【解決手段】給湯器用リモコンは、給湯器本体を遠隔操作するための複数の操作スイッチと、複数の操作スイッチが設けられた筺体とを有する給湯器用リモコンであって、NFC端末装置と通信する機能を有する第1メモリと、NFC端末装置と通信する機能を有する第2メモリと、第1メモリに対する第2メモリの位置を変更する位置変更機構と、給湯器用リモコンの通電中において、第2メモリの位置に応じて、第1メモリに対するNFC端末装置のアクセス可否を切り換える切換手段と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給湯器用リモコンからの内部データの取得作業では、その状況に応じた適切な内部データが選択的に取得されることが望ましい。しかしながら、所望のデータを取得するために、給湯器用リモコンや外部機器でデータ選択のボタン操作等が必要になってしまうと、操作に不慣れなユーザにとって負担であり、また、誤ったデータを外部機器で取得してしまう可能性もある。
【0006】
そこで、本発明は、状況に応じた適切なデータを簡易な操作により外部機器で取得することができる給湯器用リモコン、及びそれを備える給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る給湯器用リモコンは、給湯器本体を遠隔操作するための複数の操作スイッチと、前記複数の操作スイッチが設けられた筺体とを有する給湯器用リモコンであって、NFC端末装置と通信する機能を有する第1メモリと、NFC端末装置と通信する機能を有する第2メモリと、前記第1メモリに対する前記第2メモリの位置を変更する位置変更機構と、前記給湯器用リモコンの通電中において、前記第2メモリの位置に応じて、前記第1メモリに対するNFC端末装置のアクセス可否を切り換える切換手段と、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、位置変更機構により第1メモリ及び第2メモリのうち第1メモリにはアクセスできない状態にすることができる。これにより、データ選択のためのボタン操作なしで第2メモリのみにNFC端末装置がアクセスできる状態にすることができ、NFC端末装置を給湯器用リモコンにかざすという簡易操作で、第1メモリの情報と誤ることなく確実に第2メモリの情報を取得することができる。また、状況に応じて、第2メモリの位置を変更して第1メモリをアクセス可能な状態に変更し、第1メモリの情報をNFC端末装置で取得することができる。
【0009】
上記給湯器用リモコンにおいて、前記第1メモリは、前記給湯器用リモコンに通電されていないときは、NFC端末装置と通信できないように構成され、前記第2メモリは、前記給湯器用リモコンに通電されているか否かに関わらずNFC端末装置と通信できるように構成されてもよい。この構成によれば、例えば給湯器用リモコン自体が故障するなどして給湯器用リモコンに通電されていないときであっても、NFC端末装置との通信が可能である。
【0010】
また、前記第1メモリが、前記給湯器用リモコンに通電されていないときは、NFC端末装置と通信できないように構成されている場合には、前記切換手段は、前記第2メモリの位置に応じて、前記第1メモリの電源オン状態と電源オフ状態とを切り換えてもよい。この構成によれば、簡易な方法で第1メモリへのアクセス可否の切り換えを実現できる。
【0011】
上記給湯器用リモコンにおいて、前記第1メモリは、第2メモリと通信する機能を有しており、前記位置変更機構は、前記第2メモリの位置を、前記第1メモリと前記第2メモリとが通信可能な範囲の内側の第1位置と、前記第1メモリと前記第2メモリとが通信可能な範囲の外側の第2位置との間で変更するように構成されてもよい。この構成によれば、第2メモリが第1位置にあるときは、第1メモリと第2メモリとが通信できる位置関係を確保することができる。また、第2メモリが第2位置にあるときは、第1位置にあるときよりも第1メモリと第2メモリとが離れており、第1メモリと第2メモリの情報のうち取得したい情報を有する方にNFC端末装置を近づけて、適切にデータを取得することができる。
【0012】
上記給湯器用リモコンにおいて、前記位置変更機構は、前記複数の操作スイッチの一部又は全部を覆う蓋体を含み、前記筺体には前記第1メモリが設けられており、前記蓋体には前記第2メモリが設けられていてもよい。この構成によれば、第1メモリに対する第2メモリの位置の変更を簡易な構成で且つ簡易な操作により実現することができる。
