【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1によるボール用、特にサッカーボール用のパネルを製造する方法によって、少なくとも部分的に達成される。一実施形態において、その方法は、外側および内側を有するキャリア材を、少なくとも1つの第1の型部品および少なくとも1つの第2の型部品を有する型の中に提供することを含む。型の中で、キャリア材の外側にパネルの外側層が3次元成形される。さらに、少なくとも第1の型部品を用いて、キャリア材の内側にパネルの内側層が3次元成形される。
【0012】
言及した方法によって、最小限の製造ステップ数で3次元成形されたボール用パネルを製造することが可能になる。複数の要素を別個に成形し、その後、成形された要素を互いに取り付ける必要がない。むしろ、パネルの内側層および外側層は、キャリア材に対する1つの製造ステップで、一体的に3次元成形される。したがって、パネルの内側または外側に、様々な所望の特性を効率的に提供することができる。たとえば、キャリア層に対する外側層および/または内側層の3次元成形を、射出成形によって行うことができる。
【0013】
一般的には、キャリア材を省くことが可能である。たとえば、パネルの内側層および外側層を、互いに直接隣接するように一体的に3次元成形することが可能であろう。この場合、内側層および/または外側層は、たとえば箔または布材料として提供することができる。
【0014】
内側層は、たとえば特定の緩衝特性および反跳特性をもたらすように最適化することができる。一方、外側層は、たとえば外部から湿気が入ることを防止し、かつ/または摩耗からの保護をもたらすシーリングの提供を目的とすることができる。内側層および外側層を成形するために少なくとも1つの型部品を使用することによって、内側および外側で異なる所望の特性を備えたパネルを提供することが可能になり、同時にパネルは、製造の間、型の中にとどまることができるようになる。したがって、手作業を省くことが可能な、さらに簡単かつ迅速な製造が可能になる。したがって、さらにパネルの製造を個々の顧客の要望に迅速に適合させることができる。
【0015】
複層の成形ステップに対して少なくとも1つの共通の型部品を用いて複層パネルを製造することによって、本発明による方法は、製造時間が短い効率的な自動製造プロセスを可能にする。したがって、設計および製造に関して高い適応性がもたらされる。
【0016】
さらに、言及した方法によってパネルを一体的に製造することにより、別個に製造された層または要素を切断して互いに合わせる必要がなくなるため、無駄を省くことができる。むしろ、内側および外側層は、直接キャリア材の上に所望の3次元形状に成形される。したがって、切断の無駄を省くことができる。せいぜい内側層および外側層を成形した後にキャリア材の切断が必要になる場合がある。しかしながら、キャリア材が型の中で既に適切な寸法を備えていれば、キャリア材の切断を省くこともできる。さらに、キャリア材は、型の中に提供する前に、前もって3次元成形することができる。概してパネルは、より環境に優しく費用を削減する形で製造することができる。さらに、パネルを切断する場合、半完成状態の材料は不要である。結果として、本発明による方法によって、より効率的かつサステイナブルなパネルの製造が可能になる。
【0017】
本発明による方法によって、任意の形状のパネルを個々に製造することができる。したがって、その方法によって、ほぼ任意の外形およびほぼ任意の断面のパネルを製造することができる。パネルの外形/断面は、型部品によってあらかじめ決め、調節することができる。たとえば型部品は、たとえばシリコーン、および/またはセラミック、および/または金属の交換可能なインサートを含むことができ、それにより、型部品によって形成される空洞またはくぼみを個々に適合させることができる。したがって、パネルの製造を個々の顧客の要望に適合させることができる。
【0018】
本発明による方法は、パネルを一体的に製造することによって、接着剤、結合剤などを完全に省くことができる。パネルの個々の層を結合するために、別個の接着剤を適用する必要がない。パネルの個々の層に使用される材料は、互いに適合性があり、いくつかの例によれば、熱および/または機械エネルギーだけで結合することができる。さらに、使用される材料を化学反応によって結合することも可能である。結合は、使用される材料の親和性によって可能になる。しかしながら、製造するパネルにとって有利である場合には、別法として接着剤、結合剤などを使用することもできる。
【0019】
少なくとも部分的に透明な外側層を使用することによって、キャリア材はさらに、所望の視覚設計が摩耗から保護される、パネルを提供するために使用することができる。たとえば、キャリア材は所望の色を有することができる。さらに、後でさらに詳しく説明するように、キャリア材と外側層用の少なくとも部分的に透明な材料とを適切に組み合わせることによって、3次元的に見える視覚効果を得ることができる。
