【解決手段】移動体に搭載されるデジタル放送受信機を、移動体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、放送局より放送されるデジタル放送信号の受信状態が悪化したか否かを検出する検出手段と、受信状態の悪化が検出されたとき、位置情報取得手段により取得された位置情報及び各放送局の受信可能エリア情報を含む地図情報に基づき、該受信状態の回復が見込まれる受信状態回復地点が属する受信可能エリアを判定する判定手段と、受信状態回復地点が現在の放送局の受信可能エリアに属さないと判定された場合、少なくとも地図情報に基づき、該受信状態回復地点に到達した時に放送局のサーチを開始するか否かを判定し、判定結果に従って該受信状態回復地点に到達した時に受信する放送局の受信機制御を行う受信制御手段とを備える構成とする。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として、地上デジタルテレビジョン放送を出力再生可能な車載器を例に取り説明する。
【0015】
[車載器1の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る車載器1の構成を示すブロック図である。車載器1は、車載ナビゲーション装置を構成しており、一般乗用車等の車両に装備される。車載器1は、地上デジタルテレビジョン放送に適合して設計されており、当該放送方式の信号フォーマットによる放送信号を受信して処理するように構成されている。なお、車載器1は、車載ナビゲーション装置に限らず、GPS(Global Positioning System)機能付きの情報処理端末に代えてもよい。この種の情報処理端末としては、例えば、スマートフォンやフィーチャフォン、タブレット端末、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Portable Navigation Device)、携帯ゲーム機等が挙げられる。
【0016】
図1に示されるように、車載器1は、ナビゲーションECU(Electronic Control Unit)11、記憶装置12、GPS受信部13、入力装置14、映像表示部15、音声出力部16、放送受信部17、車両情報取得部18及び道路情報取得部19を備えている。なお、
図1では、本実施形態の説明に必要な主たる構成要素を図示しており、車載器として一般的な構成要素である筐体など、一部の構成要素については、その図示を適宜省略している。
【0017】
ナビゲーションECU11は、車載器1を構成する各部と接続され、各部の動作を制御すると共に、ナビゲーション機能の基本的な動作も行う。本実施形態では、放送受信部17に備えられた地上デジタルテレビジョン放送専用のCPU(Central Processing Unit)が地上デジタルテレビジョン放送の受信処理を行うが、別の実施形態では、ナビゲーションECU11が地上デジタルテレビジョン放送の受信処理を行うように構成されてもよい。また、後述するデコード部17dが上記CPUと同様の機能を備える構成に代えてもよい。これらの代替的な構成が地上デジタルテレビジョン放送の受信処理を行うようにすることで、車載器1の構成の簡素化や当該受信処理の高速化が達成可能となる。
【0018】
記憶装置12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能な記憶装置である。記憶装置12には、初期プログラムローダやメインプログラム等の各種プログラム及びナビゲーションECU11が処理に使用する各種データ(例えば地図情報やプログラム内での参照値等)が格納されている。ナビゲーションECU11は、車載器1の電源投入直後、記憶装置12に格納された初期プログラムローダを実行して各ハードウェアを初期化する。ナビゲーションECU11は次いで、記憶装置12に格納されたメインプログラムを所定のワークエリアにロードし、ロードされたメインプログラムを実行することにより、車載器1全体の制御及び各種処理を行う。
【0019】
また、記憶装置12には、各放送局を登録したチャンネルリストが格納されている。チャンネルリストは、周波数チャネル、リモコンキー識別番号、放送局名、放送局位置等の各種情報を関連付けたレコード群より構成されるリストである。
【0020】
