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特開2016-218809農機シェアリース実行システム及び農機シェアリース実行方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-218809(P2016-218809A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】農機シェアリース実行システム及び農機シェアリース実行方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20161125BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20161125BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20161125BHJP
【FI】
   G06Q30/06 200
   G06Q50/10
   G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-104037(P2015-104037)
(22)【出願日】2015年5月21日
(71)【出願人】
【識別番号】508304789
【氏名又は名称】JA三井リース株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503356141
【氏名又は名称】株式会社ぶった農産
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】冨田 英基
(72)【発明者】
【氏名】本川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】田中 一弘
(72)【発明者】
【氏名】佛田 利弘
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB68
5L049CC01
5L049CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】農機を遠隔地間においても効率的な共同利用ができる農機シェアリース実行システム及び方法を提供する。
【解決手段】農機をシェアリース契約をした複数の農家12A〜12Gからなるシェアチーム112、212を構成した農家に貸し出し、順次使い廻して、各農家にリース料を請求する農機シェアリース実行システムであって、リース実行サーバ40と農機に装備された移動体端末80とを有する。移動体端末80は農機の稼働開始時刻及び終了時刻、これらの時刻における農機の位置稼働データをリース実行サーバに送信する。リース実行サーバは、農機情報、利用者及びその圃場情報、作業計画情報を含む利用条件データ及び位置稼働データを受付け、農機の利用料金を算出し、農家による希望貸出日数、不稼働基準日、希望作業面積及び希望作業面積に対応する基準作業時間により基本料金を算出する。また、超過時間料金、追加貸出日料金の追加料金を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リース会社から、リース物件である農機を、シェアリース契約をした複数の農家からなるシェアチームを構成した農家の一つに貸し出し、その農家での作業終了後は次の農家に搬送し、順次使い廻して、各農家に対してリース料を請求する農機シェアリース実行システムであって、
前記リース会社のリース実行サーバと、
前記リース実行サーバに対して通信回線を介して接続可能であって、前記農機に装備された移動体端末と、を有してなり、
前記移動体端末は、
前記農機の稼働開始時刻及び稼働終了時刻、及び、少なくとも、これらの時刻における前記農機の位置データを含む位置稼働データを取得し、且つ、これを記憶する位置稼働データ記憶手段と、
前記記憶された位置稼働データを前記リース実行サーバに送信する位置稼働データ送信手段と、
を備え、
前記リース実行サーバは、
前記農機の情報、前記農機の利用者及びその圃場情報、作業計画情報を含む利用条件データの入力を受付けて記憶する利用条件データ受付記憶手段と、
前記位置稼働データ送信手段により送信された前記位置稼働データの入力を受付けて記憶する位置稼働データ受付記憶手段と、
前記記憶された位置稼働データ及び利用条件データから、前記農機の利用料金を算出する利用料金算出手段と、を備えてなり、
前記利用料金算出手段は、
前記農家による希望貸出日数、前記希望貸出日数に対応する不稼働基準日、希望作業面積、前記希望作業面積に対応する基準作業時間により決定される基本料金を算出する基本料金算出手段と、
前記記憶された位置稼働データから、前記基準作業時間を超過した超過時間に対応する超過時間料金及び前記希望貸出日数に対応した追加貸出日料金の合計からなる追加料金を算出する追加料金算出手段と、を有してなり、
前記基本料金算出手段により算出された基本料金と前記追加料金算出手段により算出された追加料金との和となる、前記利用料金を算出するように構成されたことを特徴とする農機シェアリース実行システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記リース実行サーバは、
前記農機が存在する圃場を含む地域の気象データを取得して記憶する気象データ取得記憶手段と、
前記気象データ取得記憶手段に記憶された気象データから、1日あたり10mm以上の降水量のあった日を天候不順による不稼働日として算出して記憶する天候不順不稼働日算出記憶手段と、
前記記憶された天候不順による不稼働日の日数から、基本料金記憶手段に記憶された不稼働基準日の日数を減じた差の日数を減額対象不稼働日として算出して記憶する減額日数算出記憶手段と、
前記記憶された減額日数に、1日あたりの減額金を掛けた金額を、前記利用料金から減じて記憶する天候不順減額後料金計算記憶手段と、
を有してなることを特徴とする農機シェアリース実行システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記移動体端末は、
前記農機による作業内容のデータ、及び、その作業日の1日の作業面積のデータを含む作業内容面積データを取得して記憶する作業内容面積データ取得記憶手段と、
