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特開2016-217796人工地絡試験方法及び人工地絡試験システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-217796(P2016-217796A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】人工地絡試験方法及び人工地絡試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
   G01R31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-100744(P2015-100744)
(22)【出願日】2015年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】大原 久征
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和文
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA04
2G014AB33
2G014AC19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定することが可能な人工地絡試験方法及び人工地絡試験システムを提供する。
【解決手段】送配電線路10と接地35との間の接続と遮断とを切り換える人工地絡遮断器31と、送配電線路10を伝搬する人工サージ信号を測定するサージ信号測定器20、21と、基準時刻情報を含む電波を受信して、時刻を計時する第1時刻信号発生部30a及び第2時刻信号発生部30bを有し、第1時刻信号発生部30aは、あらかじめ設定された設定時刻に第1時刻信号を人工地絡遮断器31に出力し、人工地絡遮断器31は、第1時刻信号Vaを取得して送配電線路10と接地35との接続を開始し、第2時刻信号発生部30bは、設定時刻に基づく時刻に第2時刻信号Vbをサージ信号測定器20に出力し、サージ信号測定器20は、第2時刻信号Vbを取得して人工サージ信号の測定を開始する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送配電線路と接地との間の接続と遮断とを切り換える人工地絡遮断器と、前記送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定するサージ信号測定器とを有する人工地絡試験方法であって、
基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を前記基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第1時刻信号発生部が、あらかじめ設定された設定時刻に第1時刻信号を前記人工地絡遮断器に出力し、前記人工地絡遮断器が、前記第1時刻信号を取得して前記送配電線路と前記接地との接続を開始するステップと、
前記基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を前記基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第2時刻信号発生部が、前記設定時刻に基づいた時刻に第2時刻信号を前記サージ信号測定器に出力し、前記サージ信号測定器が、前記第2時刻信号を取得して人工サージ信号の測定を開始するステップとを有する人工地絡試験方法。
【請求項2】
前記人工地絡遮断器は、前記第1時刻信号を取得した時刻から、所定の切り換え時間を経過したときに、前記送配電線路と前記接地とを接続させ、
前記サージ信号測定器は、前記第2時刻信号を取得した時刻から、前記所定の切り換え時間が経過した時刻に、前記人工サージ信号の測定を開始する請求項1に記載の人工地絡試験方法。
【請求項3】
前記サージ信号測定器は、前記第2時刻信号を取得した時刻から、前記人工サージ信号の伝搬時間よりも短い所定の遅延時間が経過した時刻に前記人工サージ信号の測定を開始する請求項1または請求項2に記載の人工地絡試験方法。
【請求項4】
前記サージ信号測定器は、前記人工サージ信号の波形に関する情報をサージ信号記憶部に記憶する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の人工地絡試験方法。
【請求項5】
前記第1時刻信号発生部及び前記第2時刻信号発生部は電波時計である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の人工地絡試験方法。
【請求項6】
送配電線路と接地との間の接続と遮断とを切り換える人工地絡遮断器と、
前記送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定するサージ信号測定器と、
基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を前記基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第1時刻信号発生部と、
前記基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を前記基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第2時刻信号発生部とを有し、
