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特開2016-221501プラズマ液処理方法、プラズマ液処理装置および口腔洗浄装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221501(P2016-221501A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】プラズマ液処理方法、プラズマ液処理装置および口腔洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20060101AFI20161205BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20161205BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20161205BHJP
   A61C 17/00 20060101ALI20161205BHJP
   A61L 101/02 20060101ALN20161205BHJP
【FI】
   C02F1/00 W
   H05H1/24
   A61L2/18
   A61C17/00 E
   A61L101:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-46321(P2016-46321)
(22)【出願日】2016年3月9日
(31)【優先権主張番号】特願2015-110765(P2015-110765)
(32)【優先日】2015年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】宮下 万里子
(72)【発明者】
【氏名】今田 勝巳
【テーマコード(参考)】
2G084
4C058
【Fターム(参考)】
2G084AA24
2G084AA25
2G084BB04
2G084BB11
2G084BB24
2G084CC08
2G084CC35
2G084DD12
2G084FF04
2G084FF14
4C058AA02
4C058AA07
4C058AA12
4C058AA28
4C058BB07
4C058CC06
4C058DD03
4C058JJ07
4C058JJ24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラズマ液の酸化力を安全に低下させるプラズマ液処理方法の提供。
【解決手段】第1の金属電極101、第2の金属電極102、絶縁体103、電源104、供給ポンプ105、反応槽106、ポンプ111、入力部117、出力部118、制御部119、プラズマ液槽120、ポンプ121、噴出器125、純水槽130、ポンプ131、回収槽140、ポンプ141、吸引器145を備える。噴出器125は、ノズル122とノズル132とを備え、プラズマによってOHラジカルなどの活性種が発生し、強い酸化力により微生物及び細菌を除菌した後の強い酸化力が残留しているプラズマ液と水を混合することにより、プラズマ液に残留する強い酸化力を安全に低下させる、プラズム液処理方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマにより液体に酸化力を形成してできるプラズマ液を対象物と接触させ、
前記プラズマ液を前記対象物と接触させた後に残留する残留プラズマ液と水とを混合する、
プラズマ液処理方法。
【請求項2】
プラズマにより液体に酸化力を形成してできるプラズマ液を対象物と接触させ、
前記プラズマ液を前記対象物と接触させた後に残留する残留プラズマ液と水とを混合する、
プラズマ液処理装置。
【請求項3】
前記プラズマ液、または水を選択的に対象物に向けて噴出する噴出器と、
前記噴出器が前記プラズマ液を噴出した後に前記水を噴出することにより、前記残留プラズマ液と前記水とを混合するように制御する制御部と、
を備える、
請求項2に記載のプラズマ液処理装置。
【請求項4】
ユーザ操作を受け付ける入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記噴出器が前記プラズマ液を噴出した後、前記入力部で受け付けられたユーザ操作に基づいて前記水を噴出するように前記噴出器を制御する、
請求項3に記載のプラズマ液処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記噴出器が前記プラズマ液の噴出を開始してから所定時間後に前記水を噴出するように制御する、
