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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-218724(P2016-218724A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】制御プログラムの編集装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
   G05B19/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-102678(P2015-102678)
(22)【出願日】2015年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】清水 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】千田 輝一
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220BB12
5H220CC07
5H220CX01
5H220CX06
5H220DD04
5H220DD10
5H220JJ02
5H220JJ12
5H220JJ42
5H220JJ53
(57)【要約】
【課題】プログラマブルコントローラで実行可能な制御プログラムを作成するプログラム作成者の負担を軽減することが可能なプログラムの編集装置を提供する。
【解決手段】設備12の動作単位毎に設けられる複数のステップ、及び複数のステップ間の遷移条件を示す複数のトランジションを含むチャート式プログラムと、ステップの動作内容、及びトランジションの遷移条件を複数の接点及びコイルを含む回路要素によって表したラダープログラムとを有する制御プログラムを編集するプログラム編集装置2は、設備12の可動部を一方向に動作させる順動作ステップと逆方向に操作させる逆動作ステップとの間の中間ステップを抽出する中間ステップ抽出手段211と、中間ステップの実行開始後に設備12が途中停止した後の再起動時に中間ステップの実行を行わせないためのプログラム要素を制御プログラムに付加するプログラム要素付加手段212とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器を制御するプログラマブルコントローラで実行可能な制御プログラムを編集するプログラム編集部、及び前記プログラム編集部で編集される制御プログラムを記憶する記憶部を有する制御プログラムの編集装置であって、
前記制御プログラムは、前記制御対象機器の動作単位毎に設けられる複数のステップ、及び前記複数のステップ間の遷移条件を示す複数のトランジションを含むチャート式プログラムと、前記複数のステップの動作内容、及び前記複数のトランジションの遷移条件を複数の接点及びコイルを含む回路要素によって表したラダープログラムとを有し、
前記プログラム編集部は、
前記複数のステップのうち、前記制御対象機器の可動部を一方向に動作させる順動作ステップと前記可動部を逆方向に操作させる逆動作ステップとの間の中間ステップを抽出する抽出手段と、
前記複数のステップを上流側から下流側に連続して実行する連続運転における前記中間ステップの実行開始後に前記連続運転が途中停止して前記チャート式プログラムを最も上流側のステップから再度実行する際に前記中間ステップの実行を行わせないためのプログラム要素を前記制御プログラムに付加するプログラム要素付加手段とを備えた、
制御プログラムの編集装置。
【請求項2】
前記プログラム要素付加手段は、前記プログラム要素として、前記中間ステップの前記チャート式プログラムにおける上流側と下流側とを結ぶバイパス回路、及び前記中間ステップの実行開始後に前記連続運転が途中停止して前記チャート式プログラムを最も上流側のステップから再度実行する場合に前記バイパス回路を有効とするためのトランジションを前記チャート式プログラムに付加する、
請求項1に記載の制御プログラムの編集装置。
【請求項3】
前記プログラム要素付加手段は、前記プログラム要素として、前記中間ステップに対応する前記トランジションの前記ラダープログラムに、前記中間ステップの実行を行わせないための回路要素を付加する、
請求項1に記載の制御プログラムの編集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象機器を制御するプログラマブルコントローラで実行可能な制御プログラムを編集するための制御プログラムの編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御対象機器の動作単位毎に設けられる複数のステップ、及び複数のステップ間の遷移条件を示す複数のトランジションを含むシーケンシャル・ファンクション・チャート式プログラム(以下、「チャート式プログラム」という)と、複数のステップの具体的な動作内容、及びトランジションの遷移条件を複数の接点及びコイルを含む回路要素によって表したラダープログラムとを有する制御プログラムに従って、制御対象機器を制御するプログラマブルコントローラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
