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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-220333(P2016-220333A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
   H02P7/63 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-100850(P2015-100850)
(22)【出願日】2015年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】知久 勇輝
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA01
5H505AA06
5H505CC01
5H505DD06
5H505EE43
5H505EE55
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL25
5H505MM13
(57)【要約】
【課題】少なくとも1台の電力供給ユニットの出力が停止しても運転を継続することができる同期電動機の駆動装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る駆動装置は、同期電動機に電力を供給する複数の電力供給ユニットと、前記複数の電力供給ユニットの各出力と前記同期電動機との間にそれぞれ接続された複数の遮断部と、前記同期電動機の端子電圧を検出する電圧検出部と、前記端子電圧と前記同期電動機の回転速度との比を一定に制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期電動機に電力を供給する複数の電力供給ユニットと、
前記複数の電力供給ユニットの各出力と前記同期電動機との間にそれぞれ接続された複数の遮断部と、
前記同期電動機の端子電圧を検出する電圧検出部と、
前記端子電圧と前記同期電動機の回転速度との比を一定に制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の電力供給ユニットのうちの少なくとも1つの電力供給ユニットの異常を検出したときに、前記複数の遮断部のすべてを遮断し、
前記電圧検出部によって検出された、前記同期電動機のフリーラン時の端子電圧である第1電圧を入力し、
前記複数の電力供給ユニットのうち正常に動作する電力供給ユニットが出力できる合計の出力電流値を有する第1電流よりも小さい電流値を有する第2電流に応じた回転速度を表す速度指令値を設定し、
前記第1電圧が、前記速度指令値に対応する電圧と等しくなったときに、前記第2電流値を前記同期電動機に供給するように前記正常に動作する電力供給ユニットに対応する遮断部を投入する駆動装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2電流と、前記第2電流に対応する前記速度指令値とを含むテーブルを有する請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記同期電動機に流れる電流を検出する電流検出部をさらに備え、
前記電流検出部は、前記複数の電力供給ユニットから前記同期電動機に出力される前記第1電流を検出し、
前記制御部は、前記第1電流および前記第2電流に基づいて、前記速度指令値を設定する請求項1記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同期電動機は、オープンループで容易に速度制御を行うことができるため、産業分野、民生分野を問わずさまざまな分野で応用されている。オープンループの速度制御には、V/F制御が多く用いられている。V/F制御では、電動機の端子電圧(V)と電動機の回転速度(F)との比を一定に制御することによって、回転子の磁極の位置を検出することなく、簡便に速度制度を行うことができる。
【0003】
