【解決手段】ダイ13を備えたダイブロック14と、パンチ15を備えたパンチブロック16とを有し、パンチブロック16をダイブロック14に対して相対移動させ、ダイ13が保持したワークWをパンチ15で叩打してワークWに圧造成形を施すことにより所定形状の部品CPを製造する部品製造装置1において、ダイブロック14に、パンチ15の叩打力を受けて作動し、圧造成形が施されたワークWにワークWの軸方向と直交する方向の横穴(貫通穴WH)を形成する横穴形成ユニット34を設ける。
ダイを備えたダイブロックと、パンチを備えたパンチブロックとを有し、前記パンチブロックを前記ダイブロックに対して相対移動させ、前記ダイが保持したワークを前記パンチで叩打して前記ワークに圧造成形を施すことにより所定形状の部品を製造する部品製造装置であって、
前記ダイブロックに、前記パンチの叩打力を受けて作動し、前記圧造成形が施された前記ワークに前記ワークの軸方向と直交する方向の横穴を形成する横穴形成手段を設けたことを特徴とする部品製造装置。
前記横穴形成手段は、前記パンチに叩打されてその叩打方向に移動する第1の移動体と、前記叩打方向に移動する前記第1の移動体により押圧されて前記叩打方向と直交する方向に移動する第2の移動体と、前記第2の移動体から延出し、前記圧造成形が施された前記ワークに先端部を衝突させて前記ワークに前記横穴を形成する延出部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の部品製造装置。
前記横穴形成手段は、前記ダイブロックにおけるダイ取付け部に着脱自在に取り付けられるユニットとして構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の部品製造装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態における部品製造装置の断面図
【
図2】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態における部品製造装置による部品製造の流れを示す図
【
図3】本発明の一実施の形態における部品製造装置の一部の断面図
【
図4】本発明の一実施の形態における部品製造装置の一部の分解断面図
【
図5】本発明の一実施の形態における部品製造装置の一部の断面図
【
図6】本発明の一実施の形態における部品製造装置が備える横穴形成ユニットの(a)斜視図(b)分解斜視図
【
図7】本発明の一実施の形態における部品製造装置が備える横穴形成ユニットの一部の分解斜視図
【
図8】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品製造装置が備えるワーク保持体と横穴形成ユニットの断面図
【
図9】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品製造装置の一部の斜視図
【
図10】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品製造装置の一部の斜視図
【
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品製造装置の一部の断面図
【
図12】本発明の一実施の形態における部品製造装置の一部の(a)断面図(b)分解断面図
【
図13】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図14】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図15】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図16】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図17】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図18】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図19】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