(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221693(P2016-221693A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】配線基板および液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-107297(P2015-107297)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井利 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 遼
(72)【発明者】
【氏名】井戸川 和弘
(72)【発明者】
【氏名】村岡 千秋
(72)【発明者】
【氏名】安間 弘雅
(72)【発明者】
【氏名】岩野 卓也
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AG90
2C057AN01
2C057AR14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い信頼性をもって接着することができる配線基板、および、それを備えた液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】配線パターン23Aは、接続端子26から電極端子34の配列方向と直交する方向に延在する部分(第1の部分)を含み、さらに配線パターン23Aは、その第1の部分から屈曲して延在する第2の部分を含み、その第2の部分は、配線抵抗を抑えるために、所定幅の他の配線より幅広となっている。その幅広の部分は、電極端子34の配列方向と平行な右方向に延在してから、図中の下方に延在する。その幅広の部分は、その幅方向において複数の部分23A−1,23A−2に分割され、それらの部分の間にスリットS1が形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って配列された複数の接続端子と、前記複数の接続端子のそれぞれに接続される複数の配線パターンと、が形成され、前記複数の配線パターンが形成された面が接着剤によって支持部材に接着される配線基板であって、
前記複数の配線パターンのそれぞれは、前記接続端子から前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する第1の部分と、前記第1の部分から屈曲して延在する第2の部分と、を含み、
前記複数の配線パターンの少なくとも1つにおける前記第2の部分は、その幅方向において複数に分割されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記複数の配線パターンは、前記第2の部分が所定幅の第1の配線パターンと、前記第2の部分が前記所定幅よりも大きい第2の配線パターンと、を含み、
前記第2の配線パターンの前記第2の部分が幅方向において複数に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記複数に分割される第2の部分は、少なくとも2つの前記配線パターンのそれぞれにおける前記第1の部分が束ねられる共通の幅広の部分であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記複数に分割される第2の部分は、前記配線基板における接着面内に位置することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記複数に分割される第2の部分は、前記第1の方向における前記複数の接続端子の配列範囲内に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれ1項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記複数に分割される第2の部分は、当該第2の部分の長さ方向に延在するスリットを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記スリットは、前記第2の部分の長さ方向において複数に分離されていることを特徴とする請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記第2の方向は、前記第1の方向と直交する方向であり、
前記第2の部分は、前記第1の部分から前記第1の方向に屈曲して延在することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項9】
前記複数の接続端子は、前記配線基板の縁部に沿って配列されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項10】
