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  • 特開2016221275-ボール用パネル 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221275(P2016-221275A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】ボール用パネル
(51)【国際特許分類】
   A63B 45/00 20060101AFI20161205BHJP
   A63B 41/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   A63B45/00 C
   A63B41/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-105803(P2016-105803)
(22)【出願日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】10 2015 209 797.8
(32)【優先日】2015年5月28日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ピーター ニュルンベルグ
(57)【要約】
【課題】ボール用、特にサッカーボール用のパネル(10)を製造する方法、ならびにそうした方法によって製造されたパネル、およびそうしたパネルを備えたボールを提供すること。
【解決手段】方法は、外側および内側を有するキャリア材(15)を、少なくとも1つの第1の型部品(21)および少なくとも1つの第2の型部品(22)を有する型の中に提供するステップ(110)と、型の中で、キャリア材(15)の外側にパネル(10)の外側層(14)を3次元成形するステップ(130)と、少なくとも第1の型部品(21)を用いて、キャリア材(15)の内側にパネル(10)の内側層(16)を3次元成形するステップ(150)とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール用のパネルを製造する方法であって、
外側および内側を有するキャリア材を、少なくとも1つの第1の型部品および少なくとも1つの第2の型部品を有する型の中に提供すること、
前記型の中で、前記キャリア材の前記外側に前記パネルの外側層を3次元成形すること、
少なくとも前記第1の型部品を用いて、前記キャリア材の前記内側に前記パネルの内側層を3次元成形すること
を含む方法。
【請求項2】
前記キャリア材が、前記外側層の前記3次元成形から前記内側層の前記3次元成形までの間、前記第1の型部品の中にとどまる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内側層の前記3次元成形が、前記内側層が前記内側層の外面および側面で前記キャリア材によって囲まれるように行われる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記外側層の前記3次元成形が、前記内側層が前記内側層の外面および側面で前記外側層によって囲まれるように行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記内側層が、少なくとも部分的に第3の型部品によって成形され、前記第3の型部品が、前記外側層の前記3次元成形に使用されない、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記内側層用の材料が、前記第3の型部品を通じて前記キャリア材に適用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記内側層がポリウレタンを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記内側層が発泡熱可塑性ポリウレタンを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記外側層用の材料が、前記第1の型部品を通じて前記キャリア材に適用される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記外側層がポリウレタンを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記外側層が透明なポリウレタンを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記外側層の前記3次元成形の前に、前記型の中に構造要素が挿入される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記型の中で前記キャリア材を3次元成形することをさらに含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記キャリア材の前記3次元成形が、前記キャリア材を少なくとも1つの型部品に吸引すること、ダイス要素を用いて押すこと、および/または前記型の中で深絞りすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記キャリア材に印刷することをさらに含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記キャリア材の前記外側および/もしくは前記内側、ならびに/または前記外側層の外面にテクスチャを生成することをさらに含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記テクスチャが、少なくとも部分的に、対応する型テクスチャを含む型によって生成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記型部品の少なくとも1つが交換可能なインサートを含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の方法によって製造される、ボール用のパネル。
【請求項20】
複数の請求項19に記載のパネルを有するボール。
【請求項21】
空気で充填されたブラッダーを含む、請求項20に記載のボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール用、特にサッカーボール用のパネル、そうしたパネルを備えたボール、ならびにそうしたパネルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボール、特にサッカーボールなどのスポーツ用ボールは、複数のパネルを有するカバーを含むことがしばしばであり、複数のパネルは、互いに縫い合わせる、互いに接着する、または他の方法で結合することができる。一方、パネルは主にプラスチックから製造されるが、天然皮革を含むこともできる。