また、地図情報には、受信可能エリアマップが含まれている。受信可能エリアマップは、各放送局より放送される地上デジタル放送電波を受信可能な(デジタル放送信号を正常にデコードするのに十分な強度で受信することが可能な)受信可能エリアを示す情報である。
【0021】
道路情報取得部19は、インターネット等の所定のネットワークに接続するための通信インタフェースであり、例えばVICS(登録商標)やインターネット上にアップロードされた渋滞情報を取得することができる。チャンネルリストは、記憶装置12に代えて、道路情報取得部19を介して接続されるネットワーク上のストレージに格納されていてもよい。
【0022】
GPS受信部13は、複数のGPS衛星より受信したGPS信号に基づいて(車載器1を搭載する車両の)現在位置を測位するモジュールである。GPS受信部13は、所定の時間間隔(例えば1秒間毎)で現在位置の測位を行い、測位結果をナビゲーションECU11に出力する。
【0023】
ナビゲーションECU11は、記憶装置12より読み出された地図情報をレンダリングして映像表示部(例えばLCD(Liquid Crystal Display))15に表示させると共にGPS受信部13より所定の時間間隔で採取されるGPS測位データを用いて(車載器1を搭載する車両の)現在位置を測定し、測定された自車位置を映像表示部15に表示されている地図の道路上に重ねる(マップマッチングする)。なお、自車位置の測定には、GPS測位データに代えて又はGPS測位データと併せて車両情報取得部18により採取されるDR(Dead Reckoning)測位データを用いてもよい。車両情報取得部18には、例えば、車両の水平面における方位に関する角速度を計測するジャイロセンサや、車両の左右の駆動輪の回転速度を検出する車速センサ等の、DRセンサが含まれる。
【0024】
ナビゲーションECU11は、経路案内の実行時には、映像表示部15に表示されている地図内の経路を強調表示させる。ナビゲーションECU11は、測位データを用いて自車位置を定期的に測定し、測定された自車位置とマッチする地図を映像表示部15に表示させると共に、経路案内用の音声を音声出力部16を介して適時に再生させる。自車位置が経路から外れた場合は、ダイクストラ法による経路の再探索・再設定を行う。ナビゲーションECU11はまた、インターネット上の所定の地図サーバに定期的に接続することにより、最新の地図情報をダウンロードすることができる。
【0025】
入力装置14は、ユーザによる入力を受け付けるための操作手段であり、操作入力に応じた信号を生成してナビゲーションECU11に出力する。この種の操作手段には、ハードウェア又はソフトウェア若しくはこれらを組み合わせた種々のUI(User Interface)が想定され、具体的には、車載器1本体のフロントパネルに実装されたメカニカルスイッチキー、メンブレンキー、タッチパネル環境下で提供されるGUI(Graphical User Interface)、操作キーが実装されたリモートコントローラ等が挙げられる。
【0026】
なお、入力装置14、映像表示部15及び音声出力部16は、車載器1自体の構成要素でなく、車載器1に接続(有線接続又は無線接続)された別の装置(例えばスマートフォンやフィーチャフォン等の携帯情報端末)の構成要素としてもよい。
【0027】
放送受信部17は、アンテナ17a、チューナ17b、復調部17c及びデコード部17dを有している。チューナ17bは、アンテナ17aで受信された地上デジタル放送電波から希望局(周波数チャネル)のRF(Radio Frequency)信号を抽出し、抽出されたRF信号をフィルタリング等の信号処理に適した中間周波数に周波数変換して、周波数変換後のIF(Intermediate Frequency)信号を復調部17cに出力する。復調部17cは、チューナ17bより入力したIF信号をOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)復調してサブキャリア毎の情報を復元し、ビットデータに変換してビタビ復号及びリードソロモン復号を行い、これにより得られたTS(Transport Stream)信号をデコード部17dに出力する。デコード部17dは、復調部17cより入力したTS信号をデコードしてビデオストリーム、オーディオストリーム等の各ストリームデータに分離、再構築する。デコード部17dは、再構築したビデオストリームに対して所定のビデオ信号処理を行って映像表示部15に出力すると共に、オーディオストリームに対して所定のオーディオ信号処理を行って音声出力部16に出力する。これにより、車載器1にて地上デジタルテレビジョン放送が出力再生される。
