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特開2016-220934画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-220934(P2016-220934A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   A61B6/00 350S
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-110213(P2015-110213)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】井上 昇
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA03
4C093CA07
4C093CA12
4C093FC23
4C093FC26
4C093FD11
4C093FF09
4C093FF34
(57)【要約】
【課題】 グリッドが使用されるか否かを考慮して適切な画像処理を選択する。
【解決手段】 画像処理装置は、放射線画像を取得し(S301)、放射線画像の撮影にグリッドが使用されるか否かを検知し(S302)、グリッドが使用されると検知された場合にはグリッド縞除去処理を行い(S303)、グリッドが使用されないと検知された場合には散乱線成分低減処理を行う(S304、S305)。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像を取得する取得手段と、
前記放射線画像の撮影にグリッドが使用されるか否かを検知する検知手段と、
前記放射線画像に含まれるグリッド縞を低減するグリッド縞低減手段と、
前記放射線画像に含まれる散乱線成分を推定して低減する散乱線成分低減手段と、
前記検知手段によりグリッドが使用されると検知された場合には前記グリッド縞低減手段による処理を行い、前記検知手段によりグリッドが使用されないと検知された場合には前記散乱線成分低減手段による処理を行うように制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記グリッド縞低減手段若しくは前記散乱線成分低減手段による処理を行った画像のコントラスト比が所定の値に達していない場合には、前記散乱線成分低減手段による処理を更に行うように制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記放射線画像の撮影部位が四肢である場合には、前記散乱線成分低減手段による処理を行わないように制御するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記低減の程度を調節する調節手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記調節手段は前記画像のコントラスト比が、所定のコントラスト比に達していない場合には前記散乱線成分低減手段による処理を行い、所定のコントラスト比に達している場合には。前記散乱線成分低減手段による処理を行わないように調節するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記調節手段は、前記コントラスト比が前記所定のコントラスト比に達している場合に、前記コントラスト比に応じて前記低減の程度を調節するように構成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記調節手段は、管電圧、管電流、照射時間、撮影部位の少なくとも1つを含む撮影条件に基づいて調節するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記調節手段は、前記撮影部位が四肢であったときには前記散乱線成分低減手段による処理を行わないように調節するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記検知手段がグリッドを検知した場合に前記グリッド縞低減手段による処理と前記散乱線成分低減手段による処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記検知手段は、前記放射線画像に特定の空間周波数成分が含まれているときに、グリッドの使用を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
放射線画像を取得する取得手段と、
前記放射線画像の撮影にグリッドが使用されるかを検知する検知手段と、
前記放射線画像に含まれるグリッド縞を低減するグリッド縞低減手段と、
前記放射線画像に対して前記グリッド縞低減処理が施された画像に含まれる散乱線成分を推定して低減する散乱線成分低減手段と、
前記散乱線成分低減手段による処理を行うか否かを操作入力に応じて判定する判定手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
前記グリッド縞低減手段による処理が行われ、前記検知手段がグリッドを検知しなかった場合に、グリッドが使用されなかったことを報知する報知手段を有することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
画像に階調変換処理を施すための解析と階調変換処理を行う階調変換手段であって、前記検知手段によりグリッドが使用されないと検知された場合には前記取得手段により取得された前記放射線画像に対して解析を行って前記散乱線成分低減手段による処理が行われた画像に対して階調変換処理を行い、前記検知手段によりグリッドが使用されると検知された場合には前記グリッド縞低減手段による処理が行われた画像に対して解析を行って階調変換処理を行う階調変換手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
放射線画像を取得する取得手段と、
前記放射線画像の撮影にグリッドが使用されるか否かを検知する検知手段と、
前記放射線画像に含まれるグリッド縞を低減するグリッド縞低減手段と、
前記放射線画像に含まれる散乱線成分を推定して低減する散乱線成分低減手段と、
前記検知手段によりグリッドが使用されると検知された場合には前記グリッド縞低減手段による処理を行い、前記検知手段によりグリッドが使用されないと検知された場合には前記散乱線成分低減手段による処理を行うように制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項15】
