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特開2016-221510二塩化イソシアヌル酸ナトリウムを用いた船舶平衡水の処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221510(P2016-221510A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】二塩化イソシアヌル酸ナトリウムを用いた船舶平衡水の処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/50 20060101AFI20161205BHJP
   B63B 13/00 20060101ALI20161205BHJP
   B01F 15/00 20060101ALI20161205BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20161205BHJP
   B01F 15/04 20060101ALI20161205BHJP
   B01F 1/00 20060101ALI20161205BHJP
   B01F 3/12 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C02F1/50 531P
   B63B13/00 Z
   B01F15/00 Z
   B01F15/02 B
   B01F15/02 C
   B01F15/04 D
   B01F1/00 E
   B01F3/12
   C02F1/50 510A
   C02F1/50 520A
   C02F1/50 520F
   C02F1/50 540B
   C02F1/50 550D
   C02F1/50 550L
   C02F1/50 560Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-108654(P2016-108654)
(22)【出願日】2016年5月31日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0078300
(32)【優先日】2015年6月3日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】516135977
【氏名又は名称】テックロス コポーレーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク キュウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンテ
(72)【発明者】
【氏名】イ ヘドン
(72)【発明者】
【氏名】イ グァンホ
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AA20
4G035AB46
4G035AC01
4G035AE02
4G035AE13
4G037AA02
4G037AA12
4G037BA05
4G037BB06
4G037BC03
4G037BD06
4G037BE02
4G037DA20
4G037EA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、NaDCC(Sodium Dichloro Iso Cyanurate)を用いた船舶平衡水の処理装置を提供する。
【解決手段】淡水が流入及び排出されるように流入部及び排出部を備え、前記流入部及び前記排出部にそれぞれ流入バルブ及び排出バルブが設置されNaDCCが内蔵されているカートリッジと前記カートリッジの排出部と接続されて前記NaDCCを攪拌させる攪拌機を備えた溶解タンクを含む構成されることにより、粉末状のNaDCCを安全かつ容易に扱えるようにする効果がある。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
淡水が流入及び排出されるように流入部及び排出部を備え、前記流入部及び前記排出部にそれぞれ流入バルブと排出バルブが設置され、
NaDCC(Sodium Dichloro Iso Cyanurate)が内蔵されるカートリッジと、
前記カートリッジの排出部と接続され前記NaDCCを攪拌させる攪拌機を備えた溶解タンクを含む、NaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置。
【請求項2】
前記カートリッジは、
複数個を並列に接続するように構成される、NaDCCを用いた、請求項1に記載の船舶平衡水の処理装置。
【請求項3】
前記カートリッジは、
前記内蔵されたNaDCCの使用有無を把握するように側面部に透明窓を含む、NaDCCを用いた、請求項1に記載の船舶平衡水の処理装置。
【請求項4】
前記カートリッジと前記溶解タンクは、
前記NaDCCの溶解度が4%または8%または12%になるように、容量がそれぞれ決定される、NaDCCを用いた、請求項1に記載の船舶平衡水の処理装置。
【請求項5】
前記溶解タンクには、
溶解された前記NaDCCの伝導度を測定するように伝導度センサが設置される、NaDCCを用いた、請求項1に記載の船舶平衡水の処理装置。
【請求項6】
前記流入バルブ及び前記排出バルブは、手動バルブ(Manual Valve)である、 NaDCCを用いた、請求項1に記載の船舶平衡水の処理装置。
