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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221158(P2016-221158A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】電気かみそり
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/16 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   B26B19/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-113233(P2015-113233)
(22)【出願日】2015年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉武 厚
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敬介
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056EE05
(57)【要約】
【課題】摩擦を軽減しながら切断刃を往復動させて、ひげ切断を効果的に行うことができ、長期使用時にも的確に切断刃を往復動することができる電気かみそりを提供する。
【解決手段】モーター10の回転動力をかみそりヘッド2に設けた切断刃9に終段ギヤ対を介して伝動する。終段ギヤ対は、切断刃9の切断刃軸9aに連結される終ギヤ19と、終ギヤ19に噛合う駆動ギヤ18を備えている。終ギヤ19のギヤ歯21の受圧歯面側に往動歯面22と復動歯面23を形成し、駆動ギヤ18が終ギヤ19を回転駆動するとき、往動歯面22および復動歯面23に生じるスラスト力で終ギヤ19を往復駆動して、切断刃9を回転駆動しながら往復動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター(10)の回転動力をかみそりヘッド(2)に設けた切断刃(9)に終段ギヤ対を介して伝動する電気かみそりであって、
終段ギヤ対は、切断刃(9)の切断刃軸(9a)に連結される終ギヤ(19)と、終ギヤ(19)に噛合う駆動ギヤ(18)を備えており、
駆動ギヤ(18)と終ギヤ(19)の噛合い部分に、終ギヤ(19)に回転中心軸方向のスラスト力を作用させるスラスト駆動構造が設けられており、
切断刃(9)を駆動ギヤ(18)で回転駆動しながら、スラスト駆動構造で往復動させることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
スラスト駆動構造が、駆動ギヤ(18)のギヤ歯(20)および/または終ギヤ(19)のギヤ歯(21)に設けた往動歯面(22)と復動歯面(23)で構成されており、
往動歯面(22)の動力伝動時には、終ギヤ(19)を両ギヤ歯(20・21)の間で生じるスラスト力で往動変位させ、
復動歯面(23)の動力伝動時には、往動変位した終ギヤ(19)を両ギヤ歯(20・21)の間で生じるスラスト力で往動変位方向とは逆向きに復動変位させる請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
往動歯面(22)と復動歯面(23)を互いに逆向きに傾斜させて、往動変位と復動変位を確動的に行う請求項2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
駆動ギヤ(18)のギヤ歯(20)および/または終ギヤ(19)のギヤ歯(21)に形成した、往動歯面(22)の数と復動歯面(23)の数が同数に設定してある請求項2または3に記載の電気かみそり。
【請求項5】
駆動ギヤ(18)のギヤ歯(20)および/または終ギヤ(19)のギヤ歯(21)に、往動歯面(22)と復動歯面(23)を少なくとも2組以上設けて、終ギヤ(19)が1回転するときに切断刃(9)を2回以上往復動させる請求項4に記載の電気かみそり。
【請求項6】
スラスト駆動構造が平歯車と、ギヤ歯(31)の歯列中心軸(P)が回転中心軸に対して傾斜させてある歯列傾斜ギヤで構成されており、
