【解決手段】フィルタ52の外周面に逆洗水W2を噴射する逆洗水噴射ノズル6と、フィルタ52の内周面に向かって開口し、ノズル6から噴射された逆洗水である逆洗汚水W11を吸引する吸引ノズル4と、逆洗汚水W11が流通する逆洗汚水ライン28,29と、処理水ラインL11の濾過処理水W2の流量を調整する処理水流量調整手段V12と、フィルタ52の一次側のフィルタ一次側圧力をPe1とし、逆洗汚水ラインの内部の逆洗汚水側圧力をPe2とし、フィルタ52のフィルタ差圧をΔPfとする場合、逆洗差圧ΔPgをPe1−Pe2−k(所定の係数)・ΔPfと規定して、逆洗差圧ΔPgを測定する逆洗差圧測定手段42と、測定手段42により測定された逆洗差圧ΔPgが第1基準差圧Paを超えるように、調整手段V12を制御する制御手段9と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のバラスト水処理装置の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のバラスト水処理装置の第1実施形態を示すフロー図である。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、第1実施形態のバラスト水処理装置1は、バラスト水濾過装置2と、紫外線リアクタ61と、逆洗水供給手段7と、制御部9と、を備える。制御部9は、制御対象の各機器を制御可能に、各機器に信号線(不図示)により接続されている。バラスト水処理装置1には、その外部構成として、バラストタンク62と、清浄水タンク65とが接続されている。
【0014】
第1実施形態のバラスト水処理装置1は、ラインとして、被処理水導入ラインL1と、被処理水排出ラインL2と、処理水ラインL11と、貯留処理水排出ラインL12と、逆洗水流通ラインL21と、清浄水ラインL24と、エア抜きラインL31と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0015】
バラスト水濾過装置2は、ケーシング51と、フィルタ52と、フィルタ回転手段3と、吸引ノズル4と、逆洗水噴射ノズル6と、逆洗汚水排出手段5と、フィルタ差圧測定手段8と、逆洗差圧測定手段42と、を備える。
【0016】
ケーシング51は、円筒状であり、その内部にフィルタ52を収納する。フィルタ52は、全体視で円筒状であり、内部に流入した被処理水(バラスト水)W1(主に海水)を濾過してバラスト水(濾過処理水)W2として外部へ流出させる。フィルタ回転手段3は、フィルタ52を、その軸心を中心に回転させる。吸引ノズル4は、フィルタ52の一次側に設けられ、フィルタ52の内周面に向かって開口する。
【0017】
逆洗水噴射ノズル6は、フィルタ52の二次側に設けられ、フィルタ52の外周面に向かって、バラスト水処理運転中に逆洗水を噴射する。逆洗水噴射ノズル6からの逆洗水の噴射は、ケーシング51及びフィルタ52の内部にバラスト水(W2,W1)が存在する(満たされる)状態で行われる。
【0018】
逆洗汚水排出手段5は、吸引ノズル4で吸引された逆洗汚水W11をケーシング51の内部から外部へ排出する。フィルタ差圧測定手段8は、フィルタ52の一次側と二次側との差圧を測定する。制御部9は、フィルタ差圧測定手段8により測定された差圧などに基づいて、逆洗水の噴射の有無、逆洗水の噴射時の噴射圧力などを制御する。
バラスト水濾過装置2の詳細については後述する。
【0019】
紫外線リアクタ61は、バラスト水濾過装置2のフィルタ52により濾過されたバラスト水(濾過処理水)W2に対して紫外線の照射を行う。
バラストタンク62は、紫外線リアクタ61により紫外線の照射が行われたバラスト水(濾過処理水)W2を、貯留処理水W3として貯留する。
また、紫外線リアクタ61は、バラストタンク62に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3を船外へ排出する際に、貯留処理水W3に対して紫外線の照射を行う。
