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  • 特開2016218630-警報システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-218630(P2016-218630A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】警報システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 29/16 20060101AFI20161125BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   G08B29/16
   G08B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-101214(P2015-101214)
(22)【出願日】2015年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】西田 光輝
(72)【発明者】
【氏名】藤原 秀規
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA23
5C087AA40
5C087AA44
5C087BB19
5C087BB20
5C087BB72
5C087CC23
5C087DD04
5C087DD07
5C087DD08
5C087DD20
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG08
5C087GG17
5C087GG70
5C087GG84
5G405AA01
5G405AA06
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB03
5G405AB05
5G405AD05
5G405AD06
5G405AD07
5G405AD09
5G405BA08
5G405BA09
5G405CA14
5G405CA25
5G405CA50
(57)【要約】
【課題】複数の警報器を通信させて稼働させる際に、所定の警報器の機器故障が発生した場合であっても、警報音を出力することができる警報システムを提供する。
【解決手段】外部環境の異常を検出して警報を行う警報システムXであって、親機10aおよび当該親機10aと通信可能な少なくとも1つの子機10bを備え、所定のタイミングにて、子機10bが子機側警報手段15bの故障の有無の何れかを示す故障判別信号S4および子機側警報信号S1bを親機10aに送信し、子機側警報手段15bが故障したときには、親機側警報手段15aによって子機側警報音信号S2bを警報音として出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境の異常を検出して警報を行う警報システムであって、
親機および当該親機と通信可能な少なくとも1つの子機を備え、
前記親機は、外部環境の変化を検知する親機側検知手段と、前記子機と通信可能な親機側通信手段と、
前記親機側検知手段が検知した結果に基づいて外部環境の変化の程度を算出する親機側演算手段と、
少なくとも選択可能な複数種類の親機側警報音信号を記憶する親機側記憶手段と、
前記親機側演算手段が警報レベル以上の外部環境の変化を検知したと判定した場合に、前記親機側演算手段より親機側警報信号を受け取り、前記親機側記憶手段に記憶されている何れかの親機側警報音信号を警報音として出力する親機側警報手段と、を有し、
前記子機は、前記親機側検知手段とは異なり外部環境の変化を検知する子機側検知手段と、前記親機と通信可能な子機側通信手段と、
前記子機側検知手段が検知した結果に基づいて外部環境の変化の程度を算出する子機側演算手段と、
選択可能な複数種類の子機側警報音信号を記憶する子機側記憶手段と、
前記子機側演算手段が警報レベル以上の外部環境の変化を検知したと判定した場合に、前記子機側演算手段より子機側警報信号を受け取り、前記子機側記憶手段に記憶されている何れかの子機側警報音信号を警報音として出力する子機側警報手段と、を有し、
所定のタイミングにて、前記子機が前記子機側警報手段の故障の有無の何れかを示す故障判別信号および前記子機側警報信号を前記親機に送信し、前記子機側警報手段が故障したときには、前記親機側警報手段によって前記子機側警報音信号を警報音として出力する警報システム。
【請求項2】
