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特開2016-218139カメラ用レンズユニットおよび車載カメラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-218139(P2016-218139A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】カメラ用レンズユニットおよび車載カメラ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20161125BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20161125BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   G02B7/02 F
   G03B15/00 V
   G02B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-100072(P2015-100072)
(22)【出願日】2015年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100097995
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悦一
(72)【発明者】
【氏名】平田 弘之
(72)【発明者】
【氏名】牧野 由多可
【テーマコード(参考)】
2H044
2H087
【Fターム(参考)】
2H044AH01
2H087KA01
2H087LA03
2H087NA18
2H087PA05
2H087PA18
2H087PB06
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA32
2H087RA43
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】劣悪な温度環境に曝されても十分な解像度を確保可能なカメラ用レンズユニットおよび車載カメラを提供する。
【解決手段】車載カメラのカメラ用レンズユニット20は、複数のレンズ2,3,4,5,6,7が当該レンズ2,3,4,5,6,7の光軸に沿って並べられたレンズ群19を備える。レンズユニット20は、レンズ群19を一体に支持する鏡筒1と、撮像センサ8を備える基板16に対して鏡筒1を位置決めした状態で支持する支持部材17とを備える。レンズユニット20において、光学系における像面の中央に集光する光線について、設定された基準温度のMTF・デフォーカスカーブのピーク位置に対する、−40℃から+105℃の温度域におけるMTF・デフォーカスカーブのピーク位置のシフト量の最大値の基準温度における光学系の焦点距離に対する比が0.0015以下に設定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、前記レンズ群を一体に支持する鏡筒と、撮像センサに対して前記鏡筒を位置決めした状態で支持する支持部材とを備え、
前記鏡筒に支持された前記レンズ群を備える光学系の温度変化によるバックフォーカスの変化に対して、前記支持部材が、前記温度変化による熱膨張に基づいて前記レンズ群の前記撮像センサに対する位置を変化させることにより、
像面の中央に集光する光線について、設定された基準温度のMTF・デフォーカスカーブのピーク位置に対する、−40℃から+105℃の温度域におけるMTF・デフォーカスカーブのピーク位置のシフト量の最大値の前記基準温度における前記光学系の焦点距離に対する比が0.0015以下に設定されていることを特徴とするカメラ用レンズユニット。
【請求項2】
複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、前記レンズ群を一体に支持する鏡筒と、撮像センサに対して前記鏡筒を位置決めした状態で支持する支持部材とを備え、
前記鏡筒に支持された前記レンズ群を備える光学系のバックフォーカスが温度上昇時に伸長する場合に、温度上昇時に前記レンズ群と前記撮像センサとの距離が長くなるように、記支持部材の線膨張率が、前記鏡筒の線膨張率より高くされ、
前記光学系の前記バックフォーカスが温度上昇時に収縮する場合に、温度上昇時に前記レンズ群と前記撮像センサとの距離が短くなるように、前記鏡筒の線膨張率が、前記支持部材の線膨張率より高くされていることを特徴とするカメラ用レンズユニット。
【請求項3】
複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、前記レンズ群を一体に支持する鏡筒と、撮像センサに対して前記鏡筒を位置決めした状態で支持する支持部材とを備えるとともに、前記支持部材と前記鏡筒との間に介在し、前記鏡筒に支持された前記レンズ群と前記撮像センサとの距離を変更する変更部材を備え、
前記鏡筒に支持された前記レンズ群を備える光学系の温度変化によるバックフォーカスの変化に応じて、前記変更部材が前記レンズ群と前記撮像センサとの距離を変更させることを特徴とするカメラ用レンズユニット。
【請求項4】
前記変更部材は、熱による前記光軸の方向に沿った膨張および収縮により前記レンズ群と前記撮像センサとの距離を変更し、かつ、前記鏡筒の一部と前記支持部材の一部との間に配置されるとともに、前記鏡筒の一部より前記支持部材の一部が前記撮像センサ側にあることを特徴とする請求項3に記載のカメラ用レンズユニット。
【請求項5】
前記変更部材は、熱による前記光軸の方向に沿った膨張および収縮により前記レンズ群と前記撮像センサとの距離を変更し、かつ、前記鏡筒の一部と前記支持部材の一部との間に配置されるとともに、前記支持部材の一部より前記鏡筒の一部が前記撮像センサ側にあることを特徴とする請求項3に記載のカメラ用レンズユニット。
【請求項6】
前記変更部材は、高分子アクチュエータであることを特徴とする請求項3に記載のカメラ用レンズユニット。
【請求項7】
前記光学系における像面の中央に集光する光線について、設定された基準温度のMTF・デフォーカスカーブのピーク位置に対する、−40℃から+105℃の温度域におけるMTF・デフォーカスカーブのピーク位置のシフト量の最大値の前記基準温度における前記光学系の焦点距離に対する比が0.0015以下に設定されていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のカメラ用レンズユニット。
【請求項8】
前記光学系のF値が2.0以下となっていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のカメラ用レンズユニット。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の前記カメラ用レンズユニットと、前記撮像センサとを備えることを特徴とする車載カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載される車載カメラに適したカメラ用レンズユニットおよび車載カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に車載カメラを搭載し、駐車をサポートしたり、画像認識により衝突防止を図ったりすることが行われており、さらに自動運転への応用が試みられている。
