(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221611(P2016-221611A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】工具ヘッド
(51)【国際特許分類】
B25B 13/54 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
B25B13/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-109416(P2015-109416)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】515120497
【氏名又は名称】陳鐸壬
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 鐸壬
(57)【要約】
【課題】従来の工具ヘッドと比較して体積、重量を低減し、収容空間を節約することができ、携帯に便利な工具ヘッドを提供する。
【解決手段】本発明の工具ヘッド20は、駆動端21及び装着端22を有する。駆動端21と装着端22との間は、ネック部23によって互いに接続される。装着端22の両側には、側部位221,222が設けられ、側部位221,222間には、当接部223,224がそれぞれ形成される。当接部223,224は、接続工具30の六角孔31の2つの対向する対応面32全体に当接することができる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動端及び装着端を有する工具ヘッドであって、
前記駆動端と前記装着端との間は、ネック部によって互いに接続され、
前記装着端の両側には、側部位が設けられ、
前記側部位間には、当接部がそれぞれ形成され、
前記当接部は、接続工具の六角孔の2つの対向する対応面全体に当接されることを特徴とする工具ヘッド。
【請求項2】
前記当接部には、前記側部位の方向に第2当接部が延伸され、
前記第2当接部は、前記接続工具の六角孔の他の2つの対応面上の一部に当接されることを特徴とする請求項1に記載の工具ヘッド。
【請求項3】
駆動端及び装着端を有する工具ヘッドであって、
前記駆動端と前記装着端との間は、ネック部によって互いに接続され、
前記装着端の両側には、側部位が設けられ、
前記側部位間には、第3当接部がそれぞれ形成され、
前記第3当接部は、接続工具の六角孔の2つ接続された対応面の一部に当接されることを特徴とする工具ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ヘッドに関し、特に、体積及び重量を低減し、収納空間を節約することができ、携帯に便利な工具ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
図1及び
図2を参照する。
図1及び
図2に示すように、従来の工具ヘッドは、主に工具ヘッド本体10からなる。工具ヘッド本体10は、駆動端11及び装着端12を有し、駆動端11と装着端12との間にネック部13が延伸成型される。駆動端11は、ねじ14を回転させるために用いられる。ねじ14は、様々な寸法及び規格のものを含む。駆動端11は、ねじ14のヘッド141の溝孔142の形状に対応してマイナス、プラス、米状、梅花状、六角形など、様々な形状のものを含む。装着端12は、一般の手動操作されるグリップ15の接続スリーブ151(所謂接続工具であり、本発明では、接続スリーブを例示して説明する)内に挿設した後、工具ヘッド本体10の駆動端11を駆動することにより、ねじ14の締緩を行うことができる(当然、装着端12を電動工具のグリップの挿入溝内に挿設してもよく、これらの構造は、従来の工具ヘッドに関連する技術構造であるため、ここでは説明しない)。
【0003】
図2を参照する。
図2に示すように、従来の工具ヘッド本体10は、装着端12がグリップ15の接続スリーブ151内に挿設される。しかし、接続スリーブ151は、等辺の六角孔(多くが6.35mm)を有するため、駆動端11の寸法及び規格が如何なるものであっても、装着端12は、接続スリーブ151(接続工具)の既定の六角孔の形状及び寸法に対応させなくてはならない。このために、以下に示すように、関連する問題及び弊害が発生する。
【0004】
