【解決手段】 互いに反対側を向く抵抗体下面11および抵抗体上面12、第1方向Xに離間した一対の抵抗体第1側面13および第2方向Yに離間した一対の抵抗体第2側面14を有した抵抗体1と、一方の抵抗体第1側面13に沿って形成された第1電極2と、他方の抵抗体第1側面13に沿って形成された第2電極3と、を備え、第1電極2および第2電極3は、抵抗体下面11に接する第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aを有し、抵抗体下面11において、第1電極下端縁211aおよび前記第2電極下端縁311aは、ともに一方の抵抗体第2側面14から他方の抵抗体第2側面14に至るまで連続して形成され、かつ第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aによってそれぞれ段差Δhが形成されている。
厚さ方向において互いに反対側を向く抵抗体下面および抵抗体上面と、前記厚さ方向に対して直角である第1方向に離間した一対の抵抗体第1側面と、前記厚さ方向および前記第1方向のいずれに対して直角である第2方向に離間した一対の抵抗体第2側面と、を有した抵抗体と、
一方の前記抵抗体第1側面に沿って形成された第1電極と、
他方の前記抵抗体第1側面に沿って形成され、かつ前記第1電極と離間している第2電極と、を備えるチップ抵抗器であって、
前記第1電極および前記第2電極はそれぞれ、前記抵抗体下面の一部および前記抵抗体第1側面を覆うことによって前記抵抗体と導通し、
前記第1電極は、前記抵抗体下面に接する第1電極下端縁を有し、
前記第2電極は、前記抵抗体下面に接する第2電極下端縁を有し、
前記抵抗体下面において、前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁は、ともに一方の前記抵抗体第2側面から他方の前記抵抗体第2側面に至るまで連続して形成され、かつ前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁によってそれぞれ段差が形成されていることを特徴とする、チップ抵抗器。
前記第1電極は、前記抵抗体上面に接した第1電極上端縁を有し、前記第2電極は、前記抵抗体上面に接した第2電極上端縁を有している、請求項6に記載のチップ抵抗器。
前記抵抗体上面において、前記第1電極上端縁および前記第2電極上端縁は、ともに一方の前記抵抗体第2側面から他方の前記抵抗体第2側面に至るまで連続して形成されている、請求項8に記載のチップ抵抗器。
前記第1電極上端縁および前記第2電極上端縁によって挟まれた前記抵抗体上面の部位の露出面積は、前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁によって挟まれた前記抵抗体下面の部位の露出面積よりも広い、請求項9または10に記載のチップ抵抗器。
前記第1電極は、前記抵抗体を覆う第1内部電極と、前記第1内部電極を覆う第1中間電極と、前記第1中間電極を覆う第1外部電極と、を含み、前記第1内部電極、前記第1中間電極および前記第1外部電極は、いずれもめっき層からなる、請求項1ないし15のいずれかに記載のチップ抵抗器。
前記上面保護テープを貼り付ける工程では、幅が前記帯状抵抗体の幅よりも狭い前記上面保護テープが前記上面に貼り付けられる、請求項23または24に記載のチップ抵抗器の製造方法。
前記上面保護テープを貼り付ける工程で使用される前記上面保護テープの幅は、前記下面保護テープを貼り付ける工程で使用される前記下面保護テープの幅よりも広い、請求項26に記載のチップ抵抗器の製造方法。
前記一対の導電層を形成する工程では、一対の内部導電層を形成する工程と、一対の中間導電層を形成する工程と、一対の外部導電層を形成する工程と、を含み、前記一対の内部導電層、前記一対の中間導電層および前記一対の外部導電層は、いずれもめっきにより形成される、請求項23ないし27のいずれかに記載のチップ抵抗器の製造方法。
前記一対の中間導電層を形成する工程では、一対の中間第1導電層を形成する工程と、一対の中間第2導電層を形成する工程と、を含む、請求項28に記載のチップ抵抗器の製造方法。
前記帯状抵抗体を前記抵抗体領域ごとの個片に分割する工程の前に、前記帯状抵抗体から前記下面保護テープおよび前記上面保護テープをそれぞれ剥離する工程をさらに備える、請求項23ないし30のいずれかに記載のチップ抵抗器の製造方法。
前記帯状抵抗体を前記抵抗体領域ごとの個片に分割する工程の前に、前記帯状抵抗体から前記下面保護テープを剥離する工程をさらに備える、請求項23ないし30のいずれかに記載のチップ抵抗器の製造方法。
前記帯状抵抗体を前記抵抗体領域ごとの個片に分割する工程の後に、前記個片ごとに抵抗値を調整する工程をさらに備える、請求項23ないし32のいずれかに記載のチップ抵抗器の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、小型化を図ることが可能な金属板抵抗体を用いたチップ抵抗器を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供されるチップ抵抗器は、厚さ方向において互いに反対側を向く抵抗体下面および抵抗体上面と、前記厚さ方向に対して直角である第1方向に離間した一対の抵抗体第1側面と、前記厚さ方向および前記第1方向のいずれに対して直角である第2方向に離間した一対の抵抗体第2側面と、を有した抵抗体と、一方の前記抵抗体第1側面に沿って形成された第1電極と、他方の前記抵抗体第1側面に沿って形成され、かつ前記第1電極と離間している第2電極と、を備えるチップ抵抗器であって、前記第1電極および前記第2電極はそれぞれ、前記抵抗体下面の一部および前記抵抗体第1側面を覆うことによって前記抵抗体と導通し、前記第1電極は、前記抵抗体下面に接する第1電極下端縁を有し、前記第2電極は、前記抵抗体下面に接する第2電極下端縁を有し、前記抵抗体下面において、前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁は、ともに一方の前記抵抗体第2側面から他方の前記抵抗体第2側面に至るまで連続して形成され、かつ前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁によってそれぞれ段差が形成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁によって挟まれた、前記抵抗体下面の部位が露出している。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記抵抗体第2側面と、前記第2方向を向く前記第1電極および前記第2電極のそれぞれの部位と、はいずれも面一である。