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特開2016-218508電子文書を作成するためのクラウドコンピューティングシステム、方法、プログラム及び媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-218508(P2016-218508A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】電子文書を作成するためのクラウドコンピューティングシステム、方法、プログラム及び媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20161125BHJP
【FI】
   G06Q10/00 100
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-99074(P2015-99074)
(22)【出願日】2015年5月14日
(11)【特許番号】特許第5998249号(P5998249)
(45)【特許公報発行日】2016年9月28日
(71)【出願人】
【識別番号】514003821
【氏名又は名称】アカウンティング・サース・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】石川 雄樹
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、税理士などの専門家が委託元の従業員のマイナンバーを直接的に取得、保管又は利用することなく、マイナンバーが記載された税務申告等の電子文書を関係省庁に送信できる態様で作成する手法を提供することにある。
【解決手段】
上記目的は、主として、ペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて個人番号データを取得するステップと、個人番号データを電子文書送信用データに挿入するステップとを実行するウェブサーバを備える電子文書作成用クラウドコンピューティングシステムにより解決される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するためのクラウドコンピューティングシステムであって、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップと、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データと前記ステップ(2)により格納された個人情報データとを関連付けるステップと、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップと、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップと
を実行するウェブサーバを備える、前記クラウドコンピューティングシステム。
【請求項2】
前記電子文書送信用データが、前記第2のユーザによって追加して入力された情報を含む電子文書送信用データである、請求項1に記載のクラウドコンピューティングシステム。
【請求項3】
ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成方法であって、
前記ウェブサーバに、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップと、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データと前記ステップ(2)により格納された個人情報データとを関連付けるステップと、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップと、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップと
を実行させることを含む、前記電子文書作成方法。
【請求項4】
ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成プログラムであって、
前記ウェブサーバに、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップと、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データと前記ステップ(2)により格納された個人情報データとを関連付けるステップと、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップと、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップと
を実行させるための前記電子文書作成プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関係省庁が提供するクライアントソフトを通じて提出が可能な電子文書を作成するためのクラウドコンピューティングシステム、方法、プログラム及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
平成25年5月31日に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」が公布され、いわゆるマイナンバー制度の整備が進みつつある。マイナンバー制度下では、個人に特定の個人番号(マイナンバー)が付与され、個人がマイナンバーで各種手続を行うことができることから、国民の利便性の向上、行政の効率化、給付金などの不正受給の防止などの公平・公正な社会の実現などが期待されている。なお、マイナンバー制度は、社会保障・税番号制度ともよばれる。
【0003】
マイナンバー制度では、個人には12桁の個人番号が付与される。現在のところ、個人番号には利用制限が設けられており、その利用は社会保障及び税の手続並びに災害対策の行政手続に限定される。しかし、将来的には利用範囲の拡大が検討及び期待されている。
【0004】
マイナンバーを地方自治体から通知されるのは個人であり、マイナンバーはそれ単体で特定個人情報となり、法律に規定するもの以外ではその収集、保管、利用などが禁止される。したがって、マイナンバーを個人から取得するときは、利用目的の明示及び厳格な本人確認が必要とされる。また、マイナンバーを含む内容は 特定個人情報であることから、通常の個人情報に比較して漏洩などに対する罰則規定が厳しくなる。
【0005】
例えば、個人情報保護法の下では規制の対象外の中小事業者であっても、マイナンバー制度下では個人番号を1件でも取り扱えば規制の対象となる。すなわち、1名以上の従業員を雇用している中小事業者は個人番号関係事務実施者になり、個人番号を含む特定個人情報の取り扱いについて、様々な義務や責務などを負うことになる。
【0006】