このような車載カメラは、自動車が寒冷や暑熱の環境に曝されることにより同様に過酷な温度環境に曝され、さらに、自動車の外側に配置された車載カメラは、寒風や雪の影響を受けたり、太陽光により過熱状態とされたりする可能性がある。
【0003】
したがって、自動車使用時に使用される車載カメラは低温から高温まで安定して使用できることが望まれ、様々な温度対策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。車載カメラに対する温度の影響の1つに、レンズの解像度の温度による変化がある。一般的にカメラでは、複数のレンズを光軸方向に並べてレンズ群として鏡筒(バレル)で支持したレンズユニットを備えており、各レンズの温度特性やそれに基づくレンズ群やレンズユニットの温度特性として、例えば、常温レベルにおけるレンズ性能に対して高温や低温でのレンズ性能が劣化する。
【0004】
レンズ性能の指標の1つとしては、例えば、MTF(Modulation Transfer Function)が知られている。MTFは、レンズの結像性能を示しており、被写体の持つコントラストをどの程度忠実に再現できるかを空間周波数(Spatial frequency)特性として表現している。また、MTFは、解像度の指標を示し、0〜1の値となり、1に近いほど高解像、0に近いほど低解像となる。
【0005】
レンズ性能の低下の要因の1つとして、温度変化に対するレンズユニットにおけるピント面までの距離の変位がある。例えば、レンズユニットにおいては、温度が高くなるほどピント面までの距離(以下、バックフォーカスと呼ぶ)が長くなり、逆に温度が低くなるとバックフォーカスが短くなる。なお、温度上昇に対してバックフォーカスが長くなるか短くなるかは、レンズ設計によって決まるものであり、上述の場合と逆にレンズユニットのバックフォーカスが温度の上昇とともに短くなり、温度の下降とともに長くなる場合もある。このようにレンズ群のバックフォーカスがずれた場合に被写体の像を撮像センサ上で結像できずに、ピントが外れて撮像された画像がボケた状態となる。これにより高温となった場合や低温となった場合にMTFの値も低下する。しかし、このMTFの低下は、温度変化による光学系のバックフォーカスの変化による影響が大きく、バックフォーカスの温度変化に対応して光学系と撮像センサとのセンサ距離を調整することができれば、-40℃の低温の状態や105℃の高温の状態でもMTFの値の低下を抑制できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】2008−298968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のように車載カメラでは、一般的なカメラより過酷な温度環境で使用される場合があり、上述の温度変化によるレンズのバックフォーカスの変位や光軸方向に沿った各部材の熱膨張等に基づくレンズ性能の劣化が問題となる。特に、近年車載カメラを搭載する自動車が増加するとともに、利用範囲の拡大に対応するために、車載カメラの解像度等の性能向上が図られており、温度変化に対するレンズ性能の劣化の抑制が求められている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、劣悪な温度環境に曝されても十分な解像度を確保可能なカメラ用レンズユニットおよび車載カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明のカメラ用レンズユニットは、複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、前記レンズ群を一体に支持する鏡筒と、撮像センサに対して前記鏡筒を位置決めした状態で支持する支持部材とを備え、
前記鏡筒に支持された前記レンズ群を備える光学系の温度変化によるバックフォーカスの変化に対して、前記支持部材が、前記温度変化による熱膨張に基づいて前記レンズ群の前記撮像センサに対する位置を変化させることにより、
像面の中央に集光する光線について、設定された基準温度のMTF・デフォーカスカーブのピーク位置に対する、−40℃から+105℃の温度域におけるMTF・デフォーカスカーブのピーク位置のシフト量の最大値の前記基準温度における前記光学系の焦点距離に対する比が0.0015以下に設定されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、車載カメラのように高温や低温環境で使用されるカメラ用レンズユニットにおいて、設定された基準温度のMTF・デフォーカスカーブのピーク位置に対する、−40℃から+105℃の温度域におけるMTF・デフォーカスカーブのピーク位置のシフト量の最大値の前記基準温度における前記光学系の前記焦点距離に対する比が0.0015以下になることにより、−40℃〜105℃の範囲では、十分な解像度での撮影が可能となる。
【0011】
ここで、焦点距離とは光学系における主点と焦点との距離であり、主点とは主面と光軸とが直交する点であり、主面とは光軸に平行な光線の高さを変化させながら光学系に光線が入射する場合に、入射前および出射後の光線をそれぞれ延長した2直線を考え、2直線の交点が描く軌跡である。また、光学系の最も焦点に近いレンズの焦点側の面と焦点との光軸に沿った最短距離がバックフォーカスである。
【0012】
また、デフォーカスカーブとは、光学系の集光状態の最も良い位置を探すために、例えば、光軸方向の位置が異なる複数の評価面を設定し、各評価面での性能を評価した場合の評価された性能を示す値が描く曲線であり、例えば、横軸が光軸方向に沿った位置(バックフォーカス)を示し、縦軸が評価された性能の値を示す。
例えば、一般的なデフォーカスカーブの横軸(デフォーカス量)は、基本的に光学系の結像面と撮像センサの受光面との光軸方向に沿った距離(ずれ量)を示すもので、フォーカスのずれを示す。デフォーカス量が0となる場合に結像面と受光面とが一致しピントが最も合った状態となる。
【0013】
本発明では、光軸方向の位置が異なる各評価面においてレンズの集光状態をMTF値で評価している。設定された基準温度におけるMTF・デフォーカスカーブ(MTF・デフォーカス曲線)においてMTF値がピークとなる光軸上の位置に対して、−40℃から+105℃の温度域における各温度のMTF・デフォーカスカーブの光軸上の各ピーク位置のシフト量を見ることになる。ここでは、前記温度範囲におけるシフト量の最大値が分かればいいが、例えば、−40℃から+105℃の温度域において、−40℃または+105℃で上述のシフト量が最大となるとは限らず、レンズ設計によっては+85℃等のように、温度域の最高温度や最低温度以外の温度で、上述のシフト量が最大となる場合がある。ここで、カメラ用レンズユニットでは、基準温度におけるバックフォーカスに基づいて光学系の各レンズの位置やカメラにセットした場合のイメージセンサ(撮像センサ)に対する位置が決められている。したがって、例えば、基準温度におけるMTF・デフォーカスカーブがピークとなる光学系の光軸方向に沿った位置に撮像センサが配置される。したがって、温度によってMTF・デフォーカスカーブのピーク位置が変わる場合に、基準温度におけるピーク位置に対する各温度におけるピーク位置のシフト量が大きいほど、上述の光学系の結像面と、撮像センサの受光面との位置がずれてピントが外れることになる。すなわち、MTFがピークとなる位置とずれた位置で撮像を行うことで、撮像におけるMTFの値は、ピークとなる価より低い値となってしまう。したがって、シフト量が小さいほどMTFの値はピーク値に近くなって高くなる。