図20】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図21】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図22】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図23】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図24】本発明の一実施の形態における部品製造装置の動作説明図
【
図25】本発明の一実施の形態の変形例における部品製造装置の一部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における部品製造装置1を示しており、
図1の紙面の左右方向が部品製造装置1の左右方向に相当する。また、
図1の紙面の下方が部品製造装置1の前方(作業者OPから見た手前側)に相当し、紙面の上方が部品製造装置1の後方(作業者OPから見た奥側)に相当する。
【0011】
図1において、部品製造装置1は、金属線材SZを所定の長さLに切り出して形成したワークW(
図2(a))に対して段階的に成形加工を施すことによってビスやボルト等の部品を製造する。このため部品製造装置1は、金属線材SZを送り出す線材送り機構11、線材送り機構11が送り出す金属線材SZを長さLに切断するカッター12及び複数のダイ13を備えたダイブロック14、複数のパンチ15を備えたパンチブロック16、ダイ13同士の間でワークWの受渡しを行う部品受渡し機構17等を備えている。パンチブロック16はパンチブロック駆動機構16Mによって左右方向に駆動され(
図1中に示す矢印A)、ダイブロック14に対して近接する動作と離間する相対移動動作を交互に繰り返す。
【0012】
部品製造装置1では、パンチブロック16をダイブロック14に近接させる動作により、長さLに切り出されたワークWに第1の圧造成形(絞り成形)を施してワークWの一端側に絞り部WBを形成した後(
図2(b))、ワークWの他端側に第2の圧造成形(据込み成形)を施して頭部WTを形成する(
図2(c))。そして、最後に、ワークWの絞り部WBに、ワークWの軸と直交する方向の穴である横穴(ここでは貫通穴WH)を形成する。これにより完成品としての部品CPが製造される(
図2(d))。このような工程で製造される部品CPは、例えば、クランク機構の連結部に用いられるクレビスピン等のピン部材である。
【0013】
図3及び
図4において、ダイブロック14が備える複数のダイ13は、第1ダイ31及び第2ダイ32から成る。ダイブロック14は図示しない架台に固定されており、ダイ13の取付け部としての4つのダイ取付け部20を有している(
図4)。4つのダイ取付け部20は後方から第1ダイ取付け部21、第2ダイ取付け部22、第3ダイ取付け部23、第4ダイ取付け部24から成る。第1ダイ31は第1ダイ取付け部21内に取り付けられており、第2ダイ32は第2ダイ取付け部22内に取り付けられている。第3ダイ取付け部23にはワークWを保持するワーク保持体33が取り付けられており、第4ダイ取付け部24には横穴形成手段としての横穴形成ユニット34が取り付けられている。
【0014】
図3及び
図4において、ダイブロック14の後部(第1ダイ取付け部21の後方部)には、線材送り機構11から送られてくる金属線材SZの通路である線材送り通路14Tが設けられている。カッター12はダイブロック14の後部左端に設けられており、ダイブロック14に固定された固定側カッター12aと、固定側カッター12aに対して前後方向に相対移動する移動側カッター12bから成る。固定側カッター12aと移動側カッター12bそれぞれに設けられた線材通路(これら線材通路は線材送り通路14Tと同心に形成されている)内に金属線材SZが通っている状態で移動側カッター12bが前方に移動すると(
図3中に示す矢印B)、固定側カッター12aの切断面(左面)に対して移動側カッター12bの切断面(右面)が相対移動し、金属線材SZが切断される。
【0015】
