【解決手段】 スパイラル管11の端部内に配置される円柱状の内型3と、スパイラル管11の端部の外周に配置される円環状の外型4と、を備え、内型3は、スパイラル管11の内径とほぼ同径の内型同径体31と、該内型同径体31と同心で該内型同径体31よりも小径で外周面に軸方向に延びる凹状の形成溝321が設けられた内型縮径体31と、を有する。外型4は、内型縮径体31に対して進退動自在で、内周面に軸方向に延びる凸状で形成溝321と嵌合する形成パンチ411が設けられ、外型4が内型縮径体31側に進動することで、外型4と内型縮径体31とでスパイラル管11の端部を挟んで縮径するとともに軸方向に延びる溝状凹部13を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、どのようにしてスパイラル管の端部口径を縮小させて縮小部分に複数の溝状凹部を形成するか、については具体的に開示されていない。このため、特許文献1に開示されたようなスパイラル管(端部縮径管)を製造しようとしても、適正かつ効率的に製造することが困難である。
【0006】
そこでこの発明は、端部縮径管を適正かつ効率的に製造可能な、端部縮径管の製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、円筒状の管の端部を縮径して端部縮径管を製造する、端部縮径管の製造装置であって、前記管の端部内に配置される円柱状の内型と、前記管の端部の外周に配置される円環状の外型と、を備え、前記内型は、前記管の内径とほぼ同径の内型同径部と、該内型同径部と同心で該内型同径部よりも小径で外周面に軸方向に延びる凹状の形成溝が設けられた内型縮径部と、を有し、前記外型は、前記内型縮径部に対して進退動自在で、内周面に軸方向に延びる凸状で前記形成溝と嵌合する形成パンチが設けられ、前記外型が前記内型縮径部側に進動することで、前記外型と前記内型縮径部とで前記管の端部を挟んで縮径するとともに軸方向に延びる溝状凹部を形成する、ことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、管の端部内に内型を配置し管の端部の外周に外型を配置して、外型を内型縮径部側に進動させると、外型と内型縮径部とで管の端部が挟まれて(圧縮加工されて)縮径端部が形成されるとともに、形成溝と形成パンチとによって縮径端部に溝状凹部が形成される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の製造装置において、前記外型は、扇状の複数の外型パーツが円環状に配置されて構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の製造装置において、前記内型同径部が縮径自在で、縮径した状態で前記溝状凹部が形成された前記管の端部が通過可能である、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の製造装置において、前記内型同径部が縮径した状態で、前記管の端部を前記内型から押し出すための押し出し部材を備える、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の製造装置において、前記外型が前記内型縮径部側から退動した際に、前記内型同径部を縮径させて前記押し出し部材で前記管を押し出す排出機構を備える、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5に記載の製造装置において、外径が異なる複数の前記内型と内径が異なる複数の前記外型とが、着脱自在となっている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の製造装置を使用する端部縮径管の製造方法であって、前記管の端部内に前記内型を配置し、前記管の端部の外周に前記外型を配置して、前記管の軸心が前記内型の軸心に沿って延びるように前記管を支持した状態で、前記外型を前記内型縮径部側に進動させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、外型と内型縮径部とで管の端部を圧縮加工して、縮径端部(縮径した端部)および溝状凹部を形成する。この際、縮径端部に隣接する部分(境界部)が内型同径部によって支持(形状維持)されるため、境界部が変形・縮径せずに、端部縮径管を適正に製造することが可能となる。