駆動ギヤ(18)と終ギヤ(19)のいずれか一方が平歯車で形成され、他方が歯列傾斜ギヤで形成してある請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項7】
平歯車で形成した駆動ギヤ(18)または終ギヤ(19)の歯幅(B1)が、歯列傾斜ギヤで形成した駆動ギヤ(18)または終ギヤ(19)の軸心方向の回転領域幅(B3)より大きく設定してある請求項6に記載の電気かみそり。
【請求項8】
歯列傾斜ギヤの加圧歯面(32)が外突状の湾曲面で形成してある請求項6または7に記載の電気かみそり。
【請求項9】
歯列中心軸(P)の傾斜角度(θ)が0度を越え、45度未満である請求項6から8のいずれかひとつに記載の電気かみそり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動される切断刃を振動させるための起振構造を備えている電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気かみそりは、例えば本出願人の提案に係る特許文献1に公知である。そこでは、ロータリー式の内刃の両側面に設けた半球状の微小突起と、微小突起と正対する軸受壁に設けたガイドピンとで起振機構を構成している。微小突起は周方向へ一定間隔おきに配置してあり、片方の微小突起が対応するガイドピンを乗り越えるとき、内刃はガイドピンから遠ざかる向きに右移動し、他方の微小突起が対応するガイドピンを乗り越えるとき、内刃はガイドピンから遠ざかる向きに左移動する。このように、内刃を回転駆動しながら左右移動させることにより、内刃に引切り作用を発揮させて切れ味を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−81710号公報(段落番号0027、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気かみそりにおいては、回転する微小突起をガイドピンで相対的に押出し操作して、内刃を機械的かつ強制的に左右移動させている。こうした起振機構では、微小突起とガイドピンの間に大きな摩擦抵抗が生じるため、比較的早期にガイドピンや微小突起が摩耗しやすい。また、ガイドピンや微小突起が摩耗するのに伴って、徐々に内刃の左右方向の移動ストロークが小さくなって、引切り効果が薄れやすい。起振機構を備えていない電気かみそりに比べて、起振機構の回転抵抗の分だけ消費電力量が増加し、微小突起がガイドピンに衝突するときの叩打音が連続して発生する不具合もある。
【0005】
本発明の目的は、摩擦を軽減しながら切断刃を往復動させて、ひげ切断を効果的に行うことができ、長期使用時にも的確に切断刃を往復動することができる電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、従来の起振構造に比べてより簡素な構造で切断刃を往復動することができ、従って引切り機能を備えているにもかかわらず低コスト化できる電気かみそりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気かみそりは、モーター10の回転動力をかみそりヘッド2に設けた切断刃9に終段ギヤ対を介して伝動する。図1に示すように、終段ギヤ対は、切断刃9の切断刃軸9aに連結される終ギヤ19と、終ギヤ19に噛合う駆動ギヤ18を備えている。駆動ギヤ18と終ギヤ19の噛合い部分に、終ギヤ19に回転中心軸方向のスラスト力を作用させるスラスト駆動構造を設ける。切断刃9を駆動ギヤ18で回転駆動しながら、スラスト駆動構造で往復動させることを特徴とする。
【0007】
スラスト駆動構造は、駆動ギヤ18のギヤ歯20および/または終ギヤ19のギヤ歯21に設けた往動歯面22と復動歯面23で構成する。往動歯面22の動力伝動時には、終ギヤ19を両ギヤ歯20・21の間で生じるスラスト力で往動変位させる。また、復動歯面23の動力伝動時には、往動変位した終ギヤ19を両ギヤ歯20・21の間で生じるスラスト力で往動変位方向とは逆向きに復動変位させる。
【0008】
往動歯面22と復動歯面23を互いに逆向きに傾斜させて、往動変位と復動変位を確動的に行う。
【0009】
駆動ギヤ18のギヤ歯20および/または終ギヤ19のギヤ歯21に形成した、往動歯面22の数と復動歯面23の数を同数に設定する。
【0010】
