特開2016-221669(P2016-221669A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221669(P2016-221669A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】六角レンチの構造
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/54 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   B25B13/54 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-97756(P2016-97756)
(22)【出願日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】20 2015 102685.4
(32)【優先日】2015年5月26日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】20 2015 105650.8
(32)【優先日】2015年10月23日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516144083
【氏名又は名称】陳昭炯
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳昭炯
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ボルトの内側六角穴における擦過円状化が効果的に防止される六角レンチ
【解決手段】工具ロッド本体に少なくとも1の作業端が設けられ、当該作業端の各横断面が六角形状をなしており、第1横断面が作業端の端部付近に位置し、第2横断面が作業端の基部付近に位置する六角レンチの構造であって、当該第1横断面の内接円の直径は当該第2横断面の内接円の直径よりも小さいことから、当該作業端は錐状体をなしており、当該第1横断面と当該第2横断面は第1角度θ1のずれをなしていることから、当該第1横断面における6つの角の先端と当該第2横断面における6つの角の先端を接続することで、捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する6本の嵌止曲線が形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ロッド本体に少なくとも1の作業端が設けられ、当該作業端の各横断面が六角形状をなしており、第1横断面が当該作業端の端部付近に位置し、第2横断面が当該作業端の基部付近に位置する六角レンチの構造であって、
当該第1横断面の内接円の直径L1は当該第2横断面の内接円の直径L2よりも小さいことから、当該作業端は当該第1横断面と当該第2横断面の間で錐状体をなしており、当該第1横断面と当該第2横断面は第1角度θ1のずれをなしていることから、当該第1横断面における6つの角の先端と当該第2横断面における6つの角の先端を接続することで、捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する6本の嵌止曲線が形成されている六角レンチの構造。
【請求項2】
当該工具ロッド本体はL型をなしており、当該工具ロッド本体の両端にそれぞれ第1作業端と第2作業端が設けられている請求項1記載の六角レンチの構造。
【請求項3】
当該作業端における第1横断面の内接円の直径L1は、当該第2横断面の内接円の直径L2の0.8〜0.95倍である請求項1記載の六角レンチの構造。
【請求項4】
当該第1横断面と当該第2横断面のずれをなす第1角度θ1は10°〜30°である請求項1記載の六角レンチの構造。
【請求項5】
当該第1角度θ1が正の値である場合、当該嵌止曲線は左方向に捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する請求項4記載の六角レンチの構造。
【請求項6】
当該第1角度θ1が負の値である場合、当該嵌止曲線は右方向に捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する請求項4記載の六角レンチの構造。
【請求項7】
当該作業端は当該第1横断面よりも先端に第3横断面を備える請求項1記載の六角レンチの構造。
【請求項8】
当該第3横断面の内接円の直径L3は当該第1横断面の内接円の直径L1と同じであることから、当該第1作業端は第1横断面と第3横断面の間で柱状体をなしている請求項7記載の六角レンチの構造。
【請求項9】