工具ヘッド本体10の装着端12を接続スリーブ151の六角孔の形状及び寸法に対応させなくてはならないため、駆動端11の規格及び寸法が小さかったり、ネック部13の寸法を如何に縮小したりしても、装着端12は、完全な六角柱の構造である。このため、工具セットとして販売するために包装した場合、工具ヘッド本体10の装着端12の体積が大きいため、必要とする収容空間が大きくなる上、工具セット全体の重量が重くなり、非常に多くの材料及びコストが必要となる。また、近年、工具の種類が多くなっているため、工具セットを持って移動しなければならない場合、体積及び重量が大きいことは、非常に不便である。
【0005】
即ち、如何なる設計であれ、最終的に工具ヘッド本体10の装着端12を既存の接続スリーブ151に組み合わせることが前提とされた上で、工具ヘッドの機能を高め、多様性を実現することが求められていた。
【0006】
図3及び
図4を参照する。
図3及び
図4に示すように、従来の工具ヘッドの欠点を改善するために、工具ヘッド本体10の軸心部位に空間101を形成し、工具ヘッド本体10を軽量化した構造が案出された。本構造は、実験によって、外部から加えられる回転力に耐える強度を有することが分かったが、工具ヘッド本体10を軽量化するのみであり、体積が低減されるわけではない。また、空間101を形成することは、加工難度が高く、コストが多くかかるため、最適な構造であるとは言えない。
【0007】
図5及び
図6を参照する。
図5及び
図6に示すように、工具ヘッド本体10の使用性を多様化し、利便性及び実用性を高めるために、工具ボックス161,162の構造が案出された。
図5及び
図6に示す工具ボックス161,162には、収容空間163,164が設けられ、収容空間163,164に複数の異なる工具ヘッド本体10が収容される。これにより、工具ヘッドの多様性及び利便性が高められるが、以下(1)及び(2)に示す欠点を有する。
【0008】
(1):
図5に示す単一の収容空間163であれ、
図6及び
図7に示す複数の工具ヘッド本体10が収容される収容空間164であれ、収容する工具ヘッド本体10の数が多くなると、重量及び体積が過大となるため、携帯に不便である。すなわち、工具の携帯性を考慮すると、工具ヘッド本体10の体積及び重量を減少させなければ、問題を解決することができない。
【0009】
(2):
図8に示すように、手工具17の内部空間171に、工具ヘッド本体10を収容することができる収容部位172が形成された手工具17が案出された。本手工具17は、携帯に便利であるが、工具ヘッド全体を収容するための体積を減少できず、グリップ全体の重量及び体積が大きいため、手工具17の体積及び重量を有効に減少させることができず、欠点を改善することができない。
【0010】
その後、多くの発明者が製品に対して変化に富んだ改良を行ったり、製品に着色を行ったりし、
図9及び
図10に示す工具ヘッド本体18,19を案出した。
図9及び
図10に示す工具ヘッド本体18,19には、識別部位181,191がそれぞれ形成される。即ち、外見上の差別化を図ることにより、市場における魅力を一定程度高めることができるようになったが、
図9及び
図10に示す工具ヘッド本体18,19は、以下(1)〜(4)に示す欠点を有する。
【0011】
(1):従来の工具ヘッド本体の有する重量及び体積が大きいという問題を解決することができない。
【0012】
(2):識別部位181,191が増設されたが、カラーリボンを用いた成型、カラー電着、プラスチックカラーバンドの射出被覆、カラーシュリンクフィルム成形などの方法を使用した場合、コストが高くなるため、市場に広めるのに限度があり、商品の魅力を大きく高めることができない。
【0013】
(3):
図9に示す工具ヘッド本体18のように、識別部位181を成型するには、環状凹部(図示せず)を予め留保する必要があるため、加工の難度が上がる。
【0014】
(4):
図9及び
図10に示す工具ヘッド本体18,19は、狭小な平面(六角面中の一面)に識別部位181,191を成型しなければならないため、加工の難度が上がるのみであり、従来の工具ヘッド本体が有する問題を解決することができない。
【0015】
本発明の発明者は、以上の従来技術の欠点に鑑み、研究開発を重ねた結果、工具ヘッド全体の体積及び重量を低減することができ、収容空間を節約でき、携帯に便利な工具ヘッドを案出した。本発明の工具ヘッドは、包装コスト及びコスト全体を有効に低減し、市場における受容性を有効に高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】実用新案登録第3078309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、従来の工具ヘッドと比較して体積及び重量を低減し、収容空間を節約することができ、携帯に便利な工具ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の課題を解決するために、本発明の工具ヘッドは、2つの実施形態を有する。第1実施形態の工具ヘッドは、駆動端及び装着端を有する。駆動端と装着端との間は、ネック部によって互いに接続される。装着端の両側には、側部位が設けられ、側部位間には、当接部がそれぞれ形成される。当接部は、接続工具の六角孔の2つの対向する対応面全体に当接することができる。
