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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-220613(P2016-220613A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】細胞解析方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20161205BHJP
   C12M 1/34 20060101ALN20161205BHJP
【FI】
   C12Q1/04
   C12M1/34 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-110117(P2015-110117)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(72)【発明者】
【氏名】高木 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】島田 佳弘
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029BB11
4B029CC01
4B029FA02
4B029GB06
4B063QA18
4B063QA20
4B063QQ08
4B063QR58
4B063QR66
4B063QR77
4B063QS07
4B063QS32
4B063QS39
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】より生体内に近い細胞集塊の状態で培養されている細胞の特性を精度よく解析する。
【解決手段】細胞集塊を構成する細胞の構成要素を、少なくとも1つの蛍光または発光を生じさせる化学物質で標識する標識ステップS1と、標識された細胞からの蛍光または発光を検出することにより複数枚のスライス画像を細胞集塊の少なくとも一部に対して取得する撮影ステップS2と、取得された複数枚のスライス画像を画像処理して細胞集塊の少なくとも一部の3次元画像を構築する3次元画像構築ステップS3と、構築された細胞集塊の3次元画像の各細胞の構成要素を隣接する細胞の構成要素と異なる色に配色する配色ステップS4と、配色された3次元画像を表示する表示ステップS6とを含む細胞解析方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞集塊を構成する細胞の構成要素を、少なくとも1つの蛍光または発光を生じさせる化学物質で標識する標識ステップと、
該標識ステップにおいて標識された前記細胞からの蛍光または発光を検出することにより複数枚のスライス画像を前記細胞集塊の少なくとも一部に対して取得する撮影ステップと、
前記撮影ステップにより取得された複数枚のスライス画像を画像処理して前記細胞集塊の少なくとも一部の3次元画像を構築する3次元画像構築ステップと、
該3次元画像構築ステップにより構築された前記細胞集塊の前記3次元画像の各前記細胞の構成要素を隣接する前記細胞の構成要素と異なる色に配色する配色ステップと、
該配色ステップにより配色された3次元画像を表示する表示ステップとを含む細胞解析方法。
【請求項2】
前記配色ステップにより配色された前記3次元画像を所定方向に投影した2次元画像または前記3次元画像を所定の切断平面で切断した断面の2次元画像を構築する2次元画像構築ステップを含み、
前記表示ステップが、該2次元画像構築ステップにより構築された前記2次元画像および前記配色ステップにおいて配色された前記3次元画像を並列して表示する請求項1に記載の細胞解析方法。
【請求項3】
前記表示ステップが、前記3次元画像上に、投影方向または前記切断平面の位置を調節可能に表示する請求項2に記載の細胞解析方法。
【請求項4】
前記表示ステップが、前記3次元画像上のいずれかの前記細胞と、前記2次元画像上の対応する前記細胞とを対応させて表示可能である請求項2または請求項3に記載の細胞解析方法。
【請求項5】
前記標識ステップが、各前記細胞の複数種の前記構成要素を異なる化学物質で標識し、
前記配色ステップが、各前記構成要素の種別毎に設定されたスペクトル領域内の色を各前記構成要素に配色する請求項1から請求項3のいずれかに記載の細胞解析方法。
【請求項6】
前記細胞の構成要素が細胞核である請求項1から請求項3のいずれかに記載の細胞解析方法。
【請求項7】
前記細胞の構成要素が細胞膜である請求項1から請求項3のいずれかに記載の細胞解析方法。
【請求項8】
前記細胞の構成要素が、細胞核および細胞膜である請求項4に記載の細胞解析方法。
【請求項9】
細胞集塊を構成する細胞の構成要素を、少なくとも1つの蛍光または発光を生じさせる化学物質で標識する標識ステップと、
