特開2016-221589(P2016-221589A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧
<>
  • 特開2016221589-球体研磨装置及び球体研磨方法 図000003
  • 特開2016221589-球体研磨装置及び球体研磨方法 図000004
  • 特開2016221589-球体研磨装置及び球体研磨方法 図000005
  • 特開2016221589-球体研磨装置及び球体研磨方法 図000006
  • 特開2016221589-球体研磨装置及び球体研磨方法 図000007
  • 特開2016221589-球体研磨装置及び球体研磨方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221589(P2016-221589A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】球体研磨装置及び球体研磨方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 11/06 20060101AFI20161205BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20161205BHJP
   B24D 3/18 20060101ALI20161205BHJP
   B24D 3/10 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B24B11/06
   B24D3/00 330G
   B24D3/18
   B24D3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-107243(P2015-107243)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】小野▲崎▼ 徹
(72)【発明者】
【氏名】若園 賀生
(72)【発明者】
【氏名】三井 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】増田 祐生
(72)【発明者】
【氏名】新美 匡俊
【テーマコード(参考)】
3C049
3C063
【Fターム(参考)】
3C049AA04
3C049AA18
3C049AC04
3C049CA01
3C049CA02
3C049CB01
3C063AA02
3C063AB05
3C063BA02
3C063BA26
3C063BA35
3C063BB02
3C063BB03
3C063BB04
3C063BC02
3C063BC03
3C063BC05
3C063BC09
3C063BC10
3C063EE40
3C063FF30
(57)【要約】
【課題】逃げ溝を設けずに、球体の姿勢を変化させることにより球体の真球度を向上できる球体研磨装置を提供する。
【解決手段】球体研磨装置(1)は、一方の面に中心軸線(L1)の回りに環状に形成される第一研磨溝(23a)を有する第一研磨盤(23)と、第一研磨盤(23)の中心軸線(L1)と同軸上の中心軸線(L2)の回りに第一研磨盤(23)に対して相対的に回転可能に設けられ、第一研磨盤(23)の一方の面に対向する面に、中心軸線(L2)の回りに環状に形成される第二研磨溝(33a)を有する第二研磨盤(33)とを備える。第一研磨盤(23)及び第二研磨盤(33)の構成物は、少なくとも複数の砥粒(61)を含む。第一研磨盤(23)と第二研磨盤(33)の構成物の少なくとも一つの種類が異なる、又は、構成物の割合が異なる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に中心軸線回りに環状に形成される第一研磨溝を有する第一研磨盤と、
前記第一研磨盤の中心軸線と同軸上の中心軸線回りに前記第一研磨盤に対して相対的に回転可能に設けられ、前記第一研磨盤の前記一方の面に対向する面に、前記中心軸線回りに環状に形成される第二研磨溝を有する第二研磨盤と、
を備え、
前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤の構成物は、少なくとも複数の砥粒を含み、
前記第一研磨盤と前記第二研磨盤の構成物の少なくとも一つの種類が異なる、又は、前記構成物の割合が異なる、球体研磨装置。
【請求項2】
前記第一研磨盤と前記第二研磨盤とは、研磨対象である球体を前記第一研磨溝及び前記第二研磨溝のそれぞれに押し付けた状態において、前記球体をすべり移動させるための力が異なるように形成される、請求項1に記載の球体研磨装置。