請求項3に記載のプラズマ液処理装置。
【請求項6】
請求項2〜5の何れか1項に記載のプラズマ液処理装置を備える
口腔洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ液処理方法、プラズマ液処理装置および口腔洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマを利用して水の浄化又は殺菌等を行う装置及びその方法が知られている。例えば、特許文献1には、プラズマによって過酸化水素等の活性種を発生し、発生した活性種により微生物及び細菌を殺菌する装置及びその方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−255027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ液の酸化力を安全に低下させるプラズマ液処理方法およびプラズマ液処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るプラズマ液処理方法は、プラズマにより液体に酸化力を形成してできるプラズマ液を対象物と接触させ、前記プラズマ液を前記対象物と接触させた後に残留する残留プラズマ液と水とを混合する。
【0006】
なお、本開示の包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体又はこれらの任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示のプラズマ液処理方法は、プラズマ液の酸化力を安全に低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態におけるプラズマ液処理装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態におけるプラズマ液処理方法の一例を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、実施の形態における経過時間に対するプラズマ液の吸光度を示す図である。
図3B図3Bは、実施の形態における30秒後のプラズマ液の吸光度変化を示す図である。
図4図4は、実施の形態におけるプラズマ液と水との混合比と酸化力との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した、プラズマ液に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0010】
液体又は気体の浄化又は対象物の殺菌などにおいて、プラズマ発生装置では、特許文献1に記載されているように、プラズマによってOHラジカルなどの活性種が発生し、強い酸化力により微生物及び細菌を除菌する。ところが、除菌などの処理が終わった後もプラズマ液には強い酸化力が残ることが多い。したがって、口腔洗浄や浴室除菌など、人体に触れる用途で使用する場合、肌や粘膜にダメージを与える可能性がある。また、そのまま破棄すれば環境に影響を与える可能性がある。
【0011】
本発明者らは、プラズマ液の酸化力を研究する実験を行ううちに、次の点を見出した。すなわち、プラズマにより酸化力が与えられたプラズマ液は、水と混合することによって、混合比以上に酸化力を大きく低下させることが可能である。
【0012】
そこで、本開示の一態様に係るプラズマ液処理方法は、プラズマ液の酸化力を安全に低下させるために、プラズマにより液体に酸化力を形成してできるプラズマ液を対象物と接触させ、前記プラズマ液を前記対象物と接触させた後に残留する残留プラズマ液と水とを混合する。
【0013】
これによれば、プラズマ液により対象物を除菌し、さらに、残留プラズマ液と水とを混合することにより、残留プラズマ液の酸化力を安全に低下させることができる。
【0014】
また、本開示の一態様に係るプラズマ液処理装置は、プラズマにより液体に酸化力を形成してできるプラズマ液を対象物と接触させ、前記プラズマ液を前記対象物と接触させた後に残留する残留プラズマ液と水とを混合する。
【0015】
これによれば、プラズマ液により対象物を除菌し、さらに、残留プラズマ液と水とを混合することにより、残留プラズマ液の酸化力を安全に低下させることができる。
【0016】