【0014】
本発明のカメラ用レンズユニットでは、このシフト量の最大値の基準温度における光学系の焦点距離に対する比が0.0015以下になっている。この比の値が低い程、温度変化によるピントずれが少なくなる。このカメラ用レンズユニットを使用可能な温度域における上述の比が0.0015以下であれば、カメラ、特に車載カメラとして要求される性能を満たすことができる。なお、上述の比が0.0008以下であることがさらに好ましい。
【0015】
基準温度は、例えば、光学系の設計時(レンズユニットの設計時)に設定された基準となる温度であり、温度が基準温度となっている場合に、結像面と受光面が一致するように設計されている。例えば、基準温度は例えば25℃であるが、常温と言われる温度範囲に含まれる温度を基準温度に設定することが好ましい。
【0016】
また、本発明のカメラ用レンズユニットは、複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、前記レンズ群を一体に支持する鏡筒と、撮像センサに対して前記鏡筒を位置決めした状態で支持する支持部材とを備え、
前記鏡筒に支持された前記レンズ群を備える光学系のバックフォーカスが温度上昇時に伸長する場合に、温度上昇時に前記レンズ群と前記撮像センサとの距離が長くなるように、前記支持部材の線膨張率が、前記鏡筒の線膨張率より高くされ、
前記光学系のバックフォーカスが温度上昇時に収縮する場合に、温度上昇時に前記レンズ群と前記撮像センサとの距離が短くなるように、前記鏡筒の線膨張率が、前記支持部材の線膨張率より高くされていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、低温から高温に温度変化した際に、光学系のバックフォーカスが長くなり、例えば、レンズ群と撮像センサとの距離(センサ距離)を温度変化に対して一定とした場合に、低温から高温に温度上昇するとセンサ距離に対応した適切なバックフォーカス(基準温度におけるバックフォーカス)に対して、実際のバックフォーカスが短い状態から適切な状態を経て長い状態に変化することになる。
【0018】
実際には、カメラ用レンズユニットを構成する各部材の光軸方向に沿った長さがそれぞれの線膨張率に従って温度によって変化することになり、上述のセンサ距離は温度変化に応じて変化する。本発明では、光軸方向に沿った線膨張率において、支持部材の線膨張率が鏡筒の線膨張率より大きくなっているので、例えば、鏡筒に支持されたレンズ群は、支持部材が熱により膨張することにより、温度が上昇する場合に撮像センサから離れるように移動することになり、レンズ群の撮像センサ側の端部は、温度上昇に伴って撮像センサから離れることになる。すなわち、温度上昇により光学系のバックフォーカスが伸びた場合にレンズ群の撮像センサ側の端部が撮像センサから離れることにより、バックフォーカスの伸びによりピントが合わなくなるのを抑制し、レンズ群のレンズ性能の低下を抑制することが可能となる。したがって、車載カメラのように過酷な温度環境で用いられる場合に、温度変化によりレンズユニットからセンサまでの距離(バックフォーカス)が大きくずれるのを防止して、高温時や低温時にレンズ性能が大きく低下してしまうのを防止することができる。
【0019】
また、レンズ設計によっては、低温から高温に温度変化した際に、レンズ群のバックフォーカスが短くなる場合があり、例えば、レンズ群と撮像センサとの距離(センサ距離)を温度変化に対して一定とした場合に、センサ距離に対応した適切なバックフォーカスに対して、実際のバックフォーカスが低温から高温への温度上昇によって、長い状態から適切な状態を経て短い状態に変化することになる。
【0020】
実際には、カメラ用レンズユニットを構成する各部材の光軸方向に沿った長さが線膨張率に従って温度によって変化することになる。本発明では、光軸方向に沿った線膨張率において、支持部材の線膨張率が鏡筒の線膨張率より小さくなっているので、例えば、鏡筒に支持されたレンズ群は、支持部材が熱により膨張することにより、温度が上昇する場合に撮像センサから離れることになるが、この際に鏡筒の方の伸び量の方が多くなるので、鏡筒に支持されるレンズ群の撮像センサ側端部は、支持部材が伸びても撮像センサ側に近づく構成とすることが可能となる。
【0021】
すなわち、温度上昇によりレンズ群のバックフォーカスが縮んだ場合にレンズ群の撮像センサ側の端部が撮像センサに近づくことにより、バックフォーカスが縮むことによりピントが合わなくなるのを抑制し、レンズ群のレンズ性能の低下を抑制することが可能となる。したがって、車載カメラのように過酷な温度環境で用いられる場合に、レンズユニットからセンサまでの距離(バックフォーカス)が温度変化により大きくずれるのを防止して、高温時や低温時にレンズ性能が大きく低下してしまうのを防止することができる。
【0022】
また、本発明の前記構成において、複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、前記レンズ群を一体に支持する鏡筒と、撮像センサに対して前記鏡筒を位置決めした状態で支持する支持部材とを備えるとともに、前記支持部材と前記鏡筒との間に介在し、前記鏡筒に支持された前記レンズ群と前記撮像センサとの距離を変更する変更部材を備え、
前記鏡筒に支持された前記レンズ群を備える光学系の温度変化によるバックフォーカスの変化に応じて、前記変更部材が前記レンズ群と前記撮像センサとの距離を変更させることを特徴とする
【0023】
このような構成によれば、支持部材と鏡筒との間に介在する変更部材により前記レンズ群と前記撮像センサとのセンサ距離を変更することができるので、温度によりバックフォーカスが変化しても前記レンズ群と前記撮像センサとのセンサ距離を変更して対応することができる。したがって、車載カメラのように過酷な温度環境で用いられる場合に、レンズユニットからセンサまでの距離(バックフォーカス)が温度変化により大きくずれるのを防止して、高温時や低温時にレンズ性能が大きく低下してしまうのを防止することができる。なお、変更部材によるセンサ距離の変更は、例えば、変更部材の熱膨張を利用するものであってもよいし、電動アクチュエータの電圧による厚みの変化を利用するものであってもよい。
【0024】
また、本発明の前記構成において、前記変更部材は、熱による前記光軸の方向に沿った膨張および収縮により前記レンズ群と前記撮像センサとの距離を変更し、かつ、前記鏡筒の一部と前記支持部材の一部との間に配置されるとともに、前記鏡筒の一部より前記支持部材の一部が前記撮像センサ側にあることが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、変更部材を挟んだ状態となる支持部材の一部と鏡筒の一部とのうちの支持部材の一部が撮像センサ側にあるので、変更部材が熱膨張することにより、レンズ群が撮像センサから離れることになる。したがって、温度上昇した場合にレンズ群のバックフォーカスが伸びるレンズ設計の場合に、温度上昇によるバックフォーカスの伸長に対応してセンサ距離を長くすることができる。なお、変更部材は、支持部材や鏡筒より線膨張率が高いことが好ましく、支持部材および鏡筒がそれぞれ熱膨張した場合に、センサ距離が長くなる必要がある。
【0026】
