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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221087(P2016-221087A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】認知症診断支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20161205BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   A61B10/00 H
   A61B5/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-112191(P2015-112191)
(22)【出願日】2015年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】寺田 委久
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA03
4C117XB20
4C117XE53
4C117XJ46
4C117XJ48
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象者に緊張感を与えることがなく、かつ、認知症診断のための判定のみを目的とした動作を行わせることがなく、これにより、正確な判定結果を得ることができ、判定の煩雑化を防ぐことができ、さらに、対象者に負担を強いることのない認知症診断支援システムを提供する。
【解決手段】対象者のスケジュールを記憶した記憶部14と、対象者の行動を継続的に検知する行動検知部11と、記憶部に記憶されたスケジュールと行動検知部による検知結果とを比較し、対象者がスケジュールのとおりに行動したか否かを判定する第1判定部13とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者のスケジュールを記憶した記憶部と、
前記対象者の行動を継続的に検知する行動検知部と、
前記記憶部に記憶された前記スケジュールと前記行動検知部による検知結果とを比較し、前記対象者が前記スケジュールのとおりに行動したか否かを判定する第1判定部とを備える
ことを特徴とする認知症診断支援システム。
【請求項2】
前記スケジュールは、時刻情報と、各時刻に対応する位置情報とを含み、
前記行動検知部は、前記対象者の位置を検知する位置検知部と、時刻を測定する時刻測定部とを備え、
前記第1判定部は、前記行動検知部が検知した、前記時刻と、その時刻における前記対象者の位置との組み合わせが、前記スケジュールの対応する時刻における前記位置情報と一致するか否かによって、前記対象者が前記スケジュールのとおりに行動したか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の認知症診断支援システム。
【請求項3】
前記第1判定部による判定結果において、所定期間において前記スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるか否かを判定する第2判定部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の認知症診断支援システム。
【請求項4】
前記第2判定部は、前記所定期間ごとに判定した、前記スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が増加したか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の認知症診断支援システム。
【請求項5】
前記スケジュールは、時間帯情報に関連づけられたイベントの情報を少なくとも1つを含み、
前記第1判定部は、前記スケジュールと前記行動検知部による検知結果との比較として、前記対象者がそれぞれの前記イベントの開催時間帯に開催場所にいたか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の認知症診断支援システム。
【請求項6】
外部機器と通信可能とする通信部を備え、
前記対象者が前記イベントの開催時間帯に前記開催場所にいないことを検知し、かつ、前記イベントの予定時間帯において、前記通信部を介して、前記イベントに対して所定の関係を有する者から連絡を受けたとき、前記第1判定部は、前記対象者が前記イベントに参加しなかったと判定することを特徴とする請求項5に記載の認知症診断支援システム。
【請求項7】
前記イベントに対して所定の関係を有する者からの連絡とは、前記イベントに参加した者からの連絡であり、
前記記憶部は、前記イベントの参加者の連絡先を記憶していることを特徴とする請求項6に記載の認知症診断支援システム。
【請求項8】
前記第2判定部による判定において前記スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるときに、前記対象者に報知する報知部を備えることを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の認知症診断支援システム。
【請求項9】