前記記憶された作業内容面積データを前記リース実行サーバに送信する作業内容面積データ送信手段と、を更に備え、
前記リース実行サーバは、
前記作業内容面積データ送信手段から送られた作業内容面積データを受付けて記憶する作業内容面積データ受付記憶手段と、
前記記憶された作業内容面積データに基づく前記作業の単位面積当りの作業時間、及び、前記作業内容と同一種類の作業の、単位面積当りの作業時間の全国平均である作業標準時間のデータを算出して記憶する作業標準時間算出記憶手段と、
前記単位面積当りの作業時間及び前記作業標準時間のデータ、本日の作業面積のデータ、本日の利用料金のデータ、本日の単位面積当りの利用料金のデータを含む可視化データを算出して記憶する可視化データ算出記憶手段と、
前記記憶された可視化データを、前記移動体端末に送信する可視化データ送信手段と、を有し、
前記移動体端末は、
前記リース実行サーバから送信された可視化データを受け入れて記憶する可視化データ受入れ記憶手段と、
前記記憶された可視化データをディスプレイに表示する可視化データ表示手段と、
を有していることを特徴とする農機シェアリース実行システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記農機には、作業後の搬出前に最終清掃をするべき最終清掃箇所が複数設定されていて、且つ、これら最終清掃箇所が清掃されているか否かを検出する最終点検手段が設けられ、
前記移動体端末は、
前記最終点検手段による点検結果の最終点検データを取得して記憶する最終点検データ取得記憶手段と、
前記記憶された最終点検データを前記リース実行サーバに送信する最終点検データ送信手段と、
を有し、
前記リース実行サーバは、
前記送信されてきた最終点検データを受付けて記憶する最終点検データ受付記憶手段と、
前記記憶された最終点検データを画面上に農機返却の意思として表示する返却意思表示手段と、
を有することを特徴とする農機シェアリース実行システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記移動体端末は光学的読取装置を備え、
前記農機には、前記最終清掃箇所に、最終清掃が終了している状態で、前記光学的読取装置により読取り可能な清掃マークが取り付けられていて、前記光学的読取装置及び清掃マークは、前記最終点検手段を構成することを特徴とする農機シェアリース実行システム。
【請求項6】
請求項4において、
前記移動体端末の前記最終点検手段は、
前記最終清掃箇所を撮影し、その映像データを取得して記憶する清掃箇所映像取得記憶手段と、前記記憶した映像データを前記リース実行サーバに送信する映像データ送信手段と、から構成されたことを特徴とする農機シェアリース実行システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記リース実行サーバは、契約作成部を含んで構成され、前記契約作成部は、
複数の農家からのシェアリース申込みを受付けてシェアリース申込みデータを記憶するシェアリース申込みデータ受付記憶手段と、
前記記憶されたシェアリース申込みデータから、シェアチームを組成するためのシェアチーム組成条件を受付けて記憶するシェアチーム組成条件データ受付け記憶手段と、
前記記憶されたシェアチーム組成条件に基づいて、前記シェアリース申込みをした農家から2乃至30の農家からなるシェアチームを複数組成するシェアチーム組成手段と、
前記シェアリース申込みをした農家の各々について、シェアリース契約書を作成して記憶するシェアリース契約書作成記憶手段と、
前記シェアリース契約書の、各農家への発送を指示するシェアリース契約書発送指示手段と、
前記作成したシェアリース契約データを前記リース実行サーバに送信する成立契約データ送信手段と、
を有してなり、
前記シェアチーム組成手段は、各農家の、前記農機による作業期間が重複しないこと、前記シェアチームの希望作業面積合計が設定値以上となること、及び、農家間の距離が設定値以下になることの条件により、前記シェアチームを組成するように構成されたことを特徴とする農機シェアリース実行システム。
【請求項8】
リース会社から、リース物件である農機を、リース契約をした複数の農家の一つに貸し出し、その農家での作業終了後は次の農家に搬送し、順次使い廻して、各農家に対してリース料を請求する農機シェアリース実行方法であって、
前記リース会社のリース実行サーバからの指示により、運送業者が前記複数の農家の一つに、移動体端末を備えた前記農機を搬入するステップと、
前記農家において、前記農機を使用し、その稼働開始時刻及び稼働終了時刻、及び、少なくとも、これらの時刻における前記農機の位置データを含む位置稼働データを、前記移動体端末により取得し、且つ、その位置稼働データを前記リース実行サーバに送信するステップと、
前記リース実行サーバにおいて、前記農機の情報、前記農機の利用者及びその圃場情報、作業計画情報を含む利用条件データと前記位置稼働データに基づいて、前記農機の利用料金を算出し、
前記移動体端末により、前記農機に設定された複数の最終清掃箇所の、清掃後の状態のデータを前記リース実行サーバに送信するステップと、
前記リース実行サーバにおいて、前記送信されてきた前記清掃後の状態のデータから清掃が完了しているか否かを判定し、否の場合は、再度の清掃を指示する信号を、正の場合は、農機返却の意思確認の信号を、それぞれ前記移動体端末に送信するステップと、
前記農機返却の意思確認の信号が前記移動体端末に受信されたとき、前記リース実行サーバから、運送業者に、前記農機を次の農家に搬送する指示信号を送信するステップと、
前記農機返却の意思確認の信号が前記移動体端末に受信されたとき、農機返却の意思表示をした農家に対して、前記算出された農機の利用料金を請求するステップと、
を各農家との間で順次繰り返すことを特徴とする農機シェアリース実行方法。
【請求項9】
複数の農家からの農機シェアリース申込をリース会社のリース実行サーバに受付けるステップと、
前記リース実行サーバにおいて、前記複数の農家から2乃至30の農家をまとめて、1つのシェアチームを組成するステップと、
前記組成されたシェアチーム毎に、1つの農機を順次使い廻すシェアリース契約書をシェアチームを構成する各農家について作成するステップと、
を有してなり、