線材送り機構11は、移動側カッター12bの切断面からの金属線材SZの長さがLになったところで金属線材SZの送り動作を停止する(
図3)。移動側カッター12bは、線材送り機構11による金属線材SZの送り動作が停止したところで前方に移動し、これにより長さがLの金属線材SZがワークWとして切り出される。
【0016】
図1及び
図3において、ダイブロック14のカッター12の前方位置にはプッシャー11Pが設けられている。プッシャー11Pは左右方向に移動自在であり、
図1及び
図3に示す待機位置から左方に移動すると(
図1中に示す矢印C)、その先端部(左端部)がダイブロック14の左端面から左方に突出する。
【0017】
図3及び
図4において、第1ダイ31の内部には、ワークWを受容する第1ワーク受容穴31hが設けられている。第1ワーク受容穴31hは、長さLに切り出されたワークWに絞り部WBを形成するための金型を兼ねた形状を有している。第2ダイ32の内部には、ワークWを受容する第2ワーク受容穴32hが設けられている。第2ワーク受容穴32hは、絞り部WBが形成されたワークWの絞り部WB側を受容した状態において、頭部WTが形成されるのに必要な長さだけ第2ダイ32の左方からワークWを突出させる。ワーク保持体33の内部には、ワークWを受容する第3ワーク受容穴33hが設けられている。第3ワーク受容穴33hは、頭部WTが形成されたワークWの絞り部WB側を受容した状態において、ワークWの頭部WTをワーク保持体33の左端から突出させる。
【0018】
図5(
図3における領域RDの拡大図)及び
図6(a),(b)において、横穴形成ユニット34は、ダイブロック14の第4ダイ取付け部24内に着脱自在に取り付けられる円筒状のベース体41と、ベース体41に対して左右方向に移動する第1の移動体42と、ベース体41に対して前後方向(すなわち左右方向と直交する方向)に移動する第2の移動体43と、第2の移動体43から延出した延出部材44(延出部)から成る。すなわち横穴形成ユニット34は、ダイブロック14におけるダイ13の取付け部であるダイ取付け部20(第4ダイ取付け部24)に着脱自在なユニットとして構成されている。
【0019】
図6(a),(b)において、ベース体41は、円筒状部材41aと、円筒状部材41aの左右端に取り付けられた2つの円盤状部材41bから成り、内部に空間(内部空間41S)を有している。第1の移動体42は、2つの円盤状部材41bを貫通してベース体41の内部空間41S内を左右方向に延びる前後左右の4つのロッド部材51と、これら4つのロッド部材51のうち後方の2つのロッド部材51それぞれの中間部に取り付けられた上下一対の押し部材52と、4つのロッド部材51のうち前方の2つのロッド部材51それぞれの中間部に取り付けられた上下一対の戻し部材53とを有して成る(
図5も参照)。
【0020】
図5及び
図6(a)において、4つのロッド部材51の左側の円盤状部材41bから左方に突出する部分の突出量は全て等しく、右側の円盤状部材41bから右方に突出する部分の突出量は全て等しい。上下一対の押し部材52はベース体41の内部空間41S内に位置している。上下一対の戻し部材53はベース体41の内部空間41S内であって、上下2つの押し部材52の右方に位置している(
図5及び
図6(a),(b))。
【0021】
図5及び
図6(a),(b)において、第2の移動体43はベース体41の内部空間41S内に位置しており、上下の面に一対の操作部43Fを有している。上側の操作部43Fは上側の押し部材52と上側の戻し部材53の間に位置しており、下側の操作部43Fは下側の押し部材52と下側の戻し部材53の間に位置している。
図7に示すように、上下一対の押し部材52はそれぞれ、法線が右後方を向く押し部材側斜面52Mを有しており、上下一対の戻し部材53はそれぞれ、法線が左前方を向く戻し部材側斜面53Mを有している。
【0022】
図7において、上下の操作部43Fはそれぞれ、押し部材側斜面52Mと面接触する第1斜面43Aと、戻し部材側斜面53Mと面接触する第2斜面43Bとを有している。第1斜面43Aと第2斜面43Bは互いに平行であり、第2の移動体43の左右の両端面は、それぞれ2つの円盤状部材41bの内側の面に当接している(
