【解決手段】被締結部材20のねじ穴SHにねじ止めされるねじである。ねじ30は、頭部31と、軸部32とを備えている。ねじ30は、被締結部材20のねじ穴SHに軸部32のねじ山STがねじ止めされた状態で、一方端面31aの一部が被締結部材20に当接することにより軸部32のねじ山STをねじ穴SHに片当りさせるように構成されている。
前記軸部は、軸方向に互いに離れて前記ねじ山が形成された第1および第2のねじ部と、前記第1および第2のねじ部に挟まれかつ前記ねじ山が形成されていないねじ無し部とを含み、
前記ねじ無し部の直径は、前記第1および第2のねじ部のそれぞれの前記ねじ山の直径よりも小さい、請求項1〜3のいずれか1項に記載のねじ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載された配管カバーでは、ねじが緩んでいる場合、配管カバーに風が吹き付けることにより、固定部に対して蓋部が振動する。この振動によりねじがさらに緩んでねじが外れることがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、緩みにくいねじならびにそれを備えた配管カバーおよび給湯器セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のねじは、被締結部材のねじ穴にねじ止めされるねじである。ねじは、頭部と、軸部とを備えている。頭部は、一方端面と、一方端面に対向する他方端面とを有する。軸部は、一方端面から他方端面とは反対側に突出し、かつねじ山が形成されている。一方端面は、軸部を挟んで一方側が高くなり、かつ他方側が低くなるように構成されている。ねじは、被締結部材のねじ穴に軸部のねじ山がねじ止めされた状態で、一方端面の一部が被締結部材に当接することにより軸部のねじ山をねじ穴に片当りさせるように構成されている。
【0008】
本発明のねじによれば、頭部の一方端面は、軸部を挟んで一方側が高くなり、かつ他方側が低くなるように構成されている。そして、頭部の一方端面の一部が被締結部材に当接することにより軸部のねじ山をねじ穴に片当りさせることができる。このため、ねじを緩みにくくすることができる。したがって、ねじを外れにくくすることができる。
【0009】
上記のねじにおいては、頭部は、本体部と、突出部とを含む。本体部には軸部が接続されている。突出部は本体部から軸部が突出する方向に突出する。突出部は、一方端面の一部を含む。このため、突出部が被締結部材に当接することにより軸部のねじ山をねじ穴に片当りさせることができる。これにより、ねじを緩みにくくすることができる。
【0010】
上記のねじにおいては、一方端面は、一方側から他方側に傾斜する傾斜面を含む。このため、傾斜面が被締結部材に当接することにより軸部を傾斜させることができる。これにより、軸部のねじ山をねじ穴に片当りさせることができる。これにより、ねじを緩みにくくすることができる。
【0011】
上記のねじにおいては、軸部は、第1および第2のねじ部と、ねじ無し部とを含む。第1および第2のねじ部は、軸方向に互いに離れてねじ山が形成されている。ねじ無し部は、第1および第2のねじ部に挟まれかつねじ山が形成されていない。ねじ無し部の直径は、第1および第2のねじ部のそれぞれのねじ山の直径よりも小さい。このため、ねじが緩んでねじ無し部がねじ穴に位置することにより、ねじ山とねじ穴の螺合が解除される。これにより、ねじがさらに緩むことを防止できる。
【0012】
本発明の配管カバーは、上記のねじと、被締結部材とを備えている。被締結部材は、固定部と、固定部を覆う蓋部とを含む。固定部は、ねじ穴を有している。蓋部は、ねじ穴に連通する貫通孔を有している。ねじは、貫通孔を通ってねじ穴にねじ止めされている。このため、風によって固定部に対して蓋部が振動しても、ねじを緩みにくくすることができる。これにより、風による振動によりねじが外れて固定部から蓋部が取り外されることを抑制できる。
【0013】
上記の配管カバーにおいては、被締結部材は金属からなり、頭部は樹脂からなる。このため、頭部は被締結部材よりも軟らかいので、頭部が被締結部材に当接することにより被締結部材に傷がつくことを抑制できる。
【0014】