また、本発明の前記構成において、前記変更部材は、熱による前記光軸の方向に沿った膨張および収縮により前記レンズ群と前記撮像センサとの距離を変更し、かつ、前記鏡筒の一部と前記支持部材の一部との間に配置されるとともに、前記支持部材の一部より前記鏡筒の一部が前記撮像センサ側にあることが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、変更部材を挟んだ状態となる支持部材の一部と鏡筒の一部とのうちの鏡筒の一部が撮像センサ側にあるので、変更部材が熱膨張することにより、レンズ群が撮像センサに近づくことになる。したがって、温度が上昇した場合にレンズ群のバックフォーカスが縮むレンズ設計の場合に、温度上昇によるバックフォーカスの縮小に対応してセンサ距離を短くすることができる。
【0028】
本発明の前記構成において、前記変更部材は、高分子アクチュエータであることが好ましい。
【0029】
このような構成によれば、高分子アクチュエータである変更部材により、支持部材と鏡筒との間の距離を短くしたり長くしたりすることが可能であり、温度によってレンズ群のバックフォーカスが長くなったり、短くなったりする場合にそれに応じて変更部材の厚みを調整することでセンサ距離を長くしたり、短くしたりすることにより温度変化によるピントのずれを抑制することができる。
【0030】
本発明の前記構成において、前記光学系における像面の中央に集光する光線について、設定された基準温度のMTF・デフォーカスカーブのピーク位置に対する、−40℃から+105℃の温度域におけるMTF・デフォーカスカーブのピーク位置のシフト量の最大値の前記基準温度における前記光学系の焦点距離に対する比が0.0015以下に設定されていることが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、本発明のカメラ用レンズユニットでは、上述のシフト量の最大値の基準温度における光学系の焦点距離に対する比が0.0015以下になっている。この比の値が低い程、温度変化によるピントずれが少なくなる。このカメラ用レンズユニットを使用可能な温度域における上述の比が0.0015以下であれば、カメラ、特に車載カメラとして要求される性能を満たすことができる。なお、上述の比が0.0008以下であることがさらに好ましい。
【0032】
本発明の前記構成におい、前記レンズ群のF値が2.0以下となっていることが好ましい。
【0033】
このような構成によれば、前記レンズ群のF値(絞り値)が2.0以下の場合でも、上述の比が0.0015以下となる。なお、F値が小さいほど、被写界深度が狭くなり、ピントが合いにくくボケ易くなるので、F値を小さくするとMTFが低下する可能性があるが、本発明では、F値が2.0以下でも上述の比が0.0015以下となる。したがって、車載カメラのように過酷な温度環境で用いられる場合に、レンズユニットからセンサまでの距離(バックフォーカス)が大きくずれるのを防止して、高温時や低温時にレンズ性能が大きく低下してしまうのを防止することができ、F値が2.0以下の明るい光学系を用いる場合でも、上述の温度範囲であれば、高温時と低温時におけるレンズ性能を維持することができる。
【0034】
本発明の車載カメラは、上述の前記カメラ用レンズユニットと、前記撮像センサとを備えることを特徴とする。
【0035】
このような構成によれば、上述のカメラ用レンズユニットの作用効果を車載カメラで得ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、自動車等の車両に搭載される車載カメラのように高温や低温で使用されるカメラ用レンズユニットにおいて、高温や低温でもレンズ性能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1の実施の形態の車載カメラのカメラ用レンズユニットを示す断面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態の実施例のカメラ用レンズユニットを示す断面図である。
図3】実施例のカメラ用レンズユニットのレンズの線膨張率等を説明するための図面である。
図4】実施例のカメラ用レンズユニットの鏡筒等の線膨張率等を説明するための図面である。
図5】比較例におけるMTF・デフォーカスカーブを示すグラフである。
図6】実施例におけるMTF・デフォーカスカーブを示すグラフである。
図7】本発明の第2の実施の形態の車載カメラのカメラ用レンズユニットを示す断面図である。
図8】本発明の第3の実施の形態の車載カメラのカメラ用レンズユニットを示す断面図である。
図9】本発明の第4の実施の形態の車載カメラのカメラ用レンズユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。
本実施の形態のカメラ用レンズユニットは、車載カメラ用のものであり、例えば、自動車の外表面側に固定して設置され、配線は自動車内に引き込まれてディスプレイやその他の装置に接続される。
【0039】
図1に示すように、この実施の形態の車載カメラのカメラ用レンズユニット20は、円筒状の鏡筒1と、鏡筒1内に配置される複数(6枚)のレンズ2,3,4,5,6,7と、鏡筒1のレンズ2,3,4,5,6,7が像を結ぶ(結像)側(撮像センサ8が配置される側)の一方の端部に配置される光学フィルタ9と、撮影される物体側の他方の端部で鏡筒1内のレンズ2を押さえる押え部材18と、3つの絞り部材10,11,12と、3つのスペーサ(中間環)13,14,15と、撮像センサ8を備える基板16に対して鏡筒1を位置決めした状態に支持する支持部材(マウント)17とを備える。本実施の形態の車載カメラは、上述のレンズユニット20と、撮像センサ8を有する基板16と、当該基板16を自動車に設置する図示しない設置部材とを備えるものである。
【0040】
鏡筒1に固定されて支持されている複数のレンズ2.3.4.5.6.7は、それぞれの光軸を一致させた状態に配置されており、1つの光軸に沿って各レンズ2,3,4,5,6,7が並べられた状態となって、撮像に用いられる1群のレンズ群19を構成している。したがって、以下に単に光軸と記載した場合に、各レンズ2,3,4,5,6,7の光軸を示すとともにレンズ群19の光軸を示すものである。
【0041】
3つの絞り部材10,11,12のうちの物体側(鏡筒1の他方の端部)から1番目の絞り部材10は、物体側から1番目のレンズ2と2番目のレンズ3との間に配置されている。物体側から2番目の絞り部材11は、物体側から2番目のレンズ3と3番目のレンズ4との間で、これらレンズ3,4との間に光軸方向に沿って並んで配置されたスペーサ13とスペーサ14との間に配置されている。物体側から3番目の絞り部材12は、物体側から4番目のレンズ5と6番目のレンズ7との間に配置されたスペーサ15と、6番目のレンズ7との間に配置されている。絞り部材11は透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する「開口絞り」であり、絞り部材10,12はゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する「遮光絞り」である。
【0042】
鏡筒1は、物体側の他方の端部の外周に雄ねじ部が形成され、この雄ねじ部に環状の押え部材18の内周に形成された雌ねじ部が螺合して、押え部材18が鏡筒1の他方の端部に固定されている。この押え部材18の内径が小さくなった係止部18aと、鏡筒1の一方の端部の内周側に内径が小さくなるように内側に突出して形成された係止部1aとの間に上述の6つのレンズ2,3,4,5,6,7と3つの絞り部材10,11,12と、3つのスペーサ13,14,15とが挟まれた状態で配置されている。