前記通信部は、前記第2判定部による判定において、前記スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるときに、予め定めた指定者に対して所定情報を送ることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の認知症診断支援システム。
【請求項10】
前記位置検知部は、画像記録装置、GPS受信機、加速度センサ、地磁気センサ、及び、ジャイロセンサの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項2から請求項9のいずれか1項に記載の認知症診断支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の行動を検知し、この検知結果と予定されたスケジュールとの比較結果に基づいて認知症診断に資する情報を提供する認知症診断支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の認知症診断支援システムは、対象者としての患者の個人情報に基づいて抽出された電子カルテ情報に基づいて、患者の認知症の症状レベルを特定し、この症状レベルに応じた質問と正解を生成し、この質問に対する患者の回答と正解を比較して正誤の判定を行い、この判定結果に基づいて認知症診断の支援を行うシステムである(0041段落〜0042段落参照)。
【0003】
特許文献2に記載の物忘れ自己診断システムは、記憶した言葉を思い出せるかを問う質問と、診断実施日の年月日と曜日を問う質問と、図形認識を問う質問との3つ質問に対する正答率に基づいて物忘れについて診断を行うシステムである(0015段落〜0023段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−282992号公報
【特許文献2】特開2003−79631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、認知症は緊張状態では一時的に改善するという報告があり、特許文献1の認知症診断支援システムや特許文献2の物忘れ自己診断システムのように対象者に対面して質問を行って回答させる方法では、対象者に緊張感を与えることによって正確な診断結果が得られない恐れがある。
【0006】
さらに、上述の従来のシステムでは、質問等の診断のみを目的とした行動をとらせる必要があるため、診断が煩雑となるとともに、対象者に負担をかけてしまうという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、対象者に緊張感を与えることがなく、かつ、認知症診断のための判定のみを目的とした行動をとらせることがなく、これにより、正確な判定結果を得ることができ、測定や処理の煩雑化を防ぐことができ、さらに、対象者に負担を強いることのない認知症診断支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の認知症診断支援システムは、対象者のスケジュールを記憶した記憶部と、対象者の行動を継続的に検知する行動検知部と、記憶部に記憶されたスケジュールと行動検知部による検知結果とを比較し、対象者がスケジュールのとおりに行動したか否かを判定する第1判定部とを備えることを特徴としている。
【0009】
この構成においては、対面して質問するのではなく、実際に行う行動に基づいて判定を行うため、対象者に緊張感を与えることがないため、対象者の現状に即した正確な判定結果を得ることができる。また、認知症診断のための判定のみを目的とした行動をとらせるのではないことから、対象者に負担を強いることがなく、かつ、判定の煩雑化を防ぐことができる。
【0010】
本発明の認知症診断支援システムにおいて、スケジュールは、時刻情報と、各時刻に対応する位置情報とを含み、行動検知部は、対象者の位置を検知する位置検知部と、時刻を測定する時刻測定部とを備え、第1判定部は、行動検知部が検知した、時刻と、その時刻における対象者の位置との組み合わせが、スケジュールの対応する時刻における位置情報と一致するか否かによって、対象者がスケジュールのとおりに行動したか否かを判定することが好ましい。
【0011】
これにより、対象者の行動を詳細に検知することができるため、より正確な判定を行うことができる。
【0012】
本発明の認知症診断支援システムにおいては、第1判定部による判定結果において、所定期間においてスケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるか否かを判定する第2判定部を備えることが好ましい。
【0013】
これにより、認知症ではない対象者が何らかの事情でスケジュールのとおりに行動できなかったケースなど、認知症を疑うべきでない場合を除外することが可能となり、信頼性が高く、正確な判定を行うことができる。
【0014】
本発明の認知症診断支援システムにおいて、第2判定部は、所定期間ごとに判定した、スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が増加したか否かを判定することが好ましい。
これにより、信頼性が高く、より正確な判定を行うことができる。
【0015】
本発明の認知症診断支援システムにおいて、スケジュールは、時間帯情報に関連づけられたイベントの情報を少なくとも1つを含み、第1判定部は、スケジュールと行動検知部による検知結果との比較として、対象者がそれぞれのイベントの開催時間帯に開催場所にいたか否かを判定することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、時刻ごとの個別の予定について判定するよりも、行動の検知を容易かつ正確に行うことができる。