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁は、ともに前記第2方向に対して平行である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記抵抗体上面は、全て露出している。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極および前記第2電極は、ともに抵抗体上面の一部を覆う部位を有する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極は、前記抵抗体上面に接した第1電極上端縁を有し、前記第2電極は、前記抵抗体上面に接した第2電極上端縁を有している。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極上端縁および前記第2電極上端縁によって挟まれた、前記抵抗体上面の部位が露出している。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記抵抗体上面において、前記第1電極上端縁および前記第2電極上端縁は、ともに一方の前記抵抗体第2側面から他方の前記抵抗体第2側面に至るまで連続して形成されている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極上端縁および前記第2電極上端縁は、ともに前記第2方向に対して平行である。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極上端縁および前記第2電極上端縁によって挟まれた前記抵抗体上面の部位の露出面積は、前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁によって挟まれた前記抵抗体下面の部位の露出面積よりも広い。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記抵抗体の厚さは、0.3〜1.0mmである。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記抵抗体は、Ni−Cr合金、またはCu−Mn合金からなる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記抵抗体第2側面の四隅は、いずれも直角である。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記抵抗体第2側面の四隅は、いずれも曲線により形成されている。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極は、前記抵抗体を覆う第1内部電極と、前記第1内部電極を覆う第1中間電極と、前記第1中間電極を覆う第1外部電極と、を含み、前記第1内部電極、前記第1中間電極および前記第1外部電極は、いずれもめっき層からなる。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1外部電極は、Snを含むめっき層からなる。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1内部電極は、Niめっき層からなる。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1中間電極は、Cuめっき層からなる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1中間電極は、前記第1内部電極を覆う第1中間第1層と、前記第1中間第1層を覆う第1中間第2層と、を含む。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1中間第1層は、Cuめっき層からなる。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1中間第2層は、Niめっき層からなる。
【0028】
本発明の第2の側面によって提供されるチップ抵抗器の製造方法は、厚さ方向において互いに反対側を向く下面および上面と、幅方向に離間した一対の側面とを有した、複数の抵抗体領域からなる帯状抵抗体を用意する工程と、前記下面に、前記帯状抵抗体の長手方向に沿って連続し、かつ幅が前記帯状抵抗体の幅よりも狭い下面保護テープを貼り付ける工程と、前記上面に、前記帯状抵抗体の長手方向に沿って連続した上面保護テープを貼り付ける工程と、前記一対の側面に沿って、前記帯状抵抗体と導通する一対の導電層を形成する工程と、前記帯状抵抗体の長手方向に対して直交する方向に前記帯状抵抗体を切断することで、前記帯状抵抗体を前記抵抗体領域ごとの個片に分割する工程と、を備えるチップ抵抗器の製造方法であって、前記下面保護テープを貼り付ける工程では、前記下面の幅方向両端部分を前記下面保護テープから露出させ、前記一対の導電層を形成する工程では、前記下面保護テープおよび前記上面保護テープにより被覆されていない前記帯状抵抗体の部位に、前記一対の導電層が形成されることを特徴としている。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記下面保護テープを貼り付ける工程では、前記下面保護テープが前記下面の幅方向中央に貼り付けられる。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記上面保護テープを貼り付ける工程では、前記上面保護テープが前記上面の全面に貼り付けられる。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記上面保護テープを貼り付ける工程では、幅が前記帯状抵抗体の幅よりも狭い前記上面保護テープが前記上面に貼り付けられる。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記上面保護テープを貼り付ける工程で使用される前記上面保護テープの幅は、前記下面保護テープを貼り付ける工程で使用される前記下面保護テープの幅よりも広い。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一対の導電層を形成する工程では、一対の内部導電層を形成する工程と、一対の中間導電層を形成する工程と、一対の外部導電層を形成する工程と、を含み、前記一対の内部導電層、前記一対の中間導電層および前記一対の外部導電層は、いずれもめっきにより形成される。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一対の中間導電層を形成する工程では、一対の中間第1導電層を形成する工程と、一対の中間第2導電層を形成する工程と、を含む。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一対の内部導電層を形成する工程では、ストライクめっきにより前記一対の内部導電層が形成される。