【0020】
さらに、前述の方法によって、ほとんどしわが寄らない適切な材料を用いてパネルを製造することが可能になることが分かっている。このことは、そうしたパネルで製造されたボールを膨らませた状態で輸送する必要がないという大きい利点を有する。むしろ、ボールは、しぼんだ状態で空間を節約する形で輸送することができる。たとえば、ボールは現場で、たとえば小売店または最終顧客において膨らませることができ、しぼんだ状態での輸送によって恒久的なしわまたは亀裂が生じることはない。したがって、きわめて環境に優しく費用を削減する形でボールを運ぶことができる。
【0021】
本発明による方法によって、ボールのブラッダーまたはカーカスと別個にパネルを製造することも可能になる。こうして、パネル、およびブラッダーまたはカーカスを異なる場所で製造し、最終顧客において結合するだけにすることが可能になる。結果として、パネルを必要とされる場所まで個々に運ぶことができるようになる。
【0022】
外側層および内側層それぞれの3次元成形は、キャリア材に適用された材料を3次元成形することを含む。外側層および/または内側層用の材料は、たとえば射出成形によってキャリア材に適用し、3次元成形することができる。あるいは、それぞれの材料を、他の方法で型の中に導入すること、たとえばキャストするまたは挿入することもできる。
【0023】
内側層および/または外側層それぞれの3次元成形は、ある特定の温度および/またはある特定の温度プロファイルで行うことができる。たとえば、型の型部品の少なくとも1つを加熱または冷却することができる。こうして、成形されるそれぞれの材料の目標とする加熱または冷却によって、3次元成形を支援することができる。たとえば、3次元成形の前および/もしくはその間に加熱を行うこと、ならびに/または3次元成形の後に冷却を行うことができる。
【0024】
内側層は、たとえば1mmから15mm、または4mmから10mm、または約7mmの厚さを有することができる。外側層は、たとえば0.05mmから5mm、または0.1mmから2mm、または約0.5mmの厚さを有することができる。本発明による方法により、内側層の厚さまたは外側層の厚さを個々に適合させ、それをパネルの使用が意図されるボールのそれぞれの要求に合わせることが可能になる。
【0025】
キャリア材は、外側層の3次元成形から内側層の3次元成形までの間、少なくとも2つの型部品の少なくとも1つの第1のものの中にとどまることができる。この過程で、外側層は、内側層に対して前、後、同時または少なくとも部分的に同時に3次元成形することができる。それに応じて、内側層用の材料を、外側層用の材料に対して前、後、同時またはやはり少なくとも部分的に同時にキャリア材に適用することができる。キャリア材が少なくとも1つの型部品の中にとどまることによって、効率的な製造が可能になる。(たとえば、内側層を製造するための)型部品から取り出し、その後(たとえば、外側層を製造するための)他の型部品に挿入することはもはや不要である。
【0026】
内側層の3次元成形は、内側層が内側層の外面および側面でキャリア材によって囲まれるように行うことができる。こうして、内側層を、たとえばボール用のブラッダーへの取り付けが意図されることがあるその内側を除くすべての側で、キャリア材によって確実に囲むことが可能になる。したがって、内側層をキャリア材によって、湿気または摩擦などの外部の影響から包括的に保護することができる。これは、たとえばキャリア材に、たとえばその内側のくぼみなどの3次元形状を与えることによって実現することができる。その場合、内側層用の材料を前記くぼみに挿入し、その外面およびその側面がキャリア材によって囲まれるように3次元成形することができる。
【0027】
キャリア材を内側層の外面および側面のまわりに配置すると、内側層をこれらすべての側で、キャリア材の外側に配置された外側層によって囲むこともさらに可能になる。特にこれにより、内側層が外面と側面の両方でキャリア材および外側層によって保護された、パネルを製造することが可能になる。したがって、パネルのその側面の擦り切れまたは裂けをしっかりと抑えることができる。
【0028】
外側層の3次元成形は、内側層が内側層の外面および側面で外側層によって囲まれるように行うことができる。既に説明したように、これにより、パネルを外側層によって、パネルの外面と側面の両方で保護することが可能になる。さらに、こうして複数のパネルを、それらの側面で外側層を介して結合することが可能になる。外側層の材料は、このために最適化することができ、たとえば、赤外線溶接などによって特に優れた結合を可能にすることができる。
【0029】
