(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-217981(P2016-217981A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】リークテスター及び手袋の検査方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/04 20060101AFI20161125BHJP
A41D 19/015 20060101ALI20161125BHJP
A41D 19/04 20060101ALI20161125BHJP
G01M 3/26 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
G01M3/04 K
A41D19/015 610Z
A41D19/04
G01M3/26 M
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-105623(P2015-105623)
(22)【出願日】2015年5月25日
(11)【特許番号】特許第5981608号(P5981608)
(45)【特許公報発行日】2016年8月31日
(71)【出願人】
【識別番号】313015524
【氏名又は名称】株式会社佐藤商会
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 重忠
【テーマコード(参考)】
2G067
3B033
【Fターム(参考)】
2G067AA47
2G067BB02
2G067BB04
2G067BB25
2G067BB34
2G067CC01
2G067DD02
3B033AA09
3B033AA15
3B033AB20
3B033AC01
3B033AC03
(57)【要約】
【課題】単に手袋を取り付け取り外しすることができ、簡単にピンホールの検査をすることができるリークテスター及び手袋の検査方法を提供する。
【解決手段】手袋20の挿入口21を閉鎖する閉鎖部材11を備えている。閉鎖部材11の外周部には手袋20の取付部11Cが設けられている。取付部11Cの外周面には、内部に流体の流路を有し、表面の少なくとも一部が伸縮性を有する材料により構成された伸縮部15が形成されている。流路に流体を注入することにより、伸縮部15を膨張させ、取付部11Cに取り付けた手袋20を仕切部材30の開口31に密着させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切部材により仕切られた空間内において、仕切部材に設けられた開口から手袋をつけた手を挿入して作業する際に、前記手袋にピンホールが有るか否かを検査するリークテスターであって、
前記手袋の挿入口を取り付ける取付部を有し、前記手袋の挿入口を閉鎖する閉鎖手段と、
前記手袋の中に気体を注入する第1の注入手段と、
前記取付部の外周面に設けられ、内部に流体の流路を有し、表面の少なくとも一部が伸縮性を有する材料により構成された伸縮部と、
この伸縮部の流路に流体を注入する第2の注入手段とを備え、
前記伸縮部は、流体の注入により外側に膨張し、前記仕切部材に対して前記手袋を密着させることが可能である
ことを特徴とするリークテスター。
【請求項2】
前記第1の注入手段は、ペダルを踏むことにより、前記手袋の中に気体を注入することができるように構成され、
前記第2の注入手段は、ペダルを踏むことにより、前記伸縮部の流路に流体を注入することができるように構成された
ことを特徴とする請求項1記載のリークテスター。
【請求項3】
仕切部材により仕切られた空間内において、仕切部材に設けられた開口から手袋をつけた手を挿入して作業する際に、前記手袋にピンホールが有るか否かを検査する手袋の検査方法であって、
請求項1又は請求項2に記載のリークテスターを用い、前記リークテスターの取付部に前記手袋の挿入口を取り付けて前記仕切部材の開口に前記手袋を挿入し、前記伸縮部の流路に流体を注入して前記伸縮部を外側に膨張させ、前記手袋を前記仕切部材に対して密着させたのち、前記手袋の中に気体を注入することにより、ピンホールの有無を判断することを特徴とする手袋の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋のピンホールを検査するリークテスター及び手袋の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬品などの不純物の混入が問題となる製品の製造において、手作業が必要となる場合には、例えば、仕切部材により仕切られた空間内で、仕切部材に設けられた開口から手袋をつけた手を挿入して作業が行われている。