【0003】
DE10255092B4は、ボールの3次元パネルを製造する方法を記載しており、前記パネルは、外側材および支持材を含む。
【0004】
パネルを製造するときの重要な要素は、たとえば、パネルから製造されるボールの空力的特性および触覚特性である。特にサッカーボールの場合、ボールの表面が滑らかすぎると、飛行特性に悪影響を及ぼす恐れがあり、たとえば、ボールの「揺れ(fluttering)」を引き起こす恐れがあることが分かっている。さらに、たとえばサッカーボールの場合には足から、またはハンドボールもしくは他のボールの場合には手などからボールが滑り落ちるのを防止するために、ボールの表面は十分な摩擦を提供すべきである。このために、従来技術では、ボールまたは個々のパネルの表面を適宜に設計する様々な手法が知られている。
【0005】
DE102009016287B3は、複数のパネルを含む外側カバーを有し、膨らませることが可能なボール、特にサッカーボールについて記載しており、パネルは縫合によって互いに連結され、各パネルは、パネルの外面の少なくとも一部に沿って延びる少なくとも1つの擬似縫合線(pseudo-suture)を含む。
【0006】
ボール用パネルを製造するときに考慮される他の要素は、パネルまたはボールの視覚設計である。ボールを視覚設計するために、たとえばパネルの表面、または完全に組み立てられたボールの表面にも、印刷または噴霧を施すことができる。しかしながら、この点については、そうした視覚設計は、キック、衝撃、地面への衝突などの影響の下で摩耗によってすぐに損なわれる。
【0007】
米国特許第5,649,701号は、透明なカバー層を備え、その上に他の層が重ね合わされたボール用パネルを開示している。米国特許第8,602,927B2号は、強化材に熱接着されたボール用のカバーパネルを開示している。さらに、米国特許第7,066,853B2号および米国特許第6,261,400B1号には、パネルを備えたボールが開示されている。米国特許第8,454,348B2号および米国特許第8,764,581B2号は、パネルのないボールを製造する様々な方法を開示している。
【0008】
周知のパネルの欠点は、所望される視覚特性、触覚特性および空力的特性をもたらすために、複数の別個に製造された要素が必要になることである。こうした別個に製造された要素は、製造後に結合され、たとえば重ね合わされるか、または接着される。結果として、パネルの製造には複数の製造装置および様々な製造ステップが必要になり、それによって、製造は複雑で費用がかかるものになる。さらに、別個の要素の対応する装置への挿入、または装置からの取り出しを手で行わなければならないことがしばしばであり、したがって、製造は労働集約的でもある。複数の別個に製造および結合された要素によって、やはりパネルの構造的設計もより複雑になり、それがボールの滞空能力(endurance)および耐久性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE10255092B4
【特許文献2】DE102009016287B3
【特許文献3】米国特許第5,649,701号
【特許文献4】米国特許第8,602,927B2号
【特許文献5】米国特許第7,066,853B2号
【特許文献6】米国特許第6,261,400B1号
【特許文献7】米国特許第8,454,348B2号
【特許文献8】米国特許第8,764,581B2号
【特許文献9】DE102012206094
【特許文献10】EP2649896
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
こうした従来技術に基づき、本発明の一目的は、パネルを製造する簡易化された方法を提供することであり、その方法は、やはりパネルの視覚特性、触覚特性および/または空力的特性に有利な影響を及ぼすと同時に、外部からの影響に関して、パネルおよびそれから製造されたボールの高い耐久性を実現することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1によるボール用、特にサッカーボール用のパネルを製造する方法によって、少なくとも部分的に達成される。一実施形態において、その方法は、外側および内側を有するキャリア材を、少なくとも1つの第1の型部品および少なくとも1つの第2の型部品を有する型の中に提供することを含む。型の中で、キャリア材の外側にパネルの外側層が3次元成形される。さらに、少なくとも第1の型部品を用いて、キャリア材の内側にパネルの内側層が3次元成形される。
【0012】
言及した方法によって、最小限の製造ステップ数で3次元成形されたボール用パネルを製造することが可能になる。複数の要素を別個に成形し、その後、成形された要素を互いに取り付ける必要がない。むしろ、パネルの内側層および外側層は、キャリア材に対する1つの製造ステップで、一体的に3次元成形される。したがって、パネルの内側または外側に、様々な所望の特性を効率的に提供することができる。たとえば、キャリア層に対する外側層および/または内側層の3次元成形を、射出成形によって行うことができる。
【0013】
一般的には、キャリア材を省くことが可能である。たとえば、パネルの内側層および外側層を、互いに直接隣接するように一体的に3次元成形することが可能であろう。この場合、内側層および/または外側層は、たとえば箔または布材料として提供することができる。
【0014】
内側層は、たとえば特定の緩衝特性および反跳特性をもたらすように最適化することができる。一方、外側層は、たとえば外部から湿気が入ることを防止し、かつ/または摩耗からの保護をもたらすシーリングの提供を目的とすることができる。内側層および外側層を成形するために少なくとも1つの型部品を使用することによって、内側および外側で異なる所望の特性を備えたパネルを提供することが可能になり、同時にパネルは、製造の間、型の中にとどまることができるようになる。したがって、手作業を省くことが可能な、さらに簡単かつ迅速な製造が可能になる。したがって、さらにパネルの製造を個々の顧客の要望に迅速に適合させることができる。
【0015】
複層の成形ステップに対して少なくとも1つの共通の型部品を用いて複層パネルを製造することによって、本発明による方法は、製造時間が短い効率的な自動製造プロセスを可能にする。したがって、設計および製造に関して高い適応性がもたらされる。
【0016】
