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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-217634(P2016-217634A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】構造物及び構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/02 20060101AFI20161125BHJP
   F28F 21/06 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   F28D20/02 E
   F28F21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-103784(P2015-103784)
(22)【出願日】2015年5月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】坂口 洋之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健太
(57)【要約】
【課題】 流体との熱交換を行う際に、熱交換機能が確保され、外気温度に応じて、熱を効率よく活用できる構造物を提供する。
【解決手段】流体との熱交換に用いる構造物であって、上記構造物を形成する部材は、第1蓄熱材と、第2蓄熱材と、樹脂とからなり、上記第1蓄熱材は、カプセル内に第1蓄熱物質が封入されてなり、かつ、上記部材の内部に存在しており、上記第2蓄熱材は、カプセル内に第2蓄熱物質が封入されてなり、かつ、上記部材の内部に存在しており、上記第1蓄熱物質の相転移温度と、上記第2蓄熱物質の相転移温度とは異なることを特徴とする構造物。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体との熱交換に用いる構造物であって、
前記構造物を形成する部材は、第1蓄熱材と、第2蓄熱材と、樹脂とからなり、
前記第1蓄熱材は、カプセル内に第1蓄熱物質が封入されてなり、かつ、前記部材の内部に存在しており、
前記第2蓄熱材は、カプセル内に第2蓄熱物質が封入されてなり、かつ、前記部材の内部に存在しており、
前記第1蓄熱物質の相転移温度と、前記第2蓄熱物質の相転移温度とは異なることを特徴とする構造物。
【請求項2】
前記第1蓄熱物質の相転移温度と前記第2蓄熱物質の相転移温度との温度差は、5℃以上である請求項1に記載の構造物。
【請求項3】
前記構造物は、流体が流入する流入口と、前記流入口から流入した流体が通過する流路と、前記流路を通過した流体が流出する流出口とを有する請求項1又は2に記載の構造物。
【請求項4】
前記構造物の前記流入口側又は前記流出口側はファンが設置されている請求項3に記載の構造物。
【請求項5】
前記構造物は、複数の前記流路を有する請求項3又は4に記載の構造物。
【請求項6】
前記構造物の形状は、複数の前記流路が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状である請求項5に記載の構造物。
【請求項7】
前記隔壁の厚さは、50〜5000μmである請求項6に記載の構造物。
【請求項8】
前記流路の密度は、前記構造物の長手方向に垂直な断面において、10〜1000個/平方インチである請求項6又は7に記載の構造物。
【請求項9】
前記第1蓄熱材及び前記第2蓄熱材の平均粒子径は、10〜6000μmである請求項1〜8のいずれかに記載の構造物。
【請求項10】
前記第1蓄熱材及び前記第2蓄熱材の合計含有量は、前記構造物の体積に対し5〜85%である請求項1〜9のいずれかに記載の構造物。
【請求項11】
前記第1蓄熱材及び/又は前記第2蓄熱材の一部が、前記部材の表面に露出している請求項1〜10のいずれかに記載の構造物。
【請求項12】
前記樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び紫外線硬化樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜11のいずれかに記載の構造物。
【請求項13】
前記樹脂は、前記樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する樹脂用フィラーを含む請求項1〜12のいずれかに記載の構造物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の構造物の製造方法であって、
カプセル内に第1蓄熱物質が封入された第1蓄熱材と、カプセル内に第2蓄熱物質が封入された第2蓄熱材と、樹脂とを混合して混合物を調製する混合工程と、
前記混合物を成形して、前記第1蓄熱材と、前記第2蓄熱材と、前記樹脂とからなる部材により形成される構造物とする成形工程とを含み、
前記第1蓄熱物質の相転移温度と、前記第2蓄熱物質の相転移温度とは異なることを特徴とする構造物の製造方法。
【請求項15】
前記成形工程では、3Dプリンタを用いて前記構造物を製造する請求項14に記載の構造物の製造方法。
【請求項16】
前記成形工程では、押出成形にて前記構造物を製造する請求項14に記載の構造物の製造方法。
【請求項17】
前記成形工程では、射出成形にて前記構造物を製造する請求項14に記載の構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物及び構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の屋内環境における快適条件を得るためには、断熱性、気密性、換気性、冷暖房効率、除湿の5つをバランスよく高める必要がある。ここで屋内環境における屋内温度での快適条件を得るには、冷暖房効率、換気性を考慮することが重要である。
快適条件となる屋内温度と屋外温度の差が大きくなる夏季もしくは冬季においては、冷房や暖房等の空調システムを用い、屋内環境の屋内温度を快適条件となるように調節させている。その一方、屋内の空気を入れ替える換気をすることにより、屋内の不快感が軽減されるが、屋外の新鮮な空気が屋内に流入し、その流入分が屋内温度を変化させる。その屋内温度の変化に対して、空調システムの稼動負荷が増えるため、冷暖房効率が低下する。また、快適な屋内温度の変化に対して、快適条件となる屋内温度に戻すためには、一定時間を要する。
【0003】
特許文献1には、セラミックからなる多孔質部材で構成され、内部に流入する気体から熱と湿気を吸入しながら所定温度まで蓄熱する蓄熱構造物が開示されている。
特許文献1の構造物は、屋内と屋外とを繋ぐ換気ユニットの空気の流路に配置されることになる。また、構造物は、所定の温度まで蓄熱することができるようになっていて、換気の際に蓄熱構造物に空気を通過させて蓄熱構造物と空気との間で熱交換することにより、屋内の温度及び湿度を調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−113463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の構造物は、セラミックからなる多孔質部材により構成されているので材料の密度が小さいので、構造物の単位体積当たりの熱容量が小さい。このような従来技術の構造物の熱容量を増加する方法として、構造物の体積を大きくする方法がある。しかし、構造物の体積を大きくすると、構造物を設置するための空間も大きくなり、構造物の用途及び使用が制限される。このような理由から構造物の体積を大きくする以外の方法で熱容量を大きくし、熱交換を行える温度領域を広くすることも求められた。
また、従来技術の構造物は、単位体積当たりの熱容量が小さいので、構造物が流体と熱交換する際に、構造物に蓄えられた熱が直ぐに放出されてしまい、又は、構造物に蓄えることができる熱が直ぐに上限に達してしまい、幅広い温度領域で流体の温度を制御することは難しかった。すなわち、熱交換を行える温度領域が狭いという課題があった。
また、構造物の外気温度に応じて、熱容量から得られた熱を効率よく活用できるようにすることも求められた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、流体との熱交換を行う際に、熱交換機能が確保され、外気温度に応じて、熱を効率よく活用できる構造物を提供することである。
【0007】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、熱交換の際の温度で相転移する蓄熱物質をカプセル内に封入し、該カプセルが部材の内部に存在する構造物を流体との熱交換に用いる場合において、第1蓄熱物質を含んだ第1蓄熱材と、第1蓄熱物質とは相転移温度が異なる第2蓄熱物質を含んだ第2蓄熱材の2種類の蓄熱材を用いることで、構造物の熱交換機能を確保できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、流体との熱交換に用いる構造物であって、上記構造物を形成する部材は、第1蓄熱材と、第2蓄熱材と、樹脂とからなり、上記第1蓄熱材は、カプセル内に第1蓄熱物質が封入されてなり、かつ、上記部材の内部に存在しており、上記第2蓄熱材は、カプセル内に第2蓄熱物質が封入されてなり、かつ、上記部材の内部に存在しており、上記第1蓄熱物質の相転移温度と、前記第2蓄熱物質の相転移温度とは異なることを特徴とする。
なお、本明細書において「第1蓄熱物質」及び「第2蓄熱物質」とは、熱交換において、構造物が温度変化する際に、相転移する物質のことを意味する。
【0009】
本発明の構造物の内部には、カプセル内に第1蓄熱物質が封入されてなる第1蓄熱材と、カプセル内に第2蓄熱物質が封入されてなる第2蓄熱材が存在している。
