【解決手段】発泡成形体の製造装置20は、複数の成形型21の間に、複数の成形型21それぞれのキャビティ面22によって画成されるキャビティ23を備え、キャビティ面22に突出部28が形成された発泡成形体の製造装置20であって、突出部28は、弾性体により形成されるとともに、突出部28のうちの一部分または複数部分には、突出部28のうちの他の部分よりも薄肉の薄肉部29が形成されている。
複数の成形型の間に、前記複数の成形型それぞれのキャビティ面によって画成されるキャビティを備え、前記キャビティ面に突出部が形成された発泡成形体の製造装置であって、
前記突出部は、弾性体により形成されるとともに、前記突出部のうちの一部分または複数部分には、前記突出部のうちの他の部分よりも薄肉の薄肉部が形成されていることを特徴とする発泡成形体の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の発泡成形体の製造装置では、キャビティ内で発泡成形体を成形した後に複数の成形型を型開きし、発泡成形体をキャビティ面から脱型させるときに、発泡成形体を脱型させ易くすることについて改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、発泡成形体を脱型させ易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る発泡成形体の製造装置は、複数の成形型の間に、前記複数の成形型それぞれのキャビティ面によって画成されるキャビティを備え、前記キャビティ面に突出部が形成された発泡成形体の製造装置であって、前記突出部は、弾性体により形成されるとともに、前記突出部のうちの一部分または複数部分には、前記突出部のうちの他の部分よりも薄肉の薄肉部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この場合、突出部が、弾性体により形成されているので、キャビティ内で発泡成形体を成形した後に複数の成形型を型開きしたときに、発泡成形体をキャビティ面から、突出部を弾性変形させながら脱型させることができる。しかも、突出部のうちの一部分または複数部分に、薄肉部が形成されているので、突出部のうちの薄肉部を積極的に弾性変形させ、突出部を弾性変形させ易くすることができる。したがって、発泡成形体をキャビティ面から脱型させるときに、例えば突出部が発泡成形体に引っかかるのを抑えること等が可能になり、発泡成形体に損傷が生じるのを抑えつつ、発泡成形体をキャビティ面から脱型させ易くすることができる。
また前述のように、発泡成形体をキャビティ面から、突出部を弾性変形させながら脱型させることができるので、発泡成形体の脱型時に、突出部に過度な負荷がかかるのを抑えることが可能になり、突出部の全体を薄肉に形成することができる。これにより、例えば突出部によって発泡成形体にスリット部を形成する場合、スリット部の薄さを自由度高く設定することができる。
【0008】
前記薄肉部は、前記突出部の基端部に配置されていてもよい。
【0009】
この場合、薄肉部が、突出部の基端部に配置されているので、発泡成形体をキャビティ面から脱型させるときに、薄肉部を弾性変形させることで、突出部の全体を、薄肉部を起点として大きく弾性変形させることができる。これにより、発泡成形体をキャビティ面から脱型させるときに、例えば突出部が発泡成形体に引っかかるのを一層抑えること等が可能になり、発泡成形体をキャビティ面からより脱型させ易くすることができる。
【0010】
前記複数の成形型として、上型および下型が備えられ、前記突出部は、前記下型の前記キャビティ面に形成され、前記下型から前記上型に向けて突出していてもよい。
【0011】
この場合、突出部が、下型のキャビティ面に形成され、下型から上型に向けて突出している。したがって、発泡成形体をキャビティ面から脱型させるときに、下型のキャビティ面上に配置された発泡成形体を、鉛直上側に向けて引き上げることで、発泡成形体をキャビティ面から脱型させることが可能になり、発泡成形体をキャビティ面からより脱型させ易くすることができる。
【0012】
前記発泡成形体は、一体に成形された第1発泡体および第2発泡体を備え、前記突出部は、前記キャビティを、前記第1発泡体を成形する第1キャビティと、前記第2発泡体を成形する第2キャビティと、に仕切り、前記突出部は、前記上型側に向かうに従い漸次、前記第1キャビティ側に向けて延びていてもよい。
【0013】
