特開2016-221588(P2016-221588A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221588(P2016-221588A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】球体研磨装置及び球体研磨方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 11/06 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   B24B11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-107242(P2015-107242)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】若園 賀生
(72)【発明者】
【氏名】小野▲崎▼ 徹
(72)【発明者】
【氏名】三井 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】増田 祐生
(72)【発明者】
【氏名】新美 匡俊
【テーマコード(参考)】
3C049
【Fターム(参考)】
3C049AA04
3C049BA04
3C049BC02
3C049CA02
3C049CB05
(57)【要約】
【課題】球体に作用する遠心力を小さくすることにより、球体の真球度を向上することができる球体研磨装置を提供する。
【解決手段】球体研磨装置(1)は、中心軸線(L1)の回りに回転可能に設けられ、一方の面に中心軸線(L1)の回りに環状に形成される第一研磨溝(23a)を有する第一研磨盤(23)と、第一研磨盤(23)の中心軸線(L1)と同軸上の中心軸線(L2)の回りに回転可能に設けられ、第一研磨盤(23)の一方の面に対向する面に、中心軸線(L2)の回りに環状に形成される第二研磨溝(33a)を有する第二研磨盤(33)と、第一研磨盤(23)及び第二研磨盤(33)を逆方向に回転させて第一研磨溝(23a)及び第二研磨溝(33a)により球体(2)を研磨する制御装置(16)とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線回りに回転可能に設けられ、一方の面に前記中心軸線回りに環状に形成される第一研磨溝を有する第一研磨盤と、
前記第一研磨盤の中心軸線と同軸上の中心軸線回りに回転可能に設けられ、前記第一研磨盤の前記一方の面に対向する面に、前記中心軸線回りに環状に形成される第二研磨溝を有する第二研磨盤と、
前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤を逆方向に回転させて前記第一研磨溝及び前記第二研磨溝により球体を研磨する制御装置と、
を備える、球体研磨装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第一研磨盤の回転速度の絶対値と前記第二研磨盤の回転速度の絶対値とを同一にして、前記球体を研磨する、請求項1に記載の球体研磨装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第一研磨盤の回転速度の絶対値を、前記第二研磨盤の回転速度の絶対値に対して、前記第二研磨盤の回転速度の絶対値の10%以内で異なる値にして、前記球体を研磨する、請求項1に記載の球体研磨装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第一研磨盤の回転速度を一定値とし、且つ、前記第二研磨盤の回転速度を一定値とする、請求項1−3の何れか一項に記載の球体研磨装置。
【請求項5】
球体研磨装置を用いる球体研磨方法であって、
前記球体研磨装置は、
中心軸線回りに回転可能に設けられ、一方の面に前記中心軸線回りに環状に形成される第一研磨溝を有する第一研磨盤と、
前記第一研磨盤の中心軸線と同軸上の中心軸線回りに回転可能に設けられ、前記第一研磨盤の前記一方の面に対向する面に、前記中心軸線回りに環状に形成される第二研磨溝を有する第二研磨盤と、
を備え、
