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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221778(P2016-221778A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】発泡積層シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 7/00 20060101AFI20161205BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20161205BHJP
   D06N 7/04 20060101ALN20161205BHJP
【FI】
   B29D7/00
   B32B5/18
   D06N7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-109080(P2015-109080)
(22)【出願日】2015年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】塩田 歩
【テーマコード(参考)】
4F055
4F100
4F213
【Fターム(参考)】
4F055AA17
4F055BA10
4F055BA12
4F055CA05
4F055DA10
4F055EA02
4F055EA26
4F055FA01
4F055FA05
4F055FA06
4F055FA37
4F055FA38
4F055GA20
4F055GA26
4F100AK03B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100DG10A
4F100DJ01B
4F100DJ04B
4F100GB08
4F213AA03
4F213AB02
4F213AG03
4F213AG20
4F213AR06
4F213WA06
4F213WA18
4F213WA43
4F213WB02
(57)【要約】
【課題】 十分且つ迅速に架橋させることができると共に、表面に形成不良を生じ難い発泡積層シートの製造方法を提供する。
【解決手段】 紙基材3と該紙基材3上に形成される発泡樹脂層5aとを備える発泡積層シート1aの製造方法であって、発泡剤及びシラン架橋性樹脂層を含有する樹脂組成物層5に対し、樹脂組成物層5の温度が発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度となるように過熱水蒸気Vを供給する工程を含み、過熱水蒸気Vを供給する工程において、過熱水蒸気Vを15kg/時間以上且つ100kg/時間以下の噴霧蒸気量となるように樹脂組成物層5に対して供給することにより、樹脂組成物層5に含まれる前記シラン架橋性樹脂層を過熱水蒸気Vにより架橋し、架橋後の樹脂組成物層5を形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と該基材上に形成される発泡樹脂層とを備える発泡積層シートの製造方法であって、
発泡剤及びシラン架橋性樹脂層を含有する樹脂組成物層に対し、前記樹脂組成物層の温度が前記発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度となるように過熱水蒸気を供給する工程を含み、
前記過熱水蒸気を供給する工程において、前記過熱水蒸気を15kg/時間以上且つ100kg/時間以下の噴霧蒸気量となるように前記樹脂組成物層に対して供給することにより、前記樹脂組成物層に含まれる前記シラン架橋性樹脂層を前記過熱水蒸気により架橋し、架橋後の樹脂組成物層を形成することを特徴とする発泡積層シートの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂組成物層がポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡積層シートの製造方法。
【請求項3】
前記過熱水蒸気を供給する工程では、前記過熱水蒸気を前記樹脂組成物層の幅方向の略全体にわたって供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡積層シートの製造方法。
【請求項4】
前記過熱水蒸気を供給する工程では、前記樹脂組成物層に対して前記過熱水蒸気を直接噴霧することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の発泡積層シートの製造方法。
【請求項5】