また、管の端部の内外に内型と外型を配置して、外型を内型縮径部側に進動させるだけでよいため、端部縮径管を効率的に製造することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、複数の外型パーツで外型が構成されているため、外型を進退動させる機構を容易にすることが可能になる。また、損傷や破損などが生じた際に外型全体を修理、交換する必要がなく、損傷などした外型パーツのみを修理、交換すればよく、修理、交換に要する時間、費用を削減することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、内型同径部が縮径することで、溝状凹部が形成された縮径端部が内型同径部を通過可能なため、加工後に管を内型から容易に取り出すことが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、内型同径部が縮径した状態で、押し出し部材で管を内型から押し出すことで、加工後に管を内型から容易に取り出すことが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、外型が内型縮径部側から退動した際、つまり、管の端部の加工後に、排出機構によって自動的に、内型同径部が縮径されて押し出し部材で管が内型から押し出されるため、端部縮径管を効率的に製造することが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、径が異なる複数の内型と外型を着脱自在なため、径が異なる管の端部を1つの製造装置で加工することができ、設備費用を軽減することができるとともに、端部縮径管を効率的に製造することが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、管の軸心が内型の軸心に沿って(同心上に)延びるように管を支持した状態、つまり、内型に対する管の位置、角度が適正な状態で、管の端部を加工するため、端部縮径管を適正に製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0024】
図1〜
図21は、この発明の実施の形態を示し、
図1は、この発明の実施の形態に係る端部縮径管の製造装置(以下、適宜「端部縮径管製造装置」という)1を示す斜視図である。この端部縮径管製造装置1は、円筒状の管の端部を縮径して端部縮径管10を製造する装置であり、径が異なる複数の管に対応可能なものである。ここで、この実施の形態では、
図2に示すように、空調用ダクトであるスパイラル管11の一端部を縮径(小径加工)して縮径端部12を形成するとともに、この縮径端部12に軸方向に延びる溝状凹部13を複数形成する場合について説明する。
【0025】
このスパイラル管11は、帯材を螺旋状に巻回して形成され真っ直ぐに延びている。また、縮径端部12の外径はスパイラル管11の内径よりもやや小さく設定され、縮径端部12(ハゼ部14を含めて)が他のスパイラル管11の他端部に挿入可能となっている。さらに、溝状凹部13の形状・大きさと形成数(この実施の形態では4つ)は、変形やしわなどがなくスパイラル管11が縮径して縮径端部12が形成されるように設定されている。
図2中符号14は、スパイラル管11を形成する際に帯材の端縁同士を接合するために形成された、凸状のハゼ部である。
【0026】
端部縮径管製造装置1は、
図1に示すように、車22で移動自在なベース21の一端側に、Y字状の管サポート24が配設されている。この管サポート24の枝部(V字部)にはローラ241が回転自在に配設され、ハンドル242を回すことで上下動し、後述するようにして、スパイラル管11を水平に支持しながらスパイラル管11を軸方向にスライドできるようになっている。
【0027】
また、ベース21の他端側に、平盤状の加工盤23がその盤面が垂直に向くように配設されている。この加工盤23には、主として、内型3と、外型4と、押し出し棒(押し出し部材)5と、排出機構6と、が配設されている。
【0028】
内型3は、スパイラル管11の端部内に配置される円柱状の金型であり、スパイラル管11の内径とほぼ同径の内型同径体(内型同径部)31と、該内型同径体31と同心で該内型同径体31よりも小径の内型縮径体(内型縮径部)32、33とを有している。
【0029】
第1の内型縮径体32は、円柱状で、最小径の加工対象のスパイラル管11の縮径端部12を形成するための型であり、
図3、