例えば、本発明の構造物では、樹脂により骨格が形成され、第1蓄熱材及び/又は第2蓄熱材が樹脂の内部に又は樹脂から一部を露出して存在していてもよい。樹脂を用いることで、樹脂の内部に、又は、樹脂から一部を露出して第1蓄熱材及び/又は第2蓄熱材を存在させることができる。また、相転移温度が異なる2種類の蓄熱材を用いることにより構造物の熱容量を大きくし、熱交換できる温度領域を広げることができる。
このような構造物を流体との熱交換に用いると、構造物の温度が変化することに伴い、第1蓄熱材の第1蓄熱物質が相転移する。第1蓄熱物質が相転移する際には、潜熱として熱を放出又は吸収するので、第2蓄熱物質の温度変化は小さくなる。また、構造物の温度がさらに変化することに伴い、第2蓄熱材の第2蓄熱物質も相転移する。第2蓄熱物質が相転移する際にも、潜熱として熱を放出又は吸収するので、第1蓄熱物質の温度変化は小さくなる。第1蓄熱物質の相転移温度及び第2蓄熱物質の相転移温度が異なっていることで、熱交換できる温度領域を広げることができる。従って、本発明の構造物では、熱交換の際に熱交換機能を確保することができる。
また、第1蓄熱物質は、潜熱として熱を放出又は吸収することもできるので、相転移温度における第1蓄熱物質の放出又は吸収できる熱量は大きい。第2蓄熱物質も同様である。そのため、本発明の構造物は、単位体積当たりの放出又は吸収できる熱量が大きくなる。従って、本発明の構造物を小型化しても充分な熱量を放出又は吸収することができる。
【0010】
また、本発明の構造物では、第1蓄熱物質の相転移温度と、第2蓄熱物質の相転移温度とは異なる。従って、上記の通り、第1蓄熱物質が相転移する際には、第2蓄熱物質に温度変化が生じず、第2蓄熱物質が相転移する際にも第1蓄熱物質に温度変化が生じない。
そのため、第1蓄熱物質が相転移している間は、構造物の温度を第1蓄熱物質の相転移温度に保ちやすくなり、第2蓄熱物質が相転移している間は、構造物の温度を第2蓄熱物質の相転移温度に保ちやすくなる。すなわち、構造物の温度を段階的に保つことができる。
【0011】
本発明の構造物では、カプセル内に第1蓄熱物質が封入されてなる第1蓄熱材とカプセル内に第2蓄熱物質が封入されてなる第2蓄熱材が用いられている。
第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質がそれぞれ別のカプセルに封入されることにより、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が混ざることを防ぐことができる。また、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が構造物から漏れ出ることを防ぐことができる。
【0012】
本発明の構造物では、上記第1蓄熱物質の相転移温度と上記第2蓄熱物質の相転移温度との温度差は、5℃以上であることが望ましく、15℃以上であることがより望ましい。
第1蓄熱物質の相転移温度と第2蓄熱物質の相転移温度との温度差が5℃以上であると、異なるそれぞれの温度領域において構造物の蓄熱量を大きくすることができる。さらに、第1蓄熱物質の相転移温度と第2蓄熱物質の相転移温度との温度差が15℃以上であることで構造物に対する構造物の蓄熱量を大きくし、温度領域が広げられるので使用および用途の適用を広げることができる。
【0013】
本発明の構造物は、流体が流入する流入口と、上記流入口から流入した流体が通過する流路と、上記流路を通過した流体が流出する流出口とを有することが望ましい。
構造物が流入口、流路、流出口を有する構造であると、流体との熱交換において、流体が構造物の内部を通過することになる。
つまり、流体が構造物を通過する間、流体と構造物とが接触することになり、その結果、接触に対して、流体と構造物との間で効率よく熱交換することができる。
【0014】
本発明の構造物の上記流入口側又は上記流出口側にはファンが設置されていてもよい。ファンを設置することにより、構造物内での空気の流れを作りやすくなり、熱交換を効率よく行うことができるのである。従って、構造物は、流体の温度を制御する機能が好適に発揮される。
【0015】
本発明の構造物は、複数の上記流路を有することが望ましい。
複数の流路を有する構造物であると、流体と構造物との接触度合いを増加させることができる。流体と構造物との熱交換効率は、これらの接触度合いの大きさに依存するので、本発明の構造物では、効率よく熱交換をすることができる。
【0016】
本発明の構造物の形状は、複数の上記流路が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状であることが望ましい。
構造物がハニカム形状であると、流路の形状の組み合わせにより用途の自由度が上がる。また、構造物の強度を強くすることができる。さらに、流体と構造物との接触度合いを増加させることができる。
【0017】
本発明の構造物では、上記隔壁の厚さは、50〜5000μmであることが望ましい。
隔壁の厚さが、50μm以上であると、隔壁が充分に厚いので、構造物の強度が充分に強くなる。また、隔壁に含まれる蓄熱材を充分な量とすることができるので、熱交換効率が向上する。
隔壁の厚さが、5000μm以下であると、流体と構造物との接触度合いを充分に大きくすることができる。また、隔壁の内部まで熱が伝わりやすくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
【0018】
本発明の構造物では、上記流路の密度は、上記構造物の長手方向に垂直な断面において、10〜1000個/平方インチであることが望ましい。
流路の密度が、10個/平方インチ以上であると、流体と構造物との接触度合いが大きくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
流路の密度が、1000個/平方インチ以下であると、隔壁が充分な厚さとなり、構造物が充分な強度となる。
【0019】
本発明の構造物では、上記蓄熱材の平均粒子径は、10〜6000μmであることが望ましい。
蓄熱材の平均粒子径が10μm以上であると、蓄熱材に封入される蓄熱物質の量が充分な量となり、蓄熱材の量に対する、構造物の熱交換効率が充分に高くなる。また、構造物を形成することが阻害されにくくなる。
蓄熱材の平均粒子径が6000μm以下であると、蓄熱材の表面積が充分に大きくなり、蓄熱物質への伝熱速度又は蓄熱物質からの伝熱速度が充分に速くなる。その結果、構造物の熱交換効率が向上する。
本発明の構造物では、蓄熱材の平均粒子径が、隔壁の厚さよりも大きくてもよく、小さくてもよい。
隔壁の厚さに対して、平均粒子径が小さい蓄熱材を用いると、蓄熱材は隔壁内に収容される、又は、部分的に露出をすることになる。また、隔壁の厚さに対して、平均粒子径が同等又は大きい蓄熱材を用いると、蓄熱材は隔壁の少なくとも片側で露出をすることになる。
蓄熱材の平均粒子径は、熱交換効率や伝熱速度を考慮し、用途に応じて決定することが望ましい。
また、蓄熱材の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定することができる。レーザー回折・散乱法を用いることにより粒度分布も測定することが可能になる。
【0020】
本発明の構造物では、上記第1蓄熱材及び上記第2蓄熱材の平均粒子径は、10〜6000μmであることが望ましい。
第1蓄熱材及び第2蓄熱材の平均粒子径が、10〜6000μmであると、熱交換という観点では、蓄熱量を大きくし、温度領域が広げられるという効果を奏し、構造物の成形のしやすさという観点では、形状保持性が確保されるという効果を奏する。
【0021】
本発明の構造物では、上記第1蓄熱材及び上記第2蓄熱材の合計含有量は、上記構造物の体積に対し5〜85%であることが望ましい。
なお、「構造物の体積」とは、構造物の部材がある部分の体積を意味し、例えば、構造物の内部に空間がある場合、その空間は「構造物の体積」に含まれない。
また、体積の基準は、25℃における第1蓄熱材及び第2蓄熱材の体積と、25℃における構造物の体積である。
なお、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の合計含有量が5%以上であると、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質の量が充分な量となり、構造物の熱交換効率が向上する。
第1蓄熱材及び第2蓄熱材の合計含有量が85%以下であると、構造物を構成する樹脂の割合が高くなり、構造物の強度が充分に高くなる。
【0022】
本発明の構造物では、上記第1蓄熱材及び/又は上記第2蓄熱材の一部が、上記部材の表面に露出していることが望ましい。
上記第1蓄熱材及び/又は上記第2蓄熱材の一部が、部材の表面に露出していると、熱交換の際に流体と蓄熱材とが直接接することになる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
【0023】
本発明の構造物では、上記樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び紫外線硬化樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
これら樹脂は、本発明の構造物を構成する樹脂の骨格を形成することもでき、第1蓄熱材及び/又は第2蓄熱材を部材の内部に配置することができ、また、一部が露出するように配置することもできる。
【0024】
本発明の構造物では、上記樹脂は、上記樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する樹脂用フィラーを含んでいてもよい。
樹脂がこのような熱伝導率を有する樹脂用フィラーを含むと、樹脂と第1蓄熱材及び第2蓄熱材との間の熱移動速度を向上させることができる。また、第1蓄熱材及び第2蓄熱材にはそれぞれ第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が含まれているので、結果的に、各蓄熱物質への熱移動の速度、又は、各蓄熱物質からの熱移動の速度を向上させることもできる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