前記制御手段は、前記グリッド縞低減手段若しくは前記散乱線成分低減手段による処理を行った画像のコントラスト比が所定の値に達していない場合には、前記散乱線成分低減手段による処理を更に行うように制御するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の画像処理システム。
【請求項16】
前記制御手段は、前記放射線画像の撮影部位が四肢である場合には、前記散乱線成分低減手段による処理を行わないように制御するように構成されていることを特徴とする請求項14又は請求項15のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項17】
放射線画像を取得する取得手段と、
前記放射線画像の撮影にグリッドが使用されるかを検知する検知手段と、
前記放射線画像に含まれるグリッド縞を低減するグリッド縞低減手段と、
前記放射線画像に対して前記グリッド縞低減処理が施された画像に含まれる散乱線成分を推定して低減する散乱線成分低減手段と、
前記散乱線成分低減手段による処理を行うか否かを操作入力に応じて判定する判定手段と、を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項18】
放射線画像を取得する取得ステップと、
前記放射線画像の撮影にグリッドが使用されるかを検知する検知ステップと、
前記放射線画像に含まれるグリッド縞を低減するグリッド縞低減ステップと、
前記放射線画像に対して前記グリッド縞低減処理が施された画像に含まれる散乱線成分を推定して低減する散乱線成分低減ステップと、
前記散乱線成分低減ステップに進むか否かを操作入力に応じて判定する判定ステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
請求項18に記載の画像処理方法を、コンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被写体に放射線を照射して放射線画像を撮影する際、被写体内で散乱された放射線である散乱線によって、放射線画像のコントラストが低下する。
【0003】
放射線画像を撮影するための放射線検出器に到達する散乱線を低減するため、散乱線低減グリッド(以下グリッドと称する。)を被写体と放射線検出器の間に配置して撮影を行うことがある。グリッドは、散乱線を低減するのに加えて、放射線発生装置から放射線検出器まで直進した一次放射線も一部低減する。そのため、グリッドを使用して放射線画像を撮影すると、放射線画像上に周期的な信号(グリッド縞)が発生する。
【0004】
特許文献1には、固定グリッドを使用して撮影された放射線画像にはグリッド縞低減処理を施し、グリッドを使用しないで撮影された放射線画像には階調処理を施してコントラストを上げることが開示されている。
【0005】
特許文献2には、グリッドを使用せずに撮影された放射線画像に対して、実際にグリッドを使用して撮影を行ったのと同程度に散乱線を除去する効果が得られるよう画像処理を施すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−83951号公報
【特許文献2】特開2014−207958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
階調処理は特定の画素値範囲のコントラストを強調する処理であり、被写体の厚さや照射される放射線の線質に影響される散乱線の挙動を考慮して散乱線成分を低減するには不十分である。
【0008】
また、グリッドを使用しないで撮影された放射線画像にグリッド縞低減処理を施すと、被写体構造に関する画像成分を低減してしまうおそれがある。グリッドを使用して撮影された放射線画像に、グリッドを考慮せず、放射線画像に含まれる散乱線成分を推定する処理を施すと、推定精度が低下してしまう。
【0009】
すなわち、撮影された放射線画像に対して散乱線が影響を与える程度や、グリッド配置の有無を
考慮しないで放射線画像に画像処理を施すと、かえって画質を低下させてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係る画像処理装置は、放射線画像を取得する取得手段と、前記放射線画像の撮影に、放射線源と放射線検出器の間にグリッドが配置されるかを検知する検知手段と、前記放射線画像に含まれるグリッド縞を低減するグリッド縞低減手段と、前記放射線画像に含まれる散乱線成分を推定して低減する散乱線成分低減手段と、前記検知手段がグリッドを検知した場合には前記グリッド縞低減手段による処理を行い、前記検知手段がグリッドを検知しなかった場合には前記散乱線成分低減手段による処理を行うように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
これにより、様々な撮影条件のもとで撮影された放射線画像に対して、散乱線の影響を低減するための適切な画像処理を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置を含む院内システムの構成を例示する図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を例示する図である。
図3】本発明の実施形態に係る処理の第一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る処理の第二例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る処理の第三例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る画像処理装置によって出力されるモニタ表示を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に基づいて本発明の実施形態に係る画像処理装置を含む院内システム100について説明する。実施形態の1つに係る画像処理装置は、放射線撮影システム120に含まれる制御部106に対応する。院内システム100は、放射線画像を含む医用画像を統合的に管理し、診療に供するための情報システムである。