【0043】
鏡筒1は、その軸方向の中央部から他方の端部側に支持部材17に固定される大径部1bが形成され、大径部1bの外周面が円筒状の支持部材17の内周面に接合され、かつ、大径部1bの鏡筒1の他方の端部側の端部に鍔状に拡径されたフランジ部1cが支持部材17の端面に当接した状態となっている。鏡筒1の大径部1bの外周面と、この外周面に接する支持部材17の内周縁とが接着剤により接合される接合部となっている。
【0044】
本実施の形態のレンズユニット20は、単焦点であり、基板16に支持部材17により鏡筒1が固定され、これによりレンズ群19と、基板16に設けられた撮像センサ8との距離(センサ距離)は、基板に固定される支持部材17と、支持部材17に固定される鏡筒1によって決められた状態であり、例えば、支持部材17および鏡筒1の熱膨張を無視すれば、レンズ群19と撮像センサ8とのセンサ距離は一定である。
【0045】
ここで、レンズ群19と撮像センサ8とのセンサ距離は、例え、レンズ群19の撮像センサ8に最も近いレンズ7と撮像センサ8との最短距離(光軸方向に沿ったレンズ7と撮像センサとの間隔)とするが、鏡筒1の支持部材17に接合された部分の光軸方向の中央となる位置と、撮像センサ8との最短距離(光軸方向に沿った距離)としてもよい。実際には、支持部材17および鏡筒1とが、熱膨張することにより、レンズ群19と撮像センサ8とのセンサ距離が温度により変動する。
【0046】
この際に支持部材17が熱膨張してレンズ群19の光軸方向に伸縮した場合に、それに応じて支持部材17に支持された鏡筒1と撮像センサ8との距離が変動する。すなわち、図1に示すように、支持部材17と鏡筒1との接合部Cの光軸方向の中央となる位置から基板16との距離Bが温度により変化し、温度が上昇すると距離Bが伸長し、温度が降下すると距離Bが収縮する。これにより鏡筒1の少なくとも支持部材17との接合部は、温度上昇に伴って撮像センサ8を備える基板16から遠ざかり、温度降下に伴って基板16に近づくことになる。
【0047】
一方、鏡筒1も熱膨張に基づいて温度により光軸方向に沿った長さが変動しており、鏡筒1の支持部材17との接合部Cの光軸方向に沿った中央位置からレンズ群19の撮像センサ8に最も近いレンズ7の撮像センサ8側の面の光軸との交差位置までの鏡筒1の光軸方向に沿った距離Dは、温度上昇に伴って伸長し、温度降下に伴って収縮する。
【0048】
これにより、レンズ群19の最も撮像センサ8に近いレンズ7と撮像センサ8とのセンサ距離(この距離は、略距離B―距離Dとなり、以下B−Dと表現する場合がある)は、温度変化に伴って伸縮する。
したがって、レンズ7と撮像センサ8とのセンサ距離(B−D)は、温度上昇に伴う距離Bの伸長分をΔBとし、距離Dの伸長分をΔDとした場合に、ΔB−ΔDだけ長くなる。
ここで、レンズ7と撮像センサ8とのセンサ距離(B−D)は、レンズ群19のバックフォーカスに合わせて設定されており、例えば、25℃の際に、レンズ群19により撮像センサ8の受光面上に像が結像されるようになっている。すなわち、25℃の際に結像面と受光面とが略一致し最もピントが合った状態となる。図1に示すように、25℃の際にレンズ群19のピント位置が撮像センサ8に一致し、−40℃の際に(−)a(距離a)だけ短くなり、105℃の際に(+)a(距離a)だけ長くなる。なお、レンズ設計によっては、逆に、−40℃の際に(+)aだけ長くなり、105℃の際に(−)aだけ短くなる。
【0049】
ここで、ΔBとΔDとが略等しい場合に、温度が変化してもレンズ7と撮像センサ8とのセンサ距離(B−D)が変動せず、ΔB>ΔDの場合には、温度上昇に伴ってセンサ距離(B−D)が増加し、ΔB<ΔDの場合には、温度上昇に伴ってセンサ距離(B−D)が減少する。
【0050】
また、レンズ群19におけるバックフォーカス(ピントの合う距離、レンズ7から結像位置までの距離)は、温度変化により変動する。温度上昇に伴ってバックフォーカスが伸びるか縮むかは、レンズ設計によって異なる。すなわち、レンズユニット(その品種)によって、温度上昇によりバックフォーカスが伸びるか縮むかが異なる。ここで、バックフォーカスが温度上昇により伸びる場合に、ΔB>ΔDとなっていれば、温度上昇に伴ってバックフォーカスが増加した際に、レンズ7と撮像センサ8とのセンサ距離(B−D)が増加し、バックフォーカスの増加がセンサ距離(B−D)の増加により相殺される状態となり、温度上昇によるピントずれを抑制することができる。すなわち、レンズ設計に基づいてレンズ群19のバックフォーカスが温度上昇に伴って伸びる場合に、支持部材17の光軸方向に沿った線膨張率が鏡筒1の光軸方向に沿った線膨張率より高いことにより、温度によるバックフォーカスの変動によるピントずれを抑制することができる。なお、25℃を基準として105℃まで温度上昇した場合のバックフォーカスの伸び量を距離aとした場合に、ΔB-ΔDが略距離aとなることが好ましい。
【0051】
ここで、温度上昇時にバックフォーカスが伸びる場合に、ΔBとΔDは、支持部材17と鏡筒1が同じ材質の部材であって線膨張率が支持部材17と鏡筒1で同じであってもB>DならばΔB>ΔDとなり、ΔB-ΔDを略aとすることが可能である。したがって、B>Dならば支持部材17と鏡筒1の線膨張率が同じであってもよく、支持部材17と鏡筒1が同じ部材からなっていてもよい。
【0052】
また、レンズ設計によりレンズ群19のバックフォーカスが温度上昇に伴って縮む場合に、支持部材17の光軸方向に沿った線膨張率が鏡筒1の光軸方向に沿った線膨張率より低いことにより、温度によるバックフォーカスの変動によるピントずれを抑制することができる。なお、25℃を基準として105℃まで温度上昇した場合のバックフォーカスの縮み量を距離aとした場合に、ΔD-ΔBが略距離aとなることが好ましい。
【0053】
これらの場合に上述のようにピントずれを抑制することにより、基準温度におけるMTF・デフォーカスカーブのピーク位置に対するピーク位置の温度変化によるシフト量を小さくできる。すなわち、上述のようにレンズ設計により温度上昇に伴ってバックフォーカスが伸びる場合に、上述のように支持部材17の光軸方向に沿った線膨張率を鏡筒1の光軸方向に沿った線膨張率より高くして温度変化によるピントずれを抑制することで、各温度においてMTF値がピークとなる位置のデフォーカス量を小さくできる。
【0054】
すなわち、基準温度としての25℃におけるMTFがピークとなる位置に対して例えばー40℃から105℃の範囲でMTFがピークとなる位置のデフォーカス量と基準温度における焦点距離との比を0.0015以下とすることが可能である。また、上述の比は、0.0008以下であることがさらに好ましい。
【0055】
また、上述のようにレンズ設計により温度上昇に伴ってバックフォーカスが縮む場合に、上述のように支持部材17の光軸方向に沿った線膨張率を鏡筒1の光軸方向に沿った線膨張率より低くして温度変化によるピントずれを抑制することができる。この場合にも、上述の比を0.0015以下とすることが可能であり、上述の比が0.0008以下となっていることがさらに好ましい。
【0056】
