【実施例】
【0023】
図1に示されるように、本発明の実施例に係る農林資源肥料化減容システム(以下減容システム)10は、亜臨界水処理装置20と、固形物分離装置40と、生物処理装置42と、余剰汚泥脱水装置45と、加圧水混合装置13と、加圧水製造装置50と、超微細気泡洗浄装置(以下洗浄装置)70と、加圧浮上装置80と、水循環系統100と、からなる。
【0024】
図1の符号9は伐採木、枝、葉等を破砕するためのチッパー、21は亜臨界水処理装置20へ供給される蒸気のための蒸気原水、101は浮上物脱水装置95(詳細後述)により脱水固化された浮上フロスの放射能を計測して容器に入れて搬出するか亜臨界水処理装置20に投入するかを判別するための判別装置をそれぞれ示す。
【0025】
減容システム10を構成する各装置の概略は、以下の通りである。
【0026】
亜臨界水処理装置20は、圧力容器22内に、高温、高圧の水蒸気を注入して、投入口22Aから投入された処理対象物を亜臨界状態として分解するものである。
【0027】
固形物分離装置40は、亜臨界水処理装置20における亜臨界水処理済で排出された処理対象物から、金属や異物からなる固形物と、粉体を含む汚泥(流動物)とを分離するようにされていて、生物処理装置42は、固形物分離装置40において、固形物が分離された後の粉体を含む汚泥を処理するようにされていて、前段の高濃度活性汚泥処理装置42Aと、後段の高濃度膜処理活性汚泥処理装置42Bとから構成されている。
【0028】
余剰汚泥脱水装置45は、生物処理装置42からの余剰汚泥を脱水し、脱水汚泥と脱水ろ液に分離するものである。
【0029】
加圧浮上装置80の前段には凝集反応装置12が設けられ、無機微粒子を含む懸濁水に凝集剤を混合するようにされている(詳細後述)。
【0030】
加圧水混合装置13は、凝集反応装置12において凝集剤が添加された懸濁水に、加圧水製造装置50により製造された、直径が100nm以下の超微細気泡を含む加圧水を混合するようにされている。
【0031】
加圧水製造装置50は、加圧浮上装置80における処理水に、超微細気泡を混合して加圧水として加圧水混合装置13に供給するようにされている。
【0032】
洗浄装置70は、固形物分離装置40において分離された固形物を超微細気泡含有水により洗浄するものである。
【0033】
加圧浮上装置80は、前記加圧水が混合された汚染水の流入口81Aを一端(
図6、
図7において左端)に備えた加圧浮上槽82を含み、加圧水が混合された懸濁水を、加圧浮上槽82内に流入口81Aから注入し、加圧浮上槽82内の、懸濁水中の浮遊物や溶解している成分に、超微細気泡の界面を吸着させて浮上させ、これを凝集剤により絡め、また、浮遊物や溶解成分を絡めた凝集剤に超微細気泡を付着させて、浮上させたり、懸濁水から浮上分離物として浮上させて取出すとともに残りの液体を処理水として排出するようにされている。
【0034】
次に、各装置について、詳細に説明する。
【0035】
亜臨界水処理装置20は、
図2〜4に示されるように、圧力容器22内に高温、高圧の水蒸気を注入して、該圧力容器22内の、伐採木、枝、葉を処理対象物として分解するものである。伐採木、枝、葉は、予めチッパー9により破砕される。
【0036】
図2〜
図3、
図5に示されるように、亜臨界水処理装置20は、圧力容器22と、水蒸気供給装置24と、攪拌装置26と、水蒸気制御装置28と、回転シャフト制御装置30とを備えて構成されている。
【0037】
圧力容器22は、処理対象物を投入するための投入口22Aと、亜臨界水処理を終えた処理対象物を排出するための取出口22Bと、圧力容器22内に高温、高圧の水蒸気を注入するための水蒸気注入口22C(2ヶ所)とを備えている。
【0038】
投入口22Aは、圧力容器22の上部に筒状に突出して形成され、上端のクラッチドア22Dによって開閉されるようになっている。
【0039】
図1、
図2の符号23は蒸気管であり、これは、圧力容器22の上端から上方に立設された筒状に形成されていて、粉塵や過剰な蒸気を外部に排出するようにされている。筒状体の更に上端にも蒸気排出口22Eがある。
【0040】
取出口22Bは、圧力容器22の、