院内システム100は、たとえばHIS(Hospital Information System)109と、RIS(Radiography Information System)110と、WS(Work Station)111と、PACS(Picture Archiving and Communication System)112と、Viewer113と、Printer114とを有する。HIS109は患者情報や放射線撮影による検査等を含む診療情報を総合的に管理するシステムである。RIS110は放射線撮影のオーダを管理するシステムである。WS111は画像処理端末であり、放射線撮影システム120で撮影された放射線画像に画像処理を施す。WSは同様の機能を有するソフトウェアをインストールした一又は複数のコンピュータで代替してもよい。PACS112は放射線撮影システム120での放射線撮影やその他の医用画像撮影装置で得られた画像を保持するデータベースシステムである。PACS112は医用画像及び係る医用画像の撮影条件や患者情報等の付帯情報を記憶する記憶部と、当該記憶部に記憶される情報を管理するコントローラとを有する。Viewer113は、画像診断用の端末であり、PACS112等に記憶された画像を読み出し、診断のために表示する。Printer114はたとえばフィルムプリンタであり、PACS112等に記憶された画像をフィルムに出力する。
【0014】
放射線撮影システム120は、放射線撮影を行い、放射線画像を得るための撮影系を含むシステムである。放射線撮影システム120では、放射線としてたとえばX線を用いる。放射線撮影システム120は、放射線発生装置の例であるX線源101と、FPD(Flat Panel Detector)102と、制御部106とを有する。これらはケーブルもしくは通信システムを介して接続される。制御部106はかかる放射線撮影を制御する。また、撮影された放射線画像に画像処理を施し、当該撮影の撮影条件や患者情報等を関連付ける。当該撮影のオーダはたとえばRIS110から制御部106に送信される。制御部106はRIS110からの入力情報に応じて撮影条件を不図示の記憶部から読み出す。制御部106は、たとえばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って情報を放射線画像と関連付け、放射線画像のデータ、患者情報、及び撮影条件等の情報を含むDICOM画像ファイルを生成する。制御部106は当該画像をWS111やPACS112に送信する。
【0015】
X線源101は、X線管、又は医用画像もしくは他の画像の取得に適した他の任意の放射線源であってもよい。高圧発生部105は、操作者が曝射スイッチを押下するとX線源101に高圧パルスを与え、被写体104が配置されている領域にX線を曝射させる。高圧発生部105は、制御部106からの制御に応じてX線源101に高圧パルスを与えるようにしてもよい。放射線画像の撮影にグリッド103を使用する場合は、FPD102と被写体104との間に配置される。被写体104を透過もしくは被写体の周囲を通過したX線は、X線検出器であるFPD102に入射する。FPD102は制御部106に制御され、入射したX線を電気信号に変換し、デジタル画像として制御部106に送信する。たとえば、FPD102は入射したX線を可視光に変換する蛍光体と、可視光を検出し、電気信号とするフォトダイオードと、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有する。別の例では、FPD102はX線を直接電気信号に変換するためのアモルファスセレンにより構成される変換部を有する。
【0016】
デジタル画像は制御部106やWS111で画像処理が施され、PACS112等に保存される。院内システム100に含まれる各部はバスやその他通信システムにより相互に接続されていればよく、各部を遠隔に設置することもできる。
【0017】
続いて、図2に基づいて本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を詳細に説明する。本発明の実施形態に係る画像処理装置は、院内システム100と接続されている制御部106であり、一又は複数のコンピュータで構成される。制御部106に含まれるコンピュータは、主制御部であるCPU(Central Processing Unit)201、記憶部であるRAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)205、SSD(Solid State Drive)206、グラフィック制御部であるGPU(Graphics Processing Unit)208、通信部であるNIC(Network Interface Card)203及び204、接続部であるUSB(Universal Serial Bus)207、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)209を有し、これらは内部バスにより通信可能に接続されている。CPU201は制御部106及びこれに接続する各部を統合的に制御する制御回路である。RAM202は制御部106及びこれに接続する各部における処理を実行するためのプログラムや、画像処理で用いる各種パラメータを記憶するためのメモリである。RAM202に展開されたプログラムに含まれる命令がCPU201で逐次実行されることにより、後述する画像処理が実現される。通信部はたとえば、第一のNIC203は放射線撮影を行う施設のアクセスポイントに接続し、第二のNIC204は院内システム100内の通信を中継するアクセスポイントに接続する。SSD206は上述したようなプログラムや、撮影により得られる放射線画像、付帯情報、その他各種パラメータが記憶される。USB207は操作部108と接続する。GPU208は画像処理ユニットであり、CPU201からの制御に応じて画像処理を実行する。画像処理の結果得られる画像はHDMI(登録商標)209を介してモニタ107に出力され、表示される。モニタ107及び操作部108はタッチパネルモニタに統合されていてもよい。
【0018】
SSD206に記憶されるプログラムは、たとえば撮影制御モジュール211と、通信制御モジュール212と、画像取得モジュール213と、出力モジュール214と、表示制御モジュール215と、画像処理モジュール220と、を含む。
【0019】