チャート式プログラム、及びラダープログラムは、それぞれIEC61131−3規格において、SFC言語、及びラダー言語として定義されている。チャート式プログラムは、個別の動作単位の動作順序をフローチャートのように記述する形式であり、例えば制御プログラムがラダープログラムのみによって記述された場合に比較して、制御対象機器の動作の流れを容易に把握することが可能である。
【0004】
一方、チャート式プログラムは、個別の制御処理を表す複数のステップを先頭から順次実行することを前提として記述されるため、複数のステップを上流側から下流側に連続して実行する連続運転中に何らかの異常が発生して途中停止すると、異常処理後の再起動時において途中停止前に実行されたステップの処理が再度実行されてしまう場合がある。そして、ステップの動作内容によっては、ワークや制御対象機器を損傷してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載のプログラマブルコントローラでは、各トランジションの遷移条件を示すラダープログラムを、再起動時にオン状態となる途中起動フラグと、各トランジションの直前のステップの起動条件等とを組み合わせて構成することによって、途中停止する前に実行済みのステップの処理を再度実行しないように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−97079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このようなラダープログラムを各トランジションに対して作成することは、プログラム作成者の負担が大きかった。そこで、本願発明者らは、このようなプログラム作成者の負担を軽減すべく鋭意検討し、異常処理後の再起動時に再度実行するとワークや制御対象機器を損傷してしまうおそれがあるステップは、チャート式プログラムに含まれる複数のステップのうち一部のステップであることに着目し、この一部のステップの処理を再起動時に実行しないようにすれば、このような損傷を回避することができるという着想を得て本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、制御対象機器を制御するプログラマブルコントローラで実行可能な制御プログラムを作成するプログラム作成者の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するため、制御対象機器を制御するプログラマブルコントローラで実行可能な制御プログラムを編集するプログラム編集部、及び前記プログラム編集部で編集される制御プログラムを記憶する記憶部を有する制御プログラムの編集装置であって、前記制御プログラムは、前記制御対象機器の動作単位毎に設けられる複数のステップ、及び前記複数のステップ間の遷移条件を示す複数のトランジションを含むチャート式プログラムと、前記複数のステップの動作内容、及び前記複数のトランジションの遷移条件を複数の接点及びコイルを含む回路要素によって表したラダープログラムとを有し、前記プログラム編集部は、前記複数のステップのうち、前記制御対象機器の可動部を一方向に動作させる順動作ステップと前記可動部を逆方向に操作させる逆動作ステップとの間の中間ステップを抽出する抽出手段と、前記複数のステップを上流側から下流側に連続して実行する連続運転における前記中間ステップの実行開始後に前記連続運転が途中停止して前記チャート式プログラムを最も上流側のステップから再度実行する際に前記中間ステップの実行を行わせないためのプログラム要素を前記制御プログラムに付加するプログラム要素付加手段とを備えた、制御プログラムの編集装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制御対象機器を制御するプログラマブルコントローラで実行可能な制御プログラムを作成するプログラム作成者の負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る制御プログラム編集装置を、プログラマブルコントローラ、設備、及び操作盤と共に示す構成図である。
図2】制御プログラム編集装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】制御プログラム編集装置の記憶部に記憶された制御プログラムにおけるチャート式プログラムである。
図4】ダイアログボックスの一例を示す説明図である。
図5図3に示すチャート式プログラムに、プログラム要素付加手段によって自動生成されたバイパス回路が追加されたチャート式プログラムの例である。
図6】(a)〜(c)は、プログラム要素付加手段によって生成されるラダープログラムの一例を示す。
