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特開2016-217492弁システム、及びこれを備える流体設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-217492(P2016-217492A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】弁システム、及びこれを備える流体設備
(51)【国際特許分類】
   F16K 24/02 20060101AFI20161125BHJP
   F16K 17/06 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   F16K24/02
   F16K17/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-104530(P2015-104530)
(22)【出願日】2015年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】男澤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松野 光作
【テーマコード(参考)】
3H055
3H059
【Fターム(参考)】
3H055AA02
3H055AA13
3H055AA22
3H055BC01
3H055CC03
3H055CC04
3H055CC16
3H055GG09
3H055HH01
3H055JJ11
3H059AA06
3H059BB36
3H059CC02
3H059CD05
3H059CE01
3H059CF01
3H059DD17
3H059EE01
3H059FF02
3H059FF03
3H059FF12
(57)【要約】
【課題】気体溜まりによる作動不良を抑える。
【解決手段】液体を入口24から出口25に導く主通路21が形成されているハウジング11と、ハウジング11の主通路21内に配置されて、主通路21内を入口24側の入口室22と出口25側の出口室23とに仕切ることができる弁体20と、入口室22及び出口室23で開口し、入口室22内と出口室23内とを連通させる連通路42が形成されている連通部40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を入口から出口に導く主通路が形成されているハウジングと、
前記ハウジングの前記主通路内に配置されて、前記主通路内を前記入口側の入口室と前記出口側の出口室とに仕切ることができる弁体と、
前記入口室で開口し、前記弁体を基準にして前記出口室側の液体室内と前記入口室内との間を連通させる連通路が形成されている連通部と、
を備える弁システム。
【請求項2】
請求項1に記載の弁システムにおいて、
前記連通路の最小通路面積は、前記出口の開口面積よりも小さい、
弁システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の弁システムにおいて、
前記連通部の前記連通路は、前記出口室で開口して、前記入口室内と前記出口室内とを連通させる、
弁システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の弁システムにおいて、
前記連通部の前記連通路は、前記出口に接続されている流体器で前記液体が流入する液体室で開口し、前記入口室内と前記液体室内とを連通させる、
弁システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の弁システムにおいて、
前記連通部は、前記連通路を流れる流体の流量を調節するバイパス流量調節器を有する、
弁システム。
【請求項6】
請求項5に記載の弁システムにおいて、
前記バイパス流量調節器は、前記連通路を流れる流体の流量を制限するオリフィスを有する、
弁システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の弁システムにおいて、
前記バイパス流量調節器は、前記連通路を流れる流体の流量を変えることができるバイパス流量調節弁を有する、
弁システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の弁システムにおいて、
前記連通路における前記入口室に対する開口は、前記入口室中で設置時における上側部分で開口している、
弁システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の弁システムにおいて、
第一端部に前記弁体が固定され、第二端部が前記ハウジングを前記主通路から外部へ貫通している弁棒を備え、
前記連通路における前記入口室に対する開口は、前記入口室中で前記弁体を基準にして前記弁棒が前記ハウジングを貫通している位置側の部分で開口している、