図5)。このため第2の移動体43は左右方向へは移動できず、前後方向への移動のみが可能である。
【0023】
図6(a),(b)及び
図7において、延出部材44は第2の移動体43の後部から後方に延びて設けられている。延出部材44は、ベース体41の円筒状部材41aの後面側に左右方向に延びて設けられたスリット部41Lを通って後方に突出している(
図5も参照)。
【0024】
図4及び
図5に示すように、ダイブロック14には第3ダイ取付け部23と第4ダイ取付け部24を連通するとともにダイブロック14の左方に開口した溝部14Mが設けられている。
図8(a),(b)、
図9(a),(b)及び
図10(a),(b)において、ワーク保持体33には、前方に開口を有し、第3ワーク受容穴33hを前方から後方に貫通して延びる延出部材通路33Kが設けられている。第2の移動体43に設けられた延出部材44は、溝部14Mから延出部材通路33K内を延びている(
図5も参照)。
【0025】
延出部材通路33Kの後端は、ワーク保持体33に設けられた廃棄穴33Gに通じている(
図5、
図8(a),(b)、
図9(a),(b)、
図10(a),(b))。廃棄穴33Gは、
図9(a),(b)、
図10(a),(b)に示すように、ワーク保持体33に形成されたダイ側廃棄通路33Hとダイブロック14に形成されたダイブロック側廃棄通路14Hを介してダイブロック14の外部に通じている。
【0026】
横穴形成ユニット34の第4ダイ取付け部24への取り付けは、延出部材44をワーク保持体33に形成された延出部材通路33K内に挿入した状態で(
図8(a)→
図8(b))、ワーク保持体33の第3ダイ取付け部23への取り付けと同時に行う(
図4)。このとき、延出部材通路33Kに挿入した状態の延出部材44が、ダイブロック14の左方から溝部14M内に進入するようにする。
【0027】
横穴形成ユニット34が第4ダイ取付け部24に取り付けられた状態では、4つのロッド部材51及びこれら4つのロッド部材51に取り付けられた上下一対の押し部材52と上下一対の戻し部材53から成る第1の移動体42は、ベース体41の内部空間41S内で左右方向に移動できる。第1の移動体42は、内部空間41S内において最も左方に位置した位置である「左方位置」(
図9(a)及び
図10(a))と、内部空間41S内において最も右方に位置した位置である「右方位置」(
図9(b)及び
図10(b))のいずれかの位置に選択的に位置する。
【0028】
第1の移動体42が「左方位置」から「右方位置」に移動するとき(
図11(a)→
図11(b))、第2の移動体43は上下一対の操作部43Fを介して上下一対の押し部材52から右後方への押圧力を受けるが、前述のように第2の移動体43は左右方向へは移動できない。このため第2の移動体43は、各操作部43Fが備える平行な2つの斜面(第1斜面43A及び第2斜面43B)を押し部材52側の斜面(押し部材側斜面52M)と戻し部材53側の斜面(戻し部材側斜面53M)に対して滑らせつつ、ベース体41の内部空間41S内を後方に移動する。
【0029】
一方、第1の移動体42が「右方位置」から「左方位置」に移動するとき(
図11(b)→
図11(a))、第2の移動体43は上下一対の操作部43Fを介して上下一対の戻し部材53から左前方への押圧力を受けるが、第2の移動体43は左右方向へは移動できない。このため第2の移動体43は、操作部43Fの第1斜面43Aと第2斜面43Bを押し部材側斜面52M及び戻し部材側斜面53Mに対して滑らせつつ、ベース体41の内部空間41S内を前方に移動する。以下、第2の移動体43が後方に移動した位置を「移動位置」と称し、第2の移動体43が前方に移動した位置を「戻り位置」と称する。
【0030】
第2の移動体43が「戻り位置」から「移動位置」に移動すると、延出部材44は延出部材通路33K内を後方へ移動する(
図11(a)→
図11(b))。このとき延出部材44の先端部は第3ワーク受容穴33hを横切って、第3ワーク受容穴33hよりも後方に位置する(
図9(b)及び
図10(b))。一方、第2の移動体43が「移動位置」から「戻り位置」に移動すると、延出部材44は延出部材通路33K内を前方に移動する(
図11(b)→