【請求項3】
前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤の構成物は、前記複数の砥粒を接合するボンドを含み、
前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤の前記ボンドは、ヤング率が異なる材料である、請求項1又は2に記載の球体研磨装置。
【請求項4】
前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤の前記砥粒は、異なる種類である、請求項1−3の何れか一項に記載の球体研磨装置。
【請求項5】
前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤の構成物は、前記複数の砥粒の間に存在する気孔を含み、
前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤の前記気孔の割合が、異なる、請求項1−4の何れか一項に記載の球体研磨装置。
【請求項6】
請求項1−5の何れか一項に記載の球体研磨装置を用いる球体研磨方法であって、
前記第一研磨溝と前記第二研磨溝との間に研磨対象である球体を配置し、前記第一研磨盤と前記第二研磨盤とを相対的に回転させて前記第一研磨溝及び前記第二研磨溝により前記球体を研磨する、球体研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球体研磨装置及び球体研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転盤と固定盤とに形成される研磨溝に、球体の通路上に所定間隔をおいた複数の所定位置に逃げ溝が形成されることで、球体の自転軸の傾きを変更させる球体研磨装置が記載されている。このように球体の姿勢が変化することで、球体の真球度が向上する。
【0003】
特許文献2には、対向する研磨盤の一方に螺旋溝が形成される球体研磨装置が記載されている。螺旋溝は球体を外周端から内周端に進行させ、螺旋溝には、球体の進行方向に2種以上の砥石部が配置される。球体の進行に伴って、球体に対する荒研削、精研削及び研磨の複数の加工を連続に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−180605号公報
【特許文献2】特開平3−32576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、球体の通路上において、逃げ溝が形成されていない位置においては、球体の姿勢は変化しない。逃げ溝を多数設ければ、その分、球体の姿勢の変化を促すことができるが、逃げ溝では球体が研磨されないため、研磨効率が低下する。
【0006】
本発明は、逃げ溝を設けずに、球体の姿勢を変化させることにより球体の真球度を向上できる球体研磨装置及び球体研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1.球体研磨装置)
球体研磨装置は、一方の面に中心軸線回りに環状に形成される第一研磨溝を有する第一研磨盤と、前記第一研磨盤の中心軸線と同軸上の中心軸線回りに前記第一研磨盤に対して相対的に回転可能に設けられ、前記第一研磨盤の前記一方の面に対向する面に、前記中心軸線回りに環状に形成される第二研磨溝を有する第二研磨盤とを備える。前記第一研磨盤及び前記第二研磨盤の構成物は、複数の砥粒と、前記複数の砥粒をブリッジ状に接合するボンドと、前記ボンドの間に形成される気孔とを含み、前記第一研磨盤と前記第二研磨盤の構成物の少なくとも一つの種類が異なる、又は、前記構成物の割合が異なる。
【0008】
(2.球体研磨方法)
また、球体研磨方法は、上述した球体研磨装置を用いる球体研磨方法であって、前記第一研磨溝と前記第二研磨溝との間に研磨対象である球体を配置し、前記第一研磨盤と前記第二研磨盤とを相対的に回転させて前記第一研磨溝及び前記第二研磨溝により前記球体を研磨する。
【0009】
(3.球体研磨装置及び方法による効果)
上述した球体研磨装置及び球体研磨方法によれば、前記第一研磨盤と前記第二研磨盤の構成物の少なくとも一つの種類が異なる、又は、前記構成物の割合が異なるため、第一研磨溝による研磨抵抗と第二研磨溝による研磨抵抗とが異なるようにできる。その結果、第一研磨盤と第二研磨盤との相対的な回転によって、球体は、第一研磨盤の中心軸線に直交する軸線回りに回転すると共に、他の軸線回りに回転する状態となる。従って、球体は、第一研磨溝と第二研磨溝によって研磨されている最中において、球体の姿勢を変化できる。その結果、球体の真球度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の球体研磨装置の構成を示す図である。
