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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221446(P2016-221446A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】水処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20161205BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20161205BHJP
   B01D 61/06 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C02F1/44 A
   B01D61/08
   B01D61/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-109309(P2015-109309)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉川 慎一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】押切 賢宗
(72)【発明者】
【氏名】大川 雄介
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006JA53Z
4D006KA14
4D006KA67
4D006KE07Q
4D006PA01
4D006PB03
4D006PC80
(57)【要約】
【課題】低コストかつ簡便な設備構成でそれぞれの膜モジュールに処理水を均一に供給可能な水処理システムを提供する。
【解決手段】逆浸透膜11と、逆浸透膜11が収容される圧力容器とを備えて構成される逆浸透膜モジュール10を備え、逆浸透膜モジュール10に海水が供給されることで、逆浸透膜モジュール10に収容された逆浸透膜11によって透過水と濃縮水とを得る海水淡水化システム100において、逆浸透膜モジュール10が複数並列に接続されて構成されるモジュール群12を備え、モジュール群12に対し、第一海水供給系統B1及び第二海水供給系統B2を通流して海水が供給されることで、それぞれの逆浸透膜モジュール10に対して海水が供給され、第一海水供給系統B1及び第二海水供給系統B2には、通流する海水をモジュール群12に供給するための送液ポンプ21,22,23が備えられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜と、当該逆浸透膜が収容される圧力容器とを備えて構成される逆浸透膜モジュールを備え、
当該逆浸透膜モジュールに処理水が供給されることで、前記逆浸透膜モジュールに収容された前記逆浸透膜によって透過水と濃縮水とを得る水処理システムにおいて、
前記逆浸透膜モジュールが複数並列に接続されて構成されるモジュール群を備え、
当該モジュール群に対し、複数の処理水流路を通流して処理水が供給されることで、それぞれの前記逆浸透膜モジュールに対して処理水が供給され、
前記処理水流路のそれぞれには、通流する処理水を前記モジュール群に供給するための送液ポンプが備えられていることを特徴とする、水処理システム。
【請求項2】
前記複数の処理水流路のうちの少なくとも一つの処理水流路の途中にはエネルギ回収装置が備えられ、当該エネルギ回収装置には、前記モジュール群から排出された濃縮水が供給され、
前記エネルギ回収装置においては、当該濃縮水の有する圧力エネルギが、前記エネルギ回収装置に供給された処理水に与えられ、
前記エネルギ回収装置において圧力エネルギを与えられた処理水が、前記送液ポンプによって昇圧された後、前記モジュール群に供給されることを特徴とする、請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記モジュール群を構成する複数の前記逆浸透膜モジュール同士は、処理水が通流する接続流路によって並列に連結され、
当該接続流路のうちの一部の流路は切断されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記モジュール群からの濃縮水は、前記モジュール群から複数の流路を通流して排出されることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
海水等から淡水を得るために、逆浸透膜を用いる技術が知られている。逆浸透膜を使用して淡水を得る際、例えば、逆浸透膜により構成される膜モジュールが挿入されてなる圧力容器が複数並列に接続されたモジュール群が利用される。そして、このモジュール群に対して海水等が供給されることで、逆浸透膜により、淡水が得られる。