前記第1時刻信号発生部は、あらかじめ設定された設定時刻に第1時刻信号を前記人工地絡遮断器に出力し、前記人工地絡遮断器は、前記第1時刻信号を取得して前記送配電線路と前記接地との接続を開始し、
前記第2時刻信号発生部は、前記設定時刻に基づく時刻に第2時刻信号を前記サージ信号測定器に出力し、前記サージ信号測定器は、前記第2時刻信号を取得して前記人工サージ信号の測定を開始する人工地絡試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定する人工地絡試験方法及び人工地絡試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力設備等で、落雷や地絡事故等の発生による被害の拡大を防止するために、最適な絶縁レベルの検討等のサージ対策が行われる。下記特許文献1には、送配電線路において、地絡発生時または人工地絡を発生させた場合などに地絡方向継電器や遮断機が正常に動作したか否かを自動的に判定できる機器自動試験システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−280024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力設備等において、サージ信号の電圧値に適したサージ対策の設備を設けるためには、地絡発生地点から離れた場所でのサージ信号の波形を測定し、サージ信号の電圧を測定することが望ましい。しかし、サージ信号の伝搬速度は速いため、人工的に地絡を発生させる人工地絡試験において、人工地絡発生地点から離れた電力設備等でどの程度の電圧レベルのサージ信号が伝搬するか測定することは困難である場合がある。特許文献1に記載の機器自動試験システムでは、人工地絡を発生させた場合の地絡方向継電器や遮断機の動作の判定をするものの、長距離離れた地点でのサージ波形の測定については記載されていない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決して、人工地絡試験において、送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定することが可能な人工地絡試験方法及び人工地絡試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による人工地絡試験方法は、送配電線路と接地との間の接続と遮断とを切り換える人工地絡遮断器と、前記送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定するサージ信号測定器とを有する人工地絡試験方法であって、基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を前記基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第1時刻信号発生部が、あらかじめ設定された設定時刻に第1時刻信号を前記人工地絡遮断器に出力し、前記人工地絡遮断器が、前記第1時刻信号を取得して前記送配電線路と前記接地との接続を開始するステップと、前記基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を前記基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第2時刻信号発生部が、前記設定時刻に基づいた時刻に第2時刻信号を前記サージ信号測定器に出力し、前記サージ信号測定器が、前記第2時刻信号を取得して人工サージ信号の測定を開始するステップとを有する。
【0007】
これによれば、第1時刻信号発生部及び第2時刻信号発生部は、それぞれの内部時刻情報が基準時刻情報と少なくとも1度一致され、精度のよい内部時刻情報で計時される時刻に基づいて第1時刻信号と第2時刻信号とが出力される。人工地絡遮断器が送配電線路と接地とを接続させることによる、人工サージ信号の発生が、第1時刻信号をトリガとして開始され、人工サージ信号の測定の開始が、第2時刻信号をトリガとして開始される。このため、サージ信号測定器は、送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定することができる。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記人工地絡遮断器は、前記第1時刻信号を取得した時刻から、所定の切り換え時間を経過したときに、前記送配電線路と前記接地とを接続させ、前記サージ信号測定器は、前記第2時刻信号を取得した時刻から、前記所定の切り換え時間が経過した時刻に、前記人工サージ信号の測定を開始する。これによれば、サージ信号測定器の計測時間が短くなるため、計測されるデータ量が少なくなり、容易に人工サージ信号を測定することができる。
【0009】
本発明の望ましい態様として、前記サージ信号測定器は、前記第2時刻信号を取得した時刻から、前記人工サージ信号の伝搬時間よりも短い所定の遅延時間が経過した時刻に前記人工サージ信号の測定を開始する。これによれば、人工サージ信号の測定地点が、人工サージ信号の発生地点から離れている場合であっても、人工サージ信号の伝搬時間を考慮した所定の遅延時間が経過した後に、サージ信号測定器の測定が開始される。このため、サージ信号測定器の計測時間が短くなるため、計測されるデータ量が少なくなり、容易に人工サージ信号を測定することができる。