図2において右端に下向きに傾斜して取付けられ、ハンドル22Fにより開口されて、亜臨界水処理の終わった処理対象物を外部に排出できるようにされている。このとき、攪拌装置26の回転シャフト26Aは、内部の処理対象物を取出口22B方向に押出すように回転される。
【0041】
水蒸気供給装置24は、ボイラー24Aによって生産された高温、高圧の水蒸気を、圧力調整弁24B及び蒸気開閉弁28D(説明後述)を介して、水蒸気注入口22Cから圧力容器22内に供給するようにされている。
【0042】
攪拌装置26は、圧力容器22内の、ほぼ中心を水平に貫通して配置された回転シャフト26A、及び、この回転シャフト26Aの、長手方向複数箇所に半径方向に延在して取付けられた複数の攪拌翼26Bとを備えて構成されている。回転シャフト26Aは、
図2において左端下側に設けられたモーター27Aから減速機27Bを介して駆動され、圧力容器22内の処理対象物を攪拌するようにされている。
【0043】
ここで、回転シャフト26Aは、通常運転時は、一定間隔で時計方向又は反時計方向に回転方向が切替えられて、攪拌翼26Bが処理対象物を取出口22B側からモーター27A方向へ、または、その反対方向に送るようにされている。
【0044】
図5に示されるように、水蒸気制御装置28は、圧力容器22の外側の2箇所に取付けられた温度センサー28A、28Bと、同様に、圧力容器22の上部外側に取付けられた圧力センサー29A、29Bと、水蒸気注入口22Cへの水蒸気の供給量を調整する蒸気開閉弁28Dと、圧力容器22内の蒸気を排出するための蒸気排出弁28Fと、制御装置本体28Cと、を備えて構成されている。
【0045】
温度センサー28A、28Bは、圧力容器22の内側の温度を検出するようにされ、又、圧力センサー29A、29Bは、圧力容器22の内側の圧力を検出するようにされている。
【0046】
これら温度センサー28A、28Bと圧力センサー29A、29Bの検出出力信号は、制御装置本体28Cに出力するようにされている。
【0047】
制御装置本体28Cは、CPUからなり、温度センサー28A、28B、圧力センサー29A、29Bからの検出温度信号及び検出圧力信号に基づいて、開閉弁駆動装置28Eを介して、蒸気開閉弁28Dを駆動し、圧力容器22内への蒸気供給量を調整できるようにされている。
【0048】
回転シャフト制御装置30は、回転シャフト26Aに取付けられて、その回転速度を
検出する回転速度センサー32Aと、回転トルクを検出する回転トルクセンサー32Bとからのセンサー出力信号に基づいて、モーター27Aの回転速度を制御するようにされている。
【0049】
具体的には、回転シャフト制御装置30は、回転速度センサー32Aから出力信号に基づく回転シャフト26Aの回転速度と、回転トルクセンサー32Bからの出力信号に基づく回転シャフト26Aの回転トルクとの積が一定値となるように、モーター27Aの回転速度を制御するように構成されている。
【0050】
亜臨界水処理装置20では、処理対象物が高温、高圧の水蒸気により亜臨界状態とされ、土壌微生物による生物分解が困難な、いわゆる難分解性物質、重金属含有有機物、有機燐化合物、ダイオキシンなどの塩素含有毒物である有機物、有機溶剤性有機物などが容易に分解され、重金属は凝縮されて粒状に固化され、他の分解生成物とともにスラリー状となって取出口22Bから取り出され、固形物分離装置40において、分離、搬出される。
【0051】
その残りの流動物は、生物処理装置42において、生物的に処理され、大幅(約70%減)に減容される。
図1の符号43は、熱交換装置を示す。この熱交換装置43は、亜臨界水処理装置20の水蒸気となる蒸気原水21の冷熱と生物処理装置42の反応熱とを交換するものである。
【0052】
亜臨界水処理装置20の排気管34と高濃度活性汚泥処理装置42Aとの間には水エジェクター装置36が設けられ、排気管34からの排気ガスを洗浄水中に通して粉塵を除去するようにされている。
【0053】
水エジェクター装置36は、排気管34からの排気ガスを洗浄水に曝露する水エジェクター36Aと、この水エジェクター36Aからの排気ガス及び洗浄水が流入する循環水槽36Bと、この循環水槽36Bの上端から洗浄水に曝露された後の排気ガスを排出する水エジェクター排気管36Cと、この水エジェクター排気管36Cの排気を除塵する除塵装置36Dと、を有している。また、循環水槽36B内の洗浄水は、循環ポンプ36Eにより汲み上げられ、洗浄水として水エジェクター36Aに供給されるようになっている。