【0036】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記帯状抵抗体を前記抵抗体領域ごとの個片に分割する工程の前に、前記帯状抵抗体から前記下面保護テープおよび前記上面保護テープをそれぞれ剥離する工程をさらに備える。
【0037】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記帯状抵抗体を前記抵抗体領域ごとの個片に分割する工程の前に、前記帯状抵抗体から前記下面保護テープを剥離する工程をさらに備える。
【0038】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記帯状抵抗体を前記抵抗体領域ごとの個片に分割する工程の後に、前記個片ごとに抵抗値を調整する工程をさらに備える。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、前記チップ抵抗器において、前記第1電極および前記第2電極はそれぞれ、前記抵抗体下面の一部および前記抵抗体第1側面を覆うことによって、前記抵抗体と導通している。また、前記チップ抵抗器は、前記抵抗体下面に接する前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁を有し、前記抵抗体下面において、前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁は、ともに一方の前記抵抗体第2側面から他方の前記抵抗体第2側面に至るまで連続して形成されている。さらに、前記抵抗体下面において、前記第1電極下端縁および前記第2電極下端縁によってそれぞれ段差が形成されている。このような構成とすることで、金属板からなる前記抵抗体に直接、めっき層からなる前記第1電極および前記第2電極を、互いに離間した状態でそれぞれ形成することができる。したがって、金属板抵抗体を用いた前記チップ抵抗器の小型化を図ることが可能である。
【0040】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明にかかるチップ抵抗器の実施の形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0043】
〔第1実施形態〕
図1〜
図5に基づき、本発明の第1実施形態にかかるチップ抵抗器A10について説明する。説明の便宜上、チップ抵抗器A10の厚さ方向Zに対して直角である方向を第1方向X(平面図の左右方向)、チップ抵抗器A10の厚さ方向Zおよび第1方向Xのいずれに対して直角である方向を第2方向Y(平面図の上下方向)とそれぞれ定義する。
【0044】
図1は、チップ抵抗器A10を示す平面図である。
図2は、チップ抵抗器A10を示す底面図である。
図3は、チップ抵抗器A10を示す正面図である。
図4は、
図1のIV線−IV線に沿う断面図である。
図5は、
図4の一部を拡大した部分拡大図である。
【0045】
これらの図に示すチップ抵抗器A10は、各種電子機器の回路基板に表面実装される形式のものである。本実施形態のチップ抵抗器A10は、抵抗体1、第1電極2および第2電極3を備えている。本実施形態においては、チップ抵抗器A10は、平面視(厚さ方向Z視)矩形状である。また、本実施形態のチップ抵抗器A10の第1方向Xの寸法は5.0mm、第2方向Yの寸法は2.5mmを標準としている。
図3および
図4に示すように、チップ抵抗器A10の第1方向Xに沿った断面は、第2方向Yにおいて全て一様である。
【0046】
抵抗体1は、主として電流を検出する機能を果たす素子である。本実施形態においては、抵抗体1の厚さは、0.3〜1.0mmである。
図1および
図2に示すように、抵抗体1は第1方向Xを長辺とする矩形状である。抵抗体1は、たとえばNi−Cr合金、またはCu−Mn合金からなるが、金属板抵抗体であればこれらに限定されない。抵抗体1は、抵抗体下面11、抵抗体上面12、一対の抵抗体第1側面13および一対の抵抗体第2側面14を有する。
【0047】
図3に示すように、抵抗体下面11は下方を向く面である。また、抵抗体上面12は上方を向く面である。抵抗体下面11および抵抗体上面12は、チップ抵抗器A10の厚さ方向Zにおいて互いに反対側を向いている。抵抗体下面11および抵抗体上面12は、ともに平たんである。本実施形態においては、
図2および
図3に示すように抵抗体下面11の一部が、第1電極2および第2電極3により覆われている。また、本実施形態においては、
図1および
図3に示すように抵抗体上面12は全て露出している。
【0048】
図1および
図2に示すように、一対の抵抗体第1側面13は、第1方向Xに離間している。一方の抵抗体第1側面13に沿って第1電極2が形成されている。また、他方の抵抗体第1側面13に沿って第2電極3が形成されている。本実施形態においては、一対の抵抗体第1側面13の全てが、第1電極2および第2電極3により覆われている。
【0049】
図1および
図2に示すように、一対の抵抗体第2側面14は、第2方向Yに離間している。本実施形態においては、一対の抵抗体第2側面14は、全て露出している。また、
本実施形態においては、抵抗体第2側面14の四隅は、いずれも直角である。
【0050】
第1電極2および第2電極3は、ハンダ層を介してチップ抵抗器A10と各種電子機器の回路基板との導通を確保するための電極である。
図1および
図2に示すように、第1方向Xにおいて、第2電極3は第1電極2と離間している。
【0051】
第1電極2は、一方の抵抗体第1側面13に沿って形成された、チップ抵抗器A10の一方の電極である。
図3および
図4に示すように、第1電極2は、抵抗体下面11の一部および一方の抵抗体第1側面13を覆うことによって、抵抗体1と導通している。第1電極2は、第1電極下面211、第1電極下端縁211a、第1電極第1側面213および一対の第1電極第2側面214を有する。
【0052】
図2および
図3に示すように、第1電極下面211は抵抗体下面11と同じく下方を向いている。第1方向Xにおいて、第1電極下面211の外側の端は第1電極第1側面213につながり、第1電極下面211の内側の端は第1電極下端縁211aにつながっている。第2方向Yにおいて、第1電極下面211の両端は、一対の第1電極第2側面214につながっている。第1電極下面211は平たんである。