前記配線基板は、フレキシブル配線基板であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項11】
液体を吐出可能な液体吐出素子を備えた液体吐出ヘッドであって、
請求項1から10のいずれかに記載の配線基板と、
前記配線基板の複数の接続端子に接続される複数の電極端子を含む素子基板と、
を含むことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品との接続用の端子を複数備えた配線基板、および、その配線基板を備えた液体吐出ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、この種の配線基板として、インクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)の記録素子基板に接続されるフレキシブルの配線基板が記載されている。この配線基板は、記録素子基板を支持する支持基板上に接着され、これらの記録素子基板および支持基板と共に記録ヘッドに組み付けられる。このような配線基板には、記録素子基板の複数の電極のそれぞれに接続される複数の内側端子と、記録装置の本体側の回路に接続される複数の外側端子と、互いに対応する内側端子と外側端子との間を接続する配線パターンと、が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−72042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線基板は、配線パターン上に位置する絶縁層を介して、接着剤によって支持基板に接着される。その絶縁層の表面は配線パターンの形状に応じて僅かに起伏し、接着剤は、このように起伏する絶縁層の表面と、支持基板の表面と、を接着することになる。そのため、配線基板を支持基板に接着する際に、配線パターンが存在する領域に塗布された接着剤は、配線パターンが存在しない領域に塗布された接着剤に対して、接着剤を保持する配線基板と支持基板との間の空間が狭くなる。その結果、前者の接着剤は、配線パターンが存在しない領域へと押し広げられる傾向を有する。また、それらの接着領域における接着剤の流動抵抗が絶縁層の起伏形状に応じて変化し、接着剤が不均一に広がるおそれがある。その結果、例えば、接着剤が広がりやすい接着領域からは、接着剤が外部に漏れ出すおそれがあり、接着剤が広がりにくい接着領域においては、接着不良が生じるおそれがある。特許文献1においては、このような接着剤の不均一な広がりについて考慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、高い信頼性をもって接着することができる配線基板、および、それを備えた液体吐出ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の配線基板は、第1の方向に沿って配列された複数の接続端子と、前記複数の接続端子のそれぞれに接続される複数の配線パターンと、が形成され、前記複数の配線パターンが形成された面が接着剤によって支持部材に接着される配線基板であって、前記複数の配線パターンのそれぞれは、前記接続端子から前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する第1の部分と、前記第1の部分から屈曲して延在する第2の部分と、を含み、前記複数の配線パターンの少なくとも1つにおける前記第2の部分は、その幅方向において複数に分割されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配線パターンに複数に分割した部分を形成することにより、配線パターンの幅を均一化して、配線パターンにより押し広げられる接着剤を配線パターンのない領域で保持することにより、接着剤を均一に広げることができる。この結果、接着剤の漏れ出しおよび接着不良の発生を抑えて、配線基板を高い信頼性をもって接着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明を適用可能な記録ヘッドの分解斜視図である。
【
図2】
図1における記録素子基板の一部切り欠きの拡大斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態における配線基板の説明図である。
【
図5】
図4の配線基板の具体的な構成例の説明図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態における配線基板の説明図である。
【
図8】
図7の配線基板の具体的な構成例の説明図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態における配線基板の説明図である。
【
図10】本発明の第4の実施形態における配線基板の説明図である。
【
図11】本発明の第5の実施形態における配線基板の説明図である。
【
図12】