工場の自動化制御の分野等では、大出力の電動機が必要とされるが、同期電動機は、大型化が比較的容易であり、100MW級の同期電動機も実用化されている。このような大型の同期電動機を駆動するためには、大容量のインバータ装置が必要とされ、複数の電力供給ユニットを並列運転することによって大容量化を実現する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54−101130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の電力供給ユニットを並列運転させて同期電動機に電力を供給する場合に、少なくとも1台の電力供給ユニットに故障が生じたときには、出力電流が不足することとなる。V/F制御による速度制御においては、電流制御を行わないため、電力供給ユニットの出力電流を検出することができないので、一部の電力供給ユニットの故障が生じた場合であっても、過電流または過負荷状態として、駆動装置全体の運転が停止される。そのため、同期電動機の運転を継続させるためには、電力供給ユニットの台数を増加させて冗長構成とする等の必要があり、設置スペースの増大やコストアップの要因となっている。
【0006】
また、電力供給ユニットにベクトル制御方式を採用した場合には、ベクトル制御方式では出力電流の電流制御を行うため、少なくとも1台の電力供給ユニットが出力停止しても、各電力供給ユニットの出力電流を自動的に調整して運転の継続をすることができる。しかしながら、速度制御にベクトル制御方式を用いる場合には、制御回路の構成が複雑になり、依然として設置スペース増大やコストアップの要因となる。
【0007】
特許文献1には、複数のインバータ装置を並列運転する場合に、均等な出力電流を供給するための技術が記載されているが、いずれかのインバータ装置が故障して停止した場合に運転を継続させる技術については記載されていない。
【0008】
本実施形態は、並列運転する複数の電力供給ユニットのうち少なくとも1台の電力供給ユニットの出力が停止しても運転を継続することができる駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る駆動装置は、同期電動機に電力を供給する複数の電力供給ユニットと、前記複数の電力供給ユニットの各出力と前記同期電動機との間にそれぞれ接続された複数の遮断部と、前記同期電動機の端子電圧を検出する電圧検出部と、前記端子電圧と前記同期電動機の回転速度との比を一定に制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記複数の電力供給ユニットのうちの少なくとも1つの電力供給ユニットの異常を検出したときに、前記複数の遮断部のすべてを遮断し、前記電圧検出部によって検出された、前記同期電動機のフリーラン時の端子電圧である第1電圧を入力し、前記複数の電力供給ユニットのうち正常に動作する電力供給ユニットが出力できる合計の出力電流値を有する第1電流よりも小さい電流値を有する第2電流に応じた回転速度を表す速度指令値を設定し、前記第1電圧が、前記速度指令値に対応する電圧と等しくなったときに、前記第2電流値を前記同期電動機に供給するように前記正常に動作する電力供給ユニットに対応する遮断部を投入する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態に係る駆動装置では、故障で停止した電力供給ユニット以外の正常に動作する電力供給ユニットの合計の出力電流容量値に応じた速度指令値を設定し、電圧検出部によって検出された回転速度に基づいて、設定された速度指令値に応じた出力電流を供給するので、電力供給ユニットの一部が停止した場合であっても、同期電動機の運転を停止することなく継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る駆動装置を例示するブロック図である。
図2】本実施形態の駆動装置の動作原理を説明するための同期電動機の負荷特性の例を示すグラフである。
図3】本実施形態の駆動装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】正常な電力供給ユニットの台数に応じて出力できる出力電流と、その出力電流に対応する同期電動機の速度指令値および端子電圧とを示すテーブルの一例である。
図5】第2の実施形態に係る駆動装置を例示するブロック図である。
図6】本実施形態の駆動装置の動作原理を説明するための同期電動機の負荷特性の例を示すグラフである。
図7】本実施形態の駆動装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る駆動装置を例示するブロック図である。