前記球体研磨方法は、前記第一研磨溝と前記第二研磨溝との間に研磨対象である球体を配置し、前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤を逆方向に回転させて前記第一研磨溝及び前記第二研磨溝により前記球体を研磨する、球体研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球体研磨装置及び球体研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の球体研磨装置は、対向する固定盤と回転盤とを備え、固定盤の環状溝と回転盤の環状溝との間に球体を配置し、回転盤を回転することにより球体を研磨する。特許文献2には、環状溝にて球体を保持する第一回転盤と、第一回転盤とは異なる回転中心となる第二回転盤とにより、球体を研磨する球体研磨装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−43881号公報
【特許文献2】特開2010−207933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、研磨対象である球体は、回転盤の回転に伴って移動する。特許文献2においては、研磨対象である球体は、保持する第一回転盤の回転に伴って移動する。このように、球体は、回転盤の回転に伴って、回転盤の中心軸線回りに移動しながら研磨される。しかしながら、球体が回転盤の中心軸線回りに移動することによって、球体には遠心力が作用する。遠心力の作用によって、環状溝により球体に付与される研磨力が環状溝の位置によって異なる状態となり、遠心力の作用が球体の真球度に影響を及ぼすことが分かった。
【0005】
本発明は、球体に作用する遠心力を小さくすることにより、球体の真球度を向上することができる球体研磨装置及び球体研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1.球体研磨装置)
球体研磨装置は、中心軸線回りに回転可能に設けられ、一方の面に前記中心軸線回りに環状に形成される第一研磨溝を有する第一研磨盤と、前記第一研磨盤の中心軸線と同軸上の中心軸線回りに回転可能に設けられ、前記第一研磨盤の前記一方の面に対向する面に、前記中心軸線回りに環状に形成される第二研磨溝を有する第二研磨盤と、前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤を逆方向に回転させて前記第一研磨溝及び前記第二研磨溝により球体を研磨する制御装置とを備える。
【0007】
(2.球体研磨方法)
また、球体研磨方法は、以下の球体研磨装置により行う方法である。前記球体研磨装置は、中心軸線回りに回転可能に設けられ、一方の面に前記中心軸線回りに環状に形成される第一研磨溝を有する第一研磨盤と、前記第一研磨盤の中心軸線と同軸上の中心軸線回りに回転可能に設けられ、前記第一研磨盤の前記一方の面に対向する面に、前記中心軸線回りに環状に形成される第二研磨溝を有する第二研磨盤とを備える。前記球体研磨方法は、前記第一研磨溝と前記第二研磨溝との間に研磨対象である球体を配置し、前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤を逆方向に回転させて前記第一研磨溝及び前記第二研磨溝により前記球体を研磨する。
【0008】
(3.球体研磨装置及び方法による効果)
上述した球体研磨装置及び方法によれば、対向する第一,第二研磨盤を回転可能にした上で、第一研磨盤と第二研磨盤とを逆方向に回転することとした。従って、球体の移動速度は、研磨盤の一方を固定する場合に比べて小さくなる。つまり、球体に作用する遠心力は、格段に小さくなる。その結果、球体の真球度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の球体研磨装置の構成を示す図である。
図2】制御装置のブロック構成図を示す。
図3】第一研磨盤と第二研磨盤の回転速度を示す図である。
図4】第一研磨盤と第二研磨盤の回転速度を図3に示す態様とした第一実施例と、第一研磨盤を固定し第二研磨盤を一定回転とした場合の比較例について、球体の真球度比を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.球体研磨装置1の構成)
