特開2016-220380(P2016-220380A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-220380(P2016-220380A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】接地短絡器具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20161125BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20161125BHJP
   H01R 4/24 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   H02G1/02
   H01R4/64 Z
   H01R4/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-102149(P2015-102149)
(22)【出願日】2015年5月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】倉増 辰也
(72)【発明者】
【氏名】小田 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 和志
【テーマコード(参考)】
5E012
5G352
【Fターム(参考)】
5E012AA13
5E012AA42
5E012AA43
5G352AE01
(57)【要約】
【課題】誤って通電された場合でも、短絡機能を確実に発揮することができる接地短絡器具を提供する。
【解決手段】被覆電線2を挟み込むことができるように対向配置される一対の挟持部3,4と、一対の挟持部3,4を相対的に接近又は離間させる機構部5とを備え、一対の挟持部のうちの少なくとも一方の挟持部4は、機構部5により一対の挟持部3,4を接近させて被覆電線2を挟み込む際に被覆電線2の絶縁被覆2Bに切り込んで芯線2Aに電気的に接続する導通部であって、接地線6に接続される導通部を備え、導通部は、被覆電線2に切り込むための切込刃4Aを備え、切込刃は、絶縁被覆2Bに切り込むための尖端刃部4b1と、芯線2Aに対して電気的に接続可能な側面であって、芯線2Aの外周円弧面に対して面接触するように構成された側面を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体である芯線を絶縁被覆で被覆した被覆電線を挟み込むことができるように対向配置される一対の挟持部と、該一対の挟持部を相対的に接近又は離間させる機構部とを備え、前記一対の挟持部のうちの少なくとも一方の挟持部は、前記機構部により前記一対の挟持部を接近させて前記被覆電線を挟み込む際に該被覆電線の絶縁被覆に切り込んで芯線に電気的に接続する導通部であって、接地線に接続される導通部を備え、
前記導通部は、前記被覆電線に切り込むための切込刃を備え、該切込刃は、前記絶縁被覆に切り込むための尖端刃部と、前記芯線に対して電気的に接続可能な側面であって、前記芯線の外周円弧面に対して面接触するように構成された側面とを備えていることを特徴とする接地短絡器具。
【請求項2】
前記切込刃は、前記尖端刃部同士が対向し、かつ、側面同士が内向きに対向するように一対設けられ、前記一対の切込刃は、前記尖端刃部同士が前記芯線の直径よりも小さい距離離間するよう対向配置され、しかも、前記切込刃は、前記両尖端刃部が前記芯線に当接した状態で更に切り込む際に、該尖端刃部同士が離間する方向へ撓むように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の接地短絡器具。
【請求項3】
前記尖端刃部の刃先の先端面は、前記芯線に当接した状態で更に切り込む際に、該尖端刃部同士が離間する方向へ撓むように誘導するよう傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の接地短絡器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気設備における停電作業の際、作業者の安全のために電路を短絡接地するための接地短絡器具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、架空配電線を電気工事するときに、停電させた作業区間が誤って通電されたとしても、作業者の安全が確保できる対策を行っている。具体的には、架空配電線に接地短絡器具を電気的に接続し、接地短絡器具に接続された接地線を介して、架空配電線を地中に埋設された接地導体アース又はアース側の接地端子に電気接続している。