【0013】
上記給湯器用リモコンにおいて、前記位置変更機構は、前記筐体の内部から外部へと突出可能に設けられた突出片を含み、前記筺体には前記第1メモリが設けられており、前記突出片には前記第2メモリが設けられていてもよい。この構成によれば、第1メモリに対する第2メモリの位置の変更を簡易な構成で且つ簡易な操作により実現することができる。
【0014】
例えば、前記第1メモリは、NFCリーダライタであり、前記第2メモリは、NFCタグである。
【0015】
また、本発明に係る給湯システムは、上記した給湯器用リモコンのいずれかと、前記給湯器用リモコンにより遠隔操作される前記給湯機本体と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、状況に応じた適切なデータを簡易な操作により外部機器で取得することができる給湯器用リモコン及びそれを備える給湯システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る給湯器用リモコンについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る給湯器用リモコン10からデータを取得するデータ取得システム1の概略構成図である。データ取得システム1は、給湯システム2を有しており、給湯システム2は、水を加熱して湯を所定箇所に供給する給湯器本体3と、該給湯器本体3を遠隔操作する給湯器用リモコン10とにより構成されている。給湯器用リモコン10は、給湯器本体3を遠隔操作するための操作部12と、操作部12で入力された指令や種々の情報を表示するための表示部13を備えている。以下では、給湯器用リモコン10の構成について詳細に説明し、その後に給湯器用リモコン10からデータを取得する方法について説明する。
【0019】
図2及び
図3には、第1実施形態に係る給湯器用リモコン10の外観が概略的に示されている。
図2(A)及び
図3(A)は、給湯器用リモコン10の概略正面図であり、
図2(B)及び
図3(B)は、給湯器用リモコン10の概略左側面図である。給湯器用リモコン10は、例えば浴室や台所等の壁面Wに設置されている。本実施形態に係る給湯器用リモコン10は、略直方体状の筐体11と、筐体11における壁面Wに当接していない方の主面部である筐体主面部11aの一部を覆う蓋体14を有している。
【0020】
筐体主面部11aのうち、蓋体14に覆われない部分である主面部上部11bには、ディスプレイパネル等で構成された表示部13と、操作部12を構成する複数の操作スイッチ12a〜12lの一部である主要スイッチ12a〜12eが配設されている。筐体主面部11aのうち、蓋体14に覆われる部分である主面部下部11cには、複数の操作スイッチ12a〜12lのうちの残りである付加的スイッチ12f〜12lが配設される(
図3(A)参照)。なお、付加的スイッチ12f〜12lは、主要スイッチ12a〜12eに比べて使用頻度が少ないスイッチである。
【0021】
通常、給湯器用リモコン10には、運転スイッチ(例えば符号12a)が備えられている。運転スイッチ12aは、押圧操作されるごとに、「運転オン状態」と「運転オフ状態」とを切り換える。ここで、「運転オン状態」とは、図示しない給湯栓が開かれる等して、給湯路の単位時間当たりの通水量が所定量以上になる等、諸条件が揃ったときに、給湯加熱運転可能となる状態をいい、「運転オフ状態」とは、上記諸条件が揃ったとしても、給湯加熱運転しない状態をいう。
【0022】
蓋体14は、筐体11の筐体主面部11aの下端に設けられたヒンジ部15を介して、筐体11に回動自在に取り付けられている。蓋体14は、筐体11に対して回動することにより、
図2に示すような付加的スイッチ12f〜12lを覆う閉状態と、
図3に示すような付加的スイッチ12f〜12lを操作可能な状態にする開状態との間を移行する。蓋体14には、閉状態が保持されるように、筐体11と係止する係止部16が設けられている。なお、給湯器用リモコン10では、通常、ユーザが付加的スイッチ12f〜12lを操作するときなど特別な場合を除いて、蓋体14は閉状態にある。
【0023】
筐体11には、NFC(Near Field Communication)リーダライタ31が設けられており、一方、蓋体14には、NFCタグ32が設けられている。
【0024】
