【解決手段】 外装体と、外装体の肌当接面側に位置する吸収性本体と、を備えるパンツ型吸収性物品であって、外装体は、周方向に伸縮する腰部開口部及び一対の脚部開口部が形成され、吸収性本体は、液透過性のトップシートと、液不透過性の防漏シートと、トップシートと防漏シートとの間に配置された吸収体と、を有し、吸収体は、長手方向に腹側部、股下部及び背側部に区分され、股下部は、長手方向に延びるスリットが複数形成され、スリットは、股下部の幅に対して10%以上40%以下の合計幅を有するパンツ型吸収性物品である。
前記股下部の長手方向中央に位置する前記スリットは、前記股下部の長手方向の前後に位置する前記スリットの合計幅と同等以上の合計幅を有することを特徴とする請求項1に記載のパンツ型吸収性物品。
前記腹側部に位置する外装体は、前記吸収体と重ならない領域において、伸縮方向に120%伸長したときに、0.8N/50mm以上2.0N/50mm以下の伸長荷重を有し、かつ、伸縮方向に150%伸長したときに、2.0N/50mm以上3.5N/50mm以下の伸長荷重を有することを特徴とする請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品。
前記外装体が第1の不織布、伸縮性フィルム及び第2の不織布を肌当接面側からこの順に一体化して積層して構成される複合シートを含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の臀部を覆うタイプの吸収性物品には、下着のように一体成形したパンツ型と、腰部をテープで2カ所止めるテープ型の吸収性物品が知られている。このうち、パンツ型吸収性物品は、外装体と、着用者の肌と接する液透過性のトップシートと、吸収体と、液不透過性の防漏シートとからなり、外装体の肌当接面側に位置する吸収性本体とを備えており、これらの積層体を長手方向に2つ折りして、両側縁部をヒートシール等で接合することにより、腰部開口部と左右一対の脚部開口部とを形成している。
【0003】
パンツ型吸収性物品は、立位や歩行等の動作により、変形して着用者との間に隙間が生じ、この隙間が漏れの原因となることが多かった。したがって、脚部開口部や腰部開口部の周り、さらに腰周り部へ弾性部材を装着して収縮性を持たせることにより、パンツ型吸収性物品と着用者の身体とが均一に密着し、フィット性を向上させている。一方、着用者の股下と接するパンツ型吸収性物品の股下部は、特に大きな変形を余儀なくされる部位であることから、従来技術では、この変形による着用時のゴワゴワとした感触が強く、装着感が劣るという問題があった。
【0004】
そこで、フィット性や装着感を向上させるものとして、例えば、特許文献1には、股下部吸収体の幅が狭い一方、弾性伸縮部材が設けられるレッグ開口の周縁とその股下部の側縁との間隔が広いパンツ型の使い捨ておむつが開示されている。また、特許文献2には、吸液性コアに、その厚み方向を貫通し、長手方向へ延びる複数の条孔が長手方向と幅方向とに間欠的に配置され、該条孔に沿って表裏面シートが剥離不能に接合するとともに表面シートが該条孔に沿って延びる条溝を形成している使い捨て吸収性アンダーガーメントが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、パンツ型吸収性物品の場合に、腰周り部に高い伸縮性を与えると、吸収体と重なる部分の伸縮性を抑えた場合でも、吸収体が変形して、ごわつきが抑えにくくなり、装着感が十分に改善されないことが分かった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吸収体のごわつきが抑制され、装着感に優れるパンツ型吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本願発明に係る1つの態様は、外装体と、上記外装体の肌当接面側に位置する吸収性本体と、を備えるパンツ型吸収性物品であって、上記外装体は、周方向に伸縮する腰部開口部及び一対の脚部開口部が形成され、上記吸収性本体は、液透過性のトップシートと、液不透過性の防漏シートと、上記トップシートと上記防漏シートとの間に配置された吸収体と、を有し、上記吸収体は、腹側部、股下部及び背側部を有し、上記股下部は、長手方向に延びるスリットが複数形成され、上記スリットは、上記股下部の幅に対して10%以上40%以下の合計幅を有することを特徴とする。
(2) 本発明の他実施形態に係る吸収性物品は、(1)記載のパンツ型吸収性物品であって、上記股下部の長手方向中央に位置する上記スリットは、上記股下部の長手方向の前後に位置する上記スリットの合計幅と同等以上の合計幅を有することを特徴とする。
(3) 本発明の他実施形態に係る吸収性物品は、上記(1)または(2)記載のパンツ型吸収性物品であって、上記腹側部に位置する外装体は、上記吸収体と重ならない領域において、伸縮方向に120%伸長したときに、0.8N/50mm以上2.0N/50mm以下の伸長荷重を有し、かつ、伸縮方向に150%伸長したときに、2.0N/50mm以上3.5N/50mm以下の伸長荷重を有することを特徴とする。
(4) 本発明の他実施形態に係る吸収性物品は、上記(1)から(3)のいずれかに記載のパンツ型吸収性物品であって、上記外装体が第1の不織布、伸縮性フィルム及び第2の不織布を肌当接面側からこの順に一体化して積層して構成される複合シートを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパンツ型吸収性物品は、吸収体の股下部に長手方向に延びるスリットを複数形成し、スリットの合計幅が吸収体の股下部の幅に対して10%以上40%以下であることにより、吸収体のごわつきが抑制され、装着感に優れるパンツ型吸収性物品を提供することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図5を参照して、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品について詳細に説明する。