【0003】
上記接地短絡器具としては、例えば、特許文献1に2つの形態のものが開示されている。第1の形態の接地短絡器具は、被覆電線の芯線に電気的に接続する電線接続部と、この電線接続部に一端が接続された接地線とを備えている。前記電線接続部は、電線の形状に対応した断面が半円形の第1電線受部及び第2電線受部を上下に備え、下側の第2電線受部に上方に突出する針電極を備えて構成されている。従って、第1電線受部と第2電線受部とで電線を挟持すると、第2電線受部の針電極が被覆電線の絶縁被覆に突き刺さって芯線に当接する。これによって、芯線に電線接続部が電気的に接続された状態になる。
【0004】
第2の形態の接地短絡器具は、被覆電線の芯線に電気的に接続する電線接続部と、この電線接続部に一端が接続された接地線とを備えている。前記電線接続部は、電線の形状に対応した断面が半円形の第1電線受部及び第2電線受部を上下に備え、それら第1電線受部及び第2電線受部のそれぞれには、半円状の刃が形成されている。従って、第1電線受部と第2電線受部とで電線を挟持すると、第1電線受部の刃と第2電線受部の刃が被覆電線の絶縁被覆に切り込んで両刃が芯線に当接する。これによって、芯線に電線接続部が電気的に接続された状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−290983号公報(図1及び図4(a),(b)参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記第1の形態の接地短絡器具は、第2電線受部の針電極が被覆電線の絶縁被覆に突き刺さって芯線に当接する、つまり、針電極の先端が芯線に点接触することによって、電線接続部が芯線に電気的に接続された状態になる。また、上記第2の形態の接地短絡器具は、第1電線受部の刃と第2電線受部の刃とが被覆電線の絶縁被覆に切り込んで両刃が電線の芯線に当接する、つまり、両刃が芯線に線接触することによって、芯線に電線接続部が電気的に接続された状態になる。
【0007】
上記のように、針電極が芯線に点接触する又は第1電線受部の刃と第2電線受部の刃とが芯線に線接触することによって、電線接続部が芯線に電気的に接続された状態になるため、芯線との接触面積を十分に取ることができない。このように芯線との接触面積が十分に取れないと、誤って通電された時の大電流によって、針電極又は刃の尖端部が溶融してしまい、接地短絡器具としての短絡機能を発揮することができず、改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、誤って通電された場合でも、短絡機能を確実に発揮することができる接地短絡器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る接地短絡器具は、導体である芯線を絶縁被覆で被覆した被覆電線を挟み込むことができるように対向配置される一対の挟持部と、該一対の挟持部を相対的に接近又は離間させる機構部とを備え、前記一対の挟持部のうちの少なくとも一方の挟持部は、前記機構部により前記一対の挟持部を接近させて前記被覆電線を挟み込む際に該被覆電線の絶縁被覆に切り込んで芯線に電気的に接続する導通部であって、接地線に接続される導通部を備え、前記導通部は、前記被覆電線に切り込むための切込刃を備え、該切込刃は、前記絶縁被覆に切り込むための尖端刃部と、前記芯線に対して電気的に接続可能な側面であって、前記芯線の外周円弧面に対して面接触するように構成された側面とを備えていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、切込刃が、絶縁被覆に切り込むための尖端刃部と、芯線の外周円弧面に対して面接触するように構成された側面とを備えることによって、尖端刃部で絶縁被覆に切り込んで側面で芯線に面接触するから、芯線と切込刃との接触面積を十分に確保することができる。従って、誤って通電された場合の大電流によって、切込刃が溶融されることがない。よって、誤って通電された場合の大電流を切込刃から接地線を介して地中側へ確実に流すことができる。
【0011】