前記架橋後の樹脂組成物層に含まれる発泡剤を加熱発泡させて前記樹脂組成物層から前記発泡樹脂層を得る工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の発泡積層シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡積層シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡壁紙に用いる発泡積層シートとして、従来から、紙基材上に塩化ビニル樹脂からなる発泡樹脂層を形成したものが知られている。しかしながら、近年、環境への配慮から、ハロゲンを含有しない樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む樹脂のようなオレフィン系樹脂等が発泡樹脂層に用いられるようになってきている。このような樹脂からなる発泡積層シートは、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含むエマルジョンにマイクロカプセル型発泡剤を添加した発泡樹脂組成物を紙基材に塗布して乾燥させた後、その表面に絵柄模様を印刷し、次いで加熱発泡させ、エンボス版により凹凸模様を形成することにより製造される。また、このような樹脂からなる発泡積層シートは、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に熱分解型発泡剤を添加した発泡樹脂組成物を、Tダイ押出機を用いて紙基材上に押し出し積層し、表面に絵柄模様を印刷し、次いで加熱発泡させ、エンボス版により凹凸模様を形成することにより製造されることもある。また、このような樹脂からなる発泡積層シートは、例えば、オレフィン系樹脂にガス発生型の発泡剤を添加した発泡樹脂組成物のシートに対し、架橋処理を施し、上記同様の工程を経ることにより製造されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−64406号公報
【特許文献2】特許第4537612号公報
【特許文献3】特許第5265326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、発泡積層シートにおける架橋処理として、シランカップリング反応を用いる水架橋処理が知られつつある。水架橋処理の方法としては、例えば、発泡積層シートを湿潤下で養生する方法、又は、発泡積層シートに対して温水を付与する方法がある。しかしながら、これらの方法では、架橋に時間がかかってしまい、発泡積層シートの生産性を高めることが難しいという問題がある。
【0005】
そこで、水架橋処理を行う方法として、例えば100℃を超える過熱水蒸気を用いる方法が考えられる。「過熱水蒸気」とは、飽和蒸気を更に加熱して飽和温度以上の蒸気温度を持たせた水蒸気である。過熱水蒸気を用いることにより、樹脂組成物層に対して熱と同時に水分を与えることができる。しかし、過熱水蒸気を用いる場合、上述した湿潤下で養生する方法等に比べれば架橋に要する時間が短縮されるものの、十分に架橋させるためには依然として時間がかかる。よって、十分且つ迅速に架橋させるため、更なる改善が望まれている。
【0006】
一方、十分且つ迅速に架橋させるためには、樹脂組成物層に供給する過熱水蒸気の温度を上げることが考えられる。しかし、過熱水蒸気の温度が高くなり過ぎると、樹脂組成物層に含まれる発泡剤の一部が高温となり架橋処理の段階で発泡し、架橋後の発泡処理によって生成される発泡積層シートの表面が荒れてしまうおそれがある。表面が荒れた発泡積層シートは、印刷に適さず、結果的に生産効率の著しい低下を招き、大量生産等の実情に見合わない。よって、単に過熱水蒸気の温度を上げるだけでは、生産性を高めることが難しい。
【0007】
以上のことから、従来は、十分且つ迅速に架橋させると、発泡積層シートの表面に形成不良を生じやすく、生産性を高めることが難しいという問題が生じていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、十分且つ迅速に架橋させることができると共に、表面に形成不良を生じ難い発泡積層シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る発泡積層シートの製造方法は、基材と該基材上に形成される発泡樹脂層とを備える発泡積層シートの製造方法であって、発泡剤及びシラン架橋性樹脂層を含有する樹脂組成物層に対し、樹脂組成物層の温度が発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度となるように過熱水蒸気を供給する工程を含み、過熱水蒸気を供給する工程において、過熱水蒸気を15kg/時間以上且つ100kg/時間以下の噴霧蒸気量となるように樹脂組成物層に対して供給することにより、樹脂組成物層に含まれるシラン架橋性樹脂層を過熱水蒸気により架橋し、架橋後の樹脂組成物層を形成することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る発泡積層シートの製造方法では、過熱水蒸気が15kg/時間以上且つ100kg/時間以下の噴霧蒸気量となるように樹脂組成物層に供給されることによって、樹脂組成物層に含まれるシラン架橋性樹脂層を十分且つ迅速に架橋させることができる。また、樹脂組成物層の温度が発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度となるように過熱水蒸気が供給されるため、架橋処理の際の過熱水蒸気の温度が高くなり過ぎず、樹脂組成物層に含まれる発泡剤の一部が高温となり架橋処理の段階で発泡する可能性が低減される。これにより、架橋後の発泡処理によって生成される発泡積層シートの表面の荒れを生じ難くすることができる。以上より、十分且つ迅速に架橋させることができると共に、表面に形成不良を生じ難い発泡積層シートの製造方法を提供することができる。
【0011】
樹脂組成物層は、ポリオレフィン樹脂を含んでいてもよい。この場合、例えば過熱水蒸気を用いて基材と樹脂組成物層とのラミネート処理を行う際、当該処理をより容易に行うことができる。