駆動ギヤ18のギヤ歯20および/または終ギヤ19のギヤ歯21に、往動歯面22と復動歯面23を少なくとも2組以上設けて、終ギヤ19が1回転するときに切断刃9を2回以上往復動させる。
【0011】
スラスト駆動構造は平歯車と、ギヤ歯31の歯列中心軸Pが回転中心軸に対して傾斜させてある歯列傾斜ギヤで構成する。駆動ギヤ18と終ギヤ19のいずれか一方を平歯車で形成し、他方を歯列傾斜ギヤで形成する。
【0012】
平歯車で形成した駆動ギヤ18または終ギヤ19の歯幅B1を、歯列傾斜ギヤで形成した駆動ギヤ18または終ギヤ19の軸心方向の回転領域幅B3より大きく設定する。
【0013】
歯列傾斜ギヤの加圧歯面32は外突状の湾曲面で形成する。
【0014】
歯列中心軸Pの傾斜角度θは0度を越え、45度未満とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電気かみそりにおいては、駆動ギヤ18と終ギヤ19の噛合い部分にスラスト駆動構造を設けて、終ギヤ19に回転中心軸方向のスラスト力を作用させることにより、切断刃9を回転駆動しながら往復動できるようにした。こうした電気かみそりによれば、切断刃9を常に安定した状態で往復駆動して、引切り作用を発揮させることができるので、ひげ切断を効果的に行うことができる。また、駆動ギヤ18と終ギヤ19の噛合い動作を利用してスラスト力を発生させるので、従来の起振機構に比べて、スラスト駆動構造を簡素化できるので、引切り機能を備えている電気かみそりでありながら、その製造に要するコストを低コスト化できる。
【0016】
駆動ギヤ18および/または終ギヤ19のギヤ歯20・21に設けた往動歯面22と復動歯面23で構成したスラスト駆動構造によれば、往動歯面22の動力伝動時に終ギヤ19を回転駆動しながら往動変位でき、復動歯面23の動力伝動時に終ギヤ19を回転駆動しながら復動変位できる。詳しくは、ギヤ歯20・21の往動歯面22における駆動力の分力によるスラスト力で終ギヤ19を往動変位させ、復動歯面23における駆動力の分力によるスラスト力で終ギヤ19を復動変位できる。このように、往動歯面22および復動歯面23の噛合い動作を利用して終ギヤ19を往動変位させ、あるいは復動変位させると、従来の起振機構とは異なり、摩擦を軽減しながら切断刃9を往復動できる。さらに、往動歯面22および復動歯面23の噛合い動作を利用して終ギヤ19を往復変位させるので、ギヤ歯20・21が早期に摩耗するのを解消して、長期使用時にも的確に切断刃9を往復動させて、切断刃9の引切り効果を維持し続けることができる。
【0017】
往動歯面22と復動歯面23を互いに逆向きに傾斜させて、往動変位と復動変位を確動的に行うと、終ギヤ19および切断刃9を滑らかに、しかも機械的かつ強制的に往復駆動することができる。これに伴い、終ギヤ19および切断刃9を常に一定の往復ストロークで強制的に往復駆動できるので、切断刃9による引切り作用をさらに的確に発揮させて、ひげ切断時の切れ味を向上できる。
【0018】
ギヤ歯20・21に形成した往動歯面22の数と復動歯面23の数を同数に設定すると、切断刃9が1回転するときの往動回数と復動回数を同数にして、引切り作用を整数回発揮することができる。また、往動変位と復動変位の間隔が等間隔に設定してある場合には、モーター10に作用する負荷変動を定周期化して、より滑らかに終ギヤ19および切断刃9を往復駆動できる。
【0019】
ギヤ歯20・21に、往動歯面22と復動歯面23を少なくとも2組以上設けると、終ギヤ19が1回転するときに切断刃9を2回以上往復動できるので、切断刃9による引切り効果を向上して、ひげ切断を効率よく行うことができる。例えば、切断刃9の駆動回転数が数千rpmである場合には、その2倍以上の回数分だけ切断刃9で引切りを行って、効果的にひげ切断を行える。
【0020】
平歯車と歯列傾斜ギヤでスラスト駆動構造を構成し、駆動ギヤ18と終ギヤ19のいずれか一方を平歯車で形成し、他方を歯列傾斜ギヤで形成すると、歯列傾斜ギヤが半回転するごとに逆向きのスラスト力を発生させて切断刃9を往復駆動できる。歯列傾斜ギヤが1回転する状態では、加圧歯面と受圧歯面の接当位置が連続して変化し、歯列傾斜ギヤが半回転するごとに、ギヤ歯31の歯列中心軸Pの傾斜姿勢が逆向きになって、終ギヤ19に対して往動方向のスラスト力と復動方向のスラスト力が作用する。このように、平歯車と歯列傾斜ギヤの噛合い動作を利用して終ギヤ19を往動変位させ、あるいは復動変位させると、従来の起振機構に比べて、スラスト駆動構造を簡素化できるので、引切り機能を備えている電気かみそりでありながら、その製造に要するコストを低コスト化できる。さらに、平歯車と歯列傾斜ギヤの噛合い動作を利用して終ギヤ19を往復変位させるので、ギヤ歯20・21が早期に摩耗するのを解消して、長期使用時にも的確に切断刃9を往復動させて、切断刃9の引切り効果を維持し続けることができる。