NFCリーダライタ31は、筐体11に内蔵されており、蓋体14に覆われる主面部下部11cと壁面Wとの間に配置されている。
【0025】
NFCタグ32は、
図3(A)に示すように、蓋体14が閉状態にあるときに、NFCリーダライタ31に近接するように配置されている。また、NFCタグ32は、蓋体14が有する2つの主面のうち、蓋体14が閉状態にあるときに主面部下部11cに対向する一方主面に取り付けられている。また、蓋体14が有する2つの主面のうちの他方主面におけるNFCタグ32のちょうど裏側に相当する箇所には、NFCタグ32の位置が分かるように印33が付けられている。印33は、後述するNFC端末装置60をかざす位置を示す目印となる。
【0026】
蓋体14が開状態と閉状態との間で移行すると、それに応じて蓋体14に取り付けられたNFCタグ32の位置も変更される。即ち、NFCタグ32は、蓋体14が
図2に示すような閉状態にあるときは、NFCリーダライタ31に近接する第1位置に位置付けられる。第1位置にあるNFCタグ32は、NFCリーダライタ31とNFC通信可能な範囲内まで近接している。また、NFCタグ32は、蓋体14が
図3に示すような開状態にあるときは、第1位置にあるときよりもNFCリーダライタ31との距離が離れた第2位置に位置付けられる。この実施形態では、第2位置にあるNFCタグ32は、NFCリーダライタ31とNFC通信可能な範囲の外に位置している。但し、第2位置にあるNFCタグ32は、NFCリーダライタ31とNFC通信可能な範囲の外に位置していなくてもよい。例えば、第2位置は、第2位置にあるNFCタグ32とNFCリーダライタ31のうちの一方にNFC端末装置60を近づけて、確実に意図した(NFC端末装置60を近づけた)方とNFC端末装置60とを通信接続できるような位置であればよい。この実施形態では、蓋体14及びヒンジ部15が、NFCリーダライタ31に対するNFCタグ32の位置を変更する本発明の位置変更機構を構成する。
【0027】
筐体11には、NFCタグ32が第1位置にあるか否かを検知する位置検知部17が設けられており、位置検知部17により検知された信号は、後述のリモコン制御部40に送られる。位置検知部17は、例えば蓋体14の開閉状態を検出する周知の開閉検知スイッチである。
【0028】
図1に戻って、NFCリーダライタ31は、NFC通信可能範囲内にまで近づけられたNFC端末装置60とP2P通信するように構成されている。NFCリーダライタ31は、P2P通信によりNFC端末装置60と例えば38400bpsでデータの送受信を行う。
【0029】
また、NFCリーダライタ31は、NFC通信可能範囲内にあるNFCタグ32とNFC通信する機能を有している。この実施形態では、NFCリーダライタ31は、例えば給湯器本体3で故障等の異常が発生した時に、異常情報をNFCタグ32に書き込むように構成されている。
【0030】
NFCリーダライタ31は、給湯器本体3の運転情報やこれまでに発生した故障等に関する異常情報を記憶しておくメモリ機能を有している。NFCリーダライタ31に記憶された情報の一部が、上述のように、NFC端末装置60に送られたり、NFCタグ32に書き込まれたりする。
【0031】
NFCリーダライタ31は、給湯器用リモコン10において電源が供給されることにより通信可能な状態となる。後述するが、NFCリーダライタ31は、通電中の給湯器用リモコン10から制御されて、「電源オン状態」と「電源オフ状態」とを切り換えられる。ここで、「電源オン状態」とは、通電されている状態をいい、「電源オフ状態」とは、通電されていない状態をいう。また、この実施形態のNFCリーダライタ31は、給湯器用リモコン10に電源が供給されている状態のみ通信可能である。即ち、NFCリーダライタ31は、給湯器用リモコン10自体が故障するなどして、給湯器用リモコン10が通電されていない状態となったときに、NFC端末装置60と通信できないように構成されている。
【0032】
NFCタグ32は、NFC通信可能範囲内にまで近づけられたNFC端末装置60と通信する機能を有する。NFCタグ32は、給湯器用リモコン10に電源が供給されているか否かに関わらず、アクセス可能である。即ち、給湯器用リモコン10が故障して電源オフになってもNFCタグ32からNFC端末装置60等を用いてデータを取得することが可能である。NFCタグ32のメモリサイズは小さいため、NFCタグ32には、例えば優先度の高い最近の異常情報のみが記憶される。