本実施形態の球体研磨装置1について図1を参照して説明する。球体研磨装置1は、基台11、コラム12、第一移動体13、第二移動体14、上下駆動機構15及び制御装置16(図2に示す)を備える。基台11は、床面に設置され、中央に上下方向への貫通孔11aを備える。コラム12は、基台11の上面に固定される。コラム12の側面には、上下方向に延びるガイドレール12a,12bが設けられる。
【0011】
第一移動体13は、基台11の上面及び貫通孔11aに配置される。第一移動体13は、第一本体部21、第一研磨盤支持体22、第一研磨盤23、第一静圧軸受24及び第一モータ25を備える。
【0012】
第一本体部21は、中央孔21aを有する円盤状に形成される。第一本体部21は、中央孔21aが基台11の貫通孔11aと同軸上に位置するように、基台11の上面に固定される。中央孔21aの中心軸線は、L1であり、鉛直軸方向に一致する。
【0013】
第一研磨盤支持体22は、第一本体部21に対して、中心軸線L1の回りに回転可能に設けられる。第一研磨盤支持体22は、第一本体部21の中央孔21aを貫通する軸部22a、第一本体部21の上面及び下面に対向する円盤状のフランジ部22b,22cを備える。
【0014】
第一研磨盤23は、第一研磨盤支持体22の上側のフランジ部22bの上面に一体的に固定される。つまり、第一研磨盤23は、第一本体部21に対して中心軸線L1の回りに回転可能に設けられる。第一研磨盤23は、環状に形成される。さらに、第一研磨盤23は、一方の面(上面)に中心軸線L1の回りに環状に形成される第一研磨溝23aを有する。第一研磨溝23aの断面形状は、円弧凹状に形成される。第一研磨溝23aは、研磨対象である球体2を研磨する。
【0015】
第一静圧軸受24は、第一本体部21に保持され、第一研磨盤23に一体的に固定される第一研磨盤支持体22を、第一本体部21に対してラジアル方向及びスラスト方向に支持する。詳細には、第一静圧軸受24は、第一本体部21の中央孔21aに保持され、軸部22aの外周面に対して流体圧により支持するラジアル軸受24aを備える。さらに、第一静圧軸受24は、第一本体部21の上面及び下面に保持され、フランジ部22b,22cに対して流体圧により支持するスラスト軸受24b,24cを備える。
【0016】
本実施形態においては、第一静圧軸受24に供給される流体は、共通の流体供給源から供給され、ラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cに分岐される。第一静圧軸受24は、さらにオリフィス絞り24d(図2に示す)を備える。オリフィス絞り24dは、ラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cのそれぞれに設けられる。ここで、第一静圧軸受24を構成するオリフィス絞り24dの位置は可変であるため、流体圧は可変とされる。第一モータ25は、第一本体部21又は基台11に支持され、第一研磨盤支持体22を回転駆動する。
【0017】
第二移動体14は、コラム12に対して上下方向に移動可能に配置される。第二移動体14は、第二本体部31、第二研磨盤支持体32、第二研磨盤33、第二静圧軸受34及び第二モータ35を備える。
【0018】
第二本体部31は、円筒状に形成され、下円盤部及び上円盤部には中央孔31a,31bを有する。第二本体部31の中央孔31a,31bの中心軸線は、L2であり、第一本体部21の中央孔21aの中心軸線L1に一致する。第二本体部31の円筒部は、コラム12の側面のガイドレール12a,12bに摺動可能に設けられる。つまり、第二本体部31は、コラム12に対して上下方向に移動可能である。
【0019】
第二研磨盤支持体32は、第二本体部31に対して、中心軸線L2の回りに回転可能に設けられる。第二研磨盤支持体32は、第二本体部31の下円盤部の中央孔31aを貫通する軸部32a、第二本体部31の下円盤部の下面及び上面に対向する円盤状のフランジ部32b,32cを備える。
【0020】