前記子機が前記子機側警報手段の故障を検知したとき、前記子機側警報手段の故障を示す故障判別信号を前記親機に送る請求項1に記載の警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部環境の異常を検出して警報を行う警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部環境の異常を検出して警報を行う警報システムとして、外部環境の変化を検知するセンサ部と、センサ部の出力に基づいて外部環境の変化を判定するマイコン回路と、を備えたものが知られていた。外部環境の変化を検知するセンサ部としては、例えばLPガスセンサ、COセンサ、火災センサなどのガスセンサを使用していた。
センサ部が例えばガス検知素子の場合、センサ部が警報レベル以上の被検知ガスを継続して検知したことをマイコン回路が判定すると、当該マイコン回路から警報信号を受け取り、音声により警報を発するように構成してあった。
【0003】
特許文献1には、火災などの異常を検出して警報すると共に他の警報器に信号を無線送信して警報を連動出力させる警報器が記載してある。
具体的には、当該警報器は、電池電圧の所定値以下への低下、所定の機器故障、送受信回路部の異常、他の警報器からの無線通信の異常、他の警報器からの定期通報の停止、又は、他の警報器からの無線電波の低下等の正常な送受信動作を維持できない所定の事象を検出すると、送受信の停止、送信電力の低下、又は受信の停止といった制御を行い、送受信回路部の消費電流を低減していた。これにより、無線式による他の警報器との連動警報の機能は失われても、警報器単体の監視警報機能を維持することができ、可能な限り電池寿命を延ばしつつも、無警戒状態を可能な限り回避できるように構成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5307126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の警報器は、所定の機器故障等の所定の事象を検出すると、複数の警報器を通信させて連動させる連動警報の機能が失われる。そのため、仮に複数の警報器のうち所定の警報器が検出した異常を警報音として出力する必要がある場合であっても、警報音を適切に出力することができず、使用者に外部環境の異常を認識させることができない虞があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、複数の警報器を通信させて稼働させる際に、所定の警報器の機器故障が発生した場合であっても、警報音を出力することができる警報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る警報システムは、外部環境の異常を検出して警報を行う警報システムであって、その第一特徴構成は、親機および当該親機と通信可能な少なくとも1つの子機を備え、前記親機は、外部環境の変化を検知する親機側検知手段と、前記子機と通信可能な親機側通信手段と、前記親機側検知手段が検知した結果に基づいて外部環境の変化の程度を算出する親機側演算手段と、少なくとも選択可能な複数種類の親機側警報音信号を記憶する親機側記憶手段と、前記親機側演算手段が警報レベル以上の外部環境の変化を検知したと判定した場合に、前記親機側演算手段より親機側警報信号を受け取り、前記親機側記憶手段に記憶されている何れかの親機側警報音信号を警報音として出力する親機側警報手段と、を有し、前記子機は、前記親機側検知手段とは異なり外部環境の変化を検知する子機側検知手段と、前記親機と通信可能な子機側通信手段と、前記子機側検知手段が検知した結果に基づいて外部環境の変化の程度を算出する子機側演算手段と、選択可能な複数種類の子機側警報音信号を記憶する子機側記憶手段と、前記子機側演算手段が警報レベル以上の外部環境の変化を検知したと判定した場合に、前記子機側演算手段より子機側警報信号を受け取り、前記子機側記憶手段に記憶されている何れかの子機側警報音信号を警報音として出力する子機側警報手段と、を有し、所定のタイミングにて、前記子機が前記子機側警報手段の故障の有無の何れかを示す故障判別信号および前記子機側警報信号を前記親機に送信し、前記子機側警報手段が故障したときには、前記親機側警報手段によって前記子機側警報音信号を警報音として出力した点にある。
【0008】
本構成では、親機および子機はそれぞれ異なる検知手段を備えている。さらに親機は、少なくとも選択可能な複数種類の親機側警報音信号を記憶する親機側記憶手段を備えるため、親機が備えていないセンサの警報音信号(複数種類の子機側警報音信号)を記憶することができる。
【0009】
