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特開2016-218367波長変換部材及びそれを用いた照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-218367(P2016-218367A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】波長変換部材及びそれを用いた照明装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20161125BHJP
   F21V 7/22 20060101ALI20161125BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20161125BHJP
   F21V 9/16 20060101ALI20161125BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20161125BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20161125BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20161125BHJP
   F21S 8/12 20060101ALI20161125BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20161125BHJP
   F21W 111/02 20060101ALN20161125BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161125BHJP
【FI】
   G02B5/20
   F21V7/22 300
   H01S5/022
   F21V9/16 100
   F21V14/04
   F21S2/00 310
   F21S2/00 355
   F21S8/10 381
   F21S8/12 251
   F21W101:10
   F21W111:02
   F21Y101:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-105883(P2015-105883)
(22)【出願日】2015年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和田 聡二
【テーマコード(参考)】
2H148
3K243
5F173
【Fターム(参考)】
2H148AA01
2H148AA19
2H148AA25
3K243AA01
3K243AA08
3K243AC06
3K243BB11
3K243BC01
3K243BE08
3K243BE09
3K243CB08
5F173MA10
5F173MC15
5F173MF03
5F173MF28
5F173MF39
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】にじみ防止の仕切で複数の区画に区切られた波長変換部材において、仕切に起因する色むらを低減する。
【解決手段】波長変換部材は、反射性表面を持つ基板と、基板の反射性表面の上に形成された波長変換材料層とを有し、基板には波長変換材料層を複数の区画に仕切る仕切部材が配置されている。仕切部材の高さは、隣接する仕切部材と仕切部材との間に存在する波長変換材料層の厚みより高く、仕切部材の上面に、波長変換材料の層が形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と基板の上に形成された波長変換材料層とを有し、光源からの光の照射を受けて、受光面を出射面として、波長変換された光を出射する反射型の波長変換部材であって、
基板には波長変換材料層を複数の区画に仕切る仕切部材が配置されており、前記仕切部材の高さは、隣接する仕切部材と仕切部材との間に存在する波長変換材料層の厚みより高く、仕切部材の上面に、波長変換材料層が形成されていることを特徴とする波長変換部材。
【請求項2】
請求項1に記載の波長変換部材であって、
前記仕切部材の上面に形成された前記波長変換材料層の厚みは、前記隣接する仕切部材と仕切部材との間に存在する波長変換材料層の厚みより小さいことを特徴とする波長変換部材。
【請求項3】
請求項2に記載の波長変換部材であって、
前記基板は、その主平面と前記光源からの光の照射方向とのなす角度が90度未満又は90度以上であって、前記光源からの光が直接照射されない前記仕切部材の側面及び基板表面は、前記波長変換材料層で覆われていないことを特徴とする波長変換部材。
【請求項4】
請求項1に記載の波長変換部材であって、
前記仕切部材は、少なくとも一つの側面が、前記基板の主平面に対し傾斜し、前記傾斜した側面の一部の傾斜角は前記光の入射角より大きく、前記傾斜した側面の一部は、前記波長変換材料層で覆われていないことを特徴とする波長変換部材。
【請求項5】
光源と、前記光源からの光を受けて、波長変換された光を出射する反射型の波長変換部材と、を備えた照明装置であって、前記波長変換部材が請求項1ないし4のいずれか一項に記載の波長変換部材である照明装置。