【0003】
このような技術に関連して、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、水のろ過処理を行う膜モジュールと、前記膜モジュールが挿入された圧力容器と、複数の前記圧力容器が配管を介して並列に接続される水処理システムが記載されている。そして、この水処理システムでは、前記圧力容器内の前記膜モジュールの上流に、供給される処理水の流れ方向に対して垂直方向に沿って移動して当該処理水に可変の抵抗を与え、その流量を増減する板状の抵抗体が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−94359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水処理システムを用いて得られる淡水の量を変更したい場合、海水等の処理水(処理対象となる水)の流量を変更することが考えられる。しかし、処理水の流量が変化すれば、処理水の圧力損失の大きさも変化することになる。具体的には、処理水の流量が少なければ、その流れに伴って生じる圧力損失は小さい。そのため、処理水が供給される上流側の圧力と、下流側の圧力との差(圧力損失差)はさほど大きくなく、上流側の圧力容器に供給される処理水の流量と、下流側の圧力容器に供給される処理水の流量とは、殆ど変わらない。一方で、処理水の流量が多くなれば、その流れに伴って生じる圧力損失は大きくなる。そのため、圧力が比較的高い上流側の圧力容器では、供給される処理水の流量は多くなる。しかし、上流側から徐々に離れていくことで圧力損失が大きくなった結果圧力が低くなる下流側の圧力容器では、供給される処理水の流量は少なくなる。
【0006】
そして、上流側の圧力容器に供給される処理水の流量と、下流側の圧力容器に供給される処理水の流量との差が大きくなれば、圧力容器の内部に配置された膜モジュールにファウリングが局所的に発生し易くなる。即ち、処理水の供給量が多い上流側の圧力容器内部の逆浸透膜にはファウリングが発生し易くなり、一方で、処理水の供給量が少ない下流側の圧力容器内部の逆浸透膜にはファウリングが相対的には発生しにくくなる。これにより、モジュール群において海水流量にばらつきがでてしまい、水処理システム全体の淡水化効率が低下してしまう。
【0007】
ここで、特許文献1には、並列に接続された複数の膜モジュールへの流量配分や流体抵抗の均一化を図ることが記載されている(特許文献1の段落0016参照)。そして、特許文献1に記載の技術では、処理水の流量を変更するため、供給水の圧力と濃縮水の圧力との差分等に基づいて、抵抗体(可動多孔板及び固定多孔板)の操作が行われている(特許文献1の段落0037参照)。そのため、膜モジュールには、抵抗体を駆動させる別個の駆動機構が設けられると考えられる。
【0008】
また、この抵抗体自体にも汚れが付着することも考えられる。このような場合には、供給水の圧力と濃縮水の圧力との差分に基づいて抵抗体の制御を行っても、抵抗体自体の意図しない圧力損失により、正確な制御を行えない可能性がある。
【0009】
さらに、圧力容器内に抵抗体を備えれば処理水の圧力損失が大きくなる。そのため、圧力容器に処理水を供給するための送液ポンプの駆動力に無駄が生じることになり、省エネルギ化の観点からは改善の余地がある。
【0010】
本発明はこれらの課題に鑑みて為されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、低コストかつ簡便な設備構成でそれぞれの膜モジュールに処理水を均一に供給可能な水処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記の課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、以下の知見を見出した。即ち、本発明の要旨は、逆浸透膜と、当該逆浸透膜が収容される圧力容器とを備えて構成される逆浸透膜モジュールを備え、当該逆浸透膜モジュールに処理水が供給されることで、前記逆浸透膜モジュールに収容された前記逆浸透膜によって透過水と濃縮水とを得る水処理システムにおいて、前記逆浸透膜モジュールが複数並列に接続されて構成されるモジュール群を備え、当該モジュール群に対し、複数の処理水流路を通流して処理水が供給されることで、それぞれの前記逆浸透膜モジュールに対して処理水が供給され、前記処理水流路のそれぞれには、通流する処理水を前記モジュール群に供給するための送液ポンプが備えられていることを特徴とする、水処理システムに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低コストかつ簡便な設備構成でそれぞれの膜モジュールに処理水を均一に供給可能な水処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第一実施形態の海水淡水化システムの設備構成を示す系統図である。
