【実施例】
【0020】
本発明に係る壁パネルおよび壁パネルの製造方法の実施例を
図1、
図2において説明する。本発明に係る壁パネル1は、
図2(c)に一部断面図で示すように、主な構成要素として、互いに接着剤13で接着された基材2と補強材3からなる壁パネル本体4を備えている。
【0021】
より具体的には、基材2は、表面に軟質樹脂層5を有するメッキ鋼板6(
図2(c)参照)を使用する。基材2は、後記するが、折り曲げ加工後、その裏面に補強材3が速乾性の接着剤で接着されて壁パネル本体4が形成される。
【0022】
この壁パネル本体4の基材2の表面に、インクジェット印刷によって柄層7が施され、さらにその表面にクリア剤を塗布してクリア層8が施される。なお、本明細書および本発明において「柄層」とは、色彩、絵柄、模様、デザインなどを形成する層を言う。
【0023】
補強材3は、石膏ボードが使用される。この補強材3の平面度が悪く凹凸があると、その表面に接着される基材2にも凹凸が生じ、インクジェット印刷の印刷精度が低下するので、補強材3として使用される石膏ボードは、その厚みのばらつきが1mm以下の精度のものを使用する。補強材は石膏ボードに限られず、断熱材と石膏ボードの2層で形成されてもよい。
【0024】
以下、壁パネル1の製造方法の詳細を工程順に説明し、壁パネル1の構成をより明確にする。
(1)基材の折曲部の形成工程
図1(a)に示すような平板の基材2を用意する。そして、
図1(b)に示すように、基材2の外周を、裏面11側に、折り曲げ加工によって折り曲げて折曲部10を形成する。
【0025】
折曲部10の折り曲げ高さ(基材2の周辺が折り曲げられてその裏面11から立ち上がった高さ)hは、補強材3の厚さt(
図2(a)参照)と略同じ寸法とし、補強材3の厚さに応じて異なるが、例えば、8mm〜20mm程度である。また、略同じ寸法とは、折曲部10の折り曲げ高さhと補強材3の厚さtの差が2mm以内であることを言う。
【0026】
(2)壁パネル本体の組立工程
次に補強材3を用意して、貼り付け面となる補強材3の表面12に、速乾性の接着剤13を塗布する。ここで速乾性の接着剤とは、例えば15分以内で硬化するような接着剤を言う。
【0027】
そして、補強材3の接着剤13が塗布された表面12を、
図2(a)に示すように、基材2の裏面11に向き合わせて、互いに当接し圧力をかけて接着し、
図2(b)に示すような壁パネル本体4を形成する。補強材3は折曲部10を除く基材2の裏面11の略全面に接着されることが望ましいが、略全面に接着されていない場合は、基材の中央付近に設けられる。
【0028】
(3)印刷工程
このようにして形成された壁パネル本体4の基材2の表面15(
図2(b)では基材2の下面として示されている)に、インクジェット印刷によって、
図2(c)に示すような柄層7を設ける。補強材3として使用する石膏ボードが、厚みのばらつきが1mm以下、折曲部10の折り曲げ高さhと補強材3の厚さtの差が2mm以内の精度であると、その表面に貼り付ける基材2の表面についても、凹凸が生じにくくなる。
【0029】
その結果、インクジェットヘッドと基材2の表面15のクリアランスを、ある程度一定に保つことができ、インクジェット印刷の精度が良くなり、印刷の仕上がりも安定する。
【0030】
次に、基材2の表面15に形成された柄層7の表面16に、クリア剤を塗布し、
図2(c)に示すようなクリア層8を形成する。クリア層8は、透明、または半透明の樹脂膜からなる。
【0031】
このような工程からなる製造方法によって、
図2(c)に示すとおり、補強材3の表面12に基材2が接着され、さらに基材2の表面15にインクジェットによる柄層7が形成され、さら柄層7の表面16にクリア層8が形成されてなる、本発明の壁パネル1が製造される。
【0032】
