【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、細胞集塊を構成する細胞の構成要素を、少なくとも1つの蛍光または発光を生じさせる化学物質で標識する標識ステップと、該標識ステップにおいて標識された前記細胞からの蛍光または発光を検出することにより複数枚のスライス画像を前記細胞集塊の少なくとも一部に対して取得する撮影ステップと、前記撮影ステップにより取得された複数枚のスライス画像を画像処理して前記細胞集塊の少なくとも一部の3次元画像を構築する3次元画像構築ステップと、該3次元画像構築ステップにより構築された前記細胞集塊の前記3次元画像の各前記細胞の構成要素を隣接する前記細胞の構成要素と異なる色に配色する配色ステップと、該配色ステップにより配色された3次元画像を表示する表示ステップとを含む細胞解析方法を提供する。
【0007】
本態様によれば、標識ステップにおいて細胞の構成要素が化学物質で標識された細胞集塊の少なくとも一部に対して、撮影ステップにおいて蛍光または発光を検出することにより細胞の複数枚のスライス画像が取得され、取得されたスライス画像に基づいて3次元画像構築ステップにおいて、複数枚のスライス画像が画像処理されることにより3次元の画像が構築される。
【0008】
そして、配色ステップにおいて、3次元画像内の隣接する細胞の構成要素どうしが異なる色に配色され、配色された3次元画像が表示ステップによって表示される。
これにより、表示された3次元画像において隣接する細胞どうしが重なっていても、異なる色に配色されているために別々の細胞であることを容易に確認することができる。逆に、重なっている細胞が同一の色となっている場合には、3次元画像の構築において別々の細胞として認識されていないことを容易に確認することができる。誤って単一の細胞として認識されている場合にはこれを分離するよう操作してから解析を行うことにより、細胞集塊内の個々の細胞の特性を精度よく解析することができる。
【0009】
上記態様においては、前記配色ステップにより配色された前記3次元画像を所定方向に投影した2次元画像または前記3次元画像を所定の切断平面で切断した断面の2次元画像を構築する2次元画像構築ステップを含み、前記表示ステップが、該2次元画像構築ステップにより構築された前記2次元画像および前記配色ステップにおいて配色された前記3次元画像を並列して表示してもよい。
【0010】
このようにすることで、配色された3次元画像を所定方向に投影した2次元画像または3次元画像を所定の切断平面で切断した断面の2次元画像が2次元画像構築ステップにおいて構築される。そして、構築された2次元画像および3次元画像が表示ステップによって並列して表示される。
【0011】
並列表示された3次元画像および2次元画像の隣接する細胞が異なる色に配色されているので、隣接細胞が同一色となっているか否かによって個々の細胞が正しく認識されたか否かを容易に判断することができる。特に、2次元画像によれば、認識エラーを容易に確認することができる。
【0012】
また、上記態様においては、前記表示ステップが、前記3次元画像上に、投影方向または前記切断平面の位置を調節可能に表示してもよい。
このようにすることで、3次元画像上において投影方向または切断平面の位置を調節することにより、調節された投影方向または切断平面の位置に基づいて2次元画像が構築される。したがって、細胞集塊の3次元画像を異なる方向から見た2次元画像あるいは異なる切断平面で切断した断面の2次元画像を切り替えて確認することができる。
【0013】
また、上記態様においては、前記表示ステップが、前記3次元画像上のいずれかの前記細胞と、前記2次元画像上の対応する前記細胞とを対応させて表示可能であってもよい。
このようにすることで、3次元画像上で任意の細胞が特定されると、2次元画像上の対応する細胞が表示されることにより、3次元画像上の細胞を2次元画像上において容易に確認することができる。逆に、2次元画像上において任意の細胞を特定し、3次元画像上の対応する細胞を容易に確認することもできる。
【0014】
上記態様においては、前記標識ステップが、各前記細胞の複数種の前記構成要素を異なる化学物質で標識し、前記配色ステップが、各前記構成要素の種別毎に設定されたスペクトル領域内の色を各前記構成要素に配色してもよい。
このようにすることで、隣接細胞の配色を異ならせて構築された3次元画像および2次元画像においても、細胞内の複数の構成要素を識別することができる。
【0015】
また、上記態様においては、前記細胞の構成要素が細胞核であってもよい。
また、上記態様においては、前記細胞の構成要素が細胞膜であってもよい。
細胞膜から発せられる蛍光または発光を撮影したスライス画像に基づいて3次元画像を構築すると、細胞膜の内容積によって細胞の容積を容易に測定することができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記細胞の構成要素が、細胞核および細胞膜であってもよい。
このようにすることで、細胞膜の内容積によって抽出した細胞の容積から細胞核を除外することにより、細胞質の容積を容易に測定することができる。
【0017】
また、本発明の他の態様は、細胞集塊を構成する細胞の構成要素を、少なくとも1つの蛍光または発光を生じさせる化学物質で標識する標識ステップと、該標識ステップにおいて標識された前記細胞からの蛍光または発光を検出することにより複数枚のスライス画像を前記細胞集塊の少なくとも一部に対して取得する撮影ステップと、該撮影ステップにより取得された複数枚のスライス画像に基づいて前記細胞の特性を評価する評価ステップと、前記撮影ステップにより取得された複数枚のスライス画像を画像処理して前記細胞集塊の少なくとも一部の3次元画像を構築する3次元画像構築ステップと、前記評価ステップにおいて評価された前記細胞の特性の分布を示すグラフを生成する分布生成ステップと、前記3次元画像構築ステップにより構築された前記細胞集塊の前記3次元画像と前記分布生成ステップにより生成されたグラフとを並列して表示する表示ステップとを含み、該表示ステップが、前記3次元画像上のいずれかの前記細胞と、前記グラフ上の対応する前記細胞の特性とを対応させて表示可能である細胞解析方法を提供する。
【0018】
本態様によれば、標識ステップにおいて細胞の構成要素が化学物質で標識された細胞集塊の少なくとも一部に対して、撮影ステップにおいて細胞の複数枚のスライス画像が取得され、取得されたスライス画像に基づいて評価ステップにおいて細胞の特性が評価される。評価された細胞の特性の分布が、分布生成ステップにおいてグラフとして生成され、表示ステップにおいて3次元画像とグラフとが並列して表示される。
【0019】
そして、3次元画像上で任意の細胞が特定されると、グラフ上の対応する細胞の特性のデータが表示されることにより、3次元画像上の細胞の特性をグラフ上において容易に確認することができる。逆に、グラフ上において任意のデータを特定し、3次元画像上の対応する細胞を容易に確認することもできる。
【0020】
上記態様においては、前記表示ステップが、前記グラフ上において特性が近似する前記細胞のデータをグループ分けして選択可能に表示するとともに、選択されたグループ内に属する複数の前記細胞を前記3次元画像上において、他の前記細胞とは異なる表示方法で表示してもよい。
このようにすることで、グラフ上においてグループ分けされて表示された特性が近似する細胞のデータのいずれかのグループを選択すると、選択されたグループ内に属する複数の細胞が3次元画像上において他の細胞とは異なる表示方法で表示されるので、選択したグループに対応する細胞が正しく認識されているか否かを容易に確認することができる。
【0021】
また、上記態様においては、選択されたグループ内に属する複数の前記細胞の3次元画像を表示してもよい。
このようにすることで、グラフ上において選択されたグループ内に属する複数の細胞の3次元画像を表示することで、当該グループに属する各細胞が正しく認識されたか否かを容易に確認することができる。