図2】第一実施形態の海水淡水化システム(実線)、及び、従来の海水淡水化システム(破線)における各逆浸透膜モジュールへの海水の供給量を示すグラフである。
図3】第二実施形態の海水淡水化システムの設備構成を示す系統図である。
図4】第三実施形態の海水淡水化システムの設備構成を示す系統図である。
図5】第四実施形態の海水淡水化システムの設備構成を示す系統図である。
図6】第五実施形態の海水淡水化システムの設備構成を示す系統図である。
図7】第六実施形態の海水淡水化システムの設備構成を示す系統図である。
図8】第七実施形態の海水淡水化システムの設備構成を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を、図面を適宜参照しながら説明する。参照する図面において、同じものについては同じ符号を付すものとし、その詳細な説明は省略する。また、各実施形態は、適宜組み合わせて実施することができる。
【0015】
図1は、第一実施形態の海水淡水化システム100の設備構成を示す系統図である。海水淡水化システム100は、逆浸透膜11により、海水を透過水(淡水)と濃縮水とに分離するものである。逆浸透膜11は、圧力容器に収容されることで、逆浸透膜モジュール10を構成している。逆浸透膜モジュール10は、同じ仕様のものが並列に複数(図1では四つ)設置されることで、モジュール群12が構成されている。また、それぞれの逆浸透膜モジュール10には、複数の逆浸透膜11(図1では三つ)が収容されている。これらの逆浸透膜11同士は集水配管により接続されている。そして、それぞれの逆浸透膜モジュール10に海水が供給されることで、それらに収容された逆浸透膜11によって、透過水(淡水)が得られる。得られた透過水は、当該集水配管に集められ、それぞれの逆浸透膜モジュール10の端部から排出される。
【0016】
モジュール群12に対して海水は、二つの系統により、それぞれ同じ圧力で供給されるようになっている。即ち、図示しない取水口から取水された海水は、海水供給系統Bを通じて、海水淡水化システム100に供給される。このときの海水の送液は、供給ポンプ21により行われる。次いで、供給ポンプ21を経て海水供給系統Bを通流する海水は、第一海水供給系統B1と第二海水供給系統B2とに分岐して通流する。
【0017】
第一海水供給系統B1を通流する海水は、高圧ポンプ22によって圧力をかけた後、モジュール群12に供給される。このとき、海水は、逆浸透膜モジュール10が並列に接続されてなるモジュール群12を構成する逆浸透膜モジュール10のうちの、最も端側に接続された逆浸透膜モジュール10に供給される。
【0018】
一方で、海水供給系統Bから分岐した第二海水供給系統B2を通流する海水は、エネルギ回収装置30(以下、「ERD30」という)に供給される。ERD30では、供給された海水に対して、逆浸透膜モジュール10から排出された濃縮水(詳細は後記する)の有する圧力が与えられる。そして、ERD30により加圧された海水は、昇圧ポンプ23によってさらに昇圧された後、モジュール群12に供給される。このとき、海水は、モジュール群12を構成する逆浸透膜モジュール10のうちの、第一海水供給系統B1が接続された側とは反対側であって、最も端側に接続された逆浸透膜モジュール10に供給される。
【0019】
高圧ポンプ22と昇圧ポンプ23とは、それぞれの吐出側の圧力が同じになるように、図示しない制御装置によって制御される。従って、海水淡水化システム100において、海水は、モジュール群12の両側端部に接続されたそれぞれの逆浸透膜モジュール10に対して、同じ圧力で供給されることになる。これにより、逆浸透膜モジュール10の内部を、各逆浸透膜モジュール10について同様に海水が流れ、逆浸透膜11に対して局所的な汚れが付着することが防止される。
【0020】
それぞれの逆浸透膜モジュール10に収容された各逆浸透膜11によって分離された後の透過水(淡水)は、海水淡水化システム100の外部に排出され、適宜利用に供される。また、濃縮水は、モジュール群12に接続された濃縮水排水系統Dを通流して、ERD30に供給される。濃縮水は高圧であるため、ERD30において、濃縮水の有する圧力が海水に対して供給されることになる。そして、ERD30において海水に圧力を与えた濃縮水は、海水淡水化システム100の外部に排出される。