【0025】
本発明の構造物の製造方法は、カプセル内に第1蓄熱物質が封入された第1蓄熱材と、カプセル内に第2蓄熱物質が封入された第2蓄熱材と、樹脂とを混合して混合物を調製する混合工程と、前記混合物を成形して、上記第1蓄熱材と、上記第2蓄熱材と、上記樹脂とからなる部材により形成される構造物とする成形工程を含み、上記第1蓄熱物質の相転移温度と、上記第2蓄熱物質の相転移温度とは異なることを特徴とする。
本発明の構造物の製造方法により、上記本発明の構造物を製造することができる。
【0026】
本発明の構造物の製造方法において、上記成形工程では、3Dプリンタを用いて上記構造物を製造することが望ましい。
3Dプリンタを用いることにより、任意の形状の構造物を製造することができる。
【0027】
本発明の構造物の製造方法において、上記成形工程では、押出成形にて上記構造物を製造することが望ましい。
本発明の構造物の製造方法において、上記成形工程では、射出成形にて上記構造物を製造することが望ましい。
上記の押出成形又は射出成形のいずれかの成形方法を用いることにより、低コストで容易に所定の形状の構造物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1(a)は、本発明の構造物の一例を模式的に示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。
図2図2は、本発明の構造物を形成する部材の内部の一例を模式的に示す本発明の構造物の断面図である。
図3図3は、本発明の構造物において、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の一部が部材の表面から露出している態様の一例を拡大して模式的に示す本発明の構造物の断面図である。
図4図4は、本発明の構造物において、第1蓄熱材及び第2蓄熱材が部材を貫通し、部材の表面から露出している態様の一例を拡大して模式的に示す本発明の構造物の断面図である。
図5図5は、流体が、流体の温度よりも高い温度の本発明の構造物と熱交換する際の、本発明の構造物及び本発明の構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図6図6は、流体が、流体の温度よりも高い温度の一般的な熱交換用構造物と熱交換する際の、一般的な熱交換用構造物及び一般的な熱交換用構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図7図7は、流体が、流体の温度よりも高い温度、かつ、蓄熱物質が1種類のみ使用されている熱交換用構造物と熱交換する際の、熱交換用構造物及び熱交換用構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図8図8は、流体が、流体の温度よりも低い温度の本発明の構造物と熱交換する際の、本発明の構造物及び本発明の構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図9図9は、流体が、流体の温度よりも低い温度の一般的な熱交換用構造物と熱交換する際の、一般的な熱交換用構造物及び一般的な熱交換用構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図10図10は、流体が、流体の温度よりも低い温度、かつ、蓄熱物質が1種類のみ使用されている熱交換用構造物と熱交換する際の、熱交換用構造物及び熱交換用構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図11図11は、本発明の構造物が用いられた住宅換気システムの一例を模式的に示す模式図である。
図12図12は、図11に示す住宅換気システムを用いて換気をする工程の一例を模式的に示す模式図である。
図13図13(a)〜(d)は、実施例3の成形工程を模式的に示す模式図である。
図14図14は、排気実験の結果を示すグラフである。
【0029】
(発明の詳細な説明)
以下、詳述する。
本発明の構造物は、流体との熱交換に用いる構造物である。
流体としては、特に限定されず、液体であっても気体であっても良いが、気体であることが望ましい。また、流体としては、空気であることがより望ましい。
【0030】
本発明の構造物は部材により形成される。
また、本発明の構造物では、部材は、第1蓄熱材と、第2蓄熱材と、樹脂とからなり、部材の内部には、第1蓄熱材及び第2蓄熱材が存在している。
また、本発明の構造物では、第1蓄熱材は、カプセル内に第1蓄熱物質が封入されてなり、第2蓄熱材は、カプセル内に第2蓄熱物質が封入されてなる。
また、本発明の構造物では、第1蓄熱物質の相転移温度と、第2蓄熱物質の相転移温度とは異なる。
【0031】
本発明の構造物では、第1蓄熱物質の相転移温度と、第2蓄熱物質の相転移温度とは異なるので、本発明の構造物を流体との熱交換に用いると、構造物の温度が変化することに伴い、第1蓄熱材の第1蓄熱物質が相転移する。第1蓄熱物質が相転移する際には、潜熱として熱を放出又は吸収するので、第2蓄熱物質の温度変化は小さくなる。また、構造物の温度がさらに変化することに伴い、第2蓄熱材の第2蓄熱物質も相転移する。第2蓄熱物質が相転移する際にも、潜熱として熱を放出又は吸収するので、第1蓄熱物質の温度変化は小さくなる。第1蓄熱物質の相転移温度及び第2蓄熱物質の相転移温度が異なっていることで、熱交換できる温度領域を広げることができる。従って、本発明の構造物では、熱交換の際に熱交換機能を確保することができる。
【0032】
本発明の構造物では、カプセル内に第1蓄熱物質が封入されてなる第1蓄熱材とカプセル内に第2蓄熱物質が封入されてなる第2蓄熱材が用いられている。
第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質がそれぞれ別のカプセルに封入されることにより、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が混ざることを防ぐことができる。また、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が構造物から漏れ出ることを防ぐことができる。
【0033】
本発明の構造物の形状は、特に限定されないが、例えば以下の形状があげられる。
【0034】
すなわち、本発明の構造物の形状は、流体の流れを変えるフィン形状であってもよい。
本発明の構造物の形状がフィン形状であると、本発明の構造物は配管ダクト等のフィンに用いることができる。配管ダクト等のフィンは、流体と接触することになる。従って、本発明の構造物は、フィンの機能を果たすと共に、流体の温度を制御する機能も有する。
【0035】
また、本発明の構造物の形状は、流体が流入する流入口と、流入口から流入した流体が通過する流路と、流路を通過した流体が流出する流出口とを有する形状であってもよい。
本発明の構造物が流入口、流路、流出口を有する構造であると、流体との熱交換において、流体が本発明の構造物の内部を通過することになる。
つまり、流体が本発明の構造物を通過する間、流体と本発明の構造物とが接触することになり、その結果、接触に対して、流体と本発明の構造物との間で効率よく熱交換することができる。
【0036】
また、本発明の構造物の形状が、流体が流入する流入口と、流入口から流入した流体が通過する流路と、流路を通過した流体が流出する流出口とを有する形状である場合、流入口側又は流出口側にはファンが設置されていてもよい。ファンを設置することにより、本発明の構造物内での空気の流れを作りやすくなり、熱交換を効率よく行うことができるのである。従って、本発明の構造物は、流体の温度を制御する機能が好適に発揮される。
【0037】
さらに、本発明の構造物は、流路の外壁と外壁の内側に配置されたフィンを形成していてもよい。
本発明の構造物がこのような形状であると、容易に流路内に空気を導入又は流路から空気を排出することができ、熱効率を向上させることができる。
【0038】
また、本発明の構造物は、複数の流路を有する形状であってもよい。
本発明の構造物が、複数の流路を有する構造であると、流体と本発明の構造物との接触度合いを増加させることができる。流体と本発明の構造物との熱交換効率は、これらの接触度合いの大きさに依存するので、本発明の構造物では、効率よく熱交換をすることができる。
【0039】
さらに、本発明の構造物は、構造物の形状は、複数の流路が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状であってもよい。
本発明の構造物が、ハニカム形状であると、流路の形状の組み合わせにより用途の自由度が上がる。また、構造物の強度を強くすることができる。さらに、流体と構造物との接触度合いを増加させることができる。
【0040】
本発明の構造物の形状がハニカム形状である場合、隔壁の厚さは、特に限定されないが、50〜5000μmであることが望ましく、500〜3000μmであることがより望ましい。
隔壁の厚さが、50μm以上であると、隔壁が充分に厚いので、構造物の強度が充分に強くなる。また、隔壁に含まれる第1蓄熱材及び第2蓄熱材を充分な量とすることができるので、熱交換効率が向上する。
隔壁の厚さが、5000μm以下であると、流体と構造物との接触度合いを充分に大きくすることができる。また、隔壁の内部まで熱が伝わりやすくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
【0041】
本発明の構造物の形状がハニカム形状である場合、流路の密度は、特に限定されないが、本発明の構造物の長手方向に垂直な断面において、10〜1000個/平方インチであることが望ましく、30〜800個/平方インチであることがより望ましい。