【0010】
本発明の望ましい態様として、前記サージ信号測定器は、前記人工サージ信号の波形に関する情報をサージ信号記憶部に記憶する。これによれば、人工サージ信号の波形に関する情報から電圧値等の情報を取得できる。また、第2時刻信号をトリガとして、人工サージ信号の測定を開始するため、適切な記憶容量のサージ信号記憶部を用いて人工サージ信号を測定することができ、測定に係るコストを低減することができる。
【0011】
本発明の望ましい態様として、前記第1時刻信号発生部及び前記第2時刻信号発生部は電波時計である。これによれば、第1時刻信号発生部及び第2時刻信号発生部のそれぞれの内部時刻情報が、標準電波の基準時刻情報と少なくとも1度一致し、精度よく時刻を計時する。また、電波時計を用いることにより第1時刻信号及び第2時刻信号を外部に出力することが容易である。
【0012】
本発明の一態様による人工地絡試験システムは、送配電線路と接地との間の接続と遮断とを切り換える人工地絡遮断器と、前記送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定するサージ信号測定器と、基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を前記基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第1時刻信号発生部と、前記基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を前記基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第2時刻信号発生部とを有し、前記第1時刻信号発生部は、あらかじめ設定された設定時刻に第1時刻信号を前記人工地絡遮断器に出力し、前記人工地絡遮断器は、前記第1時刻信号を取得して前記送配電線路と前記接地との接続を開始し、前記第2時刻信号発生部は、前記設定時刻に基づく時刻に第2時刻信号を前記サージ信号測定器に出力し、前記サージ信号測定器は、前記第2時刻信号を取得して前記人工サージ信号の測定を開始する。
【0013】
これによれば、第1時刻信号発生部及び第2時刻信号発生部は、それぞれの内部時刻情報が基準時刻情報と少なくとも1度一致され、精度のよい内部時刻情報で計時される時刻に基づいて第1時刻信号と第2時刻信号とが出力される。人工地絡遮断器が送配電線路を接地に接続させることによる、人工サージ信号の発生が、第1時刻信号をトリガとして開始され、人工サージ信号の測定の開始が、第2時刻信号をトリガとして開始される。このため、サージ信号測定器は、送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様による人工地絡試験方法及び人工地絡試験システムによれば、人工地絡試験において、送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る人工地絡試験システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、サージ信号測定器の構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る人工地絡試験システムの人工地絡試験方法を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、人工地絡試験方法を説明するためのタイミングチャートである。
図5図5は、第1変形例に係る人工地絡試験方法を説明するためのタイミングチャートである。
図6図6は、第2変形例に係る人工地絡試験方法を説明するためのタイミングチャートである。
図7図7は、第3変形例に係る人工地絡試験方法を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る人工地絡試験方法及び人工地絡試験システムの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施形態に記載された方法、装置及び変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0017】
(人工地絡試験システム)
図1は、実施形態に係る人工地絡試験システムの構成を示す模式図である。本実施形態の人工地絡試験システム1は、送配電線路10の第1分岐点10aに接続された人工地絡遮断器31と、送配電線路10の第2分岐点10bに接続された第1サージ信号測定器20と、送配電線路10の第3分岐点10cに接続された第2サージ信号測定器21とを備える。人工地絡試験システム1はさらに、人工地絡遮断器31、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21にそれぞれ時刻信号を出力する第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cを備える。
【0018】
本実施形態において、送配電線路10は、送電線や配電線等の電線路を含む。人工地絡遮断器31が設けられた人工地絡発生地点A、第1サージ信号測定器20が設けられた第1測定地点B、第2サージ信号測定器21が設けられた第2測定地点Cは、それぞれ、例えば電力会社の発電所、変電所等や、送電線を支持する鉄塔等の電力施設であってもよい。人工地絡発生地点A、第1測定地点B及び第2測定地点Cは、互いに長距離(例えば数kmから数10km以上)離れた位置に設けられている。