撮影制御モジュール211はCPU201に、放射線撮影から本発明の実施形態に係る画像処理の実行及び画像処理を施した補正画像の出力までを統合的に制御させるためのプログラムである。撮影制御モジュール211により、たとえば操作入力に応じた撮影条件の指定や、FPD102の状態を要求する信号の送信などが行われる。また、後述する各モジュールの処理結果に応じて、次の処理を決定し、対応するモジュールに処理を行わせる。たとえば、後述する画像処理モジュール220により画像処理が施された補正画像に基づいて、さらに散乱線成分低減モジュール223に処理を行わせるように制御する。撮影された放射線画像あるいは補正画像のコントラスト比に応じて散乱線成分を低減する程度を調節するように制御する。たとえば、補正画像のコントラスト比が所定の値に達していない場合には、さらに散乱線成分低減モジュール223による処理を行わせるように制御する。また別の例では、撮影条件を参照し、散乱線成分低減モジュール223に処理を行わせないように制御する。さらに別の例では、操作入力に応じて散乱線成分低減の程度を調節するように制御する。RIS110から入力される撮影条件のうち、管電圧、管電流、照射時間、撮影部位をRAM202又はSSD206に保持して、これらの一又は複数を利用して調節するように制御する。
【0020】
通信制御モジュール212は、第一のNIC203、第二のNIC204による通信を制御する。通信制御モジュール212により、たとえば操作部108からの入力に応じてFPD102を撮影可能な状態に遷移させるための信号を送信させる。
【0021】
画像取得モジュール213は、CPU201により実行されることにより、本発明の実施形態に係る画像処理に供する画像を取得する工程の制御を行う。たとえば、NIC203に、FPD102により撮影された放射線画像を受信させる。たとえば、NIC203に、FPD102により撮影された放射線画像を受信させる。放射線画像の受信において、データ量の小さい、放射線画像の縮小画像を先行的に受信させた後、放射線画像のうち当該縮小画像以外のデータを受信させて放射線画像の受信を完了させる。縮小画像は、たとえばFPD102の複数の放射線検出素子のうちの偶数列を読み出すなど、選択的に一部の素子から読み出した出力信号だけを用いて得られる。または、いくつかの素子をまとめて読みだしてもよい。読みだした画像を複数の小領域に分割して、小領域の代表知を用いて縮小画像としてもよい。あるいは、NIC203に、PACS112やその他ネットワーク上の記憶部(不図示)に記憶された放射線画像を受信させる。あるいは制御部106のSSD206やその他の記憶部(不図示)に記憶されている放射線画像を読み出す。また、本発明の実施形態に係る画像処理に供する前に、図示しないモジュールによって周知の画像処理を施すように制御してもよい。たとえば、鮮鋭度の調整や、階調処理のための解析を行った後に、グリッド縞低減処理あるいは散乱線成分低減処理を施し、階調処理を行う。
【0022】
画像処理モジュール220は、撮影された放射線画像に対して、グリッドの有無や撮影条件を考慮して、散乱線の影響を低減するための適切な画像処理をCPU201に実行させる。以下詳述する。
【0023】
検知モジュール221は、CPU201により実行されることにより、放射線画像の撮影にグリッドが使用されるか否かを検知し、検知の結果をRAM202又はSSD206に保持させる。たとえば、撮影された放射線画像に含まれる空間周波数成分を縦方向・横方向で解析し、グリッド縞に相当する空間周波数のピークの有無に基づいてグリッドが使用されたか否かを検知してもよい。あるいは、撮影条件を参照してグリッドが使用されるか否かを検知してもよい。グリッド103又はグリッド103を設置する筐体(不図示)に、機械的あるいは電磁気的な機構でグリッドが設置されたことを検知するセンサ(不図示)を設け、当該センサからの出力に基づいてグリッドが使用されたか否かを検知してもよい。特開2014−150844号公報に開示されているように、統計情報を用いて選択された領域からグリッドによる周期信号を検知するようにしてもよい。検知の方法はここに示した方法を複数用いてもよく、操作者が選択できるようにしてもよい。また、入力画像がDICOMファイルであった場合に、撮影に使用されたグリッドを示すタグの情報に基づいて検知してもよい。
【0024】
グリッド縞低減モジュール222は、CPU201により実行されることにより、放射線画像に含まれるグリッド縞を低減する。また、グリッド縞に起因するモアレを低減する。グリッド縞低減処理は、特許3903027号に開示の方法など、周知の方法で行えばよい。グリッド103又はグリッド103を設置する筐体(不図示)に設けられたセンサ(不図示)により、グリッドの配置の向きや、グリッドの放射線遮蔽物質の間隔に関する情報を得て、これを受信して利用してもよい。あるいは、グリッド103のみが設置された状態を取得した画像と、グリッド103を設置しないで取得した画像を取得し、この差分からグリッドの像を特定するようにしてもよい。差分から特定されたグリッドの像をSSD206に保持しておき、グリッド縞低減に利用してもよい。
【0025】
散乱線成分低減モジュール223は、CPU201により実行されることにより、放射線画像に含まれる散乱線成分を推定して低減する。たとえば、特許5388680号公報に開示されているように、被写体を透過した一次放射線から散乱線を近似的にモデル化した式に基づいた逐次近似計算により散乱線成分を推定する。別の例では、放射線画像に基づいて散乱線の挙動をシミュレーションして推定する。予め行ったシミュレーションの結果を撮影条件と関連付けてSSD206に保持しておき、これを参照して推定するようにしてもよい。また別の例では、一次放射線と散乱線の減弱率をグリッドの特性と関連付けてSSD206に保持しておき、これを参照して推定する。さらに、散乱線成分低減モジュール223は、撮影制御モジュールによって制御され、散乱線成分の低減の程度を調節する。
【0026】