なお、実施形態の説明は、全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。本明細書の説明において、パンツ型吸収性物品1の着用時とは、パンツ型吸収性物品1の着用時及び着用後の少なくとも一方をいう。また、パンツ型吸収性物品1の長手方向とは、パンツ型吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、図中、符号Yで示す方向であり、パンツ型吸収性物品の短手方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、肌当接面とは、吸収性本体3等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、非肌当接面とは、吸収性本体3等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。また、体液とは、尿、血液や軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、パンツ型吸収性物品1としては、幼児又は成人用を問わず、ショーツタイプの生理用品、失禁用使い捨ておむつ等のパンツ型吸収性物品であってもよい。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るパンツ型吸収性物品を示す概略図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係るパンツ型吸収性物品の展開図である。また、
図4は、本発明の一実施形態に係るパンツ型吸収性物品の断面図である。
図1及び
図4に示すように、パンツ型吸収性物品1は、外装体2と、外装体2の肌当接面側に位置し、液透過性のトップシート31と、液不透過性の防漏シート32と、トップシートと防漏シートとの間に配置された吸収体33と、を有する吸収性本体3とを備えている。また、
図1に示すように、パンツ型吸収性物品1は、腰部開口部WO及び左右一対の脚部開口部LO、LOを有している。
【0013】
(吸収性本体)
図3は、
図2のX1−X1線、X2−X2線において、本発明のパンツ型吸収性物品の一実施形態に係る断面図である。
図1から
図4に示すように、パンツ型吸収性物品1の吸収性本体3は、肌当接面側に配された液透過性のトップシート31と、トップシート31に対向して配置された液不透過性の防漏シート32と、トップシート31と防漏シート32との間に配置され、体液を吸収する吸収体33とを備えた構造となっている。吸収性本体3は、外装体2の腹側から背側の内側にかけて配置され、外装体2と固定されている。その固定方法としては、例えば、ホットメルト等の接着剤、熱融着、あるいは超音波接着等があげられる。
【0014】
トップシート31は、体液が吸収体33へと移動するような液透過性を備えた基材を用いればよく、例えば、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートといった材料から形成される。また、トップシート31は、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施すことが好ましい。その加工方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。また、肌への刺激を低減させるために、トップシート31に、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させることも好ましい。さらに、強度および加工性の点から、トップシート31の坪量は、14g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましい。トップシート31の形状としては、特に制限はないが、体液を漏れがないように吸収体33へと誘導するため、吸収体33を覆う形状であればよい。
【0015】
また、液拡散性シート35をトップシート31の非肌当接面側に設ける。体液は、まずトップシート31を通って、吸収体33へ順次拡散、吸収する。吸収後、すばやく前後左右に拡散していくのが好ましいため、トップシート31の下に液拡散性シート35を設けて拡散を促し、体液を広く吸収体33に移動させて効率よく吸収させることができる。
【0016】
液拡散性シート35は、0.1mm以上の厚さ及び18g/m
2以上の目付けを有する親水性不織布であり、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維系からなるエアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布が使用できる。特に、液戻りの防止に優れるエアースルー不織布が好適である。液拡散性シート35の厚さは、例えば、尾崎製作所製ピーコックダイヤルゲージを用い、3432Paの荷重下で測定する。
【0017】
図1及び
図2に示すように、吸収体33は、着用時に着用者の腹側に配置される腹側部A、着用時に着用者の背側に配置される背側部B、腹側部Aと背側部Bとの間に配置される股下部Cを有している。吸収体33の股下部Cとは、パンツ型吸収性物品1の着用時に着用者の股下に位置する部分であり、具体的には着用者の脚周りに配置される略円弧状の脚部開口部LO、LO間に位置する部分である。吸収体33の形状としては、特に制限はなく、例えば、矩形状、砂時計状、I字状等をあげることができる。また、吸収体33は、2層以上を重ねたものでもよい。
図3(a)は、
図1のX1−X1線において、パンツ型吸収性物品1の一実施形態に係る吸収体を抜き出した断面斜視図であり、
図3(b)は、
図1のX2−X2線において、パンツ型吸収性物の一実施形態に係る吸収体を抜き出した断面斜視図である。
図1から
図4に示すように、この吸収体33の股下部Cには、長手方向に延びるスリット34が複数形成され、また、これらのスリット34の合計幅(
図3(a)に示す(b+d+f))は、吸収体33の股下部Cの幅(