現状では、人的資源が不足している中小事業者の多くは、税や社会保障などについての書類作成は税理士や社会保険労務士などの専門家に委託している場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、例えば、税理士の主業務である税務申告の業務でマイナンバーの記載が必要になる。その結果、中小事業者の委託を受けてマイナンバーを取り扱う税理士事務所もまた個人番号関係事務実施者になり、特定個人情報に関する義務や責務などを負うことになる。
【0008】
このような税理士などの専門家は委託元の従業員のマイナンバーの取得、保管及び利用が求められるところ、広範囲な業務でマイナンバーを扱う専門家はその流出のリスク及び罰則への不安に苛まされることになる。また、マイナンバーを専門家が保管する場合、設備、教育などの有形無形の経済的負担が大きくなる。
【0009】
そこで、本発明は、税理士などの専門家が委託元の従業員のマイナンバーを直接的に取得、保管又は利用することなく、マイナンバーが記載された税務申告などの電子文書を関係省庁に送信できる態様で作成する手段を提供することを、発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討したところ、個人情報データとマイナンバー(個人番号)データとに共通の固有ペアリングキーを付与し、かつ、これらを別々に格納すること;税理士などの専門家には個人情報データに基づいて電子文書を作成し、関係省庁に送信できる態様の電子文書送信用データに変換すること;電子文書送信用データにある個人情報データに関連付けられたペアリングキーに基づいて個人番号データを取得し、電子文書送信用データに個人番号データを挿入することが実現できれば、税理士などの専門家が委託元の従業員のマイナンバーを直接的に見知ることなく、マイナンバーが記載された税務申告などの電子文書を関係省庁に送信できる態様で作成することができるのではないかと考えた。
【0011】
一方、最近、クラウドコンピューティング(以下、単にクラウドともよぶ)というコンピュータの利用形態が提案されている。クラウド環境においては、ユーザがコンピュータ処理をネットワーク経由でサービスとして利用する。クラウド環境上にネットワークサービスシステムを構築することにより、サービス提供者は、ソフトウェアの更新を随時実施できるなどのメリットがある。
【0012】
そこで、本発明者らは、上記のマイナンバーが記載された電子文書を作成するためのクラウドコンピューティングシステムを創作することに成功した。本発明はこれらの知見や成功例に基づいて完成されたものである。
【0013】
したがって、本発明によれば、
個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するためのクラウドコンピューティングシステムであって、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップと、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データと前記ステップ(2)により格納された個人情報データとを関連付けるステップと、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップと、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップと
を実行するウェブサーバを備える、前記クラウドコンピューティングシステムが提供される。
【0014】
本発明の別の側面によれば、
ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成方法であって、
前記ウェブサーバに、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップと、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データと前記ステップ(2)により格納された個人情報データとを関連付けるステップと、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップと、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップと
を実行させることを含む、前記電子文書作成方法が提供される。
【0015】
本発明の別の側面によれば、ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成プログラムであって、
前記ウェブサーバに、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップと、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データと前記ステップ(2)により格納された個人情報データとを関連付けるステップと、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップと、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップと
を実行させるための前記電子文書作成プログラムが提供される。
【0016】
本発明の別の側面によれば、本発明のプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体が提供される。
【0017】
好ましくは、前記電子文書送信用データが、前記第2のユーザによって追加して入力された情報を含む電子文書送信用データである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、税理士などの専門家が委託元の従業員のマイナンバーを直接的に取得、保管又は利用することなく、マイナンバーが記載された税務申告等の電子文書を関係省庁に送信できる態様で作成することができる。
【0019】
そこで、本発明によれば、マイナンバーの入力にも確認にも、税理士などの専門家を関与させないことが可能であることから、専門家からのマイナンバーの流出リスクを事実上ゼロにすることが可能である。また、セキュアなクラウド上でマイナンバーを保管し、本人しかアクセスできないことから、マイナンバー保管のための経済的負担を削減することができる。さらに、クラウド上の電子文書データを適宜アップデートすることにより、専門家は常時最新の申請用の電子文書を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態の構成例を示した図である。
図2図2は、本発明による処理手順の一具体的態様を示したフローチャート図である。
図3図3は、本発明の具体的利用態様の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のクラウドコンピューティングシステムは、個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するためのクラウドコンピューティングシステムであって、以下の処理を実行するウェブサーバを備える。ただし、本発明の課題を解決し得る限り、下記処理の前段若しくは後段又は処理中に種々の処理を加入すること、処理の順序を逆転すること又は処理を同時的若しくは並列的に実行することができる。
