【実施例1】
【0018】
最初に、本発明の燃料電池発電システム1の全体構成について説明する。
図1に示すように、燃料電池発電システム1は、発電を行なう燃料電池ユニット2と、熱交換後の湯水を貯留する貯湯ユニット3と、燃料電池ユニット2と貯湯ユニット3との間に湯水を循環させる為の湯水循環回路25等を備えている。尚、湯水循環回路25が「湯水循環配管」に相当する。
【0019】
次に、燃料電池ユニット2について簡単に説明する。
図2に示すように、燃料電池ユニット2は、湯水を加熱する為の貯湯ユニット3の外部熱源であり、燃料電池発電モジュール5、燃料改質空気用送風手段6、カソード空気用送風手段7、燃料ガス昇圧手段8、排気ガス排出通路9、排熱回収用熱交換器11、水処理手段12、インバータ13、脱硫器15、送風用のファン36aとラジエータ36bとを有する放熱手段36等を備え、これらの機器や配管類が外装ケース14内に収納されて構成されている。
【0020】
燃料電池発電モジュール5は、燃料電池セルスタック5a、蒸発器5b、燃料改質器5c、オフガス燃焼室5d等を備え、燃料改質器5cによって改質された改質燃料ガス及び酸化剤としての空気を燃料電池セルスタック5aで化学反応させることで発電を行うものである。
【0021】
燃料電池発電モジュール5にて発電された直流電力は、インバータ13を介して交流電力に変換されて外部に出力される。燃料電池発電モジュール5から排出される排気ガスは、排熱回収用熱交換器11にて湯水循環回路25を循環する湯水との間で熱交換され温度が低下した後に外部に排出される。
【0022】
燃料電池セルスタック5aは、複数の燃料電池セルで構成されている。蒸発器5bは、燃料ガスに混合する為の水蒸気を生成して燃料改質器5cに供給するものである。燃料改質器5cは、ニッケルや白金等の改質触媒を有し、脱硫された燃料ガスと空気と水蒸気とを混合して反応させて改質燃料ガスを生成する。
【0023】
次に、脱硫器15について説明する。
図2に示すように、脱硫器15は、燃料改質器5cに供給される燃料ガスに含有されている硫黄化合物の除去(脱硫)を行う為のものであり、燃料ガス昇圧手段8の燃料ガス供給通路16に設けられている。この脱硫器15は、脱硫材としてゼオライトやシリカゲル、活性炭等が内部に充填されているが、特に脱硫材の材料は限定されるものではない。
【0024】
燃料ガスは、ガス供給源から電磁弁8aとガスガバナ8bを通って燃料昇圧ブロワ8cに取り込まれ、昇圧された燃料ガスは、バッファタンク8dと流量センサ8eを通って脱硫器15に流入し、脱硫器15で脱硫された燃料ガスは、燃料電池発電部5において蒸発器5bを介して燃料改質器5cに供給される。
【0025】
次に、貯湯ユニット3について簡単に説明する。
図3に示すように、貯湯ユニット3は、貯湯、給湯、床暖房パネル等の温水暖房端末への温水の供給、風呂への給湯及び風呂の追い焚き等の機能を有するものであり、貯湯タンク21、補助熱源機22、第1,第2熱交換器23,24、湯水循環回路25、給水通路26、出湯通路27、風呂給湯追焚回路28、温水暖房回路29、熱利用循環回路31、制御ユニット32等を備え、これら大部分は外装ケース33内に収納されて構成されている。
【0026】
貯湯タンク21は、燃料電池発電モジュール5における排熱を回収して湯水として貯留する為のものであり、高温の湯水(例えば、80〜90℃)を貯留可能な密閉タンクで構成されている。貯湯タンク21は、貯留された温水の放熱を防ぐ為にタンク周囲は断熱材で覆われている。貯湯タンク内の複数の貯留層の湯水の温度が複数のタンク湯水温度センサにより検出される。
【0027】
図1に示すように、燃料電池ユニット2の燃料ガス供給通路16と貯湯ユニット3の燃料ガス供給通路35は、夫々の外装ケース14,33の外部において燃料ガス共通通路37と接続され、この燃料ガス共通通路37を介して燃料ガス供給通路16,35は燃料ガスの供給源に接続されている。
【0028】
次に、燃料電池ユニット2と貯湯ユニット3の間で湯水を循環する湯水循環回路(配管)について説明する。
図1,
図2に示すように、コージェネレーションシステム1は、燃料電池ユニット2の外装ケース14の右側面板14Aと、貯湯ユニット3の外装ケース33の左側面板33Aが相対向するように並列して配設されており、夫々側面板14A,33Aの下端近傍部の開口を貫通した状態で湯水循環回路25が接続されている。