【0028】
[放送受信処理]
図2は、本発明の一実施形態に係る車載器1にて実行される放送受信処理のフローチャートを示す図である。
図2の放送受信処理は、例えば、地上デジタルテレビジョン放送を再生するモードに切り替えられた時点で開始され、該モードから別のモードに切り替えられた時点で終了する。
【0029】
[
図2のS11(受信状態の判定)]
本処理ステップS11では、デジタル放送信号の受信状態が悪化状態にあるか否かが判定される。例示的には、デジタル放送信号の受信率が一定時間継続して第一の閾値以下になる場合や、ビタビ復号後のBER(Bit Error Rate)が第二の閾値以上になる場合に、デジタル放送信号の受信状態が悪化状態にあると判定される。デジタル放送信号の受信状態が悪化状態にある場合、車載器1では、放送サービスを正常に出力再生することができない。デジタル放送信号の受信状態が悪化状態にないと判定された場合(S11:NO)、本処理ステップS11は繰り返し実行される。
【0030】
[
図2のS12(走行地点の判定)]
本処理ステップS12は、処理ステップS11(受信状態の判定)にてデジタル放送信号の受信状態が悪化状態にあると判定された場合(S11:YES)に実行される。本処理ステップS12では、地図情報及び位置情報(GPS測位データとDR測位データの少なくとも一方を用いて測定された自車位置の情報)に基づいて、現在車両が走行している地点がトンネル内であるか否かが判定される。現在車両が走行している地点がトンネル内でないと判定された場合(S12:NO)、
図2の放送受信処理は、処理ステップS11(受信状態の判定)に戻る。
【0031】
[
図2のS13(放送局の受信可能エリアの判定)]
本処理ステップS13は、処理ステップS12(走行地点の判定)にて現在車両が走行している地点がトンネル内であると判定された場合(S12:YES)に実行される。本処理ステップS13では、地図情報(受信可能エリアマップ)及び自車の位置情報に基づいて、車両がトンネルから抜け出した地点が現在の放送局(少なくともトンネルに入るまで出力再生していた放送サービスを放送する放送局)の受信可能エリアに属するか否かが判定される。車両がトンネルから抜け出すと、デジタル放送信号の受信状態が悪化状態から回復するものと見込まれる。従って、説明の便宜上、車両がトンネルから抜け出る地点(トンネルの出口)を「受信状態回復地点」と記す。ここで、
図3(a)〜
図3(c)の各図に、放送局の受信可能エリアとトンネルとの関係を例示する。
【0032】
[
図2のS14(トンネルの通過判定)]
本処理ステップS14は、本処理ステップS13(放送局の受信可能エリアの判定)にて受信状態回復地点が現在の放送局の受信可能エリアに属すると判定された場合(S13:YES)に実行される。例示的には、放送局の受信可能エリアとトンネルとが
図3(a)に示される関係にある場合、受信状態回復地点が現在の放送局の受信可能エリアに属すると判定される。本処理ステップS14では、地図情報及び位置情報に基づいて、車両がトンネルから抜け出したか(受信状態回復地点に到達したか)否かが判定される。
【0033】
車両がトンネルから抜け出していない(受信状態回復地点に到達していない)と判定された場合(S14:NO)、本処理ステップS14は繰り返し実行される。車両がトンネルから抜け出した(受信状態回復地点に到達した)と判定された場合(S14:YES)、車載器1では、同じ放送局より放送される放送サービスを引き続き出力再生することができるため、別の放送局をサーチする必要がない。従って、放送局のサーチが実行されることなく、
図2の放送受信処理は、処理ステップS11(受信状態の判定)に戻る。
【0034】
[
図2のS15(中継局・系列局の受信可能エリアの判定)]
本処理ステップS15は、処理ステップS13(放送局の受信可能エリアの判定)にて受信状態回復地点が現在の放送局の受信可能エリアに属さないと判定された場合(S13:NO)に実行される。本処理ステップS15では、受信状態回復地点が、今まで出力再生していた(少なくとも現在走行中のトンネルに入るまで出力再生していた)放送サービスと同じ内容を再送信する中継局又は該放送局と同じネットワーク系列に属する系列局の受信可能エリアに属するか否かが判定される。
【0035】
[
図2のS16(受信状態回復地点以降の受信状態の推定)]