また、本発明に係る接地短絡器具は、前記切込刃は、前記尖端刃部同士が対向し、かつ、側面同士が内向きに対向するように一対設けられ、前記一対の切込刃は、前記尖端刃部同士が前記芯線の直径よりも小さい距離離間するよう対向配置され、しかも、前記切込刃は、前記両尖端刃部が前記芯線に当接した状態で更に切り込む際に、該尖端刃部同士が離間する方向へ撓むように構成されていてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、被覆電線を尖端刃部で切り込んでいくと、尖端刃部が芯線に当接する。更に切り込むと、切込刃は、尖端部が離間する方向へ撓みながら切り込んでいき、側面で面接触する。即ち、尖端刃部が、芯線と絶縁被覆との境目に沿って切り込んでいき、側面芯線に面接触する。従って、芯線を傷付けることがなく、しかも芯線に確実に接触できる。
【0013】
また、本発明に係る接地短絡器具は、前記尖端刃部の刃先の先端面は、前記芯線に当接した状態で更に切り込む際に、該尖端刃部同士が離間する方向へ撓むように誘導するよう傾斜していてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、芯線に当接した状態で更に切り込む際に、尖端刃部の刃先の先端面が誘導面となって、尖端刃部を芯線に沿わせ易くなり、芯線を傷付けることがなく、しかも芯線に確実に接触できる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、切込刃が、絶縁被覆に切り込むための尖端刃部と、芯線の外周円弧面に対して面接触するように構成された側面とを備えることによって、短絡機能を確実に発揮することができる接地短絡器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る接地短絡器具の正面図であり、被覆電線の絶縁被覆に切り込む直前の状態を示している。
図2】同接地短絡器具の正面図であり、被覆電線の絶縁被覆に切り込んで芯線に一対の切込刃が接触して導通した状態を示している。
図3】同接地短絡器具の要部を示す一部断面にした側面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る接地短絡器具の正面図であり、被覆電線の絶縁被覆に切り込む直前の状態を示している。
図5】本発明の第3実施形態に係る接地短絡器具の正面図であり、被覆電線の絶縁被覆に切り込む直前の状態を示している。
図6】(a),(b)は他の実施形態に係る接地短絡器具の要部を示す正面図である。
図7】他の実施形態に係る接地短絡器具の要部を示す正面図であり、(a)は被覆電線の絶縁被覆に切り込む直前の状態を示し、(b)は被覆電線の絶縁被覆に切り込んで芯線に一対の切込刃が接触して導通した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る接地短絡器具を図面に基づいて説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1図3に示すように、接地短絡器具1は、被覆電線2を上下方向で挟み込むことができるように上下方向で対向配置される一対の挟持部3,4と、一対の挟持部3,4を相対的に接近又は離間させる機構部5とを備えている。
【0019】
被覆電線2は、電気を通す導体(例えば各種の金属材料)からなる外形が円形の芯線2Aと、芯線2Aを覆い被せて被覆する絶縁体(例えば各種の合成樹脂材料)からなる外形が円形の絶縁被覆2Bとを備えている。
【0020】
一方の挟持部である上側の挟持部3は、導電性を有する材料(例えば各種の金属材料)で構成され、略中央部に螺子孔3Nが形成された下板部3Aと、下板部3Aの幅方向一端から上方に延びる縦板部3Bと、縦板部3Bの上端から正面視で上方に突出して被覆電線2の上端部を受け止める山形状の上板部3Cと、上板部3Cの幅方向他端から下方に垂下して被覆電線2が上板部3Cの幅方向他端側へ移動して上板部3Cから横側へ外れることを阻止するための外れ防止板部3Dとを備えている。
【0021】
縦板部3Bの下端部の外面(図1では右側面)には、接地線6の一端がビス7により固定されている。この接地線6の他端が、後述する一本の共通の接地線を介して地中に埋設された接地導体アース(図示せず)又はアース側の接地端子(図示せず)に電気接続される。
【0022】