図11(a))。このとき延出部材44の先端部は第3ワーク受容穴33hを横切って、第3ワーク受容穴33hよりも前方に位置する(
図9(a)及び
図10(a))。
【0031】
図1、
図3及び
図4において、第1ダイ31の右方には第1シリンダ61が設けられており、第1シリンダ61が備えるロッド(第1シリンダロッド61R)の左端は第1ワーク受容穴31h内に位置している。第2ダイ32の右方には第2シリンダ62が設けられており、第2シリンダ62のロッド(第2シリンダロッド62R)の左端は第2ワーク受容穴32h内に位置している。ワーク保持体33の右方には第3シリンダ63が設けられており、第3シリンダ63のロッド(第3シリンダロッド63R)の左端は第3ワーク受容穴33h内に位置している。横穴形成ユニット34の右方には第4シリンダ64が設けられており、第4シリンダ64のロッド(第4シリンダロッド64R)の左端は横穴形成ユニット34の右方に位置している。第4シリンダロッド64Rの左端には押出しパッド64Pが設けられている。
【0032】
図1及び
図12(a),(b)において、パンチブロック16はダイブロック14の左方に、パンチブロック駆動機構16Mによって左右方向に移動自在に設けられており、パンチ15の取付け部としての4つのパンチ取付け部70を有している。4つのパンチ取付け部70は後方から順に、第1パンチ取付け部71、第2パンチ取付け部72、第3パンチ取付け部73及び第4パンチ取付け部74から成り、パンチブロック16が備える複数のパンチ15は、第1パンチ81、第2パンチ82、第3パンチ83及び第4パンチ84から成る。第1パンチ81は第1パンチ取付け部71内に設けられており、第2パンチ82は第2パンチ取付け部72内に設けられている。第3パンチ83は第3パンチ取付け部73内に設けられており、第4パンチ84は第4パンチ取付け部74内に設けられている。
【0033】
図12(a),(b)において、第1パンチ81は右端面が平面に形成されており、左右方向に延びたパンチロッド81Rを保持している。パンチロッド81Rはその右端部が第1パンチ81の右端面から右方に突出している。第2パンチ82は、平面に形成された右端面に、ワークWに頭部WTを形成するための頭部形成金型82Kを有している。第3パンチ83は左右方向に延びた収容路83a内に、右端面が平面に形成された押さえ部材83bと、押さえ部材83bの左端に当接して設けられた付勢ばね83cとを備えている。第4パンチ84は右端面が平面に形成されている。
【0034】
図1において、部品受渡し機構17は、前後方向に等間隔に配置された3つのフィンガー(第1フィンガーF1、第2フィンガーF2、第3フィンガーF3)を備えており、これら第1フィンガーF1、第2フィンガーF2、第3フィンガーF3はそれぞれ、図示しない開閉機構によって前後方向に開閉されるようになっている。第1フィンガーF1、第2フィンガーF2及び第3フィンガーF3は、一体的に前後方向に移動される。
【0035】
次に、本実施の形態における部品製造装置1により所定形状の部品を製造する手順(部品製造方法)を説明する。部品製造装置1は、前述の線材送り機構11、プッシャー11P、カッター12、パンチブロック駆動機構16M、部品受渡し機構17、シリンダ(第1シリンダ61、第2シリンダ62、第3シリンダ63、第4シリンダ64)等が、図示しない動力伝達機構や制御機構等を通じて逐次的に駆動されることによって部品を連続的に製造する。
【0036】
部品製造装置1による部品CPの製造では、先ず、線材送り機構11がダイブロック14の線材送り通路14Tを通じて金属線材SZを左方に送り、カッター12は金属線材SZを切断することによって(
図13→
図14)、所定の長さLのワークW(
図2(a))を切り出す(線材切出し工程。
図14)。移動側カッター12bはワークWを切り出した後、前方への移動動作によってワークWをプッシャー11Pの左方に移動させる(
図14)。プッシャー11Pは、ワークWが左方に位置したら左方へ移動し、ワークWを移動側カッター12bの左方に押し出す(
図15)。移動側カッター12bの左方に押し出されたワークWは予めプッシャー11Pの左方に位置した第1フィンガーF1によって挟持された後、第1フィンガーF1が前方に移動することによって、第1ダイ31の左方に位置される(