当該第3横断面と当該第1横断面は同一角度であるため、当該第1横断面における6つの角の先端と当該第3横断面における6つの角の先端を接続することで、6本のまっすぐ平行な直線が形成されている請求項7記載の六角レンチの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ボルトの内側六角穴における擦過円状化を効果的に防止可能だけでなく、内側六角穴が擦過円状化したボルトであっても弛緩による取り外しが可能な六角レンチの構造を提供する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照して、従来の六角レンチ10は、主として内側六角穴111を有するボルト11の着脱に供される。当該六角レンチ10は、工具ロッド本体101に少なくとも1つの作業端102が設けられている。当該作業端102の各横断面はいずれも六角形状であり、どの横断面も同一寸法且つ同一角度とされる。そして、当該作業端102をボルト11の内側六角穴111に嵌合させることで、当該ボルト11が着脱される。図2を参照して、当該作業端102をボルト11の内側六角穴111に嵌合させる場合、理論上は、当該作業端102における6つの角の先端103すべてが内側六角穴111における6つの角の先端112に嵌止して係接するはずである。しかし、六角レンチ10の作業端102には成型時に寸法誤差が生じることがあり、ボルト11の内側六角穴111にも成型時に寸法誤差が生じることがある。よって、当該作業端102をボルト11の内側六角穴111に嵌合させると、双方の間に度合いの異なる隙間が介在する場合がある。この隙間の介在により、実際には作業端102における6つの角の先端103が内側六角穴111における6つの辺表面113に嵌止して係接することになり、当該嵌止及び係接によってボルト11が回転する。一般的に、当該作業端102はボルト11の内側六角穴111よりも硬度が高い。よって、長期間使用しているうちに、当該内側六角穴111の6つの辺表面113が作業端102における6つの角の先端103に擦過されて、当該内側六角穴111が円状化することがよくある(図3に示す)。当該内側六角穴111が擦過円状化すると、通常の六角レンチでは当該ボルト11を着脱できない。即ち、当該ボルト11の内側六角穴111が擦過円状化しやすいのは、主として六角レンチにおける作業端102との間に度合いの異なる隙間が介在するためである。また、当該隙間が大きいほど擦過円状化は発生しやすくなる。
【0003】
現在、工具業界では、擦過円状化したボルトを対象として、弛緩による取り外しを可能とする専用の六角レンチが設計されているにすぎず、正常なボルトが擦過円状化しないよう保護するために上述の隙間を解消可能な六角レンチは設計されていない。図4図5を参照して、当該弛緩による取り外しを可能とする専用の六角レンチの場合、工具ロッド本体20に作業端201が設けられており、当該作業端201の対角方向に切欠き溝202が設けられている。また、当該作業端201の片側には、ねじ当接部材21が挿入されるねじ孔203が開設されている。擦過円状化したボルト22を取り外す際には、当該ねじ当接部材21を切欠き溝202の片側に挿入して当接させることで、作業端201を切欠き溝202の両側から相対的に外側へ押し広げる。これにより、当該作業端201の外形は不規則な六角形状となる。外側に拡張した作業端201を用い、擦過円状化した内側六角穴221の辺表面を押圧すると、作業端201が内側六角穴221の辺表面上で空転することが防止されて、ボルト22が弛緩により取り外される。ただし、当該六角レンチは、正常なボルトが擦過円状化しないよう保護することはできない。更に、ボルトによって擦過円状化の度合いが異なるため、擦過円状化の度合いに応じて当該作業端201の適切な外側拡張距離を調整しなければ、作業端201を内側六角穴221における擦過円状化した辺表面に当接させることはできない。即ち、擦過円状化した各種ボルトについては、ねじ当接部材21を調整しなければ弛緩によるボルトの取り外しは不可能であり、使用上かなり面倒であった。
【0004】
また、図6を参照して、特許文献1の特許案件「HEX WRENCH HAVING GREATER STRENGTH」を示す。当該六角レンチ30は、把持部31及び作業部32を含む。当該把持部31及び作業部32の先端には、嵌合部311,321がそれぞれ設けられている。当該嵌合部311,321の軸線は六角レンチの中心軸と平行状とされる。また、嵌合部311,321から把持部31及び作業部32に向かって延伸する軸線312,322は、六角レンチの中心軸と非平行状に設けられており、スパイラル状とされる。使用者が、六角レンチ30の嵌合部311(321)をボルトの内側六角穴に嵌合させて当該ボルトを取り外し又は締め付ける際や、作用力を受けた際に発生する捻りせん断応力に対しては、六角レンチ30の把持部31及び作業部32における軸線312,322が六角レンチの中心軸と非平行(スパイラル)状に設けられていることから、六角レンチ30の強度は強化されている。即ち、硬度及び靭性が強化されており、トルク値が維持されることから、既存の強度が達成されて、六角レンチ30の使用時における割れや断裂の発生を低減可能となる。ただし、当該特許の目的は六角レンチ30の強度を強化することであって、当該六角レンチ30でもやはり嵌合部311,321をボルトの内側六角穴に嵌合させることになる。よって、当該六角レンチ30の嵌合部311,321の場合にも、ボルトの内側六角穴が擦過円状化するとの状況は容易に発生する。且つ、当該六角レンチ30の嵌合部311,321でも、擦過円状化したボルトを弛緩させて取り外すことは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9,061,401号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、工具ロッド本体に少なくとも1の作業端が設けられ、当該作業端の各横断面が六角形状をなし、第1横断面が作業端の端部付近に位置し、第2横断面が作業端の基部付近に位置する六角レンチの構造を提供することを第1の目的とする。