弁システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の弁システムにおいて、
前記連通部は、前記連通路としての通路が形成されている連通配管を有する、
弁システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の弁システムにおいて、
前記弁体が前記主通路内を前記入口室と前記出口室とに仕切っている閉状態から、前記入口室内の圧力が予め定められた圧力以上になると、前記入口室内の前記液体が前記出口室内に流入する開状態にする、駆動装置を備える、
弁システム。
【請求項12】
請求項11に記載の弁システムにおいて、
前記駆動装置は、前記弁体を前記開状態の位置から前記閉状態の位置側に付勢する弾性部材を有する、
弁システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の弁システムと、
前記液体である作動液が流入しているときに作動する作動機器と、
前記作動液を前記作動機器に供給する供給器と、
前記供給器からの前記作動液を前記ハウジングの前記入口から前記入口室内に導く入口ラインと、
前記出口室内の前記作動液を前記ハウジングの前記出口から外部に導く出口ラインと、
前記入口ライン又は前記入口室内の前記作動液を前記作動機器に導く供給ラインと、
を備える流体設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を液体が流れる弁システム、及びこれを備える流体設備に関する。
【背景技術】
【0002】
弁は、一般的に、流体が流れる通路が形成されている弁ハウジングと、この通路内を入口室と出口室とに仕切る弁体と、を備えている。
【0003】
このような弁を備えている設備としては、例えば、以下の特許文献1に記載されている設備がある。この設備は、油タンクと、油タンク内の油を油圧機器に導く主ラインと、主ライン中に設けられている油圧ポンプと、主ライン中の油ポンプよりも下流側の位置から分岐している分岐ラインと、分岐ライン中に設けられているリリーフ弁と、を備えている。リリーフ弁は、油圧ポンプの吐出圧をほぼ一定に保つための役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−097278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、油圧ポンプからの油中に空気等の気体が含まれている場合、この空気等の気体がリリーフ弁内に溜まり、リリーフ弁が作動不良になるおそれがある、という問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に着目し、気体溜まりによる作動不良を抑えることができる弁システム、及びこれを備える流体設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を達成するための発明に係る一態様としての弁システムは、
液体を入口から出口に導く主通路が形成されているハウジングと、前記ハウジングの前記主通路内に配置されて、前記主通路内を前記入口側の入口室と前記出口側の出口室とに仕切ることができる弁体と、前記入口室で開口し、前記弁体を基準にして前記出口室側の液体室内と前記入口室内との間を連通させる連通路が形成されている連通部と、を備える。
【0008】
当該弁システムでは、弁システムが閉状態であっても、連通部の連通路により、ハウジングの入口室と出口室側の液体室とが連通しているため、入口室内の流体が出口室側の液体室に流入する。このため、当該弁システムでは、弁システムが閉状態であって、入口室内に液体と気体とが溜まっている場合、この気体が、又はこの気体と液体とが連通路を介して出口室側の液体室に流入する。よって、当該弁システムでは、入口室内の気体溜まりを抑制することができる。
【0009】
ここで、前記弁システムにおいて、前記連通路の最小通路面積は、前記出口の開口面積よりも小さくてもよい。
【0010】
当該弁システムでは、弁システムが閉状態であっても、入口室内の流体が出口室側の液体室に流入する。よって、当該弁システムでは、弁システムが閉状態であっても、入口室の圧力を出口室側の液体室に逃がしていることになる。入口室の圧力を出口室側の液体室に逃がすと、入口室の圧力が低下し、当該弁システムを含む設備に求められている機能が低下、又はこの機能を実現できなくなる可能性がある。
【0011】
そこで、当該弁システムでは、連通路の最小通路面積をハウジングの出口における開口面積よりも小さくしている。このため、当該弁システムでは、連通路を経て、入口室から出口室側の液体室に流入する流体の流量が制限されて、入口室の圧力低下が制限される。
【0012】
また、以上のいずれかの前記弁システムにおいて、前記連通部の前記連通路は、前記出口室で開口して、前記入口室内と前記出口室内とを連通させてもよい。
【0013】
