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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-218028(P2016-218028A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】移動物体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 1/02 20060101AFI20161125BHJP
   G01P 3/488 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   G01P1/02
   G01P3/488 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-106813(P2015-106813)
(22)【出願日】2015年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】須山 佑貴
(72)【発明者】
【氏名】安藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】田中 将幹
(57)【要約】
【課題】嵌合強度を高めることができると共にウェルドライン対策を講じることで、金属製カバーを樹脂製カバーに変更することができる移動物体検出装置を提供する。
【解決手段】図(b)に示すように、4個の突起部27〜30を4個の孔部46〜49に嵌めることで、カバー40をケース20に取付ける。4箇所で嵌合するため、2箇所で嵌合するよりは、嵌合強度が高くなる。カバー40において、第1孔部46と第3孔部48との間にゲート位置を設定することで、第2孔部47と第4孔部49との間にウェルドラインができるようにする。第2孔部47と第4孔部49との間では、カバー40の変形は小さいため、亀裂の発生を抑えることができる。カバー40において、第1〜第4孔部46〜49を互いに平行になるようにしたので、樹脂射出成形後の型開きが容易になり、カバー40の樹脂化が促進される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気検出素子と、この磁気検出素子に磁界を加える磁石と、前記磁気検出素子と電気的に接続される基板と、前記磁石と前記基板とを配設し前記基板と電気的に接続するリード端子とを備えるケースと、前記磁気検出素子と前記磁石と前記基板とを覆うカバーとを備え、前記カバーに複数個の孔部を設け、前記ケースに複数個の突起部を設け、前記孔部に前記突起部を嵌合することで前記ケースに前記カバーを取付けてなる移動物体検出装置において、
前記孔部は第1〜第4孔部からなり、前記突起部は第1〜第4突起部からなり、
前記カバーの中心に対して、前記第1孔部と前記第2孔部は点対称となるように配置され、前記第3孔部と前記第4孔部は点対称となるように配置され、
前記第1〜第4孔部の中心線は、互いに平行となるようにされ、
前記第1孔部と前記第3孔部との間に、射出成形用のゲートが設定され、
前記第2孔部と前記第4孔部との間に、前記ケースに接触する当接部が設けられていることを特徴とする移動物体検出装置。
【請求項2】
前記第1突起部は、前記第1孔部の中心線と平行な第1外辺と、この第1外辺よりも前記第3孔部に近い部位に設けられる第1内辺と、この第1内辺の先端と前記第1外辺の先端とを結ぶ第1曲線部とからなり、
前記第3突起部は、前記第3孔部の中心線と平行な第3外辺と、この第3外辺よりも前記第1孔部に近い部位に設けられる第3内辺と、この第3内辺の先端と前記第3外辺の先端とを結ぶ第3曲線部とからなり、
前記第1外辺が前記第1孔部に掛かり、前記第3外辺が前記第3孔部に掛かるように、前記第1突起部と前記第1孔部が位置決めされ、前記第3突起部と前記第3孔部が位置決めされ、
前記第2突起部は、前記第2孔部の中心線と平行な第2外辺と、この第2外辺よりも前記第4孔部に近い部位に設けられる第2内辺と、この第2内辺の先端と前記第2外辺の先端とを結ぶ第2曲線部とからなり、
前記第4突起部は、前記第4孔部の中心線と平行な第4外辺と、この第4外辺よりも前記第2孔部に近い部位に設けられる第4内辺と、この第4内辺の先端と前記第4外辺の先端とを結ぶ第4曲線部とからなり、
前記第2外辺が前記第2孔部に掛かり、前記第4外辺が前記第4孔部に掛かるように、前記第2突起部と前記第2孔部が位置決めされ、前記第4突起部と前記第4孔部が位置決めされていることを特徴とする請求項1記載の移動物体検出装置。
【請求項3】