【0021】
平歯車で形成した駆動ギヤ18または終ギヤ19の歯幅B1を、歯列傾斜ギヤで形成した駆動ギヤ18または終ギヤ19の軸心方向の回転領域幅B3より大きく設定すると、平歯車と歯列傾斜ギヤの噛合い量を常に均等化して、駆動ギヤ18の回転動力を終ギヤ19にばらつきなく伝動できる。
【0022】
例えば、歯列傾斜ギヤのギヤ歯が駆動ギヤ18である場合に、駆動ギヤ18のギヤ歯形が単にインボリュート歯形で形成してあると、駆動ギヤ18の歯列が左右に傾斜する状態において、ギヤ歯31の前端あるいは後端が終ギヤ31の受圧歯面と接当する。また、駆動反力がギヤ歯31の前端あるいは後端に集中して摩滅しやすくなり、伝動効率が低くなる。しかし、歯列傾斜ギヤの加圧歯面32が外突状の湾曲面で形成してあると、加圧歯面と受圧歯面の接当位置を外突状の湾曲面に沿って前後方向へ変化させることができるので、ギヤ歯31の前端あるいは後端に駆動荷重や駆動反力が集中して作用するのを解消できる。従って、ギヤ歯31の前端あるいは後端の摩滅を解消しながら、駆動ギヤ18から終ギヤ19へ回転動力を効率よく伝動できる。
【0023】
歯列中心軸Pの傾斜角度θは0度を越え、45度未満とするのは、傾斜角度θが0度であるとスラスト力を発生できないからである。また、傾斜角度θが45度に近づくほど、駆動ギヤ18のギヤ歯20に大きなスラスト反力が作用して摩滅しやすいからである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例1に係る終段ギヤ対を示す側面図である。
図2】実施例1に係る電気かみそりの正面図である。
図3】実施例1に係る電気かみそりの動力伝動構造を示す正面図である。
図4図1におけるA−A線断面図である。
図5】終段ギヤ対における往動歯面と復動歯面の配置パターンとスラスト方向を示す展開図である。
図6】本発明の実施例2に係る終段ギヤ対の正面図と終段ギヤ対の側面図である。
図7】実施例3から実施例8に係る往動歯面と復動歯面の配置パターンを示す展開図である。
図8】実施例9から実施例13に係る往動歯面と復動歯面の配置パターンを示す展開図である。
図9】実施例14に係る動力伝動構造と終段ギヤ対を示す正面図である。
図10図9におけるB−B線断面図である。
図11】実施例14に係る駆動終ギヤが回転した状態を示す正面図である。
図12図11におけるC−C線断面図である。
図13】実施例15に係る電気かみそりの概略構造を示す正面図である。
図14】実施例16に係る電気かみそりの概略構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1ないし図5は、本発明に係る電気かみそりの実施例1を示す。本発明における前後、左右、および上下とは、図2に示す交差矢印、および方向を示す文字表示に従うものとする。図2において、電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けたかみそりヘッド2を備えている。本体ケース1の内部には2次電池(電池)3および制御基板(図示していない)などを収容し、ケース前面にスイッチノブ4が設けてある。
【0026】
かみそりヘッド2には、ヘッドケース5と、同ケース5に装着される外刃ユニット8が設けてあり、これら両者5・8の内部に切断刃(内刃)9と、モーター10と、モーター10の回転動力を切断刃9に伝動する伝動構造を設けている。切断刃9は、水平軸(横軸)回りに回転駆動されて、外刃ユニット8に固定した外刃12と協同した回転せん断作用でひげ切断を行う。ヘッドケース5は、図示していないフロートばねで浮動支持されているので、かみそりヘッド2の全体は本体ケース1に対して、前後、左右、上下、および斜めの全方位方向へ傾動できる。外刃ユニット8は、キャップ状の外刃ホルダー11と、外刃ホルダー11に装着した網刃状の外刃12からなり、外刃12は外刃ホルダー11で逆U字状に保形してある。外刃ホルダー11は、先のヘッドケース5に着脱可能に装着されて、図示していないロック構造で分離不能に固定してある。切断刃9は、切断刃軸9aと、同軸9aに固定される複数個の円板と、円板の周囲に固定される網目状の切刃9bで構成してある。切刃9bの刃面は、切断刃軸9aの回転中心軸線に対して傾斜させてある。切断刃9の切断刃軸9aは、逆門型の内刃ホルダー13で回転自在に支持してある