【0019】
また、当接部には、側部位の方向に第2当接部が延伸される。第2当接部は、接続工具の六角孔の他の2つの対応面上の一部に当接することができ、これにより、当接効果が高められる。
【0020】
本発明の第2実施形態の工具ヘッドは、駆動端及び装着端を有する。駆動端と装着端との間は、ネック部によって互いに接続される。装着端の両側には、側部位が設けられ、側部位間には、第3当接部がそれぞれ形成される。第3当接部は、接続工具の六角孔の2つの接続された対応面上の一部に当接することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の工具ヘッドは、当接部によって工具ヘッドの装着端を接続工具の六角孔の対応面上に直接当接することができるため、既存の接続工具を変更する必要がない。また、本発明の工具ヘッドは、体積を有効に大幅に低減することができるため、重量も低減することができ、利便性、実用性及び融通性を実現することができる。また、本発明の工具ヘッドは、軸心部位に中空の空間を形成する必要がないため、安定した構造を有する。また、本発明の工具ヘッドは、従来の工具ボックスに収容する際、使用体積を低減することができないが、重量を大幅に低減することができる。また、
図14に示すように、工具ボックスの収容空間を本発明の工具ヘッドの装着端に対応する対応形状に変更した場合、収容空間を大幅に節約することができる。また、工具ボックスの収容空間を節約することができるため、より多くの工具ヘッドを収容することができる。また、工具ヘッドの側部位の露出面積が最大となるため、識別のための設計を施すのに便利となり、加工を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来の工具ヘッド本体の構造を示す斜視図である。
【
図2】従来の工具ヘッドを接続スリーブに装着する状態を示す分解斜視図である。
【
図3】従来の工具ヘッド本体の構造を示す斜視図である。
【
図4】従来の工具ヘッド本体の構造を示す断面図である。
【
図5】従来の工具ヘッド本体を工具ボックスに収容する状態を示す分解斜視図である。
【
図6】従来の工具ヘッド本体を工具ボックスに収容する状態を示す分解斜視図である。
【
図8】従来の工具ヘッド本体を工具内の収容部位に収容する状態を示す斜視図である。
【
図9】従来の識別部位を有する工具ヘッド本体を示す斜視図である。
【
図10】従来の識別部位を有する工具ヘッド本体を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第1実施形態による工具ヘッドを示す斜視図である。
【
図12】
図11の工具ヘッドを接続スリーブに装着した状態を示す斜視図である。
【
図14】本発明による工具ボックスと従来の工具ボックスとの比較を示す平面図である。
【
図15】本発明による工具ボックスと従来の工具ボックスとの比較を示す平面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態による第2当接部を有する工具ヘッドを示す斜視図である。
【
図17】
図16に示す工具ヘッドを接続スリーブに装着した状態を示す断面図である。
【
図18】本発明の第2実施形態による工具ヘッドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
図11〜
図13を参照する。
図11〜
図13に示すように、本発明の第1実施形態による工具ヘッド20は、駆動端21及び装着端22を有する。駆動端21と装着端22との間は、ネック部23によって互いに接続される。装着端22の両側には、側部位221,222が設けられ、側部位221,222間には、当接部223,224がそれぞれ形成される。当接部223,224は、接続工具30の六角孔31の2つの対向する対応面32全体に当接することができる。
【0024】
