特開2016-221239(P2016-221239A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-221239チップを使用した爪被覆層の形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221239(P2016-221239A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】チップを使用した爪被覆層の形成方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 31/00 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   A45D31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-255952(P2015-255952)
(22)【出願日】2015年12月28日
(31)【優先権主張番号】特願2015-87110(P2015-87110)
(32)【優先日】2015年4月4日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504211913
【氏名又は名称】ヴィアン・ヴィアン ユニオン有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096758
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114845
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 雅和
(74)【代理人】
【識別番号】100148781
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友和
(72)【発明者】
【氏名】兼光 章子
(57)【要約】
【課題】爪被覆層を平滑に仕上げ、かつ爪の適切な箇所が光重合タイプのジェル剤または化学重合タイプのアクリル剤により覆われることによって、爪被覆剤が本来持っている強度を備えた爪被覆層を形成する方法を提供すること。
【解決手段】アーチ状曲面を有する合成樹脂製の板状基材の下面に光硬化型又は化学反応硬化型の爪被覆剤を塗布する工程と、板状基材を爪にあわせて上から被せることで板状基材の裏側のアーチ状曲面を仕上がり面とする被覆工程と、板状基材を爪に被せた状態で爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成する工程と、板状基材を人手で剥離する工程からなる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーチ状曲面を有する合成樹脂製の板状基材の下面に光硬化型又は化学反応硬化型の爪被覆剤を塗布する工程と、
板状基材を爪にあわせて上から被せることで板状基材の裏側のアーチ状曲面を仕上がり面とする被覆工程と、
板状基材を爪に被せた状態で爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成する工程と、
板状基材を人手で剥離する工程からなることを特徴とする爪被覆層の形成方法。
【請求項2】
光硬化型又は化学反応硬化型の爪被覆剤を爪上に塗布する工程と、
アーチ状曲面を有する合成樹脂製の板状基材を爪にあわせて上から被せることで板状基材の裏側の曲面を仕上がり面とする被覆工程と、
板状基材を爪に被せた状態で爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成する工程と、
板状基材を人手で剥離する工程からなることを特徴とする爪被覆層の形成方法。
【請求項3】
アーチ状曲面を有し、装着される爪側の端部において、相対する端部へ向けて半円状の凹みを有する合成樹脂製の補助チップを爪の下に装着する工程と、
補助チップを爪に装着した状態で、爪被覆剤を爪及び補助チップ上に塗布する工程と、
爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成する工程とからなる工程と、
爪被覆剤の硬化後に補助チップを人手で剥離する工程を含むことを特徴とする爪被覆層の形成方法。
【請求項4】