【0019】
人工地絡遮断器31は、送配電線路10と接地(グラウンド)35との間に設けられ、送配電線路10と接地(グラウンド)35との間の接続と遮断とを切り換る。人工地絡遮断器31は、第1遮断器32と、第2遮断器33と、開閉駆動部34とを備える。第2遮断器33がON(閉)になると、開閉駆動部34が第1遮断器32をON(閉)にする駆動を行う。開閉駆動部34は、例えば電磁力により第1遮断器32のON(閉)とOFF(開)とを切り換える、ソレノイドコイルを用いることができる。なお、開閉駆動部34は、これに限定されるものではなく、機械的に第1遮断器32のON(閉)とOFF(開)とを切り換えるものであってもよい。
【0020】
送配電線路10の第1分岐点10aには、支線11を介して、第1遮断器32、抵抗36及び接地(グラウンド)35が接続されている。人工地絡遮断器31がON(閉)になると、第1遮断器32がON(閉)になり、送配電線路10と接地(グラウンド)35とが接続される。これにより、送配電線路10が接地され、人工的に地絡が発生する。送配電線路10を接地させた際に、過渡的な人工サージ信号が送配電線路10に発生する。
【0021】
第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21は、送配電線路10を伝搬する人工サージ信号を測定する。第1サージ信号測定器20は、送配電線路10の第2分岐点10bに接続された支線12に、変圧器15を介して接続される。第2サージ信号測定器21は、送配電線路10の第3分岐点10cに接続された支線13に、変圧器16を介して接続される。第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21は、例えば、オシロスコープやデータロガーを用いることができる。
【0022】
図2は、サージ信号測定器の構成を示すブロック図である。第1サージ信号測定器20は、フィルタ回路20A、サージ信号検出部20B、サージ信号記憶部20C及び制御部20Dを有する。なお、図2は、第1サージ信号測定器20の構成を例示しているが、第2サージ信号測定器21も同様の構成とすることができる。
【0023】
フィルタ回路20Aは、第1サージ信号測定器20に入力された信号のうち、人工サージ信号以外の不要な周波信号成分等を除去し、人工サージ信号のみを通過させる。サージ信号検出部20Bは、入力された信号の電圧値が所定の値以上となった場合に、人工サージ信号の入力があったと判断する。サージ信号検出部20Bは、例えば、人工サージ信号が入力された時刻情報を制御部20Dに出力する。サージ信号記憶部20Cは、フィルタ回路20Aを通過した人工サージ信号を、A/D変換器(図示しない)等によって、所定のサンプリング周期(例えば0.5μs以上、1.0μs以下)でデジタルデータに変換して、人工サージ信号の波形を記憶する。サージ信号記憶部20Cは、ハードディスク、RAM、ROMなどである。
【0024】
制御部20Dは、サージ信号記憶部20Cの記憶動作の開始及び停止を制御する。制御部20Dは、第2電波時計30bの第2時刻信号Vbを取得して、第2時刻信号Vbをトリガとして、サージ信号記憶部20Cに人工サージ信号の波形の記憶を開始させる。また、制御部20Dは、サージ信号検出部20Bから入力された時刻情報に基づいて、人工サージ信号が入力された時刻から所定の時間が経過した後に、サージ信号記憶部20Cの記憶動作を停止させてもよい。
【0025】
第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cは、それぞれ、アンテナ(図示しない)で、基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を基準時刻情報に一致させる補正を行い、時刻を計時する。基準時刻情報を含む電波は、長波標準電波(長波帯JJY:東日本の40kHz長波標準電波、西日本の60kHz長波標準電波)である。第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cは、長波標準電波を受信して、長波標準電波に重畳され、コード化された基準時刻情報をデコードして時刻情報を生成し、デコードされた時刻情報に基づいてそれぞれの内部時刻情報を補正する。この内部時刻情報の補正は、例えば、1日に1〜2回行われる。内部時刻情報の補正は、人工地絡試験の実施前に、都度行ってもよい。内部時刻情報は、第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cのそれぞれが内蔵する水晶発振回路などのいわゆるクオーツ時計で計時される時刻情報である。
【0026】
第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cは、それぞれ、時刻を計時する計時部(図示しない)と、あらかじめ設定された設定時刻を記憶する設定時刻記憶部(図示しない)と、設定時刻記憶部に記憶された設定時刻に時刻信号を出力する時刻信号出力部(図示しない)とを有する。設定時刻に時刻信号を出力するアラーム機能を利用して、第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cは、それぞれ、第1時刻信号Va、第2時刻信号Vb、及び第3時刻信号Vcを、あらかじめ設定された時刻に出力する。