【0017】
本発明の認知症診断支援システムは、外部機器と通信可能とする通信部を備え、対象者がイベントの開催時間帯に開催場所にいないことを検知し、かつ、イベントの予定時間帯において、通信部を介して、イベントに対して所定の関係を有する者から連絡を受けたとき、第1判定部は、対象者がイベントに参加しなかったと判定することが好ましい。
【0018】
これにより、対象者がイベントに参加していないことの判定について信頼性を高めることができる。
【0019】
本発明の認知症診断支援システムにおいて、イベントに対して所定の関係を有する者からの連絡とは、イベントに参加した者からの連絡であり、記憶部は、イベントの参加者の連絡先を記憶していることが好ましい。
【0020】
これにより、対象者がイベントに参加していないことの判定について信頼性を高めることができる。
【0021】
本発明の認知症診断支援システムにおいては、第2判定部による判定において、スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるときに、対象者に報知する報知部を備えることが好ましい。
【0022】
これにより、スケジュールのとおりに行動したか否かの判定内容について対象者が容易に把握することができ、認知症の疑いの有無を簡便に知ることができる。
【0023】
本発明の認知症診断支援システムにおいて、通信部は、第2判定部による判定において、スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるときに、予め定めた指定者に対して所定情報を送ることが好ましい。
【0024】
これにより、対象者に認知症の疑いがあることを、対象者の親類や担当医師が知ることができ、対象者が自認しない場合にも認知症に対する対応を取ることが可能となる。
【0025】
本発明の認知症診断支援システムにおいて、位置検知部は、画像記録装置、GPS受信機、加速度センサ、地磁気センサ、及び、ジャイロセンサの少なくとも1つを備えることが好ましい。
【0026】
これにより、対象者の行動範囲、求められる測定精度、測定者の負担軽減等を考慮して位置検知部を構成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、対象者に緊張感を与えることがなく、かつ、認知症診断のための判定のみを目的とした行動をとらせることがないため、正確な判定結果を得ることができ、測定や処理の煩雑化を防ぐことができ、さらに、対象者に負担を強いることのない認知症診断支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る認知症診断支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る認知症診断支援システムの処理の流れを示すフローチャートである。
図3】第2実施形態に係る認知症診断支援システムの構成を示すブロック図である。
図4】第2実施形態に係る認知症診断支援システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態に係る認知症診断支援システムについて図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0030】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る認知症診断支援システム10の構成を示すブロック図である。図1に示すように、認知症診断支援システム10は、位置検知部11と、時計部12と、判定部13と、記憶部14と、制御部15と、報知部16とを備える。認知症診断支援システム10は、全ての構成要素を1つの筐体内に収めて対象者が携帯する構成も可能であるが、施設内で行動する対象者の行動を検知する場合には、一部又は全ての構成要素を施設に設置された固定機として設け、残りの構成要素を携帯機として対象者が携帯するような構成も可能である。このように固定機と携帯機に分ける場合には、相互にデータの通信を可能とするための通信装置をそれぞれが有し、携帯機側には、対象者を特定する識別情報が保存され、この識別情報を携帯機側から受信した固定機は、携帯機を所持する対象者を特定することができる。
【0031】
位置検知部11は、GPS(全地球測位システム)衛星からの電波を受信するGPS受信機を有し、受信した電波に基づいて対象者の位置情報を継続的に測定し、測定結果を制御部15へ出力する。また、時刻測定部としての時計部12は、例えば電波時計であって、時刻情報を継続的に制御部15へ出力する。位置検知部11によって測定された位置情報、及び、時計部12から出力された時刻情報は、制御部15において互いに関連づけられて記憶部14に保存される。位置検知部11と時計部12は、対象者の行動を継続的に検知する行動検知部を構成し、対象者の行動の検知として、位置検知部11によって対象者の位置情報を測定し、時計部12によって時刻情報を取得する。
【0032】