出力モジュール214は、CPU201により実行されることにより、本発明の実施形態に係る画像処理を施してグリッド縞及び散乱線成分を低減した補正画像の出力を制御する。たとえば、出力モジュール214はモニタ107に補正画像を出力することにより、モニタ107に補正画像を表示させる。また、たとえばNIC204により補正画像をPACS112やPrinter114に出力する。これにより、PACS112に補正画像が保存され、Printer114によって補正画像がフィルム等に出力される。また、CPU201により制御部106内外のその他の記憶部に補正画像を出力させることにより記憶させてもよい。さらに、DICOM規格に則って種々の情報を関連付けて補正画像を出力することが好ましい。モダリティとは、患者を撮影し、医用画像を生成する画像生成装置であり、情報システム100においてはたとえばX線源101とFPD102とを含む放射線撮影システム120が該当する。このとき、Modalityタグ(0008,0060)としてDigital Radiographyを示すDXを関連付ける。動画撮影の場合にはRadio Fluoroscopyを示すRFを関連付ける。さらにPACS112に保存する場合にはServiceとObjectのPairを指定するタグであるSOP Class UID(0008,0016)タグとして、ObjectのDigital X−ray ImageとServiceのStorageの組合せを示す1.2.840.10008.5.1.4.1.1.1.1を関連付ける。出力モジュール214は、出力先に合わせて画像の形式を変更する処理を行う。
【0027】
表示制御モジュール215は、モニタ107に表示される内容を制御する。例えば、患者情報、撮影条件の情報、FPD102の状態を示す情報等をモニタ107に表示させる制御を行う。これらは、上述の補正画像とともに表示画面に表示される。
【0028】
出力制御モジュール214による補正画像をモニタ107に表示させる表示制御を、表示制御モジュール215で実行することとしてもよい。この場合表示制御モジュール215で、表示画面に撮影された放射線画像を表示させたり、補正画像を表示させたりする。図2に示した画像処理装置の構成要素の一部又は全部は、制御部106に固定されるものではなく、院内システム100に含まれていればよい。たとえば、上述の画像取得モジュール213、出力制御モジュール214、及び画像処理モジュール220を含む画像処理プログラムを実行可能な画像処理装置を、撮影制御モジュール211を実行する制御部106とは別に設けることとしてもよい。またたとえばWS111に一部または全部が含まれていてもよい。図2に示した画像処理装置の構成要素が異なる装置に重複して含まれていてもよく、操作者の指示に従って処理を行う装置を選択できるようにしてもよい。さらに、ネットワークを介して接続されたワークステーション、サーバ、記憶装置によって構成されていてもよく、必要に応じてこれらの装置と通信して本発明の実施形態に係る画像処理を行うようにしてもよい。各モジュールは、それぞれが独立したプロセッサ等の部品を備える回路であってもよいし、1つのプロセッサによりソフトウェア的に実現される機能であってもよい。
【0029】
次に、図3に基づいて本発明の実施形態に係る処理を詳細に説明する。下記の処理において、特に断りがない場合、処理の主体は、制御部106のCPU201またはGPU208である。
【0030】
ステップS301で、CPU201が、画像取得モジュール213を実行することにより、被写体に放射線を照射して撮影された放射線画像を取得する。当該撮影は、設定された撮影条件に基づき行われる。画像取得モジュール213がCPU201に実行されることにより、RIS110から入力された撮影条件を取得する。撮影条件には、撮像条件、照射条件、転送条件、画像処理条件、表示条件、出力条件などが含まれる。撮像条件とは、FPD102のゲインやビニング処理、蓄積時間に関する設定である。照射条件とは、X線源101の管電圧、管電流、X線照射時間に関する設定である。転送条件とは、FPD102から制御部106に撮影された放射線画像を転送する際の設定である。画像処理条件とは、各種の画像処理を行うか否か、処理の程度を指定するための設定である。表示条件とは、当該撮影の手法に適した内容をモニタ107に表示するための設定である。出力設定とは、撮影された放射線画像の出力先に関する設定である。当該撮影条件に基づき、撮影のプロトコルが決定される。当該プロトコルは撮影条件に基づいて自動的に選択されるようにしてもよいし、操作入力に基づいて決定されるようにしてもよい。FPD102が蓄積状態に移行すると、モニタ107にその旨を表示する。蓄積状態移行完了の表示を確認して操作者が曝射ボタンを押下し、X線が被写体102に曝射される。
【0031】
撮影された放射線画像は、本発明の実施形態に係る画像処理の対象である入力画像となる。別の例では、データ量の小さい縮小画像を取得し、これを本発明の実施形態に係る画像処理の対象である入力画像とする。これによれば、FPD102からのデータ送信と続く画像処理をより高速に行うことができる。また散乱線成分は低周波成分が主であるので、縮小画像から推定しても散乱線成分の推定精度に与える影響が小さい。
【0032】
また別の例では、撮影された放射線画像に周知の画像処理を施し、本発明の実施形態に係る画像処理の対象である入力画像とする。例えば、撮影された放射線画像に対して、FPD102の欠陥画素に関する補正を行う。さらに、後述するステップで階調変換を行うために、S301で当該入力画像の解析を行う。例えば、階調変換後の出力濃度値と対応付ける入力濃度値を該解析により設定しておく。
【0033】
ステップS302で、CPU201が検知モジュール221を実行することにより、放射線画像の撮影にグリッドが使用されるか否かを検知し、検知の結果をRAM202又はSSD206に保持する。たとえば、当該入力画像のある一方向について空間周波数成分を解析すると、当該方向と直交する向きにグリッド縞が存在するとき、グリッド縞の空間周波数帯域で強いレスポンスが存在する。このような解析を当該入力画像の縦方向、横方向に行えば、グリッド縞に相当する空間周波数成分の有無により、撮影にグリッドが使用されたか否かを検知できる。ここでは、たとえば図6の放射線画像601のような矩形状の放射線画像の長辺方向を「縦方向」、短辺方向を「横方向」とする。当該解析により得られた情報に基づいて、使用されたグリッドの種類を特定させてもよい。たとえばグリッド縞の周期に基づいてグリッドの格子比を取得することにより特定する。
【0034】