前記当接部は、前記カバーに設けられ前記カバーの挿入方向に延びる直線溝と、前記ケースに設けられ前記直線溝に嵌る凸条部とからなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の移動物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式の移動物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動物体の移動速度を、移動物体に触れることなく検出する装置が、例えば、特許文献1で提案されている。
特許文献1記載の移動物体検出装置は、磁気検出素子と、この磁気検出素子に磁界を加える磁石と、磁気検出素子と電気的に接続される基板と、磁石と基板とを配設し基板と電気的に接続するリード端子とを備えるケースと、磁気検出素子と磁石と基板とを覆うカバーとを備えるものである。
【0003】
カバーは金属からなる(特許文献1、段落0021)。この金属からなるカバーに180°ピッチで2個の孔部が設けられている。ケースに180°ピッチで2個の突起部が設けられている。孔部に突起部が嵌ることで、カバーはケースに取付けられる。カバーが金属であるため、嵌合強度は十分に高められる。
【0004】
軽量化などの要求から、カバーを金属から樹脂に変更することが求められる。
樹脂は金属よりも強度の点で劣るため、特に、嵌合強度の低下を防ぐ必要がある。
また、樹脂製カバーは、量産を考慮すると、射出成形法で製造される。しかし、射出成形法では不可避的にウェルドラインが発生する。ウェルドラインは、他の部位より強度が低く割れやすいため、対策が求められる。
【0005】
カバーを金属から樹脂に変えるに当たり、嵌合強度を高めることができると共にウェルドライン対策が講じられている移動物体検出装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−7670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、嵌合強度を高めることができると共にウェルドライン対策を講じることで、金属製カバーを樹脂製カバーに変更することができる移動物体検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、磁気検出素子と、この磁気検出素子に磁界を加える磁石と、前記磁気検出素子と電気的に接続される基板と、前記磁石と前記基板とを配設し前記基板と電気的に接続するリード端子とを備えるケースと、前記磁気検出素子と前記磁石と前記基板とを覆うカバーとを備え、前記カバーに複数個の孔部を設け、前記ケースに複数個の突起部を設け、前記孔部に前記突起部を嵌合することで前記ケースに前記カバーを取付けてなる移動物体検出装置において、
前記孔部は第1〜第4孔部からなり、前記突起部は第1〜第4突起部からなり、
前記カバーの中心に対して、前記第1孔部と前記第2孔部は点対称となるように配置され、前記第3孔部と前記第4孔部は点対称となるように配置され、
前記第1〜第4孔部の中心線は、互いに平行となるようにされ、
前記第1孔部と前記第3孔部との間に、射出成形用のゲートが設定され、
前記第2孔部と前記第4孔部との間に、前記ケースに接触する当接部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明では、第1突起部は、第1孔部の中心線と平行な第1外辺と、この第1外辺よりも第3孔部に近い部位に設けられる第1内辺と、この第1内辺の先端と第1外辺の先端とを結ぶ第1曲線部とからなり、
第3突起部は、第3孔部の中心線と平行な第3外辺と、この第3外辺よりも第1孔部に近い部位に設けられる第3内辺と、この第3内辺の先端と第3外辺の先端とを結ぶ第3曲線部とからなり、
第1外辺が第1孔部に掛かり、第3外辺が第3孔部に掛かるように、第1突起部と第1孔部が位置決めされ、第3突起部と第3孔部が位置決めされ、
第2突起部は、第2孔部の中心線と平行な第2外辺と、この第2外辺よりも第4孔部に近い部位に設けられる第2内辺と、この第2内辺の先端と第2外辺の先端とを結ぶ第2曲線部とからなり、
第4突起部は、第4孔部の中心線と平行な第4外辺と、この第4外辺よりも第2孔部に近い部位に設けられる第4内辺と、この第4内辺の先端と第4外辺の先端とを結ぶ第4曲線部とからなり、
第2外辺が第2孔部に掛かり、第4外辺が第4孔部に掛かるように、第2突起部と第2孔部が位置決めされ、第4突起部と第4孔部が位置決めされていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明では、当接部は、カバーに設けられカバーの挿入方向に延びる直線溝と、ケースに設けられ直線溝に嵌る凸条部とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、孔部が4個で、突起部が4個からなる。係合箇所が4箇所になったため、嵌合強度を高めることができる。
また、第1〜第4孔部の中心線は、互いに平行である。互いに平行である第1〜第4孔部の中心線に沿って成形用金型を開くことができるため、孔部が4個であるにも拘わらず、樹脂成形が可能となる。