前記他方の挟持部である下側の挟持部4は、前記機構部5により上側の挟持部3に接近することによって、被覆電線2の絶縁被覆2Bに切り込んで芯線2Aに電気的に接続する導通部を構成している。また、下側の挟持部4は、前記接地線6に接続される導通部を構成している。従って、下側の挟持部4は、芯線2Aと接地線6とを上側の挟持部3を介して接続する導通部を構成している。
【0023】
導通部4は、被覆電線2の絶縁被覆2Bに切り込むための一対の切込刃4A,4Aを備えている。
【0024】
一対の切込刃4A,4Aは、複数(図1では2個であるが、3個以上任意の個数又は1個でもよい)の発光ダイオード8A,8Aを備える検出部8を挟んで幅方向両側に配置されている。検出部8には、図示していない電池と、切込刃4A,4Aが芯線2Aに接触することによって、発光ダイオード8A,8A及び電池とが閉回路を形成するよう構成された電気回路とを備えている。
【0025】
また、一対の切込刃4A,4Aは、後述する螺子軸12の上端に蝶ボルト9によって取り外し可能に固定される土台部10の上端に固定された固定部4aと、固定部4aから上方へ延びる一対の刃部4b,4bとを備えている。土台部10は、図1及び図3に示すように、被覆電線2が延びる方向に長い直方体に構成され、土台部10の中心部に下端から上方に向かって凹部10Aが形成されている。この凹部10Aに後述する螺子軸12の上端部が挿入され、蝶ボルト9によって固定される。後述する螺子軸12の上端部には、環状の溝12Mが形成されており、この溝12Mに蝶ボルト9の螺子部9Aの先端が入り込んでいる。このように構成することによって、螺子軸12が回転しても、土台部10は一緒に回転(共回り)しないように構成されている。一対の刃部4b,4bは、被覆電線2の絶縁被覆2Bに切り込むための尖端刃部4b1,4b1と、尖端刃部4b1,4b1の下端と固定部4aの上端とを連結するための直線状の連結部4b2,4b2とを備えている。尖端刃部4b1,4b1における内向きに対向する側面4d,4dは、芯線2Aに対して電気的に接続可能な側面に構成され、芯線2Aの外周円弧面に対して面接触するように構成されている。また、尖端刃部4b1,4b1同士が芯線2Aの直径よりも小さい距離離間するよう対向配置されている。
【0026】
また、切込刃4A,4Aは、両尖端刃部4b1,4b1が芯線2Aに当接した状態で更に切り込む際に、尖端刃部4b1,4b1が離間する方向へ撓むように、つまり芯線2Aにより尖端刃部4b1,4b1が押し広げられるように可撓性を有している。
【0027】
さらにまた、尖端刃部4b1,4b1の刃先の先端面4T,4Tは、芯線2Aに当接した状態で更に切り込む際に、尖端刃部4b1,4b1が離間する方向へ撓むように尖端刃部4b1,4b1を誘導する傾斜面に構成されている。つまり、尖端刃部4b1,4b1の刃先の先端面4T,4Tが、被覆電線2の外周円弧面に当たる点における接線方向に沿う傾斜面に形成されている。換言すれば、図1において、尖端刃部4b1,4b1の刃先の先端面4T,4Tが、後述する螺子軸12の軸中心に対して外側ほど上方に位置する傾斜面に形成されている。
【0028】
機構部5は、図示していない汎用の間接活線工具の上端が連結される連結部11と、連結部11の上端に下端が固定され、かつ、上端に導通部4が取り付け固定される螺子軸12と、螺子軸12が螺合する前記下板部3Aに形成された螺子孔3Nとを備えている。従って、被覆電線2に上側の挟持部3を位置決め固定した状態において、連結部11に連結されている間接活線工具を一方側へ回転操作することによって、図1に示す待機位置の切込刃4A,4Aを図2に示す被覆電線2の芯線2Aに接触する導通位置へ移動させることができる。また、間接活線工具を前記とは反対側となる他方側へ回転操作することによって、図2に示す導通位置の切込刃4A,4Aを図1に示す待機位置へ移動させることができる。
【0029】
検出部8は、両切込刃4A,4Aの側面4d,4dが被覆電線2の芯線2Aに面接触することによって、2個の発光ダイオード8A,8Aを消灯状態(図1参照)から点灯状態(図2参照)へ切り替えるように構成されている。
【0030】