【0029】
湯水循環回路25は、外部熱源である燃料電池ユニット2の排熱回収用熱交換器11と貯湯タンク21との間に湯水を循環させる閉回路であり、往き側通路25a、戻り側通路25bを有し、貯湯タンク21の下部に往き側通路25aの上流端が接続され、貯湯タンク21の上部に戻り側通路25bの下流端が接続されている。
【0030】
往き側通路25aの途中部から戻り側通路25bの途中部にバイパスするバイパス通路25cが分岐され、この分岐部には、貯湯切換弁34が設置されている。往き側通路25aの燃料電池ユニット2側には、湯水を急速に冷却可能な放熱手段36のラジエータ36b、排熱回収用熱交換器11に湯水を流通させる為の循環ポンプ38が設置されている。往き側通路25aと戻り側通路25bとの間に、排熱回収用熱交換器11の2次側熱交換通路部11bが接続されている。
【0031】
湯水循環回路25を循環する湯水の温度は、ラジエータ入口側の循環湯水温度センサ25c、ラジエータ出口側の循環湯水温度センサ25d、熱交換器入口側の循環湯水温度センサ25e、熱交換器出口側の循環湯水温度センサ25f、戻り側通路25bの循環湯水温度センサ25gにより検出される。
【0032】
前記貯湯ユニット3から湯水循環回路25へ流れる湯水の温度が所定温度(例えば、約50℃)以上の場合、具体的にはラジエータ入口側の循環湯水温度センサ25cで所定以上の温度が検知された場合、ファン36aとラジエータ36bを備える放熱手段36によって外気と熱交換が行われる。
【0033】
通常の排熱回収運転では、
図3に示すように、貯湯切換弁34はバイパス通路25cを遮断するように切り換えられ、湯水が貯湯タンク21から往き側通路25aを通ってラジエータ36bに送給され、ラジエータ36bで急速に冷却されて、循環ポンプ38を介して排熱回収用熱交換器11の2次側熱交換通路部11bに送られ加熱され、加熱された湯水は、戻り側通路25bを通って貯湯タンク21に戻される。ラジエータ36bで外気と熱交換されて排出される高温排気は、ファン36aによって、燃料電池ユニット2の外装ケース14の外側に排出される。この高温排気の排出経路については後述する。
【0034】
コージェネレーションシステム1は、制御ユニット32によって制御される。各種の温度センサ、各種の流量センサ等の検出信号が制御ユニット32に送信され、この制御ユニット32により、燃料電池ユニット2と貯湯ユニット3の動作、各種のポンプの作動・停止、各種弁の開閉状態の切り換え及び開度調整等を制御し、各種運転(湯水循環運転、風呂注湯運転、風呂追い焚き運転、暖房運転、給湯運転等)を実行する。
【0035】
また、制御ユニット32は、所定の条件成立時に、循環ポンプ38の流量を一時的に増加させることによって排熱回収用熱交換器11の2次側熱交換通路部11b(熱媒体通路に相当する)内に発生した気泡を排熱回収用熱交換器11内から排出させる気泡除去制御を行うことができる。
【0036】
次に、本発明の放熱手段36の具体的な構成と、高温排気の排出通路について説明する。
図4,
図5は、燃料電池ユニット2の外装ケース14(筐体に相当する)(
図1,
図2参照)は、4本の縦フレーム40と、4本の縦フレーム40の上端を矩形状に連結する4本の横フレーム41と、前面の中段の横フレーム42と、後面の中段の横フレーム(図示略)と、4本の縦フレーム40の下端を矩形状に連結する4本の横フレーム(図示略)に加えて、次のような複数の側面板や底板とで構成されている。但し、
図4,
図5は、これら複数の側面板を取り外した状態で図示されている。上記の側面板や底板として、外装ケース14の、前側面板、左側面板と、右側面板14Aと、後側面板と、天面板と、底板43とを有する。
【0037】
図4,
図5に示すように、燃料電池ユニット2の外装ケース14内の下端近傍部に、ラジエータ36bが配設され、ラジエータ36bの前側には2つのファン36aが左右に並べて配設され、これらファン36aはボルト44を介して固定されている。ラジエータ36bと2つのファン36aは、直方体箱状のラジエータケース45に収容され、2つのファン36aの前側には後述の第2空気通路48が形成されている。
【0038】