当該弁システムでは、連通路の一端が入口室で開口し、連通路の他端が出口室で開口している。すなわち、当該弁システムでは、連通路の両端がいずれもハウジング内の主通路で開口している。このため、当該弁システムでは、当該弁システムを設置する際、当該弁システムに接続するラインに連通部を一端を接続する作業を省くことができる。
【0014】
また、以上のいずれかの前記弁システムにおいて、前記連通部の前記連通路は、前記出口に接続されている流体器で前記液体が流入する液体室で開口し、前記入口室内と前記液体室内とを連通させてもよい。
【0015】
当該弁システムでは、ハウジングで内部に出口室が形成されている位置に連通用の配管の端部を接続することが困難である場合等でも、入口室内の気体溜まりを抑制することができる。
【0016】
以上のいずれかの前記弁システムにおいて、前記連通部は、前記連通路を流れる流体の流量を調節するバイパス流量調節器を有してもよい。
【0017】
当該弁システムでは、連通路を流れる流体の流量を調節することができる。
【0018】
前記バイパス流量調節器を有する前記弁システムにおいて、前記バイパス流量調節器は、前記連通路を流れる流体の流量を制限するオリフィスを有してもよい。
【0019】
当該弁システムでは、連通路を経て、入口室から出口室側の液体室に流入する流体の流量を正確に制限することができる。
【0020】
また、前記バイパス流量調節器を有する、以上のいずれかの前記弁システムにおいて、前記バイパス流量調節器は、前記連通路を流れる流体の流量を変えることができるバイパス流量調節弁を有してもよい。
【0021】
当該弁システムでは、連通路を経て、入口室から出口室側の液体室に流入する流体の流量を変更することができる。
【0022】
以上のいずれかの前記弁システムにおいて、前記連通路における前記入口室に対する開口は、前記入口室中で設置時における上側部分で開口してもよい。
【0023】
当該弁システムを含め、以上の各弁システムでは、入口室に溜まる気体は、入口室の上側の部分に集まる。よって、当該弁システムでは、入口室中の上側部分に溜まる気体を効率的に出口室側の液体室に流入させることができる。なお、ここでの、前記入口室中で設置時における上側部分とは、例えば、弁システムの設置時に入口室中で弁体の移動範囲よりも上側になる部分、又は、弁システムの設置時に入口室中で上下方向の上から1/4以内の部分である。
【0024】
また、以上のいずれかの前記弁システムにおいて、第一端部に前記弁体が固定され、第二端部が前記ハウジングを前記主通路から外部へ貫通している弁棒を備え、前記連通路における前記入口室に対する開口は、前記入口室中で前記弁体を基準にして前記弁棒が前記ハウジングを貫通している位置側の部分で開口してもよい。
【0025】
弁システムは、弁棒がハウジングを貫通しているボンネット側が上側になるように設置されることが一般的である。このため、標準仕様としての弁システムでは、以上のように、入口室中の弁棒がハウジングを貫通しているボンネット側の部分で連通路を開口させることが好ましい。
【0026】
また、以上のいずれかの前記弁システムにおいて、前記連通部は、前記連通路としての通路が形成されている連通配管を有してもよい。
【0027】
以上のいずれかの前記弁システムにおいて、前記弁体が前記主通路内を前記入口室と前記出口室とに仕切っている閉状態から、前記入口室内の圧力が予め定められた圧力以上になると、前記入口室内の前記液体が前記出口室内に流入する開状態にする、駆動装置を備えてもよい。
【0028】
前記駆動装置を備える前記弁システムにおいて、前記駆動装置は、前記弁体を前記開状態の位置から前記閉状態の位置側に付勢する弾性部材を有してもよい。
【0029】
上記問題点を達成するための発明に係る一態様としての流体設備は、
以上のいずれかの前記弁システムと、前記液体である作動液が流入しているときに作動する作動機器と、前記作動液を前記作動機器に供給する供給器と、前記供給器からの前記作動液を前記ハウジングの前記入口から前記入口室内に導く入口ラインと、前記出口室内の前記作動液を前記ハウジングの前記出口から外部に導く出口ラインと、前記入口ライン又は前記入口室内の前記作動液を前記作動機器に導く供給ラインと、を備える。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様によれば、気体溜まりによる作動不良を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る第一実施形態における弁システム(閉状態)の断面図である。
図2】本発明に係る第一実施形態における弁システム(開状態)の断面図である。
図3】本発明に係る第二実施形態における弁システムの断面図である。
図4】本発明に係る第三実施形態における弁システムの断面図である。
図5】本発明に係る第四実施形態における弁システムの断面図である。
図6】本発明に係る第五実施形態における弁システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る弁システム及びこれを備えている流体設備の各種実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