【0021】
図2は、第一実施形態の海水淡水化システム100(実線)、及び、従来の海水淡水化システム(破線)における逆浸透膜モジュール10への海水の供給量を示すグラフである。実線で示す第一実施形態の海水淡水化システム100では、前記のように、モジュール群12に対して二系統(B1,B2)で海水が供給されている。一方で、破線で示す従来の海水淡水化システムでは、一系統でのみ海水が供給されている。即ち、従来の海水淡水化システムでは、第二第海水供給系統B2が形成されていない。
【0022】
また、図2の横軸は、第一海水供給系統B1を起算点とした逆浸透膜モジュール10の位置を示している。即ち、図2において、例えば「一本目(一相目)の逆浸透膜モジュール10」は、モジュール群12を構成する逆浸透膜モジュール10(図1参照)のうちの、第一海水供給系統B1が直接接続された逆浸透膜モジュール10を示している。
【0023】
図2に示すように、一系統のみで海水が供給される従来では、海水が直接供給される逆浸透膜モジュール10(一本目の逆浸透膜モジュール10)に対して、最も多くの海水が供給される。そして、逆浸透膜モジュール10の位置が第一海水供給系統B1から遠ざかるにつれて(横軸の数字が大きくなるにつれて)、それぞれの逆浸透膜モジュール10に供給される海水の流量は減少する。従って、モジュール群12を構成する逆浸透膜モジュール10のそれぞれにおいて、供給される海水の流量に大きなばらつきが存在することになる。
【0024】
一方で、二系統で海水が供給される本発明では、逆浸透膜モジュール10の位置に関わらず、ほぼ同じ量の海水が供給される。従って、モジュール群12を構成する逆浸透膜モジュール10のそれぞれにおいて、供給される海水の流量のばらつきが抑制されている。これは、流量が小さくなる最も遠い逆浸透膜モジュール10(図2では六本目の逆浸透膜モジュール10)に対しても海水が供給されるようにしているためである。そして、供給される海水の流量のばらつきが抑制されることで、海水の流れの違いに伴う局所的な汚れの付着が抑制され、海水淡水化システム100全体での淡水化効率の低下が抑制される。
【0025】
また、逆浸透膜モジュール10のメンテナンス時には、例えば図示しない蓋部材等が外されることで、内部の逆浸透膜11が取り出される。従って、当該蓋部材が取り外し可能なように、海水の供給配管が接続されることが好ましい。ただ、従来では、それぞれの逆浸透膜モジュールに対して等量で海水を供給しようとするため、圧力損失を考慮し、海水の供給口はモジュール群12の中段近傍に設置されていた。そのため、前記蓋部材の取り外しが困難であった。しかし、第一実施形態の海水淡水化システム100では、高圧ポンプ22及び昇圧ポンプ23により、それぞれの逆浸透膜モジュール10に対して同じ流量で海水を供給することができる。従って、海水の供給口の自由度が増すため、蓋部材を容易に取り外し易くなる。これにより、逆浸透膜モジュール10のメンテナンスが容易になる。
【0026】
さらに、モジュール群12は、複数の同じ仕様の逆浸透膜モジュール10が並列に接続されて構成されている。同じ仕様の逆浸透膜モジュール10を使用可能なことで、モジュール群12を組み立てるにあたって市販品を用いることができ、設置コストを削減することができる。
【0027】
図3は、第二実施形態の海水淡水化システム200の設備構成を示す系統図である。前記の海水淡水化システム100では、各逆浸透膜モジュール10からの濃縮水は一系統(濃縮水排水系統D)でのみ排水したが、図3の海水淡水化システム200では、二系統で排水するようにしている。具体的には、海水淡水化システム200では、モジュール群12からの濃縮水を排水するために、第一濃縮水排水系統D1と、第二濃縮水排水系統D2とが形成されている。これらのうち、第一濃縮水排水系統D1は、前記の第一海水供給系統B1が接続された逆浸透膜モジュール10と同じ逆浸透膜モジュール10に接続されている。また、第二濃縮水排水系統D2は、前記の第二海水供給系統B2が接続された逆浸透膜モジュール10と同じ逆浸透膜モジュール10に接続されている。
【0028】
濃縮水側の圧力の制御は、海水側の圧力の制御と比較すると、さほどの精密さは要求されない。従って、前記の海水淡水化システム100のように一系統のみの排水としても、良好な効率で海水淡水化システムを運転することができる。ただし、図3に示すような二系統での排水を行うことで、濃縮水側の圧力の圧力損失を同程度にして、各逆浸透膜モジュール10でほぼ同じ量の濃縮水を通流させることができる。これにより、逆浸透膜10を透過させる海水の流量をより精度よく同じ程度の量にすることができ、局所的な汚れの付着をより確実に抑制することができる。