前記ラジエータケース45の前面側には、吸入部空気通路46を空けて、複数の外気吸入孔(吸入開口51a)が形成されたルーバ51が配設されている。前記ラジエータケース45の上側には、吸入部空気通路46に連通した第1空気通路47が形成され、吸入部空気通路46に流入した空気を第1空気通路47に導入するように構成してある。尚、この第1空気通路47の前後方向中央部には、燃料電池ユニット2において発電した電力のうちの余剰電力を消費する為の電気ヒータ55が左右方向向きに配設されている。
【0039】
第1空気通路47とラジエータ36bとの境界部には第1空気通路47からラジエータ36bへ空気を導入する開口部(図示略)が形成されている。ラジエータ36bへ導入された空気は、ファン36aにより、ラジエータケース45内のファン36aの前側に形成された第2空気通路48へ排出される。
【0040】
燃料電池ユニット2の外装ケース14の下端側において、燃料電池ユニット2を据え付ける設置面52上に前後1対のベースフレーム53が配設されて複数のボルトで設置面52に固定され、燃料電池ユニット2の外装ケース14が平行な1対のベースフレーム53上に載置され、複数のビスやボルトでベースフレーム53に固定される。
【0041】
ベースフレーム53は鋼製の断面ほぼL字形状の部材であり、上端の水平なフランジ部53aと、縦板部53bと、水平な底板部53cとを有する。外装ケース14の下端の前端部と後端部が1対のベースフレーム53のフランジ部53a上に載置固定される。尚、1対のベースフレーム53の左右両端部は外装ケース14よりも所定長さ左右に突出している。
【0042】
ラジエータケース45に対応する位置で、前側のベースフレーム53とその後方近傍部位には、通路形成部材54が配設されている。この通路形成部材54は、縦向きの前面板54aと、この前面板54aの下端から後方へ水平に延びる底面板54bと、左端を仕切る鉛直な左端仕切り板54cと、右端を仕切る鉛直な右端仕切り板54dとを有する。
第2空気通路48内に排出された高温排気は、外装ケース14の底板43に形成された開口部(図示略)とラジエータケース45に形成された開口から、通路形成部材54内の第3空気通路49へ排出される。
【0043】
1対のベースフレーム53と底板43と設置面52の間の空間は、左端仕切り板54cに対応する位置で図示外の仕切り板により仕切られ、1対のベースフレーム53と底板43と設置面52の間の空間のうち前記仕切り板よりも右方の空間が第4空気通路50とされ、この第4空気通路50の右端は大気開放されている。第3空気通路49の高温排気は第4空気通路50へ排出され、第4空気通路50の右端から外部へ排出される。
【0044】
次に、上記のコージェネレーションシステム1の作用、効果について説明する。
放熱手段36による熱交換後の高温排気は、ファン36aにより第2空気通路48へ排出され、第2空気通路48から外装ケース14の底板43の開口部を通過して下方の第3空気通路49へ排出された後、外装ケース14の底板43の下側の第4空気通路50へ排出され、湯水循環配管25が貫通固定された外装ケース14の右側面板14Aの下方から外部へ排出される。燃料電池ユニット2の外装ケース14の右側面板14Aの外側の空間へは人が立ち入ることが出来ないため、高温排気による不快感を防止することができる。
【0045】
また、外気を吸引する吸入開口51aが外装ケース14の前面に形成され、放熱手段36による熱交換後の高温排気が排出される排出口56が外装ケース14の右側面に形成されて、吸入開口51aと排出口56とが異なる面に位置しているため、排出された直後の高温排気が吸入開口51aから吸い込まれることによる、湯水循環回路25を循環する高温湯水の冷却性能の低下を防止することができる。
【0046】
さらに、放熱手段36による熱交換後の高温排気は、外装ケース14の底板43の開口部を通過して下方に流出した後、外装ケース14の下端側のベースフレーム53と底板43と設置面52との間の隙間を流れて湯水循環回路25が貫通固定された右側面板14Aの下方から外方へ排出されるので、放熱手段のファンの運転音や風切り音や高温排気の吹き出し音による騒音を低減することができる。
【0047】
次に、前記実施例を部分的に変更した形態について説明する。
[1]前記実施例では、前記放熱手段36を燃料電池ユニット2に設置した場合を例にして説明したが、前記放熱手段36を貯湯ユニット3に設置してもよい。
[2]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。