本実施形態に係る駆動装置10は、複数の電力供給ユニット21〜24と、複数の遮断部31〜34と、電圧検出部40と、制御部50と、を備える。駆動装置10は、入力電源装置2と、同期電動機4との間に接続される。入力電源装置2は、直流電圧を出力する直流電源装置である。入力電源装置2は、たとえば高圧母線から変圧器によって降圧された交流電圧を整流し、整流された電圧を平滑して直流電圧に変換して出力する整流装置である。同期電動機4は、大型の同期電動機であり、たとえば、ボイラー等に用いられるファンやブロワを駆動し、あるいは給水ポンプや大型のコンプレッサを駆動する。同期電動機4は、ブラシあり、ブラシレスであることを問わない。駆動装置10は、入力電源装置2から直流電力を受電し、同期電動機4に交流電力を供給して、同期電動機の速度制御を行う。
【0014】
複数の電力供給ユニット21〜24は、同じ出力電流容量を有しており、並列接続されて大電流出力が可能なインバータ部20を構成する。電力供給ユニット21〜24は、それぞれ入力電源装置2から受電した直流電力を、同期電動機4に供給する交流電力に変換する。
【0015】
複数の遮断部31〜34は、複数の電力供給ユニット21〜24のそれぞれの出力と、同期電動機4との間に接続されている。遮断部31〜34は、たとえば交流リレーやコンタクタ等であり、複数の電力供給ユニット21〜24のそれぞれの出力と、同期電動機4との間の回路の接続、遮断を行う。複数の遮断部31〜34は、後述するように、インバータ部20の電力供給ユニット21〜24のうちのいずれかが故障し、出力を停止した場合に、すべてが遮断され、同期電動機4への電力供給を停止させる。また、動作可能な電力供給ユニットに接続された遮断部は、動作可能な電力供給ユニットの出力と同期電動機4とを接続する。
【0016】
電圧検出部40は、すべての遮断部31〜34の出力が接続されたノード42に接続され、同期電動機4の端子に発生している電圧を検出する。電圧検出部40は、たとえば変圧器を含んでおり、検出したノード42における端子電圧Voutを降圧してその端子電圧Voutに対応する電圧値を制御部50に入力する。
【0017】
制御部50は、あらかじめ設定された速度指令値fを各電力供給ユニット21〜24に送る。電力供給ユニット21〜24は、同期電動機の端子電圧Voutと速度指令値fとの比(Vout/f)が一定であることから、速度指令値fに対応する電圧値となるように出力を制御する。ここで、同期電動機4に接続されるブロワ等の負荷について負荷特性があらかじめ与えられており、その負荷特性にしたがって、速度指令値fは、あらかじめ設定されている。たとえば、負荷特性に応じた速度指令値は、制御部50と相互に接続された記憶部52にあらかじめ格納される。なお、記憶部52に格納された速度指令値のデータは、同期電動機4に接続される負荷に応じて、たとえばネットワークを介して接続されたコンピュータ端末等(図示せず)によってデータの設定や書き換えを行うようにしてもよい。
【0018】
制御部50は、各電力供給ユニット21〜24の出力電圧値Va〜Vdを監視している。制御部50は、各電力供給ユニット21〜24の出力に接続されている遮断部31〜34の開閉を制御する制御信号Sa〜Sdを、各遮断部31〜34に対して送信する。たとえば、各制御信号Sa〜Sdは、ローレベルの出力であるときには、遮断部31〜34は、出力電流を遮断する。各制御信号Sa〜Sdがハイレベルの出力であるときには、遮断部31〜34は、出力電流を流すように動作する。制御部50は、各電力供給ユニット21〜24の出力電圧Va〜Vdを監視することによって、電力供給ユニット21〜24の異常を検出する。電力供給ユニット21〜24の異常は、たとえば、出力電圧Va〜Vdが所定の定格電圧よりも低下した電圧値を示した場合である。出力電圧Va〜Vdが所定の定格電圧よりも高い値となった場合に異常と判定するようにしてもよい。また、電圧値による異常の判断に限らず、たとえば回転速度制御不能等その他の異常を検出するようにしてもよい。この例では、各電力供給ユニット21〜24の出力電圧を検出する電圧検出回路には、変圧器を含んでおり、制御部50には、変圧器で降圧された各出力電圧Va’〜Vd’が入力される。
【0019】
制御部50は、たとえばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等である。制御部50は、記憶部52に格納されたプログラムを展開し、記憶部52に格納された速度指令値等のデータをプログラムにしたがって逐次読み込んで処理する。記憶部52は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリであってもよく、磁気記憶素子を用いた記憶装置であってもよい。制御部50は、このようなCPU等を含む、たとえばプログラマブルロジックコントローラのコントローラであり、入出力装置を介して電力供給ユニット21〜24に速度指令値を送信し、各々の状態を監視し、各遮断部31〜34の動作を制御する。