「第一実施形態」
本発明に係る弁システム及びこれを備えている流体設備の第一実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
【0034】
本実施形態の流体設備は、図1に示すように、液体である作動油(作動液)が蓄えられている油タンク1と、作動油が流入しているときに作動する作動機器3と、作動油を作動機器3に供給する油ポンプ(供給器)4と、油ポンプ4の吐出圧を所定の圧力以下に抑えるリリーフ弁システム(以下、単に弁システムとする)10と、油タンク1内の作動油を油ポンプ4に導く吸込ライン5と、油ポンプ4からの作動油を弁システム10に導く入口ライン6と、入口ライン6から分岐して作動機器3に接続されている供給ライン7と、作動機器3からの作動油を油タンク1に戻す戻しライン8と、弁システム10からの作動油を含む流体を油タンク1に戻す出口ライン9と、を備える。
【0035】
作動機器3は、例えば、複数のギヤを有する減速機や軸受装置等である。作動機器3が例えば減速機又は軸受装置である場合、作動油は、これらの潤滑油として、又はこれらの冷却媒体として利用される。
【0036】
油タンク1内には、作動油中のゴミ等を除去するためのサクションストレーナ2が配置されている。吸込ライン5は、このサクションストレーナ2と油ポンプ4の吸込み口とを接続する。入口ライン6は、油ポンプ4の吐出口と弁システム10とを接続する。供給ライン7は、入口ライン6の途中から分岐し、この入口ライン6を通ってきた作動油を作動機器3に導く。入口ライン6及び供給ライン7は、油ポンプ4の吐出側に設けられている。よって、入口ライン6及び供給ライン7は、吐出ラインを成す。
【0037】
弁システム10は、図1及び図2に示すように、作動油を入口24から出口25に導く主通路21が形成されているハウジング11と、主通路21内を入口室22と出口室23とに仕切ることができる弁体20と、弁体20を移動させる駆動装置30と、入口室22と出口室23との間を連通させる連通路42が形成されている連通部40と、を備える。
【0038】
ハウジング11は、弁体20が内部に収まり主通路21の一部を成す主空間26を形成するハウジング本体12と、入口24が形成されている入口側継手部18と、出口25が形成されている出口側継手部19と、出口25とつながっている出口室23を内側に形成する仕切壁部14と、を有する。仕切壁部14は、ハウジング本体12の主空間26内に形成されている。ハウジング本体12の主空間26内で仕切壁部14の外側は入口室22を成す。仕切壁部14には、その内側の出口室23からその外側の入口室22に貫通する開口15が形成されている。この開口15の縁は、弁体20が接する弁座16を成している。
【0039】
入口側継手部18は、ハウジング本体12に設けられ、内部に入口継手通路28が形成されている入口管部18pと、入口管部18pの外周に形成されている入口フランジ部18fと、を有する。入口継手通路28は、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の外側の空間と連通している。入口継手通路28の端の開口は、ハウジング11の入口24を成す。入口ライン6は、入口フランジ部18fとフランジ接続されている。前述の入口室22は、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の外側の空間と入口継手通路28とで形成されている。
【0040】
出口側継手部19は、ハウジング本体12に設けられ、内部に出口継手通路29が形成されている出口管部19pと、出口管部19pの外周に形成されている出口フランジ部19fと、を有する。出口継手通路29は、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の内側の空間と連通している。出口継手通路29の端の開口は、ハウジング11の出口25を成す。出口ライン9は、出口フランジ部19fとフランジ接続されている。前述の出口室23は、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の内側の空間と出口継手通路29とで形成されている。
【0041】
ハウジング11の主通路21は、入口継手通路28と、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の外側の空間と、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の内側の空間と、出口継手通路29とで、形成されている。
【0042】
ここで、図1に示すように、弁体20が弁座16に接して、主通路21内を入口室22と出口室23とに仕切っている状態を閉状態とする。また、図2に示すように、弁体20が弁座16から離れて、入口室22内の作動油が出口室23内に流入し得る状態を開状態とする。駆動装置30は、閉状態を実現し得る弁体20の位置と開状態を実現し得る弁体20の位置との間で、弁体20を移動させる。