爪被覆層を形成する被覆工程が、
アーチ状曲面を有し、装着される爪側の端部において、相対する先端へ向けて半円状の凹みを有する合成樹脂製の補助チップを爪の下に装着し、板状基材と補助チップにより爪及び爪被覆剤を上下から挟むことにより爪被覆層を被覆する構成からなり、
爪被覆剤の硬化後に板状基材及び補助チップを人手で剥離する工程を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の形成方法。
【請求項5】
爪被覆剤の塗布工程が、板状基材の端部及び側部を除いた位置又は爪のネイルプレート位置に、爪被覆剤を溜まりとして置くことからなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の形成方法。
【請求項6】
被覆工程において、爪のキューティクル位置と接しない位置に板状基材の端部を接し、爪の先端へ向けて徐々に爪被覆剤を押し出しながら板状基材を被せることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の形成方法。
【請求項7】
予め爪装飾材を爪被覆剤に含ませるか、合成樹脂製の板状基材の下面にデザイン素材を施す工程をさらに備え、爪被覆層の形成と同時にデザインを形成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の形成方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の形成方法に使用可能な合成樹脂部材であて、アーチ状曲面を有し爪を被覆可能な形状を備え、
爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成した後に、爪被覆剤から剥離を可能にするための剥離素材を含んでいることを特徴とする板状基材。
【請求項9】
請求項3に記載の形成方法に使用可能な合成樹脂部材であって、アーチ状曲面を有し、指の先端と爪の間に装着可能な形状を備え、爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成した後に、爪被覆剤から剥離を可能にするための剥離素材を含み、端部において、相対する端部へ向けて半円状の凹みを有していることを特徴とする補助チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪装飾における爪被覆層の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の爪装飾における被覆層の形成は、筆や刷毛を使用して爪に直接光重合タイプのジェル剤または化学重合タイプのアクリル剤を塗り広げる方法が一般的である(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来の筆や刷毛を使用して平滑で美麗な爪被覆層を形成するには、専門的な知識と熟練した技術が必要であり、その習得には時間がかかることもサロンにおける人材育成の観点から問題であった。また、専門の技術者であっても被覆層の表面を平滑に仕上げられないといった問題がある。
【0004】
また、技術者が専門的な知識や技術を欠く場合、爪の適切な箇所に光重合タイプのジェル剤または化学重合タイプのアクリル剤を十分に塗布されないことがあり、爪被覆層が本来得られるべき強度が得られないといった問題がある。
【0005】
より詳述すると、既存の女性向けのネイル業における爪被覆層の形成については、光硬化型又は化学反応硬化型の合成樹脂が広く使用されている。このうち、光硬化型の素材としてはジェルと呼ばれる合成樹脂が使用されている。このジェルと呼ばれる光硬化性の合成樹脂は、一般的にアクリル系のモノマー、オリゴマー、光重合開始剤を含んで構成されており、紫外線又は可視光線により硬化する。しかし、ジェルによる爪被覆層の形成の場合、光硬化は酸素によって阻害されるため、表面は硬化されず、硬化されなかったジェルが残存する。この残存したジェルは、主として施術者が触れる可能性が高く、アレルギーを誘発する可能性があり、拭き取りなど排除する手間も必要となる。可視光線による硬化素材としては、例えば特許第5465934号に記載の人工爪組成物などが公開されている。化学反応硬化型の素材としては、例えばアクリル系のリキッドとパウダーからなり、両者を混合すると硬化剤が反応・重合し硬化するものなどが用いられている。