図2】第一研磨盤及び第二研磨盤の拡大図である。
図3】制御装置のブロック構成図を示す。
図4】第一研磨溝、第二研磨溝及び球体を含む部分の拡大図である。
図5】球体を図4のV方向から見た場合のさらなる拡大図である。
図6】球体を図4のVI方向から見た場合のさらなる拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1.球体研磨装置1の構成)
本実施形態の球体研磨装置1について図1を参照して説明する。球体研磨装置1は、基台11、コラム12、第一移動体13、第二移動体14、上下駆動機構15及び制御装置16(図3に示す)を備える。基台11は、床面に設置され、中央に上下方向への貫通孔11aを備える。コラム12は、基台11の上面に固定される。コラム12の側面には、上下方向に延びるガイドレール12a,12bが設けられる。
【0012】
第一移動体13は、基台11の上面及び貫通孔11aに配置される。第一移動体13は、第一本体部21、第一研磨盤支持体22、第一研磨盤23、第一静圧軸受24及び第一モータ25を備える。
【0013】
第一本体部21は、中央孔21aを有する円盤状に形成される。第一本体部21は、中央孔21aが基台11の貫通孔11aと同軸上に位置するように、基台11の上面に固定される。中央孔21aの中心軸線は、L1であり、鉛直軸方向に一致する。
【0014】
第一研磨盤支持体22は、第一本体部21に対して、中心軸線L1の回りに回転可能に設けられる。第一研磨盤支持体22は、第一本体部21の中央孔21aを貫通する軸部22a、第一本体部21の上面及び下面に対向する円盤状のフランジ部22b,22cを備える。
【0015】
第一研磨盤23は、第一研磨盤支持体22の上側のフランジ部22bの上面に一体的に固定される。つまり、第一研磨盤23は、第一本体部21に対して中心軸線L1の回りに回転可能に設けられる。第一研磨盤23は、環状に形成される。さらに、第一研磨盤23は、一方の面(上面)に中心軸線L1の回りに環状に形成される第一研磨溝23aを有する。第一研磨溝23aの断面形状は、円弧凹状に形成される。第一研磨溝23aは、研磨対象である球体2を研磨する。
【0016】
第一静圧軸受24は、第一本体部21に保持され、第一研磨盤23に一体的に固定される第一研磨盤支持体22を、第一本体部21に対してラジアル方向及びスラスト方向に支持する。詳細には、第一静圧軸受24は、第一本体部21の中央孔21aに保持され、軸部22aの外周面に対して流体圧により支持するラジアル軸受24aを備える。さらに、第一静圧軸受24は、第一本体部21の上面及び下面に保持され、フランジ部22b,22cに対して流体圧により支持するスラスト軸受24b,24cを備える。
【0017】
本実施形態においては、第一静圧軸受24に供給される流体は、共通の流体供給源から供給され、ラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cに分岐される。第一静圧軸受24は、さらにオリフィス絞り24d(図3に示す)を備える。オリフィス絞り24dは、ラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cのそれぞれに設けられる。ここで、第一静圧軸受24を構成するオリフィス絞り24dの位置は可変であるため、流体圧は可変とされる。第一モータ25は、第一本体部21又は基台11に支持され、第一研磨盤支持体22を回転駆動する。
【0018】
第二移動体14は、コラム12に対して上下方向に移動可能に配置される。第二移動体14は、第二本体部31、第二研磨盤支持体32、第二研磨盤33、第二静圧軸受34及び第二モータ35を備える。
【0019】
第二本体部31は、円筒状に形成され、下円盤部及び上円盤部には中央孔31a,31bを有する。第二本体部31の中央孔31a,31bの中心軸線は、L2であり、第一本体部21の中央孔21aの中心軸線L1に一致する。第二本体部31の円筒部は、コラム12の側面のガイドレール12a,12bに摺動可能に設けられる。つまり、第二本体部31は、コラム12に対して上下方向に移動可能である。
【0020】
第二研磨盤支持体32は、第二本体部31に対して、中心軸線L2の回りに回転可能に設けられる。第二研磨盤支持体32は、第二本体部31の下円盤部の中央孔31aを貫通する軸部32a、第二本体部31の下円盤部の下面及び上面に対向する円盤状のフランジ部32b,32cを備える。
【0021】