【0027】
切断刃9と外刃12による回転せん断作用によるひげ切断時に、引切り作用によってひげ切断を行うために、先の伝動構造を利用してスラスト駆動構造を構成し、切断刃9を回転中心軸に沿って往復駆動できるようにしている。図3において伝動構造は、モーター10の出力軸に固定される第1ギヤ15と、切断刃軸9aに固定される終ギヤ19と、第1ギヤ15と終ギヤ19の間に配置される3個のギヤ16・17・18で構成してある。スラスト駆動構造は、先のギヤトレインのうち、終ギヤ19と、同ギヤ19に噛合う駆動ギヤ18とからなる終段ギヤ対で構成してあり、これらのギヤ18・19の噛合い部分で切断刃9に回転力と回転中心軸方向のスラスト力を作用させて、切断刃9を回転駆動しながら往復動している。第1ギヤ15から第3ギヤ17と駆動ギヤ18は、それぞれ通常の平歯車で形成してある。終ギヤ19は基本的に平歯車であるが、図1に示すように各ギヤ歯21の受圧歯面側に往動歯面22と復動歯面23を形成する点が通常の平歯車と異なっている。
【0028】
詳しくは、図5(a)の展開図に示すように往動歯面22と復動歯面23は、隣接するギヤ歯21の受圧歯面側に互いに逆向きに傾斜する状態で交互に形成してある。そのため、往動歯面22が駆動ギヤ18で駆動される状態では、駆動ギヤ18から終ギヤ19に加わる駆動力の分力によるスラスト力で、終ギヤ19は図4に矢印で示すように左向きに往動変位する。また、復動歯面23が駆動ギヤ18で駆動される状態では、復動歯面23に作用する駆動力の分力によるスラスト力で、右向きに復動変位する。このように、終ギヤ19は往動方向と復動方向に確動的に変位して切断刃9を往復動させる。終ギヤ19が1回転するときに、終ギヤ19が受けるスラスト力の方向の変化を図5(b)に示している。終ギヤ19が往復変位する場合に、駆動ギヤ18のギヤ歯20が終ギヤ19のギヤ歯21の側端からはみ出るのを防ぐために、終ギヤ19のギヤ歯21の歯幅B1は、駆動ギヤ18のギヤ歯20の歯幅B2より大きく設定してある。
【0029】
以上のように、終ギヤ19を往復動させると、回転しながら往復動する切断刃9の切刃9bで引切りを行って、ひげ切断を行うときの切れ味を向上できる。また、駆動ギヤ18で終ギヤ19を駆動するときに発生するスラスト力で切断刃9を確動的に往復駆動するので、従来の起振機構とは異なり、各ギヤ歯21に形成した往動歯面22あるいは復動歯面23、あるいはギヤ歯20の歯面が早期に摩耗するのを解消できる。従って、電気かみそりの使用期間が長期にわたる場合でも、的確に切断刃9を往復動させて、引切り効果を維持し続けることができる。
【0030】
また、ギヤ歯21に往動歯面22と復動歯面23を形成して、切断刃9を往復動させるので、従来の起振機構に比べて、より簡素な構造で引切り作用を発揮でき、引切り機能を備えている電気かみそりでありながら、その製造に要するコストを低コスト化できる。また、往動変位と復動変位を確動的に行って、引切り効果を確実に発揮できるので、ひげ切断を効率よく行うことができる。この実施例では、終ギヤ19の歯数を10とし、往動歯面22と復動歯面23を交互に5個ずつ設けるので、切断刃9が1回転する間に切断刃9を5回往復動できる。
【0031】
図6は実施例2に係る電気かみそりを示している。そこでは、実施例1における第1ギヤ15から第3ギヤ17を省略し、モーター10の回転動力を巻掛け伝動構造で終段ギヤ対の駆動ギヤ18に伝動した。巻掛け伝動構造は、モーター10の出力軸に固定したタイミングプーリー26と、駆動ギヤ18のギヤ軸に固定したタイミングプーリー27と、これら両プーリー26・27に巻掛けたタイミングベルト28で構成する。また、この実施例では、終段ギヤ対を構成する終ギヤ19を通常の平歯車で形成し、駆動ギヤ18の各ギヤ歯20に往動歯面22と復動歯面23を形成してスラスト駆動構造とした。往動歯面22と復動歯面23は、隣接するギヤ歯20の加圧歯面側に互いに逆向きに傾斜する状態で交互に形成した。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。この実施例から理解できるように、往動歯面22と復動歯面23は、終段ギヤ対を構成する駆動ギヤ18と終ギヤ19のいずれか一方に設けてあればよい。しかし、必要があれば、はすば歯車状に駆動ギヤ18と終ギヤ19の双方に往動歯面22と復動歯面23を形成することができる。