従って、本発明の警報システムであれば、子機の機器故障(子機側警報手段の故障)が発生した場合に、故障判別信号および子機側警報信号を親機に送信することにより、親機によって子機が検出した外部環境の異常に基づく警報音を出力することができる。そのため、本発明の警報システムは、子機の機器故障が発生した場合であっても、親機によって本来出力するべき警報音を適切に出力して、使用者に外部環境の異常を認識させることができる。
【0010】
本発明に係る警報システムの第二特徴構成は、前記子機が前記子機側警報手段の故障を検知したとき、前記子機側警報手段の故障を示す故障判別信号を前記親機に送る点にある。
【0011】
本構成によれば、常に子機の故障履歴を親機に把握させることができるため、例えば子機側警報手段の故障の修理時に当該故障履歴を役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の警報システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の警報システムは、外部環境の異常を検出して警報を行うものである。図1に示したように、警報システムXは、複数の警報器本体10を備える。当該警報器本体10は、親機10aと、当該親機10aと通信可能な少なくとも1つの子機10bとすることができる。本実施形態では、1台の親機10aと1台の子機10bを備えた場合について説明する。これら親機10aおよび子機10bは、例えば、同一室内の離間した異なる場所に配設してもよいし、隣接する部屋の各部屋に別箇に配設してもよいし、ビルにおける異なるフロアに別箇に配設してもよい。以下に説明するように、親機10aおよび子機10bのそれぞれにおいて、外部環境の変化を検知する検知手段等を備えている。
【0014】
親機10aは、外部環境の変化を検知する親機側検知手段11aと、子機10bと通信可能な親機側通信手段12aと、親機側検知手段11aが検知した結果に基づいて外部環境の変化の程度を算出する親機側演算手段13aと、少なくとも選択可能な複数種類の親機側警報音信号S2を予め記憶する親機側記憶手段14aと、親機側演算手段13aが警報レベル以上の外部環境の変化を検知したと判定した場合に、親機側演算手段13aより親機側警報信号S1aを受け取り、親機側記憶手段14aに記憶されている何れかの親機側警報音信号S2aを警報音S3aとして出力する親機側警報手段15aと、を有する。
【0015】
親機10aは、例えば壁面に取付板方式で設置する態様で、電源はコンセント式とすることが可能であるが、これらに限定されるものではない。親機10aをコンセント式とした場合、子機10bとの通信は常時行うように構成することができる。
【0016】
親機側検知手段11aとして、例えばLPガスセンサ、都市ガスセンサ、COセンサ、火災センサの何れかを備えるとよい。LPガスセンサはLPガスを検出でき、都市ガスセンサは炭化水素ガス等の漏洩ガスを検出することができ、COセンサは不完全燃焼で発生する一酸化炭素ガスを検出できるものであれば、公知の半導体式センサ素子や接触燃焼式ガスセンサ素子などが使用できる。また、火災センサは、温度の上昇を感知する温度センサや、煙感知機能を有する公知の散乱光式煙センサなどが使用できる。本実施形態では、親機側検知手段11aとしてLPガスセンサを適用したガス警報器とした場合について説明する。
【0017】
親機側通信手段12aは、無線通信等によって子機10bと通信できるように構成すればよく、当該無線通信は双方向通信とするのがよい。本実施形態では、当該親機側通信手段12aとして赤外線による通信を適用した場合について説明する。即ち、親機側通信手段12aは、赤外線の送受信部によって構成することができる。
【0018】
親機側通信手段12aは、送受信の際の電波の強度や周波数を変更できるように構成することが可能である。これにより、子機10bとの通信の精度が低い場合等に電波の強度や周波数を変更して子機10bとの通信の精度を向上させることができる。
【0019】
親機側演算手段13aは、親機側検知手段11aがLPガスの漏洩を検知した出力に基づき、LPガス濃度を算出する濃度算出部を備える。当該濃度算出部は、親機側検知手段11aからの出力信号に基づいてLPガス濃度を算出できるマイコンなどを使用するとよい。
【0020】
親機側記憶手段14aは、少なくとも複数種類の親機側警報音信号S2aを記憶できるメモリやストレージであれば、どのような態様でもよい。本実施形態では、複数種類の親機側警報音信号S2aの他に、複数種類の子機側警報音信号S2bを記憶する場合について説明する。親機側記憶手段14aは、これら警報音信号の他に、例えばそれぞれの警報器本体10(親機10a、子機10b)を識別できる識別子(識別番号)を記憶することが可能であり、さらに設置場所を示す位置情報等を記憶してもよい。また、親機側記憶手段14aは、自身或いは他の警報器本体10の識別子信号を記憶できるように構成してもよい。