【0006】
従来の方法によれば、筆等で塗布し硬化する工程を数回繰り返すことで数層に渡り塗布し、トップ処理をして完成させる。この時、一般的には薄い層で構成されることが多いが、中浮きなどを避け、より持続性のある、接着強度や品質の高い被覆層を設ける場合には、略中央部に厚み(ハイポイント)を持たせることが好ましい。このハイポイントの形成のためには、筆を使い綺麗なフォルムで厚みを作れるように素材をコントロールして形状を成形する必要がある。さらに、爪の保護及び美観の向上の観点から、爪の上面だけではなく先端にも爪被覆剤が塗布されていることが好ましい。しかし、十分な厚みを持たせ、品質の良い美しい爪被覆層の形成にはかなりの経験と熟練が必要である。
【0007】
さらに、自爪よりも伸長した長い人工爪を形成しようとする場合、シール上の紙製フォームを装着し、筆で素材を塗布して長さ出し部分の土台を作ってから塗布・硬化工程を行う。この紙製フォームは例えば特開2012-29706号公報に公開されているようなものであるが、そもそも紙製フォームをうまく爪に合わせてカット・セッティングし、爪のカーブに合わせて適当なピンチを行うにはかなりの経験と熟練が必要である。そのため、出来映えは施術者により相当な相違が生じてしまう。
【0008】
いずれにしても、筆などで塗布を行う従来の方法においては、完全に平滑な表面を形成することは実質的に不可能である。このため、各層に塗布・硬化の工程を行った後、紙やすりなどを使用して、平滑に磨き上げる工程が必要となる。そして、人工爪に適切な強度を与えるためには、上述の通り略中央部に向けて十分な厚みを持たせる必要があるにもかかわらず、この視点を欠く施術者が多く、そもそも爪被覆層に十分な強度を与えることができない場合が多い。また、ハイポイントを有する、より綺麗なフォルムで品質の高い爪被覆層を形成しようとすると、表面の平滑さをより完全なものにするために、目の異なる紙やすりや研磨機具を何種類も使用して削る作業を何度も繰り返すことになる。この作業は、時間・労力だけでなく、深刻な問題を含んでいる。
【0009】
従来の施術工程において、爪被覆層を平滑なものにするためには、かなり目の細かい紙やすりも使用する必要がある。この際、粉塵が発生するが、この粉塵の粒子は非常に細かく、吸入した施術者及び被施術者の気道や肺胞に体内沈着する可能性があり悪影響を与えるのである。従来の方法によれば、高品質な爪被覆層を形成しようと思えば思うほど平滑に削る工程を何度となく繰り返すことになるため、時間・作業的な労力が大きいだけでなく、身体上への悪影響をもたらすという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】兼光アキ子監修“これ一冊でわかるネイルケア&ネイルアートの基本”、初版、マイナビ、平成26年3月20日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、爪被覆層を平滑に仕上げ、かつ爪の適切な箇所が光重合タイプのジェル剤または化学重合タイプのアクリル剤により覆われることによって、爪被覆剤が本来持っている強度を備えた爪被覆層を形成する方法を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、被覆作業を軽減し、時間と肉体的労力を削減するとともに、施術者の心身の安全を確保し、全体的な労力を削減しつつ、平滑かつ十分な強度を有し、良い状態を継続して保つことで爪へのダメージを軽減することのできる爪被覆層の形成を実現することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、自爪よりも伸長した長い人工爪の形成をより容易にし、施術時間を短縮化できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の爪被覆層の形成方法は、
アーチ状曲面を有する合成樹脂製の板状基材の下面に光硬化型又は化学反応硬化型の爪被覆剤を塗布する工程と、
板状基材を爪にあわせて上から被せることで板状基材の裏側のアーチ状曲面を仕上がり面とする被覆工程と、
板状基材を爪に被せた状態で爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成する工程と、板状基材を人手で剥離する工程からなる。
【0015】