【0029】
図4は、第三実施形態の海水淡水化システム300の設備構成を示す系統図である。前記の海水淡水化システム100では、一系統のみ(海水供給系統B)で取水された海水が途中で分岐し、二系統(第一海水供給系統B1及び第二海水供給系統B2)の海水となって、当該二系統の海水がモジュール群12に供給されていた。しかし、図4に示す海水淡水化システム300では、第一海水供給系統B1及び第二海水供給系統B2は、海水供給系統Bから分岐したものではなく、それぞれ独立して形成されている。そして、海水淡水化システム300では、それぞれ独立した第一海水供給系統B1及び第二海水供給系統B2の各々に、供給ポンプ21が設けられている。
【0030】
供給ポンプ21が第一海水供給系統B1及び第二海水供給系統B2の各々に設けられていることで、ERD30や高圧ポンプ22に対して、それぞれに適した圧力を与えることができる。これにより、海水淡水化システム300のさらなる高効率化を図ることができる。
【0031】
図5は、第四実施形態の海水淡水化システム400の設備構成を示す系統図である。図5に示す海水淡水化システム400では、海水は、独立した二系統により供給され、かつ、濃縮水も、二系統により排水されている。即ち、モジュール群12に供給される海水は、前記の海水淡水化システム300(図4参照)と同様に、それぞれ独立した第一海水供給系統B1及び第二海水供給系統B2を通流したものである。また、モジュール群12から排出される濃縮水は、前記の海水淡水化システム200(図3参照)と同様に、第一濃縮水排水系統D1と、第二濃縮水排水系統D2とを通流して、外部に排出される。
【0032】
海水が独立した二系統で供給され、かつ、濃縮水も二系統で排出されることで、より均一に逆浸透膜モジュール10に海水を供給することができ、局所的な汚れの付着をより確実に抑制することができる。そのため、海水淡水化システム400を特に高効率に運転することができる。
【0033】
図6は、第五実施形態の海水淡水化システム500の設備構成を示す系統図である。前記の海水淡水化システム100〜400では、逆浸透膜モジュール10が複数並列に接続されてなるモジュール群12は一つのみ備えられていた。しかし、図6に示す海水淡水化システム500では、同じ仕様のモジュール群12,13が二つ並列に備えられている。
【0034】
海水淡水化システム500では、海水は、二つのモジュール群12,13に対して、三系統(第一海水供給系統B1、第二海水供給系統B2及び第三海水供給系統B3)で供給されている。これら三系統には、それぞれ独立して制御可能な供給ポンプ21が備えられている。ただし、これら三系統のうちの第一海水供給系統B1では、供給ポンプ21及び高圧ポンプ22を経た海水が分岐して二つのモジュール群12,13に供給されるように、分岐第一海水供給系統B11,B12が形成されている。従って、モジュール群12には、分岐第一海水供給系統B11と第二海水供給系統B2とにより、海水が供給される。また、モジュール群13には、分岐第一海水供給系統B12と第三海水供給系統B3とにより、海水が供給される。
【0035】
複数のモジュール群12,13が備えられていることで、淡水の生産量を増加させることができる。このとき、それぞれのモジュール群12,13では、前記の海水淡水化システム100等と同様に二系統で海水が供給されているため、局所的な汚れの付着が抑制され、運転効率の低下を抑制することができる。さらには、第一海水供給系統B1、第二海水供給系統B2及び第三海水供給系統B3のそれぞれに供給ポンプ21が備えられているため、前記の海水淡水化システム300(図4参照)と同様に、海水淡水化システム500のさらなる高効率化を図ることができる。
【0036】
図7は、第六実施形態の海水淡水化システム600の設備構成を示す系統図である。図7に示す海水淡水化システム600においても、前記の海水淡水化システム500(図6参照)と同様に、二つのモジュール群12,13が備えられている。さらに、これらのモジュール群12,13には、前記の海水淡水化システム500と同様に三系統(第一海水供給系統B1、第二海水供給系統B2及び第三海水供給系統B3)により、海水が供給される。
【0037】
ただし、海水淡水化システム600では、前記の海水淡水化システム500とは異なり、第二海水供給系統B2を通流する海水はERD30に供給される。そして、ERD30において加圧された海水が、分岐第二海水供給系統B21,B22を通流して、モジュール群12,13に供給される。従って、モジュール群12には、第一海水供給系統B1と分岐第二海水供給系統B21とにより、海水が供給される。また、モジュール群13には、分岐第二海水供給系統B22と第三海水供給系統B3とにより、海水が供給される。また、それぞれのモジュール群12,13からの濃縮水は回収され、それぞれの濃縮水が合流されたものがERD30に供給される。