【0033】
上記のように、給湯器用リモコン10は、メモリ機能を有するNFCリーダライタ(本発明の「第1メモリ」に相当)31とNFCタグ(本発明の「第2メモリ」に相当)32という2つのメモリを有している。この実施形態では、これら2つのメモリは、NFC端末装置60でアクセスした際にNFC端末装置60で取得されるデータが互いに異なるように構成されている。例えば、NFC端末装置60がNFCリーダライタ31に通信接続したときには、NFC端末装置60は給湯器本体3の運転情報など比較的容量が大きいデータを取得する。また、NFC端末装置60がNFCタグ32に通信接続したときには、NFC端末装置60は最近発生した故障などに関する優先度の高い比較的容量が小さいデータを取得する。なお、
図1では、NFC端末装置60がNFCリーダライタ31とNFCタグ32の両方と通信するように示しているが、後述するように、実際のデータ取得作業ではこれらのいずれか一方と通信接続する。
【0034】
図1には、給湯器用リモコン10のリモコン制御部40の機能ブロックが概略的に示されている。リモコン制御部40は、各種の演算処理を実行するCPU等の演算部および各種のプログラムまたはデータを記憶するROM、RAM等の記憶部(いずれも図示せず)を有している。リモコン制御部40は、給湯器制御部41、表示制御部42、アクセス可否切換部43を備え、これら機能部は、上記CPU等のハードウェア及び上記ROM等に記憶されたソフトウェア等を組み合わせて構築されている。
【0035】
給湯器制御部41は、操作部12での操作に応じた動作を行うよう給湯器本体3に指令を送ることにより、給湯器本体3を制御する。また、表示制御部42は、操作部12での操作に応じた情報が表示されるよう表示部13を制御する。
【0036】
アクセス可否切換部43(本発明の「切換手段」に相当)は、位置検知部17により送られた信号に基づいて、NFCタグ32が第1位置にあるか否かを判断する。そして、アクセス可否切換部43は、NFCタグ32の位置に応じて、NFCリーダライタ31に対するNFC端末装置60のアクセス可否を切り換える。具体的には、アクセス可否切換部43は、NFCリーダライタ31への電源供給を制御して、NFCリーダライタ31の電源オン状態と電源オフ状態とを切り換える。これにより、上述したように、NFCリーダライタ31は、通信できる状態と通信できない状態の間で切り換えられる。
【0037】
こうして、アクセス可否切換部43は、NFCタグ32が第1位置にあると判断したときは、NFCリーダライタ31にNFC端末装置60がアクセスできないように切り換え、NFCタグ32が第2位置にあると判断したときは、NFCリーダライタ31にNFC端末装置60がアクセスできるように切り換える。
【0038】
NFCタグ32が第1位置にあるとき、原則として、NFCリーダライタ31は電源が供給されず、通信できない状態にある。但し、給湯器本体3等に故障が発生するなどの異常が発生したときには、例外的にNFCリーダライタ31に電源が供給され、NFCリーダライタ31は、発生した異常情報をNFCタグ32に書き込むように構成されている。NFCタグ32への異常情報の書き込みが終了すると、NFCリーダライタ31は、電源の供給が停止され、通信できない状態に戻る。
【0039】
次に、
図1及び
図4を参照して、給湯器用リモコン10のNFCタグ32からNFC端末装置60でデータを取得する方法について説明する。
図4は、給湯器用リモコン10のNFCタグ32にNFC端末装置60を通信させる様子を示す図である。なお、
図1等に示すNFC端末装置60は、例えばスマートフォンであり、NFC通信部61とLAN通信部62を備える。また、NFC端末装置60には、NFCリーダライタ31やNFCタグ32との通信を可能にする専用アプリがインストールされている。
【0040】
給湯器用リモコン10は、通常、蓋体14が閉じた状態にある。NFCタグ32からのデータの取得は、
図4のようにNFC端末装置60を印33の前にかざすことにより行われる。蓋体14が閉状態にある状態では、NFCタグ32が第1位置にあるため、NFCリーダライタ31にNFC端末装置60がアクセスできない状態にある。このため、
図4のようにNFC端末装置60を印33の前にかざしても、NFC端末装置60は、NFCリーダライタ31にアクセスすることはなく、確実にNFCタグ32と通信し、NFCタグ32からデータを取得することができる。