清浄水タンク65は、バラスト水とは別に用意された清浄水W5を貯留する。
【0020】
次に、各ラインについて詳述する。被処理水導入ラインL1は、一端部から被処理水W1(主に海水)が導入され、他端部において被処理水導入口20に接続しており、被処理水W1がバラスト水濾過装置2の被処理水導入口20に向けて流通するラインである。被処理水導入ラインL1には、汲み上げポンプP1、バルブV1、接続部J1、被処理水導入口20がこの順で接続されている。
被処理水排出ラインL2は、一端部において被処理水導入ラインL1の接続部J1に接続しており、他端部からフィルタ52内の水(バラスト水W1)が排出されるラインである。
【0021】
処理水ラインL11は、一端部においてバラスト水濾過装置2の処理水流出口26に接続しており、他端部においてバラストタンク62に接続しており、バラスト水濾過装置2で濾過処理されたバラスト水(濾過処理水)W2がバラストタンク62に向けて流通するラインである。処理水ラインL11には、処理水流出口26、接続部J21、バルブV11、接続部J11、紫外線リアクタ61、バルブV12、バラストタンク62がこの順で設けられている。
【0022】
貯留処理水排出ラインL12は、一端部において処理水ラインL11の接続部J11に接続しており、他端部からバラスト水(貯留処理水)W3を排出するラインである。貯留処理水排出ラインL12には、接続部J11、バルブV13、貯留処理水排出ポンプP11がこの順で設けられている。
【0023】
逆洗水流通ラインL21は、一端部において処理水ラインL11の接続部J21に接続しており、他端部において逆洗水噴射ノズル6に接続しているラインである。逆洗水流通ラインL21には、バラスト水(濾過処理水)W2が逆洗水噴射ノズル6に向けて流通する。逆洗水流通ラインL21には、接続部J21、バルブV21、逆洗水加圧ポンプP21がこの順で設けられている。
【0024】
清浄水ラインL24は、一端部において清浄水タンク65に接続しており、他端部において逆洗水流通ラインL21の接続部J24に接続しているラインである。接続部J24は、逆洗水流通ラインL21におけるバルブV21と逆洗水加圧ポンプP21との間に設けられている。清浄水ラインL24には、清浄水タンク65に貯留される清浄水W5が、逆洗水として流通する。
【0025】
ラインの各所には、各種のバルブ及びポンプが設けられている。具体的には、被処理水導入ラインL1における接続部J1よりも上流側には、汲み上げポンプP1が設けられている。汲み上げポンプP1は、被処理水導入ラインL1の一端部から被処理水W1(主に海水)を汲み上げる。汲み上げポンプP1は、被処理水導入ラインL1における並列に分岐した部分にそれぞれ設けられる第1汲み上げポンプP1a及び第2汲み上げポンプP1bからなる。被処理水導入ラインL1における汲み上げポンプP1と接続部J1との間には、バルブV1が設けられている。被処理水排出ラインL2には、バルブV2が設けられている。清浄水ラインL24には、バルブV24が設けられている。
【0026】
処理水ラインL11における処理水流出口26と紫外線リアクタ61との間(詳細には、接続部J21と接続部J11との間)には、バルブV11が設けられている。処理水ラインL11における紫外線リアクタ61とバラストタンク62との間には、処理水流量調整手段としての処理水流量調整バルブV12が設けられている。貯留処理水排出ラインL12には、バルブV13及び貯留処理水排出ポンプP11が設けられている。
【0027】
処理水流量調整バルブV12は、処理水ラインL11を流通する濾過処理水W2の流量を調整する処理水流量調整手段として機能する。なお、処理水流量調整手段は、バルブV11であってもよく、バルブV11とバルブV12との組み合わせであってもよい。
【0028】