なお、ここで、支持部材17と鏡筒1との接合位置(鏡筒1の大径部1bの外周面と支持部材17の内周面との接合部の光軸方向の中央位置)から支持部材17の撮像センサ8側の端部までの距離Bと、鏡筒1の撮像センサ8側のレンズ7の撮像センサ8側の面の光軸との交差位置までの距離Dとでは、距離B>距離Dとなっており、支持部材17と鏡筒1とで光軸方向に沿った線膨張率が同じ場合に、ΔB>ΔDとなり、ΔB=ΔDとするためには、支持部材17の線膨張率より鏡筒1の線膨張率を少し大きくする必要があり、ΔB<ΔDとするためには、さらに鏡筒1の線膨張率を支持部材17の線膨張率より大きくする必要がある。
【0057】
また、車載カメラにおいて、レンズ群19のF値が明るいことが好ましく、F値が2.0以下とされていることが好ましい。なお、F値は1.8以下であることがより好ましく、1.6以下であることがさらに好ましい。
【0058】
本実施の形態では、レンズ設計に基づいて、レンズ群19におけるバックフォーカスは、温度上昇に伴って伸びるようになっている。それに対して、ΔB>ΔDとなるように、支持部材17の光軸方向に沿った線膨張率が鏡筒1の光軸方向に沿った線膨張率以上とされている。これにより、温度上昇に伴ってバックフォーカスが伸びるのに対応してレンズ群19の撮像センサ8に最も近いレンズ7と撮像センサ8とのセンサ距離が伸びることにより、ピントすれを抑制できる。すなわち、温度変化によるピントずれを抑制し、デフォーカス量を低減することができる。
【0059】
なお、レンズ設計において、温度上昇とともにバックフォーカスが縮む場合には、上述のようにΔB<ΔDとなるようにし、支持部材17の光軸方向に沿った線膨張率より、鏡筒1の光軸方向に沿った線膨張率を大きくすることで、温度変化によるピントずれを防止し、―40℃〜105℃の範囲で上述の比を上述のように0.0015以下となるようにすることができ、さらに、0.0008以下とすることが可能である。
【0060】
本実施の形態では、支持部材17および鏡筒1を金属製としている。例えば、代表的な金属として、アルミニウム(以下アルミと称する)の線膨張係数は2.3×10−5/Kであり、鉄の線膨張係数は1.21×10−5/Kであり、機械構造用炭素鋼鋼材(S30C)の線膨張係数は1.15×10−5/Kであり、ステンレス鋼(SUS410)の線膨張係数は1.04×10−5/Kであり、ステンレス鋼(SUS304)の線膨張係数は1.73×10−5/Kである。したがって、例えば、支持部材17をアルミにして、鏡筒1をステンレス鋼(SUS410)にすることで、ΔB>ΔDとすることが可能であり、逆に支持部材17をステンレス鋼(SUS410)にして、鏡筒1をアルミにすることにより、ΔB<ΔDとすることが可能となる。
【0061】
なお、支持部材17および鏡筒1の材質は、各材質の線膨張率と、レンズ群19の温度変化に対するバックフォーカスの変化量に応じて決定され、その材質の組み合わせは各材質の強度や耐水性等に基づいて決定される。また、支持部材17や鏡筒1を樹脂製としてもよく、この場合も各樹脂の線膨張率を考慮して、支持部材17および鏡筒1の材質を決定することになる。また、例えば、支持部材17を金属とし、鏡筒1を樹脂としたり、逆に、支持部材17を樹脂とし、鏡筒1を金属としたりしてもよい。
【0062】
本実施の形態のカメラ用レンズユニット20および車載カメラによれば、上述のように温度変化によるピントずれを抑制することで、低温から高温まで撮影した画像の解像度等のレンズ性能に基づく画像の品質を一定以上に保持することができる。
【0063】
(実施例)
以下に、第1の実施の形態の実施例と比較例を説明する。実施例のレンズユニット20を図2に示す。実施例のレンズユニット20は、設計上(シミュレーション上)のレンズであって、基本的に上述の図1に示すレンズユニット20と同様の基本構成を有するものであり、レンズ2,3,3,5,6,7、撮像センサ8、光学フィルタ9、絞り部材10,11,12、スペーサ13,14,15を備え、鏡筒1、押え部材18、支持部材17を備えるものである。
【0064】
図4に示すように、鏡筒1(押え部材18を含む)、支持部材17、スペーサ(中間環)13,14,15がアルミ(アルミ合金)からなっている。また。図3において、レンズ2がL1、レンズ3がL2、レンズ4がL3、レンズ5がL4、レンズ6がL5、レンズ7がL6であり、これらは、ガラス製となっている。図3に。各レンズ2,3,4,5,6,7の屈折率( nd、)アッベ数(νd)、線膨張係数(/K)が記載されている。
【0065】
図2に示すように、鏡筒1の外径が15.4mmであり、押え部材18の外径が16.2mmである。鏡筒1の内周面には、物質側とセンサ側との間に段差があり、物質側の内径がセンサ側の内径より大きくなっている。鏡筒1の物質側の内径が11.6mmであり、センサ側の内径が9.8mmとなっている。また、鏡筒1の物質側の内径が大きい部分にレンズL1、L2が配置され、これらの外径が略11.6mmとなり、鏡筒1のセンサ側の内径が小さい部分にレンズL3、L4、L5、L6が配置され、レンズL3、L4、L6の外径が略9.8mmとなる。なおレンズL5は、スペーサ15の内側に配置され、外径が9.8mmより小さくなっている。
【0066】
また、鏡筒1の光軸方向に沿った長さが25.6mmであり、最も物体側のレンズL1の物体側の面と光軸とが交差する位置から撮像センサ8までの最短距離が28.86mmである。また、最もセンサ側のレンズL6のセンサ側の面と光軸とが交差する位置から撮像センサ8までの最短距離が5.52mmである。また、鏡筒1の先端からセンサまでの光軸方向に沿った距離が4mmである。また、この光学系の焦点距離は、6.000mmとなっている。なお、図1中の光線は結像(ピント)位置を分かり易くするために模式的描いたものである。
【0067】
このようなレンズユニット20におけるMTFとデフォーカス量(光軸方向に沿った位置)との関係を示すMTF・デフォーカスカーブのグラフを図5図6に示す。これらグラフにおいて、縦軸がMTF値であり、横軸が原点位置(0mm)からのずれ量としてのデフォーカス量(mm)である。ここでは、基準温度として25℃が設定されており、基本的に25℃の場合に、結像面と受光面とが一致する位置をデフォーカス量が0となる原点位置とし、25℃を基準温度として設計されたレンズユニット20においては、25℃でレンズ性能等が最適化されるようになっている、したがって、25℃において、デフォーカス量が0となる場合に、25℃におけるMTFの値が最大(ピーク)となる。
なお、基本的には、25℃における焦点位置(結像面)から光軸方向に沿ったずれ量をデフォーカス量としているが、上述のように、ここでは、基準温度としての25℃にけるMTFのピーク位置が焦点位置と同じようにデフォーカス量0となる設定となっており、温度変化によりMTFのピーク位置が変化する場合に、ピーク位置のデフォーカス量が、基準温度におけるMTFのピーク位置に対するシフト量を示すことになる。したがって、以下の記載において、シフト量とデフォーカス量の絶対値とを同じ意味で用いる場合がある。
【0068】
また、図5図6には、基準温度、すなわち、25℃におけるMTF・デフォーカスカーブと、−40℃におけるMTF・デフォーカスカーブと、105℃におけるMTF・デフォーカスカーブとを示すものである。これらグラフにおいて横軸のプラス側が焦点位置から距離が増加する側(レンズから遠ざかる側)であり、マイナス側が焦点位置から距離が減少する側(レンズに近づく側)である。
【0069】