また、本発明の爪被覆層の形成方法は、
光硬化型又は化学反応硬化型の爪被覆剤を爪上に塗布する工程と、
アーチ状曲面を有する合成樹脂製の板状基材を爪にあわせて上から被せることで板状基材の裏側の曲面を仕上がり面とする被覆工程と、
板状基材を爪に被せた状態で爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成する工程と、板状基材を人手で剥離する工程からなる。
【0016】
また、本発明の爪被覆層の形成方法は、
アーチ状曲面を有し、装着される爪側の端部において、相対する端部へ向けて半円状の凹みを有する合成樹脂製の補助チップを爪の下に装着する工程と、
補助チップを爪に装着した状態で、爪被覆剤を爪及び補助チップ上に塗布する工程と、
爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成する工程とからなる工程と、
爪被覆剤の硬化後に補助チップを人手で剥離する工程を含むことからなる。
【0017】
また、爪被覆層を形成する被覆工程が、
アーチ状曲面を有し、装着される爪側の端部において、相対する先端へ向けて半円状の凹みを有する合成樹脂製の補助チップを爪の下に装着し、板状基材と補助チップにより爪及び爪被覆剤を上下から挟むことにより爪被覆層を被覆する構成からなり、
爪被覆剤の硬化後に補助チップを人手で剥離する工程を含むことが好適である。
【0018】
また、爪被覆剤の塗布工程が、板状基材の端部及び側部を除いた位置又は爪のネイルプレート位置に、爪被覆剤を溜まりとして置くことからなることが好適である。
【0019】
また、被覆工程において、爪のキューティクル位置と接しない位置に板状素材の端部を接し、爪の先端へ向けて徐々に爪被覆剤を押し出しながら板状素材を被せることが好適である。
【0020】
また、予め爪装飾材を爪被覆剤に含ませるか、合成樹脂製の板状基材の下面にデザイン素材を施す工程をさらに備え、爪被覆層の形成と同時にデザインを形成することが好適である。
【0021】
さらに、本発明は上記の形成方法に使用可能な合成樹脂部材であって、
アーチ状曲面を有し爪を被覆可能な形状を備え、爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成した後に、爪被覆剤から剥離を可能にするための剥離素材を含んでいる板状基材からなる。また、上記の形成方法に使用可能な合成樹脂部材であって、アーチ状曲面を有し、指の先端と爪の間に装着可能な形状を備え、爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成した後に爪被覆剤から剥離を可能にするための剥離素材を含み、端部において、相対する端部へ向けて半円状の凹みを有していることを特徴とする補助チップ。
【0022】
本発明に係る被覆層の形成方法は、爪被覆剤である光重合タイプのジェル剤または化学重合タイプのアクリル剤と、形成したい被覆層の型となる合成樹脂製の板状基材(チップ)から構成されている。なお、本発明において、光硬化型又は化学反応硬化型の爪被覆剤とは、光重合タイプのジェル剤や、例えばリキッドとパウダー混合による化学重合タイプなど、粘着性や流動性を有し、塗布後硬化されるものを広く含む概念である。
【0023】
一般的にネイルチップと呼ばれるものは通常爪に装着してから上面(表面)に爪被覆剤を塗布するために用いられるが、本発明の板状基材は下面(裏側)を使用し、裏側の曲面を被覆層の仕上がり面となる型にすることで、平滑な被覆層を形成する。
【0024】
合成樹脂製の板状基材の裏側に爪被覆剤である光重合タイプのジェル剤または化学重合タイプのアクリル剤を塗布し、該板状基材を爪にあわせて上から被せることで被覆層を形成する。または、爪上に爪被覆剤である光重合タイプのジェル剤または化学重合タイプのアクリル剤を塗布し、合成樹脂製の板状基材を爪にあわせて上から被せることで被覆層を形成する。
【0025】
すなわち、一般的にネイルチップと呼ばれるものは、爪に接着して人工爪として使用される目的を本質的に有しており、爪被覆剤や爪本体との接着性が高く作られている。このため、ネイルチップとジェル(爪被覆剤)は両者とも人工爪として同じ用途に使用するが、それぞれ全く別の素材として把握されている。しかしながら、本発明者は、このような従来のネイルチップ・爪被覆剤に基づく発想を脱却し、爪被覆剤の硬化後にも人手で爪被覆剤を剥がせる、剥離性のある合成樹脂素材があり、この素材を使用した板状基材を爪被覆剤と併用して使用することで、爪被覆層の形成を行うことに到達したものである。