【0027】
第1電波時計30aは、第1時刻信号Vaを人工地絡遮断器31に出力し、人工地絡遮断器31は、第1時刻信号Vaを取得し、第1遮断器32をON(閉)にする動作を開始する。第2電波時計30bは、第2時刻信号Vbを第1サージ信号測定器20に出力し、第1サージ信号測定器20は第2時刻信号Vbをトリガとして、人工サージ信号の測定を開始する。第3電波時計30cは、第3時刻信号Vcを第2サージ信号測定器21に出力し、第2サージ信号測定器21は第3時刻信号Vcをトリガとして、人工サージ信号の測定を開始する。
【0028】
以上のように、本実施形態の人工地絡試験システム1は、送配電線路10と接地(グラウンド)35との間の接続と遮断とを切り換える人工地絡遮断器31と、送配電線路10を伝搬する人工サージ信号を測定する第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21と、基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第1時刻信号発生部(第1電波時計30a)と、基準時刻情報を含む電波を受信して、内部時刻情報を基準時刻情報と少なくとも1度一致させて時刻を計時する第2時刻信号発生部(第2電波時計30b及び第3電波時計30c)とを有する。第1時刻信号発生部(第1電波時計30a)は、あらかじめ設定された設定時刻に第1時刻信号Vaを人工地絡遮断器31に出力する。第2時刻信号発生部(第2電波時計30b及び第3電波時計30c)は、設定時刻に基づく時刻に、第2時刻信号Vb及び第3時刻信号Vcを第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21にそれぞれ出力する。人工地絡遮断器31は、第1時刻信号Vaを取得して送配電線路10と接地(グラウンド)35との接続を開始し、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21は、第2時刻信号Vb及び第3時刻信号Vcをそれぞれ取得して、人工サージ信号の測定を開始する。
【0029】
本実施形態の人工地絡試験システム1は、基準時刻情報を有する電波を受信して、内部時刻情報を基準時刻情報に少なくとも1度一致させて時刻を計時する時刻信号発生部として第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cを用いている。このため、精度のよい内部時刻情報で計時される時刻に基づいて、第1時刻信号Va、第2時刻信号Vb、及び第3時刻信号Vcを出力することが可能である。人工地絡遮断器31が送配電線路10を接地(グラウンド)35に接続させることによる、人工サージ信号の発生が、第1時刻信号Vaをトリガとして開始される。また、人工サージ信号の測定が、第2時刻信号Vb及び第3時刻信号Vcをトリガとして開始される。このため、人工地絡発生地点Aと第1測定地点Bとの距離、人工地絡発生地点Aと第2測定地点Cとの距離が、長距離(例えば数kmから数10km以上)離れている場合であっても、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21は、送配電線路を伝搬する人工サージ信号を測定することができる。
【0030】
人工サージ信号の伝搬速度は速いため、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21の測定開始のトリガに、第2時刻信号Vb、及び第3時刻信号Vcを用いない場合、人工地絡発生時刻の前後で長時間にわたって測定を行い、人工サージ信号を確実に測定する。上述のように、人工サージ信号の波形を取得するためのサンプリング周期は0.5μs以上、1.0μs以下程度であり、測定時間が長くなるとサージ信号記憶部20C(図2参照)に記憶されるデータ量が増大する。
【0031】
本実施形態の人工地絡試験システム1によれば、精度のよい内部時刻情報で計時される時刻に基づいて、第1時刻信号Va、第2時刻信号Vb、及び第3時刻信号Vcが出力される。第1時刻信号Vaをトリガとして、人工地絡遮断器31により人工サージ信号が発生する。また、第2時刻信号Vb及び第3時刻信号Vをトリガとして、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21の測定が開始する。したがって、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21の測定時間が長くなることが抑制される。このため、記憶容量の増大を抑制することができ、人工地絡試験システム1のコストの増大が抑制される。また、測定されるデータ量の増大が抑制されるため、データ処理に要する時間やコストが低減される。
【0032】
なお、本実施形態において、人工サージ信号の測定箇所として、第1測定地点B及び第2測定地点Cの2箇所が設けられているが、これに限定されず、1箇所の測定地点であってもよく、若しくは3箇所以上の測定地点を設けてもよい。
【0033】
(人工地絡試験方法)
次に、実施形態に係る人工地絡試験システム1の人工地絡試験方法について説明する。図3は、実施形態に係る人工地絡試験システムの人工地絡試験方法を説明するためのフローチャートである。図4は、人工地絡試験方法を説明するためのタイミングチャートである。
