特開2016-221704(P2016-221704A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221704(P2016-221704A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】情報記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20161205BHJP
   G11B 5/72 20060101ALI20161205BHJP
   B42D 25/328 20140101ALI20161205BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20161205BHJP
   C08F 220/20 20060101ALI20161205BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B32B27/30 A
   G11B5/72
   B42D15/10 328
   C08F220/18
   C08F220/20
   C08J7/04 KCER
   C08J7/04CEZ
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-107596(P2015-107596)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 陽美
【テーマコード(参考)】
2C005
4F006
4F100
4J100
5D006
【Fターム(参考)】
2C005HA03
2C005HA10
2C005HB02
2C005JA09
2C005JA17
2C005JA18
2C005JA23
2C005JB02
2C005JB06
2C005JB08
2C005KA02
2C005KA07
2C005KA40
4F006AA02
4F006AA12
4F006AA15
4F006AA19
4F006AA20
4F006AA22
4F006AA35
4F006AA38
4F006AB24
4F006BA02
4F006CA01
4F006EA03
4F100AH02
4F100AK25A
4F100AL01A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CC00
4F100EH46
4F100EJ54
4F100GB90
4F100JB14A
4F100JL11
4F100JN01
4F100YY00A
4J100AL03P
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL62P
4J100AL63P
4J100BA08P
4J100BA08Q
4J100BC37P
4J100BC43P
4J100BC52Q
4J100BC75P
4J100DA62
4J100FA03
4J100FA18
4J100JA01
5D006AA01
5D006DA01
5D006FA01
(57)【要約】
【課題】透明性、耐傷性と樹脂基材密着性に優れた保護層を最表面に設けた情報記録媒体を提供する。
【解決手段】情報記録媒体10は、基材11上に、ポリロタキサン含有アクリル樹脂を主成分とする保護層12を設けたものである。ポリロタキサン含有アクリル樹脂は、(A)分子中に(メタ)アクリル基を有する1種類あるいは2種類以上の光重合性(メタ)アクリル系モノマーと、(B)分子中に(メタ)アクリル基を有する環状分子と、環状分子を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、直鎖状分子の両末端に配置され、環状分子の脱離を防止する封止基とを有するポリロタキサン化合物との共重合体からなり、光重合性(メタ)アクリル系モノマーの(メタ)アクリル基数と、ポリロタキサン化合物の(メタ)アクリル基数との比(A)/(B)が、95/5〜50/50である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリロタキサン含有アクリル樹脂を主成分とする保護層を設けた情報記録媒体であって、
前記ポリロタキサン含有アクリル樹脂が、下記(A)及び(B)の共重合体であり、
(A)分子中に(メタ)アクリル基を有する1種類あるいは2種類以上の光重合性(メタ)アクリル系モノマー;
(B)分子中に(メタ)アクリル基を有する環状分子と、前記環状分子を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、前記直鎖状分子の両末端に配置され、前記環状分子の脱離を防止する封止基とを有するポリロタキサン化合物;
前記光重合性(メタ)アクリル系モノマーの(メタ)アクリル基数と、前記ポリロタキサン化合物の(メタ)アクリル基数との比(A)/(B)が、50/50〜95/5であることを特徴とする、情報記録媒体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性、耐傷性と樹脂基材密着性に優れた保護層を最表面に設けた情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パスポート、査証/ビザなどの冊子またはカードなどの個人認証媒体には、個人を特定する顔画像や指紋などの画像情報や、その個人の姓名、生年月日などの個人情報を記録している。これらの記録された情報の視認性と認証性を維持するために、最表面に保護層を設けている(特許文献1参照)。さらに、これら情報の不正利用や偽造を防止するために、ホログラムや回折格子などのOVD(Optical Variable Device)貼付や、情報自体の特殊インキ印刷や回折格子での印字などが施されている(特許文献2、3参照)。
【0003】
特に、磁気カードやICカードなどの情報記録媒体の最表面は、長期間の使用や保管の過程で生じる傷を防止するために高硬度の保護層が設けられている。しかしながら、高硬度の保護層は、変形に追従する伸度が不足するため、カード使用時の曲げ変形でクラックが発生したり、極端な場合、保護層が剥離したりするという問題が生じてしまう。
【0004】