前記リース実行サーバは各農家の、前記農機による作業期間が重複しないこと、前記シェアチームの希望作業面積合計が設定値以上となること、及び、農家間の距離が設定値以下になることの条件により、前記シェアチームを組成するように構成されたことを特徴とする農機シェアリース実行方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記シェアチーム組成のステップでは、前記作業期間の重複の有無を検討する際に、農家間における農機の移動期間として、少なくとも3日のバッファ期間を設けることを特徴とする農機シェアリース実行方法。
【請求項11】
請求項8又は9において、
前記シェアチームの希望作業面積として、作業が稲刈及び麦刈の場合、1年目稲刈面積と、1年目麦刈面積と、2年目稲刈面積との和の面積を設定するようにされたことを特徴とする農機シェアリース実行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リース契約をした複数の農家に、農機を順次使い廻して、各農家にリース料を請求する農機シェアリースを実行するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同一農機を、圃場が近い複数の農家で共同利用するシステムがある。
【0003】
しかしながら、上記のように、圃場が近い場合は、例えば稲刈りの時期が集中するので、共同利用のできる農家の範囲が限定されてしまい、農機の稼働率を十分に高くすることができないという問題点があった。
【0004】
これに対して、リース会社から、リース物件である農機を、リース契約をした比較的遠隔の農家を含む複数の農家の1つに貸し出し、その農家での作業終了後は次の農家に搬送し、順次使い廻して、各農家に対してリース料を請求する農機リース契約が提案されている。
【0005】
この場合、農機の使用実態を把握して、効率的に順次使い廻す必要があり、また、天候によっては農機を使用できないこともあり、予定の面積の作業を終了する前に、次の農家に引き渡す期日が到来したりすることがないようにする必要がある。
【0006】
また、農機を農家から次の農家に搬送する前に、農機を清掃して、次の農家で直ちに使用できるようにする必要があるが、業者に依頼するとコスト高となってしまうという問題点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】中村 雅芳、外1名、稲作農機レンタル協議会|先端農業連携推進機構ホームページ“コンソーシアム形成の経緯”、[online]、平成27年5月20日現在、農林水産ビジネス推進支援センター、[平成27年5月20日検索]、インターネット〈URL:http://sentannogyo-kiko.jp/cooperation/481/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、農機を、遠隔地間においても効率的な共同利用をできるようにした、農機シェアリースのための農機シェアリース実行システム及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、次の本発明の実施例によって解決される。
【0010】
(1)リース会社から、リース物件である農機を、シェアリース契約をした複数の農家からなるシェアチームを構成した農家の一つに貸し出し、その農家での作業終了後は次の農家に搬送し、順次使い廻して、各農家に対してリース料を請求する農機シェアリース実行システムであって、前記リース会社のリース実行サーバと、前記リース実行サーバに対して通信回線を介して接続可能であって、前記農機に装備された移動体端末と、を有してなり、前記移動体端末は、前記農機の稼働開始時刻及び稼働終了時刻、及び、少なくとも、これらの時刻における前記農機の位置データを含む位置稼働データを取得し、且つ、これを記憶する位置稼働データ記憶手段と、前記記憶された位置稼働データを前記リース実行サーバに送信する位置稼働データ送信手段と、を備え、前記リース実行サーバは、前記農機の情報、前記農機の利用者及びその圃場情報、作業計画情報を含む利用条件データの入力を受付けて記憶する利用条件データ受付記憶手段と、前記位置稼働データ送信手段により送信された前記位置稼働データの入力を受付けて記憶する位置稼働データ受付記憶手段と、前記記憶された位置稼働データ及び利用条件データから、前記農機の利用料金を算出する利用料金算出手段と、を備えてなり、前記利用料金算出手段は、前記農家による希望貸出日数、前記希望貸出日数に対応する不稼働基準日、希望作業面積、前記希望作業面積に対応する基準作業時間により決定される基本料金を算出する基本料金算出手段と、前記記憶された位置稼働データから、前記基準作業時間を超過した超過時間に対応する超過時間料金及び前記希望貸出日数に対応した追加貸出日料金の合計からなる追加料金を算出する追加料金算出手段と、を有してなり、前記基本料金算出手段により算出された基本料金と前記追加料金算出手段により算出された追加料金との和となる、前記利用料金を算出するように構成されたことを特徴とする農機シェアリース実行システム。
【0011】
(2)リース会社から、リース物件である農機を、リース契約をした複数の農家の一つに貸し出し、その農家での作業終了後は次の農家に搬送し、順次使い廻して、各農家に対してリース料を請求する農機シェアリース実行方法であって、前記リース会社のリース実行サーバからの指示により、運送業者が前記複数の農家の一つに、移動体端末を備えた前記農機を搬入するステップと、前記農家において、前記農機を使用し、その稼働開始時刻及び稼働終了時刻、及び、少なくとも、これらの時刻における前記農機の位置データを含む位置稼働データを、前記移動体端末により取得し、且つ、その位置稼働データを前記リース実行サーバに送信するステップと、前記リース実行サーバにおいて、前記農機の情報、前記農機の利用者及びその圃場情報、作業計画情報を含む利用条件データと前記位置稼働データに基づいて、前記農機の利用料金を算出し、前記移動体端末により、前記農機に設定された複数の最終清掃箇所の、清掃後の状態のデータを前記リース実行サーバに送信するステップと、前記リース実行サーバにおいて、前記送信されてきた前記清掃後の状態のデータから清掃が完了しているか否かを判定し、否の場合は、再度の清掃を指示する信号を、正の場合は、農機返却の意思確認の信号を、それぞれ前記移動体端末に送信するステップと、前記農機返却の意思確認の信号が前記移動体端末に受信されたとき、前記リース実行サーバから、運送業者に、前記農機を次の農家に搬送する指示信号を送信するステップと、前記農機返却の意思確認の信号が前記移動体端末に受信されたとき、農機返却の意思表示をした農家に対して、前記算出された農機の利用料金を請求するステップと、を各農家との間で順次繰り返すことを特徴とする農機シェアリース実行方法。