図4に示すように、加工盤23内に配設されている。すなわち、加工盤23の前面に、窪んだ円盤状の収容部231が形成され、この収容部231の端面板(底面部)232の中央部に、第1の内型縮径体32がその軸心が水平に延びて配設されている。この第1の内型縮径体32の外径と長さは、加工対象のスパイラル管11の縮径端部12の内径と長さとほぼ同寸法に設定され、外周面には、軸方向に延びる凹状(半円状)の形成溝321が等間隔に複数(この実施の形態では90度ごとに4つ)形成されている。この形成溝321は、加工対象のスパイラル管11の溝状凹部13の外形(外径)とほぼ同形状に形成されている。
【0030】
さらに、第1の内型縮径体32の外周面には、軸方向に延びる半円状のガイド溝322が等間隔に複数(この実施の形態では90度ごとに4つ)形成されている。一方、収容部231の端面板232には、中心から放射線状にガイド孔233が所定間隔で複数形成され、最も中心側のガイド孔233とガイド溝322とが同心上に重なっている。そして、第2の内型縮径体33を装着しない場合には、後述する押し出し棒5が、ガイド孔233とガイド溝322とに挿入されるようになっている。
【0031】
また、第1の内型縮径体32の中心部と収容部231の端面板232とを貫通して、制御棒61が軸方向にスライド自在に配設されている。さらに、第1の内型縮径体32の解放端面(正面側の端面)には、中心側に複数(この実施の形態では4つ)の位置決めピン323が配設され、位置決めピン323よりも外周側に複数(この実施の形態では4つ)のネジ孔324が形成されている。
【0032】
第2の内型縮径体33は、加工対象のスパイラル管11の縮径端部12を形成するための型であり、
図5に示すように、円筒状で、内径が第1の内型縮径体32の外径とほぼ同寸法に設定され、第1の内型縮径体32に挿入、装着可能となっている。また、外径と長さは、加工対象のスパイラル管11の縮径端部12の内径と長さとほぼ同寸法に設定されている。さらに、外周面には、第1の内型縮径体32と同様に、加工対象のスパイラル管11の溝状凹部13の外形(外径)とほぼ同形状の形成溝331が等間隔に複数形成されているとともに、ガイド溝332が等間隔に複数形成されている。
【0033】
また、第2の内型縮径体33の解放端面(正面側の端面)から他端面に貫通するネジ挿入孔333が複数(この実施の形態では2つ)形成されている。一方、収容部231の端面板232には、ネジ挿入孔333と同心のネジ孔(図示せず)が複数形成されている。
【0034】
そして、
図6、
図7に示すように、第2の内型縮径体33内に第1の内型縮径体32を挿入し、第2の内型縮径体33を回転させてガイド溝332をガイド孔233に一致させる。次に、
図8、
図9に示すように、押し出し棒5をガイド孔233とガイド溝332とに挿入して第2の内型縮径体33を位置決めし、ネジ挿入孔333にボルト(例えば、六角孔付きボルト)334を挿入して収容部231のネジ孔に締め付け、第2の内型縮径体33を取り付ける。
【0035】
内型同径体31は、円盤状で、第1の内型縮径体32の解放端面に着脱自在に取り付けられ、さらに、縮径自在で、縮径した状態で溝状凹部13が形成されたパイラル管11の端部が通過可能となっている。すなわち、
図10、
図11に示すように、扇状の複数(この実施の形態では4つ)の内型同径パーツ311が円環状に配置されて構成されている。
【0036】
各内型同径パーツ311は、
図12に示すように、中心部に扇状の制御棒挿入孔312が形成され、中央部に半径方向に延びる長孔状のボルト挿入孔313が形成され、さらに、裏面側には、半径方向に延びる長溝状のピン装着溝314が形成されている。また、円弧側の側面には、後述するゴム輪60を装着するための凹状のゴム装着溝315が形成されている。
【0037】
そして、
図10、
図11に示すように、第1の内型縮径体32の位置決めピン323にピン装着溝314を装着し、ボルト挿入孔313から肩付きボルト316を挿入して第1の内型縮径体32のネジ孔324に締め付ける。このとき、肩付きボルト316を締め込んでも内型同径パーツ311は固定されず、ボルト挿入孔313およびピン装着溝314にガイドされて半径方向に移動自在となる。
【0038】