この場合、突出部が、上型側に向かうに従い漸次、第1キャビティ側に向けて延びている。したがって、下型のキャビティ面上に配置された発泡成形体を、鉛直上側に向けて引き上げるときに、発泡成形体のうちの第1発泡体に、突出部を鉛直方向に乗り越えさせることで、発泡成形体をキャビティ面から脱型させることができる。ここで第1発泡体が、第2発泡体よりも硬度が低い場合には、第1発泡体に突出部を鉛直方向に乗り越えさせるときに、例えば、第1発泡体を柔軟に変形させて第1発泡体に損傷が生じるのを抑えることができる。これにより、発泡成形体を精度良く形成することができる。
【0014】
前記突出部は、前記突出部の先端部に向けて漸次、薄肉または厚肉になっていてもよく、前記突出部は、湾曲していてもよい。
【0015】
これらの場合、突出部が多様な形状に形成されているので、突出部によって発泡成形体にスリット部を形成する場合、スリット部の形状を多様な形状から選択することができる。
なお突出部が、突出部の先端部に向けて漸次、薄肉になっている場合、突出部の先端部を積極的に弾性変形させることが可能になり、発泡成形体をキャビティ面からより脱型させ易くすることができる。
また突出部が、突出部の先端部に向けて漸次、厚肉になっている場合、突出部の基端部を積極的に弾性変形させて突出部の全体を大きく弾性変形させることが可能になり、発泡成形体をキャビティ面からより脱型させ易くすることができる。
さらに突出部が、湾曲している場合、突出部を、突出部の曲率が変化するように弾性変形させることが可能になり、発泡成形体をキャビティ面からより脱型させ易くすることができる。
【0016】
本発明に係る発泡成形体の製造方法は、前記発泡成形体の製造装置を用いて発泡成形体を形成する発泡成形体の製造方法であって、前記キャビティ内で前記発泡成形体を成形した後に前記複数の成形型を型開きし、前記発泡成形体を前記キャビティ面から、前記突出部を弾性変形させながら脱型させることを特徴とする。
【0017】
この場合、キャビティ内で発泡成形体を成形した後に複数の成形型を型開きし、発泡成形体をキャビティ面から、突出部を弾性変形させながら脱型させるので、発泡成形体をキャビティ面から脱型させ易くすることができる。
【0018】
本発明に係る発泡成形体の製造方法は、前記発泡成形体の製造方法により形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発泡成形体を脱型させ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシート用パッドの断面図である。
【
図2】
図1に示すシート用パッドを形成する金型の断面図である。
【
図3】
図2に示す金型を構成する突出部の拡大図である。
【
図4】
図1に示すシート用パッドを形成する金型の断面図であって、キャビティ内でシート用パッドを成形した状態を示す図である。
【
図5】
図3に示す突出部の取付け構造の第1例を示す拡大図である。
【
図6】
図3に示す突出部の取付け構造の第2例を示す拡大図である。
【
図7】
図3に示す突出部の取付け構造の第3例を示す拡大図である。
【
図8】
図3に示す突出部の取付け構造の第4例を示す拡大図である。
【
図9】本発明の第1変形例に係る金型の断面図であって、突出部の拡大図である。
【
図10】
図9に示す金型により形成されるシート用パッドの断面図であって、スリット部の拡大図である。
【
図11】本発明の第2変形例に係る金型の断面図であって、突出部の拡大図である。
【
図12】
図11に示す金型により形成されるシート用パッドの断面図であって、スリット部の拡大図である。
【
図13】本発明の第3変形例に係る金型の断面図であって、突出部の拡大図である。
【
図14】
図13に示す金型により形成されるシート用パッドの断面図であって、スリット部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るシート用パッド10を、
図1から
図4を参照して説明する。
図1に示すように、シート用パッド10は、発泡成形体により形成される。発泡成形体としては、樹脂材料を発泡させて成形した軟質の樹脂発泡成形体、例えば軟質ポリウレタンフォーム(軟質樹脂)等が挙げられる。
【0022】
シート用パッド10は、例えば自動車(車両)に取り付けられるシート(座席)に採用される。シート用パッド10には、シートに着座する乗員が当接する着座面11(載置面)が設けられている。本実施形態では、シート用パッド10として、クッションパッドを採用しており、シート用パッド10が自動車に取り付けられた状態で、着座面11は、鉛直方向の上側を向くとともに自動車の前後方向および左右方向に沿い、シート用パッド10には、乗員の荷重が上側から作用する。
【0023】
シート用パッド10は、偏平直方体状に形成されていて、シート用パッド10において着座面11に直交する方向は、シート用パッド10の厚さ方向Hになっている。