【0012】
さらには、第1孔部と第3孔部との間に、射出成形用のゲートが設定されているため、ウェルドラインは第2孔部と第4孔部との間に出現する。
ケースにカバーを挿入すると、第1〜第4孔部へ第1〜第4突起部が嵌る前の時点で、円形状のカバーは、第1〜第4突起部で四角形状に変形されそうになる。ここで、第2孔部と第4孔部との間に、ケースに接触する当接部が設けられているため、第2孔部と第4孔部との間は第2当接部で変形が抑制され円弧が保たれる。この変形が抑制される部位にウェルドラインが存在する。ウェルドラインが存在しても変形が小さいため、亀裂が発生する心配はない。
【0013】
よって、請求項1によれば、嵌合強度を高めることができると共にウェルドライン対策を講じることで、金属製カバーを樹脂製カバーに変更することができる移動物体検出装置が提供される。
【0014】
請求項2では、第1孔部に第1突起部の第1外辺が当たり、第3孔部に第3突起部の第3外辺が当たるようにした。第1・第3突起部は隣り合っており、第1・第3突起部は第1・第3孔部の外縁部に当たる。同様に、第2・第4突起部は隣り合っており、第2・第4突起部は第2・第4孔部の外縁部に当たる。
第1〜第4孔部には外縁部にだけ、力が加わるため、第1〜第4孔部に加わる外力は限定され、第1〜第4孔部における応力を緩和することができる。
【0015】
また、第1突起部は、第1孔部の外縁部に当たり、第1孔部内で遊ぶ心配はない。第2〜第4突起部も同様である。結果、ケースに対してカバーが、ガタつき心配はない。
【0016】
請求項3に係る発明では、当接部は、カバーに設けられカバーの挿入方向に延びる直線溝と、ケースに設けられ直線溝に嵌る凸条部とからなる。
ケース側の第1・第2凸条部が案内作用及び回転止め作用を発揮するため、カバーは回転することなく、所定に位置に取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る移動物体検出装置の外形図である。
図2図1の2−2線断面図であり、移動物体検出装置の縦断面図ある。
図3】移動物体検出装置の要部の分解図である。
図4図3の4−4線断面図であり、カバーの断面図である。
図5】カバー成形用金型の原理図である。
図6図3の6−6線断面図であり、ケースの断面図である。
図7】ケースの外形線図である。
図8図7の8部拡大図であり、第1突起部の詳細図である。
図9】ケースへのカバーの取付手順を説明する図である。
図10】取付け後のケースとカバーの取り合いを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0019】
図1に示すように、移動物体検出装置10は、スティ21を一体的に有しているケース20と、このケース20に取付けられるカバー40とを備える。
【0020】
図2に示すように、移動物体検出装置10は、磁気検出素子11と、この磁気検出素子11に磁界を加える磁石12と、磁気検出素子11と電気的に接続された基板13と、磁石12及び基板13を配設し基板13と電気的に接続するリード端子14を備えたケース20と、磁気検出素子11と磁石12と基板13とを覆うカバー40とを備えている。
【0021】
磁気検出素子11は、ホールICなどからなり、カバー40に接するように配置され、被検出体である移動物体の移動を検出する。磁気検出素子11は、被検出体の移動に伴なう磁力の変化を電気信号に変換して、リード端子14を介して外部に出力する。
磁石12は、立方体形状の永久磁石からなり、基板13を貫通し、ケース20に接着剤にて固定される。
【0022】
基板13は、ガラスエポキシ樹脂などの硬質の絶縁材に、銅などの導電材料からなる配線パターンを設けたものである。この基板13は、磁気検出素子11及びリード端子14と電気的に接続している。
リード端子14は、3本のリードフレーム(図1、符号15)からなり、ケース20に主要部が内蔵されている。リード端子14の一端部14aは、ケース20に設けたコネクタ部22から露出している。また、リード端子14の他端部14bは、半田によって基板13と電気的に接続されている。コネクタ部22は、磁気検出素子11からの出力を外部機器へ接続伝達する役割を果たす。
【0023】
ケース20は、円柱形状を呈する樹脂成形品であり、一端にコネクタ部22を有すると共に他端に磁石12、基板13及び磁気検出素子11を収納する容器である。
【0024】
図3に示すように、円柱形状を呈するケース20は、外周に第1周溝部23と、この第1周溝部23より小径の第2周溝部24を有している。この第2周溝部24は、第1周溝部23より先端側に設けられる。
第1周溝部23には第1Oリング25が取付けられ、第2周溝部24には第1Oリング25より小径の第2Oリング26が取付けられる。カバー40は、この第2Oリング26を潰すようにしてケース20に取付けられる。
【0025】