また、ホログラムや回折格子などのOVDにも高硬度の保護層を設けたり、特殊インキに高硬度な材料を用いたりする。
【0005】
保護層に求められる特性として、情報の視認と認証を妨げない透明性と、偽造や改ざんを防止し、その真正さを証明するために外部からの物理的および化学的な損傷に対して高い耐性を有していることが求められる。
【0006】
一般的に、カードなどの媒体表裏面に使用する保護層には硬い樹脂を用いる。このような樹脂の場合、耐摩擦性が劣るため、多量の滑材を添加し、耐摩擦性を確保する試みが行われている(特許文献4参照)。しかし、滑材成分が析出すると、ATM等のカードリーダー内部を汚染し、カード情報の読み取りエラーや搬送不良などの問題を引き起こす。更に、外観上も白濁したような曇りが生じ、記録した情報の視認性低下やOVDの偽造防止効果を損なう。
【0007】
最近では、滑材を多用せず、耐摩擦性を得るために紫外線硬化樹脂を用いる。しかし、紫外線硬化樹脂は他の材料との密着性が悪いという欠点も有している。
【0008】
そのため、耐傷性材料が嘱望され、近年、硬度向上による傷防止から、軽度の傷を自己修復する材料が注目されている。自己修復材料とは、自身の弾性回復範囲の変形を自己修復できるもので、熱硬化タイプと光硬化タイプの2種類に大別される(特許文献5、6参照)。
【0009】
熱硬化タイプの自己修復材料は、修復性には優れるものの、油性マジックや指紋などの汚れが付着しやすく、汚染に弱いことが問題となっていた。また、紫外線硬化タイプは耐汚染性があるが、弾性回復範囲が狭く、傷の修復性が劣ることが問題であった。このように物理的および化学的な損傷に対する高い耐性を併せ持つものはなかった。
【0010】
また、熱硬化タイプや紫外線硬化タイプの自己修復材料は、化学結合による架橋構造を有しており、過剰な負荷がかかると架橋構造が物理的に切断されてしまう。しかし、近年、トポロジカルな構造を有する化合物を用いた物理架橋構造が注目されている。この物理架橋構造は負荷を分散して架橋構造を保ち、負荷が解除されると元の状態に戻ることができる。このような構造を持つ材料としては、特にポリロタキサンが用いられている。ポリロタキサンとは、直鎖状分子が環状分子を貫通した化合物である。この環状分子間をポリマー等で結合することで、物理架橋構造を形成することができる。他分子と結合して架橋構造を形成しているのは、環状分子であるため、環状分子を貫通している直鎖状分子は架橋構造に関与していない。そのため、負荷が架橋点にかかると、環状分子を貫通している直鎖状分子が動き、負荷力を分散し、架橋構造を保つことが可能になる。このような物理架橋構造が奏する効果を滑車効果といい、環状分子が動くという意味で、環動分子とも呼ばれている。(非特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4655325号公報
【特許文献2】特許第3136790号公報
【特許文献3】特許第3988458号公報
【特許文献4】特開2010−72744号公報
【特許文献5】特許第3926461号公報
【特許文献6】特許第3676260号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Kohzo Ito、Novel entropic elasticity of polymeric materials、Polymer Journal、日本、社団法人高分子学会、(2012) 44、p.38-41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来の技術の問題点に鑑みてなされた発明であり、透明性、耐傷性と樹脂基材密着性に優れた保護層を最表面に設けた情報記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ポリロタキサン含有アクリル樹脂を主成分とする保護層を設けた情報記録媒体に関するものである。ポリロタキサン含有アクリル樹脂が、下記(A)及び(B)の共重合体であり、
(A)分子中に(メタ)アクリル基を有する1種類あるいは2種類以上の光重合性(メタ)アクリル系モノマー;
(B)分子中に(メタ)アクリル基を有する環状分子と、環状分子を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、直鎖状分子の両末端に配置され、環状分子の脱離を防止する封止基とを有するポリロタキサン化合物;
光重合性(メタ)アクリル系モノマーの(メタ)アクリル基数と、ポリロタキサン化合物の(メタ)アクリル基数との比(A)/(B)が、50/50〜95/5である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透明性、耐傷性と樹脂基材密着性に優れた保護層を最表面に設けた情報記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一態様に係る情報記録媒体の概略断面図である。
図2】本発明の一態様に係る情報記録媒体の概略断面図である。
図3】本発明の一態様に係る情報記録媒体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(全体構成)
図1は、本実施形態の情報記録媒体の概略構成を示す図であり、情報記録媒体を側方から見た断面図である。図1中に示すように、情報記録媒体10は、基材11と、基材11に一方面に積層された保護層12とを備える。
【0019】
図2は、本実施形態の情報記録媒体の概略構成を示す図であり、情報記録媒体を側方から見た断面図である。図2中に示すように、情報記録媒体20は、基材21と、基材21の一方面に積層された保護層22と、基材21の他方面に積層された裏面層23とを備える。
【0020】
図3は、本実施形態の情報記録媒体の概略構成を示す図であり、情報記録媒体を側方から見た断面図である。図3中に示すように、情報記録媒体30は、基材31、32、33と、基材1の表面に印字した個人情報層36と、基材33の表面に設けられたホログラム層37と、基材31及び個人情報層36を覆う保護層34と、基材33及びホログラム層37を覆う裏面層35とを備える。
【0021】