本発明の給湯器セットは、上記の配管カバーと、配管に接続される給湯器とを備えた給湯器セットである。配管カバーは、給湯器に接続される配管を覆っている。このため、風による振動で固定部から蓋部が取り外されることを抑制できる配管カバーを備えた給湯器セットを提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、緩みにくいねじならびにそれを備えた配管カバーおよび給湯器セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態における給湯器セットの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態における給湯器の構成を概略的に示す概略図である。
【
図3】
図1の給湯器セットの配管カバーを分解して示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施の形態におけるねじの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施の形態におけるねじの構成を概略的に示す部分断面図である。
【
図6】本発明の一実施の形態におけるねじが配管カバーにねじ止めされた状態を概略的に示す部分断面図である。
【
図7】本発明の一実施の形態におけるねじが緩んだ状態を概略的に示す部分断面図である。
【
図8】本発明の一実施の形態の変形例1におけるねじの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施の形態の変形例1におけるねじの構成を概略的に示す部分断面図である。
【
図10】本発明の一実施の形態の変形例1におけるねじが配管カバーにねじ止めされた状態を概略的に示す部分断面図である。
【
図11】本発明の一実施の形態の変形例1におけるねじが緩んだ状態を概略的に示す部分断面図である。
【
図12】本発明の一実施の形態の変形例2におけるねじの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施の形態の変形例2におけるねじの構成を概略的に示す部分断面図である。
【
図14】本発明の一実施の形態の変形例3におけるねじの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図15】本発明の一実施の形態の変形例3におけるねじの構成を概略的に示す部分断面図である。
【
図16】比較例のねじが緩んだ状態を概略的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本発明の一実施の形態における給湯器セットの構成について説明する。以下では、各方向は給湯器セットを設置した状態を基準にしている。また、特に言及しない限り、同一の構成には同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0018】
図1を参照して、本実施の形態では、建物の壁面100に給湯器セットが設置された場合について説明するが、給湯器セットは地面101に設置されていてもよい。また、本実施の形態では、潜熱を回収可能な潜熱回収式の給湯器について説明するが、給湯器は潜熱を回収するための熱交換器を備えないものであってもよい。
【0019】
図1を参照して、本実施の形態の給湯器セットは、給湯器10と、配管カバーPCを主に備えている。給湯器10は建物の壁面100に設置されている。給湯器10には配管が接続される。具体的には、給湯器10に、建物の給水管P1、給湯管P2およびガス管P3がそれぞれ接続されている。配管カバーPCは、建物の壁面100に設置されている。
【0020】
配管カバーPCは、配管の露出を防げることにより、配管を保護することができ、かつ美観を損なわないようにすることもできる。配管カバーPCは、給湯器、給水管P1、給湯管P2およびガス管P3をそれぞれ覆っている。
【0021】
図1および
図2を参照して、本実施の形態における給湯器10は、筐体1と、バーナ2と、送風装置3と、一次熱交換器4と、二次熱交換器5と、中和器6と、コントローラ7と、給湯経路8と、ガス経路FCとを主に有している。
【0022】