第二研磨盤33は、第二研磨盤支持体32の下側のフランジ部32bの下面に一体的に固定される。つまり、第二研磨盤33は、第二本体部31に対して中心軸線L2の回りに回転可能に設けられる。第二研磨盤33は、環状に形成される。さらに、第二研磨盤33は、一方の面(下面)に中心軸線L2の回りに環状に形成される第二研磨溝33aを有する。第二研磨溝33aの断面形状は、円弧凹状に形成される。第二研磨溝33aは、研磨対象である球体2を研磨する。
【0021】
第二研磨盤33の第二研磨溝33a側の面は、第一研磨盤23の第一研磨溝23a側の面に対向する。第二研磨溝33aの環状径は、第一研磨溝23aの環状径と同径に形成される。さらに、第二研磨溝33aの断面円弧径は、第一研磨溝23aの断面円弧径と同径に形成される。
【0022】
第二静圧軸受34は、第二本体部31の下円盤部に保持され、第二研磨盤33に一体的に固定される第二研磨盤支持体32を、第二本体部31に対してラジアル方向及びスラスト方向に支持する。詳細には、第二静圧軸受34は、第二本体部31の下円盤部の中央孔31aに保持され、軸部32aの外周面に対して流体圧により支持するラジアル軸受34aを備える。さらに、第二静圧軸受34は、第二本体部31の下円盤部の上面及び下面に保持され、フランジ部32b,32cに対して流体圧により支持するスラスト軸受34b,34cを備える。
【0023】
本実施形態においては、第二静圧軸受34に供給される流体は、共通の流体供給源から供給され、ラジアル軸受34a、スラスト軸受34b,34cに分岐される。第二静圧軸受34は、さらにオリフィス絞り34d(図2に示す)を備える。オリフィス絞り34dは、ラジアル軸受34a、スラスト軸受34b,34cのそれぞれに設けられる。ここで、第二静圧軸受34を構成するオリフィス絞り34dの位置は可変であるため、流体圧は可変とされる。また、第二静圧軸受34に流体を供給する流体供給源は、第一静圧軸受24に流体を供給する流体供給源と共通して設けられる。第二モータ35は、第二本体部31に支持され、第二研磨盤支持体32を回転駆動する。
【0024】
上下駆動機構15は、コラム12に対して第二本体部31を上下移動させる。上下駆動機構15は、コラム12の上端に固定されるモータ41と、モータ41の出力軸に連結されるボールねじ42と、ボールねじ42に螺合する第二本体部31の上円盤部の中央孔31bに固定されるボールねじナット43とを備える。
【0025】
(2.制御装置16の構成)
制御装置16は、図2に示すように、モータ制御部51と、流体圧調整部52とを備える。モータ制御部51は、各モータ25,35,41を制御する。つまり、モータ制御部51が第一モータ25を回転駆動することにより、第一研磨盤23が回転する。また、モータ制御部51が第二モータ35を回転駆動することにより、第二研磨盤33が回転する。また、モータ制御部51がモータ41を回転駆動することにより、第二移動体14が上下動する。
【0026】
流体圧調整部52は、各オリフィス絞り24d,34dの絞り量を調整する。流体圧調整部52が第一オリフィス絞り24dの位置を移動させることにより、第一静圧軸受24の剛性が変化する。また、流体圧調整部52が第二オリフィス絞り34dの位置を移動させることにより、第二静圧軸受34の剛性が変化する。
【0027】
本実施形態においては、第一オリフィス絞り24dは、ラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cの流体圧全てを同時に調整する。つまり、第一オリフィス絞り24dが調整されることで、ラジアル軸受24aによる剛性、及び、スラスト軸受24b,24cによる剛性が調整される。同時に、第一静圧軸受24によるモーメント剛性が調整される。
【0028】
また、第二オリフィス絞り34dは、ラジアル軸受34a、スラスト軸受34b,34cの流体圧全てを同時に調整する。つまり、第二オリフィス絞り34dが調整されることで、ラジアル軸受34aによる剛性、及び、スラスト軸受34b,34cによる剛性が調整される。同時に、第二静圧軸受34によるモーメント剛性が調整される。
【0029】
なお、第一オリフィス絞り24dをラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cのそれぞれに設けることで、ラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cのそれぞれの流体圧を独立して調整することも可能である。また、第二オリフィス絞り34dについても同様である。