【請求項6】
請求項5に記載の照明装置であって、
前記光源と前記波長変換部材とは、前記光源の光の出射方向が、前記基板の主平面と垂直な方向に対し角度を有する位置で配置されており、前記波長変換部材が請求項3に記載の波長変換部材であることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の照明装置であって、
前記光源と前記波長変換部材との間に、前記光源からの光を前記波長変換部材に向けて反射し、前記光源からの光の前記波長変換部材に対する照射範囲を移動制御するミラーをさらに備えたことを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を波長変換して出力する波長変換部材とそれを用いた照明装置に係り、特に、波長変換部材に入射した光を反射して出射する反射型の波長変換部材に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子を利用した発光装置として、LD素子などの固体光源からの励起光を、蛍光体等の波長変換材料を含む部材(波長変換部材)に照射し、波長が変換された光を取り出すように構成された発光装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
このような発光装置は、蛍光体の選択により所望の発光色が得られる、消費電力が少ないなどの利点があり、各種照明装置として実用化が進んでいる。所定の配光パターンで照明する照明装置への適用においては、発光装置からの光を所望の向き且つ形状となるように出射するために、光源からの励起光は波長変換部材の所定の選択された領域に照射される。
【0004】
その際、励起光や励起光によって生じた光(蛍光)が波長変換材料の層を進む際に拡散し、本来出射すべきスポット状の形状の周囲からも光が出射し、それが照明装置で照らされた位置では「にじみ」となるという問題があった。
【0005】
特許文献1には、この「にじみ」を解消するために、波長変換材料の層に、層をその厚みと直交する方向に区切る格子状の仕切を設けることが提案されている。仕切が存在することにより、光は波長変換材料の層における進路が所定の範囲に限定されて出射されるため、「にじみ」が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−102078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
波長変換材料の層に格子状仕切を設けることで、照明光の周りに生じる「にじみ」を解消することができるが、新たな問題が生じている。それは、励起光が仕切の上面にも照射される結果、仕切上面からの反射光が波長変換材料の層からの光と混色され、色むらの原因となるという問題である。具体的には仕切上面からの光は、励起光の反射光であるが、波長変換材料の層から出射される光は励起光とは波長が異なる、即ち色が異なる光である。この場合、照明光は格子状の色むらを持つことになる。
【0008】
本発明は、このような格子状仕切を持つ波長変換部材において、仕切の効果を維持しつつ色むらの問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の波長変換部材は、基板と基板の上に形成された波長変換材料層とを有し、光源からの光の照射を受けて、受光面を出射面として、波長変換された光を出射する反射型の波長変換部材であって、基板には波長変換材料層を複数のブロックに仕切る仕切部材が配置されている。仕切部材の高さは、隣接する仕切部材と仕切部材との間に存在する波長変換材料層の厚みより高く、仕切部材の上面に、波長変換材料の層が形成されている。
【0010】
また本発明の照明装置は、光源と上記波長変換部材とを用いたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、励起光の入射方向も考慮して仕切上面に適切に波長変換材料を配置することによって、仕切で区切られた波長変換層間の光の拡散を効果的に抑制し、且つ出射光の色むらを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明が適用される照明装置の全体概要を示す図
図2】第一実施形態の波長変換部材を示す部分上面図
図3】第一実施形態の波長変換部材を示す部分側断面図
図4】第一実施形態の仕切のサイズを説明する図
図5】(a)、(b)は、第一実施形態及び比較例の波長変換部材における光の経路を説明する図
図6】蛍光体層の塗布に用いるスプレー装置の一例を示す図
図7】(a)は、第一実施形態の仕切の側面図で、(b)〜(d)は、第一実施形態の変更例を示す図
図8】第二実施形態の波長変換部材を示す部分側断面図
図9】(a)、(b)は、それぞれ、第二実施形態の波長変換部材を示す部分上面図
図10】第三実施形態の波長変換部材(一部)を示す図
図11】(a)、(b)は、それぞれ、第四実施形態の波長変換部材(一部)を示す図
図12】第四実施形態の波長変換部材の変更例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の波長変換部材と照明装置の実施形態を説明する。
<照明装置の実施形態>