【0041】
上記のNFCタグ32からのデータの取得作業は、一例に過ぎないが、例えば、給湯器本体3に故障が発生した場合に、ユーザにより行われる。ユーザによりNFC端末装置60に取得された異常情報は、ネットワーク63を経由して修理作業者のサーバ64に事前に送られる(
図1参照)。修理作業者に送られた情報は、故障原因を推測し、交換部品の準備や修理工程の確認などのために利用される。
【0042】
次に、
図1及び
図5を参照して、給湯器用リモコン10のNFCリーダライタ31からNFC端末装置60でデータを取得する方法について説明する。
図5は、給湯器用リモコン10のNFCリーダライタ31にNFC端末装置60を通信させる様子を示す図である。
【0043】
NFCリーダライタ31からデータを取得するには、NFC端末装置60を給湯器用リモコン10にかざす前に、第2メモリの位置を変更する必要がある。まず、閉じた状態にある蓋体14を開いた状態にして、NFCリーダライタ31をNFC端末装置60でアクセス可能な状態にする。その後、
図5のように、NFCリーダライタ31が内蔵された箇所にNFC端末装置60をかざす。これにより、NFC端末装置60は、NFCリーダライタ31と通信接続し、NFCリーダライタ31から内部情報を取得することができる。また、蓋体14を開いたことで、NFCリーダライタ31とNFCタグ32との距離が離れる。このため、NFC端末装置60をNFCタグ32にアクセスしないようにNFCリーダライタ31に近づけて、確実にNFCリーダライタ31と通信接続することが可能になる。
【0044】
NFCリーダライタ31からのデータの取得作業は、一例に過ぎないが、例えば、修理作業者によって、故障原因解析などのためにNFC端末装置60ごとデータをセンターに持ち帰る目的で行われる。
【0045】
この実施形態では、蓋体14が閉状態にあるときは、NFCリーダライタ31にNFC端末装置60がアクセスできない状態にする。このため、NFCタグ32のみにNFC端末装置60がアクセスできる状態にすることができる。これにより、NFCリーダライタ31とNFCタグ32が近接した位置にあっても、NFC端末装置60を給湯器用リモコン10にかざすという簡易操作で、NFCリーダライタ31の情報と誤ることなく確実にNFCタグ32の情報を取得することができる。
【0046】
また、蓋体14を閉状態から開状態に移行することにより、NFCタグ32を第1位置から第2位置に移動させて、NFCリーダライタ31をアクセス可能な状態に変更し、NFCリーダライタ31の情報をNFC端末装置60で取得することができる。
【0047】
このように、状況に応じた適切なデータを簡易な操作によりNFC端末装置60で取得することができる。
【0048】
また、NFCタグ32が給湯器用リモコン10に通電されているか否かに関わらずNFC端末装置60と通信できるため、例えば給湯器用リモコン10自体が故障するなどして給湯器用リモコン10に通電されていないときであっても、給湯器用リモコン10の内部データの取得が可能である。
【0049】
また、この実施形態では、NFCタグ32が第1位置にあるときは、NFCリーダライタ31とNFCタグ32とが通信できる位置関係を確保することができる。また、NFCタグ32が第2位置にあるときは、第1位置にあるときよりもNFCリーダライタ31とNFCタグ32とが離れており、NFCリーダライタ31とNFCタグ32の情報のうち取得したい情報を有する方にNFC端末装置を近づけて、適切にデータを取得することができる。
【0050】
また、この実施形態では、蓋体14にNFCタグ32を設けることにより、筐体11に設けたNFCリーダライタ31に対するNFCタグ32の位置の変更を、簡易な構成で且つ簡易な操作により実現することができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、
図6〜
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る給湯器用リモコン70を説明する。なお、本実施形態の給湯器用リモコン70が第1実施形態の給湯器用リモコン10とは、NFCリーダライタ31に対するNFCタグ32の位置を変更する位置変更機構以外は同様の構成であるため、以下では主に位置変更機構について説明する。本実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0052】