ここで、前記プラズマ液処理装置は、前記プラズマ液、または水を選択的に対象物に向けて噴出する噴出器と、前記噴出器が前記プラズマ液を噴出した後に前記水を噴出することにより、前記残留プラズマ液と前記水とを混合するように制御する制御部とを備えてもよい。
【0017】
これによれば、残留プラズマ液の酸化力を安全に低下させることができ、しかも除菌すべき対象物をプラズマ液に浸す必要がなく、対象物の範囲を大きく広げることができる。
【0018】
ここで、前記プラズマ液処理装置は、ユーザ操作を受け付ける入力部をさらに備え、前記制御部は、前記噴出器が前記プラズマ液を噴出した後、前記入力部で受け付けられたユーザ操作に基づいて前記水を噴出するように前記噴出器を制御してもよい。
【0019】
これによれば、ユーザ操作に従って残留プラズマ液の酸化力を安全に低下させることができる。
【0020】
ここで、前記制御部は、前記噴出器が前記プラズマ液の噴出を開始してから所定時間後に前記水を噴出するように制御してもよい。
【0021】
これによれば、十分な除菌作用を確保した上で、残留プラズマ液の酸化力を安全に低下させることができる。
【0022】
また、本開示の一態様に係る口腔洗浄装置は、上記のプラズマ液処理装置を備える。
【0023】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0024】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0026】
(実施の形態)
[1.液体処理装置の構成例]
図1は、実施の形態におけるプラズマ液処理装置100の構成を示すブロック図である。このプラズマ液処理装置100は、介護ケア装置の一種である口腔洗浄装置としての構成例を示している。同図のようにプラズマ液処理装置100は、第1の金属電極101、第2の金属電極102、絶縁体103、電源104、供給ポンプ105、反応槽106、ポンプ111、入力部117、出力部118、制御部119、プラズマ液槽120、ポンプ121、噴出器125、純水槽130、ポンプ131、回収槽140、ポンプ141、吸引器145を備える。噴出器125は、ノズル122とノズル132とを備える。吸引器145は、ノズル142を備える。
【0027】
ポンプ121及び131は、噴出器125に含まれていてもよい。噴出器125は、後述するように、制御部119により制御され、プラズマ液または水を選択的に対象物に向けて噴出する。
【0028】
第1の金属電極101は、除菌対象の液体である被処理液110を入れる反応槽106内に少なくとも一部が露出するように配置される、例えば棒状の電極である。
【0029】
第2の金属電極102は、反応槽106内に少なくとも一部が露出するように配置され、例えば棒状の電極である。
【0030】
絶縁体103は、第1の金属電極101の外周に通気用の空隙を設けるように形成され、反応槽106の開口に取り付けられる。
【0031】
電源104は、第1の金属電極101と第2の金属電極102とからなる電極対の間に電圧を印加することによって、プラズマ115を発生させ、除菌対象の被処理液110中にOHラジカルなどの活性種を発生させる。
【0032】
供給ポンプ105は、第1の金属電極101と絶縁体103との間の空隙に気体を供給する。これにより、絶縁体103および第1の金属電極101の先端部分に気泡116を連続的に発生させる。この気泡116がなくても電極対の間にはプラズマ115が発生するが、気泡116が存在することによってプラズマ115による活性種の発生効率を高めることができる。
【0033】
反応槽106は、当初はプラズマ液の原液としての純水を被処理液110として貯め、プラズマ115の発生後はプラズマ液を貯める。プラズマ液は、プラズマ115により被処理液110に酸化力が与えられてできる。このプラズマ液は、ポンプ111を有する配管を通ってプラズマ液槽120に移送される。なお、反応槽106とプラズマ液槽120とを配管で接続し、プラズマ115の発生時に、反応槽106とプラズマ液槽120との間で水(後のプラズマ液)を循環させる構成としてもよい。
【0034】
入力部117は、ユーザ(例えば介護士)操作を受け付ける操作パネルである。入力部117は、例えば、ユーザ操作を受け付ける入力回路を備えている。ユーザ操作は、プラズマ放電の開始または停止指示、反応槽106からプラズマ液槽120へのプラズマ液の移送指示、噴出器125からプラズマ液の噴出開始または停止指示、噴出器125から純水の噴出開始または停止指示、吸引器145による吸引開始または停止指示などを含む。