【請求項7】
前記流入バルブの流入側には自動流入バルブが設置され、前記排出バルブの排出側には自動排出バルブが設置されるNaDCCを用いた、請求項6に記載の船舶平衡水の処理装置。
【請求項8】
前記溶解タンクには、
外側に冷却部が設けられる、NaDCCを用いた、請求項1乃至請求項7の内、何れか一項に記載の船舶平衡水の処理装置。
【請求項9】
前記船舶平衡水の処理装置は、
前記溶解タンクには水位を測定するレベルセンサが設置され、前記レベルセンサから転送された水位信号に応じて前記自動流入バルブおよび前記自動排出バルブを開放または閉鎖させる制御部をさらに含む、NaDCCを用いた、請求項7に記載の船舶平衡水の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二塩化イソシアヌル酸ナトリウム(NaDCC:Sodium Dichloro Iso Cyanurate:以下NaDCCと称する)を用いた船舶平衡水の処理装置に関し、さらに詳細には、粉末状(Granule type)のNaDCCを安全に扱えるようにするNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、海上で運送する貨物船は、類似な貨物の相互交換のために往復航海する船舶を除外しては、ほとんどの場合片道運航をする。そして、片道運航を満載状態で航海した後、帰還航海の時には、船舶のバランス、安全性及び操縦性能向上等のために船舶平衡水(ballast water)を船内に流入して平衡状態で航海をすることになる。
【0003】
この時、船舶平衡水は、一港から満たされ、他の場所に移送され、そこで新しい港内に排出される。このように、遠い位置から運ばれてきた船舶平衡水に含まれている海洋生物と病院菌の放出は、新しい環境に有害であるだけでなく、新たな港でおいても人と動物の全てに危険することがある。
【0004】
非天然の海洋生物を新規生態系に導入させると、新規の種についての自然な防御システムを持っていない可能性がある天然の植物群と動物群に壊滅的な影響を及ぼすことがある。
【0005】
また、コレラのような有害な細菌性の病院菌が元の港に存在することがある。このような病院菌は、時間の経過とともに船舶平衡水タンク内で増殖され、これらが放出される領域で、病気を発生させることがある。
【0006】
このような海洋生物及び病院菌によって提起されるリスクは船舶平衡水内に存在する前記した種を致死させて調節することができる。
【0007】
生物を死滅させる方法は、海水を電気分解して発生される次亜塩素酸ナトリウムを用いて、船舶平衡水を処理する電気分解法が広く使用される。
【0008】
ところが、前述した電気分解方式を用いた船舶平衡水処理は、海水中に含まれているNaClをNaClOに変換しなければならないので、海水地域では使用が容易であるが、船が川のような淡水地域(特に、塩分濃度が0.5psu以下の地域)を運航する場合には、電気分解の方法が使用できないという欠点があった。
【0009】
別の方法として、淡水地域でも船舶平衡水処理効率を維持するために、電気分解法以外に、殺菌剤のような薬品注入を介して船舶平衡水を死滅させる処理方法がある。
【0010】
このような殺菌剤中にNaDCCは、安価であり強力な殺菌力があり、殺菌処理に多く使用される。
【0011】
しかし、NaDCCは目への刺激が激しく、呼吸すると有毒であり、飲み込むと有害であるので、非常に慎重に扱うべきである。
【0012】
水溶液の形態のNaDCCは体積が大きく、温度に応じて、品質が低下(Degradation)するので、適切な保管のためには使用できるところが制限され、大容量の処理が難しい欠点がある。
【0013】
粉状(Granule Type)NaDCCは粉塵が飛散しやすいため、取り扱い上の難しさがある。したがって、粉状NaDCCを補充するときは、安全装置を備えて専門人材が実行しなければならないので、作業時間が長くなる。
【0014】
また、NaDCC粉塵が飛散しやすいため、別の換気装置が必要になり、システム全体が複雑化して大きくなる問題点が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10−1472528号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、特に粉状のNaDCCを容易に取り扱うことができるNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために案出された本発明の一実施の形態に係るNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置は淡水が流入及び排出されるように流入部及び排出部を備え、前記流入部と前記排出部にそれぞれ流入バルブ(弁)と排出バルブが設置され、NaDCCが内蔵されるカートリッジと、前記カートリッジの排出部と接続されて前記NaDCCを攪拌させる攪拌機を備えた溶解タンクを含む。
【0018】
ここで、カートリッジは、複数個を並列に接続するように構成することができる。
【0019】
また、カートリッジは、内蔵されたNaDCCの使用有無を把握するように側面部に透明窓を含むこともできる。
【0020】
また、カートリッジと溶解タンクは、NaDCCの溶解度が4%または8%または12%になるように、容量をそれぞれ決定できる。