その際、手袋にピンホールが有ると、製品に不純物が混入してしまうので、使用する前に、ピンホールが有るか否かの検査が行われる。手袋の検査は、例えば、手袋を取り付ける取付部リングが設けられた閉鎖部により手袋の挿入口を閉鎖し、取付部リングに取り付けた手袋の上にOリングを嵌め、手袋を仕切部材の開口に挿入して密閉したのち、手袋の中に空気を注入し、手袋の中の圧力が低下するか否かを確認することにより行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−151635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この方法では、取付部リングに取り付けた手袋の上にOリングを嵌めなければならず、手袋の取り付け作業が面倒で時間がかかるという問題があった。特に、この取り付け作業は、不純物の混入を防ぐために手袋をして行うのでより困難であり、作業には30分以上も時間がかかっていた。更に、検査が終わった後は、手袋を仕切部材の開口から取り出さずに、取付部リングから取り外す必要があるが、Oリングがあるために、この取り外し作業も大変であるという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、簡単に手袋を取り付け取り外しすることができ、簡単にピンホールの検査をすることができるリークテスター及び手袋の検査方法を提供することを目的とする。
【0006】
なお、特許文献1には、手袋の中に気体を封入して膨らませ、その漏洩を検出してピンホールの有無を検知する方法において、その製品の被検査面に対向する位置に超音波検出器を設け、漏洩気流の有無をする検査方法が記載されている。しかし、本願発明とは、具体的な構成及び検査方法が異なっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリークテスターは、仕切部材により仕切られた空間内において、仕切部材に設けられた開口から手袋をつけた手を挿入して作業する際に、手袋にピンホールが有るか否かを検査するものであって、手袋の挿入口を取り付ける取付部を有し、手袋の挿入口を閉鎖する閉鎖手段と、手袋の中に気体を注入する第1の注入手段と、取付部の外周面に設けられ、内部に流体の流路を有し、表面の少なくとも一部が伸縮性を有する材料により構成された伸縮部と、この伸縮部の流路に流体を注入する第2の注入手段とを備え、伸縮部は、流体の注入により外側に膨張し、仕切部材に対して手袋を密着させることが可能なものである。
【0008】
本発明の手袋の検査方法は、仕切部材により仕切られた空間内において、仕切部材に設けられた開口から手袋をつけた手を挿入して作業する際に、手袋にピンホールが有るか否かを検査するものであって、本発明のリークテスターを用い、リークテスターの取付部に手袋の挿入口を取り付けて仕切部材の開口に手袋を挿入し、伸縮部の流路に流体を注入して伸縮部を外側に膨張させ、手袋を仕切部材に対して密着させたのち、手袋の中に気体を注入することにより、ピンホールの有無を判断するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取付部の外周面に伸縮部を設け、伸縮部の流路に流体を注入することにより膨張させ、手袋を仕切部材に対して密着させることができるようにしたので、Oリングを嵌める必要がなく、手袋を簡単に取り付けることができる。また、取り外す際には、伸縮部の流路から流体を排出して収縮させることにより、手袋を仕切り部材の開口から取り出さずに、リークテスターのみを簡単に取り外すことができる。よって、簡単に手袋を取り付け取り外しすることができ、簡単にピンホールの検査をすることができる。
【0010】
また、第1の注入手段を、足でペダルを踏むことにより、手袋の中に気体を注入することができるように構成し、第2の注入手段を、足でペダルを踏むことにより、流路の中に流体を注入することができるように構成すれば、閉鎖手段を手で支えたまま、足でペダルを踏むことにより作業を行うことができる。よって、簡便に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るリークテスターの構成を表す図である。
【
図2】
図1に示したリークテスターのII−II線に沿った端面図である。
【
図3】
図1に示したリークテスターのIII−III線に沿った端面図である。
【
図4】
図1に示したリークテスターの使用状態を表す図である。
【
図5】
図1に示したリークテスターの使用状態を表す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係るリークテスター10の構成を表すものである。
図2は、
図1に示したII−II線に沿った端面構造を表すものであり、
図3は、
図1に示したいIII−III線に沿った端面構造を表すものである。