【0030】
また、上記実施形態においては、第一,第二オリフィス絞り24d,34dの位置を可変とすることにより、第一,第二静圧軸受24,34の流体圧を可変とした。この他に、流体圧調整部52は、第一,第二静圧軸受24,34への流体供給源による供給される流体圧を調整することもできる。
【0031】
(3.球体研磨装置1を用いる球体2の研磨方法)
制御装置16の流体圧調整部52は、第一,第二静圧軸受24,34の流体圧が球体2の研磨を行うときに使用する流体圧となるように、オリフィス絞り24d,34dを設定しておく。
【0032】
そして、制御装置16は、モータ41を駆動して、第二移動体14を上方へ移動させておく。この状態で、研磨素材である複数の球体2を、第一研磨盤23の第一研磨溝23aに配置する。続いて、制御装置16は、モータ41を駆動して、第二移動体14を下方へ移動させて、第二研磨盤33の第二研磨溝33aが球体2に接触する状態とする。
【0033】
続いて、制御装置16は、第一研磨盤23の回転速度N1を図3に示すように一定値とするように第一モータ25を駆動し、且つ、第二研磨盤33の回転速度N2を図3に示すように一定値とするように第二モータ35を駆動する。このようにして、球体2は、第一,第二研磨盤23,33によって研磨される。この状態を設定した時間を経過したところで、制御装置16は、第一モータ25及び第二モータ35を停止して、モータ41を駆動して第二移動体14を上方へ移動させる。
【0034】
(4.球体研磨装置1の基本構成による効果)
上述したように、球体研磨装置1は、中心軸線L1の回りに回転可能に設けられ、一方の面に中心軸線L1の回りに環状に形成される第一研磨溝23aを有する第一研磨盤23と、第一研磨盤23の中心軸線L1と同軸上の中心軸線L2の回りに回転可能に設けられ、第一研磨盤23の一方の面に対向する面に、中心軸線L2の回りに環状に形成される第二研磨溝33aを有する第二研磨盤33とを備える。このように、対向する第一,第二研磨盤23,33を回転可能にすることで、第一,第二研磨溝23a,33aに複数の球体2を配置して、複数の球体2の研磨を同時に加工となる。
【0035】
さらに、第一、第二研磨盤23,33を回転可能にすることで、研削の自由度が高くなる。例えば、第一,第二研磨盤23,33は、後述するように流体圧を高くすることで第一,第二研磨盤23,33の中心軸線L1,L2を高精度に位置決め可能となる。特に、第一,第二研磨盤23,33が静圧軸受により支持されることで、転がり軸受を用いる場合に比べて、初期摩耗及び経年摩耗を生じないことにより高精度に位置決めし続けることができる。また、第一,第二研磨盤23,33は、後述するように流体圧を低くすることで第一,第二研磨盤23,33の中心軸線L1,L2のずれを許容できる。その結果、高精度に球体2を研磨できる。
【0036】
(5.モータ制御部51による制御の第一実施例)
モータ制御部51は、上述したように、第一モータ25及び第二モータ35を制御する。ひいては、モータ制御部51は、第一研磨盤23の回転及び第二研磨盤33の回転を制御する。
【0037】
第一,第二研磨盤23,33の回転速度N1,N2について、図3を参照して説明する。図3において、回転速度が正の場合を一方方向の回転とした場合に、回転速度が負の場合を他方方向の回転とする。第一研磨盤23の回転速度N1及び第二研磨盤33の回転速度N2は、式(1)の関係を有する。つまり、第一研磨盤23の回転方向と第二研磨盤33の回転方向とは、逆方向となる。
【0038】
【数1】
【0039】
さらに、第一研磨盤23の回転速度N1及び第二研磨盤33の回転速度N2は、一定値に制御される。そして、第一実施例においては、第一研磨盤23の回転速度N1の絶対値|N1|と第二研磨盤33の回転速度N2の絶対値|N2|は、式(2)示すように、同一である。
【0040】
【数2】
【0041】
(6.モータ制御部51による制御の第二実施例)