【0012】
過熱水蒸気を供給する工程では、過熱水蒸気を樹脂組成物層の幅方向の略全体にわたって供給してもよい。この場合、樹脂組成物層の幅方向の略全体にわたって、過熱水蒸気による架橋処理をより十分に行うことができる。
【0013】
過熱水蒸気を供給する工程では、樹脂組成物層に対して過熱水蒸気を直接噴霧してもよい。過熱水蒸気は、基材側から樹脂組成物層に噴霧してもよいが、樹脂組成物層に対して直接噴霧することにより、熱の伝達がより確実に行われるため、架橋処理をより十分且つ迅速に行うことができる。
【0014】
架橋後の樹脂組成物層に含まれる発泡剤を加熱発泡させて樹脂組成物層から発泡樹脂層を得る工程を更に含んでもよい。この場合、基材上に発泡樹脂層が形成された発泡積層シートを確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、十分且つ迅速に架橋させることができると共に、表面に形成不良を生じ難い発泡積層シートの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る製造方法で製造される発泡積層シートの例を示す断面図であり、(a)は発泡前、(b)は発泡後の断面形状を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る樹脂組成物層の架橋処理方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る発泡積層シートの製造方法について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る製造方法によって製造される発泡積層シートについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法で製造される発泡積層シートの例を示す断面図であり、(a)は発泡前、(b)は発泡後の断面形状を示す。図1(a)に示すように、発泡前の積層シート1は、紙基材3と、発泡剤を含有する樹脂組成物層5とを備えている。
【0019】
樹脂組成物層5は、紙基材3上に重ね合わされてラミネート処理され、且つ、架橋処理された状態で、紙基材3上に形成されている。積層シート1は、含有する発泡剤が所定の発泡倍率で発泡し、図1(b)に示すように、発泡後の発泡樹脂層5aを含む発泡積層シート1aとなる。なお、発泡積層シート1aは、表面に凹凸模様を有していてもよい。このような発泡積層シート1aは、例えば発泡壁紙として用いられる。
【0020】
紙基材3は、例えば壁紙用裏打紙などの通常使用されている紙材を用いることができるが、特に限定されない。紙基材3としては、好ましくは、スルファミン酸グアニジンやリン酸グアニジンなどの水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙、又は、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機質剤を混抄した無機質紙等を用いることができ、その坪量としては50〜300g/m、好ましくは60〜160g/mである。
【0021】
また、紙基材3の表面のうち樹脂組成物層5を設ける側の接着面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、又はオゾン処理等の易接着処理を施してもよい。また、紙基材3の接着面には、アクリル−ブチル共重合体、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン等を塗布した易接着処理層(図示しない)を設けるようにしてもよい。なお、紙基材3に代えて、例えば樹脂等からなる基材を用いてもよい。
【0022】
樹脂組成物層5は、例えば発泡樹脂層5aを形成するための層であり、無機充填剤と発泡剤と樹脂とを含む樹脂組成物を用いて形成することができる。樹脂としては、無極性の非ハロゲン系熱可塑性樹脂が好ましい。非ハロゲン系熱可塑性樹脂としては、エチレン単独重合体、又は、エチレンと他のオレフィンモノマーとの共重合体を挙げることができる。非ハロゲン系熱可塑性樹脂を用いることで、エチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、及びアイオノマー樹脂などの極性樹脂を使用した場合と比較して、フィラーを増量した場合の粘度上昇が抑えられる為、高品質の壁紙を安定して生産することができる。
【0023】
樹脂組成物層5を形成するための上記樹脂組成物は、更に、シラン架橋性樹脂を含有している。含有されるシラン架橋性樹脂としては、従来公知のシラン架橋性樹脂、特にシラン架橋性ポリオレフィン系樹脂が好適に使用可能である。シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂としては、母体としてのポリオレフィン系重合体に加水分解性シリル基を主として側鎖に導入した樹脂を用いることができる。例えば、低密度ポリエチレン系、高密度ポリエチレン系、エチレン酢酸ビニル共重合体系、ポリプロピレン系等のシラン架橋性ポリオレフィン系樹脂を用いることができる。架橋は、置換シリル基の加水分解により行われる。なお、このシリル基が末端に位置するポリオレフィン系樹脂が含まれていてもよい。
【0024】