図7】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係るプログラム要素付加手段によって生成されるラダープログラムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1乃至図6を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る制御プログラムの編集装置としての制御プログラム編集装置2を、プログラマブルコントローラ10、制御対象機器としての設備12、及びモニタ装置3を備えた操作盤13と共に示す構成図である。
【0014】
本実施の形態では、制御プログラム編集装置2が、MPU(Micro-processing unit)及びその周辺回路等を有して構成された本体部20、表示部としてのディスプレイ201、文字入力部としてのキーボード202、及びポインティングデバイスとしてのタッチパッド203を有する可搬型コンピュータ(ノートパソコン)によって構成されている。ただし、制御プログラム編集装置2の構成はこれに限らず、例えば据置型コンピュータ(デスクトップパソコン)にディスプレイやキーボード及びポインティングデバイス等の周辺機器を組み合わせて構成されていてもよい。
【0015】
制御プログラム編集装置2は、プログラマブルコントローラ10によって実行される制御プログラムを編集する機能を有している。制御プログラム編集装置2において編集された制御プログラムは、通信ケーブル141によってプログラマブルコントローラ10に転送される。この制御プログラムは、SFC言語によって記述されたチャート式プログラムと、チャート式プログラムの後述する各ステップ及びトランジションに対応するラダー言語によるラダープログラムとを含んでいる。これらのSFC言語及びラダー言語は、IEC61131−3規格に規定されたものである。
【0016】
プログラマブルコントローラ10は、電源モジュール101、CPUモジュール102、通信モジュール103、出力モジュール104、入力モジュール105、及びこれら各モジュールが装着されたベース100を有して構成されている。電源モジュール101は、ベース100を介して、CPUモジュール102等に電源を供給する。通信モジュール103は、操作盤13のモニタ装置3との通信を行う。
【0017】
出力モジュール104は、設備12に設けられた複数のアクチュエータ121に接続された複数の出力接点を有している。複数のアクチュエータ121は、例えばソレノイドやモータ、あるいは油圧を制御する電磁切換弁等からなる。入力モジュール105は、設備12に設けられた複数のセンサ122からの入力信号によってオン/オフする複数の入力接点を有している。複数のセンサ122は、例えば近接センサや光電センサ、あるいはリミットスイッチ等からなる。
【0018】
CPUモジュール102は、制御プログラム編集装置2によって編集された制御プログラムを実行し、入力モジュール105の各入力接点の状態等に応じて出力モジュール104の各出力接点をオン/オフさせることにより、設備12を制御する。本実施の形態では、設備12が工作機械であり、搬入されたワークに対して所定の部品の組み付けを行うものとする。
【0019】
操作盤13は、モニタ装置3と、自動/各個選択スイッチ131と、運転準備スイッチ132と、起動スイッチ133と、実行スイッチ134と、非常停止スイッチ135とを有している。自動/各個選択スイッチ131は、制御プログラム編集装置2によって編集された制御プログラムに従って連続運転を行う自動運転モードと、設備12のアクチュエータ121に個別の動作を行わせる各個操作モードとを切り替えるスイッチである。運転準備スイッチ132は、設備12のアクチュエータ121を動作可能とするためのスイッチである。起動スイッチ133は、自動運転の起動を指示するためのスイッチである。実行スイッチ134は、各個操作モードでの個別動作の実行を指示するためのスイッチである。非常停止スイッチ135は、設備12の動作を即時停止させるためのスイッチである。これらの各スイッチ131〜135は、プログラマブルコントローラ10の入力モジュール105に接続されている。
【0020】
モニタ装置3の表示器31には、自動運転モードにおいて、プログラマブルコントローラ10によるチャート式プログラムの各ステップの実行状況を示す運転状態表示画面が表示される。また、モニタ装置3の表示器31には、各個操作モードにおいて、設備12に行わせることができる個別動作を示す複数の操作ボタンが表示される。図1では、モニタ装置3に運転状態表示画面が表示された状態を示している。
【0021】
モニタ装置3の表示器31は、タッチパネルであり、各個操作モードにおいて設備12の保全担当者等の作業者が表示器31に表示されたボタンを押すことで、当該ボタンに対応する個別動作を設備12に行わせることが可能である。この各個操作は、例えば設備12の自動運転モードでの連続運転中に何らかの異常が発生した場合の復旧作業時に行われる。
【0022】