検知モジュール221は、グリッドの有無を示す情報を当該入力画像と関連付けて記憶部に保持させる。グリッドの有無を示す情報とは、たとえば0又は1あるいは整数値で示され、予め定められた保存領域に保持される情報である。グリッドが使用されると検知した場合には、RAM202又はSSD206に当該入力画像に関してグリッド「有」のフラグを格納する。グリッドの種類を併せて保持するようにしてもよい。グリッドが使用されないと検知した場合には、RAM202又はSSD206に当該入力画像に関してグリッド「無」のフラグを格納する。グリッドが使用されるか否かを区別可能であればよく、たとえばグリッドが使用されると検知した場合にグリッド「有」のフラグを格納するのみとしてもよい。別の例としては、当該入力画像がDICOMファイルであった場合には、使用されたグリッドを示すタグに、検知モジュール221により検知されたグリッドの種類を保持するようにしてもよい。グリッドが使用されると検知した場合にはステップS303に進み、グリッドが使用されないと検知した場合にはステップS304に進む。
【0035】
ステップS303で、CPU201がグリッド縞低減モジュール222を実行することにより、放射線画像に含まれるグリッド縞を低減する。たとえば、ステップS302において解析したグリッド縞に相当する空間周波数成分を抽出し、低減する。S304でグリッドの有無を示す情報に基づいて、当該入力画像がグリッドを使用して取得されたものであるかを確認するようにしてもよい。たとえば、予め定められた保存領域にグリッド「有」のフラグが格納されているかを確認する。当該入力画像がグリッドを使用して取得されたものであると確認できなかった場合、当該入力画像に対してグリッド縞低減処理を施す前に操作者にその旨を報知するようにしてもよい。すなわち、検知モジュール221は表示制御モジュール215に制御させ、モニタ106に「グリッドが使用されて撮影された画像ではない」ことを報知する画面を表示させる。
【0036】
ステップS304で、CPU201が散乱線成分低減モジュール223を実行することにより、放射線画像に含まれる散乱線成分を推定する。放射線画像には、X線源101からFPD102の各素子に直線的に到達した一次X線による一次X線成分に、被写体内で散乱した散乱X線による散乱X線成分が重畳している。入力画像をM、一次X線成分をP、散乱X線成分をSとすると、式1で表せる。
【0037】
M=P+S (式1)
たとえば、散乱X線成分Sを表す近似式を一次X線成分Pで表現すれば、式1をPについて解くことで散乱線成分を推定できる。散乱X線成分Sを一次X線成分Pで表現する近似式としては、式2が知られている。
【0038】
S=−PlnP (式2)
ステップS305で、CPU201が散乱線成分低減モジュール223を実行することにより、S304で推定された散乱線成分を放射線画像から低減する。このときCPUが撮影制御モジュール211を実行することにより、散乱線成分の低減の程度が調節される。たとえば、操作者の操作入力に応じて低減の程度を調節する。別の例では、当該入力画像の撮影条件をRIS110から取得し、RAM202又はSSD206に保持して参照して調節する。このとき、管電圧、管電流、照射時間、被写体のBMI(Body Mass Index)といった情報を取得する。すなわち、取得した情報から被写体に入射したX線量を取得し、式1、式2を用いた推定に利用する。また、BMIを参照し、当該入力画像が体厚の大きい被写体を撮影した放射線画像である場合には推定された散乱線成分を低減する度合いを大きくする。体厚の小さい被写体を撮影した放射線画像である場合には推定された散乱線成分を低減する度合いを小さくする。これにより、当該入力画像を観察する操作者にとって適切な画像処理を施すことができる。また、散乱線成分が当該入力画像に与える影響を考慮して、適切な画像処理を施すことができる。
【0039】
ステップS306で、CPU201は出力制御モジュール214を実行することにより、補正画像を出力する。S303、S304、S305で行われる処理に加えて、その他の画像処理を施した画像を補正画像として出力する。例えば、上述の処理で得られる画像に対し、S301で解析した結果に基づいて階調変換処理を施した画像を補正画像として出力する。階調処理を行うための解析を撮影された放射線画像が加工される前に行い、濃度変換等の処理を本発明の実施形態に係る画像処理を行った後の画像に対して行うことにより、より高速に処理を行うことができる。すなわち、本発明の実施形態に係る画像処理を行う前の画像に対して階調処理を行ってしまうと、たとえば、続く散乱線成分推定処理において推定される散乱線成分にも同じく階調処理を行ってから散乱線成分低減処理を行う必要があるため、計算にかかるコストが増加してしまう。S306では当該補正画像がPACS112に保存され、モニタ107に表示される。S304で推定された散乱X線成分を当該補正画像とは別の画像データあるいは画像ファイルとして、PACS112に保存してもよい。
【0040】
これにより、本発明の実施形態に係る画像処理装置は、放射線画像の撮影にグリッドが使用されるか否かに基づいて、放射線画像に適切な画像処理を施すことができる。
【0041】
次に、本発明の別の実施形態に係る処理を図4に基づいて説明する。本実施形態では、入力画像を解析し、散乱線成分低減処理を行うか否かを判定するためのステップを有する。下記の処理において、特に断りがない場合、処理の主体は、制御部106のCPU201またはGPU208である。ステップS401、S402、S403、S405、S407については、図3のステップS301、S302、S303、S304、S306とそれぞれ同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0042】
ステップS402で、CPU201が検知モジュール221を実行することにより、グリッドが使用されると検知した場合にはS403に進み、グリッドが使用されないと検知した場合にはS404に進む。
【0043】
ステップS404で、CPU201が撮影制御モジュール211を実行することにより、当該入力画像を解析する。解析の結果に基づき、散乱線成分低減処理を行うか否かを判定する。
【0044】
たとえば、当該入力画像のヒストグラムを取得してコントラスト比を取得する。コントラスト比が十分に高い場合、散乱X線が当該入力画像に与えている影響は軽微であると考えられ、散乱線成分低減処理を行わないこととし、S407に進む。予め閾値を設定しておいて、コントラスト比が所定の値に達していない場合には散乱線成分低減処理を行うこととし、S406に進む。これにより、画像の解析に基づいて、当該入力画像に散乱線成分が与える影響を考慮することができ、当該入力画像に対して適切な画像処理を施すことができる。
【0045】