【0034】
まず、第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cは、長波標準電波を受信して、長波標準電波に含まれる基準時刻情報(時刻情報)を取得する(ステップS11)。第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cは、内部時刻情報を基準時刻情報に一致させる補正を行う。これにより、第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cのそれぞれの内部時刻情報が同期する(ステップS12)。
【0035】
第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cは、第1時刻信号Va、第2時刻信号Vb、及び第3時刻信号Vcを出力する時刻tがあらかじめ設定されており、時刻tの情報がそれぞれの設定時刻記憶部(図示しない)に記憶される。このように、本実施形態において時刻tが上述した設定時刻である。第1電波時計30aは、アラーム機能を用いて、あらかじめ設定された時刻tに、第1時刻信号Vaを人工地絡遮断器31に出力する。第2電波時計30bは、時刻tに、第1時刻信号Vaと同期された第2時刻信号Vbを第1サージ信号測定器20に出力する。また、第3電波時計30cは、時刻tに、第1時刻信号Vaと同期された第3時刻信号Vcを第2サージ信号測定器21に出力する(ステップS13)。図4に示すように、第1時刻信号Va、第2時刻信号Vb、及び第3時刻信号Vcは、あらかじめ設定された時刻tに同時に出力される。
【0036】
図1に示す人工地絡遮断器31は、第2遮断器33に第1時刻信号Vaが入力されるとON(閉)の状態になり、開閉駆動部34の駆動動作が開始する。開閉駆動部34の駆動動作により第1遮断器32がON(閉)の状態になり、送配電線路10の第1分岐点10aが接地(グラウンド)35に電気的に接続される(図3、ステップS14)。これにより、送配電線路10が接地され人工的に地絡が発生した状態となり、送配電線路10が接地した際に過渡的な人工サージ信号が送配電線路10に発生する。
【0037】
ここで、図4に示すように、人工地絡遮断器31は、時刻tに第1時刻信号Vaが入力された場合、時刻tから時間Δtが経過した時刻tに、第1遮断器32(図1参照)がON(閉)となり送配電線路10が接地される。時間Δt(=t−t)は、開閉駆動部34、第1遮断器32及び第2遮断器33の切り換え動作に要する切り換え時間である。人工地絡遮断器31の切り換え時間Δtは、人工地絡遮断器31の遮断方法や駆動方法により定められる時間であり、例えば30μs以上、100μs以下程度である。
【0038】
切り換え時間Δtの情報は、人工地絡試験の開始前にあらかじめ第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21に入力され、制御部20Dが有する記憶部(図示しない)に記憶される。第1サージ信号測定器20は、第2時刻信号Vbが入力されると、第2時刻信号Vbが入力された時刻tから、人工地絡遮断器31の切り換え時間Δtが経過した時刻tに、人工サージ信号の測定を開始する。同様に、第2サージ信号測定器21は、第3時刻信号Vcが入力されると、第3時刻信号Vcが入力された時刻tから、人工地絡遮断器31の切り換え時間Δtが経過した時刻tに、人工サージ信号の測定を開始する(図3、ステップS15)。なお、図4において、第1サージ信号測定器20がONの場合、サージ信号記憶部20C(図2参照)が、入力された信号の記憶を実行している状態を示し、OFFの場合、信号の記憶を停止している状態を示す。第2サージ信号測定器21についても同様に、ONの場合、信号の記憶を実行している状態を示し、OFFの場合、信号の記憶を停止している状態を示す。
【0039】
人工地絡発生地点A(図1参照)で時刻tに発生した人工サージ信号は、送配電線路10を伝搬して第2分岐点10bから第1サージ信号測定器20に入力され、サージ信号記憶部20Cに人工サージ信号の波形が記憶される(図3、ステップS16)。人工サージ信号の波形は、上述のように、人工サージ信号が所定のサンプリング周期でデジタルデータ化されて記憶される。
【0040】
同様に、送配電線路10を伝搬する人工サージ信号は、第3分岐点10cから第2サージ信号測定器21に入力され、サージ信号記憶部(図示しない)に人工サージ信号の波形が記憶される。
【0041】
サージ信号検出部20B(図2参照)は、入力された信号の電圧値が所定の値以上となった場合に、人工サージ信号の入力があったと判断する。サージ信号検出部20Bは、人工サージ信号の入力があった時刻の情報を制御部20Dに出力し、制御部20Dは、人工サージ信号の入力時刻から所定の時間が経過した後、サージ信号記憶部20Cに停止信号を出力する。サージ信号記憶部20Cは、停止信号を受け取ると、人工サージ信号の記憶を停止して、人工サージ信号の測定を終了する(図3、ステップS17)。
【0042】