本実施形態の照明装置は、光源と、光源からの光を受けて、波長変換された光を出射する反射型の波長変換部材と、を備え、波長変換部材として本発明の波長変換部材を採用する。
【0014】
照明装置の態様には、光源と波長変換部材とが、光源から照射され波長変換部材に入射する光の入射角が0度を超える所定の角度となるように配置されているもの(態様1)、光源と波長変換部材との間に、光源からの光を波長変換部材に向けて反射する振動ミラーをさらに備え、波長変換部材における光の入射位置が変更可能なもの(態様2)を含む。本実施形態の照明装置は、一般照明、街路灯、ヘッドランプ等の車両用照明などに適用される。
【0015】
以下、図1を参照して、本実施形態の照明装置の全体構成を説明する。
照明装置100は、図1に示すように、基本的な要素として、レーザー光を発する光源20と、光源20からにより励起されて蛍光を発する波長変換部材10と、を備え、これら光源20及び波長変換部材10を互いに離間した適切な配置となるように支持する支持部材(不図示)や、光源20と波長変換部材10との配置に応じて適宜配置される光学要素30を備えている。
【0016】
図1に示す配置では、光源20は、反射型の波長変換部材10に光を照射し且つ波長変換部材10から出射した光の進路の妨げないために、波長変換部材10の後方に配置され、光学要素30であるミラーによって励起光を屈折させて波長変換部材10に照射するようにしている。波長変換部材10から出た光は、光学要素例えばレンズ40を介して、照明対象50を照明する。なお、図1に示す配置は発光装置の配置の一例であって、例えば、波長変換部材10の光入射面即ち出射面の法線に対し、入射光と出射光が対称となるように光源20を配置する構成などもあり得る。
【0017】
光源20は、波長変換部材10に含まれる波長変換材料を励起し、蛍光を生じさせる光を発するものであれば特に限定されず、高い発光効率を得るために、紫外光から青色光領域に発光波長をもつ発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)などが使用可能である。例えば、GaN系の材料を用いた約450nmの青色光を発するLDを用いることができる。出射光の強度は、光源に必要とされる強度であればよく、具体的には数W〜数百W程度のものを用いる。
【0018】
ミラー30は、励起光を反射する一般的なミラーでもよいが、この実施形態ではミラー30は、光源20からの励起光の波長変換部材10に対する照射範囲を移動制御する。具体的には、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを使用しており、機械的に微小な振動をすることによって、励起光の、波長変換部材10への照射位置を微小な範囲内で変化させることができる。これにより照明対象50に対し、所望の配光パターンで照明することができる。ここでは照明対象50はスクリーンであるが、照明装置の用途によって照明対象は異なるし、具体的な対象物がない場合もあり得る。光源20およびミラー30は、点灯制御装置60により、波長変換部材10の光照射範囲を制御することができるため、本実施形態の照明装置は所望の配向パターンを形成することができ、さらに配光パターンを可変とすることができる。尚、点灯制御装置60は、少なくとも光源20の点灯状態と、ミラー30の傾斜状態を制御する。
【0019】
波長変換部材10は、励起光の入射面と光が取り出される出射面とが同一面となる反射型の波長変換部材であり、反射性を持つ基板11と、基板11の反射性を持つ面に形成された蛍光を発する層15とを備える。本実施形態では、層15は蛍光体を含む層であり、以下、蛍光体層15という。蛍光体層15に含まれる蛍光体は、光源20が発する光により励起されて光源20からの光とは異なる波長の光(蛍光)を発するものであれば、特に限定されず、YAG系、SiAlON系等公知の蛍光体を用いることができる。
【0020】
蛍光体層15には、入射した光やそれにより蛍光体が発する光の進路を、目的とする配光パターンの形状内に制限するために、格子状の仕切部材(図1では不図示)が設けられている。仕切部材は、蛍光体層15をその出射面と直交する方向に多数の区画に区切るように基板11の上に設けられている。基板11、蛍光体層15及び仕切の詳細は、波長変換部材の実施形態において詳述する。
【0021】
このような照明装置において、光源20から直接或いはミラー等を介して波長変換部材10に照射された光は、波長変換部材10の蛍光体層15に入射し、ここで蛍光体層15に含まれる蛍光体を励起する。これにより蛍光体から発せられる蛍光及び光源からの光は、一部は散乱して波長変換部材10の光出射面から出射し、一部は基板11の反射面や仕切部材の側面で反射されて光出射面から出射する。光源20からスポット状に照射された光の束を考えた場合、巨視的には、光は幾何光学に従った角度で出射される。即ち入射角(法線に対する入射光の角度)と出射角(法線に対する出射光の角度)は同じである。
【0022】
従来の照明装置のように仕切部材が存在する場合、光源20からの光は蛍光体層15だけでなく、蛍光体層15から露出した仕切部材の上面にも照射される。仕切部材の材質にもよるが、仕切部材の上面で光はある程度反射される。この反射光は光源20からの光であり、蛍光体層13から出射される光とは波長(色)が異なるため、出射光には仕切部材に起因する色むらを生じる。本実施形態の照明装置は、仕切部材の形状や上面材質を工夫した波長変換部材を用いることで、この色むらの問題を解決している。波長変換部材の詳細は後述する。