【0021】
また、溶解タンクには、溶解されたNaDCCの伝導度を測定するように伝導度センサを設置でき、外側に冷却部を設置することもできる。
【0022】
一方、流入バルブ及び排出バルブは、手動バルブ(Manual Valve)で有り得、 流入バルブの流入側には自動流入バルブが設置され、前記排出バルブの排出側には自動排出バルブが設置されることもある。
【0023】
また、前記船舶平衡水の処理装置は、前記溶解タンクには水位を測定するレベルセンサが設置され、前記レベルセンサから伝達された水位信号に応じて前記自動流入バルブおよび前記自動排出バルブを開放または閉鎖させる制御部をさらに含むこともある。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係れば、粉状のNaDCCをカートリッジ内に内蔵させることでNaDCCが飛散されず、安全に供給されるという効果がある。
【0025】
また、本発明に係れば、粉状のNaDCCを内蔵した複数のカートリッジを並列に装着することで、大量のNaDCCを供給できるという効果がある。
【0026】
また、本発明に係れば、粉状のNaDCCを内蔵したカートリッジの流入側と排出側に開閉バルブを設置することにより、内蔵されたNaDCCの外部漏れを防止して、別の換気装置などを不要にするという効果がある。
【0027】
また、本発明に係れば、NaDCCを内蔵したカートリッジの流入側と排出側に自動バルブを設置することにより、所望する量のNaDCCを溶解タンクに供給できるという効果がある。
【0028】
また、本発明に係れば、NaDCCを内蔵したカートリッジの側面部に透明窓を含むことにより、内蔵されたNaDCCの使用有無を把握できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施の形態に係るNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置の構成図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置に備えられたNaDCCの注入装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、添付した図面を参考にして、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
まず、各図面の構成要素に参照符号を付加することにおいて、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されても、可能な限り同一の符号を有すようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、関連した公知の構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にし得ると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0032】
また、以下で、本発明の好適な実施の形態を説明するが、本発明の技術的思想は、これに限定されず、また制限されず、当業者によって変形されて多様に実施できることはもちろんである。
【0033】
図1は、本発明の一実施の形態に係るNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置の構成図であり、図2は、本発明の一実施の形態に係るNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置に備えられたNaDCC注入装置を示したものである。
【0034】
図1を参照すると、本発明の実施の形態に係るNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置は、船舶の船舶平衡水のメイン配管10に沿って船舶平衡水タンク120に流入される船舶平衡水に酸化剤水溶液を注入して船舶平衡水を処理する装置である。使用される酸化剤は、NaDCCを水に溶解させ生成される次亜塩素酸(HClO)であり、これを用いて、船舶平衡水を殺菌処理する。
【0035】
具体的には、本発明に係るNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置は、メイン配管10、吸引ポンプ13、総残留酸化剤(Total Residual Oxidant、以下「TRO」と称する)センサ17、淡水供給配管20、NaDCCが内蔵されるカートリッジ60及び溶解タンク91を含みから構成される。
【0036】
吸引ポンプ13は、船舶平衡水タンク120に船舶平衡水を貯蔵するように、メイン配管10を介して船舶平衡水を船舶平衡水タンク120に流入させるポンプである。
【0037】
本発明の一実施の形態に係る船舶平衡水の処理装置は、前記吸引ポンプ13の前端側に流入する船舶平衡水に含まれた異物やサイズが大きい微生物をろ過するためにフィルタ11が設置される。必要に応じては、前記フィルタ11は、省略することもできる。
【0038】
流量計14は、吸引ポンプ13から流入した海水の流量を測定するために、吸引ポンプ13の排出側に設置される。
【0039】
TROセンサ17は、酸化剤が投入された後の船舶平衡水のTRO濃度を測定するように酸化剤投入配管40が船舶平衡水メイン配管10と合流した後のメイン配管10上に設置される。