【0012】
ここで、「農機」は、農業のための機械、施設のうち搬送可能なもの、例えばコンバインをいう。また、「農家」とは、農業を営む人をいう。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の農家の圃場間の距離が比較的長くても、同一の農機を順次使い廻しすることができ、これによって作業時期の異なる圃場間で農機を使い廻しできるので、農機の共同利用の効率を大幅に向上させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る農機シェアリース実行システムを示すブロック図
図2】実施例において、リース契約の対象となる農機を示す斜視図
図3】同実行システムにおけるシェアリース契約作成部を示すブロック図
図4A】シェアリース契約申込み用のフォーム1/2を示す平面図
図4B】シェアリース契約申込み用のフォーム2/2を示す平面図
図5】シェアリース契約をした農家の圃場を示す平面図
図6】シェアチームの農家の離れた圃場を示す平面図
図7】同実行システムを構成するリース実行サーバを示すブロック図
図8】同実行システムにおける移動体端末を示すブロック図
図9A】農機に予め設定された最終清掃箇所の1〜8番目を示す画像
図9B】農機に予め設定された最終清掃箇所の9〜16番目を示す画像
図9C】農機に予め設定された最終清掃箇所の17〜20番目を示す画像
図10】シェアリース契約実行過程での、リース契約過程を示すフローチャート
図11】シェアリース契約実行過程での、リース実行過程を示すフローチャート
図12】農機の稼働位置、時間を示す稼働位置・軌跡情報一覧画面
図13】農機の稼働時間を示す農機稼働時間情報一覧画面
図14】リース実行サーバが取得した気象データを示す気象データ情報一覧画面
図15】農機の利用料金を示す利用状況報告書の画面
図16】利用料金算出手段で用いられる料金算出アプリケーションの一部を示す図面
図17】可視化データを表わす画面
図18】最終点検・清掃個所の清掃後の画像を示す画像遠隔管理システム画面
図19】農機の返却意思、農機外観を示す返却意思表示画面
図20】最終点検・清掃個所の清掃後の画像を撮影する場合の指標の例を模式的に示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示されるように、本発明の実施例に係る農機シェアリースシステム10は、シェアリース契約作成部20と、このシェアリース契約作成部20を含むリース実行サーバ40と、このリース実行サーバ40とインターネット14を介して接続可能な移動体端末80と、から構成されている。
【0017】
移動体端末80は、農機(図2参照)Mに備えられている。図2における符号Mは、農機に貼付されたQRコード(登録商標)等のマトリックス型2次元コードであり、移動体端末80のカメラ80Eにより読取り可能とされていて、移動体端末80はマトリックス型2次元コードMの読取りにより、後述の点検清掃マニュアルをディスプレイ80Dに表示するようにされている。
【0018】
シェアリース契約作成部20は、農家12からインターネット14を介して、あるいはFAXや郵送を介してシェアリース契約の申込みを受付けるようにされていて、また、シェアリース契約申込みがあった複数の農家から、一定の条件(詳細後述)で複数の農家をまとめて1つのシェアチームを組成するとともに、各農家とのシェアリース契約書を作成するようにされている。
【0019】
具体的には、図1に示されるように、例えば4戸の農家12A〜12Dからなるシェアチーム112及び、3戸の農家12E〜12Gシェアチーム212のように、3又は4戸(シェアリース契約作成部20内では、2乃至30戸に設定されている;詳細後述)の農家をまとめて1つのシェアチームを組成するようにされている。
【0020】
次に、シェアリース契約作成部20の構成を示す図3を参照して、シェアリース契約作成部20について説明する。
【0021】
シェアリース契約作成部20は、インターフェイス手段(IF手段)20Aと、記憶装置20Bと、制御手段30とから構成されている。
【0022】
制御手段30に対しては、IF手段20Aを介して、キーボード20C、ディスプレイ20D、プリンタ20Eがそれぞれ接続されている。また、契約を申込む農家12とは、インターネット14、または、FAX、あるいは郵送を介して接続可能とされている。農家12からFAX、あるいは郵送で送られたときは、キーボード20Cから契約の申込みのデータをIF手段20Aを介して制御手段30に入力するようにされている。
【0023】
制御手段30は、IF手段20Aを介して農家12からのシェアリース申込みデータを受付けるシェアリース申込みデータ受付機能31と、シェアチーム組成条件受付手段32と、シェアチーム組成手段33と、シェアリース契約書作成手段34と、シェアリース契約書発送指示機能35と、成立契約データ送信手段36とを備えている。
【0024】
シェアリース申込みのフォーム又は様式は、図4A図4Bに示されるように、申込みをする農家の圃場の住所、信用情報、希望作業面積、農機の種類、希望作業期間等が記載されるようになっている。
【0025】
シェアチーム組成条件受付手段32は、例えばキーボード20Cからシェアチーム組成の際の条件を受付けるようにされている。ここで、シェアチーム組成条件とは、(1)各農家12の、農機による作業期間が重複しないこと、(2)シェアチームの希望作業面積合計が設定値以上となること、及び、(3)農家間の距離が設定値以下になること、の3条件を含むようにされている。
【0026】