【0020】
次に、本実施形態の駆動装置10の動作原理について説明する。
図2は、本実施形態の駆動装置の動作原理を説明するための同期電動機の負荷特性の例を示すグラフである。図2のグラフは、同期電動機4の回転速度fを横軸にとり、縦軸にインバータ部20の出力電流Ioutをプロットしたものである。
図2に示すように、負荷特性のグラフは、同期電動機に負荷を接続し、その場合の出力電流Ioutが同期電動機4の回転速度の2乗低減特性を示す場合を表している。2乗低減特性の負荷では、同期電動機4には、同期電動機4の回転速度fの2乗に比例した出力電流Ioutが流れる。なお、2乗低減特性を示す負荷としては、一般的に、ブロワ、ファン、ポンプあるいはコンプレッサ等がある。
【0021】
図2のI0(第1電流)は、図1の電力供給ユニット21〜24がすべて正常に動作している場合のインバータ部20の出力電流Ioutである。出力電流Ioutは、同期電動機4の固定子の電機子巻線に流れる電機子電流の実効値に等しい。図2では、出力電流Iout=I0であるa点において、同期電動機4は、回転速度f0で回転していることを示している。なお、V/F制御では、同期電動機の回転速度fと、そのときの端子電圧Vとの比が一定であるため、回転速度f0のときの端子電圧をV0とすると、V0/f0=一定である。
【0022】
出力電流I1は、電力供給ユニット21〜24のうちのいずれか1台が故障し出力を停止した場合に、残りの3台の電力供給ユニットが出力し得る最大の出力電流を表している。出力電流I2は、電力供給ユニット21〜24のうちのいずれか2台の出力が停止し、残りの2台の電力供給ユニットが出力し得る出力電流を表している。出力電流I3は、電力供給ユニット21〜24のうちの3台の出力が停止し、残りの1台の電力供給ユニットが出力し得る出力電流を表している。図1の駆動装置10の場合には、電力供給ユニット21〜24は、同一の出力容量を有するものとしているので、I1−I2=I2−I3=I3=ΔI=一定である。なお、a点の出力電流I0については、動作時の出力電流を表しており、I0−I1<ΔIである。たとえば、Imaxを各電力供給ユニット21〜24の定格出力電流とすると、正常動作時の出力電流は、I0≦4×Imaxである。なお、上述のImaxに対して、ディレーティングのための係数を乗じて出力電流容量を設定するようにしてもよい。
【0023】
上述したように、同期電動機4の回転速度fとインバータ部20出力電流Ioutとの関係は、あらかじめ与えられ、図2のような2乗低減特性によって一意的に表される。したがって、電力供給ユニット21〜24のうち動作し得る電力供給ユニットの出力電流I1〜I3をあらかじめ定めておくことによって、回転速度f1〜f3を一意的に決定することができる。言い換えれば、同期電動機4の負荷特性が所与であれば、出力可能な出力電流I1〜I3に対応した回転速度を新たな速度指令値f1〜f3とすることができる。電力供給ユニット21〜24のうちのいずれか1台以上について異常を検出した場合に、一旦インバータ部20と同期電動機4との電流経路が切断される。電流供給が絶たれた同期電動機4は、フリーランし、フリーランによって発生する端子電圧(第1電圧)を電圧検出部40を用いて検出することによって、フリーラン時の回転速度を検出することができる。したがって、フリーランによって、同期電動機4の回転速度が低下し、たとえばb点に到達したときに、動作可能な電力供給ユニットからの出力電流I1(第2電流)を供給するように、対応する遮断部を閉じることによって、同期電動機4は、回転速度f1で動作を継続することができる。2台の電力供給ユニットに異常が生じた場合には、c点に到達したときに正常な残りの2台の電力供給ユニットからの出力電流を供給するように、対応する遮断部を閉じることによって、回転速度f2で動作を継続することができる。正常な電力供給ユニットが1台の場合についても同様に、d点に到達したことを検出して、正常な電力供給ユニットから電流供給することによって、回転速度f3で動作を継続することができる。
【0024】
本実施形態の駆動装置10の動作について説明する。
図3は、本実施形態の駆動装置10の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