内側層は、少なくとも部分的に第3の型部品によって成形することができ、第3の型部品は、外側層の3次元成形に使用されない。たとえば外側層を成形するために、少なくとも1つの第1の型部品および少なくとも1つの第2の型部品を使用することができる。少なくとも1つの第2の型部品の代わりに、少なくとも1つの第3の型部品を少なくとも1つの第1の型部品と共に使用して、内側層を成形することができる。たとえば、第1および第2の型部品は、それらが外側層を3次元成形するための空洞を形成するように設計することができ、空洞は、外側層の下に配置されるキャリア材にくぼみを形成するように設計される。このために、少なくとも1つの第2の型部品を、たとえば第1の型部品に押し付けられるダイス要素として形成することができる。別法または追加として、キャリア材を別個に成形すること、または前もって3次元成形された状態で提供することができる。少なくとも1つの第3の型部品は、キャリア材に形成されたくぼみを内側層用の材料で充填するように設計することができる。「新しい」第3の型部品を、パネルが内部にとどまることができる第1の型部品と組み合わせることによって、製造を簡易化することが可能になり、やはり、パネルの外側および内側層の様々な幾何学的形状を考慮に入れることができる。特に、内側層の内面は、パネルを取り付けるボールの曲率に適合させた均等に湾曲した面を含むように設計することができる。
【0030】
内側層用の材料は、第3の型部品を通じてキャリア材に適用することができる。第3の型部品は、たとえば射出成形のための入口として直接的に役立つことができ、流動可能な材料が、第3の型部品を通じてキャリア材に適用される。第3の型部品は、1つまたは複数の開口部を含むことができる。したがって、残りの型部品は、内側層用の材料を適用するように設計する必要がない。むしろ、内側層の3次元成形に使用される第3の型部品を、同時に対応する材料を導入するようにも設計すれば十分である場合がある。
【0031】
内側層は、ポリウレタンまたは発泡ポリウレタン、特に発泡熱可塑性ポリウレタンを含むことができる。ポリウレタン、特に発泡ポリウレタンまたは発泡熱可塑性ポリウレタンは、優れた緩衝特性をもたらすことを可能にする。特に発泡熱可塑性ポリウレタンは、広い温度範囲にわたって一定であり、かつボールの耐用期間の間に著しく低下することがない緩衝特性をもたらす。一般的に、ポリウレタンは、たとえば射出成形によって簡単に3次元成形することができる。たとえばペレットの形の発泡熱可塑性ポリウレタンも、簡単に3次元成形することができる。これに関連して、例として特許出願DE102012206094およびEP2649896を参照されたい。さらに、発泡熱可塑性ポリウレタンを使用することによって、既に説明したパネルにさらにしわが寄りにくくなる。他の例では、たとえば他の発泡可塑性材料、たとえば発泡エチレン−酢酸ビニル、ならびに/または他の発泡可塑性材料、たとえば発泡エチレン−酢酸ビニルおよび/もしくは発泡ポリエーテルブロックアミドを使用することもできる。さらに、たとえば内側層に、たとえば2成分PU系など様々なPU系を使用することもできる。PU系は、様々な要求に特に適切に適合することができる。
【0032】
外側層用の材料は、少なくとも2つの型部品の少なくとも1つの第1のものを通じてキャリア材に適用することができる。したがって、内側層用の任意選択の第3の型部品に関連して説明したのと同様に、少なくとも1つの第1の型部品は、射出成形のための入口として役立つことができ、流動可能な材料が、第1の型部品を通じてキャリア材に適用される。このために、第1の型部品は、1つまたは複数の開口部を含むことができる。したがって、残りの型部品は、外側層用の材料を適用するように設計する必要がない。
【0033】
一般的には、複数の異なる層、または複数の異なる外側層を、少なくとも1つの第1の型部品を通じてキャリア材に適用することが可能である。たとえば、使用される材料および/または材料特性に関して異なった、異なる外側層を連続して適用することが考えられる。このために、第1の型部品は、異なる位置に、流動可能な材料をキャリア材にそれを通じて適用することが可能な開口部を含むことができる。個々の層または外側層がその色設計に関してのみ異なるようにすることが可能である。あるいは、たとえば一般的に、他の層または外側層を適用するために、第1の型部品を他の型部品と交換することも可能である。
【0034】
さらに、外側層の3次元成形の前に、型の中に構造要素を挿入することが可能である。たとえば、流動可能な材料を適用する前に、第1の型部品の中にそうした構造要素を挿入することができる。構造要素は、第1の型部品を通じてキャリア材に適用される流動可能な材料によって囲むこと、したがって外側層に埋め込むことができる。たとえば構造要素は、布要素、たとえば編まれた生地、横編み生地、縦編み生地、メッシュおよび/または織られた生地とすることができる。
【0035】