【0023】
本発明の照明装置は、適宜なプロジェクタレンズ等の光学系と組み合わせて配光パターンを可変とした車両用灯具を構成することができる。例えば、ロービーム配光とハイビーム配光を切り替え可能とした車両用灯具を構成することができる。さらに、例えば、ハイビーム配光の一部を非照射とする配光を形成することもできる。例えば、自車両に搭載されたカメラにより前方車両を撮影して得られる画像を用いて前方車両のランプ(テールランプまたはヘッドランプ)の位置を検出し、前方車両の位置を非照射範囲とした配光パターンを形成することができる。これにより前方車両へのグレアを抑制するとともに歩行者の早期発見や遠方視認性の向上を図ることのできる車両用灯具を提供することができる。
【0024】
次に本発明の波長変換部材の各実施形態を説明する。
【0025】
<第一実施形態>
本実施形態の波長変換部材は、図2及び図3に示すように、基板11と、基板11の主平面に対し垂直に立設された仕切17と、基板11の上に形成された蛍光体層15とを備える。なお図2及び図3は、説明のために波長変換部材の一部のみを示している。また図2において蛍光体層15は省略している。
【0026】
基板11は、Al、Cu等の金属、シリコン、サファイア、炭素等の非金属などからなり、特に放熱性のよい材料が好ましい。また基板11の、蛍光体層15が形成される面に光を反射する反射面が形成されている。反射面は基板11の表面を鏡面加工することによっても形成してもよいし、Al、Ag等の金属の薄膜で反射層(図2、3では不図示)を形成してもよい。Ag等の酸化されやすい反射膜を採用する場合には、さらにその上に保護膜(不図示)を設けてもよい。保護膜としては、酸化されにくく且つ反射膜の反射性を阻害しない材料、例えば、Ti、Ptなどの金属膜やAl、TiOなどの金属酸化膜を用いることができる。
【0027】
仕切17は、基板11上の空間を複数の区画(キャビティ)に区切るもので、典型的には、図2に示すような格子構造を持つ。但し所定のキャビティが形成されるものであれば、直交格子のほか、ハニカム構造などでもよい。本実施形態の波長変換部材においては、仕切17の断面は概ね長方形であり(図7(a)参照)、側面は基板11の主平面と直交し、上面は基板11の主平面と平行である。なお側面と上面との交差する角は、丸みを持たせたり、切欠きにしてもよい。
【0028】
このような格子構造の仕切17は、基板11をエッチングすることにより形成することができ、これにより基板11と一体であるため構造が堅固で所望の形状の格子構造を容易に製造することができる。上述した反射膜及び必要に応じて保護膜は、基板11に仕切17を形成した後、形成することができ、この場合、仕切17の側面や上面にも反射膜を形成することができる。なお、仕切17の形成方法としては、別途作成した格子構造を基板11に接着する方法もあり得る。
【0029】
仕切17のサイズは、波長変化部材10自体の大きさや波長変換部材10が適用される照明の種類などによって適宜設計されるものであって特に限定されるものではないが、一例として、基板のサイズが、20mm×20mm程度の波長変換部材の場合、図4に示すように、高さHが5μm〜50μm、仕切で区切られた区画(キャビティ)の大きさが100μm×100μm程度である。仕切の幅Dは、加工性やキャビティの大きさを確保するため、通常、1μm〜20μmであることが好ましいが、本実施形態の波長変換部材10は、後述するように、仕切17の上面に蛍光体13を含む蛍光体層15が形成されるために、蛍光体層15に含有される蛍光体13の粒子径と同程度かそれ以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。具体的には、仕切17の幅Dは、平均粒径以上、平均粒径の2倍以上であることがより好ましい。この場合において、平均粒径は、蛍光体粒子を分散した蛍光体層用塗料(後述)を調整する前の、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布から算出した体積平均である。なお仕切のピッチは、キャビティの一辺の幅S+仕切の幅Dで規定される。
【0030】
蛍光体層15は、基板11の、仕切17が形成されていない部分11aだけでなく、仕切17の側面17bと上面17aを覆うように設けられる。但し、図3及び図4に示すように、基板11の部分11aにおける蛍光体層15の厚みTは、仕切17の高さHより低くする。これにより仕切17で区切られるキャビティに照射された光及びそのキャビティ内で発する蛍光が、それに隣接するキャビティに拡散するのを防止することができる。その理由を、図5を用いて詳述する。
【0031】
図5(b)に示すように、例えば、蛍光体層15の厚みが仕切17の高さより高く、仕切17を覆うように蛍光体層15が形成されている場合(比較例)、仕切17の上側に位置する蛍光体層15の部分15cは、仕切17で区切られる2つのキャビティC1、C2に跨って存在するため、キャビティC1の上の方で発生或いは散乱した蛍光や光源光(点線矢印)が隣のキャビティC2に拡散し、キャビティC2でも蛍光が発生する。従って仕切17によって蛍光体層15を区切った効果が損なわれる。