さらに、言及した方法によってパネルを一体的に製造することにより、別個に製造された層または要素を切断して互いに合わせる必要がなくなるため、無駄を省くことができる。むしろ、内側および外側層は、直接キャリア材の上に所望の3次元形状に成形される。したがって、切断の無駄を省くことができる。せいぜい内側層および外側層を成形した後にキャリア材の切断が必要になる場合がある。しかしながら、キャリア材が型の中で既に適切な寸法を備えていれば、キャリア材の切断を省くこともできる。さらに、キャリア材は、型の中に提供する前に、前もって3次元成形することができる。概してパネルは、より環境に優しく費用を削減する形で製造することができる。さらに、パネルを切断する場合、半完成状態の材料は不要である。結果として、本発明による方法によって、より効率的かつサステイナブルなパネルの製造が可能になる。
【0017】
本発明による方法によって、任意の形状のパネルを個々に製造することができる。したがって、その方法によって、ほぼ任意の外形およびほぼ任意の断面のパネルを製造することができる。パネルの外形/断面は、型部品によってあらかじめ決め、調節することができる。たとえば型部品は、たとえばシリコーン、および/またはセラミック、および/または金属の交換可能なインサートを含むことができ、それにより、型部品によって形成される空洞またはくぼみを個々に適合させることができる。したがって、パネルの製造を個々の顧客の要望に適合させることができる。
【0018】
本発明による方法は、パネルを一体的に製造することによって、接着剤、結合剤などを完全に省くことができる。パネルの個々の層を結合するために、別個の接着剤を適用する必要がない。パネルの個々の層に使用される材料は、互いに適合性があり、いくつかの例によれば、熱および/または機械エネルギーだけで結合することができる。さらに、使用される材料を化学反応によって結合することも可能である。結合は、使用される材料の親和性によって可能になる。しかしながら、製造するパネルにとって有利である場合には、別法として接着剤、結合剤などを使用することもできる。
【0019】
少なくとも部分的に透明な外側層を使用することによって、キャリア材はさらに、所望の視覚設計が摩耗から保護される、パネルを提供するために使用することができる。たとえば、キャリア材は所望の色を有することができる。さらに、後でさらに詳しく説明するように、キャリア材と外側層用の少なくとも部分的に透明な材料とを適切に組み合わせることによって、3次元的に見える視覚効果を得ることができる。
【0020】
さらに、前述の方法によって、ほとんどしわが寄らない適切な材料を用いてパネルを製造することが可能になることが分かっている。このことは、そうしたパネルで製造されたボールを膨らませた状態で輸送する必要がないという大きい利点を有する。むしろ、ボールは、しぼんだ状態で空間を節約する形で輸送することができる。たとえば、ボールは現場で、たとえば小売店または最終顧客において膨らませることができ、しぼんだ状態での輸送によって恒久的なしわまたは亀裂が生じることはない。したがって、きわめて環境に優しく費用を削減する形でボールを運ぶことができる。
【0021】
本発明による方法によって、ボールのブラッダーまたはカーカスと別個にパネルを製造することも可能になる。こうして、パネル、およびブラッダーまたはカーカスを異なる場所で製造し、最終顧客において結合するだけにすることが可能になる。結果として、パネルを必要とされる場所まで個々に運ぶことができるようになる。
【0022】
外側層および内側層それぞれの3次元成形は、キャリア材に適用された材料を3次元成形することを含む。外側層および/または内側層用の材料は、たとえば射出成形によってキャリア材に適用し、3次元成形することができる。あるいは、それぞれの材料を、他の方法で型の中に導入すること、たとえばキャストするまたは挿入することもできる。
【0023】
内側層および/または外側層それぞれの3次元成形は、ある特定の温度および/またはある特定の温度プロファイルで行うことができる。たとえば、型の型部品の少なくとも1つを加熱または冷却することができる。こうして、成形されるそれぞれの材料の目標とする加熱または冷却によって、3次元成形を支援することができる。たとえば、3次元成形の前および/もしくはその間に加熱を行うこと、ならびに/または3次元成形の後に冷却を行うことができる。
【0024】
内側層は、たとえば1mmから15mm、または4mmから10mm、または約7mmの厚さを有することができる。外側層は、たとえば0.05mmから5mm、または0.1mmから2mm、または約0.5mmの厚さを有することができる。本発明による方法により、内側層の厚さまたは外側層の厚さを個々に適合させ、それをパネルの使用が意図されるボールのそれぞれの要求に合わせることが可能になる。
【0025】
キャリア材は、外側層の3次元成形から内側層の3次元成形までの間、少なくとも2つの型部品の少なくとも1つの第1のものの中にとどまることができる。この過程で、外側層は、内側層に対して前、後、同時または少なくとも部分的に同時に3次元成形することができる。それに応じて、内側層用の材料を、外側層用の材料に対して前、後、同時またはやはり少なくとも部分的に同時にキャリア材に適用することができる。キャリア材が少なくとも1つの型部品の中にとどまることによって、効率的な製造が可能になる。(たとえば、内側層を製造するための)型部品から取り出し、その後(たとえば、外側層を製造するための)他の型部品に挿入することはもはや不要である。
【0026】
内側層の3次元成形は、内側層が内側層の外面および側面でキャリア材によって囲まれるように行うことができる。こうして、内側層を、たとえばボール用のブラッダーへの取り付けが意図されることがあるその内側を除くすべての側で、キャリア材によって確実に囲むことが可能になる。したがって、内側層をキャリア材によって、湿気または摩擦などの外部の影響から包括的に保護することができる。これは、たとえばキャリア材に、たとえばその内側のくぼみなどの3次元形状を与えることによって実現することができる。その場合、内側層用の材料を前記くぼみに挿入し、その外面およびその側面がキャリア材によって囲まれるように3次元成形することができる。
【0027】
キャリア材を内側層の外面および側面のまわりに配置すると、内側層をこれらすべての側で、キャリア材の外側に配置された外側層によって囲むこともさらに可能になる。特にこれにより、内側層が外面と側面の両方でキャリア材および外側層によって保護された、パネルを製造することが可能になる。したがって、パネルのその側面の擦り切れまたは裂けをしっかりと抑えることができる。
【0028】
外側層の3次元成形は、内側層が内側層の外面および側面で外側層によって囲まれるように行うことができる。既に説明したように、これにより、パネルを外側層によって、パネルの外面と側面の両方で保護することが可能になる。さらに、こうして複数のパネルを、それらの側面で外側層を介して結合することが可能になる。外側層の材料は、このために最適化することができ、たとえば、赤外線溶接などによって特に優れた結合を可能にすることができる。