図16)。
【0037】
ワークWが第1ダイ31の左方に位置したら、パンチブロック駆動機構16Mはパンチブロック16を右方に駆動してダイブロック14に近接する方向に移動させる。これにより第1パンチ81はパンチロッド81Rにより第1ワーク受容穴31h内にワークWを押し込みつつ、パンチロッド81Rの先端部を第1ワーク受容穴31h内に進入させて、ワークWを叩打する。この叩打によってワークWは第1ワーク受容穴31hの金型に圧入されて第1の圧造成形が施され、絞り部WBを有するワーク(
図2(b))が生成される(絞り部形成工程。
図17)。
【0038】
ワークWに第1の圧造成形が施されたら、パンチブロック駆動機構16Mはパンチブロック16を左方に駆動してダイブロック14から離間する方向に移動させる。これによりパンチロッド81Rの先端部が第1ワーク受容穴31hから左方に抜けたら、第1シリンダ61は第1シリンダロッド61Rを左方に前進させ、第1ワーク受容穴31h内のワークWを第1ダイ31の左方に押し出す(絞り部形成ワーク押出し工程。
図18)。第1ダイ31の左方に押し出されたワークWは予め第1ダイ31の左方に位置した第2フィンガーF2によって挟持された後(
図18)、第2フィンガーF2が前方に移動することによって、第2ダイ32の左方に位置される(
図19)。第1シリンダ61はワークWを第1ダイ31の左方に押し出した後、第1シリンダロッド61Rを後退させて元の位置に戻す(
図19)。
【0039】
ワークWが第2ダイ32の左方に位置したら、パンチブロック駆動機構16Mはパンチブロック16を右方に駆動してダイブロック14に近接する方向に移動させる。これにより第2パンチ82はワークWに左方から当接してこれを第2ワーク受容穴32h内に押し込み、ワークWの左端部を叩打する。この叩打によってワークWに頭部形成金型82Kによる第2の圧造成形が施され、頭部WTを有するワークW(
図2(c))が生成される(頭部形成工程。
図20)。
【0040】
ワークWに第2の圧造成形が施されたら、パンチブロック駆動機構16Mはパンチブロック16を左方に駆動してダイブロック14から離間する方向に移動させる。パンチブロック16が左方へ移動したら、第2シリンダ62は第2シリンダロッド62Rを左方に前進させて、第2ワーク受容穴32h内のワークWを第2ダイ32の左方に押し出す(頭部形成ワーク押出し工程。
図21)。第2ダイ32の左方に押し出されたワークWは予め第2ダイ32の左方に位置した第3フィンガーF3によって挟持された後(
図21)、第3フィンガーF3が前方に移動することによって、ワーク保持体33の左方に位置される(
図22)。第2シリンダ62はワークWを第2ダイ32の左方に押し出した後、第2シリンダロッド62Rを後退させて元の位置に戻す(
図22)。
【0041】
ワークWがワーク保持体33の左方に位置したら、パンチブロック駆動機構16Mはパンチブロック16を右方に駆動してダイブロック14に近接する方向に移動させる。これにより第3パンチ83は押さえ部材83bをワークWの頭部WTに当接させて第3ワーク受容穴33h内に押し込む。そして、付勢ばね83cを押し縮めつつ、ワークWの頭部WTをワーク保持体33の左端面側に押し付ける。これによりワークWはワーク保持体33に保持された状態となる(
図23)。
【0042】
また、パンチブロック16が右方に駆動されることによって、第4パンチ84は横穴形成ユニット34の4つのロッド部材51を右方に叩打する(
図23)。第4パンチ84が4つのロッド部材51を右方に叩打することにより、横穴形成ユニット34が備える第1の移動体42はベース体41の内部空間41S内を「左方位置」から「右方位置」に移動し、第2の移動体43は「戻り位置」から「移動位置」に移動する。このように第2の移動体43が「戻り位置」から「移動位置」に移動することによって、延出部材44は延出部材通路33K内を後方へ移動する。そして、延出部材44は先端部(後端部)をワーク保持体33に保持されたワークWの絞り部WBに前方から衝突させた後、そのまま先端部を後方に貫通させる(
図10(a)→