【0032】
これに対し図5(a)に示すように、蛍光体層15の厚み(仕切の表面に存在する蛍光体層を除く)が仕切の高さより小さい(薄い)場合には、蛍光体層で発生或いは散乱する光(点線矢印)は、拡散しても仕切17で遮られ、隣の区画に入り込む光を大幅に低減される。即ち仕切17の効果が維持される。また、仕切17の上面に形成された蛍光体層15の厚みは、仕切のない部分11aにおける蛍光体層15の厚みより小さいことから、仕切17の上面に形成された蛍光体層15を経由しての伝搬光は小さいため、仕切17の効果が維持される。
【0033】
また仕切17の上面に照射された光は、上面に形成された蛍光体層15に入射し、そこで蛍光に変換されて出射される。即ち波長変換部材10から出射される光は、仕切17のない部分11aからの光も仕切17上面からの光も、ともに蛍光体層15からの蛍光を含む光であるため、色むらの無い光となる。
【0034】
次に蛍光体層15を構成する各材料と製造方法について説明する。
【0035】
蛍光体層15は、蛍光体単独の層であってもよいが、製造しやすさ等の観点から蛍光体粒子13とバインダーとを含む層が好ましい。蛍光体粒子13は、光源20からの光によって励起されて蛍光を発するものであり、励起光の波長及び波長変換部材10の目的とする発光色に応じて種々の公知の蛍光体から選択して用いられる。一例として、波長約450nmの青色の励起光と波長550〜580nmの黄色蛍光を発するYAGを組み合わせた場合、励起光と蛍光とが混合した白色光が得られる。
【0036】
蛍光体13は、通常、粉末或いは粒状体の形態で用いられる。一般に入手可能な粉末或いは粒状体の平均粒子径は5μm〜30μm程度であり、本発明においても、この入手可能な平均粒子径の蛍光体を用いることができるが、特に仕切17の上面に形成される蛍光体層15については、蛍光体の粒子径が仕切17の幅より小さいことが望ましく、必要に応じて分級などを行い小さい粒子径の蛍光体を用いる。また蛍光体は、その粒子径分布の変動係数が小さい方が好ましい。これにより平均粒子径よりも大きな粒子が含まれる割合が少なくなるため、確実に仕切17の上面に蛍光体(層)を載せることができる。
【0037】
蛍光体13の含有量は、蛍光体層15が蛍光体とバインダーを含む層である場合、蛍光体層を構成する材料(固形分)に対し10〜80重量%であることが好ましい。なお蛍光体層15は、その厚み方向において蛍光体の含有量が均一でない場合を含み、例えば、蛍光体を含む層の上に蛍光体を含まない樹脂層が積層されて蛍光体層15を構成する場合もあり得る。上記蛍光体の含有量は、このような積層体である蛍光体層の全体に対する蛍光体の含有量を意味する。
【0038】
バインダーとしては、光の吸収が少ない、即ち透光性の良好で且つ耐熱性の優れる材料が用いられる。具体的にはガラスバインダーや、エチルシリコーン、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン等のシリコーン樹脂などの樹脂系バインダーを用いることができる。上述した複数の層を積層して蛍光体層15を形成する場合、異なる種類のバインダーを用いることも可能である。
【0039】
蛍光体層15は、上述した蛍光体及びバインダーの他に、光の拡散性を高めるためや仕切17に対する蛍光体層15の被膜性を高めるために、散乱剤を加えてもよい。散乱剤としては耐熱性のある樹脂からなる樹脂ビーズやガラスビーズなどを用いることができる。添加量は、蛍光体層15を構成する材料(固形分)の90%以下であることが好ましく、1〜50%がより好ましい。
【0040】
なお蛍光体層15は、上述の通り蛍光体とバインダーを含む層であることが好ましいが、その一部に蛍光体板を用いることも可能である。蛍光体板は、蛍光体粉末をガラス中に分散させたものや、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、蛍光体セラミックス等を用いることができる。
【0041】
蛍光体層15は、上述した材料と粘度調整のために加えられる溶剤を含む蛍光体層用塗料を用意し、塗工或いは噴霧塗布など公知の方法を用いて、キャビティ内及び仕切の側面及び上面に層及び被膜を形成することで形成することができる。噴霧塗布に用いるスプレー装置としては、例えば、図6に示すようなスプレー装置70を用いることができる。このスプレー装置の吐出部は、スプレー液を出すニードル71と霧化用ノズル72とを備えており、ニードル71がノズル72の開口のほぼ中心に位置する。ノズル72からは、霧化のためのガスが噴出される。このとき、ノズル72は、ニードル71から出る液に向かってガスを噴出するように構成されている。これにより、スプレー液が霧化されたガスは、図6のように一度絞られ、一般的なスプレー装置に比べて微小サイズでかつ微量のスプレーが可能になる。なおスプレー装置としては蛍光体粒子を均一な分布で塗布できるスプレー装置であれば他の方式でも可能である。
【0042】
塗工或いは噴霧塗布の際に用いる溶剤は、特に限定されないが、キシレン、アルコール系溶剤などの有機溶剤を用いることができる。蛍光体層を噴霧塗布によって形成する場合、蛍光体層用塗料(スプレー)の粘度が20〜500mPaであることが好ましい。塗料の粘度は、蛍光体の含有量、添加する溶剤、塗料の温度などを調整することにより、所望の成膜に好適な粘度に調整することができる。