逆洗水流通ラインL21における接続部J21と逆洗水加圧ポンプP21との間には、バルブV21が設けられている。逆洗水流通ラインL21におけるバルブV21と逆洗水噴射ノズル6との間には、逆洗水加圧ポンプP21が設けられている。逆洗水加圧ポンプP21は、逆洗水流通ラインL21を流通する水を加圧する。
【0029】
次に、バラスト水濾過装置2の詳細について説明する。ケーシング51は、上部開口部及び下部開口部を有する円筒状に形成されており、上部開口部が蓋部10で密閉され、下部開口部が底部11で密閉されている。蓋部10には、エア抜きラインL31が接続されている。エア抜きラインL31には、ケーシング51の内部のエアを抜くためのエア抜きバルブV31が設けられている。
【0030】
フィルタ52は、上部開口部及び下部開口部を有し、全体視で円筒状に形成されている。フィルタ52の詳細については後述する。ケーシング51とフィルタ52との間には、処理水流出空間27が形成される。上部開口部は、上閉止部13で密閉されている。下部開口部は、下閉止部14及び後述する下部回転軸部材16とで密閉されている。
【0031】
フィルタ回転手段3は、上部回転軸部材15と、下部回転軸部材16と、上部回転軸部材15を回転させるモータ17とで構成されている。上部回転軸部材15は、フィルタ52の上閉止部13に、フィルタ52の軸心位置に軸心方向上向きに突設して設けられている。下部回転軸部材16は、フィルタ52の下閉止部14に、フィルタ52の軸心位置に軸心方向下向きに突設して設けられている。
【0032】
上部回転軸部材15は、ケーシング51の蓋部10を貫通し且つシーリングされた軸受部材18を介して、蓋部10に回転自在に且つ液密に支持されている。下部回転軸部材16は、ケーシング51の底部11を貫通し且つシーリングされた軸受部材19を介して、底部11に回転自在に且つ液密に支持されている。下部回転軸部材16は、フィルタ52の内部と連通する管状体となっており、ケーシング51の底部11からケーシング51の外部に突出する。下部回転軸部材16には、ケーシング51への被処理水導入口20が接続されている。
【0033】
被処理水導入口20には、被処理水導入ラインL1が接続されている。ケーシング51の側部には、処理水流出口26が設けられている。処理水流出口26には、処理水ラインL11が接続されている。
被処理水導入ラインL1を流通し且つ被処理水導入口20から導入された被処理水W1は、下部回転軸部材16を通ってフィルタ52の内部に入る。その被処理水W1は、フィルタ52を通過して濾過されて、ケーシング51とフィルタ52との間に形成される処理水流出空間27に入り、処理水流出口26から流出する。
【0034】
逆洗汚水排出手段5は、逆洗汚水が流通する逆洗汚水ラインとしての逆洗汚水集合管28と、逆洗汚水ラインとしての逆洗汚水排出管29と、バルブV32とを備える。逆洗汚水集合管28は、吸引ノズル4に接続する。逆洗汚水集合管28には、吸引ノズル4で吸引された逆洗汚水W11が集合する。逆洗汚水排出管29は、逆洗汚水集合管28の下端部に接続し、逆洗汚水W11を外部へ排出する。バルブV32は、逆洗汚水排出管29に設けられている。
【0035】
逆洗汚水集合管28においては、上端部が閉鎖し、下端部が開口している。逆洗汚水集合管28は、フィルタ52の軸心に配置されている。逆洗汚水集合管28の上端部は、フィルタ52の上閉止部13の中央に設けられた孔に、嵌合して支持されている。逆洗汚水集合管28の下端部は、フィルタ52の下閉止部14の下部回転軸部材16の内部を、フィルタ52の回転を妨げないように通り、ケーシング51の被処理水導入口20に固定されて支持されている。
【0036】
吸引ノズル4は、フィルタ52の一次側に設けられ、逆洗汚水集合管28に接続し、フィルタ52の内周面に向かって開口する。吸引ノズル4は、逆洗水噴射ノズル6から噴射され且つフィルタ52を外周面から内周面に向けて通過した逆洗水である逆洗汚水W11を吸引する。吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向全域から吸引可能であることが好ましい。なお、吸引ノズル4の構成は特に限定されるものではない。例えば、吸引ノズル4を、フィルタ52の軸方向に直線状及び/又は周方向に角度を変えて複数配置することができる。周方向に角度を変えて複数配置される吸引ノズル4は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。