モニタ装置3は、通信ケーブル142によってプログラマブルコントローラ10の通信モジュール103と接続され、出力モジュール104の各出力接点のオン/オフ状態、入力モジュール105の各入力接点のオン/オフ状態、及びCPUモジュール102が記憶している各種フラグのオン/オフ状態を随時読み出し可能である。また、モニタ装置3は、プログラマブルコントローラ10から、CPUモジュール102が記憶している制御プログラムを読み出すことも可能である。そして、モニタ装置3は、自動運転モードにおいて、表示器31にプログラマブルコントローラ10のCPUモジュール102による制御プログラムの実行状況を随時表示する。
【0023】
制御プログラム編集装置2によって編集されるチャート式プログラムは、設備12の動作単位毎に設けられる複数のステップと、複数のステップ間の遷移条件を示すトランジションとを含んで記述されたものである。トランジションの遷移条件が満たされていれば、チャート式プログラムの実行を次のステップに進めることが可能となる。チャート式プログラムには、複数のステップの実行順序(フロー)が示されている。
【0024】
チャート式プログラムに含まれる複数のステップのうち少なくとも一部のステップは、設備12の可動部を一方向に動作させる順動作ステップ、及びこの可動部を逆方向に操作させる逆動作ステップからなるステップ対をなす。順動作ステップから見た場合、逆動作ステップは反対動作ステップとなる。また、逆動作ステップから見た場合、順動作ステップは反対動作ステップとなる。通常、チャート式プログラムには、複数のステップ対が含まれる。
【0025】
それぞれのステップ及びトランジションには、ラダープログラムが割り当てられている。ステップに割り当てられたラダープログラムは、当該ステップにおける具体的な動作内容を複数の接点及びコイルを含む回路要素によって表している。また、トランジションに割り当てられたラダープログラムは、ステップ間の遷移条件を1つ又は複数の接点及びコイルを含む回路要素によって表している。
【0026】
コイル及びリレーは、1つのリレーの構成要素として考えることができる。すなわち、リレーのコイルへの通電又は非通電により、このリレーの接点がオン又はオフされる。接点には、コイルへの通電時にオン状態となり、非通電時にオフ状態となるa接点と、コイルへの通電時にオフ状態となり、非通電時にオン状態となるb接点とがある。また、リレーには、例えば出力モジュール104に内蔵された実リレーと、ラダープログラムを記述するために用いられる仮想の内部リレー及びキープリレーと、CPUモジュール102自体の処理によって接点がオン/オフされるステップ起動リレーがある。
【0027】
各リレーには、それぞれを識別するためのアドレスが割り当てられている。本実施の形態では、実リレーには「Y」で始まるアドレス(例えば、「Y001」,「Y002」など)が割り当てられ、内部リレーには「M」で始まるアドレス(例えば、「M001」,「M002」など)が割り当てられる。また、キープリレーには「K」で始まるアドレス(例えば、「K001」,「K002」など)が割り当てられる。キープリレーは、プログラマブルコントローラ10の電源が遮断された場合でも、そのオン/オフ状態が記憶されるリレーであり、コイルとしてセットコイルとリセットコイルとを有する。セットコイルへ通電されると、キープリレーのa接点がオン状態となり、リセットコイルへ通電されると、キープリレーのa接点がオフ状態となる。b接点は、a接点と逆のオン/オフ状態となる。
【0028】
ステップ起動リレーには、「EK」で始まるアドレス(例えば、「EK001」,「EK002」など)が割り当てられる。このステップ起動リレーは、各ステップに対応するラダープログラムの実行を行わせるためのものである。CPUモジュール102は、チャート式プログラムの実行時において、トランジションを通過して次のステップの処理の実行を開始する際に、そのステップに対応するステップ起動リレーの接点を一時的にオン状態とする。
【0029】
ラダープログラムにおいて、コイルは出力要素であり、コイルが通電状態(活性状態)となるか、あるいは非通電状態(非活性状態)となるかの条件設定が、1つ又は複数の接点の組み合わせによって規定される。例えば、アドレスとしてY001が割り当てられた実リレーのコイルが通電状態となる条件が満たされた場合には、このY001の実リレーの接点(a接点)がオン状態となると共に、この接点に接続された設備12のアクチュエータ121が動作する。
【0030】
モニタ装置3は、CPUモジュール102が実行中のステップを、その前後のステップと共に表示器31に表示する。この際、モニタ装置3は、例えば表示色を変えることにより、CPUモジュール102が実行中のステップを他のステップと識別可能に表示する。図1に示す例では、CPUモジュール102が実行中のステップをハッチングで図示している。
【0031】