あるいは、構造要素は、外側層に埋め込まず、外側層にテクスチャ(texture)またはアンダーカット(undercut)を柔軟に生成するために使用することも可能である。このプロセスでは、構造要素の外形が外側層のテクスチャをあらかじめ決める。そうした構造要素は、たとえばセラミック、シリコーンおよび/または金属で形成することができる。構造要素の特性は、外側層を3次元成形した後、外側層を簡単に離型できるようなものにする。外側層に所望のテクスチャを柔軟に導入するために、そうした構造要素を所望通りに設計することができる。同様に、そうした構造要素は、内側層の適用に関連して、または第3の型部品に関連して使用することができる。
【0036】
外側層は、ポリウレタン、特に透明なポリウレタン、または可視光線に対して少なくとも部分的に透過性のあるポリウレタンを含むことができる。外側層のポリウレタンは、高い耐摩耗性および/または特定の静止摩擦の提供に関して特に最適化することが可能であり、透明なポリウレタンは特に適している。特に、透明なポリウレタンの使用により、さらにキャリア材によってパネルを視覚設計することが可能になり、同時にパネルの視覚設計が摩耗から保護される。このプロセスでは、透明な外側層とキャリア材の間の相互作用によって、3次元的に見える視覚効果をもたらすこともできる。たとえば、外側層および/またはキャリア材は、外側層および/またはキャリア材の対応する色設計から独立したテクスチャを含むこともできる。さらに、たとえば外側層に、たとえば2成分PU系など様々なPU系を使用することもできる。PU系は、様々な要求に特に適切に適合することができる。
【0037】
言及した方法は、型の中でキャリア材を3次元成形すること、および/または少なくとも2つの型部品の少なくとも1つを使用することを含むこともできる。したがって、内側および外側層をキャリア材に適用するときに、キャリア材を同じ装置の中で3次元成形することもできる。たとえば、キャリア材は、3次元成形された箔として提供することができる。そうした箔は、テクスチャを備えていても備えていなくてもよく、別法または追加として印刷することができる。さらに、キャリア材を流動可能な形で提供することが可能であり、その場合、キャリア材は型の中で3次元成形され、その後固化した形で提供される。キャリア材の3次元成形は、たとえば内側層の3次元成形の前、および/または外側層の3次元成形の前に行うことができる。次いで、3次元成形されたキャリア材の上に、内側層および/または外側層を成形することができる。
【0038】
提供されるキャリア材は、たとえば0.05mmから0.6mm、または0.05mmから0.4mm、または約0.1mmもしくは約0.2mmの厚さを有することができる。たとえばキャリア材は、箔、たとえばアクリロニトリルブタジエンスチレンおよび/または熱可塑性ポリウレタンなどを含むプラスチック箔として提供することができる。キャリア材はポリアミドを含むこともできる。プラスチック箔は、言及した材料からの基層を含むこともでき、たとえば、熱可塑性ポリウレタンを含む他の層が基層に適用される。その層は修飾層として形成され、それに応じて視覚設計すること、たとえば印刷することができる。基層および修飾層はそれぞれ、1μmから200μm、または50μmから100μmの厚さを有することができる。別法または追加として、修飾層を反射層として形成することができる。任意選択で、キャリア材は、たとえば内側に布のキャリアなどの布材料を含むことができる。布材料は、たとえば編まれた材料、横編み材料、ひだをとった材料、ならびに/または織られた材料および/もしくは織られていない材料とすることができる。一般的には、キャリア材を本質的に完全に布材料から形成することも可能である。さらに、キャリア材は、パネルのある特定の機械的機能を相互に決定するように設計することができる。
【0039】
キャリア材の3次元成形は、キャリア材を少なくとも1つの型部品に吸引することを含むことができる。したがって、キャリア材を型部品に従って3次元成形することができる。たとえば、負圧を加えることによって、キャリア材を型部品に、たとえば少なくとも第1の型部品と共に使用される第2の型部品に吸引し、したがって、キャリア材を前記型部品に押し付けることができる。この点において、キャリア材は、使用される型部品のテクスチャを呈することができる。
【0040】
別法または追加として、キャリア材の3次元成形は、ダイス要素を用いて押すことを含むこともできる。たとえば、少なくとも第1の型部品と共に使用される第2の型部品を、少なくとも第1の型部品に押し付けられるダイス要素として形成することができる。こうして、キャリア材を、ダイス要素および対応するカウンターダイスの形状に従って3次元成形することができる。
【0041】
別法または追加として、キャリア材の3次元成形は、キャリア材の型内への深絞りを含むこともできる。
【0042】