以上のとおり、本発明の基材2の表面に柄層7が設けられてなる壁パネル1および該壁パネル1の製造方法は、基材2の外周を折り曲げて折曲部10を形成し、基材2の裏面11に折曲部10の折り曲げ高さhと略同じ寸法の厚さtを有する補強材3を接着して壁パネル本体4を形成し、壁パネル本体4の基材2の表面15にインクジェット印刷を行い、柄層7を設けることを特徴とし、これらの工程を連続してインラインで行う方法である。
【0033】
これによって、壁パネル1の平面度、具体的には壁パネル本体4の基材2の表面の平面度を良好な状態に確保した上で、インクジェット印刷を施すことが可能となり、印刷精度を向上させることが可能となり、柄ずれや、印刷後の曲げ加工を行う場合に生じ易い加工作業に起因する汚れ付着を防止することができる。
【0034】
また、補強材3の接着には速乾性の接着剤を用いることで、接着の養生時間が短縮され、インラインでの生産が可能となる。
【0035】
(応用例)
上記構成は、本発明の壁パネルの実施例の基本的な構成であるが、さらに、壁パネル同士の連結、壁パネルの用途など、使用状況などに応じて、上記実施例の壁パネル1を基に、いろいろな構成に応用されるが、そのように応用した構成例(応用例)の一つを
図3、
図4において説明する。
【0036】
この応用例の壁パネル21は、基本的には上記実施例の壁パネル1と略同じ製造方法で製造するが、隣接する壁パネル同士を連結するための構成を備え、またそのための工程が加わることを特徴とする。この応用例の壁パネル21の特徴とする構成、工程を中心に、以下説明する。
【0037】
応用例の壁パネル21においても、上記実施例の壁パネル1と同様に、基材2の外周を折り曲げて折曲部を形成するが、これをさらに詳細に説明する。基材2の上端部では、
図3(a)、(b)に示すように、裏面側に向けて水平な折曲部23(
図3(b)では2点鎖線で示す)を形成し、さらに下方へ折り返して折返部24を形成する。
【0038】
この水平な折曲部23の折り曲げ高さh(
図3(b)参照)は、実施例の折曲部10の折り曲げ高さhと同様に、補強材3の厚さt(
図3(b)参照)と略同じ寸法である。壁パネル21の下端部でも、図示はしないが同様に、水平な折曲部23と上方への折返部24を形成する。
【0039】
隣接する2枚の壁パネル21を互いに連結するために、応用例の壁パネル21の左右の側端部では、それぞれ
図3(a)、(b)に示すように、基材2を裏面側へ折り曲げて垂直な折曲部28を形成し、さらに基材2の裏面11に沿う垂直な折返部29を形成する。垂直な折曲部28の折り曲げ高さhは、補強材3の厚さtと略同じである。
【0040】
壁パネル21の側端部における基材2の前面、折曲部23および折返部29で囲まれる空間に、縦桟32を挿入し、折返部29に予め形成したダボを縦桟32に予め形成したダボ孔に係合してなる固定部33で、折返部29と縦桟32を固定する。
【0041】
そして、上記実施例と同様に、基材2の裏面11に補強材3を速乾性の接着剤13によって接着して壁パネル本体を形成する。さらに、壁パネル本体の基材2の表面15に、
図2(c)に示す実施例の場合と同様に、インクジェット印刷によって柄層7を設け、柄層7の表面にクリア剤を塗布してクリア層8を形成する。これによって、応用例の壁パネル21が形成される。
【0042】
このようにして形成された2枚の壁パネル21を連結する構成を、以下参考までに、
図4を参照して説明する。互いに連結する2枚の壁パネル21を
図4(a)に示すように、互いに左右隣接して配置する。
【0043】
そして、表面にテーパ付き突起部34を有する
図4(b)、(c)に示すような連結材35によって、その突起部34を、縦桟32に形成された連結材嵌合用のスリット37に嵌合することで、
図4(c)に示すように、2枚の壁パネル21を連結することができる。
【0044】
以上、本発明に係る壁パネルおよび壁パネルの製造方法を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。