第一研磨盤23の回転速度N1及び第二研磨盤33の回転速度N2は、一定値に制御される。第二実施例においては、第一研磨盤23の回転速度N1の絶対値|N1|と第二研磨盤33の回転速度N2の絶対値|N2|は、式(3)の上式に示すように、異なる値である。詳細には、式(3)の下式に示すように、第一研磨盤23の回転速度N1の絶対値|N1|を、第二研磨盤33の回転速度N2の絶対値|N2|に対して、第二研磨盤33の回転速度N2の絶対値|N2|の10%以内で異なる値とされる。例えば、第一研磨盤23の回転速度N1が100min−1とし、第二研磨盤33の回転速度N2が逆方向に99min−1とする。
【0042】
【数3】
【0043】
(7.モータ制御部51による制御動作による効果)
制御装置16のモータ制御部51が、第一研磨盤23及び第二研磨盤33を図3に示すように制御した場合の第一実施例と、第一研磨盤23を固定し第二研磨盤33のみを回転させた場合の比較例とについて、球体2の真球度を計測した。ある真球度を1とした場合における球体2の真球度比を図4に示す。図4には、実施例及び比較例において、複数の球体2の真球度の範囲が示される。つまり、図4の縦方向の長さは、複数の球体2の真球度のばらつきを意味する。
【0044】
図4より、第一実施例における球体2の真球度の最小値は、比較例と同程度であるが、第一実施例における球体2の真球度の最大値は、比較例より小さい。つまり、第一実施例における球体2の真球度のばらつきは、比較例に比べて小さくなる。このように、制御装置16のモータ制御部51が、第一研磨盤23の回転方向と第二研磨盤33の回転方向とを逆方向とすることで、球体2の移動速度は、第一研磨盤23を固定する場合に比べて小さくなる。つまり、球体2に作用する遠心力は、格段に小さくなる。その結果、球体2の真球度が向上すると考えられる。
【0045】
また、制御装置16は、第一実施例に示すように、第一研磨盤23の回転速度N1の絶対値|N1|と第二研磨盤33の回転速度N2の絶対値|N2|とを同一にして、球体2を研磨する。この場合、球体2は、同じ位置にて自転する。つまり、球体2は、公転することなく自転のみする。そのため、球体2に作用する遠心力がゼロになる。その結果、球体2の真球度が確実に向上する。
【0046】
また、制御装置16は、第二実施例に示すように、第一研磨盤23の回転速度N1の絶対値|N1|を、第二研磨盤33の回転速度N2の絶対値|N2|に対して、第二研磨盤33の回転速度N2の絶対値|N2|の10%以内で異なる値にして、球体2を研磨する。この場合、球体2は、ほぼ同じ位置にて自転する。つまり、球体2は、ほとんど公転することなく、自転する。そのため、球体2に作用する遠心力がほとんど発生しない。その結果、球体2の真球度が確実に向上する。
【0047】
さらに、第一研磨盤23の回転速度N1の絶対値|N1|と第二研磨盤33の回転速度N2の絶対値|N2|は、式(3)の上式に示すように、異なる値である。仮に、両者を同一値にすると、一回転ごとに、球体2による第一研磨盤23及び第二研磨盤33との接触状態が同一状態となる。特定の状態の出現頻度が高くなることで、特定の状態次第では、球体2の真球度への影響がある可能性がある。つまり、球体2の真球度は、各部品の機械加工精度の影響を受けやすい状態となる。
【0048】
これに対して、上記のとおり、両者を異なる値とすることで、特定の状態の出現頻度が低くなる。例えば、第一研磨盤23の回転速度N1を100min−1とし、第二研磨盤33の回転速度N2を−99min−1とした場合には、次に同一状態の出現は、第一研磨盤23が100回転したときとなる。このように、特定の状態の出現頻度が低くなることで、球体2の真球度を向上することにつながる。つまり、球体2の真球度は、各部品の機械加工精度の影響を受けにくい状態となる。
【0049】
また、制御装置16は、第一研磨盤23の回転速度N1を一定値とし、且つ、第二研磨盤33の回転速度N2を一定値とする。つまり、第一研磨盤23の回転速度N1及び第二研磨盤33の回転速度N2を変動させないことを意味する。これにより、球体2が、ほぼ同じ位置に安定して位置する状態となる。その結果、球体2の真球度が確実に向上する。
【符号の説明】
【0050】
1:球体研磨装置、 2:球体、 11:基台、 12:コラム、 16:制御装置、 23:第一研磨盤、 23a:第一研磨溝、 24:第一静圧軸受、 33:第二研磨盤、 33a:第二研磨溝、 34:第二静圧軸受
図1
図2
図3
図4