なお、位置検知部11としては、GPS受信機のほか、例えば、(1)加速度センサと地磁気センサの組み合わせ、(2)地磁気センサとジャイロセンサの組み合わせ、(3)加速度センサとジャイロセンサの組み合わせ、(4)これら(1)〜(3)のいずれかとGPS受信器の組み合わせで構成することもできる。また、対象者が施設内で行動する場合には、画像記録装置として施設の複数箇所に設けたカメラが撮影した映像に基づいて対象者の位置を特定してもよい。ここで用いるカメラは、静止画撮影用のカメラ、及び動画撮影用のカメラのどちらでもよい。また、位置検知部11が検知する位置は、経度と緯度からなる座標が好ましいが、施設内での位置を検知する場合は、施設内の各部屋や通路等にそれぞれ固有のアドレスを付してこれを検知する形としてもよい。対象者が施設の各部屋に入った否かの検知は、例えば、部屋の入口や室内に設けたセンサ、例えば赤外線センサによって行う。
【0033】
記憶部14は、記憶回路や、ハードディスク等の記憶媒体であって、制御部15に内蔵された形態であってもよいし、各構成部材から独立した形態でもよい。記憶部14には、対象者のスケジュールが予め記憶されている。
【0034】
ここで、スケジュールは、認知症診断だけのためのものではなく、実際に行う活動のスケジュールであって、時刻情報と、各時刻に対応する位置情報との組み合わせを少なくとも1つ含む。スケジュールとしては、例えば、(1)ある時刻と、この時刻に対応して設定された個別の予定との組み合わせや、(2)ある時刻から別の時刻までの時間帯の情報と、その時間帯に行われるイベントの情報との組み合わせがある。このイベント情報には、位置情報として、イベントの開催場所の情報が含まれる。また、記憶部14には、イベント情報として、イベントへの参加者の氏名や連絡先も保存される。また、スケジュールは、複数のイベントのみで定義してもよく、この場合、各イベントの間の時間帯は、行動検知を行わないブランク時間としてもよい。
【0035】
判定部13と制御部15は演算回路であって、例えばパーソナルコンピュータのCPU(中央処理装置)を用いることができる。判定部13と制御部15は共通の回路で構成してもよい。判定部13は、第1判定部と第2判定部を構成するが、第1判定部と第2判定部は共通の回路で構成してもよいし、別の回路で構成してもよい。
【0036】
判定部13は、第1判定部として、記憶部14に記憶されたスケジュールと、位置検知部11及び時計部12による測定結果とを比較し、対象者がスケジュールのとおりに行動したか否か、別言するとスケジュールと対象者の行動との間にミスマッチがあったか否かを判定する。より具体的には、スケジュールとして予定された、時刻・位置に対象者がいることを検知したときに、その時刻の個別の予定については、スケジュールのとおりに行動したものと判別する。また、スケジュールとしてイベントが設定してある場合は、位置検知部11及び時計部12により、対象者がイベントの予定時間帯に開催場所にいたことが検知されたときは、そのイベントに関しては、対象者がスケジュールのとおりに行動したものと判定する。
【0037】
判定部13は、スケジュールと対象者の行動との間にミスマッチがあった回数を所定期間ごとにカウントする。この所定期間は例えば1日である。さらに、判定部13は、ミスマッチがあった回数を所定期間におけるイベントや個別の予定の数で割ることによりミスマッチの割合を算出する。ミスマッチの回数と割合は、所定期間ごとに記憶部14に保存される。
【0038】
判定部13は、第2判定部として、記憶部14に保存されたデータを参照し、所定期間においてスケジュールのとおりに行動しなかった回数や割合が閾値以上であるか否かを判定する。この閾値としては、例えば、スケジュールやイベントの回数の10%、又は、これに対応する回数が好ましく、例えば、スケジュールに10のイベントが含まれる場合に、閾値を10%又は1回に設定する。
【0039】
また、判定部13は、所定期間においてスケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合を、前記所定期間ごとに比較し、スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が増加したか否かを判定する。この比較は、直前の所定期間との比較、例えば当日と前日との比較でもよいし、複数の期間の平均値、例えば当日と直前10日間の平均値との比較でもよい。
【0040】
制御部15は、位置検知部11及び時計部12から出力されたデータを受け取り、判定部13の判定動作を制御するとともに判定部13による判定結果を受け取り、記憶部14に対するデータの保存と記憶部14からのデータの読み出しを行い、さらに、報知部16に対して報知処理の指示を行う。
【0041】
報知部16は、第2判定部による判定において、スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるとき、又は、スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が増加したときに、認知症の疑いがあるものとして、所定の警告音、警告メッセージ、警告画像などによって、対象者に報知する。報知部16は、例えば、スピーカ、液晶画面、複数のLED(発光ダイオード)で構成する。
【0042】
なお、第1判定部によって、スケジュールのとおりに行動しなかったことが判定されるたびに、その旨を報知部16に報知させてもよい。
【0043】