【0053】
図2および
図3に示すように、第1電極下端縁211aは、チップ抵抗器A10の厚さ方向Zにおいて、第1電極下面211の内側の端から抵抗体下面11に向かって延出した面である。第1電極下端縁211aは、抵抗体下面11に接している。
【0054】
図3に示すように、第1電極第1側面213は、第1電極下面211の外側の端から上方に向かって起立し、抵抗体上面12につながる面である。第1電極第1側面213は、第1方向Xを向いている。
【0055】
図2および
図3に示すように、一対の第1電極第2側面214は、第2方向Yにおいて、第1電極下面211の両端から起立し、かつ第1電極第1側面213の両端につながる一対の面である。一対の第1電極第2側面214は、第2方向Yを向くとともに、互いに反対側を向いている。本実施形態においては、
図3に示すように第1電極第2側面214の形状はL字状である。また、本実施形態においては、
図1および
図2に示すように第1電極第2側面214は、抵抗体第2側面14と面一である。
【0056】
図3、
図4および
図5に示すように、第1電極2は、抵抗体1を覆う第1内部電極22と、第1内部電極22を覆う第1中間電極23と、第1中間電極23を覆う第1外部電極24とを含む。第1内部電極22、第1中間電極23および第1外部電極24は、いずれもめっき層からなる。
【0057】
第1内部電極22は、抵抗体下面11の一部と一方の抵抗体第1側面13を覆っている。第1内部電極22はNiめっき層からなる。後述する第1中間電極23はCuめっき層からなり、抵抗体1に直接Cuめっき層を形成すると、Cuめっき層が剥離するおそれがある。そのため、本実施形態においては、Cuめっき層の剥離を防止するため、第1内部電極22としてNiめっき層を抵抗体1に形成している。
【0058】
第1中間電極23は、第1電極2において、第1電極下端縁211aおよび一対の第1電極第2側面214以外の部位を形成する第1内部電極22を覆っている。第1中間電極23はCuめっき層からなる。第1中間電極23は、第1電極2の主要部を構成している。
【0059】
第1外部電極24は、第1電極2において、第1電極下端縁211aおよび一対の第1電極第2側面214以外の部位を形成する第1中間電極23を覆っている。第1外部電極24は、たとえばハンダめっきなど、Snを含むめっき層からなる。ハンダ接合によってチップ抵抗器A10を各種電子機器の回路基板に表面実装させる際に、第1電極2へのハンダの付着を良好なものにしつつ、ハンダ接合に起因した第1中間電極23の侵食を防止する機能を果たす。
【0060】
図3に示すように、第1電極2において、第1電極下面211および第1電極第1側面213では、ともに第1外部電極24のみ露出している。第1電極下端縁211aおよび一対の第1電極第2側面214では、第1内部電極22、第1中間電極23および第1外部電極24のそれぞれが露出している。
【0061】
第2電極3は、他方の抵抗体第1側面13に沿って形成された、チップ抵抗器A10の他方の電極である。
図3および
図4に示すように、第2電極3は、抵抗体下面11の一部および他方の抵抗体第1側面13を覆うことによって、抵抗体1と導通している。第2電極3は、第2電極下面311、第2電極下端縁311a、第2電極第1側面313および一対の第2電極第2側面314を有する。本実施形態においては、第2電極3の構成は、第1電極2の構成と同一である。
【0062】
図2および
図3に示すように、第2電極下面311は抵抗体下面11と同じく下方を向いている。第1方向Xにおいて、第1電極下面211の外側の端は第2電極第1側面313につながり、第2電極下面311の内側の端は第2電極下端縁311aにつながっている。第2方向Yにおいて、第2電極下面311の両端は、一対の第2電極第2側面314につながっている。第2電極下面311は平たんである。
【0063】
図2および
図3に示すように、第2電極下端縁311aは、チップ抵抗器A10の厚さ方向Zにおいて、第2電極下面311の内側の端から抵抗体下面11に向かって延出した面である。第2電極下端縁311aは、抵抗体下面11に接している。
【0064】
図3に示すように、第2電極第1側面313は、第2電極下面311の外側の端から上方に向かって起立し、抵抗体上面12につながる面である。第2電極第1側面313は、第1方向Xを向いている。
【0065】
図2および
図3に示すように、一対の第2電極第2側面314は、第2方向Yにおいて、第2電極下面311の両端から起立し、かつ第2電極第1側面313の両端につながる一対の面である。一対の第2電極第2側面314は、第2方向Yを向くとともに、互いに反対側を向いている。本実施形態においては、
図3に示すように第2電極第2側面314の形状はL字状である。また、本実施形態においては、
図1および
図2に示すように第2電極第2側面314は、抵抗体第2側面14と面一である。したがって、本実施形態においては、抵抗体第2側面14と、第2方向Yを向く第1電極第2側面214および第2電極第2側面314とはいずれも面一である。ただし、本実施形態においてはこれに限定されず、たとえば第1電極第2側面214および第2電極第2側面314が、抵抗体第2側面14の一部を覆っていてもよい。
【0066】
図3および
図4に示すように、第2電極3は、抵抗体1を覆う第2内部電極32と、第2内部電極32を覆う第2中間電極33と、第2中間電極33を覆う第2外部電極34とを含む。第2内部電極32、第2中間電極33および第2外部電極34は、いずれもめっき層からなる。
【0067】
第2内部電極32は、抵抗体下面11の一部と他方の抵抗体第1側面13を覆っている。第2内部電極32はNiめっき層からなる。第2内部電極32の形状および材質は、第1内部電極22の形状および材質と同一である。
【0068】
第2中間電極33は、第2電極3において、第2電極下端縁311aおよび一対の第2電極第2側面314以外の部位を形成する第2内部電極32を覆っている。第2中間電極33はCuめっき層からなる。第2中間電極33の形状および材質は、第1中間電極23の形状および材質と同一である。
【0069】
第2外部電極34は、第2電極3において、第2電極下端縁311aおよび一対の第2電極第2側面314以外の部位を形成する第2中間電極33を覆っている。第2外部電極34は、たとえばハンダめっきなど、Snを含むめっき層からなる。第2外部電極34の形状および材質は、第1外部電極24の形状および材質と同一である。
【0070】