【0043】
また、蛍光体層15を形成する際に、キャビティ内の層と仕切の側面及び上面とでは成膜手法やステップを異ならせてもよい。例えば、まずキャビティ内に所定の層厚の蛍光体層15を形成した後、噴霧塗布によって仕切17の表面全体を覆うように蛍光体層15を形成する。キャビティ内の蛍光体層については、所定の厚みの蛍光体板を配置してもよいし、蛍光体の含有量の異なる塗料を複数段階に分けて形成してもよい。仕切17表面については、噴霧塗布法を用いることで、任意の方向から噴霧塗布できるので、その吹付条件を制御することによって、側面及び上面について蛍光体層15の厚みを制御しやすく、任意の厚み且つ均一な層厚の蛍光体層を形成することができる。
【0044】
塗工或いは噴霧塗布後に、所定の温度に所定時間保ち、バインダーを硬化させる。蛍光体層15の厚みは、キャビティ内については、1〜50μm程度が好ましく、また全体として最も薄い領域で1μm〜20μmの範囲であることが好ましい。
【0045】
本実施形態によれば、光のにじみを防止するための仕切を有する波長変換部材において、仕切で区切られるキャビティにおける蛍光体層の厚みを仕切部材の高さより低くするとともに蛍光体層から露出する仕切の部分、側面と上面、を蛍光体層で覆った構造とすることにより、キャビティ間の光の拡散を効果的に遮断して「にじみ」防止効果を確保しながら、仕切の上面における励起光の反射による色むら発生の問題を解消することができる。
【0046】
本実施形態の波長変換部材を、光源と波長変換部材とを組み合わせた照明装置に用いることにより、にじみと色むらの低減された照明装置が提供される。これにより明瞭な配光パターンを持ち、均一な色味の照明が得られる。
【0047】
<第一実施形態の変更例>
本変更例は、仕切17の断面形状が図5に示す仕切と異なる。それ以外の構成は、第一実施形態で説明した波長変換部材と同じである。
【0048】
仕切17の断面形状が異なる変更例を図7(b)〜(d)に示す。図7(a)は第一実施形態の仕切17である。図7(b)、(c)に示す仕切17は、上面が周囲から内側に向かって凹んだ形状になっている。上面を凹んだ形状とすることにより、上面の上に蛍光体層15を形成しやすくでき、また上面の上に所定の蛍光体層15の厚みを確保することができ、色むら解消の実効性を高めることができる。例えば円弧状の場合(b)、仕切17の幅を蛍光体13の直径とほぼ同等(例えば15μm程度)にすることにより、蛍光体粒子13が凹部に収まり上面から滑り落ちるのを防止できる。またV字状の場合(c)にもV字状の溝に蛍光体粒子が収まりやすく、円弧状の場合よりも幅が狭くても(例えば10μm)、円弧上の場合と同様に、蛍光体粒子が滑り落ちるのを防止できる。
【0049】
図7(d)に示す仕切17は、上面に凹凸が形成されている。上面に凹凸を設けることにより、上面に形成される蛍光体層或いは上面に載る蛍光体と上面との密着性を高め、蛍光体が上面から滑り落ちるのを防止できる。具体的には、仕切上面に蛍光体層15を形成する際に、上面に塗布された蛍光体層用塗料のうち、溶剤が凹凸の溝に入り込むことによって蛍光体層用塗料を仕切上面に保持し、蛍光体を仕切上面に留めことができる。溝に入り込んだ溶剤は溝から仕切側面に流れるが最終的には揮発する。
【0050】
<第二実施形態>
本実施形態は、仕切の断面形状は第一実施形態と同様であるが、光源からの光の入射角を考慮して、蛍光体層15を形成しない領域を設けた点が異なる。本実施形態は、波長変換部材に対する光源からの光の入射角が一定であって且つ0度より大きい場合に適用される。それ以外の構成は第一実施形態と同様であり、重複する説明は省略する。
【0051】
本実施形態の波長変換部材は、図8に示すように、仕切17で区切られるキャビティ底面(基板11の部分11a)の全面に蛍光体層15を設けるのではなく、光の入射する側と反対側の光が照射されない領域に、蛍光体層15が形成されない領域C1が設けられる。図示する例では、光源からの光は、仕切17の左側から照射されており、仕切17が存在することによって仕切17の右側には光が照射されない領域C1が存在する。この領域C1の幅Wは、仕切17の高さをH、光の入射角をθとすると
W≦H×tanθ
である。
【0052】
本実施形態では、例えば、この領域C1を所定のマスク材料或いはマスク部材で覆った状態で蛍光体層15を形成する。蛍光体層15の形成方法は、第一実施形態と同様に、キャビティ内に形成した後に、仕切の一方の側面(図8では左側の側面)と上面に蛍光体層用塗料を噴霧塗布してもよいし、全体に光の照射方向と同様の斜め方向からノズルを向けて噴霧塗布し、キャビティ内と仕切の側面及び上面とに同時に蛍光体層15を形成することも可能である。
【0053】
なお図8では、例えば、X方向とY方向の二方向に延びる仕切のうち、一方の仕切についてその片側から光が照射される場合を示したが、他方の仕切(一方と直交する仕切)については、第一実施形態と同様に図3に示したように、仕切の両側面に蛍光体層15を設けてもよい。図9(a)は、本実施例の波長変換部材の一部を上から見た図であり、ここでは、光源20からの光は、Y方向の仕切17Yに平行に入射されており、X方向の仕切17Xについて、図8で示したように、蛍光体層15が形成されない領域C1(図中、斜線で表した領域)が設けられている。