本実施形態の給湯器用リモコン70は、筐体11に対して位置の変更が可能な構成要素として、蓋体14の代わりに、筐体11の内部から外部へと突出可能に設けられた突出片71を備える。
図6は、突出片71の全体が筐体11内部に収容された状態(収容状態)を示しており、
図7は、突出片71の一部が筐体11外部に突出した状態(突出状態)を示している。筐体11の右側面には、突出片71を挿入するための挿入穴74が形成されている。
図6(A)及び
図6(B)に破線で示したように、通常時、突出片71は、その全体が挿入穴74に収容された状態で配置されている。また、筐体11の右側面には、イジェクトスイッチ72が設けられており、突出片71は、イジェクトスイッチ72を押すことにより、突出片71の一部が筐体11の右側面から突出するように構成されている。
【0053】
突出状態にある突出片71の突出部分には、NFCタグ32が設けられている。NFCタグ32は、突出片71が収容状態にあるときに第1位置に配置され、突出片71が突出状態にあるときに第2位置に配置される。筐体11には、NFCタグ32が第1位置にあるか否かを検知する位置検知部73が設けられている。
【0054】
また、筐体11内部に設けられたNFCリーダライタ31は、突出片71が収容状態にあるときのNFCタグ32に近接するように配置されている(
図6参照)。また、突出片71が収容状態にあるときのNFCタグ32の位置が分かるように、筐体11の筐体主面部11aにはNFC端末装置60をかざす位置を示す印33が付けられている。
【0055】
図8は、給湯器用リモコン70のNFCタグ32にNFC端末装置60を通信させる様子を示す図である。この実施形態でも、NFCタグ32が第1位置にあるときには、NFCリーダライタ31にNFC端末装置60がアクセスできない状態にある。このため、
図8のようにNFC端末装置60を印33の前にかざしても、NFC端末装置60は、NFCリーダライタ31にアクセスすることはなく、確実にNFCタグ32と通信し、NFCタグ32から内部情報を取得することができる。
【0056】
図9は、給湯器用リモコン70のNFCリーダライタ31にNFC端末装置60を通信させる様子を示す図である。この実施形態でも、NFCリーダライタ31からのデータの取得のためには、まず、イジェクトスイッチ72を押すことにより、NFCタグ32の位置を第1位置から第2位置に移動させて、NFCリーダライタ31をNFC端末装置60でアクセス可能な状態にする。その後、
図9のように、NFCリーダライタ31が内蔵された箇所にNFC端末装置60をかざす。これにより、NFC端末装置60は、NFCリーダライタ31と通信接続し、NFCリーダライタ31から内部情報を取得することができる。また、NFCリーダライタ31とNFCタグ32との距離が離れたことにより、NFC端末装置60をNFCタグ32にアクセスしないようにNFCリーダライタ31に近づけて、確実にNFCリーダライタ31と通信接続することが可能になる。
【0057】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、この実施形態でも、筐体11に設けたNFCリーダライタ31に対するNFCタグ32の位置の変更を、簡易な構成で且つ簡易な操作により実現することができる。
【0058】
(その他の実施形態)
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0059】
本発明の位置変更機構は、上記実施形態で説明されたものに限定されるものではない。例えば、第1実施形態における位置変更機構は、ヒンジ部15を含む構成であったが、これに限定されるものではなく、位置変更機構は、筐体11に対して蓋体14をスライドさせるスライド機構を含んでもよいし、筐体11に対して取り外し可能な蓋体14のみにより構成されてもよい。
【0060】
上記実施形態では、NFCリーダライタ31への電源供給を制御して、電源オン状態と電源オフ状態とを切り換えることにより、NFCリーダライタ31へのアクセス可否を切り換えていたが、本発明の切換手段はこれに限定されない。例えば、NFCリーダライタ31との通信を遮断する遮蔽部を筐体11に設けて、遮蔽部を制御することによりNFCリーダライタ31へのNFC端末装置60のアクセス可否を切り換えてもよい。