図3に示すように、第2電極3において、第2電極下面311および第2電極第1側面313では、ともに第2外部電極34のみ露出している。第2電極下端縁311aおよび一対の第2電極第2側面314では、第2内部電極32、第2中間電極33および第2外部電極34のそれぞれが露出している。
【0071】
図2に示すように、抵抗体下面11において、第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aは、ともに一方の抵抗体第2側面14から他方の抵抗体第2側面14に至るまで連続して形成されている。また、
図3および
図4に示すように、抵抗体下面11において、第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aによってそれぞれ段差Δhが形成されている。段差Δhの高さは、第1電極2および第2電極3を構成するめっき層の厚さと等価である。
【0072】
図2および
図3に示すように、第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aによって挟まれた、抵抗体下面11の部位が露出している。本実施形態においては、第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aは、ともに第2方向Yに対して平行である。
【0073】
次に、
図6〜
図14に基づき、チップ抵抗器A10の製造方法について説明する。
図6〜
図14のうち、
図9および
図11以外は、チップ抵抗器A10の製造方法にかかる工程を示す斜視図である。
図9は、チップ抵抗器A10の製造方法にかかる工程を示す正面図である。
図11は、
図10のXI−XI線に沿う断面の一部を拡大した部分拡大断面図である。
【0074】
最初に、
図6に示すように、たとえばNi−Cr合金、またはCu−Mn合金からなる帯状抵抗体81を用意する。なお、帯状抵抗体81の材質は、金属板抵抗体であればこれらに限定されない。帯状抵抗体81は、複数の抵抗体領域810からなる。抵抗体領域810は、
図6に示す二点鎖線によって区分された平面視矩形状の領域である。該領域が、チップ抵抗器A10の抵抗体1となる領域である。本実施形態においては、帯状抵抗体81は、複数の抵抗体領域810の長辺が相互に結合した連続体である。帯状抵抗体81は、下面811、上面812および一対の側面813を有する。下面811は下方を向く面である。また、上面812は上方を向く面である。下面811および上面812は、帯状抵抗体81の厚さ方向において互いに反対側を向いている。下面811および上面812は、ともに平たんである。一対の側面813は、帯状抵抗体81の幅方向に離間した面である。一対の側面813はそれぞれ、下面811および上面812と交差している。
【0075】
次いで、
図7に示すように、下面811に、帯状抵抗体81の長手方向に沿って連続し、かつ幅が帯状抵抗体81の幅よりも狭い下面保護テープ82を貼り付ける。下面保護テープ82は、めっき用マスキングテープである。下面保護テープ82は、たとえばポリエステルを基材とし、テープの片面に粘着層を有する。また、下面保護テープ82は、耐薬品性を有する。このとき、下面811の幅方向両端部分を、下面保護テープ82から露出させる。本実施形態においては、下面保護テープ82が下面811の幅方向中央に貼り付けられる。
【0076】
次いで、
図8に示すように、上面812に、帯状抵抗体81の長手方向に沿って連続した上面保護テープ83を貼り付ける。上面保護テープ83は、下面保護テープ82と同一のテープである。本実施形態においては、上面保護テープ83が上面812の全面に貼り付けられる。
【0077】
帯状抵抗体81に下面保護テープ82および上面保護テープ83がそれぞれ貼り付けられた状態を、
図9に示す。下面保護テープ82から露出された下面811の幅方向両端部分のそれぞれの幅Δl
Lは、ともに同一である。また、下面811において、下面保護テープ82によって段差が形成されている。なお、下面保護テープ82を貼り付ける工程と、上面保護テープ83を貼り付ける工程との順序は逆であってもよい。
【0078】
次いで、
図10に示すように、一対の側面813に沿って、帯状抵抗体81と導通する一対の導電層84を形成する。一対の導電層84は、チップ抵抗器A10の第1電極2および第2電極3に相当する。一対の導電層84は、下面保護テープ82および上面保護テープ83により被覆されていない帯状抵抗体81の部位、すなわち一対の側面813および下面保護テープ82から露出された下面811の幅方向両端部に形成される。
【0079】
図11に示すように、本実施形態においては、一対の導電層84を形成する工程では、一対の内部導電層841を形成する工程と、一対の中間導電層842を形成する工程と、一対の外部導電層843を形成する工程とを含む。一対の内部導電層841は第1内部電極22および第2内部電極32に、一対の中間導電層842は第1中間電極23および第2中間電極33に、一対の外部導電層843は第1外部電極24および第2外部電極34にそれぞれ相当する。一対の内部導電層841、一対の中間導電層842および一対の外部導電層843は、いずれもめっきにより形成される。一対の内部導電層841は、Niめっきにより形成される。一対の中間導電層842はCuめっきにより形成される。一対の外部導電層843は、ハンダめっきなど、Snを含むめっきにより形成される。このうち、一対の内部導電層841は、厚さが比較的薄いストライクめっきにより形成してもよい。この場合、一対の内部導電層841はNiストライクめっきにより形成される。また、本実施形態においては、導電層84の厚さは、下面保護テープ82の厚さよりも薄い。
【0080】
次いで、
図12に示すように、帯状抵抗体81から下面保護テープ82および上面保護テープ83をそれぞれ剥離する。このとき、
図13に示すように、帯状抵抗体81から下面保護テープ82を剥離し、上面保護テープ83は剥離せず、帯状抵抗体81に貼り付けた状態のままであってもよい。
【0081】
次いで、
図14に示すように、帯状抵抗体81の長手方向に対して直交する方向に帯状抵抗体81を切断することで、帯状抵抗体81を抵抗体領域810ごとの個片85に分割する。具体的には、たとえば打ち抜き機(図示略)により、
図14に示す二点鎖線に沿って帯状抵抗体81を切断する。個片85の抵抗体領域810の露出面のうち、上方を向く面がチップ抵抗器A10の抵抗体上面12となり、側方を向く面がチップ抵抗器A10の抵抗体第2側面14となる。
【0082】