シート用パッド10は、互いに異なる材質で一体に成形された本体部12(第1発泡体)およびサイド部13(第2発泡体)を備えている。本体部12は、サイド部13よりも硬度が低い。サイド部13は、本体部12の外周縁に沿って形成され、本体部12を、着座面11に沿うシート幅方向B(第1横方向)の両側から挟み込んでいる。
【0024】
本体部12とサイド部13とは、吊溝14およびスリット部15により区画されている。吊溝14は、着座面11に沿いシート幅方向Bに直交する直交方向(一方向)に延びるとともに着座面11に開口していて、着座面11から厚さ方向Hに沿う反載置面側に向けて窪んでいる。
スリット部15は、吊溝14の底面に開口していて、底面から厚さ方向Hに沿う反載置面側に向けて窪んでいる。スリット部15は、シート幅方向Bに沿って当該シート用パッド10の外側から内側に向けて延びていて、シート幅方向Bの内側に向かうに従い漸次、厚さ方向Hに沿う反載置面側に向けて延びている。
【0025】
スリット部15におけるシート幅方向Bの外側の端部は、シート用パッド10の表面に開口していて、スリット部15におけるシート幅方向Bの内側の端部は、シート用パッド10の表面に非開口となっている。スリット部15におけるシート幅方向Bの外側の端部は、スリット部15のうちの他の部分に比べて細い。
【0026】
本体部12とサイド部13とは、吊溝14およびスリット部15と、スリット部15におけるシート幅方向Bの内側の端部からスリット部15に沿って延びる仮想線と、に沿って仕切られている。サイド部13は、本体部12におけるシート幅方向Bの両端部において、本体部12に対して、厚さ方向Hに沿う反載置面側に潜り込んでいる。
【0027】
このようなシート用パッド10によれば、着座面11上に乗員が着座したときに、スリット部15を厚さ方向Hに狭めるように、シート用パッド10を変形させることで、シート用パッド10から感じる硬さを抑えつつシート用パッド10を適度に撓ませることが可能になり、例えば着座時やコーナリング時などの座り心地性を向上させることができる。
【0028】
次に、前記シート用パッド10を形成する金型20(発泡成形体の製造装置)について、
図2から
図4を参照して説明する。
【0029】
図2から
図4に示すように、金型20は、複数の成形型21の間に、複数の成形型21それぞれのキャビティ面22によって画成されるキャビティ23を備えている。キャビティ23は、シート用パッド10と同等の形状でかつ同等の大きさに形成されている。本実施形態では、複数の成形型21として、上型24および下型25を備えている。下型25のキャビティ面22には、シート用パッド10の着座面11を形成する着座面形成部26(載置面形成部)が設けられている。複数の成形型21は、着座面形成部26に直交し鉛直方向に沿う厚さ方向H(複数の成形型の開閉方向)に開閉する。
【0030】
着座面形成部26には、溝形成部27および突出部28(スリット形成部)が形成されている。
溝形成部27は、吊溝14を形成する。溝形成部27は、着座面形成部26から上型24側に向けて突出している。溝形成部27は、着座面形成部26に沿うシート幅方向Bに間隔をあけて一対配置されている。一対の溝形成部27は、互いに同等の形状で同等の大きさに形成されている。
【0031】
突出部28は、弾性体により形成されていて、スリット部15を形成するとともに、本体部12とサイド部13との境界面を形成する。本実施形態では、突出部28は、例えば、PP(ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタラート)等により形成され、キャビティ23内に成形されるシート用パッド10から脱離容易に形成されている。
【0032】
突出部28は、キャビティ面22からキャビティ23内に突出している。突出部28は、下型25のキャビティ面22に形成され、下型25から上型24に向けて突出している。突出部28は、下型25のキャビティ面22のうち、着座面形成部26から突出していて、シート幅方向Bに沿って、キャビティ23の外側から内側に向けて延びている。突出部28は、厚さ方向Hに対して傾斜して延び、下型25から上型24に向かうに従い漸次、シート幅方向Bの内側に向けて延びている。
突出部28は、表裏面が厚さ方向Hを向く板状に形成されている。突出部28は、突出部28が形成されたキャビティ面22の平面視において、着座面形成部26に沿いシート幅方向Bに直交する直交方向(一方向)に沿って真直に延びている。
【0033】
溝形成部27および突出部28は、キャビティ23を、本体部12を成形する第1キャビティ23aと、サイド部13を成形する第2キャビティ23bと、に仕切る。第1キャビティ23aは、キャビティ23におけるシート幅方向Bの中央部分に区画され、第2キャビティ23bは、キャビティ23におけるシート幅方向Bの両側部分に区画される。突出部28は、上型24側に向かうに従い漸次、第1キャビティ23a側に向けて延びている。