図2は、制御プログラム編集装置2の機能構成を示すブロック図である。制御プログラム編集装置2は、プログラマブルコントローラ10で実行可能な制御プログラムを編集するためのプログラム編集部21を有する本体部20、編集中の制御プログラムを表示するディスプレイ201、ならびにキーボード202及びタッチパッド203を有している。本体部20は、さらに、プログラム編集部21によって編集される制御プログラムを記憶する記憶部22、及びプログラマブルコントローラ10との通信を行う通信部23を有している。記憶部22は、例えばハードディスクや半導体記憶素子からなる。
【0032】
なお、タッチパッド203に替えて、例えばマウスやトラックボールをポインティングデバイスとして用いることも可能である。また、ディスプレイ201を例えば液晶パネル等の表示装置とタッチパッド等の位置入力装置とを組み合わせて構成した場合には、この位置入力装置をポインティングデバイスとして用いることができ、さらに表示装置に表示された文字を位置入力装置へのタッチ操作によって選択することで、キーボード202に替えて文字入力を行うことも可能である。
【0033】
プログラム編集部21は、制御プログラム編集装置2に予めインストールされたプログラムをMPUが実行することで、中間ステップ抽出手段211、及びプログラム要素付加手段212として動作する。
【0034】
中間ステップ抽出手段211は、チャート式プログラムに含まれる複数のステップのうち、設備12の可動部を一方向に動作させる順動作ステップと、この可動部を逆方向に操作させる逆動作ステップとの間の中間ステップを抽出する。
【0035】
また、プログラム要素付加手段212は、複数のステップを上流側から下流側に連続して実行する連続運転における中間ステップの実行開始後に連続運転が途中停止してチャート式プログラムを最も上流側のステップから再度実行する際に中間ステップの実行を行わせないためのプログラム要素を制御プログラムに付加する。
【0036】
中間ステップ抽出手段211及びプログラム要素付加手段212のより詳細な処理内容については後述する。
【0037】
図3は、制御プログラム編集装置2の記憶部22に記憶された制御プログラムにおけるチャート式プログラムの具体例を示す。このチャート式プログラムは、IEC61131−3規格にのっとり、個別の制御処理を表す複数のステップと、ステップ間の遷移条件を表すトランジションとを、交互に並べて記述される。チャート式プログラムの先頭のステップである「ST000」は、自動運転モードで設備12の連続運転を行う自動サイクルを示すステップである。プログラマブルコントローラ10は、自動運転の開始時に、チャート式プログラムの最上流にあたる「ST000」から下流側に向かって、順次各ステップの制御処理を実行する。
【0038】
図3に示すチャート式プログラムは、前後ユニット前進動作(ST001)、上下ユニット上昇動作(ST002)、組付けサイクル(ST003)、上下ユニット下降動作(ST004)、及び前後ユニット後退動作(ST005)の各ステップの制御処理を順次実行するように構成されている。ここで、ST000〜ST005は、各ステップのステップ番号である。
【0039】
このチャート式プログラムにおいて、前後ユニット前進動作のステップ(ST001)は、設備12の可動部である前後ユニットを一方向(前進方向)に動作させる順動作ステップであり、前後ユニット後退動作のステップ(ST005)は、前後ユニットを逆方向(後退方向)に動作させる逆動作ステップである。また、上下ユニット上昇動作のステップ(ST002)は、設備12の可動部である上下ユニットを一方向(上昇方向)に動作させる順動作ステップであり、上下ユニット下降動作のステップ(ST004)は、上下ユニットを逆方向(下降方向)に動作させる逆動作ステップである。
【0040】
前後ユニット前進動作のステップ(ST001)と前後ユニット後退動作のステップ(ST005)とは1つのステップ対をなす。同様に、上下ユニット上昇動作のステップ(ST002)と上下ユニット下降動作のステップ(ST004)とは1つのステップ対をなす。すなわち、このチャート式プログラムには、2つのステップ対が含まれている。
【0041】
各ステップに対する反対ステップは、チャート式プログラムの作成時にプログラム作成者によって設定される。より具体的には、プログラム作成者がチャート式プログラムを作成する際に、制御プログラム編集装置2のディスプレイ201に表示されるダイアログボックスに対してプログラム作成者が入力操作を行うことによって設定される。
【0042】
図4は、このダイアログボックスの一例を示す説明図である。図4では、例として、前後ユニット前進動作のステップ(ST001)に関する反対動作ステップを入力するためのダイアログボックス24を示している。
【0043】
ダイアログボックス24には、当該ステップ(ST001)の動作内容を示すコメントを入力するためのコメント欄241と、反対動作を選択するためのプルダウンメニュー欄242が設けられている。プログラム作成者は、ステップの動作内容を示すコメントをコメント欄241に入力すると共に、プルダウンメニュー欄242のプルダウンメニューから反対動作ステップを選択する。その後、プログラム作成者がダイアログボックス3のOKボタン243をクリックすると、ダイアログボックス24のコメント欄241及びプルダウンメニュー欄242に入力又は選択された内容が確定し、この設定内容が記憶部22に記憶される。なお、反対動作ステップがない場合には、プルダウンメニュー欄242から反対動作ステップを選択する操作は不要である。