【0032】
往動歯面22と復動歯面23の配置パターンは、図7(a)〜図7(f)に示すように種々に変更することができる。図7(a)〜図7(f)では、10個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)の全てに、復動歯面23または往動歯面22を形成している。
実施例3に係る図7(a)では、10個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)のうち、隣接する5個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、残る5個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に往動歯面22を形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するごとに、切断刃9を1回往復動できる。このように、往動歯面22と復動歯面23を同数個ずつ設けると、終ギヤ19が1回転するときに、切断刃9を1回往復動できる。
実施例4に係る図7(b)では、2個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)ごとに、復動歯面23と往動歯面22を交互に形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するとき、切断刃9を復動方向へ3回、往動方向へ2回交互に変位させて2回往復動できる。
【0033】
実施例5に係る図7(c)では、隣接する2個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、残る8個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に往動歯面22と復動歯面23を交互に形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するとき、切断刃9を4回往復動できる。
実施例6に係る図7(d)では、隣接する4個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、残る6個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に往動歯面22を形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するとき、切断刃9を1回往復動できるが、往動歯面22の数が多い分だけ往動変位位置における休止時間が、復動変位位置における休止時間より僅かに長くなる。
【0034】
実施例7に係る図7(e)では、1個目、2個目、6個目、9個目、10個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、3個目〜5個目、および7個目と8個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に往動歯面22を形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するとき、切断刃9を2回往復動でき、往復動の間隔は不規則になる。
実施例8に係る図7(f)では、1個目、2個目、6個目、7個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、3個目〜5個目、および8個目〜10個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に往動歯面22を形成した。つまり、隣接する2個の復動歯面23と、隣接する3個の往動歯面22を交互に形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するとき、切断刃9を2回往復動でき、往復動の間隔は不規則になる。
【0035】