本処理ステップS16は、処理ステップS15(中継局・系列局の受信可能エリアの判定)にて受信状態回復地点が中継局又は系列局の受信可能エリアに属すると判定された場合(S15:YES)に実行される。例示的には、放送局の受信可能エリアとトンネルとが
図3(b)に示される関係にある場合、受信状態回復地点が中継局又は系列局の受信可能エリアに属すると判定される。
【0036】
本処理ステップS16では、少なくとも地図情報に基づき、車両が受信状態回復地点に到達してから所定の第一のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化するか否かが推定される。所定の第一のサーチ必要時間とは、処理ステップS15(中継局・系列局の受信可能エリアの判定)における判定結果に応じたサーチ(受信状態回復地点が中継局の受信可能エリアに属すると判定された場合には中継局サーチ、系列局の受信可能エリアに属すると判定された場合には系列局サーチ)を開始し終了するまでに掛かる時間である。
【0037】
例示的には、地図情報から、デジタル放送信号の受信状態が再度悪化する再悪化地点が受信状態回復地点から所定の第一の距離以内にあると判定される場合、車両が法定速度で走行するものとみなすと、車両が受信状態回復地点に到達してから第一のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化する(第一のサーチ必要時間内に再悪化地点に到達する)ものと推定される。また、地図情報から、再悪化地点が受信状態回復地点から第一の距離以内にないと判定される場合には、車両が法定速度で走行するものとみなすと、車両が受信状態回復地点に到達してから第一のサーチ必要時間経過してもデジタル放送信号の受信状態が再度悪化しない(第一のサーチ必要時間内に再悪化地点に到達しない)ものと推定される。なお、再悪化地点は、例えば、車両が現在走行しているトンネルの次のトンネルの入口である。
【0038】
但し、車両が法定速度で走行しているとは限らないため、受信状態回復地点以降の実際の走行速度と法定速度との差が大きいほど、本処理ステップS16の推定処理の精度が低下する。本処理ステップS16の推定処理の精度を向上させるためには、受信状態回復地点以降の車両の走行速度を精度良く推定する必要がある。
【0039】
そこで、本処理ステップS16では、道路情報取得部19により取得される渋滞情報等の道路情報(少なくとも受信状態回復地点以降の道路情報)が収集され、収取された道路情報及び車両情報取得部18により取得される車両の走行速度情報に基づいて、受信状態回復地点以降の車両の走行速度が推定されてもよい。この場合、再悪化地点が受信状態回復地点から所定距離(推定された走行速度と第一のサーチ必要時間との積)以内にある場合、車両が受信状態回復地点に到達してから第一のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化する(第一のサーチ必要時間内に再悪化地点に到達する)ものと推定され、再悪化地点が受信状態回復地点から該所定距離以内にない場合には、車両が受信状態回復地点に到達してから第一のサーチ必要時間経過してもデジタル放送信号の受信状態が再度悪化しない(第一のサーチ必要時間内に再悪化地点に到達しない)ものと推定される。
【0040】
車両が受信状態回復地点に到達してから第一のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化する場合を考える。この場合、車両が受信状態回復地点に到達してから中継局サーチ又は系列局サーチが開始されても、該サーチが終了する前にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化して、中継局サーチ又は系列局サーチが完了せずに再び停止してしまう。すなわち、中継局サーチ又は系列局サーチの開始・停止が無駄に発生してしまう。また、車載器1がサーチの実行を通知する機能を持つ場合、無駄な中継局サーチ又は系列局サーチの実行が通知されると、ユーザがその通知を煩わしいと感じる虞がある。
【0041】
そこで、本処理ステップS16にて車両が受信状態回復地点に到達してから第一のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化すると推定される場合(S16:YES)、