また、当該入力画像の撮影条件をRIS110から取得し、RAM202又はSSD206に保持して参照することとしてもよい。たとえば、当該入力画像の撮影部位が手など四肢である場合には、散乱線が放射線画像に与える影響は軽微であると考えられるので、散乱線低減処理を行わないこととし、S407に進む。当該入力画像の撮影部位が胸部など厚みのある部位である場合には、散乱線成分低減処理を行うこととし、S406に進む。撮影部位に関する情報は、公知の撮影部位認識アルゴリズムを用いて当該入力画像を解析して取得してもよい。撮影部位によって散乱線成分が入力画像に与える影響が様々であることを考慮することにより、それぞれの入力画像に適した画像処理を施すことができる。
【0046】
散乱線成分低減処理を行うか否かの判定には、上述したコントラスト比を取得して判定する方法と撮影部位を参照して判定する方法やその他の公知の方法を併せて行うようにしてもよい。操作者が、判定に用いる方法を選択できるようにしてもよい。
【0047】
ステップS406で、CPU201が散乱線成分低減モジュール223を実行することにより、S405で推定された散乱線成分を放射線画像から低減する。このときCPU201が撮影制御モジュール211を実行することにより、低減の程度を調節する。低減の程度を、S404で解析したコントラスト比に応じて決定する。たとえば、コントラスト比が低いほど散乱線が当該入力画像に与える影響が大きいと考えられ、散乱線成分の低減の程度を大きくする。別の例では、操作者の操作入力に応じて低減の程度を決定する。
【0048】
これにより、本発明の別の実施形態に係る画像処理装置は、散乱線成分低減処理が必要な場合に散乱線成分低減処理を行うように制御することができ、放射線画像に対して適切な画像処理を施すことができる。
【0049】
次に、本発明のまた別の実施形態に係る処理を図5に基づいて説明する。本実施形態では、入力画像を解析して散乱線成分低減処理を行うかを判定するステップに加えて、グリッド縞低減処理あるいは散乱線成分低減処理を施した画像を解析して更に散乱線成分低減処理を行うかを判定するステップを有する。下記の処理において、特に断りがない場合、処理の主体は、制御部106のCPU201またはGPU208である。ステップS501、S502、S503、S507については、図3のS301、S302、S303、S306と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0050】
S502でグリッドが使用されると検知した場合には、S504に進む。グリッドが使用されないと検知した場合には、S503でグリッド縞低減処理を行い、S504に進む。
【0051】
S504では、CPU201が撮影制御モジュール211を実行することにより、当該入力画像又はS503でグリッド縞低減処理が行われた画像を解析する。S404と同様にして解析を行い、散乱線成分低減処理を行う場合にはS505に進み、行わない場合にはS507に進む。
【0052】
S505では、CPU201が散乱線成分低減モジュール223を実行することにより、放射線画像に含まれる散乱線成分を推定し、S506で散乱線成分を低減する。当該入力画像がS502でグリッドを使用しないと検知され、S504で散乱線成分低減処理を行うとされた場合には、S405と同様に散乱線成分の推定を行い、S406と同様に散乱線成分を低減する。S506で散乱線成分低減処理を行い、再びS504に進んで散乱線成分低減処理が行われた画像をS404と同様にして解析する。散乱線成分低減処理を行うと判定された場合には、S505、S506による処理を行い、S504に進んで画像解析を行う。一連の処理を、散乱線成分低減処理を行わないと判定され、S507に進むまでくりかえす。
【0053】
当該入力画像がS502でグリッドを使用すると検知され、S503でグリッド縞低減処理を行った画像についての、S505、S506での処理を説明する。グリッドは、被写体を透過した放射線のうち、散乱線を低減するほか、一次放射線も一部低減している。グリッドを使用しなかった場合の一次放射線をP、散乱線をS,グリッド縞をL、一次放射線のグリッド透過率をα、散乱線のグリッド透過率をβとすると、入力画像Mは式3で表せる。
【0054】
M=αP+βS+L (式3)
α及びβは使用するグリッドの特性によって定まる。入力画像Mにはグリッド縞が重畳しており、S503でグリッド縞低減処理が行われる。グリッド縞低減処理が行われた画像をM´とする。M´は式4で表される。
【0055】
M´=αP+βS (式4)
S505では、入力画像Mの撮影に使用されるグリッドに基づいてαとβを求め、S405と同様にしてSを推定する。S506では散乱線のグリッド透過率をβよりも小さい値β´とすることで、散乱線成分を低減できる。
【0056】
S506で散乱線成分低減処理を行い、再びS504に進んで散乱線成分低減処理が行われた画像をS404と同様にして解析する。散乱線成分低減処理を行うと判定された場合には、S505、S506による処理を行い、S504に進んで画像解析を行う。一連の処理を、散乱線成分低減処理を行わないと判定され、S507に進むまでくりかえす。
【0057】
本発明のまた別の実施形態に係る画像処理装置は、放射線画像の撮影にグリッドが使用されるか否か、散乱線成分が放射線画像に与える影響を十分に低減したか否か、に基づいて、放射線画像に対して適切な画像処理を施すことができる。
【0058】
本発明のさらに別の実施形態に係る処理を、図6に基づいて説明する。図6は本発明の実施形態に係る画像処理装置によって出力されるモニタ表示を例示する図である。領域601には、当該入力画像または補正画像を表示する。
【0059】
領域602には当該入力画像または補正画像に施す処理を選択するためのアイコンを表示する。たとえば、アイコン602aは、当該撮影に関する条件などの情報を表示させる処理を選択するためのアイコンである。アイコン602b〜602jは、当該入力画像または補正画像に施す画像処理を選択するためのアイコンである。アイコン602kは再撮影を行う処理を選択するためのアイコンである。アイコン602lは、当該撮影により得られた放射線画像が診断に適さない画像、いわゆる写損画像であると操作者が判定したときに、該放射線画像を診断に使用させないようにする処理を選択するためのアイコンである。操作者がアイコン602lを選択する操作入力を行ったとき、CPU201は表示制御モジュール215を実行して写損画像であると判定した理由を入力するための画面を表示させる。