図10(b))。これによりワークWの絞り部WBに横穴形成加工が施され、絞り部WBに貫通穴WHが形成されたワークW(
図2(d))が生成される(横穴形成工程。
図23)。この横穴形成時に延出部材44がワークWを貫通することによって生じた金属屑は、前述の廃棄穴33Gからダイブロック14の外部に廃棄される。
【0043】
なお、横穴形成ユニット34の延出部材44がワークWの絞り部WBに貫通穴WHを形成するタイミングは、第3パンチ83の押さえ部材83bによってワークWが第3ワーク受容穴33h内に完全に押し込まれた後である必要がある。このため押さえ部材83bの第3パンチ83の右端面からの右方への突出量は、横穴形成ユニット34の延出部材44の先端部が第3ワーク受容穴33hを前方から後方に横切る時期が、押さえ部材83bによってワークWが第3ワーク受容穴33h内に完全に押し込まれる時期よりも遅くなるように定められる。
【0044】
このように、実施の形態における部品製造装置1による部品製造方法は、パンチブロック16をダイブロック14に対して相対移動させ、ダイ13が保持したワークWをパンチ15で叩打してワークWに圧造成形を施す工程(絞り部形成工程及び頭部形成工程)と、パンチブロック16をダイブロック14に対して相対移動させ、パンチ15による叩打力を受けて作動する横穴形成ユニット34(横穴形成手段)により、圧造成形が施されたワークWにワークWの軸方向と直交する方向の横穴(貫通穴WH)を形成する工程(横穴形成工程)を含んだものとなっている。
【0045】
ワークWに横穴形成加工が施されたら、パンチブロック駆動機構16Mはパンチブロック16を駆動して左方に移動させる。これにより第4パンチ84の右端面が4つのロッド部材51の左端から離間したら、第4シリンダ64は第4シリンダロッド64Rを左方に前進させ、押出しパッド64Pによって4つのロッド部材51を左方に移動させる(
図24)。これにより横穴形成ユニット34の第1の移動体42は「右方位置」から「左方位置」に移動し、第2の移動体43は「移動位置」から「戻り位置」に復帰して、延出部材44はワークWの絞り部WBから抜去される(
図10(b)→
図10(a))。第4シリンダ64は押出しパッド64Pによって4つのロッド部材51を左方に移動させた後、第4シリンダロッド64Rを後退させて元の位置に戻す(
図16、
図19及び
図22参照)。
【0046】
第4シリンダ64が4つのロッド部材51を左方に移動させることによってワークWの絞り部WBから延出部材44が抜去されたら、第3シリンダ63は第3シリンダロッド63Rを左方に前進させて、第3ワーク受容穴33h内のワークWをワーク保持体33の左方に押し出す。これにより完成品としての部品CPがダイブロック14から排出される(横穴形成ワーク押出し工程。
図24)。第3シリンダ63は、ワークWをワーク保持体33の左方に押し出した後、第3シリンダロッド63Rを後退させて元の位置に戻す(
図16、
図19及び
図22参照)。
【0047】
部品製造装置1は、上記の一連工程を繰り返すことによって、部品CPの製造を連続的に行うことができるが、絞り部形成工程(
図17)と同時に次のワークWに対する線材切出し工程(
図14参照)を実行することで、効率のよく部品CPの生産を行うことができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態における部品製造装置1は、ダイ13を備えたダイブロック14と、パンチ15を備えたパンチブロック16とを有し、パンチブロック16をダイブロック14に対して相対移動させ、ダイ13が保持したワークWをパンチ15で叩打してワークWに圧造成形を施すことにより所定形状の部品を製造するようになっている。そして、ダイブロック14に、パンチ15の叩打力を受けて作動し、圧造成形が施されたワークWにワークWの軸方向と直交する方向の横穴(貫通穴WH)を形成する横穴形成ユニット34(横穴形成手段)を設けていることにより、パンチ15による叩打力を利用した簡易な工程でワークWに横穴を形成できる。このため本実施の形態における部品製造装置1によれば、横穴付きの部品CPの製造に要する工程を短縮化でき、部品CPの生産性を向上させることができる。また、ワークWに横穴を形成する際にワークWを保持する治具を別途必要としないので、製造コストを低減することができる。