【0054】
また光の進行方向が、X方向及びY方向のいずれに対しても角度を持つ場合には、図9(b)に示すように、仕切17X及び仕切17Yの両方について、光が照射されない側に、蛍光体層15が形成されない領域C1を設けてもよい。
【0055】
本実施形態によれば、照明装置への適用に際して、光の入射方向に対する制限があるが、キャビティごとに設けられる蛍光体層15が領域C1によって隔てられ、キャビティごとの蛍光体層15間に導光手段がないので、キャビティ間の光の拡散を確実に防止して「にじみ」の問題をなくすことができる。また光の照射側から見たとき、蛍光体層15が途切れることなく存在し、照射された光は確実に蛍光体層15に入射し、蛍光体層15から出射するので、蛍光体層15以外の部材で光が反射することに起因する色むらをなくすことができる。さらに、蛍光体層15を斜めからの噴霧塗布によって形成した場合には、一度の工程でキャビティと仕切17の側面及び上面に蛍光体層15を形成することができ、製造も容易である。
【0056】
<第三実施形態>
本実施形態は、仕切の側面形状を、基板11の主平面に対し内側に傾斜させた(逆テーパ状にした)ことが特徴である。その他の構成は第一実施形態と同様であり、以下、異なる点を中心に説明する。
【0057】
本実施形態の波長変換部材も、反射面を持つ基板の上に、格子構造の仕切が形成されていること、仕切によって形成されるキャビティ内に、仕切の高さより厚みの小さい蛍光体層が形成されていることは第一実施形態と同様である。しかし、本実施形態の波長変換部材10は、図10に示すように、仕切17の断面が逆テーパ形状であり、この傾斜した側面には蛍光体層15が設けられていない。蛍光体層15は、キャビティの底面と仕切17の上面のみに形成されている。
【0058】
仕切の側面の傾斜角度(基板の法線と側面とがなす角度φ)は、予定される励起光の入射角より大きいことが好ましく、例えば励起光の入射角+5度以上である。仕切の高さは、それより厚みが小さい蛍光体層15の厚みとして波長変換に必要な厚みが確保できる高さであればよく、第一実施形態と同様で、5μm〜50μmである。上面の大きさは、キャビティの大きさと同程度以下であることが好ましい。このようなサイズとすることにより、比較的大きな蛍光体の粒子であっても仕切上面に配置することができ、色むらを改善できる。
【0059】
このような形状の仕切17も、基板11をエッチングすることにより形成することができ、例えば、仕切17の上面のサイズで決まる大きさの直方体キャビティをまずエッチングにより作成し、その後、下から順にエッチング量を制御したエッチングを段階的に行うことにより、テーパ形状を形成することができる。また別の方法として、断面形状が三角形の仕切を別途作製するとともに、基板10に仕切17の三角形の先端部分と同形の溝を形成しておく。この断面三角形の溝に、仕切を断面が逆三角形となるように配置し、固定する。
【0060】
蛍光体層15については、例えば、基板及び仕切の上面に噴霧用ノズルをある程度近接した状態で噴霧塗布することにより、仕切の側面には蛍光体層15が形成されず、仕切上面及びキャビティ内に均一な厚みの蛍光体層15を形成することができる。
【0061】
本実施形態によれば、仕切の側面をテーパ状とし、この部分には蛍光体層15がない構造とすることにより、キャビティ内の蛍光体層15を仕切によって確実に区切ることができ、確実なにじみ防止効果が得られる。また逆テーパ状であることから、そのテーパ角度以内の入射角であれば、どの方から励起光が照射された場合にも、仕切の側面に励起光が直接照射され且つ反射されるおそれがない。さらに仕切上面に蛍光体層15が存在することにより、出射光の色むらをなくすことができ、特に光の入射角が±φ度の範囲において、光の照射側から見たときにほぼ均一な厚みの蛍光体層15が連続しているので、厚みの不均一に伴う色むらも低減される。
【0062】
なお本実施形態において、X方向の仕切とY方向の仕切の両方において、それぞれ側面を逆テーパ状としておくことにより、側面には蛍光体層15が形成されず、仕切上面とキャビティ内に蛍光体層15が形成された波長変換部材が得られ、上述の効果が得られるが、本実施形態の波長変換部材は、X方向とY方向の一方のみの側面を逆テーパ状にした波長変換部材も含む。このような波長変換部材についても、照明装置に適用したときの光源光の入射方向との対応を適切にする、即ち逆テーパ状の側面を持つ仕切の方向と入射側とが一致するようにすれば、同様の効果が得られる。
【0063】
また本実施形態についても、第一実施形態の変更例と同様の変更、すなわち上面に凹みや凹凸を設ける構成を採用することも可能である。
【0064】
<第四実施形態>
第三実施形態は、蛍光体層15を区切る仕切17の両側面を逆テーパ状にしたものであるが、本実施形態の波長変換部材では、光源光の入射方向に合わせて、仕切17の両側面を同じ向きの傾斜にしたことが特徴である。
【0065】