次に、架空配電線を電気工事する際に、停電した後、接地短絡器具1で架空配電線を短絡する手順について説明する。尚、架空配電線は3本存在し、それら3本全ての架空配電線にそれぞれ接地短絡器具1を接続することになるが、同様の作業手順となるため、一本の架空配電線を短絡する場合のみを説明する。接地短絡器具1で架空配電線を短絡するには、接地短絡器具1と架空配電線とを接続する第1作業と、接地短絡器具1と地中に埋設された接地導体アース又はアース側の接地端子とを電気接続する第2作業を行うことになる。この場合、第2作業を行った(アース処理した)後、第1作業を行う方が好ましい。このように作業する方が、もし万一第1作業中に誤って通電された場合でも、アース線を通して電流を地中へ逃がすことができ、好ましい。尚、3つの接地短絡器具1からの接地線6は一本の共通の接地線(図示せず)に接続されており、その共通の接地線を、地中に埋設された接地導体アース又はアース側の接地端子に接続することになる。以下、第1作業についてのみ説明する。
【0031】
まず、作業者は、図1に示すように、架空配電線を構成する一本の被覆電線2に上側の挟持部3を引っ掛けて位置決め固定する。尚、図1に示すように下側の挟持部4が待機位置に位置していない場合には、被覆電線2を上側の挟持部3と下側の挟持部4との間の水平方向一方側に形成される隙間(図1の右側)を通して上側の挟持部3の下方に位置させることができない。そのため、間接活線工具を回転操作して下側の挟持部4を待機位置に位置させることになる。
【0032】
被覆電線2に上側の挟持部3を位置決め固定した状態において、間接活線工具を回転操作することによって、螺子軸12が回転して固定状態の下板部3Aに対して螺子軸12が上方へ移動する。これによって、図1の待機位置の下側の挟持部4が上方に位置している被覆電線2に向けて移動する。この移動により、図1において2点鎖線で上下方向3箇所に記載されているように、尖端刃部4b1,4b1の刃先の先端面4T,4Tが被覆電線2の真下に移動した後、絶縁被覆2Bに切り込んでいき、芯線2Aの外周円弧面に接触して案内されながら移動する。このとき、尖端刃部4b1,4b1の刃先の先端面4T,4Tが尖端刃部4b1,4b1を離間する方向へ撓むように誘導するよう傾斜しているので、尖端刃部4b1,4b1の刃先の先端面4T,4Tが誘導面となって、切込刃4A,4Aを芯線2Aに沿わせ易くなり、芯線2Aを傷付けることがなく、しかも芯線2Aに確実に接触できる。
【0033】
両方の切込刃4A,4Aの尖端刃部4b1,4b1が芯線2Aに当接した時点で2個の発光ダイオード8A,8Aが点灯するとともに、尖端刃部4b1,4b1の刃先が芯線2Aの外周円弧面に面接触した時点で第1作業が終了する。このように2個の発光ダイオード8A,8Aが点灯することによって、両方の尖端刃部4b1,4b1が芯線2Aに当接していることを確実に確認することができ、安全面において有利になる。
【0034】
架空配電線の電気工事が終了すると、間接活線工具を前記回転方向とは反対方向に回転操作することによって、図1の実線で示す導通位置の切込刃4A,4Aを待機位置に位置させてから、3つの接地短絡器具1に接続されている共通の接地線と地中に埋設された接地導体アース又はアース側の接地端子との接続を解除する。また、絶縁被覆2Bが切り込まれている部分をテープ等により補修することになる。
【0035】
<第2実施形態>
図4に、接地短絡器具1の第2実施形態を示している。図1と異なる点は、上側の挟持部3が、上下方向において2つの部材30,31と、これら上側の第1部材30と下側の第2部材31とを連結するためのヒンジ部材32とから構成されている点である。このように構成されている接地短絡器具1の使用方法について説明すれば、図4の2点鎖線で示すように、第2部材31に対して第1部材30を90度回転させた倒伏姿勢(横姿勢)に切り替えてから、下側の挟持部4が被覆電線2の直下方に位置するように、接地短絡器具1を移動させる(図4参照)。この状態において第1部材30を前記とは反対方向に90度回転させて第1部材30を立ち姿勢(縦姿勢)に切り替えることによって、第1部材30を被覆電線2の上端に当接させて上側の挟持部3を位置決め固定する。尚、図示していない解除可能な固定手段で第1部材30を第2部材31に固定することになる。この状態から、前述したように、間接活線工具を回転操作することによって、待機位置の下側の挟持部4を上方に位置している被覆電線2に接近させることによって、切込刃4A,4Aの刃先が絶縁被覆2Bに切り込んで芯線2Aに面接触する。このように構成することによって、上側の挟持部3及び螺子軸12の上下方向の長さを図1に比べて短くすることができ、接地短絡器具1の小型化を図ることができる。説明していない他の構成は、図1と同様であり、同一の符号を付すとともに、説明は省略する。
【0036】
<第3実施形態>