図2は、認知症診断支援システム10の処理の流れを示すフローチャートである。認知症診断支援システム10においては、所定期間にわたって、位置検知部11及び時計部12によって、対象者の行動を継続的に検知して、その行動の検知結果を記憶部14に記憶させ、この所定期間が経過するごとに図2に示す処理を実行する。
【0044】
まず、判定部13は、第1判定部として、記憶部14に記憶された、スケジュールと行動検知結果を経過時間を追って比較し、予定されていた時刻又は時間帯に予定されていた場所にいたかどうかを判定し、いなかった場合はミスマッチがあったものとしてミスマッチの回数をカウントし、スケジュール内のすべてのイベントや個別の予定のうちミスマッチのあった割合を算出する(ステップS11)。判定部13は、所定期間について、スケジュールと行動検知結果との比較が終了したところで、スケジュールと行動のミスマッチがあった場合(ステップS11でYES)、第2判定部として、ミスマッチの割合が閾値以上であるか否かを判定し、閾値以上であるときは、直前の所定期間、例えば前日にあったミスマッチの割合と当日のミスマッチの割合を比較して、増加したか否かを判定する(ステップS12)。この判定の結果、ミスマッチの割合が増加している場合(ステップS12でYES)、制御部15は報知部16に対して、認知症の疑いがある旨の警告を通知させる(ステップS13)。なお、上記ステップS12においては、ミスマッチの割合が閾値以上であるか否かの判定を省略し、ミスマッチの割合が増加したか否かを判定するようにしてもよい。
【0045】
これに対して、上記ステップS11でスケジュールと行動にミスマッチがなかった場合(ステップS11でNO)、及び、上記ステップS12でミスマッチの割合が増加していない場合(ステップS12でNO)には処理を終了する(ステップS14)
以上のように構成されたことから、第1実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0046】
(1)記憶部14に記憶されたスケジュールと、位置検知部11と時計部12からなる行動検知部による検知結果とを比較することによって認知症診断のための判定を行うため、対象者に判定のみのための行動をとらせることがないため、判定の煩雑化を防ぐことができる。また、対象者に対面して質問等を行うことがなく、対象者の実際の行動に基づいて判定を行うことから、対象者に緊張感を与えたり、負担を強いることがなくなることから、認知症診断のための正確な判定結果を得ることができる。
【0047】
(2)位置検知部11が検知した位置と時計部12が測定した時刻との組み合わせを用いて、対象者がスケジュールのとおりに行動したか否かを判定するため、簡易な構成で正確な判定を行うことが可能となる。
【0048】
(3)スケジュールが、時間帯情報に関連づけられたイベントの情報を少なくとも1つを含み、対象者がそれぞれのイベントの開催時間帯に開催場所にいたか否かによって対象者の行動を判定する場合には、位置と時刻の検知を簡易かつ正確に行うことができるため、判定処理の負担を軽減することが可能となる。
【0049】
(4)所定期間においてスケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるか否かによって対象者の行動を判定するため、認知症を疑うべきでないケースを除外可能となることから、信頼性が高く、正確な判定を行うことができる。
【0050】
(5)所定期間ごとについて判定した、スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が増加したか否かによって対象者の行動を判定するため、過去の履歴を踏まえた、信頼性が高く、正確な判定を行うことができる。
【0051】
(6)スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるときに、対象者に報知するため、対象者が自身の状態を容易に把握することができる。
【0052】
<第2実施形態>
第2実施形態においては、通信部を備える点が第1実施形態と異なる。図3は、第2実施形態に係る認知症診断支援システム20の構成を示すブロック図である。図3に示すように、認知症診断支援システム20は、位置検知部21と、時計部22と、判定部23と、記憶部24と、制御部25と、報知部26と、通信部27とを備える。通信部27以外の構成は第1実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0053】
通信部27は、外部機器との通信を可能とする構成部材であって、例えば、送受信アンテナ、送受信回路、変調回路、A/D変換回路、信号処理回路を含む。認知症診断支援システム20は、例えば、スマートフォンその他の通信可能な携帯情報端末で構成することができ、その場合は通信機能部分が通信部27を構成する。通信部27が通信可能な外部機器は、例えば、携帯情報端末やパーソナルコンピュータである。通信部27と外部機器との間で通信があった場合、制御部25は、外部機器を特定する情報、例えば電話番号やメールアドレスを記憶部24に記憶させるほか、時計部22から出力される時刻データに基づいて、通信開始時刻と通信終了時刻を記憶部24に記憶させる。この場合の通信には、外部の電話機から通信部27に対する呼び出し及び通話の双方を含む。
【0054】