【0029】
内側層は、少なくとも部分的に第3の型部品によって成形することができ、第3の型部品は、外側層の3次元成形に使用されない。たとえば外側層を成形するために、少なくとも1つの第1の型部品および少なくとも1つの第2の型部品を使用することができる。少なくとも1つの第2の型部品の代わりに、少なくとも1つの第3の型部品を少なくとも1つの第1の型部品と共に使用して、内側層を成形することができる。たとえば、第1および第2の型部品は、それらが外側層を3次元成形するための空洞を形成するように設計することができ、空洞は、外側層の下に配置されるキャリア材にくぼみを形成するように設計される。このために、少なくとも1つの第2の型部品を、たとえば第1の型部品に押し付けられるダイス要素として形成することができる。別法または追加として、キャリア材を別個に成形すること、または前もって3次元成形された状態で提供することができる。少なくとも1つの第3の型部品は、キャリア材に形成されたくぼみを内側層用の材料で充填するように設計することができる。「新しい」第3の型部品を、パネルが内部にとどまることができる第1の型部品と組み合わせることによって、製造を簡易化することが可能になり、やはり、パネルの外側および内側層の様々な幾何学的形状を考慮に入れることができる。特に、内側層の内面は、パネルを取り付けるボールの曲率に適合させた均等に湾曲した面を含むように設計することができる。
【0030】
内側層用の材料は、第3の型部品を通じてキャリア材に適用することができる。第3の型部品は、たとえば射出成形のための入口として直接的に役立つことができ、流動可能な材料が、第3の型部品を通じてキャリア材に適用される。第3の型部品は、1つまたは複数の開口部を含むことができる。したがって、残りの型部品は、内側層用の材料を適用するように設計する必要がない。むしろ、内側層の3次元成形に使用される第3の型部品を、同時に対応する材料を導入するようにも設計すれば十分である場合がある。
【0031】
内側層は、ポリウレタンまたは発泡ポリウレタン、特に発泡熱可塑性ポリウレタンを含むことができる。ポリウレタン、特に発泡ポリウレタンまたは発泡熱可塑性ポリウレタンは、優れた緩衝特性をもたらすことを可能にする。特に発泡熱可塑性ポリウレタンは、広い温度範囲にわたって一定であり、かつボールの耐用期間の間に著しく低下することがない緩衝特性をもたらす。一般的に、ポリウレタンは、たとえば射出成形によって簡単に3次元成形することができる。たとえばペレットの形の発泡熱可塑性ポリウレタンも、簡単に3次元成形することができる。これに関連して、例として特許出願DE102012206094およびEP2649896を参照されたい。さらに、発泡熱可塑性ポリウレタンを使用することによって、既に説明したパネルにさらにしわが寄りにくくなる。他の例では、たとえば他の発泡可塑性材料、たとえば発泡エチレン−酢酸ビニル、ならびに/または他の発泡可塑性材料、たとえば発泡エチレン−酢酸ビニルおよび/もしくは発泡ポリエーテルブロックアミドを使用することもできる。さらに、たとえば内側層に、たとえば2成分PU系など様々なPU系を使用することもできる。PU系は、様々な要求に特に適切に適合することができる。
【0032】
外側層用の材料は、少なくとも2つの型部品の少なくとも1つの第1のものを通じてキャリア材に適用することができる。したがって、内側層用の任意選択の第3の型部品に関連して説明したのと同様に、少なくとも1つの第1の型部品は、射出成形のための入口として役立つことができ、流動可能な材料が、第1の型部品を通じてキャリア材に適用される。このために、第1の型部品は、1つまたは複数の開口部を含むことができる。したがって、残りの型部品は、外側層用の材料を適用するように設計する必要がない。
【0033】
一般的には、複数の異なる層、または複数の異なる外側層を、少なくとも1つの第1の型部品を通じてキャリア材に適用することが可能である。たとえば、使用される材料および/または材料特性に関して異なった、異なる外側層を連続して適用することが考えられる。このために、第1の型部品は、異なる位置に、流動可能な材料をキャリア材にそれを通じて適用することが可能な開口部を含むことができる。個々の層または外側層がその色設計に関してのみ異なるようにすることが可能である。あるいは、たとえば一般的に、他の層または外側層を適用するために、第1の型部品を他の型部品と交換することも可能である。
【0034】
さらに、外側層の3次元成形の前に、型の中に構造要素を挿入することが可能である。たとえば、流動可能な材料を適用する前に、第1の型部品の中にそうした構造要素を挿入することができる。構造要素は、第1の型部品を通じてキャリア材に適用される流動可能な材料によって囲むこと、したがって外側層に埋め込むことができる。たとえば構造要素は、布要素、たとえば編まれた生地、横編み生地、縦編み生地、メッシュおよび/または織られた生地とすることができる。
【0035】
あるいは、構造要素は、外側層に埋め込まず、外側層にテクスチャ(texture)またはアンダーカット(undercut)を柔軟に生成するために使用することも可能である。このプロセスでは、構造要素の外形が外側層のテクスチャをあらかじめ決める。そうした構造要素は、たとえばセラミック、シリコーンおよび/または金属で形成することができる。構造要素の特性は、外側層を3次元成形した後、外側層を簡単に離型できるようなものにする。外側層に所望のテクスチャを柔軟に導入するために、そうした構造要素を所望通りに設計することができる。同様に、そうした構造要素は、内側層の適用に関連して、または第3の型部品に関連して使用することができる。
【0036】
外側層は、ポリウレタン、特に透明なポリウレタン、または可視光線に対して少なくとも部分的に透過性のあるポリウレタンを含むことができる。外側層のポリウレタンは、高い耐摩耗性および/または特定の静止摩擦の提供に関して特に最適化することが可能であり、透明なポリウレタンは特に適している。特に、透明なポリウレタンの使用により、さらにキャリア材によってパネルを視覚設計することが可能になり、同時にパネルの視覚設計が摩耗から保護される。このプロセスでは、透明な外側層とキャリア材の間の相互作用によって、3次元的に見える視覚効果をもたらすこともできる。たとえば、外側層および/またはキャリア材は、外側層および/またはキャリア材の対応する色設計から独立したテクスチャを含むこともできる。さらに、たとえば外側層に、たとえば2成分PU系など様々なPU系を使用することもできる。PU系は、様々な要求に特に適切に適合することができる。
【0037】