図5では、比較例として鏡筒1と撮像センサ8との相対位置が温度によって変化しないものとし、主に温度による鏡筒1、スペーサ13,14,15およびレンズ群19のバックフォーカスの変化に対応するMTFの変化を示したものである。このレンズ群では、温度上昇に伴ってバックフォーカスが伸びるレンズ設計となっており、25℃のMTF・デフォーカスカーブに対して105℃のMTF・デフォーカスカーブはデフォーカス量がプラス側に変化し、−40℃のMTF・デフォーカスカーブはマイナス側に変化している。この場合には、レンズ群19の温度変化によるバックフォーカスの変化がデフォーカス量0におけるMTFの低下に影響を与えている。すなわち、温度変化によるレンズ群19のバックフォーカスの変化により結像面と受光面とに、デフォーカス量で示されるずれ(シフト)が生じ、これがMTFの低下の要因となっている。なお、例えば、-40℃から+105℃までの温度域において、-40℃や+105℃におけるシフト量が最大となるとは限らず、たとえば、-30℃や+90℃等のように所定の温度域の最高温度や最低温度以外の温度でシフト量が最大となる場合もある。この実施例では、基準温度から離れるほど、シフト量が増加するものとしている。
【0070】
本実施例では、上述のように鏡筒1、支持部材17、スペーサ13,14,15がアルミ製となっており、温度上昇ともにレンズ群19と撮像センサ8とのセンサ距離が伸びるようになっている。したがって、温度低下時には、バックフォーカスが縮むとともにセンサ距離が縮み、温度上昇時には、バックフォーカスが伸びるとともにセンサ距離が伸びることにより、結像面と受光面とのデフォーカス量の低下を図れることが示されている。本実施例において、図7に示すように、−40℃および105℃におけるMTFがピークとなる位置のデフォーカス量を基準温度における焦点距離で除算した値、すなわち、デフォーカス量と焦点距離との比は、0.0015以下となっており、0.0008以下となっている。
【0071】
ここで、デフォーカス量と、焦点距離との比は、比較例と実施例とで、−40℃と105℃について求めた場合に以下のようになる。
ここで、基準温度としての25℃における焦点距離は、上述のように6.000mmとする。比較例において、−40℃のMTFの値が最大となるデフォーカス量がー0.011mmであり、デフォーカス量の絶対値(シフト量)と焦点距離の比が0.0018である。
比較例において、105℃のMTFが最大となるデフォーカス量が0.014mmであり、デフォーカス量の絶対値と焦点距離の比が0.0023である。
【0072】
実施例において、−40℃のMTFが最大(ピーク)となるデフォーカス量がー0.002mmであり、デフォーカス量の絶対値と焦点距離の比が0.000333である。
実施例において、105℃のMTFが最大(ピーク)となるデフォーカス量が0.004mmであり、デフォーカス量と焦点距離の比が0.000666である。
【0073】
実施例では、最大のシフト量と焦点距離との比は、0.0015以下であり、さらに0.0008以下であることが示されている。一方、比較例では、最大のシフト量と焦点距離との比は、0.0015以上となっている。
【0074】
MTF・デフォーカスカーブは、シミュレーション結果であり、―40℃、25℃、105℃の各温度で、デフォーカス量を0.05mmからー0.05mmまで0.001mm単位で変更してMTFの値を計算により求めたものである。また、デフォーカス量が0mmとなる原点位置を基準温度に定めた25℃において設計された撮像面(センサの受光面)の位置としている。25℃においては、このデフォーカス量が0mmとなる原点位置でMTFの0〜1の範囲の値が最大となる。
【0075】
なお、MTF(変調伝達関数)とは解像度を示す一つの指標であり、0〜1の値をとり、1に近いほど高解像、0に近いほど低解像となる。また、MTFの値の算出には空間周波数(LP/mm)が必要であり、空間周波数とは、白線1本と黒線1本を1セットとし、このセットが1mmの間に何セットあるかを示しており、高周波(白黒線が細い)で、MTFが高い(白黒の差が明確な)ほど高解像であると言うことができる。
【0076】
また、MTFの算出(シミュレーション)には、光学系の波長分布(波長分布によりMTFの値は変わる)と、各レンズの屈折率、線膨張係数、曲率半径、非球面係数(非球面のみ)、中心厚、レンズ面間距離を用いることになる。ここで、各レンズの屈折率、線膨張係数、曲率半径、非球面係数(非球面のみ)、中心厚、レンズ面間距離については、予め決めた値を用いるのではなく、MTFの値が高くなるように最適化して設定している。
【0077】
次に第2の実施の形態のカメラ用レンズユニット21および当該レンズユニット21を備える車載カメラを説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態のレンズユニット20においては、支持部材17と鏡筒1を直接接合していたのに対して、第2の実施の形態では、図7に示すように、支持部材17の一部と鏡筒1の一部との間に変更部材30が配置され、変更部材30を介して支持部材17と鏡筒1とが接合されている。なお、この変更部材30を備える構成以外の構成については、第1の実施の形態と第2の実施の形態とでほぼ同様であり、同様の構成要素については、図7図1と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0078】
本実施の形態におけるレンズユニット21は、レンズ設計において、温度上昇に伴ってバックフォーカスが伸びるものとなっている。
支持部材17の一部として支持部材17の物体側の他方の端部の端面と、鏡筒1の一部としてのフランジ部1cとの間に環状の変更部材30がスペーサ状に配置されている。また、支持部材17の端面と変更部材30が例えば接着剤等により接合され、鏡筒1のフランジ部1cと変更部材30が接着剤等により接合されているが、鏡筒1と支持部材17とは、接する部分が有っても接合はされていない。支持部材17の他方の端部と、変更部材30と、鏡筒1のフランジ部1cとは、この順で撮像センサ8から離れるように光軸方向に並んで配置されており、鏡筒1のフランジ部1cより支持部材17の他方の端部の方が撮像センサ8に近い位置に配置されている。
【0079】
変更部材30は、例えば、支持部材17および鏡筒1より線膨張率が高い材質からなっており、温度上昇に際して第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、温度上昇に伴ってバックフォーカスが伸びる場合に、それに応じて変更部材30の熱膨張により、レンズ群19(レンズ7)と撮像センサ8とのセンサ距離を伸ばすことが可能となっている。これにより第1の実施の形態と同様に温度上昇や温度降下に伴ってピントがずれるのを抑制することができる。この実施の形態においても上述のデフォーカス量の絶対値(シフト量)と焦点距離との比を0.0015以下とすることができ、さらに0.0008以下とすることが可能である。
【0080】
なお、温度がΔtだけ上昇した場合に、支持部材17の基板16との接合面から変更部材39との接合面までの範囲における伸び量(光軸方向の長さの増加分)をΔBとし、鏡筒1の変更部材30との接合面から最も撮像センサ8側のレンズ7の撮像センサ8側の面の光軸との交差位置までの範囲における伸び量をΔCとし、変更部材30の光軸方向に沿った長さを距離Fとし、その伸び量をΔFとする。この場合に、(ΔB-ΔC+ΔF)≧0となっている必要がある。より具体的には、例えば、25℃から105℃まで温度が上昇した場合に、(ΔB-ΔC+ΔF)が上述の距離aに近似していることが好ましい。