筐体1は、前面(正面)1aと、天面(上面)1bと、底面(下面)1cと、一対の側面1dと、後面(背面)1eとを有している。前面1aと後面1eとが対向する方向が筐体1の前後方向である。天面1bと底面1cとが対向する方向が筐体1の上下方向である。一対の側面1dが互いに対向する方向が筐体1の幅方向(左右方向)である。
【0023】
筐体1の前面1aには、燃焼ガスを排気するための排気口EPが設けられている。排気口EPは給湯器10の内外を連通している。また、筐体1の前面1aには、空気を筐体1内に取り込むための吸気口IPが設けられている。吸気口IPは給湯器10の内外を連通している。吸気口IPは複数個設けられている。
【0024】
筐体1は、前面(正面)1a、天面(上面)1b、底面(下面)1c、一対の側面1dおよび後面(背面)1eによって取り囲まれた空間を有している。この空間内に、バーナ2と、送風装置3と、一次熱交換器4と、二次熱交換器5と、中和器6と、コントローラ7と、給湯経路8と、ガス経路FCとが収容されている。
【0025】
バーナ2は、燃焼ガスを供給可能に構成されている。燃焼ガスは、一次熱交換器4および二次熱交換器5との間で熱交換を行なうためのものである。送風装置3は、バーナ2に燃焼用の空気を供給するためのものである。送風装置3は吸気口IPから筐体1内に取り込まれた空気をバーナ2に送風可能に構成されている。送風装置3は具体的にはたとえばファンである。
【0026】
一次熱交換器4は、バーナ2によって供給された燃焼ガスの顕熱を回収するためのものである。二次熱交換器5は、バーナ2によって供給された燃焼ガスの潜熱を回収するためのものである。一次熱交換器4と二次熱交換器5とは互いに接続されている。一次熱交換器4および二次熱交換器5はそれぞれ被加熱流体である水を流通可能な伝熱管と、この伝熱管を収容可能な熱交換器ケースとを有している。熱交換器ケースの内部において伝熱管の周囲を燃焼ガスが流れる。
【0027】
一次熱交換器4で熱交換した後の燃焼ガスが二次熱交換器5へ通されることで二次熱交換器4内の被加熱流体である水が予熱される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱が回収される。そして、燃焼ガスの潜熱が回収されることによってドレンが発生する。
【0028】
ドレン受けDRは二次熱交換器5の下方に配置されており、二次熱交換器5で生じたドレンを受けるように構成されている。第1のドレン配管DP1はドレン受けDRと中和器6とを接続している。ドレンは、ドレン受けDRから第1のドレン配管DP1を通って中和器6に送られる。
【0029】
中和器6は、二次熱交換器5で燃焼ガスの潜熱を回収することによって発生したドレンを中和するためのものである。このドレンは排気ガス中の窒素酸化物などが溶け込んでいるため酸性となる。中和器6の内部には中和剤が充填されており、この中和剤によって酸性のドレンを中和することができる。第2のドレン配管DP2は中和器6とドレン排出口DOとを接続している。中和器6で中和されたドレンは第2のドレン配管DP2を通ってドレン排出口DOから筐体1外に排出される。
【0030】
コントローラ7はバーナ2および送風装置3などを制御するためのものである。また、コントローラ7は図示しない表示部などを制御するためのものでもある。コントローラ7はバーナ2および送風装置3の各々に電気的に接続されている。
【0031】
給湯経路8は、一次熱交換器4および二次熱交換器5で燃焼ガスと熱交換された湯水を給湯器10外に供給するためのものである。給湯経路8は、給水配管8aと、給湯配管8bと、入水口IWと、出湯口OWとを有している。入水口IWに給水管P1が接続されている。出湯口OWに給湯管P2が接続されている。
【0032】
給水配管8aは、入水口IWから二次熱交換器5に被加熱流体である水を給水可能に構成されている。給湯配管8bは、一次熱交換器4と出湯口OWとを接続している。給湯配管8bは、一次熱交換器4から出湯口OWに一次熱交換器4および二次熱交換器5で温められた温水を給湯可能に構成されている。これにより、入水口IWから給水された水は、二次熱交換器5および一次熱交換器4を通過する際に燃焼ガスによって加熱されて出湯口OWから給湯される。
【0033】