流路の密度が、10個/平方インチ以上であると、流体と本発明の構造物との接触度合いが大きくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
流路の密度が、1000個/平方インチ以下であると、隔壁が充分な厚さとなり、本発明の構造物が充分な強度となる。
【0042】
本発明の構造物の形状がハニカム形状である場合、本発明の構造物の長手方向に垂直な断面において、流路の形状は、特に限定されず、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形以上の多角形であってもよい。
【0043】
本発明の構造物がハニカム形状である場合についてさらに詳述すると、図1(a)及び(b)並びに図2に示す形状があげられる。
図1(a)は、本発明の構造物の一例を模式的に示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。
図2は、本発明の構造物を形成する部材の内部の一例を模式的に示す本発明の構造物の断面図である。
図1(a)及び(b)に示す構造物1は、流体Fとの熱交換に用いる構造物である。
構造物1は、流体Fが流入する複数の流入口21と、流入口21から流入した流体Fが通過する複数の流路22と、流路22を通過した流体Fが流出する複数の流出口23とを有しており、構造物1の形状は、複数の流路22が隔壁24を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状である。なお、流体Fの流れは、図1(b)中に矢印で示す。
また、図2に示すように、構造物1を形成する部材10は、第1蓄熱材11と、第2蓄熱材12と、樹脂16とからなる。
そして、第1蓄熱材11は、カプセル11b内に第1蓄熱物質11aが封入されてなり、かつ、部材10の内部に存在しており、また、第2蓄熱材12は、カプセル12b内に第2蓄熱物質12aが封入されてなり、かつ、部材10の内部に存在している。
【0044】
上記の通り構造物1は、流体Fが流入する流入口21と、流入口21から流入した流体Fが通過する流路22と、流路22を通過した流体Fが流出する流出口23とを有している。
構造物1がこのような構造であると、流体Fとの熱交換において、流体Fは構造物1の内部を通過することになる。つまり、流体Fが構造物1を通過する間、流体Fの周囲には常に構造物1が存在することになる。そのため、流体Fが構造物1を通過する際に、常に流体Fと構造物1とが接触することになる。従って、効率よく熱交換することができる。
【0045】
また、構造物1は、複数の流路22を有している。
構造物1が複数の流路22を有すると、流体Fと、構造物1との接触度合いを増加させることができる。流体Fと構造物1との熱交換効率は、これらの接触度合いの大きさに依存するので、構造物1では、効率よく熱交換をすることができる。
【0046】
さらに、構造物1の形状は、複数の流路22が隔壁24を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状である。
構造物1の形状がハニカム形状であると、流路22の形状の組み合わせにより用途及び使用の自由度が上がる。また、構造物1の強度を充分に強くすることができる。さらに、流体Fと構造物1との接触度合いを増加させることができる。
【0047】
構造物1では、隔壁24の厚さは、特に限定されないが、50〜5000μmであることが望ましく、500〜3000μmであることがより望ましい。
隔壁24の厚さが、50μm以上であると、隔壁24が充分に厚いので、構造物1の強度が充分に強くなる。また、隔壁24に含まれる第1蓄熱材11及び第2蓄熱材12を充分な量とすることができるので、熱交換効率が向上する。
隔壁24の厚さが、5000μm以下であると、流体Fと構造物1との接触度合いを充分に大きくすることができる。また、隔壁24の内部まで熱が伝わりやすくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
【0048】
構造物1では、流路22の密度は、特に限定されないが、構造物1の長手方向に垂直な断面において、10〜1000個/平方インチであることが望ましく、30〜800個/平方インチであることがより望ましい。
流路22の密度が、10個/平方インチ以上であると、流体Fと構造物1との接触度合いが大きくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
流路22の密度が、1000個/平方インチ以下であると、隔壁24が充分な厚さとなり、構造物1が充分な強度となる。
【0049】
また、構造物1の長手方向に垂直な断面において、流路22の形状は、特に限定されず、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形以上の多角形であってもよい。
【0050】
次に、本発明の構造物に含まれる第1蓄熱材及び第2蓄熱材、並びに、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質について詳述する。
【0051】
本発明の構造物に含まれる第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質は、熱交換において、本発明の構造物が温度変化する際に、相転移する物質である。そして、第1蓄熱物質の相転移温度と、第2蓄熱物質の相転移温度とは異なる。
なお、相転移の態様としては、固体から液体への相転移、固体から気体への相転移、液体から固体への相転移、液体から気体への相転移、気体から固体への相転移等が挙げられる。第1蓄熱移物質及び第2蓄熱物質は、本発明の構造物を用いて熱交換する際に、固体から液体又は液体から固体に相転移することが望ましい。
【0052】
本発明の構造物の内部には、カプセル内に第1蓄熱物質が封入された第1蓄熱材と、カプセル内に第2蓄熱物質が封入された第2蓄熱材とが存在している。
このような本発明の構造物を流体との熱交換に用いると、本発明の構造物の温度が変化することに伴い、第1蓄熱材の第1蓄熱物質が相転移する。第1蓄熱物質が相転移する際には、潜熱として熱を放出又は吸収するので、第2蓄熱物質の温度変化は小さくなる。また、本発明の構造物の温度がさらに変化することに伴い、第2蓄熱材の第2蓄熱物質も相転移する。第2蓄熱物質が相転移する際にも、潜熱として熱を放出又は吸収するので、第1蓄熱物質の温度変化は小さくなる。第1蓄熱物質の相転移温度及び第2蓄熱物質の相転移温度が異なっていることで、熱交換の際に、本発明の構造物を所定の温度に長時間保ちやすくなる。従って、本発明の構造物では、熱交換の際に熱交換機能を確保することができる。
また、第1蓄熱物質は、潜熱として熱を放出又は吸収することもできるので、相転移温度における第1蓄熱物質の放出又は吸収する熱量は大きい。第2蓄熱物質も同様である。そのため、本発明の構造物では、単位体積当たりの放出又は吸収できる熱量が大きくなる。従って、本発明の構造物を小型化しても充分な熱量を放出又は吸収することができる。
【0053】
また、本発明の構造物では、第1蓄熱物質の相転移温度と、第2蓄熱物質の相転移温度とは異なる。従って、上記の通り、第1蓄熱物質が相転移する際には、第2蓄熱物質の温度変化は小さく、第2蓄熱物質が相転移する際には、第1蓄熱物質の温度変化は小さくなる。
そのため、第1蓄熱物質が相転移している間は、本発明の構造物の温度を第1蓄熱物質の相転移温度に保ちやすくなり、第2蓄熱物質が相転移している間は、本発明の構造物の温度を第2蓄熱物質の相転移温度に保ちやすくなる。すなわち、本発明の構造物の温度を段階的に保つことができる。
なお、第1蓄熱物質の相転移温度と第2蓄熱物質の相転移温度との温度差は、5℃以上であることが望ましく、15℃以上であることがより望ましい。5℃以上の温度差により、異なるそれぞれの温度領域において構造物の蓄熱量を大きくすることができる。さらに、第1蓄熱物質の相転移温度と第2蓄熱物質の相転移温度との温度差が15℃以上であることで本発明の構造物に対する温度領域が広げられるので使用および用途の適用を広げることができる。
【0054】
本発明の構造物では、第1蓄熱材の平均粒子径及び第2蓄熱材の平均粒子径は、特に限定されないが、10〜6000μmであることが望ましく、50〜1500μmであることがより望ましい。
第1蓄熱材及び第2蓄熱材の平均粒子径が10μm以上であると、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の含有量が充分な量となり、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の量に対する、本発明の構造物の熱交換効率が充分に高くなる。また、本発明の構造物を製造する際にその形状を形成することが阻害されにくくなる。
また、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の平均粒子径が6000μm以下であると、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の表面積が充分に大きくなり、第1蓄熱材及び第2蓄熱材への伝熱速度又は第1蓄熱材及び第2蓄熱材からの伝熱速度が充分に速くなる。その結果、本発明の構造物の熱交換効率が向上する。
第1蓄熱材の平均粒子径及び第2蓄熱材の平均粒子径は、熱交換効率や伝熱速度を考慮し、用途に応じて決定することが望ましい。
【0055】
また、本発明の構造物には、平均粒子径が相対的に異なる第1蓄熱材及び第2蓄熱材が含まれていてもよい。平均粒子径が相対的に異なるとは、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の粒度分布において、ピークが2つ以上あることを意味する。本発明の構造物に、平均粒子径が相対的に異なる第1蓄熱材及び第2蓄熱材が含まれていると、相対的に小さい蓄熱材が、相対的に大きい蓄熱材同士の間に入り込み、相対的に大きい蓄熱材の隙間を埋めることができる。その結果、本発明の構造物に含まれる蓄熱材の量を大きくすることができる。そのため、本発明の構造物の蓄熱量を大きくし、温度領域が広げられるという効果を奏しやすくなる。
