるように取り付けられ、カムフォロア15は、窓3が閉じた状態において上側に配置される横框10の上側面に固定されている。あるいは、この場合には、カム部材14は、縦枠5に上下動可能に取り付けられ、カムフォロア15は、縦框9に固定されている。
【0065】
また、施錠機構1は、窓枠に対してスライドすることなく回動して開閉する窓を有する回動窓等に取り付けられても良い。この場合には、窓が上下方向を回動の軸方向として窓枠に対して回動可能となっていても良いし、窓が左右方向を回動の軸方向として窓枠に対して回動可能となっていても良い。なお、施錠機構1が取り付けられる回動窓は、たとえば、天窓として使用される。