【0021】
複数種類の親機側警報音信号S2aとしては、「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、」などの電子音や、例えば「正常です」などの合成音信号を記憶するとよい。記憶する親機側警報音信号S2aの数は2種類以上であってもよく、合成音声および電子音の態様は、上記以外でもよい。その他の態様としては、例えば「ピッ、ピッ、ピッ、正常です。電波が受信できています。」、「ウー、ウー、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ガスが漏れていませんか。」、「ピッ、ピッ、ピッ、親機の故障です。」、「ピッ、ピッ、電波が受信できません。」、「交換期限を過ぎています。販売店に連絡してください。」等とすることができるが、これらに限定されるものではない(複数種類の子機側警報音信号S2bは後述する)。
【0022】
親機側警報手段15aは、親機側検知手段11aが警報レベル以上の被検知ガス濃度を継続して検知したことを親機側演算手段13aが判定した場合、当該親機側演算手段13aから親機側警報信号S1aを受け取り、選択された警報音信号に基づいて音声により警報を発する。本実施形態では、親機側警報手段15aはスピーカおよびその駆動回路で構成され、親機側警報音信号S2aを警報音S3aに変換して出力する態様について説明するが、これに限定されるものではない。
【0023】
また、親機10aは、親機10aの状態をランプ等で視覚的に表示する親機側状態表示手段16aを備えてもよい。親機側状態表示手段16aは、例えば親機10aの電源のオンオフ、LPガス検知の有無をLEDランプの点灯の有無によって表示するように構成できる。
【0024】
このように親機10aを構成することにより、親機10aがLPガスの漏洩を検知すると、親機10aが親機側警報手段15aによって警報音S3aを出力する。
【0025】
子機10bは、親機側検知手段11aとは異なり外部環境の変化を検知する子機側検知手段11bと、親機10aと通信可能な子機側通信手段12bと、子機側検知手段11bが検知した結果に基づいて外部環境の変化の程度を算出する子機側演算手段13bと、選択可能な複数種類の子機側警報音信号S2bを予め記憶する子機側記憶手段14bと、子機側演算手段13bが警報レベル以上の外部環境の変化を検知したと判定した場合に、子機側演算手段13bより子機側警報信号S1bを受け取り、子機側記憶手段14bに記憶されている何れかの子機側警報音信号S2bを警報音S3bとして出力する子機側警報手段15bと、を有する。
【0026】
子機10bは、例えば壁面に引掛方式で設置する態様で、電源は電池式とすることが可能であるが、これらに限定されるものではない。本実施形態では子機10bは電池式とする場合について説明する。子機10bを電池式とした場合、親機10aとの通信は間歇的に行うように構成するのがよい。
【0027】
子機側検知手段11bとして、例えばLPガスセンサ、都市ガスセンサ、COセンサ、火災センサの何れかを備えるとよいが、親機側検知手段11aとは異なるセンサを適用する。即ち、本実施形態では、親機側検知手段11aとしてLPガスセンサを適用したため、子機側検知手段11bとしてCOセンサ、火災センサを適用する場合について説明するが、このような態様に限定されるものではない。
【0028】
子機側通信手段12bは、無線通信等によって親機10aと通信できるように構成すればよく、上述した親機側通信手段12aに準じた機器構成とすればよい。
【0029】
子機側演算手段13bは、子機側検知手段11bがCOガスの漏洩や、煙を検知した出力に基づき、COガス濃度を算出する濃度算出部や、火災を判定する火災判定部を備える。これら濃度算出部や火災判定部は、上述した親機側演算手段13aと同様にマイコンなどを使用するとよい。
【0030】
子機側記憶手段14bは、複数種類の子機側警報音信号S2bを記憶できるメモリやストレージであれば、どのような態様でもよい。子機側記憶手段14bは親機側記憶手段14aと同様に識別子や位置情報等を記憶してもよく、自身或いは他の警報器本体10の識別子信号を記憶できるように構成してもよい。
【0031】