該標識ステップにおいて標識された前記細胞からの蛍光または発光を検出することにより複数枚のスライス画像を前記細胞集塊の少なくとも一部に対して取得する撮影ステップと、
該撮影ステップにより取得された複数枚のスライス画像に基づいて前記細胞の特性を評価する評価ステップと、
前記撮影ステップにより取得された複数枚のスライス画像を画像処理して前記細胞集塊の少なくとも一部の3次元画像を構築する3次元画像構築ステップと、
前記評価ステップにおいて評価された前記細胞の特性の分布を示すグラフを生成する分布生成ステップと、
前記3次元画像構築ステップにより構築された前記細胞集塊の前記3次元画像と前記分布生成ステップにより生成されたグラフとを並列して表示する表示ステップとを含み、
該表示ステップが、前記3次元画像上のいずれかの前記細胞と、前記グラフ上の対応する前記細胞の特性とを対応させて表示可能である細胞解析方法。
【請求項10】
前記表示ステップが、前記グラフ上において特性が近似する前記細胞のデータをグループ分けして選択可能に表示するとともに、選択されたグループ内に属する複数の前記細胞を前記3次元画像上において、他の前記細胞とは異なる表示方法で表示する請求項9に記載の細胞解析方法。
【請求項11】
選択されたグループ内に属する複数の前記細胞の3次元画像を表示する請求項10に記載の細胞解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞解析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、より生体内に近い環境における医薬品の効用を調べるために、細胞を立体的に培養する3次元培養が行われている。このような3次元培養において、複数の細胞が立体的に集合した細胞集塊の培養状態を観察するために、細胞集塊を含む画像から細胞集塊の体積を推定する処理の精度を向上させるキャリブレーション方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−149235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、細胞集塊全体の解析を行うため、細胞集塊を構成する個々の細胞の解析については考慮されていない。細胞ベースの研究や薬剤スクリーニングでは、細胞集塊を構成する個々の細胞の反応を定量化する必要がある。特に、細胞集塊を構成している細胞の内、内側の細胞と外側の細胞とでは反応が異なるため、細胞集塊全体の解析では、個々の細胞の解析を行うことができないという問題がある。
そして、3次元的な構造を有する細胞集塊を構成する個々の細胞を解析する場合に、相互に重なっている細胞については正しく認識できているか否かを確認することが困難である。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、より生体内に近い細胞集塊の状態で培養されている細胞の特性を精度よく解析することができる細胞解析方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、細胞集塊を構成する細胞の構成要素を、少なくとも1つの蛍光または発光を生じさせる化学物質で標識する標識ステップと、該標識ステップにおいて標識された前記細胞からの蛍光または発光を検出することにより複数枚のスライス画像を前記細胞集塊の少なくとも一部に対して取得する撮影ステップと、前記撮影ステップにより取得された複数枚のスライス画像を画像処理して前記細胞集塊の少なくとも一部の3次元画像を構築する3次元画像構築ステップと、該3次元画像構築ステップにより構築された前記細胞集塊の前記3次元画像の各前記細胞の構成要素を隣接する前記細胞の構成要素と異なる色に配色する配色ステップと、該配色ステップにより配色された3次元画像を表示する表示ステップとを含む細胞解析方法を提供する。
【0007】
本態様によれば、標識ステップにおいて細胞の構成要素が化学物質で標識された細胞集塊の少なくとも一部に対して、撮影ステップにおいて蛍光または発光を検出することにより細胞の複数枚のスライス画像が取得され、取得されたスライス画像に基づいて3次元画像構築ステップにおいて、複数枚のスライス画像が画像処理されることにより3次元の画像が構築される。
【0008】
そして、配色ステップにおいて、3次元画像内の隣接する細胞の構成要素どうしが異なる色に配色され、配色された3次元画像が表示ステップによって表示される。
これにより、表示された3次元画像において隣接する細胞どうしが重なっていても、異なる色に配色されているために別々の細胞であることを容易に確認することができる。逆に、重なっている細胞が同一の色となっている場合には、3次元画像の構築において別々の細胞として認識されていないことを容易に確認することができる。誤って単一の細胞として認識されている場合にはこれを分離するよう操作してから解析を行うことにより、細胞集塊内の個々の細胞の特性を精度よく解析することができる。