【0044】
ところで、設備12は、その自動運転中に様々な要因により途中停止する場合がある。例えば組付けサイクル(ST003)におけるワークへの部品の組み付け完了後、上下ユニットがワークに干渉すること等により上下ユニット下降動作のステップ(ST004)が動作完了に至らない場合等には、トランジション「TR004」の遷移条件が満たされず、設備12が途中停止する。このような場合には、作業者がモニタ装置3の表示内容によって何れのステップで途中停止しているかを確認し、自動/各個選択スイッチ131を各個操作モードに切り替え、各個操作によって異常処理を行う。その後さらに作業者は、自動/各個選択スイッチ131を自動運転モードに切り替え、設備12の自動運転を再開(再起動)させる。
【0045】
この際、プログラマブルコントローラ10は、チャート式プログラムの最も上流側のステップから実行を再開する。しかし、ワークは既に部品の組み付けが完了した状態であるため、組付けサイクル(ST003)の実行を行わせないようにする必要がある。
【0046】
本実施の形態では、プログラム要素付加手段212が、中間ステップ抽出手段211によって抽出された中間ステップのチャート式プログラムにおける上流側と下流側とを結ぶバイパス回路、及び中間ステップの実行開始後に連続運転が途中停止してチャート式プログラムを最も上流側のステップから再度実行する場合にバイパス回路を有効とするためのトランジションをチャート式プログラムに付加する。これらのバイパス回路及びトランジションは、プログラム要素付加手段212によって付加されるプログラム要素の一態様である。
【0047】
ここで、中間ステップ抽出手段211が中間ステップを抽出する際の処理内容の具体例について説明する。中間ステップ抽出手段211は、以下の手順1〜3によって、チャート式プログラムの各ステップの中から中間ステップを抽出する。
【0048】
手順1:チャート式プログラムの先頭のステップから順次、反対動作ステップが設定されているか否かを判定し、ステップ対をなす順動作ステップ及び逆動作ステップを抽出する。
【0049】
手順2:手順1で抽出された順動作ステップ及び逆動作ステップとの間のステップを候補ステップとして抽出する。複数のステップ対がある場合には、それぞれのステップ対の順動作ステップ及び逆動作ステップとの間のステップを候補ステップとして抽出する。
【0050】
手順3:チャート式プログラム中に複数のステップ対が存在する場合、その全てのステップ対について共通して抽出された候補ステップを中間ステップとする。チャート式プログラム中に1つのステップ対のみが存在する場合には、そのステップ対について抽出された候補ステップを中間ステップとする。
【0051】
図3に示したチャート式プログラムでは、前後ユニット前進動作のステップ(ST001)と前後ユニット後退動作のステップ(ST005)とがステップ対をなすので、手順2によって、これら両ステップの間のステップ(ST002〜ST004)が候補ステップとして抽出される。また、図3に示したチャート式プログラムでは、上下ユニット上昇動作のステップ(ST002)と上下ユニット下降動作のステップ(ST004)とがステップ対をなすので、手順2によって、これら両ステップの間のステップ(ST003)が候補ステップとして抽出される。そして、手順3によって、それぞれ抽出された候補ステップに共通して含まれる組付けサイクル(ST003)が、中間ステップとして抽出される。
【0052】
プログラム要素付加手段212は、このようにして抽出された中間ステップの実行開始後に設備12の連続運転が途中停止し、チャート式プログラムを最も上流側のステップから再度実行する際に、この中間ステップの実行を行わせないためのプログラム要素を制御プログラムに付加する。
【0053】
図5は、図3に示すチャート式プログラムに、プログラム要素付加手段212によって自動生成されたバイパス回路4が追加されたチャート式プログラムの例である。図5では、プログラム要素付加手段212によって追加されたバイパス回路4を破線で囲って示している。
【0054】
このバイパス回路4は、中間ステップであるステップ「ST003」の1つ上流側に生成されたダミーステップ40と、このダミーステップ40とステップ「ST003」との間に生成された第1のトランジション(TR011)41と、第1のトランジション41と並列に生成された第2のトランジション(TR012)42と、第2のトランジション42を通過した場合のジャンプ先を示すバイパス経路43とを含んでいる。
【0055】