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップと、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データと前記ステップ(2)により格納された個人情報データとを関連付けるステップと、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップと、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップ。
【0022】
本発明のクラウドコンピューティングシステムによって作成される電子文書は特に限定されず、例えば、税、社会保険、災害対策などに関系する申告書、申請書、届出書、申立書、調書、請求書などが挙げられるが、好ましくは税関系の電子文書である。ただし、マイナンバーの利用用途が広がるにつれて、本発明のクラウドコンピューティングシステムによって作成される電子文書の種類もまた拡大し得る。
【0023】
図1は、本発明のクラウドコンピューティングシステムを含む構成例の一例を示す。図1において示されるとおり、ユーザは、クライアントデバイス1やクライアントデバイス3などの複数のクライアントデバイスを用いて、ネットワーク2を経由して、クラウドコンピューティングシステム4が備えるウェブサーバにアクセスして、電子文書を作成する。
【0024】
作成した電子文書は、クラウドコンピューティングシステム4のウェブサーバを経由して関係省庁5に提出することができる。このように、本発明のクラウドコンピューティングシステムは、関係省庁に送信できる態様で電子文書を作成するだけではなく、作成した電子文書を関係省庁に提出する機能を有することが好ましい。
【0025】
本発明のクラウドコンピューティングシステムによる電子文書の作成手順の具体的態様の一例は、図2に示すフローチャートによって示される。すなわち、第1のユーザは、PC端末やタブレット端末などのクライアントデバイスを用いて、ネットワークを経由して、クラウドコンピューティングシステムが備えるウェブサーバにアクセスする。クラウドコンピューティングシステムが備えるウェブサーバにユーザがアクセスする方法は特に限定されず、例えば、専用及び汎用のブラウザやソフトウェアなどが挙げられるが、好ましくは汎用のウェブブラウザである。
【0026】
第1のユーザが、例えば、汎用のウェブブラウザを介してクラウドコンピューティングシステムが備えるウェブサーバにアクセスすると、ウェブブラウザ上にユーザ認証画面が表示される。このユーザ認証画面において、第1のユーザは、予め登録しておいた認証ID及び認証記号(パスワードなど)を入力する(図2のS101)。認証ID及び認証記号は特に限定されず、例えば、それらは同一のものでも相違するものでもよいが、好ましくは認証IDと認証記号とはそれぞれ相違するものである。認証ID及び認証記号に使用する文字は特に限定されず、数字、アルファベット、記号及びそれらの組み合わせなどが利用できる。第1のユーザは、マイナンバーが付与された者であってもよいし、マイナンバーを取得及び管理する者であってもよい。
【0027】
第1のユーザによって入力された認証ID及び認証記号は、ウェブサーバ上の個人情報データベースに照合され(図2のS102)、それらの組み合わせが予め登録されたものであり、これらとともに登録された個人情報データ(図2のS103)がある場合、個人番号の入力欄を表示し(図2のS104)、かつ、個人情報データが呼び出される(図2のS105)。呼び出された個人情報データは、ウェブブラウザ上に表示させてもよいし、表示させなくてもよい。
【0028】
個人番号の入力欄に個人番号を入力すると、個人番号は個人番号データとなり(図2のS106)、呼び出された個人情報データ(図2のS107)とともに固有ペアリングキーが付与される(図2のS201)。個人番号データ及び個人情報データに付与されるペアリングキーは、互いに同一のものであることが好ましいが、互いに関連付けられていれば相違するものでもよい。
【0029】
ペアリングキーが付与された個人情報データ(図2のS202)及び個人番号データ(図2のS203)は、それぞれ個別に分離して格納される。ペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に分離して格納する方法は特に限定されないが、例えば、2個のウェブサーバにそれぞれのデータを格納する方法や1個のウェブサーバの2個のパーティション領域にそれぞれのデータを格納する方法などが挙げられる。
【0030】
次いで、第2のユーザによって、作成すべき電子文書の雛型となる電子文書データと、電子文書データの作成に必要な個人情報データとが選択される(図2のS301及びS302)。第2のユーザは特に限定されないが、例えば、個人情報データを基に電子文書を作成する者であり、好ましくは税理士、社会保険労務士、行政書士などの電子文書の作成を委託された専門家である。第2のユーザは、第1のユーザと相違する者であることがより好ましい。
【0031】
第2のユーザによって選択された電子文書データ及び個人情報データは互いに関連付けられることにより(図2のS204)、ペアリングキーが付与された個人情報データと電子文書データとを含むデータが構成される(図2のS205)。また、必要に応じて、電子文書データには、税額や保険料などの追加的な情報である追加情報データが付与されてもよい(図2のS303)。この場合、ペアリングキーが付与された個人情報データと電子文書データと追加情報データとが関連付けられることにより(図2のS206)、これらを含むデータが構成される(図2のS207)。
【0032】
個人情報データと電子文書データと場合によっては追加情報データとを含むデータは、第2のユーザが電子文書送信用データへの変換モジュールに送信することにより(図2のS304)、電子文書送信用データへ変換される(図2のS208)。電子文書送信用データは、関係省庁が提供するクライアントソフトに要求するファイル形式のデータなど、関係省庁への提出等に適した形式のデータであれば特に限定されない。
【0033】
変換された電子文書送信用データは、ペアリングキーが付与された個人情報データと電子文書データと場合によっては追加情報データとに基づいて構成される(図2のS209)。電子文書送信用データにおけるペアリングキーに基づいて、図2のS203により格納された個人番号データが取得される(図2のS210)。取得した個人番号データが電子文書送信用データに挿入されることにより(図2のS211)、個人番号が挿入された電子文書送信用データが構成される(図2のS212)。このような電子文書送信用データを、関係省庁から提供されているクライアントソフトなどを通じて送信することにより、電子申請等が完了する(図2のS401)。