当該第1横断面の内接円の直径は当該第2横断面の内接円の直径よりも小さいことから、当該作業端は錐状体をなしており、当該第1横断面と当該第2横断面は第1角度のずれをなしていることから、当該第1横断面における6つの角の先端と当該第2横断面における6つの角の先端を接続することで、捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する6本の嵌止曲線が形成されている。これにより、当該作業端をボルトの内側六角穴に嵌合させる際には、当該錐状体の作業端を用いることで自ずと異なる嵌合深さとなるため、各ボルトにおける内側六角穴との度合いの異なる隙間が解消されるとともに、作業端における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線がしっかりと内側六角穴の6つの辺表面に嵌止して係接可能となる。よって、ボルトの内側六角穴における擦過円状化が効果的に防止され、ボルト保護との効果が達成される。
【0007】
本発明は、ボルトにおける擦過円状化した内側六角穴に当該作業端を嵌合させる場合に、当該錐状体の作業端を用いて、捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線を擦過円状化した内側六角穴の6つの辺表面にしっかりと嵌止して係接させることで、ボルトを弛緩により取り外しやすくする六角レンチの構造を提供することを第2の目的とする。
【0008】
本発明は、ボルトごとに擦過円状化の度合いが異なる内側六角穴について、当該錐状体の作業端を用い、自動的に異なる嵌合深さとなるように、捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線を擦過円状化した内側六角穴の6つの辺表面にしっかりと嵌止して係接させることで、ボルトを弛緩により取り外しやすくし、使用における利便性向上との効果を達成する六角レンチの構造を提供することを第3の目的とする。
【0009】
本発明は、当該作業端をボルトにおける正常な、或いは擦過円状化した内側六角穴に嵌合させる際に、当該作業端における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線を内側六角穴の6つの辺表面にしっかりと嵌止して係接させ、且つ、当該捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線が作業端の捻じり強度を強化するだけでなく、更に当該作業端を自動的に当該内側六角穴内に嵌入させることで、ボルトの回動による着脱をいっそう容易とする六角レンチの構造を提供することを第4の目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、従来の六角レンチとボルトを示す図である。
図2図2は、従来の六角レンチの作業端とボルトにおける内側六角穴を嵌合させた場合を示す図である。
図3図3は、従来のボルトにおける内側六角穴の擦過円状化を示す図である。
図4図4は、従来の専用六角レンチを示す図である。
図5図5は、図4の専用六角レンチによって擦過円状化したボルトを取り外す場合を示す図である。
図6図6は、特許文献1の特許案件における六角レンチを示す図である。
図7図7は、本発明の六角レンチの外観を示す図である。
図8図8は、本発明の六角レンチの正面図である。
図9図9は、図8のA−A断面図である。
図10図10は、図8のB−B断面図である。
図11図11は、本発明における六角レンチの作業端の底面図である。
図12図12は、本発明の六角レンチを正常なボルトの着脱に使用した場合を示す図である。
図13図13は、本発明の六角レンチを正常なボルトの着脱に使用した場合を示す断面図である。
図14図14は、本発明の六角レンチを擦過円状化したボルトの取り外しに使用した場合を示す図である。
図15図15は、本発明の六角レンチを擦過円状化したボルトの取り外しに使用した場合を示す断面図である。
図16図16は、本発明の他の実施例における六角レンチの外観を示す図である。
図17図17は、本発明の他の実施例における六角レンチの正面図である。
図18図18は、図17のC−C断面図である。
図19図19は、図17のD−D断面図である。
図20図20は、図17のE−E断面図である。
図21図21は、本発明の他の実施例における六角レンチを正常なボルトの着脱に使用した場合を示す図である。
図22図22は、本発明の他の実施例における六角レンチを正常なボルトの着脱に使用した場合を示す断面図である。
図23図23は、本発明の他の実施例における六角レンチを擦過円状化したボルトの取り外しに使用した場合を示す図である。