次いで、個片85ごとに抵抗値を調整する。抵抗値の調整は、個片85ごとに形成された一対の導電層84(第1電極2および第2電極3)に抵抗値測定用のプローブ(図示略)を当接し、目標抵抗値に至らない個片85について、抵抗体領域810の露出面(抵抗体第2側面14)をグラインダーなどで研磨することで行われる。以上の工程を経ることにより、チップ抵抗器A10が製造される。
【0083】
次に、チップ抵抗器A10の作用効果について説明する。
【0084】
本実施形態によれば、チップ抵抗器A10において、第1電極2および第2電極3はそれぞれ、抵抗体下面11の一部および抵抗体第1側面13を覆うことによって、抵抗体1と導通している。また、チップ抵抗器A10は、抵抗体下面11に接する第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aを有し、抵抗体下面11において、第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aは、ともに一方の抵抗体第2側面14から他方の抵抗体第2側面14に至るまで連続して形成されている。さらに、抵抗体下面11において、第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aによってそれぞれ段差Δhが形成されている。このような構成とすることで、金属板からなる抵抗体1に直接、めっき層からなる第1電極2および第2電極3を、互いに離間した状態でそれぞれ形成することができる。したがって、金属板抵抗体を用いたチップ抵抗器A10の小型化を図ることが可能である。
【0085】
第1電極2および第2電極3は、第1電極第1側面213および第2電極第1側面313を有する。第1電極第1側面213および第2電極第1側面313では、第1外部電極24および第2外部電極34のみ露出している。第1外部電極24および第2外部電極34は、ともにハンダめっきなど、Snを含むめっき層からなる。このような構成とすることで、ハンダ接合によってチップ抵抗器A10を各種電子機器の回路基板に表面実装させる際に、第1電極第1側面213および第2電極第1側面313のそれぞれにハンダフィレットを形成することが可能である。
【0086】
図15〜
図26は、本発明の他の実施の形態などを示している。なお、これらの図において、先述したチップ抵抗器A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0087】
〔第1実施形態の第1変形例〕
図15および
図16に基づき、本発明の第1実施形態の第1変形例にかかるチップ抵抗器A11について説明する。
図15は、
図5が示す部分と同一部分を示した、チップ抵抗器A11の部分拡大断面図である。
図16は、
図11が示す部分と同一部分を示した、チップ抵抗器A11の製造方法にかかる工程を示す部分拡大断面図である。
【0088】
本変形例のチップ抵抗器A11は、第1電極2および第2電極3の構成が先述したチップ抵抗器A10と異なる。本変形例においては、第1電極2の第1中間電極23は、第1中間第1層231および第1中間第2層232を含む。
図15に示すように、第1電極2は、抵抗体1を覆う第1内部電極22と、第1内部電極22を覆う第1中間第1層231と、第1中間第1層231を覆う第1中間第2層232と、第1中間第2層232を覆う第1外部電極24とを含む。第1内部電極22、第1中間第1層231、第1中間第2層232および第1外部電極24は、いずれもめっき層からなる。第1内部電極22はNiめっき層からなる。第1中間第1層231はCuめっき層からなる。第1中間第2層232はNiめっき層からなる。第1外部電極24は、たとえばハンダめっきなど、Snを含むめっき層からなる。
【0089】
本変形例においては、第2電極3の第2中間電極33は、第2中間第1層331および第2中間第2層332を含む。本変形例においてもチップ抵抗器A10と同じく、第2電極3の構成は、第1電極2の構成と同一である。すなわち、第1内部電極22および第2内部電極32の形状および材質と、第1中間第1層231および第2中間第1層331の形状および材質と、第1中間第2層232および第2中間第2層332の形状および材質と、第1外部電極24および第2外部電極34の形状および材質とは、それぞれ同一である。したがって、第2電極3を構成する、第2内部電極32、第2中間第1層331、第2中間第2層332および第2外部電極34のそれぞれの説明は、第1電極2と同一につき省略する。
【0090】
次に、チップ抵抗器A11の製造にあたってチップ抵抗器A10と異なる、一対の導電層84を形成する工程について説明する。
図16に示すように、本変形例においては、一対の導電層84を形成する工程のうち、一対の中間導電層842を形成する工程では、一対の中間第1導電層842aを形成する工程と、一対の中間第2導電層842bを形成する工程とを含む。一対の中間第1導電層842aは第1中間第1層231および第2中間第1層331に、一対の中間第2導電層842bは第1中間第2層232および第2中間第2層332にそれぞれ相当する。一対の中間第1導電層842aおよび一対の中間第2導電層842bは、ともにめっきにより形成される。一対の中間第1導電層842aは、Cuめっきにより形成される。一対の中間第2導電層842bは、Niめっきにより形成される。なお、本変形例においてもチップ抵抗器A10と同じく、一対の内部導電層841はNiストライクめっきにより形成してもよい。また、本変形例においては、導電層84の厚さは、下面保護テープ82の厚さよりも薄い。
【0091】
本変形例によっても、金属板からなる抵抗体1に直接、めっき層からなる第1電極2および第2電極3をそれぞれ形成することができるため、金属板抵抗体を用いたチップ抵抗器A11の小型化を図ることが可能である。また、第1中間電極23を第1中間第1層231および第1中間第2層232、第2中間電極33を第2中間第1層331および第2中間第2層332と分けることで、Cuめっき層とハンダめっきなどSnを含むめっき層との間に、Niめっき層を形成することが可能となる。該Niめっき層の形成により、Cuめっき層が熱や衝撃からより保護され、チップ抵抗器A11の品質が向上する。
【0092】
〔第1実施形態の第2変形例〕
図17に基づき、本発明の第1実施形態の第2変形例にかかるチップ抵抗器A12について説明する。
図17は、チップ抵抗器A12を示す正面図である。
【0093】
本変形例のチップ抵抗器A12は、抵抗体1の形状が先述したチップ抵抗器A10と異なる。
図17に示すように、本変形例においては、抵抗体第2側面14の四隅は、いずれも曲線により形成されている。
【0094】
本変形例によっても、金属板からなる抵抗体1に直接、めっき層からなる第1電極2および第2電極3をそれぞれ形成することができるため、金属板抵抗体を用いたチップ抵抗器A11の小型化を図ることが可能である。