基材の材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66の脂肪族系ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミドなどの芳香族ポリアミドなど)、ビニル系樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリC2−10オレフィン系樹脂など)、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体)、セロファンなどが例示できる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0022】
(基材)
基材は、主に、複数のシート基材を熱融着する熱ラミネート法、または、射出成形により作製される。基材の厚みは100〜1000μmが一般的であるが、ISOやJIS規格で規定されているものが多い。尚、図1及び2に示した基材は射出成形により作製した例であり、図3に示した基材は熱ラミネート法により作製した例である。
【0023】
熱ラミネート法で基材を作製する場合は、単一の樹脂で成形された単層シートや複数の樹脂を用いた単層又は積層シートを用いることができる。また、これらの樹脂を他の基材(金属、木材、紙、セラミックスなど)に積層した積層シートを用いてもよい。シートの厚みは10〜1000μmが一般的であるが、20〜800μmが好ましい。
【0024】
射出成形で基材を作製する場合も、単一の樹脂や複数の樹脂を用いることができる。
【0025】
(保護層)
保護層は、ポリロタキサン含有アクリル樹脂を主成分とする樹脂材料により形成したものである。ポリロタキサン含有アクリル樹脂は、(A)光重合性(メタ)アクリル系モノマーと(B)ポリロタキサン化合物からなる。
【0026】
(A)光重合性(メタ)アクリル系モノマーは、分子中に(メタ)アクリル基を有する1種類あるいは2種類以上の光重合性(メタ)アクリル系モノマーである。
【0027】
分子中に(メタ)アクリル基を有する光重合性(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定なく公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0028】
(B)ポリロタキサン化合物は、分子中に(メタ)アクリル基を有する環状分子と、その環状分子を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、直鎖状分子の両末端に配置された環状分子の脱離を防止する封止基を有するポリロタキサン化合物である。このポリロタキサン化合物は、分子中に水酸基を有する環状分子と直鎖状分子から得たポリロタキサンに、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートを反応させ、分子中に(メタ)アクリル基を導入して得る。
【0029】
分子中に水酸基を有する環状分子は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチル−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン類、クラウンエーテル類などがある。なかでも、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン類が好ましい。また、環状分子の有する反応性水酸基は、−NH基や−NCO基との反応性を有することが好ましい。また、これらのシクロデキストリンの水酸基の少なくとも一つが他の有機基(疎水基)によって置換された修飾デキストリン類は、その溶剤への溶解性が向上するため、さらに好ましく用いられる。疎水基の具体例として、例えばアルキル基、ベンジル基、ベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基、光硬化部位としてアルキル置換エチレン性不飽和基、熱硬化部位としてアルキル置換エポキシ基などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、上記の疎水性修飾ポリロタキサンにおいては、上述の疎水基の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて有していてもよい。更に機能層が反射防止機能を付与されている場合には、疎水基がフッ素化合物(置換されていてもよいフッ化アルキル基など)で形成されていることが好ましい。
【0030】
直鎖状分子としては、ポリエチレングリコール、ポリピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリロビニルアセタール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリシロキサンなどがある。なかでもポリエチレングリコールが好ましい。直鎖状分子の分子量は1,000,000以下が好ましく、更には、10,000〜30,000がより好ましい。
【0031】
直鎖状分子の末端の封止基は、環状分子が直鎖状分子から脱離することを防ぐ役割をするため、嵩高い構造を有していることが必要である。そのため、ジニトロフェニル基、ピレン基、アダマンタン基、シクロデキストリン類がある。なかでも、アダマンタン基がより好ましい。
【0032】
上記した光重合性(メタ)アクリル系モノマーと、光重合性ポリロタキサン化合物と光重合開始剤を有機溶媒中で相溶させて、保護層塗布液を調整する。この塗布液を基材上に塗布乾燥後、紫外線硬化させることで、保護層を形成できる。(A)光重合性(メタ)アクリル系モノマーと、(B)光重合性ポリロタキサン化合物とは、(メタ)アクリル基数の比(A)/(B)が50/50〜95/5となるように混合する。(メタ)アクリル基数の比(A)/(B)が95/5より大きいと、保護層の膜表面硬度が高くなり、耐傷性が低くなってしまい、一方、(A)/(B)が50/50より低い場合は透明性と基材密着性が低下し、保護層としての機能を発揮できなくなる。
【0033】
有機溶媒としては、例えば、炭化水素系、ケトン系、エーテル系、エステル系などの各種溶媒を使用できる。
【0034】