【0009】
上記態様においては、前記配色ステップにより配色された前記3次元画像を所定方向に投影した2次元画像または前記3次元画像を所定の切断平面で切断した断面の2次元画像を構築する2次元画像構築ステップを含み、前記表示ステップが、該2次元画像構築ステップにより構築された前記2次元画像および前記配色ステップにおいて配色された前記3次元画像を並列して表示してもよい。
【0010】
このようにすることで、配色された3次元画像を所定方向に投影した2次元画像または3次元画像を所定の切断平面で切断した断面の2次元画像が2次元画像構築ステップにおいて構築される。そして、構築された2次元画像および3次元画像が表示ステップによって並列して表示される。
【0011】
並列表示された3次元画像および2次元画像の隣接する細胞が異なる色に配色されているので、隣接細胞が同一色となっているか否かによって個々の細胞が正しく認識されたか否かを容易に判断することができる。特に、2次元画像によれば、認識エラーを容易に確認することができる。
【0012】
また、上記態様においては、前記表示ステップが、前記3次元画像上に、投影方向または前記切断平面の位置を調節可能に表示してもよい。
このようにすることで、3次元画像上において投影方向または切断平面の位置を調節することにより、調節された投影方向または切断平面の位置に基づいて2次元画像が構築される。したがって、細胞集塊の3次元画像を異なる方向から見た2次元画像あるいは異なる切断平面で切断した断面の2次元画像を切り替えて確認することができる。
【0013】
また、上記態様においては、前記表示ステップが、前記3次元画像上のいずれかの前記細胞と、前記2次元画像上の対応する前記細胞とを対応させて表示可能であってもよい。
このようにすることで、3次元画像上で任意の細胞が特定されると、2次元画像上の対応する細胞が表示されることにより、3次元画像上の細胞を2次元画像上において容易に確認することができる。逆に、2次元画像上において任意の細胞を特定し、3次元画像上の対応する細胞を容易に確認することもできる。
【0014】
上記態様においては、前記標識ステップが、各前記細胞の複数種の前記構成要素を異なる化学物質で標識し、前記配色ステップが、各前記構成要素の種別毎に設定されたスペクトル領域内の色を各前記構成要素に配色してもよい。
このようにすることで、隣接細胞の配色を異ならせて構築された3次元画像および2次元画像においても、細胞内の複数の構成要素を識別することができる。
【0015】
また、上記態様においては、前記細胞の構成要素が細胞核であってもよい。
また、上記態様においては、前記細胞の構成要素が細胞膜であってもよい。
細胞膜から発せられる蛍光または発光を撮影したスライス画像に基づいて3次元画像を構築すると、細胞膜の内容積によって細胞の容積を容易に測定することができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記細胞の構成要素が、細胞核および細胞膜であってもよい。
このようにすることで、細胞膜の内容積によって抽出した細胞の容積から細胞核を除外することにより、細胞質の容積を容易に測定することができる。
【0017】
また、本発明の他の態様は、細胞集塊を構成する細胞の構成要素を、少なくとも1つの蛍光または発光を生じさせる化学物質で標識する標識ステップと、該標識ステップにおいて標識された前記細胞からの蛍光または発光を検出することにより複数枚のスライス画像を前記細胞集塊の少なくとも一部に対して取得する撮影ステップと、該撮影ステップにより取得された複数枚のスライス画像に基づいて前記細胞の特性を評価する評価ステップと、前記撮影ステップにより取得された複数枚のスライス画像を画像処理して前記細胞集塊の少なくとも一部の3次元画像を構築する3次元画像構築ステップと、前記評価ステップにおいて評価された前記細胞の特性の分布を示すグラフを生成する分布生成ステップと、前記3次元画像構築ステップにより構築された前記細胞集塊の前記3次元画像と前記分布生成ステップにより生成されたグラフとを並列して表示する表示ステップとを含み、該表示ステップが、前記3次元画像上のいずれかの前記細胞と、前記グラフ上の対応する前記細胞の特性とを対応させて表示可能である細胞解析方法を提供する。
【0018】
本態様によれば、標識ステップにおいて細胞の構成要素が化学物質で標識された細胞集塊の少なくとも一部に対して、撮影ステップにおいて細胞の複数枚のスライス画像が取得され、取得されたスライス画像に基づいて評価ステップにおいて細胞の特性が評価される。評価された細胞の特性の分布が、分布生成ステップにおいてグラフとして生成され、表示ステップにおいて3次元画像とグラフとが並列して表示される。
【0019】