言及した方法は、型の中でキャリア材を3次元成形すること、および/または少なくとも2つの型部品の少なくとも1つを使用することを含むこともできる。したがって、内側および外側層をキャリア材に適用するときに、キャリア材を同じ装置の中で3次元成形することもできる。たとえば、キャリア材は、3次元成形された箔として提供することができる。そうした箔は、テクスチャを備えていても備えていなくてもよく、別法または追加として印刷することができる。さらに、キャリア材を流動可能な形で提供することが可能であり、その場合、キャリア材は型の中で3次元成形され、その後固化した形で提供される。キャリア材の3次元成形は、たとえば内側層の3次元成形の前、および/または外側層の3次元成形の前に行うことができる。次いで、3次元成形されたキャリア材の上に、内側層および/または外側層を成形することができる。
【0038】
提供されるキャリア材は、たとえば0.05mmから0.6mm、または0.05mmから0.4mm、または約0.1mmもしくは約0.2mmの厚さを有することができる。たとえばキャリア材は、箔、たとえばアクリロニトリルブタジエンスチレンおよび/または熱可塑性ポリウレタンなどを含むプラスチック箔として提供することができる。キャリア材はポリアミドを含むこともできる。プラスチック箔は、言及した材料からの基層を含むこともでき、たとえば、熱可塑性ポリウレタンを含む他の層が基層に適用される。その層は修飾層として形成され、それに応じて視覚設計すること、たとえば印刷することができる。基層および修飾層はそれぞれ、1μmから200μm、または50μmから100μmの厚さを有することができる。別法または追加として、修飾層を反射層として形成することができる。任意選択で、キャリア材は、たとえば内側に布のキャリアなどの布材料を含むことができる。布材料は、たとえば編まれた材料、横編み材料、ひだをとった材料、ならびに/または織られた材料および/もしくは織られていない材料とすることができる。一般的には、キャリア材を本質的に完全に布材料から形成することも可能である。さらに、キャリア材は、パネルのある特定の機械的機能を相互に決定するように設計することができる。
【0039】
キャリア材の3次元成形は、キャリア材を少なくとも1つの型部品に吸引することを含むことができる。したがって、キャリア材を型部品に従って3次元成形することができる。たとえば、負圧を加えることによって、キャリア材を型部品に、たとえば少なくとも第1の型部品と共に使用される第2の型部品に吸引し、したがって、キャリア材を前記型部品に押し付けることができる。この点において、キャリア材は、使用される型部品のテクスチャを呈することができる。
【0040】
別法または追加として、キャリア材の3次元成形は、ダイス要素を用いて押すことを含むこともできる。たとえば、少なくとも第1の型部品と共に使用される第2の型部品を、少なくとも第1の型部品に押し付けられるダイス要素として形成することができる。こうして、キャリア材を、ダイス要素および対応するカウンターダイスの形状に従って3次元成形することができる。
【0041】
別法または追加として、キャリア材の3次元成形は、キャリア材の型内への深絞りを含むこともできる。
【0042】
キャリア材の3次元成形は、ある特定の温度および/またはある特定の温度プロファイルで行うことができる。たとえば、型の型部品の少なくとも1つを加熱または冷却することができる。こうして、パネルの内側および外側層に関連して既に説明したように、キャリア材の目標とする加熱または冷却によって3次元成形を支援することができる。
【0043】
前述の方法は、キャリア材に印刷することを含むこともできる。印刷は、たとえばキャリア材を型の中に提供する前に行うことができる。たとえば、キャリア材を印刷された箔として提供することができる。したがって、キャリア材は、所望される形でパネルを視覚設計するために使用することができる。キャリア材の外側に印刷を施すことが可能である。しかしながら、少なくとも部分的に透明なキャリア材を使用するときには、その内側に印刷を行うこともできる。
【0044】
言及した方法は、キャリア材の外側および/もしくは内側、ならびに/または外側層の外面および/もしくは側面にテクスチャを生成することをさらに含むことができる。たとえば、擬似縫合線として形成されたテクスチャ、および/または外側層の外面におけるパネルの静止摩擦を高めるためのテクスチャを提供することができる。別法または追加として、キャリア材上のテクスチャを、その上に形成される外側層および/または内側層に対する付着力を改善するために提供することができる。しかしながら、別法または追加として、キャリア材の外側、および/または外側層の外面上のテクスチャは、3次元的に見える視覚効果を生み出すのに役立つこともできる。別法または追加として、テクスチャを内側層の内面に生成することもできる。こうしたテクスチャによって、たとえばボール用のブラッダーおよび/またはカーカスに対する内側層の付着力を高めることができる。本発明による方法の主要な利点は、使用する型の中で任意のテクスチャを完全に生成することができることにある。製造されたパネルに後でテクスチャを付ける必要がない。
【0045】
テクスチャは、約0.01mm〜1.5mmの深さを有することができるが、その長さおよび/または幅についてはさらに広げることもできる。テクスチャの幅は、約2.5mm〜3.5mmとすることができる。こうした寸法は、所望の空力的特性および/または触覚特性をもたらすのに適している。空力的特性を与えるためには、特に0.1mm〜1.5mmの深さが有用である。触覚特性を与えるためには、たとえば0.01mm〜0.1mmの深さが有用である。
【0046】
さらに、テクスチャは、たとえば光の屈折によってキャリア材および/または外側層の視覚特性に影響を及ぼす寸法、特に0.1mm未満の深さを有することもできる。これにより、特に3次元的に見える効果をもたらすのを支援することができる。これに関して、たとえば光の入射時に、それぞれのテクスチャの深さに応じて外側層の色の変化が現れるようにすることができる。さらに、テクスチャは、キャリア材の外側および/または外側層に当たる光を様々な方法で反射すること、反映すること、散乱することなどが可能である。
【0047】
テクスチャは、少なくとも部分的に、たとえば、くぼみまたは突出する要素などの対応する型テクスチャを含む型によって生成することができる。たとえばテクスチャは、それぞれの要素、すなわちキャリア材、内側層および/または外側層を3次元成形することによって生成することができる。したがって、テクスチャを生成するための別の加工ステップは不要である。それぞれの内側もしくは外側層、または任意選択でそれぞれのキャリア材を3次元成形する型部品は、対応する型テクスチャを含むことができる。別法または追加として、それぞれの要素を成形した後に追加の材料を加えることによって、それぞれの要素の上に少なくとも部分的にテクスチャを成形することもできる。別法または追加として、テクスチャは、たとえば集中させた高圧ガスの噴射を用いた高圧成形による3次元成形の間に生成することができる。