以上のように、本実施形態の人工地絡試験方法において、基準時刻情報を含む電波を受信して内部時刻情報を基準時刻情報に少なくとも1度一致させて時刻を計時する第1電波時計30aは、あらかじめ設定された時刻tに第1時刻信号Vaを人工地絡遮断器31に出力する。人工地絡遮断器31は、第1時刻信号Vaを取得して送配電線路10と接地(グラウンド)35との接続を開始し、人工地絡遮断器31をON(閉)にする(ステップS14)。基準時刻情報を含む電波を受信して内部時刻情報を基準時刻情報に少なくとも1度一致させて時刻を計時する第2電波時計30bは、あらかじめ設定された時刻tに第2時刻信号Vbを第1サージ信号測定器20に出力する。第1サージ信号測定器20は、第2時刻信号Vbを取得して、人工サージ信号の測定を開始する(ステップS15)。また、第3電波時計30cは、第3時刻信号Vcを第2サージ信号測定器21に出力する。第2サージ信号測定器21は、第3時刻信号Vcを取得して、人工サージ信号の測定を開始する。
【0043】
これによれば、第1電波時計30a、第2電波時計30b及び第3電波時計30cは、それぞれの内部時刻情報が基準時刻情報と少なくとも1度一致され、精度のよい内部時刻情報で計時される時刻t(設定時刻)に基づいて第1時刻信号Va、第2時刻信号Vb及び第3時刻信号Vcが出力される。第1時刻信号Vaをトリガとして、人工地絡遮断器31が送配電線路10と接地(グラウンド)35とを接続させて、人工サージ信号が発生する。また、第2時刻信号Vb及び第3時刻信号Vcをトリガとして、人工サージ信号の測定が開始される。このため、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21は、送配電線路10を伝搬する人工サージ信号を確実に測定することができる。
【0044】
本実施形態の人工地絡試験方法において、人工地絡遮断器31は、第1時刻信号Vaを取得した時刻tから、所定の切り換え時間Δtが経過した時刻tに、送配電線路10と接地(グラウンド)35とを接続させる。第1サージ信号測定器20は、第2時刻信号Vbが入力された時刻tから所定の切り換え時間Δtが経過した時刻tに、人工サージ信号の測定を開始する。同様に、第2サージ信号測定器21は、第3時刻信号Vcが入力された時刻tから、所定の切り換え時間Δtが経過した時刻tに、人工サージ信号の測定を開始する。
【0045】
これによれば、送配電線路10と接地(グラウンド)35とが接続され人工サージ信号が発生した時刻時刻tから、測定が開始される。よって、第2時刻信号Vbが入力された時刻tから測定を開始する場合に比べて、第1サージ信号測定器20および第2サージ信号測定器21の計測時間が、所定の切り換え時間Δtだけ短くなる。このため、計測されるデータ量が少なくなり、サージ信号記憶部20Cの記憶容量を小さくすることができる。また、測定されるデータ量が抑制されるため、人工サージ信号の波形の解析が容易になり、データの処理に要する時間やコストが低減される。よって、容易に人工サージ信号を測定することができる。
【0046】
また、第2サージ信号測定器21が設けられた第2測定地点Cは、第1測定地点Bよりも人工地絡発生地点Aから離れた位置に設けられている。このため、第2測定地点Cに伝搬する人工サージ信号の電圧値は、人工地絡発生地点A及び第1測定地点Bよりも低減する可能性がある。本実施形態の人工地絡試験方法及び人工地絡試験システム1により、低減された人工サージ信号を測定することにより、例えば電力会社の発電所、変電所や、鉄塔等の電力施設において、測定されたサージ信号の電圧値に対して適切なサージ対策用設備とすることができる。よって、サージ対策のために過剰な設備を設ける必要がなく、電力施設におけるサージ対策に要するコストを低減することができる。
【0047】
(第1変形例)
図5は、第1変形例に係る人工地絡試験方法を説明するためのタイミングチャートである。図4に示す人工地絡試験のタイミングチャートでは、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21が、同じ時刻tから測定を開始しているのに対し、第1変形例の人工地絡試験方法は、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21が、それぞれ異なる時刻で人工サージ信号の測定を開始する点で異なっている。
【0048】
図5に示すように、第1サージ信号測定器20は、人工地絡遮断器31がON(閉)になった時刻tから、遅延時間Δtが経過した時刻tに測定を開始する。第2サージ信号測定器21は、第1サージ信号測定器20が測定を開始する時刻tから、さらに遅延時間Δtが経過した時刻tに測定を開始する。
【0049】
遅延時間Δt及び遅延時間Δtは、人工サージ信号が、図1に示す送配電線路10を伝搬する時間に対応して設定される。送配電線路10の第1分岐点10aから第2分岐点10bまでの距離をL1とし、第2分岐点10bから第3分岐点10cまでの距離をL2とし、人工サージ信号の伝搬速度をvとする。第1分岐点10aから第2分岐点10bまでの人工サージ信号の伝搬時間Δts1は、Δts1=L1/vであり、第2分岐点10bから第3分岐点10cまでの人工サージ信号の伝搬時間Δts2は、Δts2=L2/vである。
【0050】
図5に示す、遅延時間Δtは、伝搬時間Δts1よりも短い時間が設定され、かつ、遅延時間Δtは、伝搬時間Δts2よりも短い時間が設定される。このように、第1サージ信号測定器20は、第2時刻信号Vbが入力された時刻tから、人工地絡遮断器31の切り換え時間Δtが経過し、かつ、伝搬時間Δts1よりも短い所定の遅延時間Δtが経過した時刻tに人工サージ信号の測定を開始する。また、第2サージ信号測定器21は、第3時刻信号Vcが入力された時刻tから、人工地絡遮断器31の切り換え時間Δtと、所定の遅延時間Δtと、所定の遅延時間Δtとが経過した時刻tに人工サージ信号の測定を開始する。