このシラン架橋性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂のモノマーとエチレン性不飽和シラン化合物を容器中でランダム共重合させる方法、又は、ポリオレフィン系樹脂の溶融物に過酸化物を用いてエチレン性不飽和シラン化合物をグラフト共重合する方法により得ることができる。ここで、母体のポリオレフィン系樹脂としては前記と同様の樹脂をいずれも使用することができる。更に、母体のポリオレフィン系樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、両樹脂の混合又は分散が許容される程度であれば上記ポリオレフィン系樹脂とは異なる樹脂を併用してもよい。混合又は分散の程度は、使用する押出機の種類により大差があり、また適宜の相溶化剤も使用できるので、組み合わせ樹脂は一概に区分はできないが、同種の樹脂であることが好ましい。以上で説明した樹脂組成物層5の樹脂組成物としては、三菱化学株式会社製の「リンクロン」などが例示される。
【0025】
また、樹脂組成物層5には、必要に応じて顔料等を添加して着色してもよい。顔料添加による着色は透明であってもよいし、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料やアニリンブラック、フタロシアニンブルー等の有機顔料を用いることができる。樹脂組成物層5に添加される顔料の添加量としては、樹脂成分100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部である。また、樹脂組成物層5に、難燃剤、セル調整剤、安定剤、又は滑剤等の周知の添加剤を添加してもよい。
【0026】
続いて、図2を参照して、上述した積層シート1に対して架橋処理を行う方法について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物層5の架橋処理方法を説明するための図である。なお、ラミネート処理に関しては、過熱水蒸気で架橋処理を行いつつラミネート処理も行ってもよく、架橋前の樹脂組成物層5に架橋処理を施した後に、別途、樹脂組成物層5を紙基材3上にラミネート等により積層するようにしてもよい。
【0027】
まず、この架橋処理方法に用いる架橋処理装置10について、図2を参照しながら説明する。図2に示すように、本実施形態に係る架橋処理装置10は、積層シート1を構成する架橋前の樹脂組成物層5に対して過熱水蒸気Vを噴霧することができる噴霧ノズル12を複数備えている。各噴霧ノズル12は、図示下方に向かって放射状に過熱水蒸気Vを噴霧するように構成されており、各噴霧ノズル12からの過熱水蒸気Vが積層シート1の幅方向全体にかかるように各噴霧ノズル12間の位置及び高さが設定されている。
【0028】
各噴霧ノズル12は、その噴霧先端と樹脂組成物層5(積層シート1)との距離が5mm以上200mm以下となるように、樹脂組成物層5に近接してその上方に配置されていることが好ましい。なお、架橋処理装置10では、それぞれの噴霧ノズル12に温度勾配をつけて、装置全体としてより厳密な温度調整を行うようにしてもよいし、特に温度勾配をつけなくてもよい。また、複数の噴霧ノズル12を用いた場合、各ノズルの構造を簡素化できるため、設備のメンテナンスを容易に行うことができる。また、各噴霧ノズル12としては、樹脂組成物層5の幅方向と同一又はそれよりも長いスリットを有するスリットノズルを用いて、スリットから過熱水蒸気Vを押し出すようにしてもよい。スリットノズルの場合、噴霧ノズル12を樹脂組成物層5に近づけたとしても樹脂組成物層5全体に過熱水蒸気を確実に噴霧することができるため、噴霧ノズル12を樹脂組成物層5により簡単に近づけることができる。
【0029】
また、架橋処理装置10は、熱効率を向上させるため、各噴霧ノズル12と過熱水蒸気Vが積層シート1上に噴霧される噴霧領域とを覆うボックス14を備えている。ボックス14の容積は、例えば0.01m〜2mである。ボックス14の容積に応じて、架橋処理を行う樹脂組成物層5(積層シート1)の横幅を異ならせてもよい。例えば、ボックス14の容積が0.01mである場合には、積層シート1の横幅を10cmとし、ボックス14の容積が2mである場合には、積層シート1の横幅を30cmとしてもよい。積層シート1は、ボックス14の一方に設けられた開口の入口14aからボックス14内に挿入され、ボックス14の他方に設けられた開口の出口14bから出るように搬送される。積層シート1は、噴霧ノズル12側に樹脂組成物層5が位置するように配置されている。すなわち、樹脂組成物層5に対して過熱水蒸気Vが直接噴霧されている。なお、紙基材3の場合には水蒸気が透過するため、紙基材3を噴霧ノズル12側に配置してもよい。
【0030】
このような構成を備えた架橋処理装置10内に積層シート1が挿入され、図示矢印方向に搬送されると、この積層シート1の樹脂組成物層5に対して、噴霧ノズル12から過熱水蒸気Vが噴霧される。このとき、15kg/時間以上で且つ100kg/時間以下の噴霧蒸気量の過熱水蒸気Vが樹脂組成物層5に対して供給されるように、噴霧ノズル12から過熱水蒸気Vが噴霧される。これにより、樹脂組成物層5に含まれるシラン架橋性樹脂層が過熱水蒸気により架橋し、架橋後の樹脂組成物層5が形成される。なお、過熱水蒸気Vが噴霧される樹脂組成物層5(積層シート1)の横幅は例えば30cmであるが、適宜、変更可能であり、噴霧蒸気量も積層シート1の横幅に比例して変更可能である。
