特開2016-217813(P2016-217813A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-217813熱式流量計及びその傾斜誤差改善方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-217813(P2016-217813A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】熱式流量計及びその傾斜誤差改善方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/698 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
   G01F1/698 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-101302(P2015-101302)
(22)【出願日】2015年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】清田 久夫
(72)【発明者】
【氏名】舘山 哲也
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035EA09
(57)【要約】
【課題】発熱体と測温体とを含む平面を水準方向から傾斜させて配置した場合であっても、正確な流量を測定することが可能な熱式流量計を実現する。
【解決手段】熱式流量計100は、被測定流体が流れる配管40に設置され、発熱体RHと、発熱体から被測定流体に与えられた熱を検出する測温体R1、R2と、被測定流体の流れの向きが鉛直方向成分を含んでいる場合に、発熱体RHを2つの異なる温度で発熱させた際に測温体R1、R2でそれぞれ検出される温度に対して被測定流体の測定流量を補正するための情報を保存する記憶装置30と、情報に基づいて前記被測定流体の前記測定流量を補正する補正部20と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体が流れる配管に設置される熱式流量計であって、
発熱体と、
前記発熱体から被測定流体に与えられた熱を検出する測温体と、
前記被測定流体の流れの向きが鉛直方向成分を含んでいる場合に、前記発熱体を2つの異なる温度で発熱させた際に前記測温体でそれぞれ検出される温度に対して前記被測定流体の測定流量を補正するための情報を保存する記憶装置と、
前記情報に基づいて前記被測定流体の前記測定流量を補正する補正部と、
を備えることを特徴とする熱式流量計。
【請求項2】
第1温度における第1流量を測定する手順と、
第2温度における第2流量を測定する手順と、
前記第1温度から前記第2温度への変化に対して、前記第1流量及び第2流量の変化から発熱体及び測温体を含む基板面の傾きの向きを特定する手順と、
補正するための情報に基づき前記第1流量または前記第2流量に対して補正演算を行い、正規の流量を出力する手順と、
を有することを特徴とする熱式流量計の傾斜誤差改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定流体の流量(流速)を測定する熱式流量計及びその傾斜誤差改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流量計としては、特許文献1に開示されているように、基板上に発熱体と当該発熱体を挟む2つの測温体とを設け、被測定流体が通過する時に、流体の流れによって発熱体上の熱が移動し、この移動した熱によって、2つの測温体に生じる温度差に基づいて質量流量を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−117157号公報
【特許文献2】特許第4027470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発熱体と測温体の位置関係が、水準方向、すなわち鉛直方向に対して垂直に並んでいるのであれば、流体の流れがない時には熱の移動がないので温度差が発生することはなく、この状態に測定される流量はゼロとなる。
【0005】
一方で、発熱体と測温体との位置関係が、鉛直方向に並んでいる場合、発熱体によって発生した熱が鉛直方向に対して反対向きに分布する(以下、「熱対流効果」と称する)。そのため、流体の流れがない場合には本来ゼロと出力しなければならないところ、熱対流効果によって2つの測温体に温度差が生じてしまい、あたかも流れがあるかのように流量が出力されてしまう。
【0006】
このため特許文献1に開示された流量計の取り付け方向は、発熱体と測温体とを配置する基板面が水準方向に沿っていないと精度よく測定できないことになり、取り付け方向の客先自由度を奪ってしまうという問題が生じていた。
【0007】
上記のような問題に鑑みて、特許文献2では、U字管の一方には自己発熱抵抗体(センサ素子)を設け、もう一方にはヒータ素子を設けることで、センサ素子側で発生した熱対流による流れを、ヒータ素子側で強制的に発生させた熱対流による流れによって、物理的に打ち消すような方法が開示されている。