作業期間が重複しないことの条件は当然であるが、(2)シェアチームの希望作業面積合計が設定値以上となること、の条件は、少ない合計面積の場合、農家から受取る利用料金の合計が少なくなり、コスト割れになってしまうからである。また、(3)農家間の距離を設定値以下、例えば200km以下にしないと、搬送時間及び搬送費用が過大になってしまうからである。これらのシェアチームの希望作業面積合計は、農家からの申告面積に基づくものであるが、例えば図5図6に示されるように、圃場の衛星写真や航空写真に基づいて算出してもよい。
【0027】
作業期間の設定について、例えば、農機が稲刈用のコンバインの場合は、次のようにすることもできる。
【0028】
同一の農機について、償却期間内に効率よく使用するために、例えば、同一の地域では、本年の稲刈(9月〜11月15日)、翌年の麦刈(6月、8月)、翌年の稲刈(9月〜11月15日)のための期間7ヶ月を設定する。この7ヶ月はシェアチームの他の地域では1〜2ヶ月ずれて設定される。
【0029】
シェアチーム組成手段33は、シェアチーム組成条件受付手段32によって受付けられた条件及び各農家からのシェアリース申込み情報に基づいて、複数の農家からなるシェアチームを組成するようにされている。
【0030】
農機Mがコンバインの場合、シェアチームの戸数は2乃至30戸とする。シェアチームの戸数を最小2戸としたのは、1戸では採算が取れないからであり、最大30戸としたのは、上記の7ヶ月は30週となり、採算の点から使用期間を最低でも1週間とすると、最大30戸となるからである。
【0031】
シェアリース契約書作成手段34は、図4A図4Bに示される、農家12からのシェアリース契約申込書(契約の申込み)の内容で、シェアリース契約が成立したことを示すものである。具体的には、シェアリース契約申込書の一部に申込みを承諾する旨の表示(図4B下半部参照)をすることにより契約を成立させる。
【0032】
シェアリース契約書発送指示機能35は、シェアリース契約書作成手段34で作成されたシェアリース契約書をシェアリース契約を申込んだ農家12に発送することを指示するものである。
【0033】
また、成立契約データ送信手段36は、シェアリース契約書作成手段34で作成されたシェアリース契約のデータを、リース実行サーバ40に送信するようにされている。
【0034】
記憶装置20Bは、シェアリース申込みデータ記憶手段21と、シェアチーム組成条件データ記憶手段22と、シェアチームデータ記憶手段23と、シェアリース契約書記憶手段24と、成立契約記憶手段25と、成立契約データ送信記憶手段26とを含んで構成されている。
【0035】
シェアリース申込みデータ記憶手段21は、シェアリース申込みデータ受付機能31で受付けられた農家12からのシェアリース契約申込みのデータを記憶するものである。
【0036】
シェアチーム組成条件データ記憶手段22は、シェアチーム組成条件受付手段32で受付けられたシェアチーム組成のための条件のデータを記憶するものである。
【0037】
シェアチームデータ記憶手段23は、シェアチーム組成手段33によって組成されたシェアチーム及びこれを構成する農家12、そのシェアリース契約申込書の内容を記憶するものである。
【0038】
シェアリース契約書記憶手段24は、シェアリース契約書作成手段34で作成されたシェアリース契約書の内容を記憶するものであり、成立契約記憶手段25は、シェアリース契約書発送指示機能35からの指示によって、農家12にシェアリース契約書を発送した事実を記憶するものである。
【0039】
また、成立契約データ送信記憶手段26は、成立契約データ送信手段36からリース実行サーバ40に成立契約データが送られたことを記憶するものである。
【0040】
ここで、上記制御手段30におけるシェアリース申込みデータ受付機能31と、シェアリース契約書発送指示機能35とは各々IF手段20Aとともに、シェアリース申込みデータ受付手段及びシェアリース契約書発送指示手段を構成するものである。
【0041】
次に、図7に示されるリース実行サーバ40について説明する。
【0042】
リース実行サーバ40は、制御手段60と、IF手段20Aと、記憶装置40Bとから構成されていて、移動体端末80は、インターネット14及びIF手段20Aを介して制御手段60に接続されている。
【0043】
移動体端末80は、その現在位置を確認することができる機能、例えばGPS機能と、写真を撮影できる撮影機能とを有するタブレット等から構成され、IF手段80Aと、記憶装置80Bと、制御手段90とを含んで構成され、また、制御手段90は、IF手段80Aを介して、キーボード80C、ディスプレイ80D、カメラ80Eからのデータを受付可能とされている。
【0044】
移動体端末80は、農機Mにセットされたとき、例えばシガーソケットから給電されるようになっていて、また、給電は農機MのエンジンがONのときのみなされるようになっている。更に、移動体端末80は、給電のON/OFFから農機MのエンジンのON/OFFの信号を取得するようにされている。
【0045】
なお、前記GPS機能は、農機Mに備えるようにしてもよい。この場合、農機MのGPS装置と移動体端末80との間は直接又は、Wi Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)により送受信するように構成する。
【0046】
リース実行サーバ40の制御手段60は、シェアリース契約情報受付機能61と、利用条件データ受付機能62と、農機搬入指示情報作成手段63と、農機到着情報受付機能64と、位置稼働データ受付機能65と、基本料金算出手段66A及び追加料金算出手段66Bからなる利用料金算出手段66と、対象となる圃場のある地域の気象情報を供給する気象情報源15からの、少なくとも降水量データを、インターネット14及びIF手段20Aを介して受付ける気象データ取得機能67と、不稼働日算出手段68と、減額日数算出手段69と、減額後料金計算手段70と、作業内容面積データ受付機能71と、作業標準時間算出手段72と、可視化データ算出機能73と、可視化データ送信機能74と、最終点検データ受付機能75と、返却意思表示手段76とを備えて構成されている。
【0047】
記憶装置40Bは、シェアリース契約情報記憶手段41と、利用条件データ記憶手段42と、農機搬入指示情報データ記憶手段43と、農機到着情報データ記憶手段44と、位置稼働データ記憶手段45と、基本料金記憶手段46Aと、追加料金記憶手段46Bと、気象データ記憶手段47と、不稼働日記憶手段48と、減額日数記憶手段49と、減額後料金記憶手段50と、作業内容面積データ記憶手段51と、作業標準時間記憶手段52と、可視化データ記憶手段53と、最終点検データ記憶手段54、使用前画像データ記憶手段55とを含んで構成されている。