【0026】
したがって、本発明に使用される板状基材は、爪被覆剤の硬化後にも手でひねりを加えることなどにより爪被覆剤を剥がせる素材で構成される。この素材は、爪被覆剤との相性などにより素材選択の幅が変わるため、一種に限定されるものではなく、本発明の目的を達成する限り様々な材料を使用できる。経験的には、現在一般的に用いられているABS樹脂系のものではなく、ポリエチレン、PET等の剥離性能のある成分を含有するものが好適である。また、ジェルの被覆状況を把握するために、無色透明・無色半透明であることが好適である。また、形状としては爪に沿ったアーチ曲面を有したフォームを備えている。
【0027】
工程としては、まず板状基材の下面又は爪の表面に光硬化型又は化学反応硬化型の爪被覆剤を塗布する。そして、板状基材を爪にあわせて上から被せる。そして、板状基材を爪に被せた状態で爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成する。
【0028】
このとき、板状基材の裏側のアーチ状曲面がそのまま仕上がり面となる。したがって、労力は非常に削減されているにもかかわらず、表面の完全な平滑さと、アーチ状の曲面を同時に得ることが可能となる。しかも、研磨工程を介さない。この結果、粉塵は発生しないか、もし他の工程で必要であったとしても最小限で済むために、身体的負担は軽減されている。さらには、ジェルを使用した場合、酸素により硬化阻害が生じることがないので、未硬化のジェルがアレルギー源となることがなく、労力も軽減される。また、爪の先端に爪被覆剤を被せて爪被覆層を形成することも容易となる。なお、本発明は装飾目的だけでなく、巻き爪への対処など治療目的にも広く使用できる。
【0029】
さらに、元の爪よりも長さを延長し、人工爪を形成する場合は、合成樹脂製の板状基材を上から被せる前に、補助チップを爪の下に装着し、予め土台を形成するか、爪被覆剤を板状基材と補助チップで挟むことにより、人工爪と爪被覆層を同時に形成することも可能となる。
【0030】
補助チップは、アーチ状曲面を有し、指の先端と爪の間に装着可能であるように、端部において、相対する端部へ向けて半円状の凹みを有していることで、爪下面と指の間に装着させることが容易となる。長さ出しの目的から、距離目盛りを備えていることが好適である。この補助チップの素材も、板状基材と同様の素材であり硬化後に剥離できるものである。この構成により、従来のように、紙フォームを指に合わせて曲面を調整する必要がなく、特段の事情や必要性がなければピンチ作業が不要になる。
【0031】
工程としては、補助チップを爪の下に装着し、補助チップを爪に装着した状態で、爪被覆剤を爪及び補助チップ上に塗布し、爪被覆剤を硬化させ爪被覆層を形成し、爪被覆剤の硬化後に補助チップを人手で剥離する。この硬化した爪被覆剤を土台として、前述の工程を行うことで、延長した人工爪を得ることが可能である。しかも、表面の完全な平滑さと、アーチ状の曲面を同時に得ること、研磨工程を介さないために、身体的負担も軽減されるという効果はそのまま享受することができる。
【0032】
または、板状基材と補助チップにより爪及び爪被覆剤を上下から挟むことにより爪被覆層を被覆し、爪被覆剤の硬化後に補助チップを人手で剥離しても同様の効果を得ることができる。
【0033】
なお、爪被覆剤の塗布工程においては、爪被覆剤が肌荒れなどの原因になりうることから、肌に直接触れさせることを避ける目的と、適切なハイポイントを作成する目的のために、板状基材の端部及び側部を除いた位置又は爪のネイルプレート位置に、爪被覆剤を溜まりとして置くことが望ましい。特に、若干爪の根本寄りであることが好ましい。
また、爪のキューティクル位置と接しない位置に板状素材の端部を接し、爪の先端へ向けて徐々に爪被覆剤を押し出すように板状素材を被せながら全体に行き渡らせることで、平滑な表面と適切な厚みを有して十分な強度のある高品質な爪被覆層を得ることが可能である。
【0034】
また、予め爪装飾材を爪被覆剤に含ませるか、合成樹脂製の板状基材の下面にデザイン素材を施すことで、爪被覆層の形成と同時にデザインを形成することが可能となる。
【0035】