複数種類の子機側警報音信号S2bとしては、「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、」などの電子音や、例えば「正常です」などの合成音信号を記憶するとよい。記憶する子機側警報音信号S2bの数は2種類以上であってもよく、合成音声および電子音の態様は、上記以外でもよい。その他の態様としては、例えば「ウー、ウー、ピッポッ、ピッポッ、空気が汚れて危険です。窓を開けて換気して下さい。」、「ウー、ウー、カン、カン、カン、火事です。火事です。」、「ピッ、ピッ、ピッ、子機の故障です。」、「ピッ、電池切れです。」、「ピッ、ピッ、電波が受信できません。」、「交換期限を過ぎています。販売店に連絡してください。」等とすることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
また、子機10bは、子機10bの状態をランプ等で視覚的に表示する子機側状態表示手段16bを備えてもよい。子機側状態表示手段16bは、例えば子機10bの電源のオンオフ、COガス検知および火災検知の有無を、これらが割り当てられたLEDランプの点灯の有無によって表示するように構成できる。
【0033】
このように子機10bを構成することにより、子機10bがCOガスの漏洩や煙を検知すると、子機10bが子機側警報手段15bによって警報音S3bを出力する。即ち、機器の故障(子機側警報手段15bの故障)が発生していない通常時は、子機10bが検出した外部環境の異常に基づく警報音は、子機10bのみが出力する。
【0034】
本発明の警報システムXは、所定のタイミングにて、子機10bが子機側警報手段15bの故障の有無の何れかを示す故障判別信号S4および子機側警報信号S1bを親機10aに送信し、子機側警報手段15bが故障したときには、親機側警報手段15aによって子機側警報音信号S2bを警報音として出力するように構成してある。
【0035】
子機側警報手段15bの故障は、例えばスピーカである子機側警報手段15bの断線等の故障を故障検出手段17で検出し、当該故障の有無の何れかを示す故障判別信号S4として出力する。当該故障検出手段17は、例えば子機側警報手段15bの出力端子および所定の電池の電位差を検出することにより断線を判断する断線検出回路を備える構成とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
親機10aおよび子機10bは、所定のタイミングで通信させることが可能である。
例えば所定のタイミングとしては、これらを定期的(例えば30分〜1時間ごと)に通信させる、或いは何らかの所定の事象を検出した場合等を設定することができる。当該所定の事象としては、子機側警報手段15bが故障したとき、子機側警報手段15bが故障から復帰したとき等とすることができるが、これに限定されるものではない。即ち、このような所定のタイミングのときに、子機10bが故障判別信号S4および子機側警報信号S1bを親機10aに送信する。
【0037】
親機10aおよび子機10bを定期的に通信させるとき、子機10bがCOガス漏洩や煙検知をせず、子機側警報手段15bの断線等の故障が検出されない場合は、親機10aおよび子機10bは通常通りの動作で稼働する。
また、定期通信において子機10bがCOガス漏洩および煙検知の少なくとも何れかを検出し、子機側警報手段15bの断線等の故障が検出されない場合は、親機10aおよび子機10bは通常通りの動作(即ち、子機10bのみが子機側警報手段15bによって警報音S3bを出力する)で稼働する。
【0038】
一方、子機側警報手段15bが故障したとき(断線等の故障が検出されたとき)において、子機10bがCOガス漏洩および煙検知の少なくとも何れかを検出した場合には、親機側警報手段15aによって子機側警報音信号S2bを警報音(「ウー、ウー、カン、カン、カン、火事です。火事です。」或いは「ウー、ウー、ピッポッ、ピッポッ、空気が汚れて危険です。窓を開けて換気して下さい。」)として出力する。
【0039】
上述したように、親機10aにおける親機側記憶手段14aは、親機10aが備えていないセンサの警報音信号(複数種類の子機側警報音信号S2b)を記憶することができる。従って、本発明の警報システムXであれば、子機10bの機器故障(子機側警報手段15bの故障)が発生した場合であっても、故障判別信号S4および子機側警報信号S1bを親機10aに送信することにより、親機10aによって子機10bが検出した外部環境の異常に基づく警報音を出力することができるため、本来出力するべき警報音を適切に出力して、使用者に外部環境の異常を認識させることができる。
【0040】