【0054】
除塵装置36Dで分離された粉塵は、フィルターごと、亜臨界水処理装置20の投入口22Aに投入され、分離されたガスは加温装置36Fを通って熱拡散性を改善され放出されるようになっている。なお、水エジェクター装置36を用いることなく、排気管34からの排気ガスを除塵装置36Dに送るようにしてもよい。
【0055】
余剰汚泥脱水装置45は、高濃度膜処理活性汚泥処理装置42Bからの余剰汚泥を脱水し、脱水汚泥を亜臨界水処理装置20の投入口22Aに送るように構成されている。
【0056】
加圧水製造装置50は、
図6、
図9に示されるように、超微細気泡を形成するエジェクター51を備えている。エジェクター51の、流入側には、流入管53がねじ込みにより接続されている。又、吐出側には、吐出管54が流入管53と同様にねじ込みにより接続されている。更に、気体導入管55がねじ込みにより接続されている。この気体導入管55の途中には、気体導入量制御弁56が設けられている。
【0057】
加圧水供給系統60は、前記流入管53及び吐出管54と、流入管53に微細気泡を含む加圧水を供給可能の加圧ポンプ62と、加圧ポンプ62の吸入側に接続され、気体が混合されるべき水を供給する原水供給管64Aと、加圧ポンプ62の吐出側に接続され、加圧された水を送り出す圧送管64Bとを備えている。
【0058】
圧送管64Bの途中には、流入管53が接続され、原水供給管64Aには吐出管54が接続され、エジェクター51で形成された超微細気泡含有水を、吐出管54、原水供給管64A、加圧ポンプ62、圧送管64B、流入管53を経て還流するように構成されている。
図9の符号62Aは加圧ポンプ62を駆動するためのモータを示す。
【0059】
加圧水供給系統60の圧送管64Bは、
図10に示される気泡含有水分離装置66に接続されて、ここに超微細気泡含有水を加圧状態で供給するようにされている。
【0060】
気泡含有水分離装置66は、断面円形の蓄積型加圧水タンクからなり、タンク上部側面に設けられ、圧送管64Bを経て圧送されてくる超微細気泡含有水が流入する加圧水流入ポート66Aと、タンク下部側面に設けられた加圧水吐出ポート66Bと、タンク上端に設けられた中心部水排出ポート66Cと、加圧水流入ポート66Aの内側に設けられ、流入する加圧水をタンク内円周面に沿う下向きの旋回流とする旋回流形成パイプ66Dとを備えて構成されている。
【0061】
旋回流形成パイプ66Dは、加圧水流入ポート66Aから、円形のタンク断面において半径方向に流入する加圧された超微細気泡含有水を、円形断面のタンクの内周面に沿って反時計廻りで、且つ、やや斜め下向きの螺旋流となるように、加圧液体を導くように構成されている。
【0062】
加圧水流入ポート66Aから流入した液体は、タンク下部側面に設けられた加圧水吐出ポート66Bと中心部水排出ポート66Cとからタンク外に吐出され、それぞれの排出量は、中心部水排出ポート66C近傍に設けられた排出量制御弁66Eによって制御されるようになっている。
【0063】
タンク内に充満された加圧水は、旋回流形成パイプ66Dにより旋回流とされるが、中心部水排出ポート66Cは、タンク上端面中心部位置に設けられているので、タンク内の旋回流における中心部分の水が該中心部水排出ポート66Cから排出され、又、旋回流の外側部分の水は、加圧液体吐出ポート66Bから排出される。
【0064】
タンク内の水は旋回流によって、超微細気泡を含んで比較的比重の大きい部分が旋回の外側に、又これより大きい気泡を含む水は比較的比重が小さく、旋回流の中心部分に集まるので、タンク内に流入した液体の、比較的大きな気泡を含む部分が中心部水排出ポート66Cから排出され、残りの水は超微細気泡をより多く含む状態で加圧水吐出ポート66Bから排出されることになる。
【0065】
洗浄装置70は、
図1に示されるように、洗浄池71と、洗浄池に配置された水中攪拌装置72と、洗浄池71から上澄液を排出するためのポンプ74と、洗浄池71に沈殿した沈殿物を取出すための搬出用重機75Aとを備えて構成されている。
【0066】