本発明の構造物に、平均粒子径が相対的に異なる第1蓄熱材及び第2蓄熱材が含まれる場合、第1蓄熱材が、相対的に大きい平均粒子径を有し、第2蓄熱材が、相対的に小さい平均粒子径を有していてもよく、この逆であってもよい。また、どちらかの蓄熱材のみが、平均粒子径が相対的に異なっていてもよく、その両方の蓄熱材が、それぞれ、平均粒子径が相対的に異なっていてもよい。
平均粒子径が相対的に大きい第1蓄熱材及び第2蓄熱材の平均粒子径は、特に限定されないが、500〜3000μmであることが望ましく、800〜1500μmであることがより望ましい。
平均粒子径が相対的に小さい第1蓄熱材及び第2蓄熱材の平均粒子径は、特に限定されないが、10〜300μmであることが望ましく、50〜200μmであることがより望ましい。
【0056】
本発明の構造物では、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の合計含有量は、特に限定されないが、本発明の構造物の体積に対し5〜85%であることが望ましく、30〜74%であることがより望ましい。
なお、「構造物の体積」とは、部材がある部分の体積を意味し、例えば、本発明の構造物に内部空間がある場合には、内部空間の体積は、「構造物の体積」に含まれない。
また、体積の基準は、25℃における第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質の体積と、25℃における本発明の構造物の体積である。
第1蓄熱材及び第2蓄熱材の合計含有量が5%以上であると、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質の量が充分な量となり、本発明の構造物の熱交換効率が向上する。
第1蓄熱材及び第2蓄熱材の合計含有量が85%以下であると、本発明の構造物を構成する樹脂の割合が高くなり、構造物の強度が充分に高くなる。
【0057】
本発明の構造物では、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の一部が、部材の表面に露出していることが望ましい。すなわち、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の一部が、部材から飛び出し、流体と直接接する状態であることが望ましい。
第1蓄熱材の一部及び第2蓄熱材の一部が、部材の表面に露出していると、熱交換の際に流体と、第1蓄熱材及び第2蓄熱材とが直接接することになる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
また、本発明の構造物では、第1蓄熱材及び第2蓄熱材が部材の内部に存在していれば、部材の表面に蓄熱材がさらに付着していてもよい。
【0058】
本発明の構造物では、カプセル内に第1蓄熱物質が封入されてなる第1蓄熱材とカプセル内に第2蓄熱物質が封入されてなる第2蓄熱材が用いられている。
第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質がそれぞれ別のカプセルに封入されることにより、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が混ざることを防ぐことができる。また、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が本発明の構造物から漏れ出ることを防ぐことができる。
各蓄熱材としては、三菱製紙株式会社製の商品名:サーモメモリー、三木理研株式会社製の蓄熱用マイクロカプセル、及び、JSR株式会社製の商品名:CALGRIP等の市販されているものを用いることができる。
【0059】
上記の通り本発明の構造物では、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質は、熱交換において、固体から液体又は固体から液体に相転移することが望ましい。また、その融点は、特に限定されないが、第1蓄熱物質の融点は、5〜20℃であることが望ましく、10〜20℃であることがより望ましい。また、第2蓄熱物質の融点は、25〜40℃であることが望ましく、30〜40℃であることがより望ましい。
本発明の構造物を熱交換に用いる際に、本発明の構造物を所定の温度に保つ効果は、第1蓄熱物質の相転移温度及び第2蓄熱物質の相転移温度に依存する。また、第1蓄熱物質の相転移及び第2蓄熱物質の相転移において、液体から固体への変化、又は、固体から液体への変化は体積の変化が少ないので制御しやすい。
そのため、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質の融点が上記範囲にあると、熱交換の際に、本発明の構造物を好適な温度に保つことができる。また、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質の融点が上記範囲にあることにより、本発明の構造物の蓄熱量を任意に制御することができる。
【0060】
本発明の構造物では、第1蓄熱物質は、特に限定されないが、パラフィン、硫酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、塩化カルシウム水和物、エリスリトール及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることが望ましい。
また、第2蓄熱物質は、特に限定されないが、パラフィン、硫酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、塩化カルシウム水和物、エリスリトール及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることが望ましい。
これら物質は、容易に融点を制御することができるので第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質として好適に用いることができる。これらの中では、用途や使用に対しての設計の自由度が高くなるので、パラフィンを用いることが望ましい。
なお、第1蓄熱物質の構成材料と、第2蓄熱物質の構成材料との組み合わせは、両者の相転移温度が異なれば、どのような物質の組み合わせであってもよい。
【0061】
本発明の構造物では、第1蓄熱物質又は第2蓄熱物質を封入させるカプセル又はカプセルの構成材料は、特に限定されないが、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド及びポリアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることが望ましい。
各カプセルがこれら熱硬化性樹脂であると、熱交換の際に、熱によりカプセルが破壊されることを防止することができる。
【0062】
本発明の構造物では、各カプセルは、各カプセルの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するカプセル用フィラーを含むことが望ましい。
各カプセルがこのような熱伝導率を有するカプセル用フィラーを含むと、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質へ熱を伝えやすくなる。すなわち、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質への伝熱速度、又は、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質からの伝熱速度を向上させることができる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
【0063】
カプセル用フィラーとしては、特に限定されないが、無機フィラー、金属フィラーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0064】
次に、本発明の構造物がハニカム形状である構造物である場合、本発明の構造物に含まれる第1蓄熱材及び第2蓄熱材の望ましい態様を説明する。
【0065】
本発明の構造物では、第1蓄熱材の平均粒子径及び第2蓄熱材の平均粒子径が、隔壁の厚さよりも大きくてもよく、小さくてもよい。
隔壁の厚さに対して、平均粒子径が小さい第1蓄熱材及び第2蓄熱材を用いると、各蓄熱材は隔壁内に収容される、又は、部分的に露出をすることになる。また、隔壁の厚さに対して、平均粒子径が同等又は大きい第1蓄熱材及び第2蓄熱材を用いると、各蓄熱材は隔壁の少なくとも片側で露出をすることになる。
【0066】
また、本発明の構造物、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の一部が、部材の表面に露出していることが望ましい。すなわち、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の一部が、部材から飛び出し、流体と直接接する状態であることが望ましい。
第1蓄熱材の一部及び第2蓄熱材の一部が、部材の表面に露出していると、熱交換の際に流体と、第1蓄熱材及び第2蓄熱材とが直接接することになる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
【0067】
本発明の構造物では、第1蓄熱材及び第2蓄熱材が部材を貫通し、部材の表面に露出していてもよい。
【0068】
より具体的に、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の望ましい態様を詳述する。