【0040】
淡水供給配管20は、淡水がNaDCCカートリッジ(60、80)に流入するように、淡水供給部(図示せず)とNaDCCカートリッジ(60、80)とを接続させるように設置される。
【0041】
NaDCCカートリッジ60には、粉末状のNaDCCが内蔵されており、図2に示すように、淡水が流入してNaDCCと混合された後排出されるように、淡水供給配管20と結合される流入継手(fitting)部61と、溶解タンクの接続配管30と接続される排出継手部67が形成される。
【0042】
前記NaDCCカートリッジ60は、円筒形の本体64と、前記本体64に淡水の流入を案内するように本体64の上部側面に形成される流入部63と、淡水とNaDCCが混合された水溶液が排出されるように本体64の下端に漏斗形で形成される排出部65を備えている。
【0043】
ここで、前記NaDCCカートリッジ60は、NaDCC粉末を注入できる別の注入口を設けることもできるが、前記流入部63を介してNaDCC粉末を注入することもできる。
【0044】
NaDCCカートリッジ60は、別途保管されており、また、装着の際の移動中に、内蔵されたNaDCCが外部に漏れないように閉鎖され、船舶平衡水の処理装置におけるカートリッジ装着部に装着された後は、淡水を流入しNaDCC水溶液を排出するように開放される流入バルブ62と排出バルブ66が設置される。
【0045】
前記NaDCCカートリッジ60は、内蔵された粉末状のNaDCCがどの程度使用されたか把握し、交替時期を分かるよう本体64の側面部に透明窓68を備えることができる。このとき、前記透明窓68には、貯蔵された容量や使用された容量を測定することができるように目盛りが付される。NaDCCカートリッジ60を交替するときは、カートリッジ60にNaDCCが残っていても粉末の状態ではなく、練りの状態であるため、粉塵がないため、別途の保護具が必要なくなる。
【0046】
本発明の一実施の形態に係るNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置は、図1に示すように、酸化剤を大量に供給できるように、複数個を並列に接続して設置することができる。図では、2つのカートリッジ(60、80)が並列に設置されているが、さらに大量の酸化剤が必要な場合には、カートリッジを並列に追加設置することもできる。このように構成される場合、様々なサイズの船の需要に合うようにして、適切な数のカートリッジを設置できるだけでなく、故障時、モジュール別の交替が可能であるため、維持管理面でも効果的といえる。
【0047】
溶解タンク91は、NaDCC水溶液が流入するように、前記NaDCCカートリッジ(60、80)と溶解タンクの接続配管30によって接続される。
【0048】
ここで、溶解タンク91には、NaDCC水溶液が完全に溶解するように攪拌させる翼部92を備えた攪拌機99が設置される。
【0049】
また、溶解されたNaDCC水溶液の伝導度を測定するように伝導度センサ95を設置できる。
【0050】
ここで、カートリッジ(60、80)と溶解タンク91は、NaDCCの溶解度が8%になるように容量をそれぞれ決定することができる。NaDCCの溶解度は22.7%であるが、溶解時間と完全溶解を考慮すると8%の溶解度で使用することが望ましい。
【0051】
例えば、溶解タンク91の容量が50Lであれば、カートリッジ(60、80)の容量は、4kgに設計するようにする。また、前記8%溶解度を基準に上下マージンを置き、4%または12%の溶解度となるように、カートリッジ(60、80)と溶解タンク91の容量を決定することもできる。
【0052】
NaDCC水溶液が溶解タンク91に補充された後、攪拌機99は、約20分程度稼動される。 NaDCCは溶解するほど伝導度が増加し、8%完全溶解時の伝導度は24mS/cmとなるため、前記伝導度センサ95を使用する場合、完全に溶解するかどうかを把握して攪拌時間を短縮できるようになる。
【0053】
一方、前記溶解タンク91には、NaDCC水溶液の水位を測定するようにレベルセンサ97が設置される。レベルセンサ97が低水位(Low)状態のときは、自動流入バルブ(51、71)および自動排出バルブ(59、79)を開放して、カートリッジ(60、80)に淡水を供給し、カートリッジ(60、80)の中のNaDCCが淡水により溶解タンク91に移送される。前記レベルセンサ97が高水位(High)になるまで淡水を供給し、高水位に到達した後は、自動流入バルブ(51、71)及び/または自動排出バルブ(59、79)を閉鎖させる。
【0054】
また、前記溶解タンク91は、NaDCC溶解液が円滑に流入及び流出するようにエアベント98を備える。
【0055】
また、NaDCC水溶液の温度に応じた品質の低下を防止するために、外側に冷却部を設置できる。
【0056】
一方、流入バルブ(62、82)の流入側には自動流入バルブ(51、71)がそれぞれ設置され、排出バルブ(66、86)の排出側には、それぞれ自動排出バルブ(59、79)が設置される。
【0057】