往動歯面22と復動歯面23の配置パターンは、図8(a)〜図8(e)に示すように種々に変更することができる。図8(a)〜図8(e)では、10個のギヤ歯21(またはギヤ歯20)の一部に限って、復動歯面23または往動歯面22を形成した。
実施例9に係る図8(a)では、奇数個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、偶数個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)は、通常のギヤ歯として形成した。この歯面配置パターンの場合には、復動歯面23に押された切断刃9または終ギヤ19が、内刃ホルダー13の軸受部に衝突し、衝突反力で往動方向へ僅かに戻った終ギヤ19が、再び復動歯面23で復動方向へ移動する動作を繰り返して、切断刃9を往復動させる。切断刃9は終ギヤ19が1回転するとき5回往復動する。なお、終ギヤ19および切断刃9をばねで往動変位位置へ向かって移動付勢して、切断刃9を往復動させてもよい。
実施例10に係る図8(b)では、1個目、5個目、9個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、3個目、7個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に往動歯面22を形成した。残るギヤ歯21(またはギヤ歯20)は、通常のギヤ歯として形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するとき、切断刃9を2回半往復動できる。
【0036】
実施例11に係る図8(c)では、1個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、6個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に往動歯面22を形成した。残るギヤ歯21(またはギヤ歯20)は、通常のギヤ歯として形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するとき、切断刃9を1回だけ往復動できるが、往動変位と復動変位は均等な間隔をあけて行われる。
実施例12に係る図8(d)では、1個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、2個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に往動歯面22を形成した。残るギヤ歯21(またはギヤ歯20)は、通常のギヤ歯として形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するとき、切断刃9を1回だけ往復動できるが、往動変位位置で休止する時間が長い。
【0037】
実施例13に係る図8(e)では、1個目と3個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に復動歯面23を形成し、2個目と4個目のギヤ歯21(またはギヤ歯20)に往動歯面22を形成した。残るギヤ歯21(またはギヤ歯20)は、通常のギヤ歯として形成した。この歯面配置パターンによれば、終ギヤ19が1回転するとき、切断刃9を2回往復動したのち、往動変位位置で休止する。
【0038】
図9ないし図12は実施例14に係る電気かみそりを示している。そこでは、実施例1と同様に、モーター10の回転動力を第1ギヤ15と、第2ギヤ16と、第3ギヤ17で終段ギヤ対に伝動して、切断刃9を回転駆動するようにした。この実施例では、図9に示すように歯列傾斜ギヤからなる駆動ギヤ18と、平歯車からなる終ギヤ19で終段ギヤ対を構成してスラスト駆動構造とした。図9に示すように歯列傾斜ギヤは、駆動ギヤ18のギヤ歯31の歯列中心軸Pが回転中心軸に対して傾斜させてあり、その加圧歯面32は図12に示すように外突状の湾曲面で形成してある。こうしたスラスト駆動構造によれば、駆動ギヤ18で終ギヤ19を駆動するとき、駆動ギヤ18が半回転するごとに逆向きのスラスト力を発生させて、切断刃9を往復駆動できる。歯列中心軸Pの傾斜角度θは0度を越え、45度未満であることが好ましく、この実施例では傾斜角度θを20度とした。傾斜角度θが0度であるとスラスト力を発生できない。また、傾斜角度θが45度に近づくほど、駆動ギヤ18のギヤ歯31に大きなスラスト反力が作用して摩滅しやすい。