図24図24は、本発明の他の実施例における六角レンチを擦過円状化したボルトの取り外しに使用した場合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図7図8図9図10図11を参照して、本発明の六角レンチ40は、工具ロッド本体41に少なくとも1の作業端が設けられている。本実施例において、当該工具ロッド本体41はL型とされ、当該工具ロッド本体41の両端にそれぞれ第1作業端42及び第2作業端43が備えられる。第1作業端42を例にすると、当該第1作業端42の各横断面は六角形状をなしており、第1横断面421が当該第1作業端42の端部付近に、第2横断面422が当該第1作業端42の基部付近に位置する。このうち、当該第1横断面421の内接円の直径L1は当該第2横断面422の内接円の直径L2よりも小さいことから、当該第1作業端42は第1横断面421と当該第2横断面422の間で錐状体をなしている。なお、当該第1横断面421の内接円の直径L1は、当該第2横断面422の内接円の直径L2の0.8〜0.95倍である。また、当該第1横断面421と当該第2横断面422は第1角度θ1のずれをなしているため、当該第1横断面421における6つの角の先端と当該第2横断面422における6つの角の先端を接続することで、捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する6本の嵌止曲線423が形成されている。当該第1角度θ1は10°〜30°であり、当該第1角度θ1が正の値の場合には、当該嵌止曲線423は左方向に捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する。当該第1角度θ1が負の値の場合には、当該嵌止曲線423は右方向に捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する。本実施例において、当該第1角度θ1は正の値であり、当該嵌止曲線423は左方向に捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸している。
【0012】
図12図13を参照して、本発明の六角レンチ40を正常なボルト50の着脱に用いる場合には、当該第1作業端42をボルト50の内側六角穴51に嵌合させる。当該第1作業端42は錐状体をなしているため、内側六角穴51に嵌合する際には、第1作業端42における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線423が、内側六角穴51の6つの辺表面511に嵌止して係接する。且つ、嵌合時には自ずと異なる嵌合深さとなることから、各ボルトにおける内側六角穴との度合いの異なる隙間が解消されるとともに、第1作業端42における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線423がしっかりと内側六角穴51の6つの辺表面511に嵌止して係接可能となる。これにより、ボルト50の内側六角穴51における擦過円状化が効果的に防止され、ボルトの保護効果が達成される。このほか、当該捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線423は、第1作業端42の捻じり強度を強化するだけでなく、更に第1作業端42を自動的に当該内側六角穴51内に嵌入させられるため、ボルト50の回動による着脱がより容易となる。
【0013】
図14図15を参照して、本発明の六角レンチ40を擦過円状化したボルト60の取り外しに用いる場合には、当該第1作業端42をボルト60の擦過円状化した内側六角穴61に嵌合させる。当該第1作業端42は錐状体をなしているため、擦過円状化した内側六角穴61に嵌合する際には、第1作業端42における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線423が、擦過円状化した内側六角穴61の6つの辺表面611に嵌止して係接する。且つ、ボルトごとに擦過円状化の度合いが異なる内側六角穴に対しても、嵌合時には自ずと異なる嵌合深さとなるため、第1作業端42における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線423が、内側六角穴61における6つの辺表面611にしっかりと嵌止して係接する。よって、擦過円状化したボルト60を弛緩により取り外しやすくなり、使用における利便性向上との効果が達成される。このほか、当該捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線423は、第1作業端42の捻じり強度を強化するだけでなく、更に第1作業端42を自動的に当該内側六角穴61内に嵌入させられるため、擦過円状化したボルト60の回動による取り外しがより容易となる。
【0014】
図16図17図18図19図20を参照して、本発明の他の実施例における六角レンチ70は、工具ロッド本体71に少なくとも1の作業端が設けられている。本実施例において、当該工具ロッド本体71はL型とされ、当該工具ロッド本体71の両端にそれぞれ第1作業端72及び第2作業端73が備えられる。第1作業端72を例にすると、当該第1作業端72の各横断面は六角形状をなしており、第1横断面721が当該第1作業端72の端部付近に、第2横断面722が当該第1作業端72の基部付近に、第3横断面723が当該第1横断面721よりも先端に位置する。このうち、当該第1横断面721の内接円の直径L1は当該第2横断面722の内接円の直径L2よりも小さいことから、当該第1作業端72は第1横断面721と当該第2横断面722の間で錐状体をなしている。また、当該第1横断面721の内接円の直径L1は第3横断面723の内接円の直径L3と同じであることから、当該第1作業端72は第1横断面721と第3横断面723の間で柱状体をなしている。なお、当該第1横断面721の内接円の直径L1は、当該第2横断面722の内接円の直径L2の0.8〜0.95倍である。