本発明の構造物が上記構造物1である場合、構造物1では、第1蓄熱材11の平均粒子径及び第2蓄熱材12の平均粒子径が、隔壁24の厚さよりも大きくてもよく、小さくてもよい。
隔壁24の厚さに対して、平均粒子径が小さい第1蓄熱材11及び第2蓄熱材12を用いると、各蓄熱材は隔壁24内に収容される、又は、部分的に露出をすることになる。また、隔壁24の厚さに対して、平均粒子径が同等又は大きい第1蓄熱材11及び第2蓄熱材12を用いると、各蓄熱材は隔壁24の少なくとも片側で露出をすることになる。
【0069】
構造物1では、図3に示すように、第1蓄熱材11及び第2蓄熱材12の一部が、部材10の表面17に露出していることが望ましい。
図3は、本発明の構造物において、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の一部が部材の表面から露出している態様の一例を拡大して模式的に示す本発明の構造物の断面図である。
すなわち、第1蓄熱材11及び第2蓄熱材12の一部が、部材10から飛び出し、流体Fと直接接する状態であることが望ましい。
第1蓄熱材11の一部及び第2蓄熱材12の一部が、部材10の表面17に露出していると、熱交換の際に流体Fと、第1蓄熱材11及び第2蓄熱材12とが直接接することになる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
【0070】
図4は、本発明の構造物において、第1蓄熱材及び第2蓄熱材が部材を貫通し、部材の表面から露出している態様の一例を拡大して模式的に示す本発明の構造物の断面図である。
図4に示すように、構造物1では、第1蓄熱材11及び第2蓄熱材12が部材10を貫通し、部材10の表面17に露出していてもよい。
【0071】
次に、本発明の構造物に含まれる樹脂について詳述する。
【0072】
本発明の構造物では、樹脂は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び紫外線硬化樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましく、ABS樹脂、ポリプロピレン、オレフィン系エラストマー及びアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより望ましい。
これら樹脂は、本発明の構造物を構成する樹脂の骨格を形成することもでき、第1蓄熱材及び第2蓄熱材を内部に、又は、一部が露出するように配置することができる。
【0073】
本発明の構造物では、樹脂は、樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する樹脂用フィラーを含むことが望ましい。
樹脂がこのような熱伝導率を有する樹脂用フィラーを含むと、樹脂と第1蓄熱材及び/又は第2蓄熱材との間の熱移動速度を向上させることができる。また、第1蓄熱材及び第2蓄熱材には、それぞれ、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が含まれているので、結果的に、各蓄熱物質への熱移動の速度、又は、各蓄熱物質からの熱移動の速度を向上させることもできる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
【0074】
樹脂用フィラーとしては、特に限定されないが、無機フィラー、金属フィラーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0075】
本発明の構造物において、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の合計体積と、樹脂の体積との比率は、特に限定されないが、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の合計体積:樹脂の体積=5:95〜85:15であることが望ましく、30:70〜74:26であることがより望ましい。
【0076】
なお、本発明の構造物には、樹脂、第1蓄熱材及び第2蓄熱材の他に、無機繊維、金属粉末、成形性をよくするための潤滑剤や加工助剤等の物質が含まれていてもよい。
【0077】
次に、本発明の構造物と、流体との間の熱交換について説明する。
まず、本発明の構造物の温度が、流体の温度より高く、流体が構造物と熱交換する際に流体が温められる場合を説明する。
なお、以下に説明する本発明の構造物では、第1蓄熱物質の相転移温度αは、第2蓄熱物質の相転移温度βよりも低い。
図5は、流体が、流体の温度よりも高い温度の本発明の構造物と熱交換する際の、本発明の構造物及び本発明の構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図5において、実線は本発明の構造物の温度を示し、破線は本発明の構造物と熱交換した流体の温度を示している。また、斜線で示す領域は、流体の望ましい温度範囲を示す。
図6は、流体が、流体の温度よりも高い温度の一般的な熱交換用構造物と熱交換する際の、一般的な熱交換用構造物及び一般的な熱交換用構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。なお、一般的な熱交換用構造物とは、例えば、蓄熱材料を含まないセラミック多孔体等であり、顕熱により熱交換する熱交換用構造物のことを意味する。
図6において、実線は、一般的な熱交換用構造物の温度を示し、破線は一般的な熱交換用構造物を通過した流体の温度を示している。また、斜線で示す領域は、流体の望ましい温度範囲を示す。
図7は、流体が、流体の温度よりも高い温度、かつ、蓄熱物質が1種類のみ使用されている熱交換用構造物と熱交換する際の、熱交換用構造物及び熱交換用構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図7において、実線は、蓄熱物質が1種類のみ使用されている熱交換用構造物の温度を示し、破線は熱交換用構造物と熱交換した流体の温度を示している。また、斜線で示す領域は、流体の望ましい温度範囲を示す。
【0078】
まず、本発明の構造物に流体が接触すると、本発明の構造物の温度は、流体の温度よりも高いので、熱が本発明の構造物から流体に移動し流体が温められることになる。
そして、時間が進むにつれ本発明の構造物の温度は次第に低下することになる。
本発明の構造物の温度が第2蓄熱物質の相転移温度である温度βまで低下すると、第2蓄熱物質は相転移する。第2蓄熱物質が相転移している間(図5中t〜tの間)、第2蓄熱物質は熱を放出し温度が一定に保たれる。また本発明の構造物も、第2蓄熱物質からの熱を受けるので、温度が一定に保たれることになる。そして、この間(図5中t〜tの間)は、流体を急激に温めることができる。
さらに時間が進むと、第2蓄熱物質が全て相転移し、本発明の構造物の温度が次第に低下することになる(図5中t〜tの間)。
本発明の構造物の温度が第1蓄熱物質の相転移温度である温度αまで低下すると第1蓄熱物質は相転移する。第1蓄熱物質が相転移している間(図5中t〜tの間)、第1蓄熱物質は熱を放出し温度が一定に保たれる。また、本発明の構造物も、第1蓄熱物質からの熱を受けるので、温度が一定に保たれることになる。
この期間(図5中t〜tの間)、本発明の構造物の温度は、流体の温度に近くなるので、流体には温度変化が生じにくくなる。そのため、流体を望ましい温度に保つことができる。
【0079】
つまり、本発明の構造物を用いると、流体の温度を、速やかに望ましい温度に上昇させることができ、また、その望ましい温度を維持することができる。
【0080】
一方、図6に示すように、一般的な熱交換用構造物に流体が接触すると、一般的な熱交換用構造物の温度は、流体の温度よりも高いので、熱が一般的な熱交換用構造物から流体に移動し流体が温められることになる。一般的な熱交換用構造物には、蓄熱物質が含まれていないので、一般的な熱交換用構造物の温度は、上記本発明の構造物の温度よりも速く低下しやすくなる。その結果、流体を望ましい温度にしにくくなる。
また、図7に示すように、相転移温度が温度γである蓄熱物質が1種類のみ使用されている熱交換用構造物に流体が接触すると、構造体の温度は蓄熱物質の相転移温度である温度γに維持されることになり、流体の温度を速やかに上昇させることはできるものの、流体の温度を望ましい温度に維持しにくくなる。
【0081】
次に、本発明の構造物の温度が、流体の温度より低く、流体が本発明の構造物と熱交換する際に流体が冷やされる場合を説明する。
なお、以下に説明する本発明の構造物では、第1蓄熱物質の相転移温度αは、第2蓄熱物質の相転移温度βよりも低い。
図8は、流体が、流体の温度よりも低い温度の本発明の構造物と熱交換する際の、本発明の構造物及び本発明の構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図8において、実線は本発明の構造物の温度を示し、破線は本発明の構造物と熱交換した流体の温度を示している。また、斜線で示す領域は、流体の望ましい温度範囲を示す。
図9は、流体が、流体の温度よりも低い温度の一般的な熱交換用構造物と熱交換する際の、一般的な熱交換用構造物及び一般的な熱交換用構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図9において、実線は一般的な熱交換用構造物の温度を示し、破線は一般的な熱交換用構造物と熱交換した流体の温度を示している。また、斜線で示す領域は、流体の望ましい温度範囲を示す。
図10は、流体が、流体の温度よりも低い温度、かつ、蓄熱物質が1種類のみ使用されている熱交換用構造物と熱交換する際の、熱交換用構造物及び熱交換用構造物と熱交換した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図10において、実線は、蓄熱物質が1種類のみ使用されている熱交換用構造物の温度を示し、破線は熱交換用構造物と熱交換した流体の温度を示している。また、斜線で示す領域は、流体の望ましい温度範囲を示す。