カバー40は、樹脂材料からなり、円板状の底部41と、この底部41の縁から延びる周壁部42とを備えるカップ若しくはキャップである。周壁部42は、内径側がくり抜かれた薄肉部43を先端側に備える。薄肉部43に、第2孔部47や第4孔部49等が設けられている。
好ましくは、薄肉部43の先端に、外へ開くテーパー面44を設ける。
【0026】
図4に示すように、カバー40の薄肉部43に、第1〜第4孔部46〜49が設けられると共に内周面に図面表裏方向へ延びる第1直線溝51と第2直線溝52が設けられている。
第1〜第4孔部46〜49は、カバー40の中心53に対して、左上に第1孔部46が設けられ、右上に第4孔部49が設けられ、左下に第3孔部48が設けられ、右下に第2孔部47が設けられている。
詳細には、カバー40の中心53に対して、第1孔部46と第2孔部47は点対称となるように配置され、第3孔部48と第4孔部49は点対称となるように配置される。
【0027】
次に、第1〜第4孔部46〜49の方向を説明する。
第1孔部46の中心線54に対して、第2〜第4孔部の中心線55〜57は、平行とされる。第1〜第4孔部46〜49の外縁部46a〜49aは互いに平行になる。なお、中心線54と中心線57は同軸とすることが好ましいが、非同軸であってもよい。同様に、中心線55と中心線56は同軸とすることが好ましいが、非同軸であってもよい。
好ましくは、第1直線溝51と第2直線溝52を通る線58に、中心線54〜57が平行になるようにする。
【0028】
このような構造のカバー40は、樹脂射出成形法で製造することができる。
すなわち、図5に示すように、中心型61と、この中心型61を囲う第1側型62及び第2側型63からなる金型60を準備する。
【0029】
第1側型62には第1孔部46を形成するための第1角柱部64と第3孔部48を形成するための第3角柱部66とが設けられ、第1・第3角柱部64、66の先端が中心型61に嵌められる。
第2側型63には第2孔部47を形成するための第2角柱部65と第4孔部49を形成するための第4角柱部67とが設けられ、第2・第4角柱部65、67の先端が中心型61に嵌められる。
【0030】
加えて、第1側型62には、第1角柱部64と第3角柱部66との中間位置に、スプル68及びゲート69が設けられる。スプル68に射出機71のノズル72を当て、射出機71から可塑化し計量した溶融樹脂材料をキャビティ73へ射出する。
樹脂材料が凝固したら、第1側型62を左に、第2側型63を右に開く。次に、成形品を図面表裏方向へ移動して中心型61から外す。
【0031】
図5で述べたように、図4に示すカバー40は、4個もの孔部46〜49を備えているにも拘わらず、射出成形で容易に製造することができ、樹脂化が達成できた。
【0032】
次に、ケース20について、説明する。
図6に示すように、ケース20は外周において、図左上に第1突起部27を有し、図右下に第2突起部28を有し、図左下に第3突起部29を有し、図右上に第4突起部30を有している。加えて、第1突起部27と第3突起部29との間、好ましくは中間に、第1凸条部31を備え、第2突起部28と第4突起部30との間に、第2凸条部32を備えている。
図から明らかなように、アンダーとなる部位が無いため、ケース20も容易に射出成形法で製造できる。
【0033】
図7に示すように、仮想線で示す基準円33から、第1〜第4突起部27〜30及び第1・第2凸条部31、32が突出している。なお、仮想線で示す基準円33は、円筒状のカバー40の内周円にほぼ相当する。
【0034】
第1突起部27の幅中心を通る第1放射線34Aと、第3突起部29の幅中心を通る第3放射線34Cとがなす第1中心角θ1は、約74°に設定する。
第2突起部28の幅中心を通る第2放射線34Bと、第4突起部30の幅中心を通る第4放射線34Dとがなす第2中心角θ2は、第1中心角θ1と別であってもよいが、この例では同じ約74°に設定した。
【0035】
θ1,θ2が共に90°未満であるため、第1放射線34Aと第3放射線34Cで区分される第1弧部35の弧長は、第1放射線34Aと第4放射線34Dで区分される第2弧部36の弧長より、短い。
基準円33が拡径するような力が、基準円33に加わると仮定すると、第1弧部35に比較して支点間距離が長い第2弧部36が大きく変形することが想定される。
【0036】
図8に示すように、第1突起部27は、想像線で示す第1孔部46の中心線54に平行に延びる第1外辺27aと、この第1外辺27aより第3突起部29に近い部位に設けられる第1内辺27bと、これらの第1外辺27aと第1内辺27bの先端同士を結ぶ第1曲線部27cとからなる。
【0037】
そして、第1外辺27aと第1曲線部27cとが交差する角部27dを構成する半径R1は、小さく設定し、第1曲線部27cと第1内辺27bとが交差する角部27eを構成する半径R2は、R1より大きく設定する。すると、第1外辺27aは第1孔部46の外縁部46aに大きく掛かる。一方、第1内辺27bは第1孔部46の内縁部46bに掛からないか、掛かったとしても掛かりは小さい。