【0034】
必要に応じて、電子申請等が完了した後に得られる送信履歴から個人番号を削除して送信履歴データを作成することができるようにしてもよい(図2のS402)。このようにして作成した送信履歴データ(図2のS403)は、第2のユーザ宛に送信することができ(図2のS404)、第2のユーザはこれを受信することによって(図2のS305)、電子文書の送信が完了したことを確認することができる。
【0035】
本発明のクラウドコンピューティングシステムによれば、第1のユーザによって入力された1組の個人情報データ及び個人番号データに固有のペアリングキーを付与した上で、それぞれ個別に格納することにより、第1のユーザとは相違する第2のユーザは個人番号データを取得することなく個人情報データのみを取得し、該個人情報データと電子文書データとを関連付けることができる。さらに、第2のユーザによって選択及び入力されたデータは、本発明のクラウドコンピューティングシステムによって関係省庁に提出するのに適した電子文書送信用データに変換され、さらに個人番号データが挿入されることから、第2のユーザは個人番号データを見知ることなく、関係省庁へ電子文書を送信することができるようになる。
【0036】
本発明の別の側面によれば、ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成方法を提供することができ、該方法において該ウェブサーバに下記の手順を実行させる:
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップと、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データと前記ステップ(2)により格納された個人情報データとを関連付けるステップと、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップと、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップ。
【0037】
本発明の方法は、上記手順でデータを処理できる適当なコンピュータプログラム(又はソフトウェア)を作成することによって、クラウドコンピューティングシステムが備えるウェブサーバを用いてコンピュータ処理により簡便に実施できる。そのようなコンピュータプログラムは、本発明の方法を実施するために使用できるものとして、それ自体有用なものとなり得る。このようなコンピュータプログラムの一例が、本発明のプログラムである。
【0038】
本発明の別の側面によれば、ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成プログラムを提供することができ、該ウェブサーバに下記の手順を実行させるためのプログラムである:
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップと、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップと、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データと前記ステップ(2)により格納された個人情報データとを関連付けるステップと、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップと、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップと、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップ。
【0039】
本発明の別の側面によれば、本発明のプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体が提供される。本発明の媒体をウェブサーバにインストールすることにより、本発明のクラウドコンピューティングシステムが実現できる。
【0040】
本発明のクラウドコンピューティングシステム、方法、プログラム及び媒体は、マイナンバーを利用する電子手続一般に利用することができる。その一例として、本発明のプログラムを税や社会保険の申告書作成に利用する具体的態様を図3に示す。図3に示すとおり、従業員や扶養者がマイナンバーを直接入力し、又は事業者が従業員等に代わってマイナンバーを直接入力するが、税理士事務所はこのように直接入力されたマイナンバーについて触れることなくマイナンバーの記載が必要な申告書を作成し、個人情報データが格納された「A−SaaS」及びマイナンバーデータが格納された「マイナンバーストア」を経由して、申告時にマイナンバーを記載した状態の申請書を作成及び申請することができるようになる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2016年1月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するためのクラウドコンピューティングシステムであって、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップ(1)と、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップ(2)と、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データ及び個人情報データに基づいて、該電子文書データ個人情報データと該個人情報データに付与されたペアリングキーとを関連付けるステップ(3)と、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップ(4)と、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップ(5)と、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップ(6)
を実行するウェブサーバを備える、前記クラウドコンピューティングシステム。
【請求項2】
前記電子文書送信用データが、前記第2のユーザによって追加して入力された情報を含む電子文書送信用データである、請求項1に記載のクラウドコンピューティングシステム。
【請求項3】
ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成方法であって