本実施形態の警報システムXでは、子機側警報手段15bが故障したときには、親機側警報手段15aによって子機側警報音信号S2bを警報音として出力するように構成してあるが、親機側警報手段15aが故障したときは、子機側警報手段15bによって親機側警報音信号S2aを警報音として出力するように構成していない。即ち、本発明の警報システムXでは、親機側検知手段11aによって検知された外部環境の変化は、親機側警報手段15aのみによって警報出力される。これは、本実施形態のように子機10bを電池式とすれば、消費電力の観点から、親機10aからの通信を常時受信するようには構成しない場合がある。このように子機10bは親機10aと常時通信できないため親機10aのスピーカ故障を子機10bではすぐに認識することができない。そのため、本実施形態の警報システムXでは子機10bの子機側警報手段15bの故障のみバックアップするように構成している。
【0041】
また、例えば子機側警報手段15bが故障したときにおいて、子機10bがCOガス漏洩や煙検知をしない場合には、子機側警報手段15bの故障を示す故障判別信号S4を親機10aに送るように制御する。このように制御することにより、常に子機10bの故障履歴を親機10aに把握させることができるため、例えば子機側警報手段15bの故障の修理時に当該故障履歴を役立てることができる。
【0042】
〔別実施の形態1〕
上述した実施形態において、子機10bは、COセンサ、火災センサを適用する場合について説明したが、これに限定されず、例えば子機10bは熱中症センサを備えることが可能である。
【0043】
熱中症センサは、例えば温度および湿度を検出でき、これらのデータに基づいて熱中症の判定を行える態様であれば、公知のセンサを使用することができる。
【0044】
本発明の警報システムXにおいて、親機10aにおける親機側記憶手段14aは、親機10aが備えていないセンサの警報音信号(複数種類の子機側警報音信号S2b)を記憶することができるように構成してあるため、本実施形態において、熱中症の警報は親機10aで行うように構成することができる。
【0045】
親機側記憶手段14aには、熱中症の警報(複数種類の子機側警報音信号S2b)として、「ポーン、部屋がたいへん暑くなっています。」、「風通しをよくし、水分や塩分をとるようにしましょう。」等を記憶することができるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
また、熱中症の警報は子機10bにおける子機側記憶手段14bにも記憶してあるため、例えば親機側警報手段15aが故障した場合には、子機側警報手段15bによって熱中症の警報を行うことができる。
【0047】
親機側警報手段15aの故障は、親機10aに設けた親機側故障検出手段(図外)で検出し、親機側警報手段15aの故障を示す故障判別信号を子機10bに送るように制御する。子機10bが当該故障判別信号を受け取れば子機側警報手段15bによって熱中症の警報を行うことができる。
【0048】
即ち、子機10bが検出した外部環境の異常に基づく警報を通常時は自ら子機10bが行わず、他の警報器である親機10aが行い、親機側警報手段15aが故障したときのみ子機10b自ら報知を行うように構成することができる。即ち、子機10bにおいて、COセンサおよび火災センサを適用した上述した実施形態とは異なり、これらセンサに加えて熱中症センサを備える本実施形態では、親機側警報手段15aが故障した場合には、子機側警報手段15bによって熱中症の警報を行ってもよい。このとき、子機側記憶手段14bにも記憶してある子機側警報音信号S2bは、通常時は報知しないが故障時用に子機側警報音信号S2bを記憶していることとなる。
【0049】
尚、本実施例のように熱中症センサを備えた場合、子機側状態表示手段16bには、熱中症の注意喚起を割り当てたLEDランプを備えるとよい。
【0050】
〔別実施の形態2〕
上述した実施形態において、子機側警報手段15bが故障したときにおいて、子機10bがCOガス漏洩や煙検知をしない場合には、子機側警報手段15bの故障を示す故障判別信号S4を親機10aに送るように制御した。しかし、このような態様に限定されず、親機側警報手段15aによって子機側警報音信号S2bを警報音(「ピッ、ピッ、ピッ、子機の故障です。」)として出力するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、外部環境の異常を検出して警報を行う警報システムに利用できる。
【符号の説明】
【0052】
X 警報システム
S2a 親機側警報音信号
S2b 子機側警報音信号
S3a 警報音
S3b 警報音
S4 故障判別信号
10a 親機
10b 子機
11a 親機側検知手段
11b 子機側検知手段
12a 親機側通信手段
12b 子機側通信手段
13a 親機側演算手段
13b 子機側演算手段
14a 親機側記憶手段
14b 子機側記憶手段
15a 親機側警報手段
15b 子機側警報手段
図1