【0082】
まず、本発明の構造物に流体が接触すると、本発明の構造物の温度は、流体の温度よりも低いので、熱が流体から本発明の構造物に移動し流体が冷やされることになる。
そして、時間が進むにつれ本発明の構造物の温度は次第に上昇することになる。
本発明の構造物の温度が第1蓄熱物質の相転移温度である温度αまで上昇すると、第1蓄熱物質は相転移する。第1蓄熱物質が相転移している間(図8中t〜tの間)、第1蓄熱物質は熱を吸収し温度が一定に保たれる。また本発明の構造物も、第1蓄熱物質により熱を奪われるので、温度が一定に保たれることになる。そして、この間(図8中t〜tの間)は、流体を急激に冷やすことができる。
さらに時間が進むと、第1蓄熱物質が全て相転移し、本発明の構造物の温度が次第に上昇することになる(図5中t〜tの間)。
本発明の構造物の温度が第2蓄熱物質の相転移温度である温度βまで上昇すると第2蓄熱物質は相転移する。第2蓄熱物質が相転移している間(図5中t〜tの間)、第2蓄熱物質は熱を吸収し温度が一定に保たれる。また、本発明の構造物も、第2蓄熱物質により熱を奪われるので、温度が一定に保たれることになる。
この期間(図5中t〜tの間)、本発明の構造物の温度は、流体の温度に近くなるので、流体には温度変化が生じにくくなる。そのため、流体を望ましい温度に保つことができる。
【0083】
つまり、本発明の構造物を用いると、流体の温度を、速やかに望ましい温度に低下させることができ、また、その望ましい温度を維持することができる。
【0084】
一方、図9に示すように、一般的な熱交換用構造物に流体が接触すると、一般的な熱交換用構造物の温度は、流体の温度よりも低いので、熱が流体から一般的な熱交換用構造物に移動し流体が冷やされることになる。一般的な熱交換用構造物には、蓄熱物質が含まれていないので、一般的な熱交換用構造物の温度は、本発明の構造物の温度よりも速く上昇しやすくなる。その結果、流体を望ましい温度にしにくくなる。
また、図10に示すように、相転移温度が温度γである蓄熱物質が1種類のみ使用されている熱交換用構造物に流体が接触すると、構造体の温度は蓄熱物質の相転移温度である温度γに維持されることになり、流体の温度を速やかに低下させることはできるものの、流体の温度を望ましい温度に維持しにくくなる。
【0085】
以上説明したように、本発明の構造物は、第1蓄熱物質の相転移温度及び第2蓄熱物質の相転移温度を調整することにより、流体を温めることにも、冷やすことにも用いることができる。
【0086】
また、本発明の構造物は、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質とは異なる相転移温度を有する別の蓄熱物質を含んでいてもよい。なお、別の蓄熱物質は1種類でもよく、2種類以上でもよい。
複数の蓄熱物質が本発明の構造物に含まれていると、より綿密に流体の温度を制御することができる。
【0087】
次に、より具体的な本発明の構造物の使用方法について説明する。
本発明の構造物は、住宅換気システムに用いることができる。
本発明の構造物が用いられた住宅換気システムは、筒状体と、筒状体に空気を流通させるためのファンと、筒状体の内部に配置されたハニカム形状の本発明の構造物からなり、上記本発明の構造物がファンよりも屋外側に配置され、かつ、上記筒状体は、住宅の壁を貫通するように設置されている。
上記住宅換気システムにより換気を行う場合には、換気される空気は本発明の構造物の内部を通ることになる。
なお、上記住宅換気システムでは、本発明の構造物がファンよりも屋内側に配置されていてもよい。
【0088】
なお、本発明の構造物は、上記住宅換気システムの筒状体であってもよい。
すなわち、筒状体は、第1蓄熱材と、第2蓄熱材と、樹脂とからなる部材により形成されていてもよい。
住宅換気システムを用いて換気をする際に、筒状体も空気と接触することになる。筒状体が上記構成であると、筒状体は熱交換に用いる構造物として機能する。従って、空気との熱交換を効率的に行うことができる。
【0089】
特に、住宅換気システムには、ハニカム形状である構造物1が用いられることが望ましい。以下の説明では、ハニカム形状である構造物1が住宅換気システムに用いられる場合を説明する。
図11は、本発明の構造物が用いられた住宅換気システムの一例を模式的に示す模式図である。
図12は、図11に示す住宅換気システムを用いて換気をする工程の一例を模式的に示す模式図である。
【0090】
図11に示す住宅換気システム30は、筒状体31と、筒状体31に空気を流通させるためのファン32と、筒状体31の内部に配置された構造物1とからなる。
そして、住宅換気システム30は、構造物1がファン32よりも屋外側に配置され、かつ、住宅50の壁51を貫通するように設置されている。
上記構造の住宅換気システム30を用いて換気を行う場合には、換気される空気は構造物1の内部を通ることになる。
なお、住宅換気システム30では、構造物1がファン32よりも屋内側に配置されていてもよい。
【0091】
屋外が寒くて温度が低く、屋内が温かくて温度が高い場合において、住宅換気システム30を用いて、屋外の空気Aを屋内に取り込む工程を説明する。
住宅換気システム30を用いて、屋外の空気Aを屋内に取り込む場合、構造物1の温度は、寒い屋外の空気Aの温度よりも高く設定されており、第1蓄熱物質11a及び第2蓄熱物質12aは液体である。
図12に示すように、屋外の空気Aは、ファン32により屋内に取り込まれる。その過程で、空気Aは構造物1を通過することになり、構造物1から空気Aへ熱Hが伝達される。そのため、住宅換気システム30を通じて空気Aが屋内に到達する際には、空気Aは充分に温められて温かい空気Aとなっている。また、屋外の空気Aを取り込む過程において、第1蓄熱物質11aは液体から固体に相転移することになる。
そして、第1蓄熱物質11aが固体になった後でも、第2蓄熱物質12aは液体であり、空気Aに熱を供給し続けることができる。そのため、屋内に取り込まれる空気Aは、継続して充分に温められた温かい空気Aとなる。従って、屋内に取り込まれる空気は、継続して温かい空気Aとなっており、屋内の温度が低下することを防止することができる。
【0092】
また、換気を終えると構造物1は冷たくなるが、屋内は暖房により温度が上昇することになる。このように温められた屋内の空気から熱を吸収することにより、構造物1の温度も上昇し、第1蓄熱物質11a及び第2蓄熱物質12aは再び液体となる。そして、次の換気の際に、住宅換気システム30は再び機能することになる。
【0093】
なお、本発明の構造物は、図11に示す上記住宅換気システム30の筒状体31であってもよい。
すなわち、筒状体31は、第1蓄熱材11と、第2蓄熱材12と、樹脂16とからなる部材10により形成されていてもよい。
住宅換気システム30を用いて換気をする際に、筒状体31も空気Aと接触することになる。筒状体31が上記構成であると、筒状体31は熱交換に用いる構造物として機能する。従って、空気Aとの熱交換を効率的に行うことができる。
【0094】
次に、本発明の構造物を製造する方法を説明する。
【0095】
(1)混合工程
まず、カプセル内に第1蓄熱物質が封入された第1蓄熱材と、カプセル内に第2蓄熱物質が封入された第2蓄熱材と、樹脂とを混合して混合物を調製する。
第1蓄熱材と、第2蓄熱材と、樹脂とを混合する方法は、特に限定されず、湿式混合であっても、乾式混合であってもよい。また、混合物では、各蓄熱材が樹脂に均等に分散していることが望ましい。
さらに、第1蓄熱材と、第2蓄熱材と、樹脂とを混合する際には、無機繊維、金属粉末等を合わせて混合してもよい。
なお、第1蓄熱材と、第2蓄熱材と、樹脂の構成材料や割合等、並びに、各カプセル及び各蓄熱物質の構成材料や大きさ等は上述した通りなのでここでの記載は省略する。
【0096】
(2)成形工程
次に、上記(1)混合工程で得られた混合物を成形して、第1蓄熱材と、第2蓄熱材と、樹脂とからなる部材により形成され、複数の流路が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状である構造物を成形する。
混合物を成形する際には、3Dプリンタを用いてもよく、押出成形又は射出成形により成形してもよい。
3Dプリンタを用いることにより構造物を製造することができる。
また、混合物を押出成形又は射出成形により成形する場合には、混合物を成形後、混合物の材質に応じて加熱、光照射等を行うことにより形状を固定させることにより構造物を製造することができる。
【0097】
3Dプリンタを用いる場合には、任意の形状の構造物を製造することができるという利点があり、押出成形する場合には、低コストで容易に所定の形状の構造物を製造することができるという利点がある。
【0098】
以上の工程を経て本発明の構造物を製造することができる。
【0099】
以下に、本発明の構造物の作用効果を列挙する。
(1)本発明の構造物は、カプセル内に第1蓄熱物質が封入された第1蓄熱材及びカプセル内に第2蓄熱物質が封入された第2蓄熱材を含んでいる。
このような構造物を流体との熱交換に用いると、構造物の温度が変化することに伴い、第1蓄熱物質が相転移する。第1蓄熱物質が相転移する際には、潜熱として熱を放出又は吸収するので、第2蓄熱物質の温度変化は小さくなる。また、構造物の温度がさらに変化することに伴い、第2蓄熱物質も相転移する。第2蓄熱物質が相転移する際にも、潜熱として熱を放出又は吸収するので、第1蓄熱物質の温度変化は小さくなる。第1蓄熱物質の相転移温度及び第2蓄熱物質の相転移温度が異なっていることで、熱交換の際に、構造物を所定の温度に長時間保ちやすくなる。従って、本発明の構造物は、熱交換の際に熱交換機能が確保される。
また、第1蓄熱物質は、潜熱として熱を放出又は吸収することもできるので、相転移温度における第1蓄熱物質の放出又は吸収できる熱量は大きい。第2蓄熱物質も同様である。そのため、本発明の構造物は、単位体積当たりの放出又は吸収できる熱量が大きくなる。従って、本発明の構造物を小型化しても充分な熱量を放出又は吸収することができる。