判定部23は、第1実施形態における判定部13が行う判定に加えて、位置検知部21と時計部22からなる行動検知部によって、対象者がイベントの開催時間帯に開催場所にいないことが検知され、かつ、イベントの予定時間帯において、通信部27を介して、イベントに対して所定の関係を有する者から連絡を受けたとき、第1判定部として、対象者がイベントに参加しなかったと判定する。ここで、イベントに対して所定の関係を有する者とは、イベントに参加した者、参加予定者、又は当該イベントのカテゴリと同じカテゴリに属する者である。このカテゴリは、例えば仕事、娯楽、トレーニングなどがあり、カテゴリに属する者としては、例えば会社員、友人、トレーニングジムの受付員などが挙げられる。このような所定の関係を有する者については、あらかじめ、記憶部24に連絡先、例えば電話番号やメールアドレスが記憶されている。
【0055】
また、通信部27は、第2判定部としての判定において、スケジュールのとおりに行動しなかった回数又は割合が閾値以上であるときに、予め定めた指定者に対して所定情報を送る。指定者とは、例えば、対象者の親類や担当医師であり、送信される所定情報には、判定結果や、行動の検知結果や、対象者が認知症のおそれがある旨が含まれる。
【0056】
図4は、認知症診断支援システム20の処理の流れを示すフローチャートである。認知症診断支援システム20においては、第1実施形態の認知症診断支援システム10と同様に、所定期間にわたって位置検知部21及び時計部22によって、対象者の行動を継続的に検知して、その行動の検知結果を記憶部24に記憶させ、この所定期間が経過するごとに図4に示す処理を実行する。
【0057】
まず、判定部23は、第1判定部として、記憶部24に記憶された、スケジュールと行動検知結果を経過時間を追って比較し、予定されていた時刻又は時間帯に予定されていた場所にいたかどうかを判定し、いなかった場合はミスマッチがあったものとしてミスマッチの回数をカウントし、スケジュール内のすべてのイベントや個別の予定のうちミスマッチのあった割合を算出する(ステップS21)。判定部23は、所定期間について、スケジュールと行動検知結果との比較が終了したところで、スケジュールと行動のミスマッチがあった場合(ステップS21でYES)、判定部23は記憶部24を参照して、そのミスマッチが発生していた時間帯に、外部の電話機(外部機器)から着信があったかどうかを確認する(ステップS22)。このミスマッチ中に外部の電話機から着信があった場合(ステップS22でYES)は、第2判定部として、ミスマッチの割合が閾値以上であるか否かを判定し、閾値以上であるときは、直前の所定期間、例えば前日にあったミスマッチの割合と当日のミスマッチの割合を比較する(ステップS23)。この比較の結果、ミスマッチの割合が増加している場合(ステップS23でYES)、制御部25は報知部26に対して、認知症の疑いがある旨の警告を通知させる(ステップS24)。
【0058】
なお、上記ステップS22において、ミスマッチ中に外部の電話機からの着信があった場合、判定部23は、発信元の電話番号を、記憶部24に予め記憶させておいて電話番号と照合する。発信元の電話番号が記憶部24に記憶させていた電話番号と合致したときは、その電話はミスマッチのあったイベントや個別の予定の参加者からの催促である可能性が高いため、対象者がスケジュールのとおりに行動しなかったか否かの判定の信頼性を高めることができる。
【0059】
これに対して、上記ステップS22において、ミスマッチ中の着信が記憶部24に予め記憶された電話番号でない場合、報知部26へ表示するなどにより、その電話番号の電話機がミスマッチのあったイベントや個別の予定の関係者からのものであるかどうかを尋ねることとしてもよい。これに対して、対象者、対象者の親類、担当医師などが、ミスマッチ中の着信の発信元がイベントや個別の予定の関係者からのものであることを確認したときは、上記ステップS22において、ミスマッチ中に着信があったものとして処理を進めることが好ましい。
【0060】
なお、上記ステップS23においては、ミスマッチの割合が閾値以上であるか否かの判定を省略し、ミスマッチの割合が増加したか否かを判定するようにしてもよい。
【0061】
一方、上記ステップS21でスケジュールと行動にミスマッチがなかった場合(ステップS21でNO)、上記ステップS22でミスマッチ発生中に記憶部24に予め記憶させた者からの着信がなかった場合(ステップS22でNO)、及び、上記ステップS23でミスマッチの割合が増加していない場合(ステップS23でNO)には処理を終了する(ステップS25)。
【0062】
第2実施形態の認知症診断支援システム20によれば、通信部27を設けて外部機器との通信を可能としたことにより、ミスマッチ発生中にイベントや個別の予定の参加の催促の連絡を受けることができるようになり、これによって、対象者がスケジュールのとおりに行動したか否かの判定の精度を高めることが可能となった。
なお、その他の作用、効果、変形例は第1実施形態と同様である。
【0063】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明に係る認知症診断支援システムは、対象者に負担や緊張感を与えることなく、正確な判定結果を得ることができる点で有用である。
【符号の説明】
【0065】
10、20 認知症診断支援システム
11、21 位置検知部(行動検知部、位置検知部)
12、22 時計部(行動検知部、時刻測定部)
13、23 判定部(第1判定部、第2判定部)
14、24 記憶部
15、25 制御部
16、26 報知部
27 通信部
図1
図2
図3
図4