ガス経路FCは、バーナ2に燃焼用のガスを供給するためのものである。ガス経路FCは、ガス配管FPと、ガス供給口FIとを有している。ガス配管FPは、ガス供給口FIから供給された燃焼用のガスをバーナ2に供給可能に構成されている。ガス供給口FIはガス管P3に接続されている。
【0034】
図1および
図3を参照して、本実施の形態における配管カバーPCは、給湯器10に装着されている。配管カバーPCは、給湯器10の底面(下面)1c側に設置されている。配管カバーPCは、被締結部材20と、ねじ30とを主に有している。被締結部材20は、固定部21と、蓋部22と、一対のワッシャ23とを主に有している。
【0035】
固定部21は、一対の側面部21aと、第1の支持部21bと、一対の取付部21cと、第2の支持部21dと、第3の支持部21eとを主に有している。一対の側面部21aは、配管カバーPCの一対の側面を構成している。一対の側面部21aは、筐体1の一対の側面1dにそれぞれ沿うように構成されている。
【0036】
第1の支持部21bは、一対の側面部21a同士を繋ぐように構成されている。第1の支持部21bは、固定部21の蓋部22側に配置されている。具体的には、第1の支持部21bは、固定部21の前端部に配置されている。また、第1の支持部21bは、固定部21の上端部に配置されている。
【0037】
一対の取付部21cは、第1の支持部21bの左右方向の両端部にそれぞれ取り付けられている。一対の取付部21cはそれぞれ第1の支持部21bから蓋部22側に突出している。一対の取付部21cはそれぞれねじ穴SHを有している。各ねじ穴SHは、固定部21の前後方向に各取付部21cを貫通している。
【0038】
第2の支持部21dおよび第3の支持部21eはそれぞれ一対の側面部21a同士を繋ぐように構成されている。第2の支持部21dは固定部21の前端部に配置されている。第3の支持部21eは固定部21の後端部に配置されている。また、第2の支持部21dおよび第3の支持部21eはそれぞれ固定部21の下端部に配置されている。
【0039】
蓋部22は、前面部22aと、一対の貫通孔22bとを主に有している。前面部22aは、配管カバーPCの前面を構成している。一対の貫通孔22bはそれぞれ前面部22aの前後方向に前面部22aを貫通している。各貫通孔22bは各ねじ穴SHに連通している。
【0040】
一対のワッシャ23はそれぞれ取付部21cと前面部22aとの間に配置されている。各ワッシャ23は、各ねじ穴SHおよび各貫通孔22bに連通している。各ワッシャ23は、ねじ30を挿通可能に構成されている。
【0041】
図3および
図4を参照して、ねじ30は、被締結部材20のねじ穴SHにねじ止めされるものである。ねじ30は、貫通孔22bを通ってねじ穴SHにねじ止めされている。ねじ30は、頭部31と、軸部32とを主に有している。
【0042】
図4および
図5を参照して、頭部31は、一方端面31aと、他方端面31bと、溝部31cと、受入部31dとを主に有している。一方端面31aは、軸部32を挟んで一方側S1が高くなり、かつ他方側S2が低くなるように構成されている。他方端面31bは、一方端面31aに対向している。溝部31cは、他方端面31bから一方端面31a側に凹んでいる。受入部31dは、軸部32の張出部PRに係合されている。
【0043】
軸部32は、一方端面31aから他方端面31bとは反対側に突出している。軸部32にはねじ山STが形成されている。ねじ山STは、軸部32の外周面に形成されている。軸部32は、頭部31側の端部に張出部PRを有している。張出部PRは、ねじ山STから軸部32の径方向に張り出している。張出部PRが受入部31dに係合することにより軸部32は頭部31に固定されている。
【0044】
また、頭部31は、本体部MPと、突出部PPとを有している。本体部MPには、軸部32が接続されている。突出部PPは、本体部MPから軸部32が突出する方向に突出する。突出部PPは、一方端面31aの一部を含んでいる。一方側S1は、他方側S2よりも、本体部MPから軸部32が突出する方向に突出している。一方端面31aは、一方側S1から他方側S2に傾斜する傾斜面SLを含んでいる。傾斜面SLは軸部32の軸方向に対して傾斜している。
【0045】
図6および