【0043】
駆動装置30は、弁体20の移動方向に延びる弁棒31と、弁棒31の端に固定されているピストン32と、ピストン32に接して弁体20を開状態の位置から閉状態の位置の方向の付勢するバネ(弾性部材)33と、バネ33を受けるバネ受座34と、ピストン32、バネ33及びバネ受座34を収納するバネキャップ35と、バネ受座34の位置を調節する付勢力調節器36と、を有する。
【0044】
弁棒31の一端には、弁体20が固定されている。弁棒31の他端は、ハウジング11を内側から貫通してハウジング11の外部に露出している。この弁棒31の他端にピストン32が固定されている。よって、このピストン32は、ハウジング11の外部に配置されている。バネ受座34は、ピストン32を基準にして弁体20と反対側に配置されている。ピストン32とバネ受座34との間には、バネ33が圧縮された状態で配置されている。付勢力調節器36は、バネキャップ35に対して、弁体20の移動方向におけるバネ受座34の相対位置を調整する。
【0045】
ハウジング11の主空間26内には、弁体20の移動方向に弁棒31が移動可能に、この弁棒31の中間位置を支持する弁棒支持部13が形成されている。図1及び図2では、弁棒支持部13を基準にして、主空間26内を弁体20側の空間とバネ受座34側のボンネット空間27とに完全に仕切っているよう描かれている。しかしながら、実際には、弁体20側の空間とバネ受座34側のボンネット空間27とは連通している。このため、ボンネット空間27は、入口室22の一部を成している。
【0046】
連通部40は、連通配管41を有している。連通配管41の一方の端部は、ハウジング本体12で内部にボンネット空間27が形成されている位置に接続されている。また、連通配管41の他方の端部は、出口フランジ部19fに接続されている。ハウジング本体12には、ボンネット空間27から連通配管41の通路内に貫通する貫通孔43が形成されている。また、出口フランジ部19fには、出口継手通路29内から連通配管41の通路内に貫通する貫通孔44が形成されている。このため、ハウジング11の入口室22とハウジング11の出口室23とは、ハウジング本体12の貫通孔43と連通配管41の通路と出口フランジ部19fの貫通孔44とにより形成される連通路42により、連通している。
【0047】
この連通路42の最小通路面積Sminは、ハウジング11の出口25における開口面積Soよりも、さらに、ハウジング11の主通路21中の最小通路面積よりも小さい。連通路42が延びている方向における各位置おける連通路42の通路面積は、本実施形態では、基本的に同じである。このため、連通路42が延びている方向における各位置おける連通路42の通路面積は、基本的に、この連通路42の最小通路面積Sminと言うことになる。
【0048】
本実施形態の弁システム10におけるハウジング11を入口ライン6及び出口ライン9に接続する際には、弁体20を基準にしてボンネット空間27が上方に位置するようにハウジング11を設置する。
【0049】
油ポンプ4が駆動する前、弁システム10の弁体20は、図1に示すように、バネ33の付勢力により閉状態の位置にある。よって、油ポンプ4が駆動する前、弁システム10は、ハウジング11の主通路21内が弁体20により入口室22と出口室23とに仕切られている。油ポンプ4が駆動すると、油タンク1内の作動油は、サクションストレーナ2及び吸込ライン5を経て、油ポンプ4内に流入する。油ポンプ4は、入口ライン6を介して、作動油を弁システム10の入口室22に供給すると共に、入口ライン6及び供給ライン7を介して、作動油を作動機器3に供給する。作動機器3に供給された作動油は、戻しライン8を経て、油タンク1内に戻る。
【0050】
弁システム10が閉状態の際、ハウジング11の入口室22内の作動油は、出口室23に実質的に流入しない。入口室22内の圧力が高まり、入口室22の圧力がバネ33の付勢力に打ち勝つ所定の圧力になると、図2に示すように、弁体20が閉状態の位置から開状態の位置に移動して、弁システム10は開状態になる。弁システム10が開状態になると、ハウジング11の入口室22内の作動油は、出口室23に流入する。この作動油は、出口ライン9を経て、油タンク1に戻る。
【0051】
以上のように、本実施形態では、入口室22内の圧力、つまり油ポンプ4の吐出圧が所定の圧力以上になると、弁システム10が開状態になり、入口室22内の作動油を出口室23に逃がしているため、油ポンプ4の吐出圧を所定の圧力以下に抑えることができる。
【0052】
本実施形態では、付勢力調節器36を操作して、バネキャップ35に対するバネ受座34の相対位置を調整することで、バネ33による弁体20に対する付勢力を調整することができる。このため、この付勢力調節器36を操作することで、弁システム10が閉状態から開状態に切り替わる所定の圧力を変更することができる。
【0053】