また、当該第1横断面721と当該第2横断面722は第1角度θ1のずれをなしているため、当該第1横断面721における6つの角の先端と当該第2横断面722における6つの角の先端を接続することで、捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する6本の嵌止曲線724が形成されている。当該第1角度θ1は10°〜30°であり、当該第1角度θ1が正の値の場合には、当該嵌止曲線724は左方向に捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する。当該第1角度θ1が負の値の場合には、当該嵌止曲線724は右方向に捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する。本実施例において、当該第1角度θ1は正の値であり、当該嵌止曲線724は左方向に捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸している。また、当該第1横断面721と当該第3横断面723は同一角度であるため、当該第1横断面721における6つの角の先端と当該第3横断面723における6つの角の先端を接続することで、6本のまっすぐ平行な直線725が形成されている。
【0015】
図21図22を参照して、本発明の六角レンチ70を正常なボルト50の着脱に用いる場合には、当該第1作業端72をボルト50の内側六角穴51に嵌合させる。当該第1作業端72は第1横断面721と第2横断面722の間で錐状体をなしているため、内側六角穴51に嵌合する際には、第1作業端72における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線724が、内側六角穴51の6つの辺表面511に嵌止して係接する。且つ、嵌合時には自ずと異なる嵌合深さとなることから、各ボルトにおける内側六角穴との度合いの異なる隙間が解消されるとともに、第1作業端72における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線724がしっかりと内側六角穴51の6つの辺表面511に嵌止して係接可能となる。これにより、ボルト50の内側六角穴51における擦過円状化が効果的に防止され、ボルト保護との効果が達成される。このほか、当該捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線724は、第1作業端72の捻じり強度を強化するだけでなく、更に第1作業端72を自動的に当該内側六角穴51内に嵌入させられるため、ボルト50の回動による着脱がより容易となる。
【0016】
図23図24を参照して、本発明の六角レンチ70を擦過円状化したボルト60の取り外しに用いる場合には、当該第1作業端72をボルト60の擦過円状化した内側六角穴61に嵌合させる。当該第1作業端72は第1横断面721と第2横断面722の間で錐状体をなしているため、擦過円状化した内側六角穴61に嵌合する際には、第1作業端72における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線724が、擦過円状化した内側六角穴61の6つの辺表面611に嵌止して係接する。且つ、ボルトごとに擦過円状化の度合いが異なる内側六角穴に対しても、嵌合時には自ずと異なる嵌合深さとなるため、第1作業端72における捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線724が、内側六角穴61における6つの辺表面611にしっかりと嵌止して係接する。よって、擦過円状化したボルト60を弛緩により取り外しやすくなり、使用における利便性向上との効果が達成される。このほか、当該捻じれつつ基部に向かって拡大しながら延伸する各嵌止曲線724は、第1作業端72の捻じり強度を強化するだけでなく、更に第1作業端72を自動的に当該内側六角穴61内に嵌入させられるため、当該擦過円状化したボルト60の回動による取り外しがより容易となる。
【0017】
以上より、本発明は実用性と進歩性を真に備えた設計であり、同様の製品及び刊行物の開示はまだないことから、実用新案の出願要件を満たしている。よって、法に基づき出願する。
【符号の説明】
【0018】
10 六角レンチ
101 工具ロッド本体
102 作業端
103 角の先端
11 ボルト
111 内側六角穴
112 角の先端
113 辺表面
20 工具ロッド本体
201 作業端
202 切欠き溝
203 ねじ孔
21 ねじ当接部材
22 ボルト
221 内側六角穴
30 六角レンチ
31 把持部
311 嵌合部
312 軸線
32 作業部
321 嵌合部
322 軸線
40 六角レンチ
41 工具ロッド本体
42 第1作業端
421 第1横断面
422 第2横断面
423 嵌止曲線
43 第2作業端
50 ボルト
51 内側六角穴
511 辺表面
60 ボルト
61 内側六角穴
611 辺表面
70 六角レンチ
71 工具ロッド本体
72 第1作業端
721 第1横断面
722 第2横断面
723 第3横断面
724 嵌止曲線
725 直線
73 第2作業端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24