このように、本発明は爪に被覆層を形成する方法であり、光重合タイプであれば紫外線・可視光線による硬化、化学重合タイプであれば化学重合により起こる硬化をさせる工程を含む。合成樹脂製の板状基材は爪被覆剤が硬化した後、手で剥離させて除去する。自爪、またはチップによりエクステンションされた爪へ本発明を使用する場合は、合成樹脂製の板状基材に塗布した被覆層を硬化させる前に爪へ装着する。
【発明の効果】
【0036】
本発明は上記構成を備え、爪被覆層を平滑に、また爪被覆剤が本来持っている強度を備えた被覆層を短時間に形成する効果を有する。さらに、時間的労力だけでなく、研磨工程を介さないために、身体的負担も軽減される効果を奏する。また、カラーやアートなど好みのデザインを施すことも可能である。また、補助チップを使用することで、爪被覆層を形成することにより、平滑な爪被覆層と元の爪より長さのある人工爪を簡易又は同時に形成する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】板状基材の裏側に爪被覆剤を塗布する状態を示す図である。
図2】板状基材を指に装着する前の状態を示す図である。
図3】板状基材を指に装着した後の状態を示す図である。
図4】板状基材を外した状態を示す図である。
図5】板状基材を除去した後にできる段差を除去する状態を示す図である。
図6】爪被覆層と補助爪被覆層の関係を示す図である。
図7】爪上に爪被覆剤を塗布する状態を示す図である。
図8】板状基材を指に装着しようとする状態を示す図である。
図9】爪下に補助チップを装着する状態を示す図である。
図10】裏側に爪被覆剤を塗布した板状基材を指に装着する前の状態を示す図である。
図11】爪下に補助チップを装着した爪上に爪被覆剤を塗布する状態を示す図である。
図12】板状基材を指に装着する前の状態を示す図である。
図13】爪下に補助チップを装着した場合の板状基材を指に装着した後の状態を示す図である。
図14】板状基材と補助チップを外した状態を示す図である。
図15】補助チップを爪下に装着しようとする状態を示す図である。
図16】補助チップを爪下に装着した状態を示す図である。
図17】爪とチップの境目〜希望の長さのところまで爪被覆剤を塗布している状態を示す図である。
図18】硬化後補助チップを剥離した状態を示す図である。
図19】板状基材の裏側に爪被覆剤を塗布する状態を示す図である。
図20】板状基材を爪上に装着しようとする状態を示す図である。
図21】爪被覆剤を硬化させる時の状態を示す図である。
図22】板状基材を剥離させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0039】
図1〜4は、本発明の実施例の一例が示されている。この例に係る爪被覆層4の形成は、爪被覆剤2である光重合タイプのジェル剤または化学重合(2剤混合)タイプのアクリル剤と、形成したい被覆層の型となる合成樹脂製の板状基材1から構成されている。
【0040】
図1の板状基材1の裏側に、爪被覆剤2を塗布し、図2のように爪被覆剤2と指3の間に空気が入らないように板状基材1を被せ、爪全体に、爪被覆剤2が行き渡るように装着する(図3)。
【0041】
図3の状態で爪被覆剤2を硬化させたのち、図4が示すように板状基材1を人手で剥離させて除去すると、爪被覆層4が形成される。なお、図7〜8に示すように、爪被覆剤2を指3の爪上に乗せ、板状基材1を指3に被せ、爪全体に爪被覆剤2が行き渡るように装着することでも、同じ効果を得ることが出来る。
【0042】
本発明は以上のように構成されるが、以下、この板状基材1と爪被覆剤2を用いて、爪被覆層4を形成する工程を詳述する。
【0043】
(1)まず、指3を洗浄乾燥した後、指3における甘皮の処理を行う。甘皮の処理が未熟だと、爪被覆剤2がはがれやすくなる原因となるため、メタルプッシャーなどのネイルケアを行うための専用手動工具、またはネイルマシンなどの専用電動工具などを用いて丹念に行う。
【0044】
(2)次に、甘皮処理した指3に対して、適切なサイズの板状基材1を選択する。指3に対して大きいと、キューティクル付近に爪被覆剤2が流れ出る原因となり、反対に小さいと形成後の爪被覆層4が爪の大きさに合わないため、板状基材1を爪の大きさに合わせて選ぶことが重要となる。
【0045】
(3)次に、爪表面に使用する爪被覆剤2に合わせたベース処理を施す。本工程は従来の筆や刷毛を用いた工法で塗布して良い。