そして、3次元画像上で任意の細胞が特定されると、グラフ上の対応する細胞の特性のデータが表示されることにより、3次元画像上の細胞の特性をグラフ上において容易に確認することができる。逆に、グラフ上において任意のデータを特定し、3次元画像上の対応する細胞を容易に確認することもできる。
【0020】
上記態様においては、前記表示ステップが、前記グラフ上において特性が近似する前記細胞のデータをグループ分けして選択可能に表示するとともに、選択されたグループ内に属する複数の前記細胞を前記3次元画像上において、他の前記細胞とは異なる表示方法で表示してもよい。
このようにすることで、グラフ上においてグループ分けされて表示された特性が近似する細胞のデータのいずれかのグループを選択すると、選択されたグループ内に属する複数の細胞が3次元画像上において他の細胞とは異なる表示方法で表示されるので、選択したグループに対応する細胞が正しく認識されているか否かを容易に確認することができる。
【0021】
また、上記態様においては、選択されたグループ内に属する複数の前記細胞の3次元画像を表示してもよい。
このようにすることで、グラフ上において選択されたグループ内に属する複数の細胞の3次元画像を表示することで、当該グループに属する各細胞が正しく認識されたか否かを容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、より生体内に近い細胞集塊の状態で培養されている細胞の特性を精度よく解析することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施形態に係る細胞解析方法を示すフローチャートである。
図2図1の細胞解析方法を実施するために使用される顕微鏡システムを示す図である。
図3図1の細胞解析方法の3次元画像構築ステップにより構築された細胞集塊の3次元画像の一例を示す図である。
図4図3の細胞集塊に配色ステップにより配色した3次元画像および該3次元画像を所定の切断平面で切断した断面の2次元画像の表示例を示す図である。
図5図4の画像上において切断平面を動かした場合の表示例を示す図である。
図6図4の表示の他の例を示す図である。
図7図4の表示の他の例を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る細胞解析方法を示すフローチャートである。
図9図8の細胞解析方法により構築された細胞集塊の3次元画像と、該3次元画像を構成する個々の細胞の特性の分布を示すスキャッタグラムの一例を示す図である。
図10図9の表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1の実施形態に係る細胞解析方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る細胞解析方法は、図1に示されるように、細胞集塊Xを構成する細胞Yを化学物質で標識する標識ステップS1と、標識された細胞Yの複数枚のスライス画像を取得する撮影ステップS2と、取得された複数枚のスライス画像から細胞集塊Xの3次元画像P1を構築する3次元画像構築ステップS3と、構築された3次元画像P1において隣接する細胞Yを異なる色に配色する配色ステップS4と、配色された3次元画像P2から2次元画像P3を構築する2次元画像構築ステップS5と、構築された2次元画像P3と3次元画像P2とを並列して表示する表示ステップS6とを含んでいる。
【0025】
本実施形態に係る細胞解析方法は、以下の顕微鏡システム1により実施される。
顕微鏡システム1は、照射光を発生する光源2と、照射光を照射して細胞集塊Xを撮影する顕微鏡3と、取得されたスライス画像を処理する画像処理部4と、処理された結果を表示するモニタ5と、操作者が入力する入力部(図示略)とを備えている。
【0026】
標識ステップS1は、蛍光色素あるいは蛍光タンパク等の化学物質を細胞集塊Xに供給することにより、細胞核、細胞膜、ミトコンドリア等の特定の器官、DNA/RNA等を標識するようになっている。
細胞集塊Xは、細胞Yの集合・塊であって、3次元構造を有するものを意味し、スフェロイド、スフェア、コロニー、EB(Embryoid Body)、オルガノイド等を挙げることができる。
【0027】
撮影ステップS2は、図2に示されるように、細胞集塊Xからなる試料のスライス画像を取得する顕微鏡3により実施される。
顕微鏡3は、図2に示されるように、例えば、レーザ走査型共焦点顕微鏡であって、試料を収容した容器6を搭載して、3次元的に移動させるステージ8と、該ステージ8の上方に配置された対物レンズ7とを備えている。容器6としては、例えば、マルチウェルプレート、ディッシュ、スライドガラス等の顕微鏡観察用容器の他、他の特殊な容器を採用してもよい。
【0028】
撮影ステップS2においては、ステージ8を対物レンズ7に対して3次元的に移動させることによって、対物レンズ7の焦点位置に対して細胞集塊Xを3次元的に移動させながら、各位置においてレーザ光を走査させ、焦点位置に配置されている細胞Yのスライス画像を取得することにより、各細胞Yについて複数枚のスライス画像を取得するようになっている。