【0037】
本実施形態においては、複数の吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向(上下方向)に直線状に配置されて、逆洗汚水集合管28と接続している。また、フィルタ52の内周面に対向した位置でフィルタ52に向かって開口している吸引ノズル4の開口部は、フィルタ52の内周面に摺動可能に密着している。
【0038】
上下方向に配置されている複数の吸引ノズル4の間の未吸引部を無くすため、フィルタ52の軸方向に2列に配置され、一方の列の吸引ノズル4の間に他方の列の吸引ノズル4が位置している。具体的には、複数の吸引ノズル4は、逆洗汚水集合管28の左右側に、高さ方向に交互に配置されている。なお、吸引ノズル4をフィルタ52の軸方向に配置する他の例として、複数の吸引ノズル4をフィルタ52の軸方向に、吸引ノズル4の間に未吸引部が存在しない間隔で螺旋状に配置してもよい。
【0039】
吸引ノズル4の開口部がフィルタ52の内周面に摺動可能に密着した状態で、複数の吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向に直線状に配置されて逆洗汚水集合管28に接続している。上下方向に配置されている複数の吸引ノズル4は、各吸引ノズル4の間の未吸引部を無くすため、逆洗汚水集合管28の左右側に、高さ方向に交互に配置されている。そのため、フィルタ52の1回の回転でフィルタ52の内周面全域からの吸引を行うことができる。
【0040】
逆洗水噴射ノズル6は、ケーシング51の側部に設けられており、ケーシング51の内部に開口している。逆洗水噴射ノズル6は、フィルタ52の軸方向全域に逆洗水を噴射できることが好ましい。逆洗水噴射ノズル6の構成は特に限定されるものではない。例えば、逆洗水噴射ノズル6を、フィルタ52の軸方向に直線状及び/又は周方向に角度を変えて複数配置することができる。周方向に角度を変えて複数配置される逆洗水噴射ノズル6は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。本実施形態においては、逆洗水噴射ノズル6は、複数配置された各吸引ノズル4と同周上に位置し、且つ、フィルタ52の回転方向に対向する方向に向かって、吸引ノズル4の前に位置するように設けられている。なお、逆洗水噴射ノズル6は、各吸引ノズル4と対向するそれぞれの位置に設けられていてもよく、或いは、フィルタ52の回転方向に対向する方向に向かって、吸引ノズル4の後に位置するように設けられていてもよい。
【0041】
逆洗水供給手段7は、フィルタ52で濾過処理された濾過処理水W2を加圧して、逆洗水W2として逆洗水噴射ノズル6に供給する。逆洗水供給手段7は、逆洗水加圧ポンプP21、バルブV21などから構成される。
【0042】
逆洗水噴射ノズル6は、フィルタ52の外周面(二次側)に逆洗水W2を噴射して、フィルタ52の一次側に堆積した異物を剥離する。剥離した直後に吸引ノズル4による吸引が行われる。逆洗水噴射ノズル6から噴射された逆洗水W2によりフィルタ52から剥離した異物は、逆洗汚水排出管29に設けられたバルブV32を開くことにより、吸引ノズル4により効果的に吸引される。バルブV32の二次側の圧力は大気圧に開放されているため、逆洗汚水集合管28の内部の圧力がフィルタ52の二次側の圧力よりも低くなり、フィルタ52の二次側にある濾過処理水W2の一部及び逆洗水噴射ノズル6から噴射した逆洗水W2は、逆洗汚水W11となって逆洗汚水集合管28の内部を流通し、逆洗汚水排出管29から外部へ排出される。
【0043】