【0035】
出力部118は、LED、液晶パネルなどの表示装置、または音声ガイダンス装置であり、口腔洗浄装置としてのプラズマ液処理装置100の動作状態、進行状況、音声ガイダンス等を出力する。
【0036】
制御部119は、プラズマ液処理装置100全体を制御する。制御部119は、例えば、プラズマ液処理装置100全体を制御する制御回路を備えている。例えば、制御部119は、プラズマ液槽120からノズル122を介してプラズマ液を噴出させることにより、プラズマ液と対象物とを接触させる。制御部119は、その後に、純水槽130からノズル132を介して水を噴出させることにより、水と残留プラズマ液とを混合させる。
【0037】
プラズマ液槽120は、反応槽106から移送されたプラズマ液を貯める。
【0038】
ノズル122は、プラズマ液槽120に通じるフレキシブルな配管に接続され、配管上のポンプ121により、プラズマ液槽120からプラズマ液を吸い上げて噴出する。ノズル122はユーザにより自在に保持可能である。つまり、ノズル122の位置および噴出方向は自在である。これにより、プラズマ液の噴出方向を対象物に容易に向けることができる。ノズル122によるプラズマ液の噴出は、一般的な除菌だけでなく、バイオフィルムと呼ばれる細菌の構造体の除菌にも利用できる。バイオフィルムは、細菌と細菌外気質(例えば多糖やDNA)からなり、コロニーより強固な構造体となっている。バイオフィルム内では細胞自体も変化しているため通常の除菌操作では除菌困難なこともある。プラズマ液は、特殊な薬剤を使うことなく水を原料として生成でき、高い酸化力を有している。それゆえ、バイオフィルムの除菌に適している。なお、ノズル122は、霧状に噴出してもよいし、液状に噴出してもよい。また、ポンプ121は電動式でもよいし、霧吹きのような手動式でもよい。
【0039】
純水槽130は、水をためる。この水は純水でよく、プラズマ液よりも酸化力の弱い液体であってもよい。
【0040】
ノズル132は、純水槽130に通じるフレキシブルな配管に接続され、配管上のポンプ131により、純水槽130から水を吸い上げて噴出する。ノズル132はユーザにより自在に保持可能である。つまり、ノズル132の位置および噴出方向は自在である。これにより、水の噴出方向を対象物に容易に向けることができる。プラズマ液を対象物と接触させた後に残留する残留プラズマ液に水を混合させることにより、残留プラズマ液の酸化力を低下させることができる。つまり、水または還元性を高めた水を残留プラズマ液に混合するだけで、容易かつ安全に酸化力を低下させることができる。水の混合によるプラズマ液の酸化力の低下の詳細については後述する。なお、ノズル132は、霧状に噴出してもよいし、液状に噴出してもよい。また、ポンプ131は電動式でもよいし、霧吹きのような手動式でもよい。
【0041】
回収槽140は、残留プラズマ液および水の混合液を回収するためのタンクである。
【0042】
ノズル142は、噴出器125により噴出されたプラズマ液および水の混合液をポンプ141により吸い込み、回収槽140に排出する。例えば、口腔内の洗浄においてプラズマ液を噴出した後水の噴出し、さらに、回収することができる。なお、ポンプ141は、電動式でもよいし、手動式でもよい。
【0043】
[2.プラズマ液処理装置の動作例]
以上のように構成されたプラズマ液処理装置100について、除菌、酸化力の低下および回収を行う動作について説明する。
【0044】
図2は、本実施の形態におけるプラズマ液処理方法の一例を示すフローチャートである。同図の処理は、制御部119の制御により、入力部117へのユーザ操作、出力部118における表示または音声ガイダンスを伴って進められる。
【0045】
同図において、まず、反応槽106および純水槽130に水(例えば純水または酸化力の弱い還元力のある水)を原液として準備する(S21)。その後、水の準備が完了したことを示すユーザ操作(例えば介護士の操作)、またはプラズマ放電の開始を指示するユーザ操作を入力部117が受け付けたとき、制御部119は、反応槽106の水からプラズマ液を生成するよう制御する(S22)。すなわち、制御部119は、第1の金属電極101および第2の金属電極102間に電源104から高電圧パルスを印加させることによりプラズマ115を発生させ、もって液中に活性種を発生させる。これにより酸化力の強いプラズマ液が生成される。
【0046】