このようにしてすべての内型同径パーツ311が移動自在に第1の内型縮径体32に取り付けられ、最も外周側に位置した状態で内型同径体31の外径が最大径となり、最も中心側に位置して縮径した状態で内型同径体31の外径が最小径となる。そして、内型同径体31の最大径は、加工対象のスパイラル管11の内径とほぼ同寸法に設定され、最小径は、溝状凹部13が形成された縮径端部12が通過できるように(全溝状凹部13の底を結ぶ円径よりも小さく)設定されている。さらに、内型同径体31の長さ・厚みは、縮径端部12に隣接する部分(境界部)11aを適正に支持(形状維持)できるように設定されている。
【0039】
このように、外径が異なる第2の内型縮径体33を第1の内型縮径体32に装着するとともに、外径(最大径)が異なる内型同径体31を第1の内型縮径体32に取り付けることで、外径が異なる複数の内型3を着脱自在で、加工対象のスパイラル管11の縮径端部12に応じた内型3を取付可能となっている。
【0040】
外型4は、
図13、
図14に示すように、内型3と同心にスパイラル管11の端部の外周に配置される円環状の金型であり、内型縮径体32、33(第2の内型縮径体33が取り付けられていない場合には第1の内型縮径体32のみ)に対して進退動自在となっている。すなわち、扇状の複数(この実施の形態では4つ)の外型パーツ41が円環状に配置されて構成され、各外型パーツ41が半径方向に移動することで、内型縮径体32、33に対して進退動自在となっている。
【0041】
各外型パーツ41の内径は、加工対象のスパイラル管11の縮径端部12の外径とほぼ同径に設定され、軸方向の長さは、内型縮径体32、33の長さ、つまり、縮径端部12の長さとほぼ同寸法に設定されている。また、
図15に示すように、内周面に凸状で軸方向に延びて形成溝321、331と嵌合する形成パンチ411が形成されており、形成溝321、331とでスパイラル管11の端部を挟んで押圧することで、溝状凹部13を形成するものである。さらに、内周面には、スパイラル管11のハゼ部14の形状に沿った凹状の逃し溝412が形成され、スパイラル管11の端部を押圧する際にハゼ部14を逃す(収容する)ようになっている。
【0042】
また、各外型パーツ41の外周面の中央部には筒状の取付筒413が設けられ、この取付筒413の周壁には、筒内まで貫通する取付ボルト414が螺合されている。一方、加工盤23内には、複数(この実施の形態では4つ)の外型用油圧シリンダが配設され、この外型用油圧シリンダのロッド234(
図3、
図6等)を取付筒413に挿入して取付ボルト414を締め付けることで、各外型パーツ41が配設されている。
【0043】
さらに、各外型パーツ41の下端面には、直方体状のガイドブロック415が設けられている。一方、加工盤23の収容部231の端面板232には、
図14に示すように、中心部(内型縮径体32、33側)から放射線状に延びる長孔状のガイド孔235が複数(この実施の形態では4つ)形成され、各外型パーツ41のガイドブロック415がガイド孔235に挿入・装着されている。このような状態で、外型用油圧シリンダのロッド234が進退動することで、ガイド孔235に沿ってガイドブロック415が案内されて、各外型パーツ41が内型縮径体32、33に対して進退動するものである。
【0044】
そして、各外型パーツ41(外型4)が内型縮径体32、33側に進動することで、外型4と内型縮径部32、33とでスパイラル管11の端部を挟んで(圧縮成型して)、縮径端部12と溝状凹部13とを形成する。また、上記のようにして内径(円弧半径)が異なる外型パーツ41を取り付けることで、内径が異なる複数の外型4を着脱自在で、加工対象のスパイラル管11の縮径端部12に応じた外型4を取付可能となっている。
【0045】
押し出し棒5は、内型同径体31が縮径した状態で、スパイラル管11の端部(縮径端部12)を内型3から押し出すための部材である。すなわち、長い丸棒状で、上記のように、ガイド孔233とガイド溝322、332とに挿入され、
図16に示すように、基端部(加工盤23の端面板232の裏面から突出した端部)が連結板62に連結されている。すなわち、連結板62には、ガイド孔233と対向する位置に孔が形成され、この孔に押し出し棒5の基端部(ネジ部)が挿入されて、ナット64で連結板62に連結されている。そして、後述するようにして、所定のタイミングで排出シリンダ63が駆動して連結板62が内型3側に進動することで、押し出し棒5が内型3に対して軸方向に進動し、押し出し棒5の先端部が縮径端部12の端部を押してスパイラル管11を内型3から押し出す。
【0046】