【0039】
歯列傾斜ギヤからなる駆動ギヤ18は、個々のギヤ歯31と終ギヤ19のギヤ歯21の噛合う位置が常に変化する。そのため、駆動ギヤ18が半回転するごとに、ギヤ歯31の歯列の姿勢が、図9に実線で示す状態と想像線で示す状態の間で変化する。また、ギヤ歯31の歯列の姿勢が、実線で示す状態から想像線で示す状態へ変化する場合には、終ギヤ19は往動方向のスラスト力を受けて往動変位する。逆に、ギヤ歯31の歯列の姿勢が、想像線で示す状態から実線で示す状態へ変化する場合には、終ギヤ19は復動方向のスラスト力を受けて復動変位する。従って、切断刃9は終ギヤ19が1回転する間に1回だけ往復動でき、これにより、回転しながら往復動する切断刃9の切刃9bで引切りを行って、ひげ切断を行うときの切れ味を向上できる。
【0040】
上記のように、駆動ギヤ18の歯列が左に傾斜する状態と右に傾斜する状態のいずれの場合にも、駆動ギヤ18のギヤ歯31と終ギヤ19のギヤ歯21の噛合い量を均等化するために、終ギヤ19の歯幅B1を駆動ギヤ18の歯列の回転領域幅B3より大きく設定している。同じ理由で、第3ギヤ17の歯幅を終ギヤ19の歯幅B1と同じにしている。また、駆動ギヤ18が単にインボリュート歯形で形成してある場合には、駆動ギヤ18の歯列が左右に傾斜する場合に、ギヤ歯31の前端あるいは後端が終ギヤ31の受圧歯面と接当して、駆動反力がギヤ歯31の前端あるいは後端に集中して摩滅しやすく、伝動効率が低くなる。こうした、歯列傾斜ギヤに特有の問題を解消するために、歯列傾斜ギヤの加圧歯面32を外突状の湾曲面で形成して、加圧歯面と受圧歯面の接当位置を外突状の湾曲面に沿って前後方向へ変化させ、ギヤ歯31の前端あるいは後端に駆動荷重や駆動反力が集中して作用するのを解消している。これに伴い、ギヤ歯31の前端あるいは後端の摩滅を解消しながら、駆動ギヤ18から終ギヤ19へ回転動力を効率よく伝動できる。
【0041】
図13は、本発明に係るスラスト駆動構造を、切断刃(内刃)9が垂直軸(縦軸)まわりに回転駆動される電気かみそりに適用した実施例15を示している。そこでは、モーター10の回転動力を、第1ギヤ15と第2ギヤ16で終段ギヤ対の駆動ギヤ18に伝動し、終ギヤ19のギヤ歯21の受圧歯面に往動歯面22と復動歯面23を交互に形成してスラスト駆動構造とした。このスラスト駆動構造によれば、終ギヤ19が1回転する間に、切断刃9を複数回往復動させて、切断刃9が外刃12を介して肌面を叩くことができる。外刃12で肌面を叩くことにより、くせ毛や肌面に倒れ込んでいるひげを動かして外刃12の刃穴内へ導入できるので、切断刃9によるひげ切断を効果的に行うことができる。
【0042】
図14は、本発明に係るスラスト駆動構造を、切断刃(内刃)9が垂直軸(縦軸)まわりに回転駆動される電気かみそりに適用した実施例16を示している。そこでは、モーター10の回転動力を、第1ギヤ15と第2ギヤ16と第3ギヤ17と第4ギヤ34で終段ギヤ対の駆動ギヤ18に伝動した。また、ギヤ歯31の歯列中心軸Pが回転中心軸に対して傾斜させてある歯列傾斜ギヤからなる駆動ギヤ18と、平歯車からなる終ギヤ19で終段ギヤ対を構成してスラスト駆動構造とした。このスラスト駆動構造によれば、実施例14で説明したスラスト駆動構造と同様に、駆動ギヤ18で終ギヤ19を駆動するときに発生するスラスト力で切断刃9を往復駆動できる。終ギヤ19と第4ギヤ34の歯幅B1は、駆動ギヤ18の歯列の回転領域幅B3より大きく設定してある。
【0043】
上記の実施例では、終ギヤ19を切断刃軸9aに固定したが、その必要はなく終ギヤ19は切断刃軸9aに対して分離可能に連結してあってもよい。本発明は外刃12を備えていない電気かみそりに適用してもよい。実施例14では、駆動ギヤ18を歯列傾斜ギヤで形成したが、終ギヤ19を歯列傾斜ギヤで形成し、駆動ギヤ18は平歯車で形成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 本体ケース
2 かみそりヘッド
9 切断刃(内刃)
9a 切断刃軸
10 モーター
12 外刃
18 駆動ギヤ
19 終ギヤ
20 駆動ギヤのギヤ歯
21 終ギヤのギヤ歯
22 往動歯面
23 復動歯面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14