図7を参照して、ねじ30は、被締結部材20のねじ穴SHに軸部32のねじ山STがねじ止めされた状態で、一方端面31aの一部が被締結部材20に当接することにより軸部32のねじ山STをねじ穴SHに片当りさせるように構成されている。具体的には、
図6に示すように、固定部21のねじ穴SHに軸部32のねじ山STがねじ止めされた状態で、一方端面31aの一方側S1が蓋部22に当接する。
【0046】
図7に示すように、ねじ30が緩んだ状態では、固定部21の内部に流入した風および固定部21と蓋部22との隙間に流入した風が固定部21側から蓋部22に吹き付けることにより、蓋部22が固定部21から離れて一方端面31aに当接する。このため、軸部32のねじ山STがねじ穴SHに片当りする。また、被締結部材20は金属からなり、頭部31は樹脂からなっていてもよい。
【0047】
次に、本実施の形態における変形例について説明する。
図8および
図9を参照して、本実施の形態における変形例1のねじ30のように、第1のねじ部32aと第2のねじ部32bとに挟まれたねじ無し部32cを備えていてもよい。本実施の形態における変形例1のねじ30では、軸部32は、第1のねじ部32aと、第2のねじ部32bと、ねじ無し部32cと、先端部32dとを主に有している。
【0048】
第1のねじ部32aと第2のねじ部32bとは軸方向に互いに離れてねじ山STが形成されている。ねじ無し部32cは、第1のねじ部32aおよび第2のねじ部32bに挟まれている。ねじ無し部32cにはねじ山STが形成されていない。ねじ無し部32cの直径は、第1のねじ部32aおよび第2のねじ部32bのそれぞれのねじ山STの直径よりも小さい。先端部32dは、軸部32の先端に位置している。つまり、先端部32dは、第2のねじ部32bに対して第1のねじ部32aと反対側に位置している。先端部32dにはねじ山STが形成されていない。
【0049】
図10を参照して、固定部21のねじ穴SHに第1のねじ部32aのねじ山STがねじ止めされた状態では、第2のねじ部32bおよびねじ無し部32cは、ねじ穴SHに当接しない。
【0050】
図11を参照して、ねじが緩んだ状態では、固定部21の内部に流入した風および固定部21と蓋部22との隙間に流入した風が固定部21側から蓋部22に吹き付けることにより、蓋部22が固定部21から離れて一方端面31aに当接する。第1のねじ部32aがねじ30の緩む方向に回転してねじ穴SHから外れると、ねじ無し部32cがねじ穴SHに位置する。これにより、ねじ山STとねじ穴SHとの螺合が解除される。そして、ねじ無し部32cの直径は、第1のねじ部32aおよび第2のねじ部32bのそれぞれのねじ山STの直径よりも小さいため、ねじ無し部32cはねじ穴SHに落ち込むように下方に移動する。このため、蓋部22に風が吹き付けることにより、ねじ30がねじ30の緩む方向に回転して、ねじ穴SHに第2のねじ部32bが螺合することが抑制される。
【0051】
図12および
図13を参照して、本実施の形態における変形例2のねじ30は、平面部FSを備えている点で変形例1のねじ30と異なっている。平面部FSは、軸部32の軸方向と直交するように形成されている。平面部FSは、傾斜面SLの一部に形成されている。平面部FSは、傾斜面SLの一方側S1に配置されている。一方端面31aは、平面部FSを含んでいる。
【0052】
図14および
図15を参照して、本実施の形態における変形例3のねじ30は、突出部PPの構成が
図4および
図5に示す本実施の形態のねじ30と主に異なっている。突出部PPは、突出部PPは、円柱形状を有している。突出部PPの直径は軸部32の直径よりも小さい。突出部PPは、一方端面31aの一部に形成されている。一方端面31aは、突出部PPの先端面TSを含んでいる。
【0053】
次に、本実施の形態の作用効果について、比較例のねじと対比して説明する。なお、比較例のねじについては、特に言及にしない限り、上記の本実施の形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0054】