前記ウェブサーバに、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップ(1)と、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップ(2)と、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データ及び個人情報データに基づいて、該電子文書データ個人情報データと該個人情報データに付与されたペアリングキーとを関連付けるステップ(3)と、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップ(4)と、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップ(5)と、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップ(6)
を実行させることを含む、前記電子文書作成方法。
【請求項4】
ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成プログラムであって
前記ウェブサーバに、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップ(1)と、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及び個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップ(2)と、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データ及び個人情報データに基づいて、該電子文書データ個人情報データと該個人情報データに付与されたペアリングキーとを関連付けるステップ(3)と、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データと関連付けられた電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップ(4)と、
(5)前記電子文書送信用データのペアリングキーに基づいて、前記ステップ(2)により格納された個人番号データを取得するステップ(5)と、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップ(6)
を実行させるための前記電子文書作成プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体。
【手続補正書】
【提出日】2016年5月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するためのクラウドコンピューティングシステムであって、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップ(1)と、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及びペアリングキーが付与された個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップ(2)と、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データ及び個人情報データに基づいて、該個人情報データが挿入された該電子文書データを作成するステップ(3)と、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データが挿入された電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップ(4)と、
(5)前記電子文書送信用データに挿入された前記個人情報データに付与されたペアリングキーに基づいて、該ペアリングキーに対応した個人番号データを取得するステップ(5)と、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップ(6)と
を実行するウェブサーバを備える、前記クラウドコンピューティングシステム。
【請求項2】
前記電子文書送信用データが、前記第2のユーザによって追加して入力された情報を含む電子文書送信用データである、請求項1に記載のクラウドコンピューティングシステム。
【請求項3】
ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成方法であって
前記ウェブサーバに、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップ(1)と、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及びペアリングキーが付与された個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップ(2)と、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データ及び個人情報データに基づいて、該個人情報データが挿入された該電子文書データを作成するステップ(3)と、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データが挿入された電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップ(4)と、
(5)前記電子文書送信用データに挿入された前記個人情報データに付与されたペアリングキーに基づいて、該ペアリングキーに対応した個人番号データを取得するステップ(5)と、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップ(6)と
を実行させることを含む、前記電子文書作成方法。
【請求項4】
ウェブサーバを備えるクラウドコンピューティングシステムによる個人情報及び個人番号が入力された電子文書を作成するための電子文書作成プログラムであって
前記ウェブサーバに、
(1)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第1のユーザによって認証ID及び認証記号に関連付けて入力された個人情報データ及び個人番号データにそれぞれペアリングキーを付与するステップ(1)と、
(2)前記ステップ(1)によりペアリングキーが付与された個人情報データ及びペアリングキーが付与された個人番号データをそれぞれ個別に格納するステップ(2)と、
(3)前記クラウドコンピューティングシステムを利用する第2のユーザによって選択された電子文書データ及び個人情報データに基づいて、該個人情報データが挿入された該電子文書データを作成するステップ(3)と、
(4)前記ステップ(3)により個人情報データが挿入された電子文書データを電子文書送信用データに変換するステップ(4)と、
(5)前記電子文書送信用データに挿入された前記個人情報データに付与されたペアリングキーに基づいて、該ペアリングキーに対応した個人番号データを取得するステップ(5)と、
(6)前記ステップ(5)により取得した個人番号データを前記電子文書送信用データに挿入するステップ(6)と
を実行させるための前記電子文書作成プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体。