次に、制御部119は、ポンプ111の作用により反応槽106からプラズマ液槽120にプラズマ液を移送し(S23)、さらに、プラズマ液を対象物に接触させる(S24)。口腔洗浄の場合、介護士がノズル122から、被介護者の口腔内の除菌対象部位にプラズマ液を噴霧することにより、プラズマ液を対象物に接触させる。対象物は、除菌対象部位であり、例えば口腔内のバイオフィルムの存在しそうな箇所でよい。プラズマ液を対象物に接触させてから所定時間が経過していない場合は、その状態を維持する(S25でno)。この所定時間の経過により、十分な除菌作用を確保することができる。
【0047】
さらに所定時間が経過した後(S26でyes)、残留プラズマ液に水を混合させる(S26)。残留プラズマ液とは、プラズマ液を一定時間対象物に作用させた後に残留する液体であって活性種が残存している液体のことを言う。口腔洗浄の場合、ノズル132から口腔内の除菌対象部位に水を噴霧する。これにより残留プラズマ液の酸化力を安全に低下させることができる。なお、ここでの水は、純水でも、水道水でも、水素水でもよく、プラズマ液よりも酸化力が弱い水であればよい。
【0048】
次に、残留プラズマ液と水との混合液をノズル142により吸引し、回収槽140に回収する(S27)。具体的には、介護士が吸引器145(つまりノズル142)を用いて、被介護者の口腔内に残留する混合液を回収槽140に回収する。なお、ステップS24及びS26以外のステップは、任意に省略又は変更することができる。
【0049】
[3.実験データ]
続いて、プラズマ液と水との混合による酸化力の低下について、実験データを用いて説明する。
【0050】
図3Aは、実施の形態における経過時間に対するプラズマ液の吸光度を示す図である。同図の横軸は時間(秒)を示す。縦軸は、吸光度を示す。吸光度の変化は、代表的な青色系食品添加色素であるインディゴカーミンの分解による。すなわち、細菌の分解を色素の分解とみなしている。縦軸の下側(値が小さい方)ほど色素の分解が進んでいること、つまり、プラズマ液の酸化力が強いことを示している。また、図3Bは、図3Aでの0秒から30秒までの30秒間における吸光度の変化を示す図である。
【0051】
グラフL0は、酸化力がピークになるように生成されたプラズマ液そのものの吸光度の変化を示している。グラフL0では、経過時間に連れて吸光度がどんどん小さくなっている。これは、プラズマ液の酸化力により色素がどんどん分解されているからである。図3Bに示すように、グラフL0では、0秒から30秒までの30秒間における吸光度の変化は、−9.51%になっている。
【0052】
グラフL1は、酸化力がピークになるように生成されたプラズマ液に、同じ量のインディゴカーミン水溶液を混合した液体の吸光度の変化を示している。グラフL0と比べるとグラフL1の吸光度はほとんど変化していない。つまり、色素の分解があまり進んでいない。これは、混合液の酸化力が低下しているからだと考えられる。図3Bに示すように、30秒間における吸光度の変化は−0.964%でしかない。
【0053】
グラフL2は、酸化力がピークになるように生成されたプラズマ液に、同じ量の純水を混合した液体の吸光度の変化を示している。グラフL0と比べるとグラフL2の吸光度はほとんど変化していない。つまり、色素の分解があまり進んでいない。これは、混合液の酸化力が低下しているからだと考えられる。図3Bに示すように、30秒間における吸光度の変化は−1.91%でしかない。
【0054】
グラフL3は、酸化力がピークになるように生成されたプラズマ液に、同じ量の水素水を混合した液体の吸光度の変化を示している。水素水は、水素を溶解させた水であり、抗酸化作用を有するとされている。グラフL0と比べるとグラフL3の吸光度はほとんど変化していない。つまり、色素の分解があまり進んでいない。これは、混合液の酸化力が低下しているからだと考えられる。図3Bに示すように、30秒間における吸光度の変化は−0.396%でしかない。水素水は、抗酸化作用を有することから、プラズマ液の酸化力を大きく低下させるように思われるが、実際には、グラフL1、L2、L3の間で大きな差異はなかった。
【0055】
以上のように、図3Aから、プラズマ液に同量のインディゴカーミン水溶液、純水、水素水を混合した場合、プラズマ液の酸化力は大きく低下することがわかる。また、プラズマ液の酸化力は低下させる作用は、インディゴカーミン水溶液、純水、水素水で大差ないことがわかる。
【0056】
次に、プラズマ液と水との混合比と酸化力の低下を調べた実験結果について説明する。
【0057】