【0048】
一実施形態によれば、ボール用、特にサッカーボール用のパネルを製造する方法は、少なくとも2つの型部品を有する型の中で、外側および内側を有するキャリア材を3次元成形するステップと、型の中でキャリア材の外側(または内側)にパネルの外側層(または内側層)を3次元成形するステップと、少なくとも2つの型部品の少なくとも1つの第1のものを用いて、キャリア材の内側(または外側)にパネルの内側層(または外側層)を3次元成形するステップとを含む。
【0049】
本発明の他の実施形態は、本明細書に記載される方法の1つによって製造される、または製造することができるボール用、特にサッカーボール用のパネルに関する。
【0050】
最後に、本発明の他の実施形態は、複数の本明細書に記載されるパネルを有するボール、特サッカーボールに関する。
【0051】
そうしたボールは、空気で充填されたブラッダーを含むことができる。
【0052】
以下の詳細な説明では、以下の図面を参照して本発明の可能な実施形態についてさらに詳しく記載する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】ボール用、特にサッカーボール用のパネルを製造する方法の一実施形態を示す図である。
図2】ボール用、特にサッカーボール用のパネルの一実施形態を通る断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下では、本発明の個々の実施形態のみがより詳細に記載される場合があることに留意すべきである。しかしながら、当業者には、これらの具体的な実施形態に関して記載される設計上の可能性を、本発明の範囲内において異なる形でさらに変更することおよび組み合わせることが可能であり、かつ必ずしも必要でないと思われる場合には個々の機能を省くことも可能であることが認識される。冗長を避けるために、特に以下の詳細な説明にも当てはまる前項での説明を参照されたい。特に、以下に記載する異なる態様は、既に説明した態様と組み合わせることができる。
【0055】
図1は、ボール用、特にサッカーボール用のパネル10を製造する方法の概略図を示している。ステップ110では、型の中にキャリア材15が提供される。キャリア材は、(図1では下側に配置される)外側および(図1では上側に配置される)内側を含む。型は、第1の型部品21および第2の型部品22を含む。他の例では、さらなる型部品および/または異なる設計の型部品を提供することができる。特に、第1および第2の型部品は、機械的に結合することもできる。型部品が互いに対して移動できるように配置された、成形面21b、22bを含むことが重要である。型部品は、たとえばシリコーン、および/またはセラミック、および/または金属の交換可能なインサートを含むことができ、それによって型部品を変更することが可能になる。こうして、型部品によって形成される空洞またはくぼみは、個々に適合させることができる。
【0056】
図1によれば、キャリア材15は、型の開放状態において、基本的に2次元的な材料として型の中に提供される。たとえば、キャリア材15は、箔または薄膜として提供することができる。しかしながら、他の例では、キャリア材15は異なる2次元的な材料として提供することもでき、それは、たとえば布を含むことができる。たとえばその外側に印刷が施された、かつ/または他の方法で視覚設計が行われた2次元的な材料を使用することも可能である。最後に、キャリア材15は、たとえば別法として流動可能な材料またはたとえばペレットの形などの粒状の材料として、型の中に提供することもできる。
【0057】
ステップ120では、提供された2次元的なキャリア材15が、任意選択で3次元成形される。第2の型部品22は、たとえば開口部22aを含むことができ、開口部22aは、貫通した穴またはチャネルとして形成され、それを通じて、キャリア材を第2の型部品22に押し付けるような負圧を与えることができる。前もってこの処置によって、キャリア材15を、たとえば第2の型部品22の外形に従って3次元成形することができる。あるいは、負圧を生成するために、第1の型部品21に開口部、たとえば貫通した穴またはチャネルを設けることもできる。負圧を加えることに対する別法または追加として、キャリア材15の3次元成形を、キャリア材15を押すことによって実施することもできる。このために、たとえば第2の型部品22を、キャリア材15を第1の型部品21に押し付けるダイス要素として形成することができる。その場合、キャリア材15の3次元形状は、基本的には第2の型部品22と第1の型部品21の間に形成される空洞によって決まる。こうして、たとえばキャリア材15の厚さを変えることもできる。たとえば、キャリア材15を流動可能な材料または粒状の材料として提供する場合には、キャリア材15の3次元成形を吸引なしで行うこともできる。この場合、流動可能な材料は、キャリア材15を3次元成形する間に固化することができる。
【0058】
図1によれば、キャリア材15は、その内側に、後で内側層用の材料を内部に導入することができるくぼみを含むように3次元成形される。
【0059】
キャリア材15の3次元成形は、任意選択で、ある特定の温度で行うことによって支援することができる。たとえば、第2および/または第1の型部品を、ある特定の温度まで加熱または冷却することができる。望ましい場合には、キャリア材15を加熱および/または冷却する間、温度プロファイルを制御することができる。
【0060】
第1の型部品21および/または第2の型部品22は、任意選択で型テクスチャを含み、押し付けられたキャリア材15に対応するテクスチャを生成することができる。たとえば、キャリア材の表面に、隆起および/またはくぼみを生成することができる。これらは既に言及した寸法を有することができる。そうしたテクスチャは、たとえば、パネルの内側層または外側層のキャリア材への結合を改善することができる。さらに、そうしたテクスチャは、少なくとも部分的に透明な外側層と組み合わせて、パネルの外側に3次元的に見える効果を生み出すために使用することができる。
【0061】
他の例では、既に3次元的に事前成形された、かつ/または既にテクスチャを有する型の中に、キャリア材15を提供することができる。
【0062】
ステップ130では、第1の型部品の1つまたは複数の開口部21aを通じて、型の中にパネル10の外側層14用の材料が導入される。より正確には、材料は、第1の型部品21および第2の型部品22によって形成された空洞に導入され、キャリア材15の外側に適用される。材料は、たとえば流動可能な状態で開口部21aの中にキャストまたは注入することができる。他の例では、外側層14用の材料を他の方法で型に導入することもできる。たとえば、第1の型部品21に対する別法または追加として、第2の型部品22は、1つまたは複数の対応する開口部を含むことができる。しかしながら、型部品が必ずしも開口部を含む必要がないように、型の開放状態において材料を型の中にキャストする、または他の方法で導入することもできる。