バイパス経路43は、ステップ「ST003」を迂回して、第2のトランジション42と、中間ステップであるステップ「ST003」の一つ下流側のステップであるステップ「ST004」とを接続している。すなわち、バイパス経路43のジャンプ先は、中間ステップとして抽出されたステップの一つ下流側のステップの直前であり、第2のトランジション42の遷移条件が満たされた場合は、中間ステップのトランジション「TR003」の遷移条件である組付け完了の成否にかかわらず、ステップ「ST004」以降のステップが実行される。なお、複数の中間ステップが抽出された場合には、そのうち最も下流側のステップのさらに一つ下流側のステップの直前がバイパス経路43のジャンプ先となる。
【0056】
プログラム要素付加手段212は、チャート式プログラムにバイパス回路4を付加すると共に、ラダープログラムにも回路を追加する。図6(a)〜(c)は、プログラム要素付加手段212によって生成されるラダープログラムの一例を示し、(a)は中間ステップであるステップ「ST003」に、(b)は第1のトランジション41に、(c)は第2のトランジション42に、それぞれ対応するラダープログラムを示している。
【0057】
ステップ「ST003」に対応するラダープログラム50は、ステップ「ST003」のステップ起動リレーの接点である「EK03」がオン状態となることによりキープリレー「K01」がオン状態にセットされる第1の回路501と、キープリレー「K01」をオフ状態にリセットするための第2の回路502によって構成される。
【0058】
第1の回路501は、ステップ起動リレー「EK03」の接点のオン/オフ状態のみに応じて、この接点がオン状態である場合にキープリレー「K01」がセットされるラダープログラムとして生成されるが、プログラム作成者は、この他にキープリレー「K01」をセットするための条件となる各種のインタロック信号等の接点を必要に応じて追加することができる。
【0059】
第2の回路502としては、常時オン接点である「V04」のb接点(反転接点)によってキープリレー「K01」がリセットされる回路が生成されるが、「V04」のb接点は常時オフであるので、この回路のままではキープリレー「K01」がリセットされない。このため、プログラム作成者は、設備12の構成に応じて、キープリレー「K01」をリセットするための条件設定を第2の回路502に追加する。具体的には、例えば設備12の各可動部が原位置にあることを示す接点を、「V04」のb接点に替えて追加する。
【0060】
このキープリレー「K01」は、第1及び第2のトランジション41,42における遷移条件として用いられる。具体的には、キープリレー「K01」がリセットされているとき、遷移条件が満たされるように構成されたラダープログラム51が第1のトランジション41に対応して設けられる。また、キープリレー「K01」がセットされているとき、遷移条件が満たされるように構成されたラダープログラム52が第2のトランジション42に対応して設けられる。
【0061】
第1のトランジション41に割り当てられたラダープログラム51におけるリレー「TR011」は、第1のトランジション41の遷移条件を示し、このリレー「TR011」がオン状態であれば、第1のトランジション41が通過可能状態となる。また、第2のトランジション42に割り当てられたラダープログラム52におけるリレー「TR012」は、第2のトランジション42の遷移条件を示し、このリレー「TR012」がオン状態であれば、第2のトランジション42が通過可能状態となる。
【0062】
途中停止後の再起動ではなく、設備12の自動運転がチャート式プログラムの先頭のステップであるステップ「ST000」から開始された場合、キープリレー「K01」はオフ状態であるので、第1のトランジション41の遷移条件が満たされ、ステップ「ST002」の次には、ステップ「ST003」の制御処理が実行される。
【0063】
一方、ステップ「ST003」の制御処理によるワークへの組み付け加工が開始された後に途中停止した場合の再起動時には、ステップ「ST003」の制御処理の実行時に、第1の回路501によってセットされたキープリレー「K01」のオン状態が維持されているので、第1のトランジション41の遷移条件は満たされず、第2のトランジション42の遷移条件が満たされる。これにより、バイパス経路43が有効となり、組付けサイクル(ST003)の制御処理の実行が省略される。これにより、ワークや設備12の損傷を回避することが可能となる。
【0064】
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下に述べる効果が得られる。
【0065】
(1)中間ステップ抽出手段211によってワークへの加工がなされる中間ステップが抽出され、プログラム要素付加手段212によって、途中停止後の再起動時に中間ステップの処理の実行を行わせないためのプログラム要素が付加される。このため、プログラム作成者の負担を軽減することが可能となる。
【0066】
(2)プログラム要素付加手段212によって生成されたバイパス経路及びトランジションがプログラム要素としてチャート式プログラムに付加されるので、プログラム作成者以外の第三者(設備12の保全担当者等)にとっても、その内容を容易に把握することが可能となる。