【0038】
このような海水淡水化システム600とすることで、ERD30により加圧された海水の有する圧力に対応させて、第一海水供給系統B1及び第三海水供給系統B3のそれぞれに備えられた高圧ポンプ22で海水を加圧することができる。そのため、モジュール群12,13を構成する各逆浸透膜モジュール10において局所的な汚れが発生して圧力損失の大きさに違いが生じても、これに対応させてそれぞれの高圧ポンプ22,22を駆動させることで、システム全体の運転効率が低下することを抑制することができる。
【0039】
図8は、第七実施形態の海水淡水化システム700の設備構成を示す系統図である。図8に示す海水淡水化システム700では、前記の海水淡水化システム100(図1参照)と同様に、モジュール群12に対して二系統で海水が供給されている。ただし、モジュール群12における海水が供給される部位のうち、海水が通流しない部位が存在している。
【0040】
即ち、海水淡水化システム700では、モジュール群12を構成する逆浸透膜モジュール10A,10B,10C,10Dのうち、第一海水供給系統B1からの海水は逆浸透膜モジュール10A,10Bにのみ供給される。また、第二海水供給系統B2からの海水は逆浸透膜モジュール10C,10Dにのみ供給される。従って、海水淡水化システム700では、逆浸透膜10A〜10D同士は海水が通流する接続流路によって接続されているものの、その接続流路の一部である、逆浸透膜モジュール10Bと逆浸透膜モジュール10Cとを接続する接続流路は切断されていることになる。
【0041】
ERD30が例えば容積型のエネルギ回収装置の場合、ERD30に供給される海水の流量と、濃縮水の流量とは等しくなることが好ましい。そこで、海水の供給される部位の一部を省略することで逆浸透膜モジュール10間の海水供給流量のばらつきが抑制される。これにより、排水される濃縮水の流量のばらつきも抑制されるため、ERD30に対して供給される海水の流量と、濃縮水の流量とを良好に等しくすることができる。
【0042】
以上、本実施系形態について図面を参照しながら説明したが、本実施形態は図示の例になんら限られるものではない。
【0043】
例えば、海水が通流しない部位の位置は、例えば、海水が通流する逆浸透膜モジュール10同士を接続する配管の内径を変更するほか、高圧ポンプ22や昇圧ポンプ23の流量比を制御したり、適宜流量制御弁を設けたりする等して、変更可能である。
【0044】
また、図示の例では、モジュール群12,13を構成する逆浸透膜モジュール10の本数は4本であるが、構成される逆浸透膜モジュール10の数は4本に限られるものではなく、複数(2本以上)であれば何本でもよい。
【0045】
さらに、図示の例では、モジュール群12,13には二系統で海水が供給されるようにしたが、三系統以上で供給されるようにしてもよい。同様に、逆浸透膜モジュール10に対しても二系統で海水が供給されるようにしたが、三系統以上で海水が供給されるようにしてもよい。また、排水される濃縮水についても同様であり、三系統以上で排水されてもよい。
【0046】
また、図示の例では、モジュール群12,13は鉛直方向にのみ平面的に示しているが、紙面に対して垂直方向にも逆浸透膜モジュール10が接続されるようにしてもよい。
【0047】
さらに、処理対象となる処理水は海水でなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 逆浸透膜モジュール
11 逆浸透膜
12 モジュール群
13 モジュール群
21 供給ポンプ(送液ポンプ)
22 高圧ポンプ(送液ポンプ)
23 昇圧ポンプ(送液ポンプ)
30 エネルギ回収装置
100 海水淡水化システム
200 海水淡水化システム
300 海水淡水化システム
400 海水淡水化システム
500 海水淡水化システム
600 海水淡水化システム
700 海水淡水化システム
B 海水供給系統
B1 第一海水供給系統(処理水流路)
B2 第二海水供給系統(処理水流路)
B11 分岐第一海水供給系統(処理水流路)
B12 分岐第一海水供給系統(処理水流路)
B21 分岐第二海水供給系統(処理水流路)
B22 分岐第二海水供給系統(処理水流路)
D 濃縮水供給系統
D1 第一濃縮水供給系統
D2 第二濃縮水供給系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8