フィルタ差圧測定手段8は、フィルタ52の一次側と二次側との差圧であるフィルタ差圧ΔPfを測定する。フィルタ差圧測定手段8は、フィルタ52の内部に配置される一次側圧力センサ37と、処理水流出空間27に配置される二次側圧力センサ38と、を備える。フィルタ差圧測定手段8は、一次側圧力センサ37によりフィルタ52の一次側圧力Pd1を検知し、二次側圧力センサ38によりフィルタ52の二次側圧力Pd2を検知して、フィルタ52の一次側と二次側とのフィルタ差圧ΔPf(Pd1−Pd2)を測定する。フィルタ差圧ΔPfに基づいて、フィルタ52の汚れ具合を判断できる。フィルタ差圧ΔPfが大きい場合は、フィルタ52への異物の堆積量が多くなっていることを示し、フィルタ差圧ΔPfが小さい場合は、フィルタ52が初期状態に近い状態(異物の堆積量が少ない状態)であることを示している。
【0044】
なお、二次側圧力Pd2は正圧の場合と負圧の場合とが有るので、二次側圧力センサ38は、正圧及び負圧の二次側圧力Pd2を測定できることが好ましい。また、フィルタ差圧測定手段8は、フィルタ52の内部に配置される一次側圧力センサ37と、処理水流出空間27に配置される二次側圧力センサ38と、を備えるものに制限されず、差圧を直接測定できるものであってもよい。
【0045】
逆洗差圧測定手段42は、被処理水導入口20の内部に配置される逆洗差圧一次側圧力センサ43と、バルブV32よりも上流側の逆洗汚水排出管29に配置される逆洗差圧二次側圧力センサ44と、を備える。逆洗差圧一次側圧力センサ43により測定されるフィルタ一次側圧力をPe1とし、逆洗差圧二次側圧力センサ44により測定される逆洗汚水側圧力をPe2とし、フィルタ差圧測定手段8により測定されるフィルタ差圧をΔPfとし、所定の係数をkとする場合、逆洗差圧ΔPgは、Pe1−Pe2−k・ΔPfと規定される。逆洗差圧測定手段42は、このように規定される逆洗差圧ΔPgを測定(算出)する。
【0046】
逆洗差圧測定手段42には、フィルタ差圧測定手段8により測定されるフィルタ差圧ΔPfが入力されるようになっており、また、所定の係数をkが記憶されている。
なお、逆洗差圧測定手段は、フィルタ一次側圧力Pe1及び逆洗汚水側圧力Pe2を測定する部分と、逆洗差圧ΔPg=Pe1−Pe2−k・ΔPfの算出を行う部分とに分かれていてもよい。
【0047】
第1実施形態においては、逆洗差圧ΔPgをPe1−Pe2−k・ΔPfと規定したこと、具体的には、逆洗差圧をPe1−Pe2ではなく、それからk・ΔPfを減算していることが特徴である。
制御手段としての制御部9は、このように規定され且つ逆洗差圧測定手段42により測定された逆洗差圧ΔPg(=Pe1−Pe2−k・ΔPf)が第1基準差圧Paを超えるように(ΔPg=Pe1−Pe2−k・ΔPf>Pa)、処理水流量調整バルブV12を制御する。これにより、第1実施形態によれば、フィルタ52の逆洗性能を極力担保した状態で、処理流量をより多く確保することができる。
所定の係数k及び第1基準差圧Paは、バラスト水処理装置1の構造や、フィルタ52の逆洗性能と処理流量とのバランス等を勘案して、適宜設定される。所定の係数k及び第1基準差圧Paは、処理流量が定格処理流量を大幅に超えないように設定されることが好ましい。
【0048】
なお、フィルタ差圧測定手段8における一次側圧力センサ37と、逆洗差圧測定手段42における逆洗差圧一次側圧力センサ43とは、共用されてもよい。その場合、一次側圧力センサ37又は逆洗差圧一次側圧力センサ43の一方のみが設けられていればよい。
【0049】
一次側圧力センサ37及び逆洗差圧一次側圧力センサ43は、フィルタ52の一次側の圧力を測定できれば、その配置位置は制限されない。配置位置は、例えば、被処理水導入口20の内部からフィルタ52の内部の間の位置であればよい。
逆洗差圧二次側圧力センサ44は、逆洗汚水ライン(本実施形態では、逆洗汚水集合管28、逆洗汚水排出管29)の内部の圧力を測定できれば、その配置位置は制限されない。配置位置は、例えば、少なくとも全ての吸引ノズル4が合流した後の逆洗汚水集合管28、又は逆洗汚水排出管29のいずれかの位置であればよい。