図2の放送受信処理は、処理ステップS11(受信状態の判定)に戻る。この場合、車両が受信状態回復地点に到達しても中継局サーチ又は系列局サーチの実行が開始されないため、無駄な中継局サーチ又は系列局サーチの発生及び通知が防がれる。
【0042】
[
図2のS17(トンネルの通過判定)]
本処理ステップS17は、処理ステップS16(受信状態回復地点以降の受信状態の推定)にて車両が受信状態回復地点に到達してから第一のサーチ必要時間経過してもデジタル放送信号の受信状態が再度悪化しないと推定される場合(S16:NO)に実行される。本処理ステップS17では、地図情報及び位置情報に基づいて、車両がトンネルから抜け出したか(受信状態回復地点に到達したか)否かが判定される。
【0043】
[
図2のS18(中継局又は系列局の受信)]
本処理ステップS18は、処理ステップS17(トンネルの通過判定)にて車両がトンネルから抜け出した(受信状態回復地点に到達した)と判定された場合(S17:YES)に実行される。本処理ステップS18では、車両が受信状態回復地点に到達してから第一のサーチ必要時間よりも長い時間、良好な受信状態が継続するものと推定される。そのため、車両が受信状態回復地点に到達すると、中継局サーチ又は系列局サーチが自動的に開始され、サーチされた中継局又は系列局が受信されて、その放送サービスが出力再生される。
【0044】
[
図2のS19(受信可能エリアの判定)]
本処理ステップS19は、処理ステップS15(中継局・系列局の受信可能エリアの判定)にて受信状態回復地点が中継局又は系列局の受信可能エリアに属さないと判定された場合(S15:NO)に実行される。例示的には、放送局の受信可能エリアとトンネルとが
図3(c)に示される関係にある場合、受信状態回復地点が中継局又は系列局の受信可能エリアに属さないと判定される。本処理ステップS19では、地図情報及び自車の位置情報に基づいて、車両が中継局又は系列局の受信可能エリアに入ったか否かが判定される。車両が中継局又は系列局の受信可能エリアに入ったと判定された場合(S19:YES)、
図2の放送受信処理は、処理ステップS16(受信状態回復地点以降の受信状態の推定)に進む。一方、車両が中継局又は系列局の受信可能エリアに入っていないと判定された場合(S19:NO)には、
図2の放送受信処理は、処理ステップS20(受信可能エリアの判定)に進む。
【0045】
[
図2のS20(受信可能エリアの判定)]
本処理ステップS20では、現在の放送局、中継局及び系列局以外の他の放送局の受信可能エリアに入ったか否かが判定される。車両が他の放送局の受信可能エリアに入ったと判定された場合(S20:YES)、
図2の放送受信処理は、処理ステップS21(受信状態回復地点以降の受信状態の推定)に進む。一方、車両が他の放送局の受信可能エリアに入っていないと判定された場合(S20:NO)には、
図2の放送受信処理は、処理ステップS19(受信可能エリアの判定)に戻る。
【0046】
[
図2のS21(受信状態回復地点以降の受信状態の推定)]
本処理ステップS21では、少なくとも地図情報に基づき、車両が受信状態回復地点に到達してから所定の第二のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化するか否かが推定される。所定の第二のサーチ必要時間とは、中継局や系列局等の希望局をサーチするのに必要な時間ではなく、受信可能な何らかの放送局をサーチするのに必要な時間である。
【0047】
例示的には、地図情報から、再悪化地点が受信状態回復地点から所定の第二の距離以内にあると判定される場合、車両が法定速度で走行するものとみなすと、車両が受信状態回復地点に到達してから第二のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化する(第二一のサーチ必要時間内に再悪化地点に到達する)ものと推定される。また、地図情報から、再悪化地点が受信状態回復地点から第二の距離以内にないと判定される場合には、車両が法定速度で走行するものとみなすと、車両が受信状態回復地点に到達してから第二のサーチ必要時間経過してもデジタル放送信号の受信状態が再度悪化しない(第二のサーチ必要時間内に再悪化地点に到達しない)ものと推定される。
【0048】
但し、車両が法定速度で走行しているとは限らないため、本処理ステップS21においても、処理ステップS16(受信状態回復地点以降の受信状態の推定)と同様に、受信状態回復地点以降の車両の走行速度を推定したうえで、車両が受信状態回復地点に到達してから所定の第二のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化するか否かを推定してもよい。