【0063】
第1の型部品21と第2の型部品22の間に形成される空洞によって、外側層14の3次元形状をあらかじめ決め、外側層14を3次元成形することができる。図1に示すように、外側層14は、キャリア材15の外側を完全に囲むように配置することができ、したがって、外側が外側層14によって完全に保護される。外側層14は、基本的には均等な厚さで提供することができる。しかしながら、外側層14の厚さが変わるように設計することも可能である。
【0064】
図1によれば、ステップ120および130では、同じ型部品21および22が使用される。他の例では、ステップ120に使用される第1の型部品21を、ステップ130用の他の第1の型部品と交換することができる。
【0065】
既に説明したように、外側層14の外側にテクスチャを生成することができる。前記テクスチャは、パネルの空力学的特性、および/または触覚特性(たとえば、静止摩擦)、および/または視覚特性を改善するように形成することができる。テクスチャは、たとえば少なくとも1つの第1の型部品21の中の対応する型テクスチャによって生成することができる。所望される場合には、こうした型テクスチャによって、キャリア材15の対応するテクスチャを、ステップ120で前もって生成することができる。
【0066】
ステップ140では、第2の型部品22が、成形面23bを有する第3の型部品23と交換される。しかしながら、外側層の成形に使用された第1の型部品21は、型の一部としてとどまる。あるいは、それ自体は同じである第2の型部品を使用することもできる。同じ第2の型部品22を異なる方法で型部品として使用することができるように、第2の型部品は、たとえば複数の成形面22b(図示せず)を含むことができる。被加工物を型から取り出す必要がないように、キャリア材15およびその上に形成された外側層14が、外側層14を3次元成形するために使用された第1の型部品21、特にその成形面21bの中にとどまることができることが重要である。
【0067】
ステップ150では、パネル10の内側層16用の材料が、第1の型部品21および第3の型部品23によって形成された空洞に導入され、第1の型部品21の中にとどまっているキャリア材15の内側に適用される。内側層16は、第1の型部品21および第3の型部品23によって形成された空洞に従って、キャリア材15の内側に3次元成形される。このプロセスの間も、少なくとも1つの第1の型部品21および/または少なくとも1つの第3の型部品23を、外側層14の成形および型部品21、22に関して記載したように、任意選択で加熱および/または冷却することができる。
【0068】
内側層用の材料は、外側層用の材料に関して説明したように、たとえば流動可能な状態および/または粒状の状態で型に導入することができる。このために、たとえば第3の型部品23は、材料がそれを通じてキャストまたは注入される、1つまたは複数の開口部23aを含むことができる。内側層16用の材料を、たとえば発泡熱可塑性ポリウレタンのペレットなどのペレットの形で、開口部を通じて型に導入することも可能である。たとえばDE102012206094およびEP2649896に記載されるように、ペレットは、水蒸気および/または熱を加えることによって均質な発泡体にすることができる。このために、第1の型部品21および/または第3の型部品23は、対応する開口部を含むことができる。
【0069】
他の例では、内側層16用の材料を他の方法で型に導入することもできる。たとえば、第3の型部品23に対する別法または追加として、第1の型部品21は、1つまたは複数の対応する開口部を含むことができる。しかしながら、型部品が必ずしも開口部を含む必要がないように、型の開放状態において材料を型の中に型にキャストする、または他の方法で導入することもできる。
【0070】
たとえば図1に示す内側層16は、キャリア材15の内側によって形成されたくぼみをふさぐことができる。したがって、その外面およびその側面で外側層14およびキャリア材15によって囲まれたパネル10を提供することができ、同時にパネルは、平坦な、またはたとえば均等に湾曲した(たとえば、パネルの対象であるボールの曲率に対応する)裏面を含む。外側層14に関して説明したように、内側層16も同じまたは変化する厚さを備えることができる。
【0071】
第3の型部品23も、任意選択で、対応するテクスチャを内側層16の内面に生成することができるような型テクスチャを含むことができる。そうしたテクスチャによって、たとえば、ボール用のブラッダーおよび/またはカーカスに対する内側層の付着力を改善することができる。
【0072】
一般的には、内側層16を3次元成形した後、パネル10の上に他の層を成形することも可能である。たとえば、第3の型部品23を第4の型部品と交換することが考えられる。第1の型部品21は、型の一部としてとどまることができる。あるいは、それ自体は同じ第3の型部品23を使用することもできる。一般的には、こうして内側層16の上に追加の内側層を注入することが可能である。
【0073】
ステップ160では、製造されたパネル10が型から取り外される。任意選択で、完成したパネル10のバリを取り除くことができる。
【0074】
こうして製造された複数のパネル10を、接着剤を備えたボール用の膨らませることが可能なブラッダーの上に配置することができる。たとえば、ブラッダーに適切な接着剤を噴霧することができる。熱処理によって接着剤を硬化させ、ブラッダーおよび複数(たとえば、3つ以上)のパネルを備えた完成したボールを提供することができる。
【0075】
図2は、本発明によるパネルを通る断面の概略図を示している。パネルは、キャリア材220および外側層210、ならびに内側層230を含み、既に説明したように製造することができる。
【0076】
特に、外側層210は、少なくとも部分的に透明とすることができる。しかしながら、少なくとも部分的に透明な外側層210は、同時にある特定の着色を有することができる。外側層210の外側には、既に説明した目的に役立つことが可能なテクスチャ212を設けることができる。既に図1に関連して説明したように、テクスチャ212は、外側層210を3次元成形する間に生成することができ、基本的にはテクスチャの下に配置される外側層210の均質な基層211と同じ材料を含む。しかしながら、外側層210の基層211の上に、他の材料の薄い層によるテクスチャを適用することも可能である。基層211およびテクスチャ212の材料は、たとえば着色が異なるだけでもよい。別法または追加として、たとえばポリウレタンなど、硬さの程度が異なる同じ材料を使用することができる。しかしながら、完全に異なる材料を使用することも可能である。外側層の3次元成形は、たとえば2ステップ以上を有する方法として計画することができ、基層211またはテクスチャ212用の材料が、連続的に3次元成形される。