洗浄装置70においては、加圧水製造装置50において製造された加圧水が洗浄池71に供給され、洗浄池71で発生した懸濁水とシルトがポンプ74によって凝集反応装置12に供給されるようになっている。また、洗浄池71に対しては、洗浄水の不足分が、加圧水製造装置50から供給されるようになっている。
【0067】
洗浄池71において洗浄された後の沈殿物は、例えばバックホーからなる撹拌機兼用の重機75Aによりかき出されて、水切場73に置かれ、自然な重力脱水による水切り後は、ダンプカー75Bによって搬出されるようになっている。
【0068】
なお、洗浄装置70の洗浄池71を、地面を掘下げたり、堤を盛り上げたりして形成した場合、土が沈殿物の一部となるが、肥料に土が混合しても問題がない。また、土中の微粒子が上澄水中に混じることもあるが、加圧浮上装置80で捕捉されるので、これも問題がない。洗浄池71は、例えば鉄板等から形成される水槽であってもよい。
【0069】
次に、
図6、
図7を参照して、加圧浮上装置80について説明する。
【0070】
加圧浮上装置80は、加圧浮上槽82内で、原水(例えば、放射性物質や化学物質汚染水)と超微細気泡との混合水を循環させる循環装置83と、加圧浮上槽82内で、超微細気泡含有水により液面に浮上された浮上スカムを取出す分離物取出装置94とを有している。
【0071】
循環装置83は、旋回吐出管83Aと、旋回流形成ガイド83Bと、から構成されている。旋回吐出管83Aは、加圧浮上槽82内の端部(図において左端部)に突出して設けられ、
図7に拡大して示されるように、先端が斜め上向きに湾曲され、その先端開口が流入口81Aとされていて、原水と超微細気泡含有水との混合液体を斜め上向きに噴出させる湾曲パイプ形状であって、更に、固定フィン等により加圧浮上槽82内に旋回流として噴出させる構成とされている。
【0072】
また、旋回流形成ガイド83Bは、旋回吐出管83Aを囲んでいて、ここから吐出される旋回流を、斜め上向きに案内する、上下が開口している筒状体であって、流入口81Aから噴出された旋回流を斜め前方にガイドするように配置されている。
【0073】
更に、加圧浮上装置80は、加圧浮上槽82内の液面に浮上した浮上スカムを取出した残りの液体を処理済水として、排出口81Bから排出するようにされている。排出口81Bは、加圧水製造装置50における原水供給管64Aを介して、加圧ポンプ62に接続されている。
【0074】
上記加圧浮上装置80からの処理済水には、加圧水製造装置50によって超微細気泡が添加されて、気泡含有水分離装置66により、大きな気泡を含有する水と、超微細気泡を含有する水とに分離され、超微細気泡含有水は、加圧されて加圧水管69を経て、加圧水混合装置13において凝集反応装置12から吐出された凝集剤添加済の原水に加えられて、流入口81Aから加圧浮上槽82内に旋回流として流入するようにされている(詳細後述)。
【0075】
又、旋回流形成ガイド83Bと加圧浮上槽82の底面との間には、隙間83Cが形成されていて、符号Fで示されるような流れが生じ、旋回流形成ガイド83Bの下端開口から加圧浮上槽82内の水が流入できるようにされている。加圧浮上装置80を一定時間以上運転すると、加圧浮上槽82の底面には沈殿分離物が沈殿されるが、この沈殿分離物も、前記隙間83Cから旋回流形成ガイド83Bに吸引されて旋回吐出管83Aからの旋回流と共に加圧浮上槽82内を循環するようにされている。
【0076】
図7に示されるように、加圧浮上槽82の循環装置83と反対側の端部には、加圧浮上槽82内の水を集める複数(ここでは4本)の吸入管87と、この吸入管87の吐出側に接続された1本の水平な集合管88と、加圧浮上槽82の側壁の外側で、集合管88に垂直に接続され、集合管88を通って集められた水を上方に導く上昇管89と、この上昇管89の上端を囲んで、且つ、加圧浮上槽82の外側面に形成されたサブタンク90と、このサブタンク90内に設けられ、上端の吸入口90Aが一定範囲で上下動自在とされ、且つ、下端が排出口90Bとされたレベル調整管91とからなる排出調整装置92が設けられている。
【0077】
分離物取出装置94は、エンドレスチェーン94Aと、これに一定間隔で取付けられた複数のスキマー94Bとを備えていて、スキマー94Bが加圧浮上槽82内の液面に浮上した浮上スカムを
図7において左側から右方向に掃引して、加圧浮上槽82の外側位置にまで集めるように構成されている。