排出機構6は、外型4が内型縮径体32、33側から退動・後退した際に、内型同径体31を縮径させて押し出し棒5でスパイラル管11を内型3から押し出す機構である。この排出機構6は、主として、ゴム輪60と、制御棒61と、連結板62と、排出シリンダ63と、を備えている。
【0047】
ゴム輪60は、伸縮自在なゴム製のリングで、
図17に示すように、各内型同径パーツ311を束ねるように各内型同径パーツ311のゴム装着溝315に装着されている。そして、外力がかかっていない状態、つまち、後述する制御棒61のテーパ部611が各内型同径パーツ311を押圧していない状態で、各内型同径パーツ311を中心側に付勢して内型同径体31を縮径させる。
【0048】
制御棒61は、丸棒状で、第1の内型縮径体32と加工盤23の端面板232とを貫通し、基端部(端面板232の裏面から突出した端部)が排出シリンダ63に連結されている。また、先端側には、先端に向って拡径する円錐台状のテーパ部611が設けられている。そして、排出シリンダ63が駆動して制御棒61が退動(先端が内型同径体31側に接近)することで、
図18に示すように、テーパ部611が各内型同径パーツ311の制御棒挿入孔312に嵌合して各内型同径パーツ311を外周側に押圧し、内型同径体31が拡径する(最大径となる。)。一方、排出シリンダ63が駆動して制御棒61が進動することで、テーパ部611の嵌合が解除されて、
図17に示すように、ゴム輪60によって内型同径体31が縮径する。
【0049】
排出シリンダ63は、2つのロッドを有する複動形の油圧シリンダで、加工盤23の端面板232の裏面中央部に配設され、一方のロッドが制御棒61に連結され、他方のロッドが連結板62に連結されている。そして、正駆動することで制御棒61と連結板62(押し出し棒5)が進動し、逆駆動することで制御棒61と連結板62(押し出し棒5)が退動する。この排出シリンダ63は、外型4を進退動させる外型用油圧シリンダとともに駆動制御され、外型4や内型同径体31、押し出し棒5などが所定の動きをする。
【0050】
まず、
図19に示すように、スパイラル管11の端部を内型3に挿入して加工を開始する前の状態では、外型4(各外型パーツ41)が内型3から退動・後退し、制御棒61および押し出し棒5も後退している。このとき、制御棒61のテーパ部611で押圧されて、内型同径体31が拡径しており、押し出し棒5の先端は端面板232の表面よりも後退している。
【0051】
次に、加工を開始すると、
図20に示すように、外型4(各外型パーツ41)が内型3側に進動し、外型4と内型縮径部32、33とでスパイラル管11の端部が圧縮成型されて、縮径端部12と溝状凹部13とが形成される。このとき、制御棒61および押し出し棒5は後退したままである。
【0052】
続いて、
図21に示すように、外型4(各外型パーツ41)が内型3から退動・後退し、制御棒61および押し出し棒5が進動する。これにより、制御棒61のテーパ部611による各内型同径パーツ311の押圧が解除されて、ゴム輪60によって内型同径体31が縮径する。そして、押し出し棒5が縮径端部12を押してスパイラル管11が内型3から押し出される。
【0053】
次に、このような構成の端部縮径管製造装置1の作用および端部縮径管製造装置1を使用する端部縮径管10の製造方法について説明する。
【0054】
まず、加工対象のスパイラル管11に応じた内型3と外型4を加工盤23に配設する(型設定ステップ)。すなわち、加工対象のスパイラル管11の縮径端部12の内径に応じた外径の第2の内型縮径体33を第1の内型縮径体32に装着する(
図6、
図7)。ここで、第1の内型縮径体32の外径が縮径端部12の内径に対応している場合には、第2の内型縮径体33を装着しない。そして、押し出し棒5をガイド孔233とガイド溝322、332とに挿入し(
図8、
図9)、押し出し棒5の基端部を連結板62に連結する(
図16)。
【0055】
また、加工対象のスパイラル管11の内径に応じた外径の内型同径体31を、第1の内型縮径体32の解放端面に取り付け、ゴム輪60を装着する(
図10、
図11)。さらに、加工対象のスパイラル管11の縮径端部12の外径に応じた内径の外型4(外型パーツ41)を、加工盤23に取り付ける(
図13、
図14)。ここで、内型同径体31を取り付けた後に外型4を取り付けてもよいし、外型4を取り付けた後に内型同径体31を取り付けてもよい。
【0056】