図4は、正常な電力供給ユニットの台数に応じて出力できる出力電流と、その出力電流に対応する同期電動機の速度指令値および端子電圧とを示すテーブルの一例である。
図3に示すように、本実施形態の駆動装置10は、ステップST1において、複数の電力供給ユニット21〜24のうち、少なくともいずれか1台に故障等が発生し、出力電圧の低下が発生しているか否かを制御部50によって検出する。
【0025】
ステップST1において1台の電力供給ユニット、たとえば電力供給ユニット21に異常があり、出力電圧Vaの低下が検出された場合には、ステップST2において、制御部50によって、すべての遮断部31〜34に対して、同期電動機4との接続を断とする信号Sa〜Sdを送信する。遮断部31〜34は、信号Sa〜Sdによって電流が遮断される。
【0026】
ステップST2において、すべての遮断部31〜34が切断されると、同期電動機4への電力供給が遮断されるので、同期電動機4は、フリーランし次第に減速する。フリーランしている同期電動機4の回転速度を検出するために、ステップST3において、電圧検出部40によって、ノード42の端子電圧Voutを検出し、検出された端子電圧Voutを制御部50に入力する。
【0027】
ステップST4において、制御部50によって、異常が発生した電力供給ユニット21および正常な電力供給ユニット22〜24の状態が記憶される。制御部50は、記憶部52と接続されており、各電力供給ユニット21〜24の異常の有無を記憶部52に記憶させる。また、記憶部52には、動作可能な電力供給ユニットの台数が設定される。
【0028】
ステップST5において、ステップST4で設定された正常に動作可能な電力供給ユニットの台数に基づいて、制御部50によって、出力可能な出力電流値が設定される。また、制御部50は、設定された出力電流値に応じた新たな速度指令値が設定される。より具体的には、制御部50では、たとえば、切り離す電力供給ユニットは、電力供給ユニット21であり、したがって、正常な電力供給ユニット22〜24が出力可能な出力電流値は、出力電流I1(図2)である。出力電流は、I1=3×Imaxとして出力電流値が設定されている。ここで、Imaxは、電力供給ユニット1台の定格出力電流である。図2において説明したように、2乗低減特性を有する負荷の場合には、I1に対応する回転速度f1を一意的に設定することができる。
【0029】
負荷特性は、所与のものとして事前に与えられる。そこで、出力電流I1〜I3、これらにそれぞれ対応する速度指令値f1〜f3および端子電圧V1〜V3を含むテーブルを記憶部52にあらかじめ格納しておき、制御部50によって適宜このテーブルからデータを読み出すようにしてもよい。図4に示すように、テーブル54は、出力電流欄54aと速度指令値欄54bと端子電圧欄54cとを含む。出力電流欄54aには、電力供給ユニット21〜24のうち正常に動作可能な台数に応じた出力電流値I1〜I3が入力されている。速度指令値欄54bには、出力電流値I1〜I3にそれぞれ対応する速度指令値f1〜f3が入力されている。端子電圧欄54cには、速度指令値のそれぞれに対応する端子電圧値V1〜V3が入力されている。出力電流値I1〜I3については、任意に設定することができる。また、速度指令値f1〜f3については、同期電動機4の負荷に応じて設定される2乗低減特性に対応するように設定される。
【0030】
ステップST6において、制御部50によって、電圧検出部40で検出している端子電圧VoutがステップST5において設定された端子電圧値V1に等しいか否かを検出する。ステップST7において、制御部50によって、Vout=V1となった場合に、ステップST4で記憶した正常動作する電力供給ユニットに対応する遮断部32〜34を投入して同期電動機4に出力電流I1を供給する。
【0031】
このように、遮断部31〜34のすべてを一旦切断することによって、同期電動機4をフリーラン動作させ、正常に動作する電力供給ユニットに対応する遮断部を接続することによって、速度制御された同期電動機4の運転を継続させることができる。新たな速度指令値として、正常に動作する電力供給ユニットの台数に応じた出力電流値を設定し、事前に与えられた負荷特性にしたがって新たな速度指令値を設定するので、同期電動機4の速度制御動作を円滑に継続させることができる。
【0032】