【0078】
又、分離物取出装置94は、スキマー94Bによって集められた浮上スカムを側方に送って排出させるためのフィードスクリュー94Cを備えている。
【0079】
次に、
図8を参照して、凝集反応装置12について説明する。
【0080】
凝集反応装置12は、放射性物質吸着剤自動溶解装置12A、有機系凝集剤自動溶解装置12B、及び、無機系凝集剤自動溶解装置12Cによって溶解された凝集剤が供給される凝集剤反応槽12Dを有し、凝集剤を溶解し、且つ、原水に混合するようにされている。
図6の符号12Eは凝集剤と原水とを良好に混合するための攪拌装置を示す。
【0081】
凝集反応装置12には、更に、ph調整剤自動溶解装置12F、化学反応薬品自動溶解装置12Gを有している。ph調整剤は重金属を析出させ、また、化学反応薬品は有機物をコロイド状に析出させるためのものである。
【0082】
凝集剤としては無機系凝集剤として硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ鉄、塩化カルシウム、鉱物系無機凝集剤、高分子凝集剤としてアニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、ph調整剤としては苛性ソーダ、炭酸ソーダ、石灰、硫酸、塩酸、リン酸、化学反応剤としては汚染原因となった対象物により調整されるが、吸着剤としての粉末活性炭、粉末ゼオライト、珪藻土、活性白土、硫化物生成のための硫化ソーダ、亜硫酸塩、カルシウム塩類などの疎水性増大の為の析出促進剤が使われる。また取扱を容易にする為のシールド剤や界面活性剤も化学反応剤として使われる。
【0083】
なお、
図6に示される気泡含有水分離装置66からの大きな気泡を含有する水は、パイプ100Aを経て凝集剤反応槽12Dの出側に送られて、ここで凝集剤が混合された原水に混合されるようになっている。
【0084】
この実施例に係る加圧浮上装置80においては、凝集剤が溶解、添加された原水(例えば、放射能汚染水)に超微細気泡含有水が注入された後、螺旋流となって、旋回流形成ガイド83Bにより、
図6、
図7において左端から右側に上向きの螺旋流が形成される。
【0085】
他方、旋回流形成ガイド83Bの下端と加圧浮上槽82の底部との間には、隙間83Cが形成されていて、ここから上記旋回流によって加圧浮上槽82内の液体が巻き込まれて、加圧浮上槽82内に大きな循環流が形成される。
【0086】
この循環流の中で、凝集剤はたまたま接触したセシウム等の微量粒子を取込むことはできるが、超微細気泡が存在しない場合は、ほとんど取込むことができない。
【0087】
すなわち、超微細気泡は激しく振動していて、セシウムイオン等に付着してこれを浮上させる過程で、付着しているセシウムイオン等を凝集剤に接触する機会を大幅に増大させることができる。この場合、超微細気泡によって浮上された浮上分離物は、ほぼ100%凝集剤によって取込まれ、浮上スカムとして液面に浮上する。
【0088】
浮上スカムは、分離物取出装置94におけるエンドレスチェーン94Aによって駆動されるスキマー94Bによって、
図7において、右端に集められ、更に、フィードスクリュー94Cによって側方に集められて外部に排出される。
【0089】
排出された浮上スカムは、浮上物脱水装置95によって脱水、且つ、固形化されて、容器に収納される。なお、脱水によって生じた液体は、水循環系統100によって加圧浮上槽82に戻される。
【0090】
水循環系統100は、浮上物脱水装置95で発生した脱水ろ液を第1循環パイプ101Aで、高濃度膜処理活性汚泥処理装置42Bでの処理液を第2循環パイプ101Bで、余剰汚泥脱水装置45で発生した脱水ろ液を第3循環パイプ101Cで、それぞれ集めて、凝集反応装置12における汚染水として循環するようにされている。
【0091】
次に、
図11のフローチャートを参照して、本実施例にかかる減容システム10による農林資源の肥料化減容の過程について説明する。
【0092】
ステップ101において、伐採木、枝打ちにより発生した枝、葉を収集し、ステップ102では、チッパー9によって伐採木、枝、葉を破砕し、破砕された伐採木、枝、葉をステップ103で、亜臨界水処理装置20の投入口22Aから投入する。