【0048】
シェアリース契約情報受付機能61は、シェアリース契約作成部20の成立契約データ送信手段36からのシェアリース契約内容のデータを受付けるようにされ、シェアリース契約情報記憶手段41は、受付けられたシェアリース契約の内容を記憶するようにされている。
【0049】
利用条件データ受付機能62は、シェアリース対象農機の情報と、農機の利用者とその圃場情報と、作業計画情報とを含む利用条件データの、例えばキーボード20Cからの入力を受付けるようにされ、利用条件データ記憶手段42は、受付けた利用条件データを記憶するようにされている。
【0050】
農機搬入指示情報作成手段63は、成立したシェアリース契約の情報に基づいて、インターネット14を介して、農機運送会社16の運送会社端末16Aに、シェアチームを構成する最初の農家に農機Mを搬入する指示情報を作成して送信するようにされ、この指示情報は、農機搬入指示情報データ記憶手段43に記憶するようにされている。
【0051】
また、農機到着情報受付機能64は、農家12における移動体端末80からの、農機Mが到着した旨の到着情報を、インターネット14、IF手段20Aを介して受付けるようにされていて、この到着情報は、農機到着情報データ記憶手段44に記憶されるようになっている。
【0052】
位置稼働データ受付機能65は、移動体端末80から、インターネット14を介して送信された、農機Mの稼働開始時刻及び稼働終了時刻、及び、少なくともこれらの時刻における農機Mの位置データを含む位置稼働データを取得するようにされ、位置稼働データ記憶手段45は、取得された位置稼働データを記憶するようにされている。
【0053】
農機Mの稼働開始時刻及び稼働終了時刻は、移動体端末80が取得したエンジンのON/OFFの時刻であり、その間の時間が図13に示される稼働時間であり、具体的なアワーメータで示される(図15参照)。
【0054】
利用料金算出手段66を構成する基本料金算出手段66Aは、農家12による希望貸出日数、希望貸出日数に対応する不稼働基準日、希望作業面積、希望作業面積に対応する基準作業時間により決定される基本料金を算出するようにされ、この基本料金のデータは、基本料金記憶手段46Aに記憶するようにされている。
【0055】
上記希望貸出日数に対応する不稼働基準日は、希望貸出日を含む時期の、希望貸出日数内での平均的な降雨日数からなる。
【0056】
利用料金算出手段66を構成する追加料金算出手段66Bは、位置稼働データ記憶手段45に記憶された位置稼働データから、基準作業時間を超過した超過時間に対応する超過時間料金及び希望貸出日数に対応した追加貸出日数の合計からなる追加料金を算出するようにされ、この算出された追加料金は、追加料金記憶手段46Bに記憶されるようになっている。
【0057】
気象データ取得機能67は、農機Mが存在する圃場を含む地域の気象データを、例えば気象計測器や気象情報会社等の気象情報源15からインターネット14及びIF手段20Aを経由して取得するようにされ、この取得された気象データは、気象データ記憶手段47に記憶されるようになっている。
【0058】
不稼働日算出手段68は、記憶された気象データから、1日当たり10mm以上の降水量のあった日を天候不順による不稼働日として算出するようにされ、この不稼働日は、不稼働日記憶手段48に記憶されるようになっている。
【0059】
減額日数算出手段69は、記憶された天候不順による不稼働日の日数から、基本料金記憶手段46Aに記憶された不稼働基準日の日数を減じた差の日数を減額対象不稼働日として算出するようにされ、この減額対象不稼働日は、減額日数記憶手段49に記憶されるようになっている。
【0060】
減額後料金計算手段70は、記憶された減額日数に、1日当たりの減額金を掛けた金額を、利用料金から減じて算出するようにされ、この算出された金額は、減額後料金記憶手段50に記憶されるようになっている。
【0061】
利用料金算出手段66は、具体的には図16に示されるようなアプリケーションを含んでいる。
【0062】
作業内容面積データ受付機能71は、移動体端末80からインターネット14を経由して送信されてくる作業内容面積データをIF手段20Aを介して受付けるようにされていて、受付けられた作業内容面積データは、作業内容面積データ記憶手段51に記憶されるようになっている。
【0063】
作業標準時間算出手段72は、記憶された作業内容面積データに基づく当該作業の単位面積当たりの作業時間、及び、当該作業内容と同一種類の作業の、単位面積当たりの作業時間の全国平均である作業標準時間のデータを算出するようにされ、このデータは、作業標準時間記憶手段52に記憶されるようになっている。ただし、「全国平均」は、リース会社が提供した農機のデータに基づくので、母数が少ないときは、あくまでも参考データとなる。
【0064】
可視化データ算出手段73は、記憶された単位面積当たりの作業時間、作業標準時間のデータ、本日の作業面積のデータ、本日の利用料金のデータ、本日の単位面積当たりの利用料金のデータを含む可視化データを算出するようにされ、この可視化データは、可視化データ記憶手段53に記憶されるようになっている。記憶された可視化データは、可視化データ送信機能74により、IF手段20A及びインターネット14を介して移動体端末80に送信されるようになっている。
【0065】
最終点検データ受付機能75は、インターネット14及びIF手段20Aを介して送信されてくる、移動体端末80からの最終点検データを受付けるようにされていて、この最終点検データは、最終点検データ記憶手段54に記憶されるようになっている。
【0066】
ここで、農機Mには、作業後の、農機搬出前に最終清掃をするべき最終清掃個所が複数設定されていて、且つ、これら最終清掃個所が清掃されているか否かを検出する最終点検手段が設けられている(図9A、9B、9C参照)。この最終点検手段は、例えば農機Mの18個所に設定された点検マーク及び移動体端末80のカメラ80Eであり、具体的には、農機Mの使用前の状態の18個所の画像であり、この画像が、予め、リース実行サーバ40の使用前画像データ記憶手段55に記憶されている。図9Bの15番目の画像は操作説明であり、図9Cの20番目の画像は装備品、予備部品を示す。