上述では、複数の電力供給ユニットのそれぞれが同じ出力電流を出力するものとして説明をしたが、インバータ部20を構成する電力供給ユニットの出力電流については、それぞれ異なる電流を出力するものとして任意に設定することができる。たとえば、図4を用いて説明したように、インバータ部20が出力できる出力電流値に応じて速度指令値を設定することができる。また、制御部50は、故障等により切り離すべき電力供給ユニットおよび再接続して出力電流を供給する正常な電力供給ユニットを識別することができる。そのため、電力供給ユニットのすべての組み合わせに対する出力電流と、その出力電流に応じた速度指令値をテーブルに入力することによって、より柔軟に出力電流値の設定を行うことができる。
【0033】
なお、図3のフローチャートに示した手順は一例であって、このフローチャートに示された手順に限定されることはない。たとえば、ステップST3において、フリーラン時のVoutを検出する前に、電力供給ユニット21〜24の異常の有無を記憶し(ステップST4)、テーブル54から新たな速度指令値f1を設定(ステップST5)してもよい。あるいは、ステップST2において、遮断部31〜34を遮断と同時またはその前に電力供給ユニット21〜24の異常の有無を記憶するようにしてもよい。
【0034】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の駆動装置10では、インバータ部20に含まれる電力供給ユニット21〜24の台数に応じて、出力可能な出力電流と、その出力電流に応じて、あらかじめ設定された負荷特性によって速度指令値を設定するものとした。以下説明する第2の実施形態に係る駆動装置10aでは、インバータ部20の出力電流を検出する電流検出部を追加することによって、任意の負荷特性に適応させることができる。
【0035】
図5は、第2の実施形態に係る駆動装置を例示するブロック図である。
図5に示すように、本実施形態の駆動装置10aは、各遮断部31〜34の出力がすべて接続されたノード42と、同期電動機4との間に直列に電流検出部60が接続されている。電流検出部60は、周知の電流検出手段、たとえば、計器用変流器やホール素子等を用いて構成される。電流検出部60の出力は、第1の実施形態の駆動装置10に含まれる制御部50とは相違する制御部50aに入力されている。他の構成については、第1の実施形態の駆動装置10と同じであり、同一の構成要素については同一の符号を用いて詳細な説明を適宜省略する。
【0036】
本実施形態の駆動装置10aの動作原理について説明する。
図6は、本実施形態の駆動装置10aの動作原理を説明するための同期電動機の負荷特性の例を示すグラフである。
本実施形態の駆動装置10aでは、負荷特性の種類が所与の場合に、任意の負荷特性に対応した速度設定を行うことができる。たとえば、負荷特性が2乗低減特性の場合には、すべての電力供給ユニット21〜24が正常に動作している場合に、流れている出力電流は、電流検出部60で測定することができる。また、端子電圧値から電動機の回転速度も検出される。その電流値および回転速度から、出力電流Ioutを低減させたときの任意の電流値における電動機の速度を計算によって推定することができる。
【0037】
図6に示すように、CaseAの負荷トルク特性を有する負荷が接続された場合には、a0点では、電力供給ユニット21〜24すべてが正常に動作している。a0点における出力電流Ia0(第1電流)および回転速度f0は、それぞれ電流検出部60および電圧検出部40によって取得される。たとえば、電力供給ユニット21が故障し出力が停止した場合に、残りの電力供給ユニット22〜24によって出力できる出力電流値はI1(第2電流)である。ここで、出力電流値I1のときに電動機の回転速度はfa1であり、回転速度fa1は、負荷特性が2乗低減特性であることから、以下のように求めることができる。
【0038】
Ia0=β・f0(a0点)
I1 =β・fa1(a1点)
∴fa1=f0・(I1/Ia0)1/2 (1)
【0039】
電力供給ユニットの異常を検出してすべての遮断部31〜34を切断することによって、フリーランしている同期電動機4の端子電圧Voutを測定する。そして、回転速度fa1に対応する端子電圧値を電圧検出部40によって検出したときに、残りの電力供給ユニットの出力を供給することによって、駆動装置10aの動作を停止させずに、継続させることができる。
【0040】
同様に、異なる2乗低減特性CaseBの場合にも、フリーラン後の速度指令値fb1は以下のように求められる。
【0041】
Ib0=γ・f0(b0点)
I1 =γ・fb1(b1点)
∴fb1=f0・(I1/Ib0)1/2
【0042】