図4は、実施の形態におけるプラズマ液と水との混合比と酸化力との関係を示す図である。同図の横軸は、プラズマ液と水との混合比を示す。同図ではプラズマ液と水との混合比(ここでは体積比)が1:3、1:1、3:1、1:0の4通りを示している。縦軸は、プラズマ液または混合液の酸化力を示し、混合比が1:0のプラズマ液、つまり水を混合していないプラズマ液の酸化力を1として正規化してある。また、同図のグラフは水を混合してから30秒後の酸化力を示している。
【0058】
混合比が3:1、つまりプラズマ液3に対して水1を混合した場合、酸化力は58%低下している。プラズマ液の酸化力を半減させるには、プラズマ液の1/3の量の水を混合すればよいことがわかる。
【0059】
混合比が1:1、つまりプラズマ液1に対して水1を混合した場合、酸化力は85%低下している。
【0060】
混合比が1:3、つまりプラズマ液1に対して水3を混合した場合、酸化力は97%低下している。
【0061】
以上のように、プラズマ液への水の混合による酸化力の低下は、単純な希釈効果ではなく、水の混合量以上に酸化力が低下することがわかる。
【0062】
また、図4から、水の混合量によってプラズマ液の酸化力を制御することができる。
【0063】
例えば、プラズマ液と混合ざれる水の量が、プラズマ液の1/3倍以上1倍以下であるとき、プラズマ液の酸化力を約60%〜約85%に低下させることができる。
【0064】
また、プラズマ液と混合ざれる水の量が、プラズマ液の1倍以上3倍以下であるとき、プラズマ液の酸化力を約85%〜約97%に低下させることができる。
【0065】
また、プラズマ液と混合ざれる水の量が、プラズマ液の3倍以上であるとき、プラズマ液の酸化力を約97%以上に低下させることができる。
【0066】
なお、実際には、残留プラズマ液中に残存する活性種の量は、対象物に接触させる前にプラズマ液中に存在する活性種の量、及びプラズマ液を接触させる対象物の濃度に依存する。したがって、残留プラズマ液に混合して十分に酸化力を低下できる水の量も当該2つの要素に依存する。したがって、例えば、対象物を細菌とした場合、プラズマ液を細菌に接触させる前に細菌量をイメージセンサなどで検出し、または目視で判断してもよい。細菌量が多い場合は接触させた後に残存する活性種の量が少なくなるので、少ない量の水を混合することが考えられる。一方、細菌量が少ない場合は接触させた後に残存する活性種の量が多くなるので、多い量の水を混合することが考えられる。センサが検出した細菌量の多い/少ないは、所定の閾値に基づいて演算回路が判断してもよい。所定の閾値は、反応槽106内で貯められるプラズマ液の原液の量、及び電源104が電極間に印加する電圧値・印加時間を一定値とした場合に生成される活性種の量に対して決定したものを予め記憶させてもよい。
【0067】
以上説明してきたように実施の形態におけるプラズマ液処理装置によれば、残留プラズマ液の酸化力を容易にかつ安全に低下させることができる。つまり、通常の水、純水、還元力のある水などを、プラズマ液に混合するだけで、酸化力を低下させることができる。また、プラズマの発生により酸化力をもつプラズマ液を生成するので、特殊な薬剤を使うことなく水を原料として高い酸化力をもるプラズマ液を生成することができる。
【0068】
また、上記実施の形態では、主に口腔洗浄装置としてのプラズマ液処理装置について説明したが、口腔洗浄以外に用いることができる。例えば、医療用機器の除菌、浴室の床の除菌、排水口の除菌、窓ガラスの除菌などに用いてもよい。
【0069】
また、プラズマ液と水の混合は、噴出による混合に限らず、水槽内で混合してもよい。
【0070】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態のプラズマ液処理装置および口腔洗浄装置などを実現するソフトウェアは、コンピュータに、図2に示したプラズマ液処理方法を実行させる。
【0071】
以上、一つまたは複数の態様に係るプラズマ液処理装置、方法および口腔洗浄装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示のプラズマ液処理方法は、口腔洗浄装置、医療機器の滅菌、浴室の床洗浄、排水口の洗浄等に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
100 プラズマ液処理装置(口腔洗浄装置)
117 入力部
119 制御部
125 噴出器
図1
図2
図3A
図3B
図4