【0034】
突出部28のうちの一部分または複数部分には、突出部28のうちの他の部分よりも薄肉の薄肉部29が形成されている。図示の例では、突出部28は、薄肉部29を除く部分の肉厚が同等となっていて、突出部28の一部分が限定して薄肉部29になっている。薄肉部29は、突出部28の基端部に配置されている。薄肉部29は、突出部28が、突出部28の肉厚方向(厚さ方向H)の両側から薄肉になることで形成されている。突出部28のうち、薄肉部29と他の部分とを接続する段部は、曲面状に形成されている。
【0035】
前記金型20を用いて前記シート用パッド10を形成するシート用パッドの製造方法(発泡成形体の製造方法)では、
図4に示すように、キャビティ23内でシート用パッド10を成形した後に複数の成形型21を型開きし、シート用パッド10をキャビティ面22から、突出部28を弾性変形させながら脱型させる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る金型20によれば、突出部28が、弾性体により形成されているので、キャビティ23内でシート用パッド10を成形した後に複数の成形型21を型開きしたときに、シート用パッド10をキャビティ面22から、突出部28を弾性変形させながら脱型させることができる。しかも、突出部28のうちの一部分または複数部分に、薄肉部29が形成されているので、突出部28のうちの薄肉部29を積極的に弾性変形させ、突出部28を弾性変形させ易くすることができる。
したがって、シート用パッド10をキャビティ面22から脱型させるときに、例えば突出部28がシート用パッド10に引っかかるのを抑えること等が可能になり、シート用パッド10に損傷が生じるのを抑えつつ、シート用パッド10をキャビティ面22から脱型させ易くすることができる。なお本実施形態では、突出部28の前記段部が曲面状に形成されることにより、シート用パッド10の脱型時における突出部28への引っかかりを効果的に抑えることができる。
【0037】
また前述のように、シート用パッド10をキャビティ面22から、突出部28を弾性変形させながら脱型させることができるので、シート用パッド10の脱型時に、突出部28に過度な負荷がかかるのを抑えることが可能になり、突出部28の全体を薄肉に形成することができる。したがって、本実施形態のように、例えば突出部28によってシート用パッド10にスリット部15を形成する場合、スリット部15の薄さを自由度高く設定することができる。これにより、例えば、スリット部15を薄く形成することで、スリット部15が形成されていることにより乗員が着座時に得る違和感を抑えること等ができる。
【0038】
また薄肉部29が、突出部28の基端部に配置されているので、シート用パッド10をキャビティ面22から脱型させるときに、薄肉部29を弾性変形させることで、突出部28の全体を、薄肉部29を起点として大きく弾性変形させることができる。これにより、シート用パッド10をキャビティ面22から脱型させるときに、例えば突出部28がシート用パッド10に引っかかるのを一層抑えること等が可能になり、シート用パッド10をキャビティ面22からより脱型させ易くすることができる。
【0039】
また突出部28が、下型25のキャビティ面22に形成され、下型25から上型24に向けて突出している。したがって、シート用パッド10をキャビティ面22から脱型させるときに、下型25のキャビティ面22上に配置されたシート用パッド10を、鉛直上側に向けて引き上げることで、シート用パッド10をキャビティ面22から脱型させることが可能になり、シート用パッド10をキャビティ面22からより脱型させ易くすることができる。
【0040】
さらに突出部28が、上型24側に向かうに従い漸次、第1キャビティ23a側に向けて延びている。したがって、下型25のキャビティ面22上に配置されたシート用パッド10を、鉛直上側に向けて引き上げるときに、シート用パッド10のうちの本体部12に、突出部28を鉛直方向に乗り越えさせることで、シート用パッド10をキャビティ面22から脱型させることができる。ここで本体部12が、サイド部13よりも硬度が低いので、本体部12に突出部28を鉛直方向に乗り越えさせるときに、例えば、本体部12を柔軟に変形させて本体部12に損傷が生じるのを抑えることができる。これにより、シート用パッド10を精度良く形成することができる。
【0041】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0042】
例えば、突出部28のキャビティ面22への取付け構造としては、
図5から