作動油中には、空気等の気体が混入することがある。この気体が弁システム10の入口室22に溜まると、弁システム10が作動不良になるおそれがある。
【0054】
本実施形態では、弁システム10が閉状態であっても、連通部40の連通路42により、ハウジング11の入口室22と出口室23とが連通しているため、入口室22内の流体が出口室23に流入する。例えば、このため、例えば、弁システム10が閉状態であって、入口室22内に一切気体が存在せず、作動油で満たされている場合、この作動油が連通路42を経て出口室23に流入する。また、弁システム10が閉状態であって、入口室22内に作動油と気体とが溜まっている場合、この気体が、又はこの気体と作動油とが連通路42を介して出口室23に流入する。出口室23内に流入した作動油や気体は、出口ライン9を経て油タンク1に戻る。特に、本実施形態では、弁システム10の設置状態で、連通路42における入口室22に対する開口が入口室22中の上側部分に形成されているので、入口室22中の上部に溜まる気体を効率的に出口室23に流入させることができる。なお、油タンク1に戻った空気は、作動油から抜ける。
【0055】
よって、本実施形態では、入口室22内の気体溜まりを抑制することができ、結果として、気体溜まりによる弁システム10の作動不良を抑えることができる。
【0056】
ところで、本実施形態では、前述したように、弁システム10が閉状態であっても、入口室22内の流体が出口室23に流入する。よって、本実施形態では、弁システム10が閉状態であっても、入口室22の圧力を出口室23に逃がしていることになる。入口室22の圧力を出口室23に逃がすと、入口室22の圧力、つまり油ポンプ4の吐出圧が低下し、極端な場合、作動機器3が正常に作動し得る作動油の圧力よりも油ポンプ4の吐出圧が低くなり得る。
【0057】
そこで、本実施形態では、連通路42の最小通路面積Sminをハウジング11の出口25における開口面積Soよりも小さくしている。このため、本実施形態では、連通路42を経て、入口室22から出口室23に流入する流体の流量が制限されて、入口室22の圧力低下が制限される。
【0058】
すなわち、本実施形態では、入口室22と出口室23とを連通路42で連通させることで、入口室22内の気体溜まりを抑制しつつ、入口室22と出口室23とを連通路42で連通させることで生じる不都合も併せて抑えている。
【0059】
「第二実施形態」
本発明に係る弁システム及びこれを備えている流体設備の第二実施形態について、図3を参照して説明する。
【0060】
本実施形態の流体設備は、弁システム10aが第一実施形態の弁システム10と異なることを除いて、第一実施形態の流体設備と同一である。
【0061】
本実施形態の弁システム10aは、第一実施形態の弁システム10に、連通路42を通る流体の流量を制限するオリフィス45を追加したものである。オリフィス45は、連通配管41に設けられている。よって、本実施形態の連通部40aは、連通配管41とオリフィス45とを有している。オリフィス45は、板に、この板を貫通する開口が形成されているものである。
【0062】
本実施形態では、連通配管41にオリフィス45を設けたことで、第一実施形態よりも、連通路42を経て、入口室22から出口室23に流入する流体の流量を正確に制限することができ、入口室22の圧力低下を正確に制限することができる。
【0063】
よって、本実施形態では、入口室22と出口室23とを連通路42で連通させることで生じる不都合を、第一実施形態よりも抑えることができる。
【0064】
「第三実施形態」
本発明に係る弁システム及びこれを備えている流体設備の第三実施形態について、図4を参照して説明する。
【0065】
本実施形態の流体設備は、弁システム10bが第二実施形態の弁システム10aと異なることを除いて、第二実施形態の流体設備と同一である。
【0066】
本実施形態の弁システム10bは、第二実施形態の弁システム10aに、連通路42を通る流体の流量を変えることができるバイパス流量調節弁46を追加したものである。バイパス流量調節弁46は、連通配管41に設けられている。よって、本実施形態の連通部40bは、連通配管41とオリフィス45とバイパス流量調節弁46とを有している。
【0067】
本実施形態では、ある条件を満たしたときに、作業者等がバイパス流量調節弁46を操作して、このバイパス流量調節弁46を閉から開にする。ここで、ある条件は、入口室22内に所定以上の気体が溜まったと想定される条件である。具体的には、ある条件は、例えば、油ポンプ4の継続運転時間が予め定められた時間に達したか否かである。
【0068】