図1の記録ヘッドを装着可能な記録装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
本実施形態における配線基板は、インクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)10に備わるフレキシブル配線基板20としての適用例である。まず、
図1から
図3に基づいて、本実施形態の基本構成について説明する。
【0011】
(基本構成について)
図1は、インク(液体)を吐出可能な液体吐出ヘッドとしてのインクジェット記録ヘッド10の分解斜視図であり、そのヘッド本体11には、不図示のインクタンクが着脱可能に装着される。ヘッド本体11には、配線基板20と記録素子基板30が取り付けられた支持部材40が組み付けられる。
図2は、記録素子基板30の斜視図である。
【0012】
記録素子基板30は、インクを吐出可能な複数の記録素子(液体吐出素子)が備えられている。記録素子は、電気熱変換素子(ヒータ)やピエゾ素子などの吐出エネルギー発生素子を用いて、吐出口32からインクを吐出するように構成されている。電気熱変換素子を用いた場合には、その発熱によりインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することができる。本例においては、吐出エネルギー発生素子として電気熱変換素子31が用いられている。インクタンク内のインクは、ヘッド本体11内の不図示の流路、および記録素子基板30におけるシリコン基板33のインク流路33Aを通して、記録素子に供給される。吐出口32は、吐出口列を形成するように配列されている。シリコン基板33には、電気熱変換素子31に電気的に接続される電極端子(バンプ)34が設けられている。
【0013】
図3は、配線基板20の概略構成図である。本例の配線基板20は、ポリイミドなどのベースフィルム21上にベースフィルム用接着剤22の層が形成され、その層の上に、配線パターン23が形成されている。さらに、カバーフィルム用接着剤24によってカバーフィルム(絶縁層)25が接着されることにより、配線パターン23がカバーフィルム(絶縁層)25によって覆われている。そのため、カバーフィルム25の表面は、配線パターン23に形状に応じて僅かに起伏する。本例の場合、その起伏の高さHは約10から20μm程度である。
【0014】
配線基板20には、記録素子基板30を組み込むための開口部(デバイスホール)20Aが形成され、その開口部20Aにおける縁部には、記録素子基板30の電極端子34に接続される内側の接続端子26が設けられている。本例の接続端子26は、記録素子基板30の複数の電極端子34と対向するように、開口部20Aにおける
図3(a)中の上限の縁部に沿って配備されている。また配線基板20には、記録装置の本体側との間において信号を授受するための外側の接続端子27が設けられている。これらの接続端子26と接続端子27は、配線パターン23によって接続されている。配線パターン23は、比較的微小な電流が流れる信号ラインを形成するパターンと、電気熱変換素子31を駆動するための比較的大きな電流が流れる電源ラインおよびグランドラインを形成するパターンと、を含む。配線基板20における接続端子26と接続端子27は、これらの配線パターン23に対応する端子、つまり、比較的微少な電流が流れる端子と、比較的大きな電流が流れる端子と、を含む。配線基板20における接続端子26、および、それに対応する電気熱変換素子31の電極端子34の数は、数十から数百であり、それぞれ約100から500μmピッチで配列されている。
【0015】
記録素子基板30は、支持部材40に対して位置精度良く接着固定される。その接着に用いられる接着剤は支持部材40上に塗布される。配線基板20も同様に、接着剤によって支持部材40に接着固定される。その接着剤は、配線基板20における僅かな起伏形状のカバーフィルム25の表面と、支持部材40の表面と、を接着する。記録素子基板30と配線基板20は、電極端子34と接続端子26とが平面的に接続できるように支持部材40に接着される。配線基板20に記録素子基板30を接続してから、それら支持部材40に接着してもよい。支持部材40は、記録素子基板30を固定する部分と、配線基板20を固定する部分と、が別部材によって構成されてもよく、一体化されていてもよい。また支持部材40は、ヘッド本体11と一体化されていてもよい。
【0016】
配線基板20および記録素子基板30は、支持部材40と共に、ヘッド本体11に取り付けられることにより記録ヘッド10に組み込まれる。例えば、配線基板20および記録素子基板30が接着固定された支持部材40は、接着等によってヘッド本体11に取り付けられる。配線基板20は、
図1のように折り曲げられて、その接続端子27が記録装置の本体側の不図示の接続端と接続可能な位置に位置決めされる。
【0017】
本例の記録ヘッド10は、