【0093】
ステップ104では、亜臨界水処理装置20内で高温・高圧水蒸気により、破砕された伐採木等を亜臨界水処理し、亜臨界水処理を終了した処理物を、ステップ105で、亜臨界水処理装置20の取出口22Bから排出する。
【0094】
ステップ106において、固形物分離装置40により、排出された処理物の固液分離をし、固形物が除去された後の流動物は、次のステップ107において、生物処理装置42において、高濃度活性化汚泥による微生物処理がなされ、発生した余剰汚泥が、ステップ108において余剰汚泥脱水装置45により脱水された後に、ステップ103に戻り、亜臨界水処理装置20に投入される。
【0095】
固形物分離装置40によって分離された固形物は、ステップ109において、洗浄装置70の洗浄池71に投入される。
【0096】
この洗浄池71には、加圧水製造装置50によって製造された超微細気泡含有水が供給され、次のステップ110において、洗浄池71内の水中攪拌装置72を作動させることによって、投入された固形物を、超微細気泡含有水により洗浄する。
【0097】
洗浄池71内の攪拌によって、固形物中の微粒子を、超微細気泡によって浮上させ、その残り(殆ど有機物及び土)が沈殿され(ステップ111参照)、沈殿物は、搬出用重機(例えばユンボ)75Aにより掻き出されて、水切場73に堆積される(ステップ112参照)。
【0098】
水切後の沈殿物は、ステップ113において、ダンプカー75Bにより搬出され、伐採後の山林等に肥料として散布され、亜臨界水処理された有機物の働きで森林の急速な再生を助ける。
【0099】
洗浄池71における微粒子を含む上澄水は、ステップ114において、ポンプ74により加圧浮上装置80の前段に設けられた凝集反応装置12に送られる。
【0100】
ステップ115においては、凝集反応装置12において、上澄水に凝集剤が投入され、ステップ116では、加圧水混合装置13において、加圧水と混合され、加圧浮上装置80に送られる。
【0101】
ステップ117では、加圧水と混合された上澄水が加圧浮上槽82内で攪拌され、凝集剤によって捕捉された微粒子が、超微細気泡によって浮上され、これが液面に浮上フロスとして上昇する。
【0102】
ステップ118では、浮上フロスを分離物取出装置94によって取出す。取出された浮上フロスは、ステップ119において、浮上物脱水装置95により、脱水後固形化し、判別装置101に送られる。
【0103】
次のステップ120において、判別装置101により、脱水後固形化された浮上フロスの、例えば放射線量を測定し、放射線量が一定値以上であれば、亜臨界水処理装置20に送ることができないので、ステップ121に進み、容器に入れて搬出される。放射線量が一定値以下であれば、亜臨界水処理が可能であるので、ステップ103に戻る。
【0104】
浮上フロスが除去された後の加圧浮上装置80内の水は処理水として、ステップ122において、加圧水製造装置50に送られ、超微細気泡含有水用の原水として利用される。余剰処理水は、ステップ123において、肥料として散布又は放流される。
【0105】
上記の過程において、亜臨界水処理装置20での亜臨界水処理によって、伐採木、枝、葉等の容積は約70%減少し、即ち30%の容積となって、固形物分離装置40に排出される。
【0106】
又、固形物分離装置40において分離された固形物は、洗浄装置70によって洗浄されて、超微細気泡により、重金属等の微粒子が分離され、この微粒子を含む上澄水は、加圧浮上装置80に送られ、残りの沈殿物は伐採木等の当初の投入容積の29%であり、これが肥料として利用できる。
【0107】
残りの1%は、重金属等の微粒子及びこれが付着した微粒子であり、凝集反応装置12、加圧浮上装置80を経て処理されることによって、最終的には当初比0.5%の残渣となる。
【0108】
また、生物処理装置42においては、高濃度活性汚泥の作用によって、処理過程で熱が発生し、この温度が55度を超えると、処理能力が大幅に低下するが、本実施例においては、熱交換装置43により、亜臨界水処理装置20の蒸気原水21と熱交換するので、生物処理装置42における処理能力が低下することはない。また、蒸気原水21を予め50度近くに加温できるので、亜臨界水処理装置20における熱効率を大幅に上昇させることができる。