【0067】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図7を参照して説明する。本実施の形態に係る制御プログラム編集装置2は、第1の実施の形態について図2を参照して説明したものと同様に構成されているが、プログラム要素付加手段212による処理の内容が第1の実施の形態とは異なる。以下、このプログラム要素付加手段212の処理内容について、図3に示すチャート式プログラムを含む制御プログラムに対して中間ステップの実行を行わせないためのプログラム要素を付加する場合を例にとって詳細に説明する。
【0068】
本実施の形態に係るプログラム要素付加手段212は、途中停止後の再起動に中間ステップの処理の実行を行わせないためのプログラム要素として、中間ステップ抽出手段211によって抽出された中間ステップに対応するトランジションのラダープログラムに、この中間ステップの実行を行わせないための回路要素を付加する。
【0069】
図7(a)及び(b)は、本実施の形態に係るプログラム要素付加手段212によって生成されるラダープログラムの一例を示す。図7(a)は中間ステップであるステップ「ST003」のラダープログラムであり、図7(b)は、ステップ「ST003」に対応するトランジション「TR003」のラダープログラムである。
【0070】
ステップ「ST003」のラダープログラム60は、図6を参照して第1の実施の形態において説明したものと同様であり、ステップ「ST003」のステップ起動リレーの接点である「EK03」がオン状態となることによりキープリレー「K01」がオン状態にセットされる第1の回路601と、キープリレー「K01」をオフ状態にリセットするための第2の回路602によって構成される。プログラム作成者は、第1の回路601及び第2の回路602に各種のインタロック信号等の接点を適宜追加する。
【0071】
図7(b)に示すトランジション「TR003」のラダープログラム61におけるリレー「TR003」は、トランジション「TR003」の遷移条件を示すリレーであり、このリレー「TR003」がオン状態であれば、トランジション「TR003」が通過可能状態となる。また、ステップ「ST003」の実行を開始する前にリレー「TR003」がオン状態であれば、連続運転中にトランジション「TR002」を通過した後、ステップ「ST003」の制御処理を実行することなく、トランジション「TR003」を通過する。
【0072】
図7(b)に示すラダープログラム61において、点線で囲って示す領域610には、プログラム作成者によって設備12の構成に応じた各種の接点が設けられる。プログラム要素付加手段212は、この領域610と並列に、キープリレー「K01」がセットされた状態でオン状態となるキープリレー「K01」の接点(a接点)を付加する。これにより、途中停止後の再起動時には、ステップ「ST003」の制御処理が実行されない。
【0073】
なお、このようなキープリレー「K01」の接点(a接点)を、中間ステップよりも上流側のステップ(ST001〜ST002)のトランジション(TR001〜TR002)のラダープログラムにも追加すれば、途中停止後の再起動時にステップ(ST001〜ST002)の制御処理の実行を省略することができる。
【0074】
本実施の形態によれば、プログラム要素付加手段212によって途中停止後の再起動時に中間ステップの処理の実行を行わせないためのプログラム要素が付加されるので、第1の実施の形態と同様に、プログラム作成者の負担を軽減することが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
10…プログラマブルコントローラ、100…ベース、101…電源モジュール、102…CPUモジュール、103…通信モジュール、104…出力モジュール、105…入力モジュール、12…設備(制御対象機器)、121…アクチュエータ、122…センサ、13…操作盤、130…モニタ装置、130a…表示器、131…各個選択スイッチ、132…運転準備スイッチ、133…起動スイッチ、134…実行スイッチ、135…非常停止スイッチ、141,142…通信ケーブル、2…制御プログラム編集装置、20…本体部、201…ディスプレイ、202…キーボード、203…タッチパッド、21…プログラム編集部、211…中間ステップ抽出手段、212…プログラム要素付加手段、22…記憶部、23…通信部、241…コメント欄、242…プルダウンメニュー欄、243…OKボタン、3…モニタ装置、31…表示器、4…バイパス回路、40…ダミーステップ、41…第1のトランジション、42…第2のトランジション、43…バイパス経路、50,51,52,60,61…ラダープログラム、501,601…第1の回路、502,602…第2の回路、610…領域
図1
図2
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図4
図5
図6
図7