第二研磨盤33は、第二研磨盤支持体32の下側のフランジ部32bの下面に一体的に固定される。つまり、第二研磨盤33は、第二本体部31に対して中心軸線L2の回りに回転可能に設けられる。第二研磨盤33は、環状に形成される。さらに、第二研磨盤33は、一方の面(下面)に中心軸線L2の回りに環状に形成される第二研磨溝33aを有する。第二研磨溝33aの断面形状は、円弧凹状に形成される。第二研磨溝33aは、研磨対象である球体2を研磨する。
【0022】
第二研磨盤33の第二研磨溝33a側の面は、第一研磨盤23の第一研磨溝23a側の面に対向する。第二研磨溝33aの環状径は、第一研磨溝23aの環状径と同径に形成される。さらに、第二研磨溝33aの断面円弧径は、第一研磨溝23aの断面円弧径と同径に形成される。
【0023】
第二静圧軸受34は、第二本体部31の下円盤部に保持され、第二研磨盤33に一体的に固定される第二研磨盤支持体32を、第二本体部31に対してラジアル方向及びスラスト方向に支持する。詳細には、第二静圧軸受34は、第二本体部31の下円盤部の中央孔31aに保持され、軸部32aの外周面に対して流体圧により支持するラジアル軸受34aを備える。さらに、第二静圧軸受34は、第二本体部31の下円盤部の上面及び下面に保持され、フランジ部32b,32cに対して流体圧により支持するスラスト軸受34b,34cを備える。
【0024】
本実施形態においては、第二静圧軸受34に供給される流体は、共通の流体供給源から供給され、ラジアル軸受34a、スラスト軸受34b,34cに分岐される。第二静圧軸受34は、さらにオリフィス絞り34d(図3に示す)を備える。オリフィス絞り34dは、ラジアル軸受34a、スラスト軸受34b,34cのそれぞれに設けられる。ここで、第二静圧軸受34を構成するオリフィス絞り34dの位置は可変であるため、流体圧は可変とされる。また、第二静圧軸受34に流体を供給する流体供給源は、第一静圧軸受24に流体を供給する流体供給源と共通して設けられる。第二モータ35は、第二本体部31に支持され、第二研磨盤支持体32を回転駆動する。
【0025】
上下駆動機構15は、コラム12に対して第二本体部31を上下移動させる。上下駆動機構15は、コラム12の上端に固定されるモータ41と、モータ41の出力軸に連結されるボールねじ42と、ボールねじ42に螺合する第二本体部31の上円盤部の中央孔31bに固定されるボールねじナット43とを備える。
【0026】
(2.第一研磨盤23及び第二研磨盤33の詳細構成)
第一研磨盤23及び第二研磨盤33の詳細構成について、図2を参照して説明する。第一研磨盤23及び第二研磨盤33は、複数の砥粒61、複数の砥粒61をブリッジ状に接合するボンド62、及び、複数の砥粒61及びボンド62以外の領域に形成される気孔63により構成される。なお、第一研磨盤23及び第二研磨盤33の構成物は、複数の砥粒61及びボンド62の他に、例えば、複数の砥粒61間に介在される骨材などを含むようにしてもよい。この場合、気孔63は、砥粒61、ボンド62及び骨材以外の領域に形成される。また、第一研磨盤23及び第二研磨盤33は、ボンド62の種類によっては、気孔63を構成物として有しないようにすることもできる。
【0027】
第一研磨盤23と第二研磨盤33とは、構成物(61,62,63)の少なくとも一つの種類が異なる、又は、構成物(61,62,63)の割合が異なる。砥粒61の材質、平均径、硬さなどを異ならせることにより、砥粒61の種類が異なるものとなる。砥粒61の集中度(単位体積内に砥粒61が占める割合)を異ならせることにより、砥粒61の割合が異なるものとなる。ボンド62の材質、硬さなどを異ならせることにより、ボンド62の種類が異なるものとなる。
【0028】
砥粒61の材質は、CBN、ダイヤモンド、WA、GCなどである。ボンド62の種類は、レジンボンド、ビトリファイドボンド、メタルボンドなどである。また、ボンド62は、種々の添加剤を含む。
【0029】
そして、第一研磨盤23と第二研磨盤33とは、研磨対象である球体2を第一研磨溝23a及び第二研磨溝33aのそれぞれに押し付けた状態において、球体2をすべり移動させるための力が異なるように形成される。例えば、以下のようにする。
【0030】
(第一例)第一研磨盤23のボンドと第二研磨盤33のボンド62は、ヤング率が異なる材料とする。
(第二例)第一研磨盤23の砥粒61と第二研磨盤33の砥粒61は、材質、平均径又は集中度を異なるものとし、第一研磨盤23の砥粒61による切れ味と第二研磨盤33の砥粒61による切れ味とは異なるものとする。
(第三例)第一研磨盤23の気孔63の割合と第二研磨盤33の気孔63の割合とを異ならせる。