図4は、
図1に示したリークテスター10に手袋20を取り付けた状態を表すものであり、
図5は、リークテスター10に取り付けた手袋20を仕切部材30の開口31に挿入した状態を表すものである。
【0014】
このリークテスター10は、仕切部材30により仕切られた空間内において、仕切部材30に設けられた開口31から手袋20をつけた手を挿入して作業する際に、手袋20にピンホールが有るか否かを検査するものである。検査する手袋20は、例えば、合成樹脂製又はゴム製のものである。このリークテスター10は、例えば、検査対象の手袋20を取り付けて用いるものであり、手袋20の挿入口21を閉鎖する閉鎖手段である閉鎖部材11を備えている。閉鎖部材11は、例えば、プラスチックにより構成されており、手袋20の挿入口21を閉鎖する円盤状の蓋部11Aを有している。
【0015】
蓋部11Aの厚み方向における一方の外周部、具体的には、手袋20を挿入する側と反対側の外周部には、例えば、蓋部11Aを径方向に拡大させるように突出させた鍔部11Bが形成されている。鍔部11Bよりも蓋部11Aの厚み方向における他方側の外周部は、例えば、手袋20の挿入口21を取り付ける取付部11Cとなっている。取付部11Cの径は、仕切部材30の開口31の径よりも小さく形成されており、鍔部11Bの径は、仕切り部材30の開口31の径よりも大きく形成されている。これにより、取付部11Cを仕切部材30の開口31に挿入した時に、鍔部11Cが仕切部材30の外側面に接触し、取付部11Cを開口31の内壁に対向する位置に挿入することができるようになっている。
【0016】
蓋部11Aには、例えば、蓋部11Aを厚み方向に貫通するように貫通孔11Dが設けられている。貫通孔11Dには、例えば、ビニール管などの配管12Aを介して、手袋20の中に気体を注入する第1の注入手段12が配設されている。第1の注入手段12は、例えば、足でペダルを踏むことにより、貫通孔11Dに気体を送り、手袋20の中に気体を注入することができるように構成されている。手袋20の中に注入する気体としては、例えば、空気が用いられる。配管12Aには、また、手袋20の中に注入した気体を排出する第1の排出手段13が配設されている。蓋部11Aには、また、例えば、取付部11Cに取り付けた手袋20の中の圧力を測定する圧力計などの圧力測定手段14が配設されている。
【0017】
取付部11Cの外周面には、内部に流体の流路15Aを有する伸縮部15が設けられている。伸縮部15は、例えば、表面の少なくとも一部が伸縮性を有する材料により構成されており、流路15Aに流体が注入されることにより、表面が外側に膨張し、仕切部材30の開口31に対して手袋20を密着させることができるようになっている。伸縮部15は、例えば、取付部11Cの円周方向に沿って形成された2条の突条部15Bを有し、この2条の突条部15Bの間に流路15Aが形成されている。流路15Aの上には、例えば、伸縮性を有する材料よりなる被覆部材15Cが、2条の突条部15Bに架け渡されて流路15Aを覆うように配設されている。被覆部材15Cは、例えば、シリコーンゴムにより構成されている。
【0018】
流路15Aには、例えば、蓋部11Aに形成された連通孔11Eが連通されている。連通孔11Eには、例えば、ビニール管などの配管16Aを介して、流路15Aの中に流体を注入する第2の注入手段16が配設されている。第2の注入手段16は、例えば、足でペダルを踏むことにより、連通孔11Eに流体を送り、流路15Aの中に流体を注入することができるように構成されている。流路15Aの中に注入する流体としては、例えば、空気が用いられる。配管16Aには、また、流路15Aから流体を排出する排出手段17が配設されている。
【0019】
また、閉鎖部材11には、例えば、厚み方向における一方の表面に、一対の取っ手18が設けられている。
【0020】
このリークテスター10を用い、次のようにして、手袋20にピンホールが有るか否かを検査する。まず、例えば、
図4に示したように、リークテスター10の取付部11Cに手袋20の挿入口21を取り付ける。次いで、例えば、
図5に示したように、リークテスター10の取っ手18を両手で持ち、リークテスター10に取り付けた手袋20を仕切部材30の開口31に挿入する。その際、リークテスター10の鍔部11Bを仕切部材30の外側面に当接させ、伸縮部15を開口31の内壁に対向させる。続いて、例えば、第2の注入手段16のペダルを足で踏むことにより、伸縮部15の流路15Aに流体を注入し、伸縮部15の被覆部材15Cを外側に膨張させ、伸縮部15の外側に位置する手袋20を開口31に対して密着させる。
【0021】