【0051】
なお、遅延時間Δt及び遅延時間Δtは、送配電線路10の線路長と、人工サージ信号の伝搬速度から計算された伝搬時間に基づいてあらかじめ設定された時間であり、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21にそれぞれ入力される。
【0052】
本変形例の人工地絡試験方法によれば、人工サージ信号が送配電線路10を伝搬する時間を考慮して、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21の計測時間を短くすることができる。したがって、第1サージ信号測定器20で測定されるデータ量が、遅延時間Δtの分だけ少なくなり、第2サージ信号測定器21で測定されるデータ量が、遅延時間Δtと遅延時間Δtの合計時間の分だけ少なくなる。したがって、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21の記憶容量を小さくすることができる。また、記憶された人工サージ信号のデータの処理も容易である。よって、容易に人工サージ信号を測定することができる。
【0053】
(第2変形例)
図6は、第2変形例に係る人工地絡試験方法を説明するためのタイミングチャートである。図6に示す第2変形例に係る人工地絡試験方法は、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21が遅延時間を設けず測定を開始する。第1サージ信号測定器20は第2時刻信号Vbが入力された時刻tに測定を開始するとともに、第2サージ信号測定器21は第3時刻信号Vcが入力された時刻tに測定を開始する。
【0054】
この場合、計測されるデータ量は多くなるものの、人工地絡遮断器31の切り換え時間Δtの誤差や、上述した人工サージ信号が送配電線路10を伝搬する伝搬時間Δts1、Δts2の誤差が発生した場合であっても、確実に第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21が、人工サージ信号を測定することが可能である。
【0055】
(第3変形例)
図7は、第3変形例に係る人工地絡試験方法を説明するためのタイミングチャートである。図7に示す第3変形例に係る人工地絡試験方法は、第1時刻信号Vaと第2時刻信号Vbと第3時刻信号Vcとが、異なる時刻に出力される点で異なる。
【0056】
第1電波時計30aは、第1時刻信号Vaを出力する時刻tがあらかじめ設定されており、時刻tの情報が設定時刻記憶部(図示しない)に記憶される。第2電波時計30bは、第2時刻信号Vbを出力する時刻tがあらかじめ設定されており、時刻tの情報が設定時刻記憶部(図示しない)に記憶される。第3電波時計30cは、第3時刻信号Vcを出力する時刻tがあらかじめ設定されており、時刻tの情報が設定時刻記憶部(図示しない)に記憶される。
【0057】
第2電波時計30bは、時刻tを基準として、あらかじめ設定された切り換え時間Δt及び遅延時間Δtが経過した時刻tに、第2時刻信号Vbを出力する。第3電波時計30cは、時刻tを基準として、あらかじめ設定された切り換え時間Δt、遅延時間Δt及び遅延時間Δtが経過した時刻tに、第3時刻信号Vcを出力する。
【0058】
第1サージ信号測定器20は、第2時刻信号Vbが入力された時刻tから測定を開始し、第2サージ信号測定器21は、第3時刻信号Vcが入力された時刻tから測定を開始する。
【0059】
これによれば、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21が測定を開始するまでの、切り換え時間Δt、遅延時間Δt及び遅延時間Δtが、第2電波時計30b及び第3電波時計30c側で制御される。したがって、第1サージ信号測定器20及び第2サージ信号測定器21のタイマー等の誤差による測定開始時刻のずれの発生を抑制し、確実に人工サージ信号を測定することができる。
【0060】
以上説明した実施形態及び各変形例は、適宜変更することが可能である。例えば、時刻信号を発生する時刻信号発生装置として、電波時計を例示したが、これに限らずGPS(Global Positioning System)時計を用いてもよい。GPS時計は、グローバル・ポジショニング・システムの衛星からの信号(GPS信号)を受信するアンテナ、GPS信号に含まれる時刻情報に基づいてデジタル時計回路が計時する現在時刻を補正する時刻補正部、及びあらかじめ設定された時刻に時刻信号を出力する時刻信号出力部等を有する。
【符号の説明】
【0061】
1 人工地絡試験システム
10 送配電線路
10a 第1分岐点
10b 第2分岐点
10c 第3分岐点
11、12、13 支線
15、16 変圧器
20 第1サージ信号測定器
20A フィルタ回路
20B サージ信号検出部
20C サージ信号記憶部
20D 制御部
21 第2サージ信号測定器
30a 第1電波時計
30b 第2電波時計
30c 第3電波時計
31 人工地絡遮断器
32 第1遮断器
33 第2遮断器
34 開閉駆動部
35 接地(グラウンド)
36 抵抗
A 人工地絡発生地点
B 第1測定地点
C 第2測定地点
Va 第1時刻信号
Vb 第2時刻信号
Vc 第3時刻信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7