【0081】
次に第3の実施の形態のカメラ用レンズユニット22および当該レンズユニット22を備える車載カメラを説明する。
図8に示すように、第3の実施の形態では、第2の実施の形態の場合と同様に、支持部材17の一部と鏡筒1の一部との間に変更部材30が配置され、変更部材30を介して支持部材17と鏡筒1とが接合されている。なお、この変更部材30を備える構成以外の構成については、第1の実施の形態と第3の実施の形態とでほぼ同様であり、第1の実施の形態と同様の構成要素については、図3図1と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0082】
本実施の形態におけるレンズユニット22は、レンズ設計において、温度上昇に伴ってバックフォーカスが縮むものとなっている。
支持部材17の一部として支持部材17の物体側の他方の端部に内径側に突出して設けられた環状の縮径部17aと、鏡筒1の一部としての大径部1b(大径部1bの物体側端面)との間に環状の変更部材30がスペーサ状に配置されている。また、支持部材17の縮径部17aと変更部材30が例えば接着剤等により接合され、鏡筒1の大径部1bと変更部材30が接着剤等により接合されているが、鏡筒1と支持部材17とは、接する部分が有っても接合はされていない。支持部材17の縮径部17aと、変更部材30と、鏡筒1の大径部1bとは、この順で撮像センサ8に近づくように光軸方向に並んで配置されており、鏡筒1の大径部1bより支持部材17の縮径部17aの方が撮像センサ8から離れた位置に配置されている。
【0083】
変更部材30は、例えば、支持部材17および鏡筒1より線膨張率が高い材質からなっており、温度上昇に際して第1の実施の形態で記載した温度上昇に伴ってバックフォーカスが縮む場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、温度上昇に伴ってバックフォーカスが縮む場合に、それに応じてレンズ群19(レンズ7)と撮像センサ8との距離を縮めることが可能となっている。これにより第1の実施の形態と同様に温度上昇や温度降下に伴ってピントがずれるのを抑制することができる。これにより第1の実施の形態と同様に―40℃〜105℃の範囲で上述の比を上述のように0.0015以下となるようにすることができ、さらに、0.0008以下とすることが可能である。
【0084】
なお、温度がΔtだけ上昇した場合に、支持部材17の基板16との接合面から変更部材30との接合面までの範囲における伸び量(光軸方向の長さの増加分)をΔBとし、鏡筒1の変更部材30との接合面から最も撮像センサ8側のレンズ7の撮像センサ8側の面の光軸との交差位置までの範囲における伸び量をΔCとし、変更部材30の光軸方向に沿った伸び量をΔFとする。この場合に、(ΔC+ΔF―ΔB)≧0となっている必要がある。より具体的には、例えば、25℃から100℃まで温度が上昇した場合に、(ΔC+ΔF―ΔB)が上述の距離aに近似していることが好ましい。
【0085】
次に第4の実施の形態のカメラ用レンズユニット23および当該レンズユニット23を備える車載カメラを説明する。
図9に示すように、第4の実施の形態では、第2の実施の形態の場合と同様に、支持部材17の一部と鏡筒1の一部との間に変更部材40が配置され、変更部材40を介して支持部材17と鏡筒1とが接合されている。なお、この変更部材40が高分子アクチュエータであること以外は、第2の実施の形態と第4の実施の形態とでほぼ同様の構成であり、第2の実施の形態と同様の構成要素については、図9図7と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0086】
本実施の形態におけるレンズユニット23は、レンズ設計において、温度上昇に伴ってバックフォーカスが伸びるものとなっている。なお、温度上昇に伴ってバックフォーカスが縮むものにも適用可能となっている。
支持部材17の一部として支持部材17の物体側の他方の端部の端面と、鏡筒1の一部としてのフランジ部1cとの間に環状の変更部材40がスペーサ状に配置されている。また、支持部材17の端面と変更部材40が例えば接着剤等により接合され、鏡筒1のフランジ部1cと変更部材40が接着剤等により接合されているが、鏡筒1と支持部材17とは、接する部分が有っても接合はされていない。支持部材17の他方の端部と、変更部材40と、鏡筒1のフランジ部1cとは、この順で撮像センサ8から離れるように光軸方向に並んで配置されており、鏡筒1のフランジ部1cより支持部材17の他方の端部の方が撮像センサ8に近い位置に配置されている。
【0087】
変更部材40は、高分子アクチュエータであり、電圧の印加と極性の入れ替えにより、樹脂状の高分子アクチュエータを伸縮することが可能である。高分子アクチュエータである変更部材40は、電圧を印加することにより、伸縮させることが可能であり、電圧を印加する配線を接続するためのコネクタ41を備える。また、極性を入れ替えることにより伸びた状態と縮んだ状態とを入れ替えることができる。
【0088】
したがって、変更部材40は、熱による上述のバックフォーカスの距離aの変動に対して、電圧の印加により変更部材40を伸ばしたり、縮めたりすることにより、レンズ群19と撮像センサ8とのセンサ距離を制御することが可能である。例えば、測定温度に対応して印加電圧を制御して高分子アクチュエータの伸び量を制御する。例えば、温度とバックフォーカスとの関係を示すデータテーブルと、電圧と変更部材40の伸び量(縮み量)との関係を示すデータデーブルとから温度と電圧(極性を含む)との関係を示すデータテーブルを求め、温度により電圧を制御することで、バックフォーカスの温度による変動に対応して、上述のセンサ距離を変動することが可能となる。すなわち、温度変化によりバックフォーカスが伸びる場合に、変更部材40を伸ばすことによりセンサ距離を伸ばし、バックフォーカスが縮む場合に、変更部材縮めることによりセンサ距離を縮めるように電圧および極性を制御することができる。したがって、温度上昇に伴ってバックフォーカスが伸びる場合も縮む場合も対応可能である。なお、データテーブルに代えて近似式等の変換式を用いるものとしてもよい。
【0089】
また、温度により電動アクチュエータである変更部材40への印加電圧を制御するのではなく、バックフォーカスを測定したり、ピントのずれ量を測定したりして、バックフォーカスやピントのずれ量から変更部材40への印加電圧を制御してもよい。
以上のことから第1の実施の形態と同様に温度上昇や温度降下に伴ってピントがずれるのを抑制することができる。これにより第1の実施の形態と同様に―40℃〜105℃の範囲で上述の比を上述のように0.0015以下となるようにすることができ、さらに、0.0008以下とすることが可能である。
【0090】
なお、第3の実施の形態の構成において、変更部材30を高分子アクチュエータである変更部材40に代える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 鏡筒
2,3,4,5,6,7 レンズ
8 撮像センサ
17 支持部材
19 レンズ群
20,21,22,23 カメラ用レンズユニット
30 変更部材
40 変更部材(高分子アクチュエータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9