(第四例)第一研磨盤23の砥粒61のヤング率と第二研磨盤33の砥粒61のヤング率とを異ならせる。
【0031】
(3.制御装置16の構成)
制御装置16は、図3に示すように、モータ制御部51と、流体圧調整部52とを備える。モータ制御部51は、各モータ25,35,41を制御する。つまり、モータ制御部51が第一モータ25を回転駆動することにより、第一研磨盤23が回転する。また、モータ制御部51が第二モータ35を回転駆動することにより、第二研磨盤33が回転する。また、モータ制御部51がモータ41を回転駆動することにより、第二移動体14が上下動する。
【0032】
流体圧調整部52は、各オリフィス絞り24d,34dの絞り量を調整する。流体圧調整部52が第一オリフィス絞り24dの位置を移動させることにより、第一静圧軸受24の剛性が変化する。また、流体圧調整部52が第二オリフィス絞り34dの位置を移動させることにより、第二静圧軸受34の剛性が変化する。
【0033】
本実施形態においては、第一オリフィス絞り24dは、ラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cの流体圧全てを同時に調整する。つまり、第一オリフィス絞り24dが調整されることで、ラジアル軸受24aによる剛性、及び、スラスト軸受24b,24cによる剛性が調整される。同時に、第一静圧軸受24によるモーメント剛性が調整される。
【0034】
また、第二オリフィス絞り34dは、ラジアル軸受34a、スラスト軸受34b,34cの流体圧全てを同時に調整する。つまり、第二オリフィス絞り34dが調整されることで、ラジアル軸受34aによる剛性、及び、スラスト軸受34b,34cによる剛性が調整される。同時に、第二静圧軸受34によるモーメント剛性が調整される。
【0035】
なお、第一オリフィス絞り24dをラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cのそれぞれに設けることで、ラジアル軸受24a、スラスト軸受24b,24cのそれぞれの流体圧を独立して調整することも可能である。また、第二オリフィス絞り34dについても同様である。
【0036】
また、上記実施形態においては、第一,第二オリフィス絞り24d,34dの位置を可変とすることにより、第一,第二静圧軸受24,34の流体圧を可変とした。この他に、流体圧調整部52は、第一,第二静圧軸受24,34への流体供給源による供給される流体圧を調整することもできる。
【0037】
(4.球体研磨装置1を用いる球体2の研磨方法)
制御装置16の流体圧調整部52は、第一,第二静圧軸受24,34の流体圧が球体2の研磨を行うときに使用する流体圧となるように、オリフィス絞り24d,34dを設定しておく。
【0038】
そして、制御装置16は、モータ41を駆動して、第二移動体14を上方へ移動させておく。この状態で、研磨素材である複数の球体2を、第一研磨盤23の第一研磨溝23aに配置する。続いて、制御装置16は、モータ41を駆動して、第二移動体14を下方へ移動させて、第二研磨盤33の第二研磨溝33aが球体2に接触する状態とする。
【0039】
続いて、制御装置16は、第一研磨盤23の回転速度を一定値とするように又は周期的に変動させるように第一モータ25を駆動し、且つ、第二研磨盤33の回転速度を一定値とするように第二モータ35を駆動する。このとき、第一研磨盤23と第二研磨盤33とは逆方向に回転される。このようにして、球体2は、第一,第二研磨盤23,33によって研磨される。この状態を設定した時間を経過したところで、制御装置16は、第一モータ25及び第二モータ35を停止して、モータ41を駆動して第二移動体14を上方へ移動させる。
【0040】
(5.球体研磨装置1の基本構成による効果)
上述したように、球体研磨装置1は、中心軸線L1の回りに回転可能に設けられ、一方の面に中心軸線L1の回りに環状に形成される第一研磨溝23aを有する第一研磨盤23と、第一研磨盤23の中心軸線L1と同軸上の中心軸線L2の回りに回転可能に設けられ、第一研磨盤23の一方の面に対向する面に、中心軸線L2の回りに環状に形成される第二研磨溝33aを有する第二研磨盤33とを備える。このように、対向する第一,第二研磨盤23,33を回転可能にすることで、第一,第二研磨溝23a,33aに複数の球体2を配置して、複数の球体2の研磨を同時に加工となる。
【0041】