【0031】
ここで、噴霧ノズル12から噴霧される「過熱水蒸気」とは、飽和蒸気を更に加熱して飽和温度以上の蒸気温度を持たせた水蒸気であり、熱効率が良い。従来、架橋処理を十分且つ迅速に行うためには、樹脂組成物層5に対して供給する過熱水蒸気Vの温度を上げることが第一に考えられていた。しかしながら、単に過熱水蒸気Vの温度を上げるだけでは発泡後の積層シートのシート表面が荒れてしまうことがある。そこで、本発明者等は、更に検討を加え、樹脂組成物層5に対して供給する過熱水蒸気Vの温度が高温にならないように抑えつつ、蒸気量を変化(増加)させて架橋処理を行う実験を行った結果、次のことを見出した。
【0032】
すなわち、本発明者等は、一般的に横幅が30cmである積層シートに対し、過熱水蒸気Vの蒸気量が15kg/時間以上で且つ100kg/時間以下という十分且つ適切な範囲で噴霧した場合、過熱水蒸気Vの温度が高過ぎない所定の温度であっても、樹脂組成物層5に含まれるシラン架橋性樹脂層を十分且つ迅速に架橋させることができることを見出した。ここで、過熱水蒸気Vの温度とは、噴霧ノズル12から噴霧された直後の温度を意味し、装置誤差がない場合、装置での設定温度に相当する。
【0033】
所定の温度とは、例えば、少なくとも架橋処理を行うために必要な架橋温度以上であって、且つ、樹脂組成物層5の温度が発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度である。架橋温度は、例えば130〜140℃程度である。発泡剤の分解温度とは、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤が分解又は気化しガスを発生し始める温度、すなわち発泡開始温度である。分解温度は、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の種類、又は発泡助剤等に応じて異なる。例えば、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤がADCA(アゾジカルボン酸アミド)であり発泡助剤を入れていない場合には、分解温度は190±10℃程度である。樹脂組成物層5に含まれる発泡剤がADCA(アゾジカルボン酸アミド)であり発泡助剤を入れている場合には、分解温度が140〜150℃付近にまで低下する。よって、発泡剤の分解温度とは、発泡助剤を入れていない場合には発泡剤そのものの分解温度をいい、発泡助剤を入れている場合には発泡剤そのものの分解温度ではなく、発泡助剤により低下した分解温度をいう。例えば架橋温度が130℃であり、且つ、分解温度が140℃である場合には、所定の温度は、130℃以上であり、且つ、205℃とならない温度となる。
【0034】
所定の温度は、噴霧ノズル12から過熱水蒸気Vが供給されることで樹脂組成物層5の温度が上昇しても、当該樹脂組成物層5の温度が分解温度に対して+65℃を超えない温度となるように設定される。また、所定の温度は、当該樹脂組成物層5の温度が分解温度に対して+30℃を超えない温度に設定されていてもよい。また、所定の温度は、当該樹脂組成物層5の温度が分解温度を超えないように設定されていてもよい。なお、所定の温度は、例えば噴霧ノズル12と樹脂組成物層5との間の距離等に応じて異なる値に設定されてもよい。また、所定の温度は、過熱水蒸気Vが供給される時間に応じて異なる値に設定されてもよい。
【0035】
このように、樹脂組成物層5に供給される過熱水蒸気Vの量が上記適切な範囲にある場合、過熱水蒸気Vの温度を、樹脂組成物層5の温度が発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度となるように設定できる。このため、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の一部が高温となり架橋処理の段階で発泡してしまう可能性を低減することができる。
【0036】
上述した架橋処理が行われた積層シート1に対して、所定の発泡処理を施すことで、図1(b)に示すような発泡積層シート1aが得られる。すなわち、架橋後の樹脂組成物層5に含まれる発泡剤を加熱発泡させて樹脂組成物層5から発泡樹脂層5aを得ることにより、発泡積層シート1aが得られる。上述したように、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の一部が架橋処理の段階で発泡してしまう可能性が低減されるので、架橋後の発泡処理により得られる発泡積層シート1aの表面の荒れが生じ難くなる。なお、この発泡積層シート1aの表面に対し、凹凸模様等を更に付与する処理を行ってもよい。
【0037】
以上、本実施形態に係る発泡積層シート1aの製造方法では、過熱水蒸気Vが15kg/時間以上且つ100kg/時間以下の噴霧蒸気量となるように樹脂組成物層5に供給されることによって、樹脂組成物層5に含まれるシラン架橋性樹脂層を十分且つ迅速に架橋させることができる。また、樹脂組成物層5の温度が分解温度に対して+65℃を超えない温度となるように過熱水蒸気が供給されるため、架橋処理の際の過熱水蒸気の温度が高くなり過ぎず、樹脂組成物に含まれる発泡剤の一部が高温となり架橋処理の段階で発泡する可能性が低減される。これにより、架橋後の発泡処理によって生成される発泡積層シート1aの表面の荒れを生じ難くすることが可能となる。以上より、十分且つ迅速に架橋させることができると共に、表面に形成不良を生じ難い発泡積層シート1aの製造方法を提供することができる。