【0049】
本処理ステップS21にて車両が受信状態回復地点に到達してから第二のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化すると推定される場合(S21:YES)、
図2の放送受信処理は、処理ステップS11(受信状態の判定)に戻る。この場合、車両が受信状態回復地点に到達しても放送局のサーチの実行が開始されないため、無駄なサーチの発生及び通知が防がれる。
【0050】
[
図2のS22(トンネルの通過判定)]
本処理ステップS22は、処理ステップS21(受信状態回復地点以降の受信状態の推定)にて車両が受信状態回復地点に到達してから第二のサーチ必要時間経過してもデジタル放送信号の受信状態が再度悪化しないと推定される場合(S21:NO)に実行される。本処理ステップS21では、地図情報及び位置情報に基づいて、車両がトンネルから抜け出したか(受信状態回復地点に到達したか)否かが判定される。
【0051】
[
図2のS23(サーチされた放送局の受信)]
本処理ステップS23は、処理ステップS22(トンネルの通過判定)にて車両がトンネルから抜け出した(受信状態回復地点に到達した)と判定された場合(S22:YES)に実行される。本処理ステップS23では、車両が受信状態回復地点に到達してから第二のサーチ必要時間よりも長い時間、良好な受信状態が継続するものと推定される。そのため、車両が受信状態回復地点に到達すると、放送局のサーチが自動的に開始され、サーチされた放送局が受信されて、その放送サービスが出力再生される。
【0052】
このように、本実施形態によれば、トンネルの出口(受信状態回復地点)以降の道路の状況(所定距離以内に再悪化地点が存在するか、道路がどの程度渋滞しているか等)を事前に推定することにより、トンネルを出たときに放送局のサーチを実行させるかどうかを適切に判断することができる。その結果、無駄なサーチの発生及び通知が防がれる。また、受信状態回復地点の受信可能エリアを判断することにより、適切なサーチを実行することができるため、この点においても、無駄なサーチの発生及び通知が防がれる。
【0053】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施例等又は自明な実施例等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0054】
図4は、本発明の他の一実施形態に係る車載器1にて実行される放送受信処理のフローチャートを示す図である。
図4の放送受信処理では、処理ステップS16(受信状態回復地点以降の受信状態の推定)にて車両が受信状態回復地点に到達してから第一のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化すると推定される場合(S16:YES)、処理ステップS24が実行される。具体的には、処理ステップS24では、地図情報及び位置情報に基づいて、車両が走行中のトンネルから抜け出して次のトンネルに入ったか否かが判定される。次のトンネルに入ったと判定される場合(S24:YES)、
図4の放送受信処理は、処理ステップS13(放送局の受信可能エリアの判定)に戻る。この場合も、
図2の放送受信処理と同様に、車両が受信状態回復地点に到達しても中継局サーチ又は系列局サーチの実行が開始されないため、無駄な中継局サーチ又は系列局サーチの発生及び通知が防がれる。
【0055】
また、
図4の放送受信処理では、本処理ステップS21にて車両が受信状態回復地点に到達してから第二のサーチ必要時間内にデジタル放送信号の受信状態が再度悪化すると推定される場合(S21:YES)、処理ステップS25が実行される。処理ステップS25においても処理ステップS24と同様に、地図情報及び位置情報に基づいて、車両が走行中のトンネルから抜け出して次のトンネルに入ったか否かが判定される。次のトンネルに入ったと判定される場合(S24:YES)、
図4の放送受信処理は、処理ステップS13(放送局の受信可能エリアの判定)に戻る。この場合も、
図2の放送受信処理と同様に、車両が受信状態回復地点に到達しても中継局サーチ又は系列局サーチの実行が開始されないため、無駄な中継局サーチ又は系列局サーチの発生及び通知が防がれる。