そののち、例えば、第1の注入手段12のペダルを足で踏むことにより、手袋20の中に気体を注入し、手袋20の中の圧力を大気圧よりも大きい所定の圧力とする。次いで、例えば、所定の時間放置し、圧力測定手段14により手袋20の中の圧力を観察する。その結果、圧力の低下がみられた場合には、ピンホール有り、圧力の低下がみられなかった場合には、ピンホール無しと判断する。ピンホール有りの場合には、例えば、第1の排出手段13により手袋20の中の気体を排出すると共に、第2の排出手段17により伸縮部15の流路15Aから流体を排出して伸縮部15を収縮させ、手袋20を取付部11Cに取り付けたまま開口31から取り出す。ピンホール無しの場合には、例えば、第1の排出手段13により手袋20の中の気体を排出すると共に、第2の排出手段17により伸縮部15の流路15Aから流体を排出して伸縮部15を収縮させ、手袋20を取付部11Cから取り外し、手袋20を開口31から取り出さずに、リークテスター10を取り除く。
【0022】
このように、本実施の形態によれば、取付部11Cの外周面に伸縮部15を設け、伸縮部15の流路15Aに流体を注入することにより膨張させ、手袋20を仕切部材30に対して密着させることができるようにしたので、Oリングを嵌める必要がなく、手袋20を簡単に取り付けることができる。また、取り外す際には、伸縮部15の流路15Aから流体を排出して収縮させることにより、手袋20を仕切り部材30の開口31から取り出さずに、リークテスター10のみを簡単に取り外すことができる。よって、簡単に手袋20を取り付け取り外しすることができ、簡単にピンホールの検査をすることができる。
【0023】
また、第1の注入手段12を、足でペダルを踏むことにより、手袋20の中に気体を注入することができるように構成し、第2の注入手段16を、足でペダルを踏むことにより、流路15Aの中に流体を注入することができるように構成すれば、閉鎖部材11を手で支えたまま、足でペダルを踏むことにより作業を行うことができる。よって、簡便に作業を行うことができる。
【0024】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
手袋にピンホールが有るか否かを検査する際に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
10…リークテスター、11…閉鎖部材(閉鎖手段)、11A…蓋部、11B…鍔部、11C…取付部、11D…貫通孔、11E…連通孔、12…第1の注入手段、12A…配管、13…第1の排出手段、14…圧力測定手段、15…伸縮部、15A…流路、15B…突条部、15C…被覆部材、16…第2の注入手段、16A…配管、17…第2の排出手段、18…取っ手、20…手袋、21…挿入口、30…仕切部材、31…開口、
【手続補正書】
【提出日】2016年5月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切部材により仕切られた空間内において、仕切部材に設けられた開口から手袋をつけた手を挿入して作業する際に、前記手袋にピンホールが有るか否かを検査するリークテスターであって、
前記手袋の挿入口を取り付ける取付部を有し、前記手袋の挿入口を閉鎖する閉鎖手段と、
前記手袋の中に気体を注入する第1の注入手段と、
前記取付部の外周面に設けられ、内部に流体の流路を有し、表面の少なくとも一部が伸縮性を有する材料により構成された伸縮部と、
この伸縮部の流路に流体を注入する第2の注入手段とを備え、
前記伸縮部は、前記取付部の円周方向に沿って形成された2条の突条部を有し、この2条の突条部の間に前記流路が形成され、この流路及び前記2条の突条部を覆うように伸縮性を有する材料よりなる被覆部材が前記2条の突条部の一方の外側から他方の外側に架け渡されて配設されており、前記流路に流体が注入されることにより前記被覆部材が外側に膨張し、前記仕切部材に対して前記手袋を密着させることが可能である
ことを特徴とするリークテスター。
【請求項2】
前記第1の注入手段は、ペダルを踏むことにより、前記手袋の中に気体を注入することができるように構成され、
前記第2の注入手段は、ペダルを踏むことにより、前記伸縮部の流路に流体を注入することができるように構成された
ことを特徴とする請求項1記載のリークテスター。
【請求項3】
仕切部材により仕切られた空間内において、仕切部材に設けられた開口から手袋をつけた手を挿入して作業する際に、前記手袋にピンホールが有るか否かを検査する手袋の検査方法であって、
請求項1又は請求項2に記載のリークテスターを用い、前記リークテスターの取付部に前記手袋の挿入口を取り付けて前記仕切部材の開口に前記手袋を挿入し、前記伸縮部の流路に流体を注入して前記伸縮部を外側に膨張させ、前記手袋を前記仕切部材に対して密着させたのち、前記手袋の中に気体を注入することにより、ピンホールの有無を判断することを特徴とする手袋の検査方法。