なお、正常な電力供給ユニットによって出力することができる出力電流I1〜I3については、第1の実施形態の駆動装置10の場合と同様に、あらかじめ電力供給ユニットの出力電流容量に基づいて設定されている。
【0043】
次に、本実施形態の駆動装置10aの動作について説明する。
図7は、本実施形態の駆動装置10aの動作を説明するためのフローチャートの一例である。以下では、図6のCaseAの負荷特性の場合を例として説明する。
図7に示すように、本実施形態の駆動装置10aは、ステップST11において、すべての電力供給ユニット21〜24が正常動作している場合に、電流検出部60によって、出力電流値Ia0を検出する(図6のa0点)。
【0044】
ステップST12において、複数の電力供給ユニット21〜24のうち、たとえば電力供給ユニット21に異常があり、出力電圧Vaの低下が検出された場合には、ステップST13において、制御部50aによって、すべての遮断部31〜34に対して、同期電動機4との接続を断とする信号を送信する。遮断部31〜34は、接続信号によって電流が切断される。
【0045】
ステップST13において、すべての遮断部31〜34が切断されると、同期電動機4への電力供給が遮断されるので、同期電動機4は、フリーランして減速する。フリーランしている同期電動機4の回転速度を検出するために、ステップST14において、電圧検出部40によって、ノード42の端子電圧Voutを検出する。
【0046】
ステップST15において、制御部50aによって、異常が発生した電力供給ユニット21および正常な電力供給ユニット22〜24の状態が記憶される。たとえば、制御部50aは、記憶部52と接続され、各電力供給ユニット21〜24の状態を記憶部52に記憶させる。
【0047】
ステップST16において、制御部50aによって、正常に動作する電力供給ユニットが出力する出力電流値に応じた新たな速度指令値が設定される。たとえば、電力供給ユニット21が切り離され、正常な電力供給ユニット22〜24が出力可能な出力電流値は、出力電流I1(図6)である。出力電流は、I1=3×Imaxとして出力電流値が設定される。
【0048】
新たな速度指令値fa1を求めるために、式(1)が用いられる。式(1)によって新たな速度指令値fa1が得られたら、制御部50aは新たな速度指令値としてfa1を設定して、正常に動作する電力供給ユニット22〜24に送信する。
【0049】
ステップST17において、制御部50aによって、電圧検出部40で検出している出力電圧VoutがステップST16において設定された端子電圧値V1に等しいか否かを検出する。ステップST18において、制御部50によって、Vout=V1となった場合に、ステップST15で記憶された正常に動作する電力供給ユニット22〜24に対応する遮断部32〜34が投入され、同期電動機4に電力が供給される。
【0050】
上述した第1および第2の実施形態の駆動装置10,10aでは、同期電動機4の回転速度に対して、所与の負荷特性にしたがって出力電流が変化することを利用して、同期電動機のフリーラン後の新たな速度指令値を設定することができる。したがって、本実施形態の駆動装置10aでは、並列運転される電力供給ユニット21〜24のそれぞれの出力電流を監視することなく、異常を生じた電力供給ユニットを切り離して、正常に動作する電力供給ユニットによって、運転を円滑に継続することができる。また、本実施形態の駆動装置10aでは、すべての電力供給ユニット21〜24が正常に動作するときの出力電流および速度指令値に基づいて、負荷低減時の出力電流における速度指令値を計算により設定することができるので、負荷低減特性の異なる負荷を接続した場合であっても、円滑な運転を継続することができる。なお、これらの実施形態においては、同期電動機の回転速度に対して負荷電流が一意的に決定される負荷を駆動する場合に適用することができる。
【0051】
以上説明した実施形態によれば、並列運転している電力供給ユニットのいずれかが停止しても、同期電動機の速度制御動作を継続する駆動装置を実現することができる。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
2 入力電源装置、4 同期電動機、10,10a 駆動装置、20 インバータ部、21〜24 電力供給ユニット、31〜34 遮断部、 40 電圧検出部、42 ノード、50,50a 制御部、52 記憶部、54 テーブル、54a 出力電流欄、54b 速度指令値欄、54c 端子電圧欄、60 電流検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7