本実施形態の波長変換部材は、図11に示すように、基板11の上に形成された仕切が全体として傾斜した形状を有している。即ち仕切17の上面は基板11の主平面と平行であるが、両側面が同じ方向に傾斜し、仕切17の断面形状が平行四辺形である。図11(a)に示す例では、図中、左側から光が入射し、(b)に示す例では、図中、右側から光が入射する構成である。側面の傾きの方向は、光の入射方向と同じ、即ち法線に対する側面の傾斜角度は光の入射角と同程度である。仕切17の高さや幅は、第三実施形態と同様であるが、第三実施形態は上面から下に向かって幅が狭くなっているのに対し、本実施形態の仕切17は幅が上面から下まで一定なので、製法及び構造の観点で、上面の幅の下限は第三実施形態よりも小さくすることができる。
【0066】
製造は第三実施形態の波長変換部材と同様であるが、上面から噴霧塗布する場合には、仕切17の片側又は両側の側面をマスクして蛍光体層用塗料を塗布することにより、側面を避けて蛍光体層を形成することができる。
【0067】
蛍光体層15は、第二実施形態と同様に、仕切17によって形成されるキャビティCの底面と仕切17の上面に形成され、仕切17の側面には形成されていない。このような蛍光体層15がキャビティごとに独立し、隣接するキャビティの蛍光体層15間をつなぐ導光手段がないので、光の拡散によるにじみが確実に防止される。また照射された光は全て蛍光体層15に入射し、そこから出射するので、色むらの発生も防止できる。
【0068】
なお図11では、仕切の両側面に蛍光体層15が形成されていない場合を示したが、図12に示すように、例えば光照射側と反対側に位置する側面17bだけに蛍光体層15を形成しない構成も採りえる。この場合も、図3に示す波長変換部材と同様に、「にじみ」と「色むら」のない出射光を実現できる。
【0069】
以上、本発明の波長変換部材の各実施形態を説明したが、これら実施形態の波長変換部材は、いずれも図1に示すような、光源と組み合わせた照明装置に適用することができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の実施例を説明する。なお以下の実施例において、「%」「部」は特に断らない限り重量基準である。
【0071】
<実施例1>
シリコン基板(大きさ:20mm×20mm、厚み:0.5mm)の一方の面にドライエッチング法により格子状の仕切を形成した。仕切のサイズは、幅:10μm、高さ:50μm、ピッチ:110μmとした。これにより仕切によって区切られたキャビティサイズは100μm×100μmである。
【0072】
次いで仕切が形成された基板の片面に蒸着法によりアルミニウムの反射膜(100nm)を形成した。
【0073】
下記処方の蛍光体層用塗料、[蛍光体塗料A]及び[バインダー塗料B]を用意した。蛍光体塗料Aのスプレー液粘度は、100mPa・sであった。バインダー塗料Bは粘度調整することなく用いた。
[蛍光体塗料A]
YAG系蛍光体(平均粒子径:15μm) 50%
エチルシリケート化合物 3%
有機溶剤 残部
[バインダー塗料B]
エチルシリケート化合物 10%
有機溶剤 残部
【0074】
上述のように片面に仕切を作成した基板の表面(仕切を形成した面)に、蛍光体塗料Aを図6に示すスプレー装置を用いてスプレー塗布し、キャビティ内及び仕切の側面及び上面に蛍光体層の第一層を形成し、第一層を150℃で4時間加熱し、乾燥、硬化した。次いで第一層の上に、バインダー塗料Bをディスペンサーで適量吐出し、低粘度化する温度で蛍光体粒子間に含浸させて、その後本硬化を経て、第一層及びバインダー層からなる平均厚み20μmの蛍光体層を形成した。これにより図3に示すような波長変換部材を作製した。
【0075】
<実施例2>
実施例1と同様に、シリコン基板の一方の面に、SF、Cを用いたDeep RIEエッチング法により格子状の仕切を形成した。仕切のサイズは、上面の幅:30μm、高さ:17μm、傾斜角度(法線に対するテーパの角度)φ:30度とした。仕切によって区切られたキャビティサイズは100μm×100μmである。
【0076】
次いで蒸着法による仕切が形成された基板の片面にアルミニウムの反射膜(100nm)を形成した後、実施例1と同様に、基板の上面からスプレー装置を用いて蛍光体塗料Aをスプレー塗布し、乾燥硬化後、さらにバインダー塗料Bを塗布し、平均厚み20μmの蛍光体層をキャビティの底部及び仕切の上面のみに形成した。これにより図10に示すような波長変換部材を作製した。
【0077】
実施例1及び実施例2で得た波長変換部材に対し、波長450nmのレーザー光(励起光エネルギー:3W)を入射角0度で照射し、波長変換部材から出射される光について「色むら」を観察した。「色むら」の観察は、CCDカメラを有する輝度及び色度の空間分布の測定器(Prometric:Radiant Zemax社製)により行った。参考例として、仕切の上に蛍光体層を設けないものについても同様の観察を行った。
その結果、参考例の波長変換部材を用いた場合には、格子に対応する格子状の色むら(青い部分)が観察されたが、実施例1及び実施例2のいずれの波長変換部材においても、格子状の色むらが殆ど見られなかった。
【符号の説明】
【0078】
100・・・照明装置、10・・・波長変換部材、11・・・基板、13・・・蛍光体(粒子)、15・・・蛍光体層、17・・・仕切、20・・・光源、30・・・光学要素(ミラー)、C・・・区画(キャビティ)。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12