図5に、接地短絡器具1の第3実施形態を示している。図1と異なる点は、上側の挟持部3が、上下方向において2つの部材33,34から構成されている。また、下側の第2部材34には、上側の第1部材33の下端に下方に延びる延出部33Aが出入りするための凹部34Aが形成され、上側の第1部材33が下側の第2部材34に対して上下方向にスライド自在に構成されている。このように構成されている接地短絡器具1の使用方法について説明すれば、図4の2点鎖線で示すように、第2部材34に対して第1部材33を上方へスライドさせた上方位置に切り替えてから、下側の挟持部4が被覆電線2の直下方に位置するように、接地短絡器具1を移動させる(図5参照)。この状態において第1部材33を下方へスライドさせて第1部材33を被覆電線2の上端部に当接させて上側の挟持部3を位置決め固定する。尚、図示していない解除可能な固定手段で第1部材33を第2部材34に固定することになる。この状態から、前述したように、間接活線工具を回転操作することによって、待機位置の下側の挟持部4を上方に位置している被覆電線2に接近させて、切込刃4A,4Aの刃先が芯線2Aの外周円弧面に面接触する。このように構成することによって、上側の挟持部3及び螺子軸12の上下方向の長さを図1に比べて短くすることができ、接地短絡器具1の小型化を図ることができる。説明していない他の構成は、図1と同様であり、同一の符号を付すとともに、説明は省略する。
【0037】
なお、本発明に係る接地短絡器具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更することができる。
【0038】
例えば、切込刃4A,4Aの形状を、図6(a),(b)又は図7(a),(b)に示すように構成してもよい。つまり、図6(a)では、上下方向略中央部で折れ曲がった横向きのV字状に構成された切込刃4A,4Aを示している。このように切込刃4A,4Aを直線状に形成した場合でも、芯線2Aの外周面に面接触させることが可能である。また、図6(b)では、上方側ほど外広がりになるとともに、内側面に芯線2Aの外周面に面接触する円弧面4H,4Hが形成されている切込刃4A,4Aが示されている。図6(b)では、切込刃4A,4Aの円弧面4H,4Hが芯線2Aの外周面に当接する直前の状態を示している。また、図7(a),(b)では、上方に向かって一直線上に延びるとともに、図6(b)よりも上下長さが短い切込刃4A,4Aが示されている。この切込刃4A,4Aの刃先の先端面4I,4Iは、芯線2Aの外周面に面接触する円弧面に形成されている。この切込刃4A,4Aは、芯線2Aの外周面に接触した時点で切込刃4A,4Aの刃先の先端面4I,4Iが芯線2Aの外周面に面接触する構成であるため、図1のように芯線2Aに沿って切込刃4A,4Aが移動しなくてもよい。このため、切込刃4A,4Aを、可撓性の無い材料から構成しても、切込刃4A,4Aにヒビや破損発生等のトラブルが発生しない、又はヒビや破損発生等のトラブルの発生が少ない。
【0039】
上記実施形態では、下側の挟持部4が上側の挟持部3に対して接近又は離間する構成であったが、上側の挟持部3が下側の挟持部4に対して接近又は離間する構成でもよいし、両者が接近又は離間する構成であってもよい。また、2つの挟持部3,4を水平方向で対向位置する状態で使用することもできる。
【0040】
また、上記実施形態では、切込刃4A,4Aの刃先の先端面4T,4Tを、被覆電線2の外周円弧面に当接するよう外側ほど上方に位置する傾斜面を有する形状にしたが、水平面を有する形状に構成する、又は外側ほど下方に位置する傾斜面を有する形状に構成することもできる。
【0041】
また、上記実施形態では、被覆電線2に切り込むための一対の切込刃4A,4Aを設けたが、1個の切込刃のみを設けて実施することもできる。
【符号の説明】
【0042】
1…接地短絡器具、2…被覆電線、2A…芯線、2B…絶縁被覆、3…上側の挟持部、4…下側の挟持部(導通部)、3A…下板部、3B…縦板部、3C…上板部、3D…防止板部、3N…螺子孔、4A…切込刃、4H…円弧面、4T…先端面、4a…固定部、4b…刃部、4b1…尖端刃部、4b2…連結部、4d…側面、5…機構部、6…接地線、7…ビス、8…検出部、8A…発光ダイオード、9…蝶ボルト、9A…螺子部、10…土台部、10A…凹部、11…連結部、12…螺子軸、12M…溝、30,31…部材、32…ヒンジ部材、33,34…部材、33A…延出部、34A…凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7