【0100】
(2)本発明の構造物では、第1蓄熱物質の相転移温度と、第2蓄熱物質の相転移温度とは異なる。第1蓄熱物質が相転移する際には、第1蓄熱物質に温度変化が生じず、第2蓄熱物質が相転移する際には、第2蓄熱物質に温度変化が生じない。そのため、第1蓄熱物質が相転移している間は、構造物の温度を第1蓄熱物質の相転移温度に保ちやすくなり、第2蓄熱物質が相転移している間は、構造物の温度を第2蓄熱物質の相転移温度に保ちやすくなる。すなわち、構造物の温度を段階的に保つことができる。
【0101】
(3)本発明の構造物では、カプセル内に第1蓄熱物質が封入された第1蓄熱材及びカプセル内に第2蓄熱物質が封入された第2蓄熱材が用いられている。
第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質がそれぞれ別のカプセルに封入されることにより、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が混ざることを防ぐことができる。また、第1蓄熱物質及び第2蓄熱物質が構造物から漏れ出ることを防ぐことができる。
【0102】
(実施例)
以下、本発明の実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0103】
(実施例1)
(1)混合工程
樹脂として液状アクリル樹脂を107kgと、第1蓄熱材としてパラフィン入りカプセル状蓄熱材(三菱製紙社製、製品名「FP−16」、融点16℃)を32.5kgと、第2蓄熱材としてパラフィン入りカプセル状蓄熱材(三菱製紙社製、製品名「FP−31」、融点31℃)を32.5kgとを混合して混合物を得た。なお、それぞれのパラフィン入りカプセル状蓄熱材には、パラフィンがそれぞれ80重量%の割合で含まれていた。
また、液状アクリル樹脂と、パラフィンとの体積比は、液状アクリル樹脂:パラフィン=65:35であった。
【0104】
(2)成形工程
次に、上記(1)混合工程で得られた混合物を、3Dプリンター(3D Systems,Inc.社製、製品名「PJ−1500」)を用いて、紫外線照射により液状アクリル樹脂を光硬化させることにより、実施例1に係るハニカム形状の構造物を得た。実施例1の構造物は、外形が直径85.0mm、長さ104.0mmの円柱状であった。また、流入口及び流出口の形状が、3.80mm×3.80mmの正方形であり、隔壁の厚さが0.78mmであった。また、流路の密度は、31個/平方インチであった。また、実施例1に係る構造物を形成する部材の体積は198.8cmであり、密度は1.00g/cmであった。
【0105】
(実施例2)
(1)混合工程
樹脂としてポリプロピレン樹脂を16.35kgと、第1蓄熱材としてパラフィン入りカプセル状蓄熱材(三菱製紙社製、製品名「FP−16」、融点16℃)を32.5kgと、第2蓄熱材としてパラフィン入りカプセル状蓄熱材(三菱製紙社製、製品名「FP−31」、融点31℃)を32.5kgとを押出機でシリンダー温度を160℃にて溶融・混合し、押出しカットしてペレットを作成した。
(2)成型工程
次に、上記(1)混合工程で得られたペレットを用いて、流路の密度が31個/平方インチとなる金型を用いて、押出機にて押出成形することによりハニカム形状からなる構造物を作製した。なお、押出成形の際、押出機のシリンダー温度を160℃にした。また、実施例2に係る構造物の形状が、実施例1に係る構造物と同じ形状の円柱状となるような金型を用いて成形を行った。
【0106】
(実施例3)
(1)混合工程
樹脂としてポリプロピレン樹脂を16.35kgと、第1蓄熱材としてパラフィン入りカプセル状蓄熱材(三菱製紙社製、製品名「FP−16」、融点16℃)を32.5kgと、第2蓄熱材としてパラフィン入りカプセル状蓄熱材(三菱製紙社製、製品名「FP−31」、融点31℃)を32.5kgとを押出機でシリンダー温度を160℃にて溶融・混合し、押出しカットしてペレットを作成した。
(2)成型工程
図13(a)〜(d)は、実施例3の成形工程を模式的に示す模式図である。
次に、上記(1)混合工程で得られたペレットを射出成形機にて成形金型に射出し、図13(a)に示すような、底面に隔壁が規則的かつ垂直に形成された射出成形体を作製した。なお、射出成形体の隔壁の間隔は3.80mmであり、隔壁の高さは3.80mmであった。また、射出成形の際、成形金型の温度を40℃、射出成形機のシリンダー温度を160℃とした。
次に、図13(b)に示すように、射出成形体を積層し接着により貼り合わせて、図13(c)に示すような流路の密度が31個/平方インチとなるハニカム形状からなる構造物を得た。
そして、得られた構造物を、図13(c)に示す破線の部分で切り取り、図13(d)に示すように、実施例1に係る構造物と同じ形状の円柱状となるように、外周をポリプロピレン樹脂で埋め、外径加工を行った。
【0107】
(比較例1)
原料のコージェライトを粉砕・粒度調整し、所定の化学組成になるように調合し、水とバインダーを加え混練した後、押出機にてハニカム状に押出成形されたものを乾燥、焼成した。
比較例1の構造物は、外形が直径96.0mm、長さ147.4mmの円柱状であった。また、流入口及び流出口の形状が、3.98mm×3.98mmの正方形であり、隔壁の厚さが0.60mmであった。また、流路の密度は、31個/平方インチであった。また、比較例1に係る構造物を形成する部材の体積は308.6cmであり、密度は2.84g/cmであった。
【0108】
(比較例2)
原料のコージェライトを粉砕・粒度調整し、所定の化学組成になるように調合し、水とバインダーを加え混練した後、押出機にてハニカム状に押出成形されたものを乾燥、焼成した。
比較例2の構造物は、外形が直径96.1mm、長さ99.4mmの円柱状であった。また、流入口及び流出口の形状が、3.98mm×3.98mmの正方形であり、隔壁の厚さが0.60mmであった。また、流路の密度は、31個/平方インチであった。また、比較例2に係る構造物を形成する部材の体積は208.2cmであり、密度は2.82g/cmであった。
【0109】
(比較例3)
第1蓄熱材及び第2蓄熱材を用いない以外は、実施例1と同様にして比較例3に係る構造物を製造した。
【0110】
(排気試験)
実施例1及び比較例3に係る構造物を35℃とし、各構造物に3.0℃の空気を1.0m/secで900秒間流入させ、各構造物から流出後の空気の温度を測定した。結果を図14に示す。図14は、排気実験の結果を示すグラフである。
なお、排気試験は、住宅換気システムにおいて屋外の空気を屋内に取り込む場合を想定している。
【0111】
図14に示すように、試験開始から600秒を経過した後の取り込む空気の温度を評価すると、実施例1の構造物を用いると、屋内に取り込む空気の温度は約10℃で維持されていた。一方、比較例3の構造物を用いると、屋内に取り込む空気の温度は約6℃で維持されていた。
これは、実施例1の構造物は、第1蓄熱材及び第2蓄熱材を含んでいるので、試験開始から600秒を経過した後も、屋内に取り込む空気を持続して温めることができたためと考えられる。
この結果より、実施例1の構造物を用いると、寒い屋外の空気を屋内に取り込む場合に、比較例3の構造物を用いるよりも温かい空気を屋内に取り込むことができることが判明した。
【0112】
これらの結果から、屋内の温度が低く屋内の温度が温かい場合に、実施例1の構造物を住宅換気システムに用いることにより、屋内の熱量の低下を抑え、かつ、屋内の温度の変化を抑えつつ、効率的に換気をすることができることが示された。
また、実施例2及び実施例3の構造物を用いて上記(排気試験)を行った。その結果は、実施例1の構造物と同等であった。比較例1及び比較例2の構造物を用いて上記(排気試験)を行った。その結果は、比較例3の構造物と同等であった。
実施例1〜3の構造物は、取り込む空気の温度を10〜35℃に保つのに有用であることが確認された。特に、試験開始から600秒を経過した後も、持続して取り込む空気を温めることができることが確認された。
【0113】
(ハニカム形状の構造物の特性の評価)
実施例1、比較例1、比較例2、比較例3の構造物について、構造物の体積、熱容量(蓄熱量Q及び相対蓄熱量Q´)を求め、ハニカム形状の構造物の特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
体積は、各構造物の寸法の実測値から求めた。
蓄熱量Qは、各構造物が0℃から35℃に温度変化する際に、各構造物に蓄積する熱量を意味する。相対蓄熱量Q´は、各構造物の体積を200cmとした際の蓄熱量Qを意味する。
【0114】
【表1】
【0115】
実施例1の構造物と比較例1の構造物とを比較すると、各構造物の蓄熱量Qは同等であるが、実施例1の構造物の体積は、比較例1の構造物の体積の64%の大きさであった。すなわち、実施例1の構造物の方が、相対蓄熱量Q´が大きかった。
このことから、実施例1の構造物は、比較例1の構造物より小型化されているが、蓄熱性能が劣っていないことが示された。
また、実施例1、比較例2及び比較例3の構造物を比較すると、これら構造物の体積は同等であるが、実施例1の構造物の蓄熱量Q及び相対蓄熱量Q´は、比較例2並びに比較例3の構造物の蓄熱量Q及び相対蓄熱量Q´に比べて、大きかった。このことから、実施例1の構造物は、比較例2及び比較例3の構造物より蓄熱量を大きくすることができることが示された。
【符号の説明】
【0116】
1 構造物
10 部材
11 第1蓄熱材
11a 第1蓄熱物質
11b、12b カプセル
12 第2蓄熱材
12a 第2蓄熱物質
16 樹脂
17 部材の表面
21 流入口
22 流路
23 流出口
24 隔壁
30 住宅換気システム
31 筒状体
32 ファン
50 住宅
51 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14