【0029】
3次元画像構築ステップS3,配色ステップS4および2次元画像構築ステップS5は、画像処理部4により実施される。
3次元画像構築ステップS3は、撮影ステップS2において取得された各細胞Yの複数枚のスライス画像を画像処理することにより、図3に示されるように、細胞集塊X全体の3次元画像P1を構築する。
【0030】
配色ステップS4は、3次元画像構築ステップS3において構築された3次元画像P1において、図4に示されるように、別々の細胞Yであると認識されている各細胞Yに疑似カラーを付与する。疑似カラーは、隣接する細胞Yが異なる色となるように配色されて付与される。
【0031】
2次元画像構築ステップS5は、このようにして疑似カラーが付与された3次元画像P2を所定の方向に投影した2次元画像P3あるいは3次元画像P2を所定の切断平面Cによって切断した断面の2次元画像P3を構築するようになっている。投影方向あるいは切断平面Cは操作者が入力部から任意に入力することができるようになっている。図4では、3次元画像P2において所定の切断平面Cによって切断した断面の2次元画像P3を生成するようになっている。
【0032】
表示ステップS6は、図4に示されるように、3次元画像構築ステップS3により構築され、配色ステップS4により疑似カラーが配色された3次元画像P2および、該3次元画像P2から生成された2次元画像P3を並列して同一画面に表示するようになっている。
【0033】
このように構成された本実施形態に係る細胞解析方法によれば、隣接する細胞Yが異なる色に配色された細胞集塊Xの3次元画像P2および2次元画像P3により、重なっている細胞Yが同色であるか否かを確認するだけで、3次元画像P2において個々の細胞Yが別々の細胞Yとして認識されたか否かを容易に確認することができるという利点がある。
【0034】
すなわち、隣接する2つの細胞Yが1つの細胞Yとして認識される場合、細胞数や細胞Yの容積、蛍光量等の細胞Yの種々の特性量が誤って取得されてしまい、細胞集塊Xを構成する個々の細胞Yの特性を精度よく解析することができない。本実施形態に係る細胞解析方法によれば、解析の精度を低下させ得る誤認識を容易に確認することができ、それを補修して解析の精度を向上することができるという利点がある。
【0035】
なお、本実施形態においては、図6に示されるように、2次元画像P4を同一画面に表示してもよい。これにより、蛍光色、蛍光量、細胞Y内の構造等の細胞Yの状態を同時に確認することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、図4および図5に示されるように、3次元画像P2上に切断平面Cを表示し、操作者が画面上で切断平面Cの位置を移動させることができるようになっており、切断平面Cの移動に応じて2次元画像P3が切断平面Cに沿う断面の画像を表示するように変更されてもよい。
【0037】
また、図7に示されるように、異なる複数の切断平面C1,C2に沿う複数の断面の2次元画像P5,P6を3次元画像P2と同一画面に表示してもよい。また、3次元画像P2の一部を部分的に拡大した3次元画像を表示してもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、切断平面Cに沿う断面の2次元画像P3を表示したが、これに代えて、細胞集塊Xをいずれかの方向に投影した2次元平面を表示してもよいし、投影方向を操作者が任意に変更することができるようになっていてもよい。
【0039】
また、同一画面上に表示された3次元画像P2と2次元画像P3とは相互に対応づけられており、3次元画像P2上で特定の細胞Yを指定すると、2次元画像P3上の対応する細胞Yが、枠線により囲まれたり、ハイライト表示されたりするようにしてもよい。これにより、3次元画像P2上で、2つの隣接細胞が同一の細胞Yと誤認識されているとの疑いがある場合に、3次元画像P2上でその細胞Yを指定することにより、2次元画像P3上で対応する細胞Yが誤認識されているか否かを容易に確認することができる。
【0040】
また、標識ステップS1において、各細胞Yの複数種の構成要素を異なる薬剤で標識し、配色ステップS4が、各構成要素の種別毎に設定されたスペクトル領域内の色を各構成要素に配色してもよい。例えば、各細胞Yの細胞核と細胞膜を異なる薬剤で標識し、細胞膜は所定のスペクトル領域内の色で隣接する細胞Yの細胞膜が異なる色となるように配色し、細胞核は細胞膜とは異なるスペクトル領域内の色で隣接する細胞Yの細胞核が異なる色となるように配色してもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、3次元画像P2と2次元画像P3とを同一画面に表示することとしたが、これに代えて、単に、隣接する細胞Yが異なる色に配色された3次元画像をモニタ5に表示することにしてもよい。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態に係る細胞解析方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の説明において、上述した第1の実施形態に係る細胞解析方法と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