【0050】
逆洗水噴射ノズル6に供給される逆洗水としては、本実施形態においては、フィルタ52で濾過処理された濾過処理水W2が用いられる。なお、フィルタ52への逆洗水としては、清浄水タンク65に貯留されている清浄水W5などを使用することもできる。
【0051】
次に、本実施形態のバラスト水処理装置1の主な動作について簡単に説明する。
(1)バラスト水濾過装置2による被処理水W1の濾過処理(バラスト水処理運転)
バルブV1、バルブV11及びバルブV12を開き、バルブV2、バルブV13、バルブV21、バルブV31及びバルブV32を閉じる。この状態で、汲み上げポンプP1を駆動させる。これにより、被処理水導入ラインL1の一端部から流入した被処理水W1は、被処理水導入ラインL1を流通する。被処理水導入口20から導入された被処理水W1は、フィルタ52で濾過処理され、濾過処理水W2として処理水流出口26から排出される。濾過処理水W2は、処理水ラインL11を流通し、紫外線リアクタ61により紫外線処理され、バラストタンク62に貯留処理水W3として貯留される。
【0052】
(2)逆洗水噴射ノズル6によるフィルタ52の逆洗処理(バラスト水処理運転中の逆洗)
バルブV1、バルブV11、バルブV12、バルブV21及びバルブV32を開き、他のバルブを閉じて、濾過処理水W2(逆洗水W2)が逆洗水噴射ノズル6に向けて流通する状態とする。そして、ケーシング51及びフィルタ52の内部にバラスト水(W2,W1)が存在した状態で、逆洗水加圧ポンプP21及び吸引ノズル4の吸引を稼働させる。これにより、逆洗水噴射ノズル6からの逆洗水(濾過処理水)W2は、フィルタ52に向けて噴射され、逆洗が行われる。
この逆洗処理の際に、制御部9は、逆洗差圧測定手段42により測定された逆洗差圧ΔPgが第1基準差圧Paを超えるように(ΔPg=Pe1−Pe2−k・ΔPf>Pa)、処理水流量調整バルブV12を制御する。
【0053】
(3)バラストタンク62から外部への貯留処理水W3の排水処理
バルブV12及びバルブV13を開き、バルブV11及びバルブV24を閉じる。この状態で貯留処理水排出ラインL12に設けられた貯留処理水排出ポンプP11を稼働させる。これにより、バラストタンク62に貯留される貯留処理水W3は、紫外線リアクタ61により紫外線処理され、処理水ラインL11及び貯留処理水排出ラインL12を介して外部に排出される。
【0054】
第1実施形態のバラスト水処理装置1によれば、例えば、次のような効果を奏する。
第1実施形態のバラスト水処理装置1は、フィルタ52で濾過された濾過処理水W2が流通する処理水ラインL11と、フィルタ52の外周面に向かって逆洗水W2を噴射する逆洗水噴射ノズル6と、フィルタ52の一次側に設けられ、フィルタ52の内周面に向かって開口する吸引ノズル4であって、逆洗水噴射ノズル6から噴射され且つフィルタ52を外周面から内周面に向けて通過した逆洗水W2である逆洗汚水W11を吸引する吸引ノズル4と、吸引ノズル4により吸引された逆洗汚水W11が流通する逆洗汚水ライン(逆洗汚水集合管28、逆洗汚水排出管29)と、処理水ラインL11に設けられ、処理水ラインL11を流通する濾過処理水W2の流量を調整する処理水流量調整バルブV12と、フィルタ52の一次側の圧力であるフィルタ一次側圧力をPe1とし、逆洗汚水ライン28,29の内部の圧力である逆洗汚水側圧力をPe2とし、フィルタ52の一次側と二次側との差圧であるフィルタ差圧をΔPfとし、所定の係数をkとする場合、逆洗差圧ΔPgをPe1−Pe2−k・ΔPfと規定して、逆洗差圧ΔPgを測定する逆洗差圧測定手段42と、逆洗差圧測定手段42により測定された逆洗差圧ΔPgが第1基準差圧Paを超えるように、処理水流量調整手段を制御する制御部9と、を備える。
【0055】