次に、スパイラル管11の端部内に内型3を配置し、スパイラル管11の端部の外周に外型4を配置する(管挿入ステップ)。すなわち、外型4を内型3から後退させた状態で、内型3と外型4の間にスパイラル管11の端部を挿入し、スパイラル管11の端縁を加工盤23の端面板232に押し当てる。
【0057】
続いて、スパイラル管11の軸心が内型3(外型4)の軸心に沿って延びるように、スパイラル管11を支持する(管支持ステップ)。すなわち、
図1に示す管サポート24のローラ241の上にスパイラル管11を載せて、スパイラル管11が水平になるようにローラ241の高さを上下動させる。このようにして、スパイラル管11を水平に支持する。
【0058】
この状態で、加工を開始して(装置1を稼働して)、外型4を内型縮径体32、33に進動させる(加工ステップ)。これにより、上記のようにして、スパイラル管11の端部が圧縮成型されて、縮径端部12と溝状凹部13とが形成される。このとき、縮径端部12に隣接する部分(境界部)11aが内型同径体31によって支持(形状維持)される。
【0059】
その後、外型4が内型縮径体32、33側から退動し、排出機構6によって内型同径体31が縮径されて押し出し棒5で縮径端部12が内型3から押し出される(排出ステップ)ものである。
【0060】
以上のように、この端部縮径管製造装置1および端部縮径管10の製造方法によれば、外型4と内型縮径体32、33とでスパイラル管11の端部を圧縮加工して、縮径端部12および溝状凹部13を形成する。この際、縮径端部12に隣接する境界部11aが内型同径体31によって支持(形状維持)されるため、境界部11aが変形・縮径せずに、端部縮径管10を適正に製造することが可能となる。また、スパイラル管11の端部の内外に内型3と外型4を配置して、外型4を内型縮径体32、33側に進動させるだけでよいため、端部縮径管10を効率的に製造することが可能となる。
【0061】
また、複数の外型パーツ41で外型4が構成されているため、外型4を進退動させる機構を容易にすることが可能になる。また、損傷や破損などが生じた際に外型4全体を修理、交換する必要がなく、損傷などした外型パーツ41のみを修理、交換すればよく、修理、交換に要する時間、費用を削減することが可能となる。このような効果は、複数の内型同径パーツ311で構成された内型同径体31においても同様に得られる。
【0062】
また、内型同径体31が縮径することで、溝状凹部13が形成された縮径端部12が内型同径体31を通過可能なため、加工後にスパイラル管11を内型3から容易に取り出すことが可能となる。しかも、内型同径体31が縮径した状態で、押し出し部材5でスパイラル管11を内型3から押し出すことで、加工後にスパイラル管11を内型3から容易に取り出すことが可能となる。さらに、外型4が内型縮径体32、33側から退動した際、つまり、スパイラル管11の端部の加工後に、排出機構6によって自動的に、内型同径体31が縮径して押し出し部材5がスパイラル管11を内型3から押し出すため、端部縮径管10を効率的に製造することが可能となる。
【0063】
一方、径が異なる複数の内型3と外型4を着脱自在なため、径が異なるスパイラル管11の端部を1つの製造装置1で加工することができ、設備費用を軽減することができるとともに、端部縮径管10を効率的に製造することが可能となる。
【0064】
また、スパイラル管11の軸心が内型3(外型4)の軸心に沿って延びるようにスパイラル管11を支持した状態、つまり、内型3に対するスパイラル管11の位置、角度が適正な状態で、スパイラル管11の端部を加工するため、端部縮径管10を適正に製造することが可能となる。
【0065】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、内型3を内型同径体31および内型縮径体32、33(または内型縮径体32のみ)で構成しているが、すべてを一体的に構成したり、第1の内型縮径体32と第2の内型縮径体33とを一体的に構成したりして、加工対象のスパイラル管11に応じた形状・径にしてもよい。
【0066】
また、縮径端部12と境界部11aとの段差をテーパ状にして、スパイラル管11が切断しないようにしてもよい。さらに、内型同径体31や外型4を4つのパーツで構成しているが、スパイラル管11の径などに応じてより多くのパーツや少ないパーツで構成してもよい。この際、例えば、8つの外型パーツ41で外型4を構成した場合に、すべての外型パーツ41を同時に内型縮径体32、33に対して進退動させずに、各外型パーツ41を順次(時間差を設けて)進退動させてもよい。