本実施形態に係る細胞解析方法は、図8に示されるように、撮影ステップS2により取得された複数枚のスライス画像から細胞集塊Xを構成する個々の細胞Yを評価する評価ステップS7と、該評価ステップS7において評価された細胞Yの特性の分布を示すグラフP7を生成する分布生成ステップS8と、該分布生成ステップS8により生成されたグラフP7と3次元画像P1とを並列して表示する表示ステップS6とを含んでいる。
【0044】
評価ステップS7は、撮影ステップS2において取得されたスライス画像に基づいて、標識ステップS1において供給された化学物質の種類に応じた細胞Yの特性評価が行われる。例えば、免疫染色の場合には、細胞Yが特定の蛍光色素に染まっているか否かが評価され、GFPのような蛍光タンパクが供給される場合には細胞Yが特定の反応をしているか否かが評価され、Fucciのようなインジケータが供給された場合には、細胞Yが細胞周期のいずれの周期に位置しているのかが評価される。
【0045】
分布生成ステップS8は、例えば、図9に示されるように、評価ステップS7において評価された細胞Yの特性の分布を示すグラフP7、例えば、細胞Yの大きさを、発生した蛍光の色との関係でプロットしたスキャッタグラムを生成する。
そして、表示ステップS6は、図9に示されるように、3次元画像P1とスキャッタグラムP7とを同一画面に表示するとともに、3次元画像P1上の全ての細胞Yと、スキャッタグラムP7上の対応する細胞Yの特性データZとを対応させて表示するようになっている。
【0046】
このように構成された本実施形態に係る細胞解析方法によれば、モニタ5に表示された3次元画像P1においていずれかの細胞Yを指定すると、スキャッタグラムP7上の対応する細胞Yの特性データZが表示される。また、逆に、スキャッタグラムP7上のいずれかの特性データZを指定すると、3次元画像P1上の対応する細胞Yが表示される。
【0047】
したがって、3次元画像P1上あるいはスキャッタグラムP7上で正常な認識がされているか否かが疑わしい細胞Yの画像あるいはスキャッタグラムP7上のデータが存在する場合に、当該画像あるいはデータZを指定することにより、対応するスキャッタグラムP7上の特性データZあるいは3次元画像P1上の細胞画像によって、正常な認識か否かを容易に確認することができるという利点がある。
【0048】
なお、本実施形態においては、3次元画像P1上の個々の細胞画像毎あるいはスキャッタグラムP7上の個々の特性データZ毎に対応する特性データZあるいは細胞画像を表示することとしたが、これに代えて、スキャッタグラムP7上において、近い特性を有する特性データZによってグループ分けし、グループによって指定することにより、グループ内の特性データZに対応する複数の細胞Yの画像P8を抜き出して羅列して表示することにしてもよい。
【0049】
例えば、図10に示されるように、スキャッタグラムP7上で他の特性データZから外れたグループを指定すると、該グループに属する特性データZに対応する細胞Yの画像が、複数個羅列され、特性データZが外れているのが誤認識によるものであるのか正常な認識の結果によるものであるのかを羅列された画像P8によって容易に判断することができる。すなわち、図10に羅列して示された細胞Yの3次元画像P8により、符号Fで示されるものが、2つ以上の細胞を単一の細胞として認識していることを容易に確認することができる。
【0050】
また、本実施形態においては、レーザ走査型共焦点顕微鏡を用いた例を説明したが、これに代えて、レーザ走査型多光子励起顕微鏡あるいはライトシート顕微鏡等、細胞集塊Xを構成する細胞Yのスライス画像を取得可能な任意の顕微鏡を用いて撮影ステップS2を行うことにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
S1 標識ステップ
S2 撮影ステップ
S3 3次元画像構築ステップ
S4 配色ステップ
S5 2次元画像構築ステップ
S6 表示ステップ
S7 評価ステップ
S8 分布生成ステップ
C 切断平面
P1,P2,P8 3次元画像
P3,P4,P5,P6 2次元画像
P7 スキャッタグラム(グラフ)
X 細胞集塊
Y 細胞
Z 特性データ(データ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10