本発明を使用する際、工具ヘッド20の側部位221,222の当接部223,224を接続工具30の六角孔31の対応面32全体に当接することができる。これにより、装着端22が十分な強度を有する上、工具ヘッド20の体積を低減することができる(即ち、
図13に示すように、工具ヘッド20の装着端22と接続工具30の六角孔31との間の空間部位35分の体積を低減することができる)。また、以下(1)〜(7)に示す効果を実現することができる。
【0025】
(1):本発明の工具ヘッド20の装着端22は、当接部223,224によって工具ヘッド20の装着端22を接続工具30の六角孔31の対応面32上に直接当接することができるため、既存の接続工具30を変更する必要がない。
【0026】
(2):本発明の工具ヘッド20は、体積を有効に大幅に低減することができるため、重量も大幅に低減することができ、利便性、実用性及び融通性を実現することができる。
【0027】
(3):本発明の工具ヘッド20は、軸心部位に中空の空間を形成する必要がないため、安定した構造を有する。
【0028】
(4):本発明の工具ヘッド20は、従来の工具ボックスに収容する際、工具ボックスの体積を低減することができないが、重量を大幅に低減することができる。
【0029】
(5):
図14に示すように、工具ボックス50の収容空間を本発明の工具ヘッド20の装着端22に対応する対応形状51に変更した場合、収容空間を大幅に節約することができる。
【0030】
(6):工具ボックス50の収容空間を節約することができるため、より多くの工具ヘッド20を収容することができる。
【0031】
(7):工具ヘッド20の側部位221,222の露出面積が最大となるため、識別のための設計を施すのに便利となり、加工を容易にすることができる。
【0032】
図16及び
図17を参照する。
図16及び
図17に示すように、本発明の特徴として、本発明の工具ヘッド20を使用する際、大きなトルクが必要とされる場合(例えば航空動力機械に使用)、本発明の工具ヘッド20の当接部223,224には、側部位221,222の方向に第2当接部225,226を設けることができる。第2当接部225,226は、接続工具30の六角孔31の他の2つの対応面33,34上の一部に当接することができる。即ち、第2当接部225,226が対応面33,34に当接されることにより、構造強度をさらに高めることができる。ここで、低減される体積は少ないが、重量を低減することができる。また、従来の接続スリーブなどの接続工具を変更する必要がない。
【0033】
(第2実施形態)
図18を参照する。
図18に示すように、本発明の第2実施形態の工具ヘッド40は、駆動端41及び装着端42を有する。駆動端41と装着端42との間は、ネック部43によって互いに接続される。装着端42の両側には、側部位421,422が設けられ、側部位421,422間には、第3当接部423,424がそれぞれ形成される。第3当接部423,424は、接続工具30の六角孔31の2つの接続された対応面33,34上の一部に当接することができる。
【0034】
本発明の第2実施形態による構造によっても、第1実施形態と同一の効果を実現することができ、工具ヘッド本体10の体積を低減することができる。ここで、低減される体積は少ないが、重量を低減することができ、従来の接続スリーブなどの接続工具を変更する必要がない。
【0035】
上述の説明は、本発明の技術特徴を示す好適な実施形態を説明したものである。当業者は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において変更および修飾を行うことができ、これらの変更および修飾は、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
10 工具ヘッド本体
101 空間
11 駆動端
12 装着端
13 ネック部
14 ねじ
141 ヘッド部
142 溝孔
15 グリップ
151 接続スリーブ
161 工具ボックス
162 工具ボックス
163 収容空間
164 収容空間
17 手工具
171 内部空間
172 収容部位
18 工具ヘッド本体
19 工具ヘッド本体
181 識別部位
191 識別部位
20 工具ヘッド
21 駆動端
22 装着端
221 側部位
222 側部位
223 当接部
224 当接部
225 第2当接部
226 第2当接部
23 ネック部
30 接続工具
31 六角孔
32 対応面
33 対応面
34 対応面
35 空間部位
40 工具ヘッド
41 駆動端
42 装着端
43 ネック部
421 側部位
422 側部位
423 第3当接部
424 第3当接部
50 工具ボックス
51 対応形状