【0060】
領域603はFPD102が放射線撮影可能な状態か否かを表示する。撮影制御モジュール211が、FPD102の状態を示す信号を受信した結果に基づいて表示制御モジュール215を制御し、放射線撮影が可能な状態であるときは「READY」と表示させ、放射線撮影に適さない状態であるときは「NOT READY」と表示させる。
【0061】
領域604には患者の氏名やID、年齢など患者に関する情報を表示する。
【0062】
領域605には、領域601に表示される放射線画像を撮影する際の撮影条件に関する情報を表示する。このとき領域606に、同一の患者の異なる撮影の撮影条件に関する情報を表示してもよい。
【0063】
領域610には、グリッド縞低減処理に関わる内容を表示する。領域620には、散乱線成分低減処理に関わる内容を表示する。操作者は、操作部108からチェックボックス611に操作を行うと、グリッド縞低減処理を行うように設定できる。同様にチェックボックス621に操作を行うと、散乱線成分低減処理を行うように設定できる。このとき、設定された機能に関わる領域は操作可能に表示し、設定されなかった機能に関わる領域はチェックボックス以外への操作を不可能に表示するようにすることが好ましい。操作可能な領域と操作不可能な領域を、たとえば色を変更するなどして区別可能に表示してもよい。設定された機能に関わる領域は表示しないようにしてもよいし、操作可能に表示するが操作入力があっても機能を発現しないように制御してもよい。
【0064】
グリッド縞低減処理を行うように設定されているとき、図5に基づいて説明すると、CPU201は撮影制御モジュール211を実行することにより、S503に進む。このとき、S502のグリッド検知をあわせて行うようにしてもよい。グリッド縞低減処理を行うように設定されているにも関わらず、S502でグリッドが使用されないと検知した場合には、撮影制御モジュール211は表示制御モジュール215を制御して、グリッドが使用されない旨を操作者に報知する画面を表示させるようにしてもよい。これにより、撮影にグリッドが使用されないにもかかわらずグリッド縞低減処理が行われて、被写体構造に関する成分を低減してしまう可能性を低下させることができる。領域612には使用されるグリッドの種類を入力できる。操作者の領域612への入力に基づいてS503の処理を行うこととしてもよい。領域612は予め入力しておいた複数のグリッドを選択可能に表示しても良い。撮影制御モジュール211は撮影条件を参照して、チェックボックス611、チェックボックス621への操作を制御してもよい。たとえば、撮影部位が四肢など一般的にグリッドを使用しない部位であった場合、グリッド縞低減処理を行うように設定する操作が行われたとき、表示制御モジュール215を起動してグリッドを使用しない部位の放射線画像であることを操作者に報知する画面を表示させてもよい。また、領域611を操作不可能に制御してもよい。
【0065】
同様に、散乱線成分低減処理を行うように設定されているとき、図5に基づいて説明すると、CPU201は撮影制御モジュール211を実行することにより、S504に進む。このとき、S502のグリッド検知をあわせて行うようにしてもよい。撮影にグリッドが使用されるにもかかわらず散乱線成分の推定が行われ、当該推定の精度が低下してしまう可能性を低下させることができる。領域622には、散乱線成分の低減の程度を操作者が入力できる。低減の程度を「効果」の枠に、たとえば十段階の数値で表現する。数値を操作者が直接入力してもよい。一段階ずつ増減させるアイコンを表示して当該アイコンを介して操作してもよい。数直線で表現し、数直線上に効果を示すアイコンを表示して該アイコンを介して操作してもよい。撮影制御モジュール211は操作者の領域622への入力に応じてS506での低減の程度を調節する。S504では操作入力に応じた低減の結果、所定のコントラスト比に達していない場合に、撮影制御モジュール211は表示制御モジュール215を制御して、低減の程度を高めることを操作者に推奨する画面を表示してもよい。これにより、適切な画像処理が施され、放射線画像の画質を向上できる。操作者が前述したコントラスト比の上限を予め設定しておき、所定の上限値以上には散乱線成分低減処理を行わないようにしてもよい。これにより、放射線画像の観察者にとって、より観察しやすい画質となる画像処理を選択できる。
【0066】
アイコン631は、行われている検査を保留する処理を選択するためのアイコンである。アイコン632は、領域601に表示されている放射線画像若しくは画像処理を施した画像をPACS112等に出力する処理を選択するためのアイコンである。当該処理及びアイコン632への操作入力は、当該検査が完了する前の段階でも行うことができる。アイコン633は当該検査を完了させる処理を選択するためのアイコンである。図3のフローチャートに基づいて説明すると、アイコン633への操作入力に応じてステップS306の処理が行われる。
【0067】
上述の実施形態における画像処理装置は単体の装置であったが、複数の情報処理装置を含む装置を互いに通信可能に組合せた画像処理システムで上述の処理を実行する形態も、本発明の実施形態に含まれる。あるいは複数のモダリティで共通のサーバ装置あるいはサーバ群で、上述の処理を実行することとしてもよい。この場合、当該共通のサーバ装置は実施形態に係る画像処理装置に対応し、当該サーバ群は実施形態に係る画像処理システムに対応する。情報システムあるいは画像処理システムを構成する複数の装置は所定の通信レートで通信可能であればよく、また同一の施設内あるいは同一の国に存在することを要しない。
【0068】
また、本発明の実施形態には、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムのコードを読みだして実行するという形態を含む。
【0069】
したがって、実施形態に係る処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明の実施形態の一つである。また、コンピュータが読みだしたプログラムに含まれる指示に基づき、コンピュータで稼働しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0070】
上述の実施形態を適宜組み合わせた形態も、本発明の実施形態に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6