【0038】
本実施形態に係る発泡積層シート1aの製造方法では、樹脂組成物層5が、ポリオレフィン樹脂を含んでいてもよい。この場合、例えば過熱水蒸気Vを用いて紙基材3と樹脂組成物層5とのラミネート処理を行う際、当該処理をより容易に行うことができる。
【0039】
本実施形態に係る発泡積層シート1aの製造方法では、過熱水蒸気Vを供給する工程において、樹脂組成物層5の幅方向の略全体にわたって過熱水蒸気Vが噴霧される。よって、樹脂組成物層5の幅方向の略全体にわたって、過熱水蒸気Vによる架橋処理をより十分に行うことができる。
【0040】
本実施形態に係る発泡積層シート1aの製造方法では、過熱水蒸気Vを樹脂組成物層5に供給する工程において、樹脂組成物層5に対して過熱水蒸気Vが直接噴霧される。過熱水蒸気Vは、紙基材3側から樹脂組成物層5に噴霧してもよいが、樹脂組成物層5に対して直接噴霧することにより、熱の伝達がより確実に行われるため、架橋処理をより十分且つ迅速に行うことができる。
【0041】
本実施形態に係る発泡積層シート1aの製造方法では、架橋後の樹脂組成物層5に含まれる発泡剤を加熱発泡させて樹脂組成物層5から発泡樹脂層5aを得る工程を更に含んでいる。よって、紙基材3上に発泡樹脂層5aが形成された発泡積層シート1aを確実に得ることができる。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形を適用できる。例えば、上記実施形態では、紙基材3上に重ね合わされた樹脂組成物層5に対して過熱水蒸気Vを供給する例を示したが、基材も樹脂から構成するようにし、樹脂基材上に重ね合わされた樹脂組成物層5に過熱水蒸気Vを供給してもよい。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
まず、コートハンガータイプのマニュホールドを有するTダイと、スクリュー径(D)65mm、L/D(スクリュー長をスクリュー径で割ったもの)=32であるバリアタイプスクリューとを用いて、押出し厚み100μmで単層の樹脂シートとして押出し製膜した。押出し条件は、シリンダーからダイにわたる全てのゾーンで設定温度を120℃にした。押出しに使用した材料は、以下の表1に示す配合にて行い、樹脂組成物層5とした。表1に示すように、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤そのものの分解温度(発泡開始温度)は約180℃であるが、発泡助剤を入れることにより、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度は約140℃付近となっている。なお、本実施例では、樹脂組成物層5のみをまずシート状に作製した。樹脂組成物層5(積層シート1)の横幅は30cmであった。
【0045】
【表1】
【0046】
続いて、図2に示す架橋処理装置10を用いて、樹脂組成物層5に対して所定の蒸気量で過熱水蒸気Vを供給して架橋処理を行った。架橋処理装置10のボックス14の容積は0.027mであった。同じ容積のボックス14において、過熱水蒸気の蒸気量を、15kg/時間、及び60kg/時間と変えて、過熱水蒸気Vの供給を行い、架橋処理を行った。
【0047】
各蒸気量での過熱水蒸気Vの供給は、過熱水蒸気Vの水蒸気温度を170℃、200℃、及び240℃の3つの温度帯域毎に行った。本実施例において、過熱水蒸気Vの水蒸気温度とは、噴霧ノズル12から噴霧された直後の水蒸気温度と略同じ設定温度である。また、各蒸気量及び各水蒸気温度での過熱水蒸気Vの供給は、噴霧時間を0.5分、1分、2分、及び4分と変えて行った。
【0048】
その後、上述した条件で架橋処理を行った樹脂組成物層5を紙基材3上に積層し、熱プレス機を用いて、温度120℃、プレス圧力5MPaの条件で2分間の熱圧着を行った。なお、紙基材3としては、裏打ち紙(株式会社興人製、商品名「WK−665IHT」)を用いた。そして、熱圧着した積層シート1の樹脂組成物層5側の表面にコロナ放電処理を施した後、グラビア印刷機により水性インキを用いて織物絵柄を印刷した。その後、220℃で40秒間加熱して樹脂組成物層5中に含まれる発泡剤を加熱発泡させ、発泡積層シート1aを得た。
【0049】
そして、取得した発泡積層シート1aにおいて、発泡倍率の評価を行った。なお、発泡倍率が高いほど、架橋処理の段階での発泡剤の発泡が抑制されたことを示している。以下の表2,3にその結果を示す。なお、以下の表2,3においては、発泡倍率だけでなく、ラミネート強度についての評価結果も示している。また、発泡倍率、ラミネート強度、及び噴霧時間に基づいた、発泡積層シート11aの生産性に対する総合評価も示している。表2における「サンプル温度」は、過熱水蒸気Vの供給が終了したときの樹脂組成物層5(積層シート1)の温度である。樹脂組成物層5の温度は、過熱水蒸気Vを供給する時間が長くなるほど上昇し、過熱水蒸気Vの供給開始時から供給終了時までの間では、供給終了時に最も高くなる。よって、過熱水蒸気Vの供給開始から供給終了時までの間における樹脂組成物層5の温度は、少なくともサンプル温度以下となっている。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