図16を参照して、比較例のねじ30では、一方端面31aの高さは均等である。つまり、軸部32の軸方向と一方端面31aとは直交している。したがって、この比較例では、被締結部材20のねじ穴SHに軸部32のねじ山STがねじ止めされた状態で、一方端面31aが被締結部材20に当接しても、軸部32のねじ山STはねじ穴SHに片当りしない。したがって、ねじ30が緩んでいる場合に、固定部21の内部に流入した風および固定部21と蓋部22との隙間に流入した風が固定部21側から蓋部22に吹き付けることにより、蓋部22が固定部21から離れて一方端面31aに当接する。また、蓋部22の前面22aに固定部21に向かって風が吹き付けることにより、蓋部22が固定部21に当接する。風によって、この蓋部22の移動が繰り返される。このように、風によって固定部21に対して蓋部22が振動して、ねじ30がさらに緩む方向に回転してねじ30がねじ穴SHから外れることがある。
【0055】
これに対して、
図4および
図7に示すように、本実施の形態のねじ30によれば、頭部31の一方端面31aは、軸部32を挟んで一方側S1が高くなり、かつ他方側S2が低くなるように構成されている。そして、頭部31の一方端面31aの一部が被締結部材20に当接することにより軸部32のねじ山STをねじ穴SHに片当りさせることができる。このため、ねじ30を緩みにくくすることができる。したがって、ねじ30を外れにくくすることができる。
【0056】
図4および
図7に示すように、本実施の形態のねじ30においては、頭部31は、本体部MPと、突出部PPとを含んでいる。突出部PPは本体部MPから軸部32が突出する方向に突出する。突出部PPは、一方端面31aの一部を含んでいる。このため、突出部PPが被締結部材20に当接することにより軸部32のねじ山STをねじ穴SHに片当りさせることができる。これにより、ねじ30を緩みにくくすることができる。
【0057】
図4および
図7に示すように、本実施の形態のねじ30においては、一方端面31aは、一方側S1から他方側S2に傾斜する傾斜面SLを含んでいる。このため、傾斜面SLが被締結部材20に当接することにより軸部32を傾斜させることができる。これにより、軸部32のねじ山STをねじ穴SHに片当りさせることができる。これにより、ねじ30を緩みにくくすることができる。
【0058】
図8および
図10に示すように、本実施の形態の変形例1のねじ30においては、軸部は、第1のねじ部32aと、第2のねじ部32bと、ねじ無し部32cとを含んでいる。ねじ無し部32cは、第1のねじ部32aおよび第2のねじ部32bに挟まれかつねじ山STが形成されていない。ねじ無し部32cの直径は、第1のねじ部32aおよび第2のねじ部32bのそれぞれのねじ山STの直径よりも小さい。このため、ねじ30が緩んでねじ無し部32cがねじ穴SHに位置することにより、ねじ山STとねじ穴SHの螺合が解除される。これにより、ねじ30がさらに緩むことを防止できる。
【0059】
図3および
図6に示すように、本実施の形態の配管カバーPCは、上記のねじ30と、被締結部材20とを備えている。被締結部材20は、固定部21と、固定部21を覆う蓋部22とを含む。固定部21は、ねじ穴SHを有している。蓋部22は、ねじ穴SHに連通する貫通孔22bを有している。ねじ30は、貫通孔22bを通ってねじ穴SHにねじ止めされている。このため、風によって固定部21に対して蓋部22が振動しても、ねじ30を緩みにくくすることができる。これにより、風による振動によりねじ30が外れて固定部21から蓋部22が取り外されることを抑制できる。
【0060】
図3および
図6に示すように、本実施の形態の配管カバーPCにおいては、被締結部材20は金属からなり、頭部31は樹脂からなる。このため、頭部31は被締結部材20よりも軟らかいので、頭部31が被締結部材20に当接することにより被締結部材20に傷がつくことを抑制できる。
【0061】
図1および
図3に示すように、本実施の形態の給湯器セットは、上記の配管カバーPCと、給水管P1、給湯管P2およびガス管P3に接続される給湯器10とを備えた給湯器セットである。配管カバーPCは、給水管P1、給湯管P2およびガス管P3を覆っている。このため、風による振動で固定部21から蓋部22が取り外されることを抑制できる配管カバーPCを備えた給湯器セットを提供することができる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。