ここで、流入バルブ(62、82)と排出バルブ(66、86)は、手動バルブ(Manual Valve)で構成される。本発明の一実施の形態に係る船舶平衡水の処理装置において、流入バルブ(62、82)と排出バルブ(66、86)は、内蔵されたNaDCCが外部に漏出することを防止するための手段であり、これを代替するために流入部と排出部に遮断膜(図示せず)を設置することもできる。この遮断膜(図示せず)は、カートリッジが接続配管に結合されるとき破壊されるように構成すれば、本発明の流入バルブとバルブのシール機能を実行することができるようになる。ただし、この場合には、カートリッジをリサイクルできない欠点があるため、バルブで内蔵NaDCCを密封することがさらに望ましい。
【0058】
ドージング(dosing)ポンプ101は、NaDCCが溶解した酸化剤溶液93が酸化剤投入配管40を介してメイン配管10に合流するように、制御バルブ103と溶解タンク91との間に設置され、酸化剤溶液93を定められた量に制御して注入する機能を実行する。
【0059】
制御部110は、各種センサからの信号の入力を受け、ポンプを動作させ、また、バルブを開閉する機能を実行する。
【0060】
図1に示すように、レベルセンサ97から溶解タンク91の水位に関する信号を受信し、自動流入バルブ(51、71)と自動排出バルブ(59、79)を開放または閉鎖させる制御信号を送信することができる。
【0061】
また、制御部110は、TROセンサ17から船舶平衡水のTRO濃度値を受信し、酸化剤91の投入量を決定した後、ドージングポンプ101の回転速度を調節したり、制御バルブ103の開閉程度を調節したり、前記ドージングポンプ101と制御バルブを同時に制御して酸化剤91の投入量を決定する制御信号を送信することができる。
【0062】
また、制御部110は、溶解タンク91内のNaDCC水溶液の伝導度の情報を受信し、その伝導度の情報から、完全に溶解したかどうかを判断した後、完全に溶解がされた場合は、攪拌機99の動作を停止させる制御信号を送信する。これにより、不必要な攪拌動作を防止することができ、最適な時間で攪拌動作を行うことができるようになる。
【0063】
次は、前述したように、本発明の動作が行われる過程を注意深く見ることにする。
【0064】
まず、粉末NaDCCが内蔵されたカートリッジ(60、80)を船舶平衡水の処理装置に装着する。装着される前には流入バルブ(62、82)と排出バルブ(66、86)が閉鎖された状態で移動され、装着された後は、手動で流入バルブ(62、82)と排出バルブ(66、86)を開放した状態を維持する。
【0065】
NaDCCカートリッジ(60、80)が装着された後、吸引ポンプ13が稼動すれば、シーチェスト(sea chest)を介して海水が船の内部に流入され、メイン配管10に沿って船舶平衡水タンク120に移動される。
【0066】
酸化剤を投入するために、淡水がカートリッジ(60、80)に供給されて溶解タンク91にNaDCC水溶液が流入する。この時、淡水とNaDCC水溶液を移動させるように自動流入バルブ(51、71)と自動排出バルブ(59、79)が開放される。
【0067】
以後、溶解タンク91のNaDCC水溶液が完全に溶解された後、酸化剤投入配管40を介してメイン配管10に合流して酸化剤が投入される。
【0068】
次に、酸化剤が流入した船舶平衡水のTRO濃度をTROセンサ17で測定し、測定されたTRO濃度情報が制御部110に伝達される。
【0069】
制御部110においては、所定のTRO濃度レベルを満足させるためにドージング(dosing)ポンプ及び/または制御バルブ103をコントロールしてNaDCC水溶液の量を調節する。また、溶解タンク19の水位状態に応じて自動的流入バルブ(51、71)と自動排出バルブ(59、79)を開閉させる制御を行う。つまり、低水位状態では、自動流入バルブ(51、71)と自動排出バルブ(59、79)を開放してNaDCC水溶液を溶解タンク91に補充し、高水位の状態では、自動流入バルブ(51、71)と自動排出バルブ(59、79)を閉鎖してNaDCC水溶液の流入を停止する。
【0070】
このような動作により、所定のTRO濃度を有する船舶平衡水が船舶平衡水タンク120に流入されて、船舶平衡水内の微生物は殺菌される。
【0071】
本発明の一実施の形態に係るNaDCCを用いた船舶平衡水の処理装置は、発明の名称では船舶平衡水を処理することに限定しているが、家庭用ミネラルウォーター機や上水道処理施設、下水/廃水処理施設など、様々な水処理分野で水中生物の殺菌を目的とする殺菌処理装置に適用できる。
【0072】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したに過ぎないものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正、変更、及び置換が可能である。したがって、本発明の開示された実施の形態及び添付された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施の形態及び添付された図面によって本発明の技術思想の範囲は限定されない。本発明の保護範囲は、以下の請求の範囲によって解釈されるべきであり、その同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきものである。
【符号の説明】
【0073】
10:メイン配管
11:フィルタ
13:吸引ポンプ
14:流量計
17:TROセンサ
51、71:自動流入バルブ
59、79:自動排出バルブ
60、80:カートリッジ
62、82:流入バルブ
66、86:排出バルブ
91:溶解タンク
120:船舶平衡水タンク
図1
図2