発泡積層シート1aにおける発泡倍率とは、発泡積層シート1aの単位体積あたりの重量に対応し、発泡積層シート1aの硬さを示す指標である。架橋が十分に行われていない場合、架橋後の発泡処理時にガスが保持できず外部にガス抜けしてしまい、発泡倍率が低下する。このため、発泡倍率が大きいほど、架橋がより進んだと評価することができる。また、発泡倍率は、架橋処理の段階で樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の一部が発泡してしまうことにも起因して変化する。発泡倍率が大きいほど、架橋処理の段階における発泡剤の発泡度合いが少なく、発泡積層シート1aの表面が綺麗であると評価することができる。
【0053】
発泡倍率の評価として、発泡倍率が少なくとも3.1倍よりも大きい場合には好適とまではいえないものの適正であり、発泡倍率が5.0倍以上である場合には好適であるとした。なお、表2における「(セル×)」は、セルが大きいことを示している。セルが大きい場合には、発泡倍率が5.0倍以上であっても好適とまではいえず適正であるとした。ここで、「適正」とは、十分に架橋されていると共に、発泡積層シート1aの表面の荒れが許容範囲に抑制されていることを示す。「好適」とは、より十分に架橋されていると共に、発泡積層シート1aの表面の荒れがより好適に抑制されていることを示す。
【0054】
発泡積層シート1aにおけるラミネート強度とは、ラミネート処理によってラミネートされた紙基材3と樹脂組成物層5との貼り付き度合いを示す指標である。ラミネート強度の評価は、紙基材から樹脂組成物層が剥がれず、紙基材側で層間剥離してしまう程度の強度を「◎」、すなわち良好な強度であるとした。また、十分にラミネートされており、素手で剥がれない程度の強度を「○」、すなわち十分な強度であるとした。
【0055】
発泡積層シート11aの生産性に対する総合評価は、次の基準で行った。
(総合評価)
A:発泡倍率が5.0倍以上、且つ、ラミネート強度が「◎」、且つ、噴霧時間が1分未満のもの
B:Aの条件に対し、発泡倍率及びラミネート強度のいずれかが劣っている、又は、噴霧時間が1分以上かかるもの
C:発泡倍率が3.1倍以下のもの
なお、上記総合評価のうち、C、B、及びAの順で、発泡積層シート1aの生産性がより高いことを示している。
【0056】
表2には、樹脂組成物層5に供給される過熱水蒸気Vの蒸気量が15kg/時間である場合の実施例の評価結果を示している。水蒸気温度が170℃の場合、サンプル温度は、噴霧時間0.5分で過熱水蒸気Vが供給された場合には100℃となり、噴霧時間1分で過熱水蒸気Vが供給された場合には100℃となり、噴霧時間2分で過熱水蒸気Vが供給された場合には161℃となり、噴霧時間4分で過熱水蒸気Vが供給された場合には170℃となった。よって、いずれの噴霧時間で過熱水蒸気Vが供給された場合であっても、サンプル温度は、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃(本実施形態においては、約205℃)を超えない温度であった。これは、過熱水蒸気Vの供給開始から供給終了時までの間における樹脂組成物層5の温度も、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度であったことを示している。噴霧時間が0.5分の場合、ラミネート強度が「○」であり、且つ、発泡倍率が3.8倍であった。すなわち、この条件下では、噴霧時間が0.5分まで短くなっても、ラミネート強度が十分であり、且つ、発泡倍率が適正な発泡積層シート1aが取得できた(総合評価:B)。発泡倍率が適正であることから、十分に架橋されていると共に、発泡積層シート1aの表面の荒れが許容範囲に抑制されていると評価できる。
【0057】
また、樹脂組成物層5に供給される過熱水蒸気Vの蒸気量が15kg/時間で且つ水蒸気温度が200℃の場合、サンプル温度は、噴霧時間0.5分で過熱水蒸気Vが供給された場合には101℃となり、噴霧時間1分で過熱水蒸気Vが供給された場合には145℃となり、噴霧時間2分で過熱水蒸気Vが供給された場合には195℃となり、噴霧時間4分で過熱水蒸気Vが供給された場合には200℃となった。よって、いずれの噴霧時間で過熱水蒸気Vが供給された場合であっても、サンプル温度は、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃(本実施形態においては、約205℃)を超えない温度であった。これは、過熱水蒸気Vの供給開始から供給終了時までの間における樹脂組成物層5の温度も、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度であったことを示している。噴霧時間が0.5分の場合、ラミネート強度が「◎」であり、且つ、発泡倍率が3.5倍であった。すなわち、この条件下では、噴霧時間が0.5分まで短くなっても、ラミネート強度が良好であり、且つ、発泡倍率が適正な発泡積層シート1aが取得できた(総合評価:B)。発泡倍率が適正であることから、十分に架橋されていると共に、発泡積層シート1aの表面の荒れが許容範囲に抑制されていると評価できる。
【0058】