【0067】
図9A図9B図9Cに示される画像は、(1)グレンタンクを開けた時の内側にあるコンベア部の蓋を取った状態の写真、(2)グレンタンクを開けた状態の写真、(3)オーガ部分の蓋4個所を開けた状態の写真、(4)受継ぎ搬送チェーンの詰まりを取り除いた状態の写真、(5)こぎ胴の下部分の写真、(6)コンバイン左側にあるコンベア部の蓋を開けた状態の写真、(7)コンベア部の1番及び2番底を開いた状態の写真、(8)コンバイン後方の揺動後部の写真、(9)引き起こしチェーンのカバーを開けた状態の写真、(10)刈刃両端のベアリングの写真、(11)刈刃両端のベアリングの拡大写真、(12)冷却水の量が確認出来る状態のサブタンクの写真、(13)プレクリーナーの清掃後の状態の写真、(14)エアクリーナーの清掃後の状態の写真、(15)刈刃と足回りの清掃前におけるUFOの操作を示す写真、(16)刈刃全体が見える状態の写真、(17)UFOを最大限に上げた状態の左クローラの写真、(18)UFOを最大限に上げた状態の右クローラの写真、(19)燃料が満タンであるか否か及びパワーメータを確認出来る状態の写真、(20)同時搬送部品(装備品や予備部品)の写真である。
【0068】
図9A図9B図9Cに示される画像は、作業後に、移動体端末80のカメラ80Eにより、図2の2次元コードMを読み取ることによって、ディスプレイ80Dに表示されるようになっている。
【0069】
返却意思表示手段76は、移動体端末80から送信されてきた最終点検データ、すなわち作業終了後に、作業した農家が上記18個所を使用開始前の状態に復帰させ、及び装備品、予備部品を揃えた後に撮影した画像を受付けるようにされ、この受付けられた最終点検データは使用前画像データ記憶手段55の使用前画像データと比較され、最終点検データ記憶手段54に記憶されるようになっている。
【0070】
返却意思表示手段76は、上記比較の結果両者の一致度が高い場合に、記憶された最終点検データを画面上に農機返却の意思として表示するものであり、これによって、農機が次の農家に搬送されることが可能となる。一致度が低い場合は、再度の清掃要求の信号が、移動体端末80に対して送信されるようになっている。
【0071】
次に、移動体端末80の制御手段90と記憶装置80Bの構成について説明する。
【0072】
制御手段90は、農機位置時刻データ取得機能91と、農機位置時刻データ送信機能92と、作業内容面積データ取得機能93と、作業内容面積データ送信機能94と、可視化データ受入れ機能95と、可視化データ表示機能96と、清掃個所映像取得機能97と、最終点検データ取得機能98と、最終点検データ送信機能99と、再清掃要求受付機能100とを備えて構成されている。
【0073】
また、記憶装置80Bは、農機位置時刻データ記憶手段81と、作業内容面積データ記憶手段82と、可視化データ記憶手段83と、清掃個所映像記憶手段84と、最終点検データ記憶手段85と、再清掃要求受付記憶手段86とを備えて構成されている。
【0074】
制御手段90における農機位置時刻データ取得機能91は、例えばGPS機能を利用して、農機Mの稼働開始時刻及び稼働終了時刻と、これらの時刻における農機Mの位置データを含む位置稼働データを取得するようにされ、この取得された位置稼働データは、記憶装置80Bにおける農機位置時刻データ記憶手段81に記憶されるようになっている。
【0075】
農機位置時刻データ送信機能92は、IF手段80A及びインターネット14を介してリース実行サーバ40に対して、記憶された農機位置時刻データを送信するようにされている。
【0076】
作業内容面積データ取得機能93は、農機Mによる作業内容のデータ、及び、その作業日の1日の作業面積のデータを含む作業内容面積データを、GPS機能を利用して算出して取得できるようにされ、この作業内容面積データ取得機能93は、作業内容面積データ記憶手段82に記憶されるようになっている。
【0077】
作業内容面積データ送信機能94は、記憶された作業内容面積データを、IF手段80A及びインターネット14を介してリース実行サーバ40に送信するようにされている。
【0078】
可視化データ受入れ機能95は、リース実行サーバ40から、インターネット14及びIF手段80Aを介して送信されてくる可視化データを受入れるようにされ、受入れられた可視化データは、可視化データ記憶手段83に記憶されるようになっている。可視化データ表示機能96は、記憶された可視化データをIF手段80Aを介してディスプレイ80Dに表示するようになっている。
【0079】
最終点検データ取得機能98は、最終点検手段による点検結果の最終点検データを取得するようにされ、取得された最終点検データは、最終点検データ記憶手段85に記憶されるようになっている。
【0080】
最終点検データ送信機能99は、記憶された最終点検データを、IF手段80A及びインターネット14を介してリース実行サーバ40に送信するようにされている。
【0081】
再清掃要求受付機能100は、リース実行サーバ40の返却意思表示手段76により返却意思が表示されなかったとき、再度の清掃要求としてこれを受付けるようにされている。
【0082】
次に、上記実施例に係る農機シェアリースシステム10により、農機シェアリースを実行する過程について説明する。
【0083】
まず、図10に示されるように、農機シェアリースシステム10におけるシェアリース契約作成部20において、シェアリース契約の申込みを受付け、シェアチームを組成し、成立した契約情報をリース実行サーバ40に送信するまでの過程について説明する。
【0084】
ステップ101において、複数の農家12からインターネット14を介して、あるいはFAX・郵送手段により、図4A図4Bに示されるようなフォームで、シェアリース契約の申込みを受付ける。
【0085】
この申込み情報は、図3に示される、キーボード20CからIF手段20Aを介して、制御手段30のシェアリース申込みデータ受付機能31によって受付けられる。
【0086】
次のステップ102では、シェアリース契約作成部20のシェアチーム組成条件受付手段32において、シェアチーム組成条件のデータを受付け、ステップ103において、シェアチーム組成手段33により、シェアチームを組成する。この時点で、シェアリース契約の申込みに対する承諾となり、シェアリース契約は成立する。