【0046】
(4)次に、図1が示すように板状基材1の下面(裏面)を上に向け、筆を用いて爪被覆剤2を塗布する。全体に塗布するのではなく、左右上下の中央部に溜まりのように置くことで、次工程を容易に行うことができる。
【0047】
(5)次に、図2が示すように板状基材1を爪に被せるように装着する。この時、爪被覆剤2に気泡が含まれないように留意し、爪全体に爪被覆剤2が行き渡るようにする。なお、指3の爪上に爪被覆剤2を乗せ、板状基材1を爪に被せるように装着することでも同様の効果が得られる(図7図8)。
【0048】
(6)次に、図3に示すように、爪被覆剤2が板状基材1に行き渡っているかを確認した上で、爪被覆剤2を硬化させる。
【0049】
(7)次に、十分に爪被覆剤2が硬化したことを確認してから、図4に示すように、板状基材1を指3から剥離して除去する。この時に横方向にねじるように外すと容易に外すことができる。
【0050】
(8)次に、板状基材1を外した後の爪被覆層4を確認し、図5に示すように、もし大きな段差5があれば、専用手動工具、またはネイルマシンなどの専用電動工具などを用いて除去して良い。この時、段差5以外の爪被覆層4は削らない。
【0051】
(9)次に、図6に示すように、上記工程で形成した爪被覆層4とキューティクル付近を平滑につなげるために、粘度の高い爪被覆剤2を用いて、補助爪被覆層6を形成する。本工程は従来の筆や刷毛を用いた工法で塗布しても良い。
【0052】
(10)最後に、使用した爪被覆剤2に合わせた表面処理を行う。
【0053】
本発明は、工程(2)の後に、チップなどで長さ出しを行うことにより、顧客の要望に応じた爪の長さを提供することもできる。
【0054】
本発明は、工程(4)の後に、ラメ・グリッター・スパンコールなどの薄い形状のネイル用装飾材を配置してから、工程(5)を行うことにより、顧客の要望に応じた各種デザインを楽しむこともできる。
【0055】
本発明は、工程(10)の後に、カラーを塗布することにより色を楽しむこともできる。
【0056】
以下、図9図14を参照して、爪被覆層4の形成と同時に元の爪より長さのある人工爪を同時に形成する方法を説明する。この例では形成したい被覆層4の型となる補助チップ7を含んで構成される。まず、補助チップ7を指3の爪の下に差し込み、必要であればグルーを少量つけて固定する。なお、爪の下に装着する補助チップ7は爪の幅に合わせて選ぶことが重要となる。装着するために形が合わない場合は、補助チップ7をハサミでカットする等カスタマイズして良い。
【0057】
図10に示すように、板状基材1の裏側に、爪被覆剤2を塗布しておいた板状基材1を指3の爪の上から被せ、爪全体に爪被覆剤2が行き渡るように装着する(図13)。なお、爪上に爪被覆剤2を乗せ、板状基材1を被せることでも、図13と同じ効果を得ることが出来る(図11図12
【0058】
爪被覆剤2を硬化させたのち、図14が示すように板状基材1と補助チップ7を剥離させて除去すると、爪被覆層4が形成される。
【0059】
以下、図15図22を参照して、爪被覆層4の形成と同時に元の爪より長さのある人工爪を同時に形成する別の方法を説明する。この例でも形成したい被覆層4の型となる補助チップ7を含んで構成される。まず、補助チップ7を指3の爪の下に差し込み、必要であればグルーを少量つけて固定する(図15図16)。なお、爪の下に装着する補助チップ7は爪の幅に合わせて選ぶことが重要となる。装着するために形が合わない場合は、補助チップ7をハサミでカットする等カスタマイズして良い。これら構成については前述の工程と同じである。
【0060】
図17に示すように、爪とチップの境目〜希望の長さのところまで爪被覆剤2を塗布する。そして硬化させ、土台を作成しておく。補助チップ7は剥離して良い(図18)。その後は、前述の工程通り、板状基材1(図1で示した手順に従い板状基材1の裏側に、爪被覆剤2を塗布しておく)を指3の爪の上から被せ、爪全体に爪被覆剤2が行き渡るようにして硬化させ、板状基材1を剥離させて除去すると、爪被覆層4が形成される(図19〜22)。
【符号の説明】
【0061】
1 板状基材
2 爪被覆剤
3 指
4 爪被覆層
5 段差
6 補助爪被覆層
7 補助チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22