【0038】
図7に示す第2〜第4突起部28〜30についても同様であって、第2〜第4外辺28a〜30a、第2〜第4内辺28b〜30b及び第2〜第4曲線部28c〜30cが提起される。
すなわち、第1外辺27aと第3外辺29aは互い遠い部位に設けられ、同様に、第2外辺28aと第4外辺30aは互い遠い部位に設けられている。
【0039】
図9(a)に示すように、ケース20に、カバー40を近づける。このとき、図6に示す第1・第2凸条部31、32に、図4に示す第1・第2直線溝51、52を各々合わせるように、カバー40の方位を調整する。
図9(b)に示すように、カバー40側のテーパー面44を第1突起部27と第2突起部28に合わせる。そして、カバー40を強く嵌合方向へ付勢する。
【0040】
すると、図9(c)に示すように、薄肉部43が第1突起部27と第2突起部28に乗り上がる。
図9(d)にて、円筒状の薄肉部43は、第1〜第4突起部27〜30で強制的に広げられるが、樹脂製の薄肉部43は殆ど延びない。すると、円筒状の薄肉部43は、第1〜第4突起部27〜30を頂点とした角筒状に変形しようとする。
【0041】
図5で説明したゲート69が第1突起部27と第3突起部29との間に位置するため、図9(d)に示すように、ウェルドライン74は、第2突起部28と第4突起部30との間に出現する。
第2突起部28と第4突起部30との間に、直線溝としての第2直線溝52と、凸状部としての第2凸条部32からなる当接部76が設けられているため、第2突起部28と第4突起部30の間では、薄肉部43は殆ど変形しない。
【0042】
一方、第1突起部27と第4突起部30の間は、第1当接部75に相当する機構が無いため、薄肉部43はδ1だけ、変形する。加えて、図7で説明したように、第2弧部36が長いため、変形量δ1が大きくなる。
そのため、第1突起部27と第4突起部30の間にて薄肉部43にウェルドラインがあれば、割れが起こる心配がある。しかし、第1突起部27と第4突起部30の間にはウェルドラインが無い。
【0043】
同様に、第2突起部28と第3突起部29の間は、第2当接部76に相当する機構が無いため、薄肉部43はδ2だけ、変形する。このδ2は大きい。
そのため、第2突起部28と第3突起部29の間にて薄肉部43にウェルドラインがあれば、割れが起こる心配がある。しかし、上述したように第2突起部28と第3突起部29の間にはウェルドラインが無い。
【0044】
本発明は、変形の大きな部位にウェルドラインを出現させず、変形のない部位にウェルドラインを出現させることで、ウェルドラインに起因する亀裂の発生を防止するようにした。
図9(c)から、薄肉部43を更に前進させる。すると、第1突起部27に第1孔部46が合致し、第2突起部28に第2孔部47が合致する。
【0045】
図10(a)に示すように、第1突起部27に第1孔部46が嵌り、第2突起部28に第2孔部47が嵌り、ケース20へのカバー40の取付けが完了する。
【0046】
図10(b)に示すように、第1孔部46の外縁部46aに第1外辺27aが掛かり、第3孔部48の外縁部48aに第3外辺29aが掛かっている。同様に、第2孔部47の外縁部47aに第2外辺28aが掛かり、第4孔部49の外縁部49aに第4外辺30aが掛かっている。
第1〜第4孔部46〜49に対して、第1〜第4突起部27〜30は、遊びが無い状態にあるため、ケース20に対してカバー40が、ガタつく心配はない。
【0047】
尚、図9(d)に基づいて説明した当接部76は、凸状部32と直線溝52で構成したが、当接部76は、単に当接するケース20側の面と、カバー40側の面であってもよく、形態は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、移動物体の移動速度を検出する移動物体検出装置に好適である。
【符号の説明】
【0049】
10…移動物体検出装置、11…磁気検出素子、12…磁石、13…基板、14…リード端子、20…ケース、27…第1突起部、27a…第1外辺、27b…第1内辺、27c…第1曲線部、28…第2突起部、28a…第2外辺、28b…第2内辺、28c…第2曲線部、29…第3突起部、29a…第3外辺、29b…第3内辺、29c…第3曲線部、30…第4突起部、30a…第4外辺、30b…第4内辺、30c…第4曲線部、32…凸条部(第2凸条部)、40…カバー、46…第1孔部、47…第2孔部、48…第3孔部、49…第4孔部、52…直線溝(第2直線溝)、53…中心(カバー40の中心)、54…第1孔部の中心線、55…第2孔部の中心線、56…第3孔部の中心線、57…第4孔部の中心線、69…ゲート、76…当接部。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
図10