図3(a)に示す(a+b+c+d+e+f+g))に対して、10%以上40%以下である。また、スリット34の合計幅(
図3(b)に示すd)は、吸収体33の股下部Cの幅(
図3(b)に示す(h+d+j))に対して、10%以上40%以下である。ここで、吸収体33が砂時計状のように幅方向に異なる形状の場合、股下部Cの幅とは股下部Cにおいて最も短い寸法を示す部位の幅であり、スリット34の合計幅とは股下部Cの最も短い寸法を示す部位における合計幅である。スリット34の合計幅が吸収体33の股下部Cの幅に対して、10%以上40%以下とすることで、着用者の動作時に、股下部Cが着用者の両腿によって幅方向に圧迫されて発生するごわつきを抑制し、かつ、圧迫によりスリット34の間隔が狭まって側壁どうしが接触するため、体液が素早く吸収体33に拡散して、濡れ戻り感が減少し、装着感が向上する。また、着用者の腹側(前側)及び背側(後側)の吸収体33が身体にフィットしやすく、漏れにくくなることから、股下部Cの長手方向中央に位置するスリット34(
図3(a)に示す(b+d+f)は、股下部Cの長手方向の前後に位置するスリット34の合計幅(
図3(b)に示すd)と同等以上の合計幅を有することが好ましい。ここで、長手方向中央とは、股下部Cを長手方向に3分割したときに中央の範囲であり、長手方向前後とは、同様に3分割したときの前後の範囲である。スリット34の幅及び吸収体の幅は、例えばノギスを用いて測定することができる。パンツ型吸収性物品1が成人用の場合、股下部Cの幅は、60mm以上120mm以下の長さを有することが好ましい。
【0018】
また、
図5(a)は、本発明のパンツ型吸収性物品の他の実施形態を示すスリットの平面図、
図5(b)は、本発明のパンツ型吸収性物品のさらに他の実施形態を示すスリットの平面図、
図5(c)は、本発明のパンツ型吸収性物品のさらに他の実施形態を示すスリットの平面図である。吸収体33の股下部Cに形成されたスリット34の形状は、特に限定はなく、例えば、
図5(a)に示すような棹状、
図5(b)に示すような長菱形状、
図5(c)に示すような三角形状等があげられる。また、
図5(a)に示すように、吸収体33の股下部Cの幅方向中央に配置され、長手方向に延在する第1スリット341、この第1スリット341の両側部に形成する第2スリット342、342のように、各々異なる長さ及び幅を有していてもよい。さらに、
図5(c)に示すように、幅方向中央に配置され、長手方向に延在する長菱形状の第1スリット341と、第1スリット341の第1の側に沿って配置され、相対的に長い隣辺が幅方向中央を向く2つの直角三角形を、相対的に短い隣辺同士をもって長手方向中央で対向するように配置された第3の1組のスリット343と、第1スリット341の第2の側に沿って配置され、相対的に長い隣辺が幅方向中央を向く2つの直角三角形を、相対的に短い隣辺同士をもって長手方向中央で対向するように配置された第4の1組のスリット344のように、長手方向に対しても間欠に形成し、吸収体33の体液の拡散力を向上させてもよい。パンツ型吸収性物品1が成人用の場合、スリット34は、着用者の動作時に変形してごわつきを抑えるために、60mm以上140mm以下の長さを有することが好ましい。
【0019】
吸収体33は、フラップパルプと高吸収性樹脂(SAP)を含有している。吸収体33の基材は、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布といった材料から形成される。この中で、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。かかるフラッフパルプとしては、木材パルプ及び合成繊維、ポリマー繊維等や非木材パルプを綿状に解繊したものをあげることができる。また、吸収性能および肌触りを損なわないよう、吸収体33の基材の坪量を100g/m
2以上800g/m
2以下とすることが好ましい。
【0020】
また、吸収体33のSAPは、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン−アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、 (イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、といった材料から形成される。この中で、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。また、吸収性能および肌触りを損なわないよう、吸収体33のSAPは、50g/m
2以上500g/m
2以下の坪量とすることが好ましい。
【0021】
吸収体33の基材とSAPは、基材中にSAP粒子を混合して形成したもの、あるいは、基材間にSAP粒子を固着したSAPシートとすることが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体33の形状を安定させるために、吸収体33をキャリアシートに包むことが好ましい。キャリアシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布をあげることができる。キャリアシートを複数備える場合は、キャリアシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。
【0022】
防漏シート32は、吸収体33が保持している体液が下着に漏れないような液不透過性を備えた基材を用いればよく、不織布、樹脂フィルム、あるいはこれらを積層した複合シートといった材料から形成される。かかる不織布は、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料があげられる。また、かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等があげられる。
【0023】