【0049】
ここで、横穴形成ユニット34は、パンチ15の叩打力を受けて作動し、圧造成形が施されたワークWに横穴を形成できる構成であればよく、必ずしも上述した構成である必要はない。しかし、上述の実施の形態において示したように、横穴形成ユニット34が、パンチ15(詳細には第4パンチ84)に叩打されてその叩打方向(左右方向)に移動する第1の移動体42と、その叩打方向に移動する第1の移動体42により押圧されて叩打方向と直交する方向(前後方向)に移動する第2の移動体43と、第2の移動体43から延出し、圧造成形が施されたワークWに先端部を衝突させてワークWに横穴(貫通穴WH)を形成する延出部材44(延出部)とを備えた構成となっているのであれば、構成が簡単であり、好ましい。なお、上述の実施の形態では、第2の移動体43から延出して圧造成形が施されたワークWに先端部を衝突させる延出部は、第2の移動体43とは別個の部材であるとしていたが、第2の移動体43の一部として形成されるのであってもよい。
【0050】
なお、上述の実施形態において示した部品製造装置1の横穴形成ユニット34は、ワークWの軸方向と直交する方向に貫通する貫通穴WHをワークWに形成するものであったが、ワークWの軸方向と直交する方向に窪んだ窪み穴を形成するものとすることもできる。
【0051】
また、上述の実施の形態では、横穴形成ユニット34はワークWに対する一連の圧造成形が施された後、最終工程としてワークWに横穴(貫通穴WH)を形成するようになっていたが、横穴形成ユニット34による横穴の形成を、一連の圧造成形が終了する前に行う構成としてもよい。
【0052】
また、上述の実施の形態では、「移動位置」に位置した第2の移動体43を「戻り位置」に復帰させる場合に、第4シリンダ64が押出しパッド64Pを介して横穴形成ユニット34が備える4つのロッド部材51を左方に移動させるようにしていたが、このような構成に代えて、例えば、
図25の変形例に示す構成としてもよい。
図25に示す変形例は、第4シリンダ64を設けることなく、横穴形成ユニット34の右方にパッド部材PDとこれを左方に付勢する圧縮側のスプリングSPを設けたものであり、第2の移動体43を「移動位置」から「戻り位置」に復帰させる際に必要な4つのロッド部材51の左方への押圧力を、横穴形成ユニット34の右方への移動時に縮められたスプリングSPの復元力から得られるようにしている。
【0053】
また、各パンチ15がワークWの左端部を挟持する挟持機構を内部に有し、かつ、パンチブロック16が前後方向に移動し得る構成とすることにより、ダイ13同士の間でワークWを受け渡す動作をフィンガーによらず、パンチ15によって行う構成(いわゆるフィンガーレスタイプ)とすることもできる。
ダイを備えたダイブロックと、パンチを備えたパンチブロックとを有し、前記パンチブロックを前記ダイブロックに対して相対移動させ、前記ダイが保持したワークを前記パンチで叩打して前記ワークに圧造成形を施すことにより所定形状の部品を製造する部品製造装置であって、
前記ダイブロックに、前記パンチの叩打力を受けて作動し、前記圧造成形が施された前記ワークに前記ワークの軸方向と直交する方向の横穴を形成する横穴形成手段を設け、
前記横穴形成手段は、前記パンチに叩打されてその叩打方向に移動する第1の移動体と、前記叩打方向に移動する前記第1の移動体により押圧されて前記叩打方向と直交する方向に移動する第2の移動体と、前記第2の移動体から延出し、前記圧造成形が施された前記ワークに先端部を衝突させて前記ワークに前記横穴を形成する延出部とを備えたことを特徴とする部品製造装置。
本発明の部品製造装置は、ダイを備えたダイブロックと、パンチを備えたパンチブロックとを有し、前記パンチブロックを前記ダイブロックに対して相対移動させ、前記ダイが保持したワークを前記パンチで叩打して前記ワークに圧造成形を施すことにより所定形状の部品を製造する部品製造装置であって、前記ダイブロックに、前記パンチの叩打力を受けて作動し、前記圧造成形が施された前記ワークに前記ワークの軸方向と直交する方向の横穴を形成する横穴形成手段を設け