しかしながら、流量計としては、特許文献1に開示された流量計の方が特許文献2に開示されたU字管タイプの流量計よりも構造が簡単であって製造が容易である。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて創案されたものであり、発熱体と測温体とを含む平面を水準方向から傾斜させて配置した場合であっても、正確な流量を測定することができる熱式流量計及びその傾斜誤差改善方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る熱式流量計は、被測定流体が流れる配管に設置される熱式流量計であって、発熱体と、前記発熱体から被測定流体に与えられた熱を検出する測温体と、前記被測定流体の流れの向きが鉛直方向成分を含んでいる場合に、前記発熱体を2つの異なる温度で発熱させた際に前記測温体でそれぞれ検出される温度に対して前記被測定流体の測定流量を補正するための情報を保存する記憶装置と、前記情報に基づいて前記被測定流体の前記測定流量を補正する補正部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る熱式流量計の傾斜誤差改善方法は、第1温度における第1流量を測定する手順と、第2温度における第2流量を測定する手順と、前記第1温度から前記第2温度への変化に対して、前記第1流量及び第2流量の変化から発熱体及び測温体を含む基板面の傾きの向きを特定する手順と、補正するための情報に基づき前記第1流量または前記第2流量に対して補正演算を行い、正規の流量を出力する手順と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る熱式流量計よれば、発熱体と測温体とを含む平面を水準方向から傾斜させて配置した場合であっても、正確な流量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る熱式流量計の斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係る熱式流量計の図1のII−II方向から見た断面図である。
図3】第1の実施の形態に係る熱式流量計の回路図である。
図4】第1の実施の形態に係る熱式流量計の設置状態の模式図である。
図5】第1の実施の形態に係る熱式流量計を鉛直方向に設置した状態の模式図である。
図6】第1の実施の形態の流量と偏差の関係を示す図である。
図7】第1の実施の形態に係る熱式流量計の傾斜誤差改善方法の手順の説明に供する図である。
図8】第2の実施の形態の流量と偏差の関係を示す図である。
図9】第2の実施の形態における各流量ポイントに対する温度ごとの流量補正値の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
〔第1の実施の形態〕
【0014】
まず、図1から図7を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る熱式流量計について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る熱式流量計の斜視図である。図2は第1の実施の形態に係る熱式流量計の図1のII−II方向から見た断面図である。図3は第1の実施の形態に係る熱式流量計の回路図である。図4は第1の実施の形態に係る熱式流量計の設置状態の模式図である。
【0015】
第1の実施の形態に係る熱式流量計100は、図1及び図2に示す素子構造のマイクロチップを用い、図3に示すように構成して実現される。図2に示すように、熱式流量計100は、キャビティCが設けられた基板B、及び基板B上にキャビティCを覆うように配置された絶縁膜Mを備える。基板Bの厚みは、例えば0.5mmであるが、例示の厚みに限定されない。また、基板Bの縦横の寸法は、例えばそれぞれ1.5mm程度であるが、例示の寸法に限定されない。絶縁膜MのキャビティCを覆う部分は、断熱性のダイアフラムをなしている。
【0016】
さらに熱式流量計100は、絶縁膜Mのダイアフラムの部分に設けられた発熱体(ヒータ素子)RHと、発熱体RHを挟むように絶縁膜Mのダイアフラムの部分に設けられた上流側の測温体(抵抗素子)R1及び下流側の測温体(抵抗素子)R2と、基板B上に設けられた周囲温度計測用の温度センサRRと、を備える。温度センサRRも電気抵抗素子等からなる。
【0017】
発熱体RHは、キャビティCを覆う絶縁膜Mのダイアフラムの部分の中心に配置されている。発熱体RHは、電力が与えられて発熱し、発熱体RHに接する雰囲気ガス等の被測定流体を加熱する。発熱体RHに隣接して設けられた上流側の測温体R1及び下流側の測温体R2は、発熱体RHが発熱していないときの当該発熱体RH近傍の局所的な温度を、参照温度として検出する。温度センサRRは、発熱体RHから上流側の測温体R1及び下流側の測温体R2より遠方に配置されている。温度センサRRは、発熱体RHと熱的に平衡な雰囲気ガスのガス温度を、平衡ガス温度として検出する。温度センサRRは、絶縁膜Mを介して発熱体RHから離間されて、熱伝導性の基板B上に設けられている。そのため、上流側の測温体R1及び下流側の測温体R2と比較して、温度センサRRは、発熱体RHの発熱から受ける影響が少ない。
【0018】
基板Bの材料としては、シリコン(Si)等が使用可能であるが、例示の材料に限定されない。絶縁膜Mの材料としては、酸化ケイ素(SiO2)等が使用可能であるが、例示の材料に限定されない。キャビティCは、異方性エッチング等により形成されるが、例示の加工方法に限定されない。また、発熱体RH、上流側の測温体R1、下流側の測温体R2、及び温度センサRRのそれぞれの材料には白金(Pt)等が使用可能であり、リソグラフィ法等により形成可能であるが、例示の材料及び作製方法に限定されない。