【0095】
〔第2実施形態〕
図18〜
図22に基づき、本発明の第2実施形態にかかるチップ抵抗器A20について説明する。
図18は、チップ抵抗器A20を示す平面図である。
図19は、チップ抵抗器A20を示す底面図である。
図20は、チップ抵抗器A20を示す正面図である。
図21は、
図18のXXI線−XXI線に沿う断面図である。
図22は、
図21の一部を拡大した部分拡大図である。本実施形態においては、チップ抵抗器A20は、平面視矩形状である。
【0096】
本実施形態のチップ抵抗器A20は、第1電極2および第2電極3の形態が先述したチップ抵抗器A10と異なる。本実施形態においては、
図18および
図20に示すように第1電極2および第2電極3は、ともに抵抗体上面12の一部を覆う部位を有する。
【0097】
第1電極2は、一方の抵抗体第1側面13に沿って形成された、チップ抵抗器A20の一方の電極である。
図20および
図21に示すように、第1電極2は、抵抗体下面11および抵抗体上面12のそれぞれの一部ずつと、一方の抵抗体第1側面13とを覆うことによって、抵抗体1と導通している。本実施形態においては、第1電極2は、第1電極下面211、第1電極下端縁211a、第1電極第1側面213および一対の第1電極第2側面214に加え、第1電極上面212および第1電極上端縁212aを有する。
【0098】
図18および
図20に示すように、第1電極上面212は抵抗体上面12と同じく上方を向いている。第1方向Xにおいて、第1電極上面212の外側の端は第1電極第1側面213につながり、第1電極上面212の内側の端は第1電極上端縁212aにつながっている。第2方向Yにおいて、第1電極上面212の両端は、一対の第1電極第2側面214につながっている。第1電極上面212は平たんである。
【0099】
図18および
図20に示すように、第1電極上端縁212aは、チップ抵抗器A20の厚さ方向Zにおいて、第1電極上面212の内側の端から抵抗体上面12に向かって延出した面である。第1電極上端縁212aは、抵抗体上面12に接している。
【0100】
図20に示すように、第1電極第1側面213は、第1電極下面211の外側の端から上方に向かって起立し、第1電極上面212につながる面である。第1電極第1側面213は、第1方向Xを向いている。
【0101】
図18、
図19および
図20に示すように、一対の第1電極第2側面214は、第2方向Yにおいて、第1電極下面211の両端から起立し、かつ第1電極上面212および第1電極第1側面213のそれぞれの両端につながる一対の面である。一対の第1電極第2側面214は、第2方向Yを向くとともに、互いに反対側を向いている。本実施形態においては、
図20に示すように第1電極第2側面214の形状はコ字状である。また、本実施形態においては、
図18および
図19に示すように第1電極第2側面214は、抵抗体第2側面14と面一である。
【0102】
図20、
図21および
図22に示すように、第1電極2は、抵抗体1を覆う第1内部電極22と、第1内部電極22を覆う第1中間電極23と、第1中間電極23を覆う第1外部電極24とを含む。第1内部電極22、第1中間電極23および第1外部電極24のそれぞれの構成はチップ抵抗器A10と同一である。
【0103】
図20に示すように、第1電極2において、第1電極下面211、第1電極上面212および第1電極第1側面213では、ともに第1外部電極24のみ露出している。第1電極下端縁211a、第1電極上端縁212aおよび一対の第1電極第2側面214では、第1内部電極22、第1中間電極23および第1外部電極24のそれぞれが露出している。
【0104】
第2電極3は、他方の抵抗体第1側面13に沿って形成された、チップ抵抗器A20の他方の電極である。
図20および
図21に示すように、第2電極3は、抵抗体下面11および抵抗体上面12のそれぞれの一部ずつと、他方の抵抗体第1側面13とを覆うことによって、抵抗体1と導通している。本実施形態においては、第2電極3は、第2電極下面311、第2電極下端縁311a、第2電極第1側面313および一対の第2電極第2側面314に加え、第2電極上面312および第2電極上端縁312aを有する。本実施形態においてもチップ抵抗器A10と同じく、第2電極3の構成は、第1電極2の構成と同一である。
【0105】
図18および
図20に示すように、第2電極上面312は抵抗体上面12と同じく上方を向いている。第1方向Xにおいて、第2電極上面312の外側の端は第2電極第1側面313につながり、第2電極上面312の内側の端は第2電極上端縁312aにつながっている。第2方向Yにおいて、第2電極上面312の両端は、一対の第2電極第2側面314につながっている。第2電極上面312は平たんである。
【0106】
図18および
図20に示すように、第2電極上端縁312aは、チップ抵抗器A20の厚さ方向Zにおいて、第2電極上面312の内側の端から抵抗体上面12に向かって延出した面である。第2電極上端縁312aは、抵抗体上面12に接している。
【0107】
図20に示すように、第2電極第1側面313は、第2電極下面311の外側の端から上方に向かって起立し、第2電極上面312につながる面である。第2電極第1側面313は、第1方向Xを向いている。
【0108】
図18、
図19および
図20に示すように、一対の第2電極第2側面314は、第2方向Yにおいて、第2電極下面311の両端から起立し、かつ第2電極上面312および第2電極第1側面313のそれぞれの両端につながる一対の面である。一対の第2電極第2側面314は、第2方向Yを向くとともに、互いに反対側を向いている。本実施形態においては、
図20に示すように第2電極第2側面314の形状はコ字状である。また、本実施形態においては、
図18および
図19に示すように第2電極第2側面314は、抵抗体第2側面14と面一である。したがって、本実施形態においては、抵抗体第2側面14と、第2方向Yを向く第1電極第2側面214および第2電極第2側面314とはいずれも面一である。ただし、本実施形態においては、チップ抵抗器A10と同じくこれに限定されず、たとえば第1電極第2側面214および第2電極第2側面314が、抵抗体第2側面14の一部を覆っていてもよい。
【0109】
図20および
図21に示すように、第2電極3は、抵抗体1を覆う第2内部電極32と、第2内部電極32を覆う第2中間電極33と、第2中間電極33を覆う第2外部電極34とを含む。第2内部電極32、第2中間電極33および第2外部電極34のそれぞれの構成はチップ抵抗器A10と同一である。
【0110】