強度および加工性の点から、防漏シート32の坪量は、10g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましい。また、装着時の蒸れを防止するため、防漏シート32は、通気性を持たせることが好ましい。通気性を備えさせるために、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合することや、防漏シート32にエンボス加工を施すことがあげられる。フィラーとしては、炭酸カルシウムをあげることができ、その加工方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0024】
(外装体)
外装体2は、
図2に示すように、長手方向中央の両側部では内側に括れている。肌当接面側に吸収性本体3を固定した外装体2の腹側領域の両側縁部と、背側領域の両側縁部の内面同士を互いに重ね合わせ、吸収性本体3が内側となるように外装体2(及び吸収性本体部3)を2つ折りし、ヒートシール等で接着することにより、
図1に示すように、周方向に伸縮する腰部開口部WO及び一対の脚部開口部LO、LOが形成され、全体として着脱可能なパンツ状に構成される。
【0025】
また、外装体2には、
図1及び
図2に示すように、腰部弾性部材41、胴部弾性部材42及び脚部弾性部材43の弾性部材4を装着することにより、パンツ型吸収性物品1の腰部開口部、胴部、脚部開口部に伸縮性を持たせて、着用時のフィット感を高め、さらには、体液が外部に漏れ出ることも防止する。
【0026】
吸収体33の腹側部A及び/あるいは背側部Bに位置する外装体2は、吸収体33と重ならない領域において、伸縮方向に120%伸長したときに、0.8N/50mm以上2.0N/50mm以下の伸長荷重を有し、かつ、伸縮方向に150%伸長したときに、2.0N/50mm以上3.5N/50mm以下の伸長荷重を有することが好ましい。ここで、伸縮方向に120%伸長したとは、非伸縮状態の自然長に対する、伸長した状態の長さの割合である。すなわち、非伸縮状態の自然長10cmの複合シートを伸長方向に対して12cmに伸長させた場合、12/10×100=120%伸長したとなる。伸長荷重を上記の範囲にすることにより、着用者の動作時のズレによる漏れを防ぐことができる。また、外装体2と吸収体33が重なる領域では伸縮性がないか、重ならない領域よりも伸縮性は弱く抑えられる。さらに、吸収体33の股下部Cに位置する外装体2についても、伸縮性がないか、弱く抑えられ、装着感が良好となる。
【0027】
外装体2は、通常、吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる撥水性の不織布を用いることができる。かかる不織布は、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料があげられる。
図4に示すように、外装体2は、第1の不織布22、伸縮性フィルム23及び第2の不織布24を肌当接面側からこの順に熱融着又は超音波接着で一体化して積層して構成される複合シート21を含有することが好ましい。第1の不織布22及び第2の不織布24は、上記の不織布と同様の素材を選ぶことができ、特に、強度や風合い、更にはコストの点から、ポリプロピレンスパンボンド不織布が好ましい。また、伸縮性フィルム23は、伸縮性を備えたものであればよく、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂等から形成されたフィルムがあげられる。なかでも、コスト及び伸縮性能の観点から、ポリウレタン系樹脂フィルムが好ましい。
【0028】
複合シート21は、非伸縮状態において、20cm
3/cm
2・秒以上のJIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される通気度を有する。通気度が20cm
3/cm
2・秒未満であると、着用時に蒸れ易くなる。さらに、複合シート21は、伸縮方向に150%伸長したときに、50cm
3/cm
2・秒以上のJIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される通気度を有することが好ましい。通気度が50cm
3/cm
2・秒未満であると、伸長された状態で使用する部位、例えば、背側の部位に対して、着用時に蒸れ易くなる。通気度は、複合シート21を構成する不織布の繊維の糸の太さ、密度、単位面積当たりの重さや、伸縮性フィルム23に備えた開口部の開口面積率等により、自由に変えることができる。
【0029】
吸収性本体3は、トップシート31と防漏シート32との間にスリット34を形成した吸収体33を挟持し、さらに適宜液拡散性シート35や立体ギャザーを配置した後、トップシート31と防漏シート32とを一部あるいは全周にわたってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定することで、製造することができる。また、外装体2と吸収性本体3、あるいは、外装体2の両側部の固定手段としては、通常、吸収性物品に用いられる接着剤や、ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等の融着手段が用いられる。接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下程度の、スチレン/ブタジエン/スチレン系共重合体、スチレン/イソプレン/スチレン系共重合体等の合成ゴム系;又はエチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系のホットメルト接着剤を使用できる。ホットメルト接着剤の塗布方法には、ノズルから溶融状態の接着剤を非接触で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等があり、公知のあらゆる方法が利用できる。
【0030】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。