【0087】
次のステップ104において、シェアリース契約書作成手段34により作成されたシェアリース契約書の農家への発送指示が、シェアリース契約書発送指示機能35によって出され、シェアリース契約書がリース会社から農家に発送される。
【0088】
ステップ105においては、成立契約データ送信手段36により、成立したシェアリース契約情報がリース実行サーバ40のシェアリース契約情報受付機能61に送信される。
【0089】
次に、図11を参照して、リース実行サーバ40におけるリース実行過程において説明する。
【0090】
ステップ201では、リース実行サーバ40のシェアリース契約情報受付機能61によって、シェアリース契約作成部20からのシェアリース契約情報が受付けられる。
【0091】
ステップ202では、利用条件データ受付機能62において利用条件データが受付けられる。
【0092】
次のステップ203では、農機搬入指示情報作成手段63の指示により作成された農機搬入指示情報が、リース実行サーバ40からIF手段20A、インターネット14を介して、農機運送会社16の運送会社端末16Aに送信される。
【0093】
運送会社16では、指示に従って、搬入指示日にシェアチームの第1の農家12Aへ農機Mを搬入して、この搬入情報が、農家12Aの移動体端末80からリース実行サーバ40に送信され、農機到着情報受付機能64によって受付けられる。
【0094】
ステップ205では、稲刈りなどの作業をした農家の移動体端末80から、図12に示されるように農機の位置及び農機を利用した開始時間と終了時間のデータが、リース実行サーバ40に送られ、このデータは、ステップ206で、位置稼働データとして位置稼働データ受付機能65により受付けられる。受付けられたデータは、図13に示されるように機械稼働時間情報一覧画面として位置稼働データ記憶手段45に記憶される。
【0095】
ステップ207においては、リース実行サーバ40の気象データ取得機能67によって、インターネット14及びIF手段20Aを介して、図14に示されるように、気象情報源15からの気象情報が取得される。
【0096】
次のステップ208では、基本料金算出手段66A及び追加料金算出手段66Bによって、利用条件データに基づき利用料金が算出される。利用料金は、図15に示されるように、位置稼働データ、気象データに基づいて算出され、利用状況報告書として表わされ、且つ、記憶される。計算は図16に示されるようなアプリケーションにより実行される。
【0097】
ステップ209に進み、作業内容面積データ受付機能71において、移動体端末80の作業内容面積データ送信機能94から送付された作業内容面積データを受付ける。
【0098】
ステップ210において、リース実行サーバ40の、可視化データ算出手段73により、作業時間、作業標準時間、利用料金のデータを含む可視化データが図17に示されるように算出され、且つ移動体端末80のディスプレイ80Dに表示される。
【0099】
ステップ211において、移動体端末80の、カメラ80Eにより、農機Mに貼付された2次元コードMを読取り、ディスプレイ80Dに点検清掃マニュアルである図9の画像を表示する。
【0100】
次のステップ212において、点検清掃マニュアルに従って農家12が農機Mの点検・清掃個所を清掃した後の画像をカメラ80Eにより取得して、これを最終点検データ送信機能99により、リース実行サーバ40の最終点検データ受付機能75に転送する(図18参照)。
【0101】
ステップ213においては、リース実行サーバ40にて、移動体端末80から送信された最終点検データが、リース実行サーバ40の使用前画像データ記憶手段55に登録されている使用前画像データと比較して、一致度が一定以上か否かを判定する。
【0102】
判定の結果、NOであれば、ステップ212に戻り、再度農機の点検・清掃がなされ、清掃後の画像がリース実行サーバ40へ転送され、YESであれば、農機の返却意思が確認され、図19に示されるように、清掃後の外観状態がリース実行サーバ40のディスプレイ20Dに表示される。
【0103】
返却意思表示手段76において、返却意思が確認された後は、ステップ215において、リース実行サーバ40から農機運送会社16の運送会社端末16Aに農機転送指示情報が送信される。ここからは、ステップ204の農機到着情報受付に戻る。
【0104】
次のステップ216においては、リース実行サーバ40にて農機返却意思を表示した農家に対して利用料金の請求書を作成して発行する。
【0105】
なお上記実施例では、最終点検手段が点検マーク及びカメラ80Eから構成されているが、本発明はこれに限定されるものでなく、以下のように構成してもよい。
【0106】
(1)最終点検個所に、掃除が正しく行われたときのみ露出する、たとえば2次元コードを設けて、これをカメラ80Eで撮影する。(2)カメラ80Eにより取得されリース実行サーバ40に送信された画像から判定する。
【0107】
カメラ80Eで撮影する場合、撮影者によって同じ点検・清掃個所の画像が、リース実行サーバ40側の使用前画像と、大きさ、角度が大きく相違する場合は、判定が困難である。このような場合は、例えば図20に示されるように、使用前画像の輪郭OLのみを、撮影時に移動体端末80のディスプレイ80Dに指標として表示し、この輪郭OLに撮影対象物を合わせるようにするとよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
遠隔の圃場間で、コンバイン等の農機を効率的に共同利用できる農機リースに利用可能性がある。
【符号の説明】
【0109】
M…農機
…マトリックス型2次元コード
OL…輪郭
10…農機シェアリースシステム
12、12A〜12G…農家
14…インターネット
15…気象情報源
16…農機運送会社
20…シェアリース契約作成部
20A、80A…インターフェイス手段(IF手段)
20B、40B、80B…記憶装置
30、60、90…制御手段
40…リース実行サーバ
80…移動体端末
80E…カメラ
112、212…シェアチーム
図3
図6
図7
図8
図10
図11
図13
図14
図15
図16
図17
図20
図1
図2
図4A
図4B
図5
図9A
図9B
図9C
図12
図18
図19