図20に示すように、第2電極3において、第2電極下面311、第2電極上面312および第2電極第1側面313では、ともに第2外部電極34のみ露出している。第2電極下端縁311a、第2電極上端縁312aおよび一対の第2電極第2側面314では、第2内部電極32、第2中間電極33および第2外部電極34のそれぞれが露出している。
【0111】
図20および
図21に示すように、抵抗体上面12において、第1電極上端縁212aおよび第2電極上端縁312aによってそれぞれ段差Δhが形成されている。段差Δhの高さは、第1電極2および第2電極3を構成するめっき層の厚さと等価である。
【0112】
図18および
図20に示すように、第1電極上端縁212aおよび第2電極上端縁312aによって挟まれた、抵抗体上面12の部位が露出している。また、
図18に示すように、抵抗体上面12において、第1電極上端縁212aおよび第2電極上端縁312aは、ともに一方の抵抗体第2側面14から他方の抵抗体第2側面14に至るまで連続して形成されている。本実施形態においては、第1電極上端縁212aおよび第2電極上端縁312aは、ともに第2方向Yに対して平行である。
【0113】
図18、
図19および
図20に示すように、本実施形態においては、第1電極上端縁212aおよび第2電極上端縁312aによって挟まれた抵抗体上面12の部位の露出面積は、第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aによって挟まれた抵抗体下面11の部位の露出面積よりも広い。
【0114】
次に、
図23〜
図26に基づき、チップ抵抗器A20の製造方法について説明する。
図23および
図25は、チップ抵抗器A20の製造方法にかかる工程を示す斜視図である。
図24は、チップ抵抗器A20の製造方法にかかる工程を示す正面図である。
図26は、
図25のXXVI−XXVI線に沿う断面の一部を拡大した部分拡大断面図である。
【0115】
最初に、帯状抵抗体81を用意する工程は、
図6に示すチップ抵抗器A10の製造方法かかる工程と同一である。次いで、帯状抵抗体81の下面811に下面保護テープ82を貼り付ける工程は、
図7に示すチップ抵抗器A10の製造方法にかかる工程と同一である。
【0116】
次いで、
図23に示すように、帯状抵抗体81の上面812に、帯状抵抗体81の長手方向に沿って連続し、かつ幅が帯状抵抗体81の幅よりも狭い上面保護テープ83を貼り付ける。このとき、上面812の幅方向両端部分を、上面保護テープ83から露出させる。本実施形態においては、上面保護テープ83が上面812の幅方向中央に貼り付けられる。
【0117】
帯状抵抗体81に下面保護テープ82および上面保護テープ83がそれぞれ貼り付けられた状態を、
図24に示す。下面保護テープ82から露出された下面811の幅方向両端部分のそれぞれの幅Δl
Lは、ともに同一である。また、上面保護テープ83から露出された上面812の幅方向両端部分のそれぞれの幅Δl
Uは、ともに同一である。本実施形態においては、上面保護テープ83を貼り付ける工程で使用される上面保護テープ83の幅は、下面保護テープ82を貼り付ける工程で使用される下面保護テープ82の幅よりも広い。したがって、Δl
L>Δl
Uの関係が成立する。また、本実施形態においては、下面811および上面812において、下面保護テープ82および上面保護テープ83によってそれぞれ段差が形成されている。なお、下面保護テープ82を貼り付ける工程と、上面保護テープ83を貼り付ける工程との順序は逆であってもよい。
【0118】
次いで、
図25に示すように、一対の側面813に沿って、帯状抵抗体81と導通する一対の導電層84を形成する。一対の導電層84は、下面保護テープ82および上面保護テープ83により被覆されていない帯状抵抗体81の部位、すなわち一対の側面813、下面保護テープ82から露出された下面811の幅方向両端部および上面保護テープ83から露出された上面812の幅方向両端部に形成される。
【0119】
図26に示すように、本実施形態においては、一対の導電層84を形成する工程では、一対の内部導電層841を形成する工程と、一対の中間導電層842を形成する工程と、一対の外部導電層843を形成する工程とを含む。一対の内部導電層841を形成する工程と、一対の中間導電層842を形成する工程と、一対の外部導電層843を形成する工程とは、
図11に示すチップ抵抗器A10の製造方法にかかる工程と同一である。なお、本実施形態においてもチップ抵抗器A10と同じく、一対の内部導電層841はNiストライクめっきにより形成してもよい。また、本実施形態においては、導電層84の厚さは、下面保護テープ82および上面保護テープ83の厚さよりも薄い。
【0120】
次いで、帯状抵抗体81から下面保護テープ82および上面保護テープ83をそれぞれ剥離する工程は、
図12に示すチップ抵抗器A10の製造方法にかかる工程と同一である。このとき、
図13に示すチップ抵抗器A10の製造方法にかかる工程と同様に、帯状抵抗体81から下面保護テープ82を剥離し、上面保護テープ83は剥離せず、帯状抵抗体81に貼り付けた状態のままであってもよい。
【0121】
次いで、帯状抵抗体81を抵抗体領域810ごとの個片85に分割する工程と、個片85ごとに抵抗値を調整する工程とは、
図14に示すチップ抵抗器A10の製造方法にかかる工程と同一である。以上の工程を経ることにより、チップ抵抗器A20が製造される。
【0122】
本実施形態によっても、金属板からなる抵抗体1に直接、めっき層からなる第1電極2および第2電極3をそれぞれ形成することができるため、金属板抵抗体を用いたチップ抵抗器A11の小型化を図ることが可能である。また、第1電極2および第2電極3は、第1電極上面212および第2電極上面312を有している。このような構成とすることで、第1電極下面211および第2電極下面311のみならず、第1電極上面212および第2電極上面312をチップ抵抗器A20の実装面として利用する、いわゆるバルク実装が可能となる。本実施形態においては、第1電極上端縁212aおよび第2電極上端縁312aによって挟まれた抵抗体上面12の部位の露出面積は、第1電極下端縁211aおよび第2電極下端縁311aによって挟まれた抵抗体下面11の部位の露出面積よりも広い。このような構成とすることで、チップ抵抗器A20の実装にあたって、利用したい実装面の判別が視覚的によりしやすくなる。
【0123】
本発明にかかるチップ抵抗器は、先述した実施の形態などに限定されるものではない。本発明にかかるチップ抵抗器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。