そのため、第1実施形態によれば、逆洗差圧ΔPgは、ある程度大きく確保されると共に、過大になりにくい。そのため、フィルタの逆洗性能を極力担保した状態で、処理流量をより多く確保することができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
【0057】
バラスト水処理装置の使用状況などによっては、フィルタ52の逆洗性能よりも、処理流量をより多く確保することが要求されることがある。第2実施形態は、そのような場合に好適な実施形態である。
第2実施形態においては、第1実施形態と比べて、制御手段として制御部9は、前述のように規定され且つ逆洗差圧測定手段42により測定された逆洗差圧ΔPg(=Pe1−Pe2−k・ΔPf)が、第2基準差圧Pb(=Pa−k・ΔPf)を超えるように(ΔPg=Pe1−Pe2−k・ΔPf>Pb=Pa−k・ΔPf)、処理水流量調整バルブV12を制御する。第2基準差圧Pbは、第1基準差圧Paからk・ΔPfを減じた圧力である。所定の係数kは、逆洗差圧ΔPgを規定する所定の係数kと同じである。
【0058】
第2実施形態によれば、第1実施形態と比べて、第2基準差圧Pbは第1基準差圧Paよりも小さい(Pb<Pa)。そのため、第1実施形態と比べて、逆洗差圧ΔPgが小さくなるように制御される。従って、フィルタ52の逆洗性能よりも、処理流量をより多く確保することを優先して、逆洗処理を行うことができる。
【0059】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明のバラスト水処理装置の第3実施形態を示すフロー図である。第3実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第3実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
【0060】
図3に示すように、第3実施形態のバラスト水処理装置1Bは、第1実施形態と比べて、下流側逆洗汚水ラインL32と、逆洗汚水ポンプP32とを更に備える。下流側逆洗汚水ラインL32は、逆洗汚水排出管29の下流側に設けられるバルブV32の下流側に接続されている。逆洗汚水ポンプP32は、下流側逆洗汚水ラインL32に設けられ、下流側逆洗汚水ラインL32を流通する水を吸引して、圧送する。
【0061】
制御手段として制御部9は、逆洗差圧測定手段42により測定された逆洗差圧ΔPgが第3基準差圧Pc以下になった場合に(ΔPg≦Pc)、逆洗汚水ポンプP32を稼働させるように制御する。これにより、第3実施形態によれば、逆洗差圧ΔPgが低下し、下流側逆洗汚水ラインL32を流通する逆洗汚水W11の流量が低下し、逆洗汚水W11が円滑に排出されない場合、逆洗汚水ポンプP32を稼働させて、下流側逆洗汚水ラインL32を流通する逆洗汚水W11の流量を増加させることができる。
【0062】
換言すると、第3実施形態によれば、逆洗汚水ポンプP32を稼働させない状態を通常状態とし、一方で、逆洗差圧ΔPgが低下し、下流側逆洗汚水ラインL32を流通する逆洗汚水W11の流量が低下したときのみ(必要なときのみ)、逆洗汚水ポンプP32を稼働させて、下流側逆洗汚水ラインL32を流通する逆洗汚水W11の流量を増加させて、逆洗汚水W11を円滑に排出させることができる。つまり、広い意味での逆洗性能を向上させることができる。
そのため、第3実施形態によれば、逆洗汚水ポンプP32の稼働時間を抑制でき、バラスト水処理装置1B全体の運転コストを低減することができる。逆洗汚水ポンプP32の寿命を長くすることができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態においては、フィルタ52への逆洗水W2としてフィルタ52で濾過処理され且つバラストタンク62を経ていない濾過処理水W2が使用されているが、これに制限されない。被処理水W1や、バラストタンク62に貯留されている貯留処理水W3や、他のタンクに貯留されている清浄水(生活用水や飲料水など)などを、逆洗水W2として使用してもよい。