【0019】
図3に示すように、熱式流量計100は、測温体R1,R2のブリッジ回路を使用して被測定流体の流量を検出する流量検出回路10と、発熱体RH及び温度センサRRのブリッジ回路を使用してヒータを制御するヒータ制御回路11とを備える。なお、抵抗R3〜R6は外付け抵抗であり、これらの抵抗値は発熱体RH、温度センサRR及び測温体R1,R2のバランスからそれぞれ決める。
【0020】
流量検出回路10は、測温体R1,R2、抵抗R3,R4で形成されるブリッジ回路、及び演算増幅器(以下、「オペアンプ」という)U1で構成される。オペアンプU1の+入力端子は、直列に接続された上流側の測温体R1と下流側の測温体R2との間に電気的に接続されている。さらにオペアンプU1の+入力端子は、下流側の測温体R2を介して接地され、上流側の測温体R1を介して抵抗R3と電気的に接続されている。オペアンプU1の−入力端子は、直列に接続された抵抗R3と抵抗R4との間に電気的に接続されている。さらにオペアンプU1の−入力端子は、抵抗R4を介して接地され、抵抗R3を介して上流側の測温体R1と電気的に接続されている。オペアンプU1の出力端子は、例えば中央演算装置(CPU)等の流量演算部/補正部20と電気的に接続されている。流量演算部/補正部(以下、単に「補正部」という)20は、オペアンプU1で増幅した電圧を取り込んで、流量を演算したり補正したりする。補正部20は、被測定流体の測定流量を補正するための情報を保存する記憶装置30と電気的に接続されている。補正部20は、記憶装置30に保存された情報に基づいて被測定流体の測定流量を補正する。
【0021】
ヒータ制御回路11は、発熱体RH、周囲温度計測用の温度センサRR、及び抵抗R5,R6で形成されるブリッジ回路、並びにオペアンプU2で構成される。オペアンプU2の+入力端子は、直列に接続された発熱体RHと抵抗5との間に電気的に接続されている。さらにオペアンプU2の+入力端子は、発熱体RHを介して接地され、抵抗R5を介して抵抗R6と電気的に接続されている。オペアンプU2の−入力端子は、直列に接続された温度センサRRと抵抗R6との間に電気的に接続されている。さらにオペアンプU2の−入力端子は、温度センサRRを介して接地され、抵抗R6を介して抵抗R5と電気的に接続されている。オペアンプU2の出力端子は、抵抗R5,R6と電気的に接続されている。発熱体RHは、例えば60℃位に発熱する。
【0022】
図4に示すように、第1の実施の形態に係る熱式流量計100は、雰囲気ガス等の被測定流体が流れる配管40に設置される。本実施の形態に係る熱式流量計100は、被測定流体に発熱体RH、該発熱体RHから被測定流体に与えられた熱を検出する上流側の測温体R1及び下流側の側温体R2を臨ませて設置される。
【0023】
熱式流量計100の基本原理としては、発熱体RHによって加熱された流体が流れることにより、下流側の測温体R2によって検出される温度が、上流側の測温体R1によって検出される温度よりも高くなるため、この温度差から流速を算出するものである。
【0024】
図5は、鉛直方向上向きに被測定流体が流れるように、熱式流量計が設置されたときの図である。このとき、鉛直方向上向きに移動した熱によって、下流側の測温体(図5でいうと上側の測温体)R2の検出する温度が、上流側の測温体(図5でいうと下側の測温体)R1の検出する温度よりも高くなる。本来、被測定流体が流管の中を流れていない場合には、熱式流量計100の出力はゼロとならなければいけないところ、上記のように測温体R1,R2の検出温度に差分が発生するため、あたかも、被測定流体が流れているかのような出力を示してしまう。
【0025】
次に、このようなゼロ点(流量が流れていないときの出力)のずれを補正するための方法について、説明する。図6は、熱式流量計の基板面を図5のように鉛直方向に配置したときに、発熱体の温度を異なる2つの温度に変化させたときの、測温体R1,R2によってそれぞれ検出される温度T1,T2の差分(流量誤差Δt=T1−T2と等価)を示した関係である。
【0026】
横軸は、流管に流れる被測定流体の流量(L/min)を示しており、流量が大きくなればなるほど、熱対流の影響(縦軸の偏差)が小さくなっていることが判る。
【0027】
第1の実施の形態で使用する熱式流量計は、ある圧力、流体、製品設置方向の条件にて基板B上の発熱体RHの温度α、βでの流量補正テーブルを持つものとする(ただし、α>β)。この流量補正テーブルは、図9(a)に示すように、ある流量ポイントにおける流量補正値とする。
【0028】
また、図6には、4種類の状況で測定された差分が示されている。より具体的には、発熱体の温度をα℃として被測定流体を鉛直上向きに流したときの関係(関係1)、発熱体の温度をβ℃(ただし、α>β)として被測定流体を鉛直上向きに流したときの関係(関係2)、発熱体の温度をβ℃(ただし、α>β)として被測定流体を鉛直下向きに流したときの関係(関係3)、発熱体の温度をα℃(ただし、α>β)として被測定流体を鉛直下向きに流したときの関係(関係4)の4種類である。
【0029】
本発明では、発熱体温度を変化させれば、熱対流の影響(偏差)もこれに応じて変化することに着目し、この関係を予めテーブルなどによって熱式流量計100の記憶装置30に保持しておけば(図3から図5参照)、測定時の発熱体の温度及び流量から補正値を読み取り、熱式流量計100の出力を補正することが可能である。流量が大きくなると温度の差分が縮小する傾向にあるため、流量が低い方がより精度が高い。ただし、流量が高い方で使えないものではない。