図8に示すような取付け構造100、110、120、130を採用することができる。
図5に示す取付け構造100の第1例では、突出部28の基端部から取付け体101が延長されていて、取付け体101が、溝形成部27に形成された取付け穴102内に嵌合されている。
図6に示す取付け構造110の第2例では、第1例の取付け構造に加えて、取付け体101が溝形成部27にボルト103を介して固定されている。ボルト103は、溝形成部27にシート幅方向Bに差し込まれて螺着されている。
図7に示す取付け構造120の第3例では、突出部28の基端部から取付け体101が延長されていて、取付け体101および溝形成部27の両方に、互いに磁着し合う磁石104が配置されている。
図8に示す取付け構造130の第4例では、突出部28および溝形成部27が一体に形成されていて、溝形成部27および下型25の両方に、互いに磁着し合う磁石104が配置されている。
なお突出部28は、キャビティ面22に着脱自在に取り付けることが可能である。
【0043】
また、金型20および金型20により形成されるシート用パッド10の変形例として、
図9から
図14に示す構成を採用することができる。
図9に示す第1変形例に係る金型30では、突出部28が、突出部28の先端部に向けて漸次、薄肉になっていて、薄肉部29が、突出部28の先端部に設けられている。これにより、
図10に示すように、スリット部15が、シート幅方向Bの外側から内側に向かうに従い漸次、厚さ方向Hに小さくなるシート用パッド31を形成することができる。
図11に示す第2変形例に係る金型40では、突出部28が、突出部28の先端部に向けて漸次、厚肉になっていて、薄肉部29が、突出部28の基端部に設けられている。これにより、
図12に示すように、スリット部15が、シート幅方向Bの外側から内側に向かうに従い漸次、厚さ方向Hに大きくなるシート用パッド41を形成することができる。
図13に示す第3変形例に係る金型50では、突出部28が、厚さ方向Hに凸となるように湾曲していて、薄肉部29が、突出部28の基端部に設けられている。これにより、
図14に示すように、スリット部15が、厚さ方向Hに凸となるように湾曲するシート用パッド51を形成することができる。
これらの場合、突出部28が多様な形状に形成されているので、突出部28によってシート用パッド31、41、51にスリット部15を形成する場合、スリット部15の形状を多様な形状から選択することができる。
なお突出部28が、突出部28の先端部に向けて漸次、薄肉になっている場合、突出部28の先端部を積極的に弾性変形させることが可能になり、シート用パッド31をキャビティ面22からより脱型させ易くすることができる。
また突出部28が、突出部28の先端部に向けて漸次、厚肉になっている場合、突出部28の基端部を積極的に弾性変形させて突出部28の全体を大きく弾性変形させることが可能になり、シート用パッド41をキャビティ面22からより脱型させ易くすることができる。
さらに突出部28が、湾曲している場合、突出部28を、突出部28の曲率が変化するように弾性変形させることが可能になり、シート用パッド51をキャビティ面22からより脱型させ易くすることができる。
なお突出部28は、厚さ方向Hに真直に延びていてもよい。また突出部28が上型24に設けられていてもよい。
【0044】
前記実施形態では、シート用パッド10、31、41、51は、異種材料により一体に形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、シート用パッド10、31、41、51を同一材料により一体に形成することも可能である。
【0045】
前記実施形態では、スリット部15は、シート用パッド10、31、41、51において、シート幅方向Bの両側に位置する部分に各別に設けられているが、本発明はこれに限られない。スリット部15が、シート幅方向Bの片側にのみ設けられていてもよい。スリット部15が、1つまたは複数設けられた他の形態に適宜変更することが可能である。
【0046】
金型20、30、40、50により形成されるシート用パッド10、31、41、51として、クッションパッドを採用したが、本発明はこれに限られない。例えば、シート用パッド10、31、41、51としてバックパッドを採用してもよく、室内用の椅子や寝具などのクッション材などの様々な用途のものを対象とすることが可能である。さらに、人が着座することに限らず、荷物等を載置する載置面を有するシート用パッド10、31、41、51であってもよい。さらにまた、シート用パッド10、31、41、51と異なる発泡成形体を形成する金型20、30、40、50であってもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。