このように、バイパス流量調節弁46を設け、このバイパス流量調節弁46を以上のように操作することで、バイパス流量調節弁46を閉にしている間、連通路42が設けられている上記不都合を回避することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、バイパス流量調節器として、オリフィス45とバイパス流量調節弁46とを設けているが、バイパス流量調節弁46を設ける場合には、オリフィス45を設けなくてもよい。このように、バイパス流量調節弁46を設け、オリフィス45を設けない場合、バイパス流量調節弁46を開ける際に、弁開度を適宜調節して、連通路42を経て、入口室22から出口室23に流入する流体の流量を目的の流量に制限する。すなわち、この場合、バイパス流量調節弁46に連通路42の開閉機能の他、オリフィス45と同等の機能を担わせてもよい。
【0070】
「第四実施形態」
本発明に係る弁システム及びこれを備えている流体設備の第四実施形態について、図5を参照して説明する。
【0071】
以上の各実施形態の弁システムでは、入口室22で開口していると共に出口室23で開口して、入口室22と出口室23とを連通させる連通路42が形成されている連通部を有している。本実施形態の弁システム10cは、この連通部の変形例である。
【0072】
本実施形態の連通部40cも、以上の各実施形態と同様に連通配管41cを有している。連通配管41cの一方の端部は、以上の各実施形態と同様、ハウジング本体12で内部にボンネット空間27が形成されている位置に接続されている。また、連通配管41cの他方の端部は、出口ライン9に接続されている。ハウジング本体12には、以上の各実施形態と同様、ボンネット空間27から連通配管41c内の通路内に貫通する貫通孔43が形成されている。また、出口ライン9には、この出口ライン9を形成するは配管の通路9c内から連通配管41c内の通路内に貫通する貫通孔44cが形成されている。このため、ハウジング11の入口室22と出口ライン9の通路とは、ハウジング本体12の貫通孔43と連通配管41cの通路と出口ライン9の貫通孔44cとにより形成される連通路42cにより、連通している。
【0073】
本実施形態では、弁システム10cが閉状態であっても、連通部40cの連通路42cにより、ハウジング11の入口室22と出口ライン9の通路9cとが連通しているため、入口室22内の流体が出口ライン9の通路9cに流入する。よって、本実施形態でも、入口室22内の気体溜まりによる弁システム10cの作動不良を抑えることができる。
【0074】
すなわち、連通路42cは、ハウジング11の入口室22で開口していれば、出口室23で開口している必要はなく、弁体20を基準にして、出口室23側の液体室内と連通していればよい。なお、出口室23側の液体室は、出口室23の他、出口ライン9の通路9cや出口ライン9に接続されているタンク内等を含む流体器内で作動油が流入する室である。
【0075】
弁システム10cのハウジング11が小さい等の理由で、ハウジング11で内部に出口室23が形成されている位置に連通配管の端部を接続することが困難である場合には、本実施形態のように、出口ライン9や出口ライン9に接続されているタンク等を含む流体機器に連通配管41cの端部を接続するとよい。
【0076】
但し、本実施形態では、弁システム10cを設置する際に、連通配管41cの端部を出口ライン9に接続する作業が発生する。一方で、先に説明した各実施形態では、連通配管41の両端部のそれぞれが弁システムのハウジング11に接続されているため、弁システムを設置する際、連通配管41の他方の端部を出口ライン9に接続する作業の手間を省くことができる。このため、前述したように、ハウジング11で内部に出口室23が形成されている位置に連通配管41cの端部を接続することが困難である等の格別の理由がない場合、基本的に、連通配管41の両端部のそれぞれが弁システムのハウジング11に接続されていることが好ましい。
【0077】
なお、本実施形態は、第一実施形態の連通部40を変形したものであるが、第二実施形態及び第三実施形態の連通部を、さらに後述の第五実施形態の連通部を本実施形態と同様に変形してもよい。
【0078】
「第五実施形態」
本発明に係る弁システム及びこれを備えている流体設備の第五実施形態について、図6を参照して説明する。
【0079】
本実施形態の弁システム10dにおけるハウジング11dは、第一実施形態のハウジング本体12に、すり抜け口54が形成されているすり抜け口継手部59を追加したものである。すり抜け口継手部59は、内部にすり抜け口継手通路58が形成されている管部59pと、管部59pの外周に形成されているフランジ部59fと、を有する。すり抜け口継手通路58は、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の外側の空間と連通している。
【0080】
本実施形態のハウジング11dの主通路21dは、入口継手通路28と、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の外側の空間と、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の内側の空間と、出口継手通路29と、すり抜け口継手通路58とで、形成されている。また、入口室22dは、入口継手通路28と、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の外側の空間と、すり抜け口継手通路58とで、形成されている。また、出口室23は、以上の各実施形態と同様、ハウジング本体12の主空間26内であって仕切壁部14の外側の空間と、出口継手通路29とで、形成されている。