キャリア材の3次元成形は、ある特定の温度および/またはある特定の温度プロファイルで行うことができる。たとえば、型の型部品の少なくとも1つを加熱または冷却することができる。こうして、パネルの内側および外側層に関連して既に説明したように、キャリア材の目標とする加熱または冷却によって3次元成形を支援することができる。
【0043】
前述の方法は、キャリア材に印刷することを含むこともできる。印刷は、たとえばキャリア材を型の中に提供する前に行うことができる。たとえば、キャリア材を印刷された箔として提供することができる。したがって、キャリア材は、所望される形でパネルを視覚設計するために使用することができる。キャリア材の外側に印刷を施すことが可能である。しかしながら、少なくとも部分的に透明なキャリア材を使用するときには、その内側に印刷を行うこともできる。
【0044】
言及した方法は、キャリア材の外側および/もしくは内側、ならびに/または外側層の外面および/もしくは側面にテクスチャを生成することをさらに含むことができる。たとえば、擬似縫合線として形成されたテクスチャ、および/または外側層の外面におけるパネルの静止摩擦を高めるためのテクスチャを提供することができる。別法または追加として、キャリア材上のテクスチャを、その上に形成される外側層および/または内側層に対する付着力を改善するために提供することができる。しかしながら、別法または追加として、キャリア材の外側、および/または外側層の外面上のテクスチャは、3次元的に見える視覚効果を生み出すのに役立つこともできる。別法または追加として、テクスチャを内側層の内面に生成することもできる。こうしたテクスチャによって、たとえばボール用のブラッダーおよび/またはカーカスに対する内側層の付着力を高めることができる。本発明による方法の主要な利点は、使用する型の中で任意のテクスチャを完全に生成することができることにある。製造されたパネルに後でテクスチャを付ける必要がない。
【0045】
テクスチャは、約0.01mm〜1.5mmの深さを有することができるが、その長さおよび/または幅についてはさらに広げることもできる。テクスチャの幅は、約2.5mm〜3.5mmとすることができる。こうした寸法は、所望の空力的特性および/または触覚特性をもたらすのに適している。空力的特性を与えるためには、特に0.1mm〜1.5mmの深さが有用である。触覚特性を与えるためには、たとえば0.01mm〜0.1mmの深さが有用である。
【0046】
さらに、テクスチャは、たとえば光の屈折によってキャリア材および/または外側層の視覚特性に影響を及ぼす寸法、特に0.1mm未満の深さを有することもできる。これにより、特に3次元的に見える効果をもたらすのを支援することができる。これに関して、たとえば光の入射時に、それぞれのテクスチャの深さに応じて外側層の色の変化が現れるようにすることができる。さらに、テクスチャは、キャリア材の外側および/または外側層に当たる光を様々な方法で反射すること、反映すること、散乱することなどが可能である。
【0047】
テクスチャは、少なくとも部分的に、たとえば、くぼみまたは突出する要素などの対応する型テクスチャを含む型によって生成することができる。たとえばテクスチャは、それぞれの要素、すなわちキャリア材、内側層および/または外側層を3次元成形することによって生成することができる。したがって、テクスチャを生成するための別の加工ステップは不要である。それぞれの内側もしくは外側層、または任意選択でそれぞれのキャリア材を3次元成形する型部品は、対応する型テクスチャを含むことができる。別法または追加として、それぞれの要素を成形した後に追加の材料を加えることによって、それぞれの要素の上に少なくとも部分的にテクスチャを成形することもできる。別法または追加として、テクスチャは、たとえば集中させた高圧ガスの噴射を用いた高圧成形による3次元成形の間に生成することができる。
【0048】
一実施形態によれば、ボール用、特にサッカーボール用のパネルを製造する方法は、少なくとも2つの型部品を有する型の中で、外側および内側を有するキャリア材を3次元成形するステップと、型の中でキャリア材の外側(または内側)にパネルの外側層(または内側層)を3次元成形するステップと、少なくとも2つの型部品の少なくとも1つの第1のものを用いて、キャリア材の内側(または外側)にパネルの内側層(または外側層)を3次元成形するステップとを含む。
【0049】
本発明の他の実施形態は、本明細書に記載される方法の1つによって製造される、または製造することができるボール用、特にサッカーボール用のパネルに関する。
【0050】
最後に、本発明の他の実施形態は、複数の本明細書に記載されるパネルを有するボール、特サッカーボールに関する。
【0051】
そうしたボールは、空気で充填されたブラッダーを含むことができる。
【0052】
以下の詳細な説明では、以下の図面を参照して本発明の可能な実施形態についてさらに詳しく記載する。