図12のようなシリアルスキャン方式のインクジェット記録装置100のキャリッジ101に装着可能である。記録ヘッド10をキャリッジ101に装着することにより、記録ヘッド10側の配線基板20の接続端子27と、キャリッジ101側の不図示の接続端子と、が電気的に接続される。記録装置100の不図示の制御部は、これらの接続端子を通して、記録ヘッド10に制御信号および駆動電流を供給することによって記録ヘッド10を制御する。キャリッジ101は、ガイド軸102によって矢印Xの主走査方向に移動可能にガイドされている。記録ヘッド10は、ベルト103などを備えた移動機構によって、キャリッジ101と共に主走査方向に移動される。トレイ104上に積載された不図示の記録媒体は、搬送ローラなどを備えた搬送機構によって主走査方向と交差(本例の場合は、直交)する矢印Yの副走査方向に搬送される。記録ヘッド10が主走査方向に移動しつつインクを吐出する動作と、記録媒体を副走査方向に搬送する動作と、を繰り返すことによって、記録媒体上に画像が記録される。
【0018】
(特徴的な構成について)
図4は、本実施形態における特徴的な構成を説明するための要部の拡大図である。
図4は、配線基板20における代表的な1つの接続端子26Aと、それに対応する配線パターン23Aを透視した図であり、配線パターン23は、実際には、配線基板20における同図中の紙面の裏側に形成されている。
【0019】
配線パターン23Aは、接続端子26Aから電極端子34の配列方向(
図4中の左右方向;第1の方向)と交差(本例の場合は、直交)する第2の方向(
図4中の上方)に延在する部分(第1の部分)を含む。さらに配線パターン23は、その第1の部分から屈曲して延在する第2の部分を含み、その第2の部分は、配線抵抗を抑えるために、所定幅の他の配線パターンよりも幅広となっている。本例の場合、その幅広の第2の部分は、電極端子34の配列方向と平行な右方に延在してから、図中の下方に延在する。その幅広の部分は、その幅方向において2つの部分23A−1,23A−2に分割されており、それらの部分の間にスリットS1が形成されている。スリットS1は、電極端子34と接続端子26の接続範囲A内に位置するように形成されている。本例の場合、接続範囲A内は、電極端子34の配列範囲内に相当する。また、スリットS1は、配線基板20を支持部材40に接着するための接着剤が付与される面内、つまり接着面内に位置する。
【0020】
前述したように、支持部材40に接着される配線基板20のカバーフィルム25の表面は、配線パターン23に形状に応じて僅かに起伏する。そのため、配線基板20と支持部材40とを接着剤によって接着する際に、接着剤は、配線パターン23が存在する領域のカバーフィルム25と、配線パターン23が存在しない領域のカバーフィルム25と、に塗布されることになる。前者の領域に塗布された接着剤を保持する配線基板20と支持部材40との間に空間は、後者の領域に塗布された接着剤を保持する配線基板20と支持部材40との間に空間よりも狭くなる。そのため、前者の領域に塗布された接着剤は、後者の領域へと押し広げられる傾向を有する。また、カバーフィルム25の表面の起伏形状に応じて接着剤の流動抵抗が生じる。
【0021】
本実施形態においては、配線パターンの幅広の部分にスリットを形成することにより、配線基板20と支持部材40とを接着剤によって接着する際に、その接着剤を均一に広がらせることができる。
図5は、接着剤の広がりを説明するための図であり、複数の配線パターン23の中には、
図4の配線パターン23Aのように、幅広の部分にスリットS1が形成されたものが複数含まれている。
図5は、
図4におけるV円部の拡大図に相当する。配線基板20と支持部材40との接着時には、
図5中の矢印のように、同図中の上方から下方に向かってラインL1のように接着剤が広がる。ラインL1は、広がった接着剤の先端部分の位置であり、接着剤の広がりの範囲に対応する。配線パターンの幅広の部分にスリットを形成することにより、配線パターンの幅を均一化することができる。この結果、配線パターン23Aにより押し広げられる接着剤をスリットS1で保持することができる。また、
図5中の上方から下方に向かう接着剤の広がり方向における流動抵抗を均一化して、ラインL1のように接着剤を均一に広げることができる。例えば、配線パターンの幅広部分を複数の部分に分離して、それらの間に約50μmの幅のスリットを形成することにより、配線パターンの幅、および配線パターン間の間隔を約50μmとすることができる。
【0022】
このように接着剤を均一に広げることにより、接着剤が広がりやすい接着領域から接着剤が外部に漏れ出すおそれもなく、また接着剤が広がりにくい接着領域において接着不良が生じるおそれもない。したがって、高い信頼性をもって配線基板20を接着することができる。
【0023】
図6は、比較例を説明するための図である。この比較例における配線パターン23Aには、接続範囲A内において幅広の部分にスリットが形成されていない。また、この比較例においては、配線パターン23Aを含む複数の配線パターンが1つに束ねられて、幅広の共通部分が形成されている。