【0081】
本実施形態では、入口24から主通路21d中の入口室22dに流入した流体は、弁体20が閉状態に位置にある場合でも、すり抜け口54から外部に流出する。つまり、この弁システム10dでは、当該弁システム10dが閉状態にある場合でも、入口24からハウジング11d内に流入した流体は、ハウジング11d内をすり抜ける。
【0082】
すり抜け口継手部59のフランジ部59fには、供給ライン7dがフランジ接続されている。入口フランジ部18fには、第一実施形態と同様に、入口ライン6dがフランジ接続されている。但し、この入口ライン6dは、第一実施形態のように、途中で供給ライン7が分岐していない。すなわち、本実施形態の弁システム10dの主通路21dは、図1及び図2を用いて説明した第一実施形態において、入口ライン6中で供給ライン7が分岐している部分の流路を形成している。
【0083】
以上のように、ハウジングには、入口24及び出口25の他、上記すり抜け口54のように、何らかのラインと接続される他の開口が形成されていてもよい。
【0084】
なお、本実施形態は、第一実施形態を変形したものであるが、第二から第四実施形態を本実施形態と同様に変形してもよい。
【0085】
「変形例」
第一、第二、第三及び第五実施形態では、連通配管41を出口フランジ部19fに接続している。しかしながら、入口室と出口室とを連通部で連通させる場合、ハウジング本体12で内部に出口室23が形成されている位置に連通配管を接続してもよい。
【0086】
以上の各実施形態では、連通路を入口室中のボンネット空間27に連通させている。しかしながら、連通路を入口室中の他の空間部分に連通させてもよい。例えば、弁システムの設置状態で入口24側が上になることが想定される場合には、連通路を入口室中で入口24側の空間部分に連通させてもよい。また、弁システムの設置状態で出口25側が上になることが想定される場合には、連通路を入口室中で出口25側の空間部分に連通させてもよい。但し、弁システムは、ボンネット空間27側が上側になるように設置されることが一般的であるため、標準仕様としての弁システムでは、連通路を入口室中のボンネット空間27に連通させることが好ましい。
【0087】
以上の各実施形態では、弁システムとラインとをフランジ接続している。しかしながら、弁システムとラインとは、例えば、ネジ接続や溶接接続等、他の方法で接続してよい。
【0088】
以上の各実施形態では、弁体20の移動駆動力として、バネ33による付勢力を利用している。しかしながら、弁体20の移動駆動力として、電磁力や空気圧等を利用してもよい。このように、弁体20の移動駆動力として、電磁力や空気圧を利用すると、弁システムが閉状態から開状態に切り替わる所定圧力の変更を容易に遠隔地から制御することができる。
【0089】
以上の各実施形態では、油ポンプ4が吸い込む作動油が蓄えられるタンクと、作動機器3からの作動油が蓄えられるタンクと、出口ライン9からの作動油が蓄えられるタンクとが、同一のタンクである。しかしながら、これらのタンクは、互いに異なるタンクであってもよい。
【0090】
以上の各実施形態では、弁システムに流入する流体が作動油である。しかしながら、弁システムに流入する流体は、気体が混入し得る液体であれば、例えば、水等、如何なる液体であってもよい。
【符号の説明】
【0091】
1:油タンク、2:サクションストレーナ、3:作動機器、4:油ポンプ(供給器)、5:吸込ライン、6,6d:入口ライン、7,7d:供給ライン、8:戻しライン、9:出口ライン、10,10a,10b,10c,10d:リリーフ弁システム(又は、単に弁システム)、11,11d:ハウジング、12:ハウジング本体、13:弁棒支持部、15:開口、16:弁座、18:入口側継手部、18p:入口管部、18f:入口フランジ部、19:出口側継手部、19p:出口管部、19f:出口フランジ部、20:弁体、21,21d:主通路、22,22d:入口室、23:出口室、24:入口、25:出口、26:主空間、27:ボンネット空間、28:入口継手通路、29:出口継手通路、30:駆動装置、31:弁棒、32:ピストン、33:バネ(弾性部材)、34:バネ受座、35:バネキャップ、36:付勢力調節器、40,40a,40b,40c:連通部、41,41c:連通配管、42,42c:連通路、43,44,44c:貫通孔、45:オリフィス(バイパス流量調節器)、46:バイパス流量調節弁(バイパス流量調節器)、54:すり抜け口、58:すり抜け口継手通路、59:すり抜け口側継手部、59p:管部、59f:フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6