【0077】
キャリア材220も、既に説明したように、その内側および/または外側にテクスチャ222を含むことができ、テクスチャ222は、図1に関連して説明したように生成し、既に言及した目的に役立つことができる。一方、キャリア材220のテクスチャ222は、外側層210のテクスチャ212に関連して記載したものと似た形で製造することもできる。たとえば、テクスチャ222は、キャリア材220を3次元成形する間に生成すること、およびキャリア材220の基層221と異なる材料で構成することが可能である。それに応じて、キャリア材の3次元成形は、2ステップ以上で計画することができる。
【0078】
図2によれば、テクスチャ222は、例としてキャリア材220の外側のみに設けられている。キャリア材220のそうしたテクスチャ222用の材料は、少なくとも部分的に透明とすることができる。キャリア材220の基層221は、たとえば印刷するか、または他の方法で視覚設計することができる。またそれに応じて、キャリア材220のテクスチャ222を視覚設計することができ、テクスチャ222は、たとえば、基本的にキャリア材の基層221と同じ色設計を有するように、キャリア材220の基層221にインプリントすることができる。キャリア材220および/またはそのテクスチャ222の視覚設計を、任意選択で着色を伴う透明な外側層210、および/または外側層210のテクスチャ212と組み合わせることによって、パネルを視覚設計するための複数の選択肢が提供され、特に既に説明したように、3次元的に見える効果を生み出すことができる。
【0079】
内側層230は、特定の着色を有すること、および少なくとも部分的に透明なキャリア材220と組み合わせ、パネルの視覚設計に寄与することも可能である。
【0080】
1.ボール用、特にサッカーボール用のパネル(10)を製造する方法であって、
−外側および内側を有するキャリア材(15)を、少なくとも1つの第1の型部品(21)および少なくとも1つの第2の型部品(22)を有する型の中に提供すること(110)、
−前記型の中で、前記キャリア材(15)の前記外側に前記パネル(10)の外側層(14)を3次元成形すること(130)、
−少なくとも前記第1の型部品(21)を用いて、前記キャリア材(15)の前記内側に前記パネル(10)の内側層(16)を3次元成形すること(150)
を含む方法。
2.前記キャリア材(15)が、前記外側層(14)の前記3次元成形(130)から前記内側層(16)の前記3次元成形(150)までの間、前記第1の型部品(21)の中にとどまる、例1に記載の方法。
3.前記内側層(16)の前記3次元成形(150)が、前記内側層(16)が前記内側層(16)の外面および側面で前記キャリア材(15)によって囲まれるように行われる、例1または例2に記載の方法。
4.前記外側層(14)の前記3次元成形(130)が、前記内側層(16)が前記内側層(16)の外面および側面で前記外側層(14)によって囲まれるように行われる、例1〜3のいずれかに記載の方法。
5.前記内側層(16)が、少なくとも部分的に第3の型部品(23)によって成形され、前記第3の型部品(23)が、前記外側層(14)の前記3次元成形(130)に使用されない、例1〜4のいずれかに記載の方法。
6.前記内側層(16)用の材料が、前記第3の型部品(23)を通じて前記キャリア材(15)に適用される、例5に記載の方法。
7.前記内側層(16)が、ポリウレタン、特に発泡熱可塑性ポリウレタンを含む、例1〜6のいずれかに記載の方法。
8.前記外側層(14)用の材料が、前記第1の型部品(21)を通じて前記キャリア材(15)に適用される、例1〜7のいずれかに記載の方法。
9.前記外側層(14)が、ポリウレタン、特に透明なポリウレタンを含む、例1〜8のいずれかに記載の方法。
10.前記外側層の前記3次元成形の前に、前記型の中に構造要素が挿入される、例1〜9のいずれかに記載の方法。
11.前記型の中で前記キャリア材(15)を3次元成形すること(120)をさらに含む、例1〜10のいずれかに記載の方法。
12.前記キャリア材(15)の前記3次元成形(120)が、前記キャリア材(15)を少なくとも1つの型部品(21、22、23)に吸引すること、ダイス要素(21、22、23)を用いて押すこと、および/または前記型の中で深絞りすることを含む、例11に記載の方法。
13.前記キャリア材(15)に印刷することをさらに含む、例1〜12のいずれかに記載の方法。
14.前記キャリア材(15)の前記外側および/もしくは前記内側、ならびに/または前記外側層(14)の外面にテクスチャを生成することをさらに含む、例1〜13のいずれかに記載の方法。
15.前記テクスチャが、少なくとも部分的に、対応する型テクスチャを含む型によって生成される、例14に記載の方法。
16.前記型部品の少なくとも1つが交換可能なインサートを含む、例1〜15のいずれかに記載の方法。
17.例1〜16のいずれかに記載の方法によって製造される、ボール用、特にサッカーボール用のパネル。
18.複数の例17に記載のパネルを有するボール、特にサッカーボール。
19.空気で充填されたブラッダーを含む、例18に記載のボール。
【0081】
これまでに図面に示したまたは記載した構成要素の異なる配置、ならびに図示または記載していない構成要素およびステップも可能である。同様に、いくつかの機能および部分的組み合わせが有用であり、他の機能および部分的組み合わせに関係なく使用することができる。本発明の実施形態を、例示的かつ非限定的な目的のために記載してきたが、本特許の読者には代替的実施形態が明らかになるであろう。したがって、本発明は、これまでに記載したまたは図面に示した実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態および修正形態を作成することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 パネル
14 外側層
15 キャリア材
16 内側層
21 第1の型部品
22 第2の型部品
23 第3の型部品
21a、22a、23a 開口部
21b、22b、23b 成形面
110、120、130、140、150 ステップ
210 外側層
211 基層
212 テクスチャ
220 キャリア材
221 基層
222 テクスチャ
230 内側層
図1
図2
【外国語明細書】
2016221275000001.pdf