さらに、第一、第二研磨盤23,33を回転可能にすることで、研削の自由度が高くなる。例えば、第一,第二研磨盤23,33は、後述するように流体圧を高くすることで第一,第二研磨盤23,33の中心軸線L1,L2を高精度に位置決め可能となる。特に、第一,第二研磨盤23,33が静圧軸受により支持されることで、転がり軸受を用いる場合に比べて、初期摩耗及び経年摩耗を生じないことにより高精度に位置決めし続けることができる。また、第一,第二研磨盤23,33は、後述するように流体圧を低くすることで第一,第二研磨盤23,33の中心軸線L1,L2のずれを許容できる。その結果、高精度に球体2を研磨できる。
【0042】
(6.第一研磨盤23と第二研磨盤33を異ならせることによる効果)
次に、第一研磨盤23と第二研磨盤33を上記のように異ならせることによる効果について、図4図6を参照して説明する。図5及び図6において、太い実線2a,2bは、球体2と研磨溝23a,33aとの接触線を示す。また、図5及び図6において、接触線から図の上下方向への矢印及び曲線は、球体2における当該接触点による研磨溝23a,33aに対するすべり速度を示す。
【0043】
説明を簡単にするために、第一研磨盤23と第二研磨盤33が、上記の第一例としてのヤング率が異なるボンド62の材料であるとする。第一研磨盤23のボンド62のヤング率が、第二研磨盤33のボンド62のヤング率より小さいとする。
【0044】
この場合、図4及び図6に示すように、第一研磨溝23aが弾性変形して、第一研磨溝23aの一部分と球体2とが接触する。このときの接触線2aの接触範囲はAとなる。一方、図4及び図5に示すように、第二研磨溝33aが弾性変形して、第二研磨溝33aの一部分と球体2とが接触する。このときの接触線2bの接触範囲はBとなる。第一研磨盤23のボンド62のヤング率が第二研磨盤33のボンド62のヤング率より小さいため、接触線2aの接触範囲Aは接触線2bの接触範囲Bより短くなる。つまり、球体2を第一研磨溝23a及び第二研磨溝33aのそれぞれに押し付けた状態において、球体2をすべり移動させるための力は、第二研磨溝33aの方が第一研磨溝23aより大きくなる。
【0045】
ここで、第一研磨盤23と第二研磨盤33とは相対的に回転しているため、球体2は、第一研磨盤23の中心軸線L1に直交する軸線X1の回りに回転する。そして、第一研磨溝23a及び第二研磨溝33aは、環状に形成されている。そのため、球体2における研磨溝23a,33aとの接触範囲A,Bでのすべり速度は、研磨溝23a,33aの径方向外側で径方向内側より大きくなり、径方向中央付近では両端とは反対方向となる。球体2の所定の接触点におけるすべり速度が大きいとは、当該接触点における研磨抵抗が大きいことに相当する。
【0046】
ここで、接触線2bの接触範囲Bは、接触線2aの接触範囲Aより長い。さらに、接触範囲A,Bのそれぞれにおいて、径方向外側での研磨抵抗が径方向内側での研磨抵抗より大きい。そのため、接触線2aの接触範囲Aでの研磨抵抗と接触線2bの接触範囲Bでの研磨抵抗とを打ち消し合った場合に、軸線X1の回りに回転する成分と、中心軸線L1に平行な軸線Y1の回りに回転する成分とが残る。従って、球体2は、第一研磨溝23aと第二研磨溝33aによって研磨されている最中において、球体2の姿勢が変化する。その結果、球体2の真球度が向上する。
【0047】
第一研磨盤23と第二研磨盤33とは、研磨対象である球体2を第一研磨溝23a及び第二研磨溝33aのそれぞれに押し付けた状態において、球体2をすべり移動させるための力が異なるように形成されることにより、上記の現象を実現できる。
【0048】
また、第一研磨盤23及び第二研磨盤33のボンド62は、ヤング率が異なる材料とすることで、上記の現象を確実に且つ容易に実現できる。
第一研磨盤23及び第二研磨盤33の砥粒61は、異なる種類とすることでも、砥粒61による切れ味が異なることによる研磨抵抗を異ならせることができるため、この場合でも上記を確実に実現できる。
【0049】
また、第一研磨盤23及び第二研磨盤33の気孔63の割合が異なるようにすることでも、ボンド62のヤング率を異なるようにすることに等しい状態となる。従って、このようにしても、容易に且つ確実に、上記の現象を実現できる。なお、他の態様であっても、上記の現象を実現できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0050】
1:球体研磨装置、 2:球体、 11:基台、 12:コラム、 16:制御装置、 23:第一研磨盤、 23a:第一研磨溝、 24:第一静圧軸受、 33:第二研磨盤、 33a:第二研磨溝、 34:第二静圧軸受、 61:砥粒、 62:ボンド、 63:気孔、 A:第一研磨溝と球体の接触範囲、 B:第二研磨溝と球体の接触範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6