【0030】
次に、図7を参照して、第1の実施の形態に係る熱式流量計の傾斜誤差改善方法の手順例について説明する。図7は第1実施形態に係る熱式流量計の傾斜誤差改善方法の手順の説明に供する図である。
【0031】
被測定流体の流れの向きが鉛直方向成分を含んでいる場合(図5参照)には、第1実施形態に係る熱式流量計の傾斜誤差改善方法を実施する。まず、図7に示すように、第1温度T1で上流側の測温体R1で検出される検出温度Td11と下流側の測温体R2で検出される温度Td12とを測定し、流量L1を測定する(ST1)。この第1温度T1における流量L1は、記憶装置30に保存される(図3及び図5参照)。さらに、第2温度T2で上流側の測温体R1で検出される検出温度Td21と下流側の測温体R2で検出される温度Td22とを測定し、流量L2を測定する(ST2)。この第2温度T2における流量L2は、記憶装置30に保存される(図3及び図5参照)。
【0032】
次に、補正部20は、第1温度T1から第2温度T2への変化に対して、流量L1から流量L2へ増加したのか、もしくは減少したのかで、発熱体RH及び測温体R1,R2を含む基板面の傾きの向き(流れに順方向か逆方向か)を特定する(ST3)。そして、補正部20は、記憶装置30に保存した図6に示す流量と偏差の関係テーブルから補正値(偏差ΔL)を読み取り、流量L1またはL2に対して加算又は減算する補正演算を行い正規の流量Lを出力する(ST4)。
【0033】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る熱式流量計100は、被測定流体の流れの向きが鉛直方向成分を含んでいる場合に、発熱体RHを2つの異なる温度で発熱させた際に測温体R1,R2でそれぞれ検出される温度に対して被測定流体の測定流量を補正するための情報を記憶装置30に保存し、補正部20が記憶情報に基づいて被測定流体の測定流量を補正する。したがって、本実施の形態に係る熱式流量計100によれば、発熱体RHと測温体R1,R2とを含む基板Bの平面を水準方向から傾斜させて配置した場合であっても、正確な流量を測定することができるという優れた効果を発揮する。
【0034】
〔第2の実施の形態〕
次に、図3図5及び図8を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る熱式流量計について説明する。図8は第2の実施の形態の流量と偏差の関係を示す図である。
【0035】
第2の実施の形態に係る熱式流量計は、記憶装置30に保存する流量−偏差の関係テーブルが第1の実施の形態と異なる。すなわち、図8に示すように、発熱体の温度をγ℃(ただし、α>γ>β)として被測定流体を鉛直上向きに流した場合には、流量−偏差の関係が、上述した関係1と関係2との間に位置するような関係となることが、実験により判っている。
【0036】
第2の実施の形態で使用する熱式流量計は、第1の実施の形態の熱式流量計100と同条件にて、使用する熱式流量計に載せている基板Bの発熱体RHの温度がγ℃(ただし、α>γ>β)、流量ゼロにおける温度γ℃での流量補正値は、次式のように、そのときの測定値から求めることができる。
測定値がQr0 ならば、dr0 =Qr0−0
【0037】
発熱体の温度関係がα>γ>βであるならば、dγ0 はdα0 と dβ0 の間に存在し、同様に他の流量ポイントにおける流量補正値dγn もdαn とdβn の間に存在する。これにより、図9(b)に示すように、dγ0 とdα0,dβ0 の関係から他の流量ホポイントにおける流量補正値dγn もdαn,dβn より演算で求めることができる。このように、計測した値を求めた補正流量値dγn を用いて補正することで、傾斜誤差を改善することが可能となる。
【0038】
第2の実施の形態に係る熱式流量計は、基本的に第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。特に第2の実施の形態に係る熱式流量計によれば、発熱体の温度をγ℃(ただし、α>γ>β)として被測定流体を鉛直上向きに流した場合にも、熱式流量計の出力の補正を行うことができるという有利な効果を奏する。
【0039】
〔その他の実施の形態〕
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0040】
第1及び第2の実施の形態では、記憶装置30に流量と偏差との関係テーブルを保存しているが、当該記憶装置30に流量補正値を関数式として保有してもよい。例えば、温度αにおける流量x[L/min]での流量補正値をdα(x)、温度βにおける流量x[L/min]での流量補正値をdβ(x)という流量の関数式で表せるとき、温度γにおける流量ゼロの流量補正値が分かっている場合は、流量x[L/min]での流量補正値は温度α、β、γでの流量ゼロでの補正値の関係と温度α、βでの温度補正値の関数式から求めることができる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0041】
20 流量演算部/補正部
30 記憶装置
40 配管
100 熱式流量計
RH 発熱体(ヒータ素子)
R1,R2 測温体(抵抗素子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9