また、樹脂組成物層5に供給される過熱水蒸気Vの蒸気量が15kg/時間で且つ水蒸気温度が240℃の場合、サンプル温度は、噴霧時間0.5分で過熱水蒸気Vが供給された場合には142℃となり、噴霧時間1分で過熱水蒸気Vが供給された場合には202℃となった。よって、いずれの噴霧時間で過熱水蒸気Vが供給された場合であっても、サンプル温度は、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃(本実施形態においては、約205℃)を超えない温度であった。これは、過熱水蒸気Vの供給開始から供給終了時までの間における樹脂組成物層5の温度も、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度であったことを示している。噴霧時間が0.5分の場合、ラミネート強度が「◎」であり、且つ、セルは大きいものの発泡倍率が5.5倍であった。すなわち、この条件下では、噴霧時間が0.5分まで短くなっても、ラミネート強度が良好であり、且つ、発泡倍率が適正な発泡積層シート1aが取得できた(総合評価:B)。発泡倍率が適正であることから、十分に架橋されていると共に、発泡積層シート1aの表面の荒れが許容範囲に抑制されていると評価できる。なお、この結果は、水蒸気温度が240℃という高温であっても、噴霧時間0.5〜1分という短時間の噴霧であれば、問題なく処理できるということを示している。
【0059】
以上、過熱水蒸気Vの供給開始から供給終了時までの間における樹脂組成物層5の温度が、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度となるように、蒸気量15kg/時間の過熱水蒸気Vが樹脂組成物層5に供給されている場合には、十分且つ迅速に架橋させることができると共に、表面に形成不良を生じ難い発泡積層シート1aを製造することが可能であると示された。
【0060】
表3には、樹脂組成物層5に供給される過熱水蒸気Vの蒸気量が60kg/時間である場合の実施例を示している。水蒸気温度が170℃の場合、サンプル温度は、噴霧時間0.5分で過熱水蒸気Vが供給された場合には100℃となり、噴霧時間1分で過熱水蒸気Vが供給された場合には101℃となり、噴霧時間2分で過熱水蒸気Vが供給された場合には164℃となり、噴霧時間4分で過熱水蒸気Vが供給された場合には170℃となった。よって、いずれの噴霧時間で過熱水蒸気Vが供給された場合であっても、サンプル温度は、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃(本実施形態においては、約205℃)を超えない温度であった。これは、過熱水蒸気Vの供給開始から供給終了時までの間における樹脂組成物層5の温度も、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度であったことを示している。噴霧時間が0.5分の場合、ラミネート強度が「○」であり、且つ、発泡倍率が4.2倍であった。すなわち、この条件下では、噴霧時間が0.5分まで短くなっても、ラミネート強度が好適であり、且つ、発泡倍率が適正な発泡積層シート1aが取得できた(総合評価:B)。発泡倍率が適正であることから、十分に架橋されていると共に、発泡積層シート1aの表面の荒れが許容範囲に抑制されていると評価できる。
【0061】
また、樹脂組成物層5に供給される過熱水蒸気Vの蒸気量が60kg/時間で且つ水蒸気温度が200℃の場合、サンプル温度は、噴霧時間0.5分で過熱水蒸気Vが供給された場合には105℃となり、噴霧時間1分で過熱水蒸気Vが供給された場合には155℃となり、噴霧時間2分で過熱水蒸気Vが供給された場合には200℃となり、噴霧時間4分で過熱水蒸気Vが供給された場合には200℃となった。よって、いずれの噴霧時間で過熱水蒸気Vが供給された場合であっても、サンプル温度は、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃(本実施形態においては、約205℃)を超えない温度であった。これは、過熱水蒸気Vの供給開始から供給終了時までの間における樹脂組成物層5の温度も、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度であったことを示している。噴霧時間が0.5分の場合、ラミネート強度が「◎」であり、且つ、発泡倍率が5.0倍であった。すなわち、この条件下では、噴霧時間が0.5分まで短くなっても、ラミネート強度が良好であり、且つ、発泡倍率が好適な発泡積層シート11aが取得でき、特に好ましかった(総合評価:A)。発泡倍率が好適であることから、より十分に架橋されていると共に、発泡積層シート1aの表面の荒れがより好適に抑制されていると評価できる。
【0062】
以上、過熱水蒸気Vの供給開始から供給終了時までの間における樹脂組成物層5の温度が、樹脂組成物層5に含まれる発泡剤の分解温度に対して+65℃を超えない温度となるように、蒸気量60kg/時間の過熱水蒸気Vが樹脂組成物層5に供給されている場合には、十分且つ迅速に架橋させることができると共に、表面に形成不良を生じ難い発泡積層シート1aを製造することが可能であると示された。
【符号の説明】
【0063】
1…積層シート、1a…発泡積層シート、3…紙基材、5…樹脂組成物層、5a…発泡樹脂層、10…架橋処理装置、12…噴霧ノズル、V…過熱水蒸気。
図1
図2