図6における複数の配線パターン23の中には、配線パターン23Aのように幅広の部分にスリットが形成されていないものが複数含まれている。配線パターンの幅広部分においては、支持部材40との間に接着剤を保持する空間が狭くなるため、他の部分へ接着剤が押し広げられる。また、他の部分よりも接着剤の流動抵抗が小さくなるため、接着剤が容易に押し広げられることとなり、
図6中のラインL2のように接着剤の広がりが不均一となる。そのため、接着剤が外部に漏れ出たり、部分的な接着不良が生じるおそれがある。
【0024】
(第2の実施形態)
本実施形態においては、第1の実施形態における配線パターン23Aの幅広の部分に、2つのスリットS1−1,S1−2が形成されている。すなわち、その幅広の部分において分割された部分23A−1,23A−2に、それらの部分を接続する接続部分23A−3が形成されることにより、第1の実施形態におけるスリットS1が2つに分けられている。スリットS1は、2以上に分けてもよい。
【0025】
図8は、接着剤の広がりを説明するための図であり、複数の配線パターン23の中には、
図7の配線パターン23Aのように、幅広の部分にスリットS1−1、S1−2が形成されたものが複数含まれている。
図8は、
図7におけるVII円部の拡大図に相当する。本実施形態においても第1の実施形態と同様に、配線パターンの幅を均一化して、
図8中のラインL1のように接着剤を均一に広げることができる。
【0026】
(第3の実施形態)
本実施形態においては、
図9のように、記録素子基板30の一側縁に沿って複数の電極端子34が配列されている。
図9は、記録素子基板30における代表的な3つの電極端子34に対応する配線パターン23A,23B,23Cを透視した図であり、それらの配線パターンは、実際には、配線基板20における同図中の紙面の裏側に形成されている。
【0027】
配線パターン23A,23B,23Cは、配線抵抗を抑えるために電極端子34から離れた位置において束ねられて、共通の幅広の配線パターン23(1)を形成している。つまり、配線パターン23A,23B,23Cは、幅広の配線パターン23(1)から分割されることにより、それらの幅が他の配線パターンと同様に均一化されている。本実施形態においても前述した実施形態と同様に、配線パターンの幅を均一化して、接着剤を均一に広げることができる。
【0028】
(第4の実施形態)
図10は、本実施形態における代表的な配線パターンを透視した図であり、それらの配線パターンは、実際には、配線基板20における同図中の紙面の裏側に形成されている。
【0029】
電極端子34A,34Bに接続される接続端子26A,26Bに対応する配線パターン23A,23Bは、接続端子26A,26Bから離れた位置において、配線抵抗を抑えるために互いに束ねられている。配線パターン23A,23Bは、電極端子34と接続端子26の接続範囲Aの外の位置においてが束ねられる。そのため接続範囲A内においては、配線パターン23A,23Bの間にスリットS2が形成される。本例の場合、接続範囲Aは、電極端子34の配列範囲に相当する。配線パターン23(2)は、これらの配線パターン23A,23Bを束ねることによって形成される幅広の共通の配線パターンである。同様に、電極端子34C,34Cに接続される接続端子26C,26Dに対応する配線パターン23C,23Dは、互いに束ねられて配線パターン23(3)を形成する。
【0030】
本実施形態においても前述した実施形態と同様に、配線パターンの幅を均一化して、接着剤を均一に広げることができる。
【0031】
(第5の実施形態)
本実施形態においては、
図11のように、接続範囲A内に位置する共通の幅広の配線パターン23(2)内に、スリットS3が形成されている。すなわち、配線パターン23(2)は、その幅方向において2つの部分に分割され、それらの部分の間にスリットS3が形成されている。つまりスリットS3は、配線パターン23A,23Bの接続部分Pと、配線パターン23(2)の2分割された部分と、の間に形成されている。このスリットS3により、配線パターンの幅が均一化される。この結果、前述した実施形態と同様に、接着剤を均一に広げることができる。
【0032】
(他の実施形態)
本発明は、記録ヘッド用の配線基板のみに限定されず、種々の電気部品に接続される配線基板として広く適用することができる。また記録ヘッドは、種々のインクの他、液体を吐出する液体吐出ヘッドを構成するものであってもよい。このような液体吐出ヘッドは、液体を吐出することに種々の処理を実行する液体吐出装置に備えることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
20 配線基板
23 配線パターン
30 記録素子基板(素子基板)
34 バンプ(電極端子)
40 支持部材