ラジカル系光重合開始剤としては、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類。2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステルなどのアシルフォスフィン酸エステル類。αヒドロキシ、α,α’ジメチル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ2−2プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2メチル1,4−(メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン1,フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、4−ジフェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどのアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合部などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
保護層の膜厚は、通常0.2〜50.0μmの範囲、好ましくは1.0〜20.0μmの範囲である。膜厚が0.2μm未満であると、保護層の弾性回復範囲が狭くなり、傷の自己修復機能が低くなるなどの問題が生じる。一方、膜厚が50.0μmより厚いと、保護層の下部に設けた情報を機械で読み取る場合に読み取りエラーなどの問題が生じる。
【0036】
保護層塗布液の塗布方法としては一般的な湿式コーティング方法を用いることができ、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、スクリーン印刷、スプレーコートなどである。これらの湿式コーティング方法を用いて、基材の片面に塗布する。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射など、公知の乾燥法で乾燥することが可能である。さらに、紫外線硬化は、一般的な紫外線照射装置を用いることができる。
【実施例】
【0037】
以下に、具体的な実施例について記す。実施例及び比較例に使用した光重合性(メタ)アクリル系モノマーは、ポリエチレングリコールジアクリレート(東洋ケミカルズ製:Miramer M284)、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成製:アロニックスM−309)である。また、ポリロタキサン化合物は、修飾ポリロタキサン(アドバンストソフトマテリアル社製:セルムスーパーポリマーSM3405P、SA3405P)である。保護層塗布液の構成材料および配合比等を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
(A)光重合性(メタ)アクリル系モノマーの(メタ)アクリル基数と、(B)光重合性ポリロタキサン化合物の(メタ)アクリル基数との比(A)/(B)は、次の通りである。
実施例1・・・95/5
実施例2・・・70/30
実施例3・・・80/20
比較例1・・・100/0(ポリロタキサン化合物を含有せず)
比較例2・・・30/70
比較例3・・・15/85
【0040】
表1に示したように、実施例1ではモノマーM284とポリロタキサンSM3405Pを配合比A/B=95/5で、実施例2ではモノマーM−309とポリロタキサンSA3405Pを配合比70/30で、実施例3ではモノマー(M284+M−309)とポリロタキサン(SM3405P+SA3405P)を配合比80/20で混合し、塗布液を調整した。
【0041】
次に比較例について説明する。比較例1ではポリロタキサンを含まないモノマーM284のみで塗布液を調整した。実施例2はモノマーM−309とポリロタキサンSA3405Pを配合比A/B=30/70で、実施例3はモノマー(M284+M−309)とポリロタキサン(SM3405P+SA3405P)を配合比A/B=15/85で混合し、塗布液を調整した。
【0042】
保護層塗布液をロールコータで印刷後、オーブンで乾燥し、紫外線照射装置で紫外線を照射して光反応させ、基材上に保護層を設けた。上記のようにして情報記録媒体を得た。
【0043】
上記で作製した情報記録媒体の透明性と傷の修復性を以下の方法で評価した。
【0044】
透明性は、紫外可視分光光度計(日本分光製V-750)で透過率を測定した。傷の修復性については、スクラッチ試験機を用いて、真鍮製ブラシを荷重0.2〜10gfで10往復させてスクラッチ傷を付けた。その後、スクラッチした情報記録媒体の表面を光学顕微鏡による顕微観察と、AFMによる傷深さ測定で評価した。基材密着性は、JISZ5600を参考にクロスカット法によるセロハンテープ剥離により評価した。評価結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表2から分かるように、(A)光重合性(メタ)アクリル系モノマーと、(B)光重合性ポリロタキサン化合物の(メタ)アクリル基数の比(A)/(B)が50/50〜95/5となるように混合した実施例1〜3では、透明性、傷修復性と基材密着性がいずれも良好な結果を示し、保護層としての機能を発揮できる。一方、(メタ)アクリル基数の比(A)/(B)が95/5より大きい比較例1では、透明性と基材密着性は良好であるが、傷修復性で劣る結果である。また、(A)/(B)が50/50より低い場合、傷修復性は良好であるが、透明性と基材密着性が低下し、保護層としての機能を発揮できなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、基材上に保護層を設けた情報記録媒体に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
10・・・情報記録媒体
11・・・基材
12・・・保護層
20・・・情報記録媒体
21・・・基材
22・・・保護層
23・・・裏面層
30・・・情報記録媒体
31、32、33・・・コア基材
34・・・保護層
35・・・裏面層
36・・・印字した個人情報
37・・・ホログラム
図1
図2
図3